JPH09151252A - 重合体及びその製造方法 - Google Patents

重合体及びその製造方法

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JPH09151252A
JPH09151252A JP4898896A JP4898896A JPH09151252A JP H09151252 A JPH09151252 A JP H09151252A JP 4898896 A JP4898896 A JP 4898896A JP 4898896 A JP4898896 A JP 4898896A JP H09151252 A JPH09151252 A JP H09151252A
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JP
Japan
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polymer
iminocarbonate
tyr
dkp
reaction
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Application number
JP4898896A
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English (en)
Inventor
Akinori Nagatomo
昭憲 長友
Hiroaki Tamaya
玉谷  弘明
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
Teruhiro Yamaguchi
彰宏 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分解過程において、生体又は環境に対して有
害な物質を生成しにくい、新規な分解性樹脂を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 アミノ酸チロシンの環状二量体である、
3,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−
2,5−ジケトピペラジンと臭化シアンを反応させるこ
とにより得られる、新規分解性ポリイミノカーボネート
およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基本骨格にアミノ
酸たるチロシンの誘導体を含むイミノカーボネート重合
体及びその製造方法に関する。本発明は、3,6−ビス
[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−2,5−ジケ
トピペラジンを原料とするイミノカーボネート重合体及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成高分子はCarothers以来、
生活、産業のあらゆる部分に浸透し、大量に使用される
ようになった。それらの高分子材料に要求される諸物性
は高強度、高弾性、断熱性、絶縁性等、用途に応じて求
められるが、基本的には「強靱で劣化しない」ことが必
須条件であった。しかしながら、近年、グローバルな又
はローカルなエコロジーの重要性が注目され、合成高分
子をめぐる情勢も変わってきた。すなわち、廃棄物の焼
却処理又は埋立処理、海洋汚染等の問題を考慮して、廃
棄後に環境を汚染することなく分解する環境にやさしい
特性を有する有機材料に対する社会的需要が急速に高ま
ってきた。
【0003】このような背景の中、ポリカーボネートに
分解性を付与する試みがなされてきた。上市されている
ポリカーボネートのほとんどは、ビスフェノールA型ポ
リカーボネートである。ポリカーボネートは、エンジニ
アプラスチックの中でも、その分子構造から極性、分子
間力が強く、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、耐クリー
プ性、透明性に優れる特性を有するために、これまでガ
ラスや金属製品を代替して需要を拡大し、最近ではCD
(コンパクトディスク)用に使用され、さらに需要が伸
びている。
【0004】Biomaterials ,7巻,17
6〜182頁(1986年)には、ビスフェノールA型
を原料とするポリイミノカーボネートについて開示され
ている。ポリイミノカーボネートの構造は、ポリカーボ
ネートのカルボニル酸素原子を、NH基に置換した構造
を有する点で特徴的である。ポリイミノカーボネートの
物性は、ポリカーボネートの優れた機械的物性を維持し
つつ、分解性を有する点で特徴的である。しかしなが
ら、上記した従来技術によるビスフェノールA型ポリイ
ミノカーボネートは、分解過程で有害な化合物を生成す
るおそれがある。ビスフェノールA型ポリイミノカーボ
ネートが生体内で加水分解した場合、生成するビスフェ
ノールA誘導体が毒性を発揮するおそれがある。
【0005】Macromolecules,22巻,
2029〜2036頁(1989年)には、チロシン誘
導体を原料とするポリイミノカーボネートについて開示
されている。上記した従来技術によるチロシン誘導体を
原料としたポリイミノカーボネートは、少なくとも以下
の二つの点で問題がある。第1に、デスアミノチロシル
−チロシンアルキルエステル、デスアミノチロシル−チ
ラミン、N−ベンジルオキシカルボニル−チロシル−チ
ロシンアルキルエステル(N−Z−チロシル−チロシン
アルキルエステル)等を原料としてを用いる必要がある
が、これら原料の合成には、ジシクロヘキシルカルボジ
イミド(DCC)等の縮合剤を用いる必要があるため
に、工業的に不利である。第2に、ポリイミノカーボネ
ートの分解過程において有害な化合物(例えば、デスア
ミノチロシン、チラミン、メチルアルコール、ヘキシル
アルコール等のアルコール、ベンジルオキシカルボニル
基(Z基)、およびZ基から生成するトルエン等)が生
成するおそれがある点で問題である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
よっては達成することが困難であった、使用時には、優
れた強靱性を発揮すると共に、廃棄後には、分解過程に
おいて有害な生成物を発生しないことが期待される、イ
ミノカーボネート重合体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、3,6−ビス
[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−2,5−ジケ
トピペラジンを原料として合成したイミノカーボネート
重合体は、分解過程において、該原料に由来する分解生
成物としてチロシンのみを生成することを見い出し、本
発明を完成するに至った。チロシンは、アミノ酸であ
り、高い安全性が期待される。本出願に係る発明は、以
下の乃至に記載された発明である。 式(1)で表されるイミノカーボネート単量体単位
(化4)
【0008】
【化4】 を分子内に有する重合体。 式(2)で表される3,6−ビス[(4−ヒドロキ
シフェニル)メチル]−2,5−ジケトピペラジン(化
5)
【0009】
【化5】 を臭化シアンと反応させて得られる重合体。 式(2)で表される3,6−ビス[(4−ヒドロキ
シフェニル)メチル]−2,5−ジケトピペラジン(化
6)
【0010】
【化6】 を臭化シアンと反応させる過程を含むことを特徴とする
重合体の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
[本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる語
の概念] (1) 語「高分子」の概念 本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「高
分子」なる語の概念は、「重合体」、「ポリマー」、
「巨大分子」又は「マクロモレキュール」なる語と相互
に等価であり、ホモポリマー及びコポリマーを包含す
る。本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる
「コポリマー」なる語の概念は、「共重合体」なる語と
相互に等価である。コポリマー(共重合体)の配列の様
式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重
合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。高分子
は、線状、大環状、分岐状、星形、三次元網目状等のい
ずれでもよい。
【0012】(2) 語「分解性」の概念 本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「分
解性」なる語の概念には、有機材料に関し、特定の目的
に使用している期間は、目的に合致した材料特性を保持
し、目的終了後又は廃棄後に、自然環境下又は生体内環
境下において、脆弱化及び無害化するような機能をも包
含する。本出願の特許請求の範囲及び明細書において用
いる「分解性」なる語の概念には、例えば、「新版高分
子辞典(高分子学会編、朝倉書店、東京、1988
年)」・424頁右欄〜425頁左欄の「崩壊性高分
子」の項に記載されている「崩壊性」の概念をも包含す
る。その記載は、参照により、本出願明細書に記載した
事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導
き出せる事項又は開示とする。本出願の特許請求の範囲
及び明細書において用いる「分解性」なる語の概念に
は、例えば、「新版高分子辞典(高分子学会編、朝倉書
店、東京、1988年)」・369頁左欄の「光崩壊
性」の項に記載されている「光崩壊性」の概念をも包含
する。その記載は、参照により、本出願明細書に記載し
た事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に
導き出せる事項又は開示とする。
【0013】本出願の特許請求の範囲及び明細書におい
て用いる「分解性」なる語の概念には、例えば、「MA
RUZEN高分子大辞典−Concise Encyc
lopedia of Polymer Scienc
e and Engineering(Kroschw
itz編、三田 達監訳、丸善、東京、1994年)」
・539左欄〜540頁右欄の「生分解性ポリマー」の
項に記載されている「生分解性」の概念をも包含する。
その記載は、参照により、本出願明細書に記載した事項
又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出
せる事項又は開示とする。本出願の特許請求の範囲及び
明細書において用いる「分解性」なる語の概念には、
「コンポスタブル(compstable、土壌回帰
性)」の概念をも包含する。
【0014】「分解性」の評価は、例えば、土壌中への
埋め込み試験、培養微生物による分解試験、酵素標品に
よる分解試験、血清中でのイン−ビトロ分解試験、生体
内埋植によるイン−ビボ分解試験、光照射試験等によっ
て評価することができ、より具体的には、例えば、AS
TM D5209−91(生分解性試験)やASTMD
5338−92(コンポスタビリティー(土壌回帰性
能)試験)によっても評価することができる。
【0015】(3) 語「誘導体」の概念 本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「誘
導体」なる語の概念には、特定の化合物の水素原子が、
他の原子あるいは原子団Rによって置換されたものを包
含する。ここでRは、少なくとも1個の炭素原子を含む
1価の炭化水素基であり、より具体的には、脂肪族、実
質的に芳香族度の低い脂環族、これらを組み合わせた
基、又はこれらが水酸基、カルボキシル基、アミノ基、
窒素、硫黄けい素、りんなどで結合されるような2価の
残基であってもよく、これらのうち特に、狭義の脂肪族
系の構造のものが好ましい。Rは、上記のものに、例え
ば、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリル
基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオ
キシル基、ハロゲン(F、Cl、Br等)基等が置換し
た基であってもよい。これらの置換基を適宜選択するこ
とにより、本発明に係る重合体の諸特性(耐熱性、強靱
性、分解性、強度特性、伸び特性、可撓性、可塑性、賦
形性、透明性、接着性、ガスバリア性、分解性等)を制
御することができる。
【0016】(4) 語「イミノカーボネート重合体」の概
念 本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「イ
ミノカーボネート重合体」なる語の概念には、イミノカ
ーボネート結合を有する単量体単位又は繰り返し単位を
分子内に有する高分子化合物又はその誘導体を包含す
る。本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる
「イミノカーボネート重合体」なる語の概念には、ポリ
イミノカーボネート及びコポリイミノカーボネートを包
含する。
【0017】[3,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニ
ル)メチル]−2,5−ジケトピペラジン(Tyr−D
KP)]本発明に係る製造方法において用いる、3,6
−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−2,5
−ジケトピペラジン(以下、Tyr−DKPという。)
は、チロシン(Tyr)の環状二量体である。本発明に
係る製造方法において用いるTyr−DKPは、L体−
L体、L体−D体、D体−D体のいずれであっても構わ
ない。Tyr−DKPの製造方法及び精製方法は、特に
制限されない。Tyr−DKPの製造方法及び精製方法
としては、例えば、特開平6−1775号や特開平6−
321916号に開示されている方法を採用することも
できる。
【0018】[特開平6−1775号]特開平6−17
75号には、夾雑物としてチロシンを含む、Tyr−D
KPを精製する技術が開示されている。すなわち、夾雑
物として少なくともチロシンを含む、Tyr−DKP
を、アルカリ水溶液に溶解した後、酸を加えてpHを調
整することにより、Tyr−DKP結晶を析出させるこ
とを特徴とする、Tyr−DKPの精製法が開示されて
いる。例えば、チロシンメチルエステルを無溶剤で加熱
して合成を行なった後、アルカリ水溶液中でpHを調整
することにより、副生成物であるチロシンと分離して高
純度のTyr−DKPを得ることができる。
【0019】[特開平6−321916号]特開平6−
321916号には、チロシンアルキルエステルから、
有機溶剤中で、Tyr−DKPを製造し、これを容易に
単離精製する技術が開示されている。すなわち、チロシ
ンアルキルエステルを、非プロトン性有機溶剤中で加熱
して、Tyr−DKPを製造する方法が開示されてい
る。さらには、Tyr−DKPを含む溶液に、双極子モ
−メントが1.5〜2.7の有機溶剤を加えて晶析する
ことを特徴とするTyr−DKPの精製方法が開示され
ている。例えば、チロシンメチルエステルを、N−メチ
ルピロリドン等の非プロトン性極性有機溶剤中で加熱し
て合成を行なった後、酢酸エチル、アセトン等を貧溶媒
として再沈澱することにより、高純度のTyr−DKP
を高収率で得ることができる。
【0020】[Tyr−DKPと臭化シアンの反応]本
発明に係る製造方法における、Tyr−DKPと臭化シ
アンとの反応の態様は特に限定されない。本発明に係る
製造方法における、Tyr−DKPと臭化シアンとの反
応の態様としては、例えば、Macromolecul
es,22巻,2029〜2036頁(1989年)に
開示されているポリイミノカーボネートの合成方法を、
本発明者らが独自に改変したものを挙げることができ
る。
【0021】具体的には、水と混和しない有機溶剤に臭
化シアンを溶解し、Tyr−DKPのアルカリ水溶液及
び触媒を加えて反応させる。反応系に加える臭化シアン
の量は、一般的には、アルカリ水溶液による加水分解を
考慮して、理論量よりも過剰に加えることが好ましく、
通常、Tyr−DKPに対して、1.0倍〜1.5倍当
量を加える。
【0022】反応系において使用される、水と混和しな
い有機溶剤は、水に対して実質的に不溶性であり、か
つ、臭化シアンとの反応に実質的に不活性であれば、特
に制限されない。反応系において使用される、水と混和
しない有機溶剤の具体例としては、例えば、ジクロロメ
タン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエ
タン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロ
ロプロパン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、クロロベン
ゼン、o−ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化
水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族
炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳
香族炭化水素が挙げられ、これらは単独で又は混合して
使用することができる。
【0023】反応系において使用されるアルカリ水溶液
は、反応の過程において、実質的にアルカリ性を維持
し、かつ、反応を阻害しない水溶液であれば特に制限さ
れない。反応系において使用されるアルカリ水溶液の具
体例としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、又は、
アルカリ土類金属水酸化物の水溶液が挙げられ、より具
体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
セシウム、水酸化カルシウム等の水溶液が挙げられる。
反応系において使用されるアルカリの量は、好ましくな
い副反応を実質的に伴わない限り特に制限されないが、
一般的には、化学量論量の等量又は小過剰量を用いるの
が好ましく、通常、化学量論量の1〜4倍当量が好まし
く、1.2〜3.0倍当量がより好ましい。
【0024】反応系において使用される触媒は、実質的
に反応を促進する化合物であれば特に制限されないが、
相間移動触媒として作用するものが好ましい。反応系に
おいて使用される触媒の具体例としては、例えば、3級
アミン、4級アンモニウム塩、3級ホスフィン、4級ホ
スホニウム塩、含窒素複素環化合物及びその塩、イミノ
エーテル及びその塩等が挙げられ、これらは単独で、又
は、混合して、使用することができる。反応系において
使用される3級アミン触媒としては、炭素原子数が1〜
8のトリアルキルアミンが好ましく、その具体例として
は、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルア
ミン、ジエチル−n−プロピルアミン、ジイソプロピル
−n−エチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N
−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシ
クロヘキシルアミン、N−エチルピペリジン等が挙げら
れ、これらは単独で、又は、混合して、使用することが
できる。
【0025】反応系において使用される4級アンモニウ
ム塩触媒の具体例としては、例えば、ベンジルトリエチ
ルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモ
ニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムク
ロライド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイ
ド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウム
ヨーダイド等、が挙げられ、これらは単独で、又は、混
合して、使用することができる。反応系において使用さ
れる4級ホスホニウム塩触媒の具体例としては、例え
ば、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフ
ェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニ
ウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド
等、が挙げられ、これらは単独で、又は、混合して、使
用することができる。反応系において使用される触媒の
量は、反応を実質的に促進する量であれば特に制限され
ない。反応系において使用される触媒の量は、一般的に
は、Tyr−DKPに対して、0.005〜20モル%
が好ましく、0.1〜15モル%がより好ましい。
【0026】反応濃度は、反応が実質的に進行し、好ま
しくない副反応を実質的に伴わない限り、特に限定され
ないが、一般的には、Tyr−DKPの仕込濃度に換算
して、1〜50重量%の範囲が好ましく、5〜25重量
%の範囲がより好ましい。反応温度は、反応が実質的に
進行し、好ましくない副反応を実質的に伴わない限り、
特に限定されないが、一般的には、−10〜50℃が好
ましく、0〜40℃がより好ましく、10〜30℃がさ
らに好ましい。通常、過度に低温では、反応速度が著し
く遅くなり、過度に高温では、反応により生成する活性
なシアネート基が加水分解するおそれがある。
【0027】反応により生成するイミノカーボネート重
合体については、ほとんどの有機溶剤は貧溶媒である。
したがって、反応系において使用される、水と混和しな
い有機溶剤が、反応によって生成するイミノカーボネー
ト重合体について貧溶媒であれば、生成イミノカーボネ
ート重合体は反応系中で沈澱として得られ、通常の濾過
操作により容易に単離することができる。
【0028】本発明に係るイミノカーボネート重合体
は、イミノカーボネート結合を容易に加水分解すること
ができ、加水分解により単量体であるTyr−DKPを
生成する。この加水分解により生成するTyr−DKP
も、分解性に優れている。したがって、本発明に係るイ
ミノカーボネート重合体は、分解性に優れている。は明
らかである。以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。本出願明細書において、実施例、製造例及び
態様は、本出願に係る発明の内容の理解を支援するため
のものであって、その記載によって、本出願に係る発明
の内容がなんら限定される性質のものではない。
【0029】
【実施例】
[ポリマーの固有粘度]ポリマーの固有粘度は、N−メ
チルピロリドン(NMP)を溶媒として、濃度0.5重
量%、温度25℃でウベローデ粘度計を用いて測定し、
下記式により算出した。 但し、t :溶液の流出時間(sec) t0:溶媒の流出時間(sec) C :溶液の濃度(g/dl)
【0030】[MITI法に定められたBOD法]Ty
r−DKPの生分解性試験は、MITI法に定められた
BOD法により行なった。すなわち、Tyr−DKP試
料を、標準活性汚泥濃度30ppm、試料濃度100p
pmとなるように添加し、無機培地300mlを調製し
た(サンプル数、n=4)。また、標準活性汚泥の活性
度の指標となる標準物質としてアニリン添加区と、ブラ
ンク補正のための無添加区(基礎呼吸)を設定した。培
養期間は14乃至28日間とした。
【0031】実施例1 (1) 反応 臭化シアン37g(12.93mmol)を、四塩化炭
素45mlに溶解し、1500r.p.m で攪拌しな
がら、−7℃〜−5℃に保ち、テトラブチルアンモニウ
ムブロマイド0.29g(0.9mmol)を加えた。
該溶液に、Tyr−DKP2.94g(9mmol)
を、0.2N−NaOH90mlに溶解した水溶液を、
2時間かけて滴下しながら、−7〜−5℃で反応させ、
その後、攪拌速度を2000r.p.mに上げて、室温
で2時間反応させた。反応中に析出した沈澱を濾取し、
四塩化炭素、水で洗浄し、窒素気流中、60℃で熱風乾
燥した。
【0032】(2) 分析 得られた重合体は、収量2.60g、収率82.4%で
あった。得られた重合体の固有粘度はη=0.41(d
l/g)であった。得られた重合体の元素分析値を以下
に示す。 得られた重合体をKBr錠剤法でフーリエ変換型赤外分
光解析(FT−IR)により解析したところ、イミノカ
ーボネート結合(C=NH)に帰属される、1301c
-1及び1675cm-1のピークが確認された。
【0033】実施例2 (1) 反応 テトラブチルアンモニウムブロマイドの代わりに、ベン
ジルトリメチルアンモニウムクロライドを用いたことを
除いて、実施例1と同様の操作により、反応を行なっ
た。
【0034】(2) 分析 得られた重合体は、収量2.46g、収率78.1%で
あった。得られた重合体の固有粘度は、η=0.21
(dl/g)であった。得られた重合体の元素分析値を
以下に示す。 得られた重合体をKBr錠剤法でFT−IRにより解析
したところ、イミノカーボネート結合(C=NH)に帰
属される、1301cm-1及び1675cm-1のピーク
が確認された。
【0035】実施例3 (1) 反応 四塩化炭素の代わりに、ジクロロメタンを用いたことを
除いて、実施例1と同様の操作により、反応を行なっ
た。
【0036】(2) 分析 得られた重合体は、収量2.51g、収率79.6%で
あった。得られた重合体の固有粘度は、η=0.35
(dl/g)であった。得られた重合体の元素分析値を
以下に示す。 得られた重合体をKBr錠剤法でFT−IRにより解析
したところ、イミノカーボネート結合(C=NH)に帰
属される、1301cm-1及び1675cm-1のピーク
が確認された。
【0037】実施例4 MITI法に定められたBOD法により、Tyr−DK
Pの生分解性試験を行なった。結果を表−1に示す。
【0038】 イミノカーボネート結合の加水分解により遊離する単量
体(Tyr−DKP)はアミノ酸であるチロシンのみか
らなり、表−1で明らかなように優れた生分解性を有す
る。したがって、本発明に係るイミノカーボネート重合
体は生分解性を有し、かつ、分解過程において、生体に
対して有害な物質を生成するおそれもない。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術によっては達
成することが困難であった、使用時には、優れた強靱性
を発揮すると共に、廃棄後には、分解過程において有害
な生成物を発生しないことが期待される、イミノカーボ
ネート重合体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で表されるイミノカーボネート
    単量体単位(化1) 【化1】 を分子内に有する重合体。
  2. 【請求項2】 式(2)で表される3,6−ビス[(4
    −ヒドロキシフェニル)メチル]−2,5−ジケトピペ
    ラジン(化2) 【化2】 を臭化シアンと反応させて得られる重合体。
  3. 【請求項3】 式(2)で表される3,6−ビス[(4
    −ヒドロキシフェニル)メチル]−2,5−ジケトピペ
    ラジン(化3) 【化3】 を臭化シアンと反応させる過程を含むことを特徴とする
    重合体の製造方法。
JP4898896A 1995-06-22 1996-03-06 重合体及びその製造方法 Pending JPH09151252A (ja)

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