JPH09150348A - Nc工作機械における切削誤差補正方法 - Google Patents

Nc工作機械における切削誤差補正方法

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JPH09150348A
JPH09150348A JP33121495A JP33121495A JPH09150348A JP H09150348 A JPH09150348 A JP H09150348A JP 33121495 A JP33121495 A JP 33121495A JP 33121495 A JP33121495 A JP 33121495A JP H09150348 A JPH09150348 A JP H09150348A
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cutting
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JP33121495A
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Ken Yasuda
研 安田
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Fanuc Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 旋盤およびその他の切削加工にも適用でき、
短い加工所要時間で十分な寸法精度を得ることのできる
NC工作機械における切削誤差補正方法を提供するこ
と。 【解決手段】 設定切込み量でワークを切削したときに
バイト1の切込み方向に作用する押圧力を求め、該押圧
力により加工経路上の各工具位置(z0〜z8等)でワ
ーク3を押圧したときに生じるワーク3の撓み量αを加
工経路上の各工具位置に対応させて予め測定し、非測定
部分の撓みαについては直線補間により求める。同一ワ
ーク3の加工に際し、工具位置に応じて前記撓み量に相
当する分の過剰切込みを加えることにより、ワーク3の
撓みによる加工誤差を解消し、加工精度を向上させる。
ワーク3が撓んだ状態で加工しても加工精度が損なわれ
ないため重切削が可能となり、加工所要時間が短縮され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、NC工作機械にお
ける切削誤差補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】NC工作機械による切削加工、特に、旋
盤加工において細いワークを加工するような場合におい
て、工具の切込みによる押圧力でワークに撓みが生じ、
必要とされる切込みが不足して加工精度の劣化が生じる
場合がある。
【0003】このような問題は、従来からあるバランス
カット機能、つまり、旋盤加工の刃物台をワークの両側
に配備し、ワークの中心軸に対してその両側から対称的
な加工を行う機能によって解消され得るが、2系統分の
制御機能が必要になるため、使用可能な機械や制御装置
が大幅に制限される。また、いうまでもなく、このバラ
ンスカット機能は、ワークを両側から削ることが可能な
旋盤加工以外に適用することはできない。
【0004】通常の機械および制御装置を利用した旋盤
加工においては、ワークの撓みが許容範囲を越えないよ
うに切込み量を制限してワークの撓みを防止することで
ワークの撓みによる切込みの不足に対処しているが、結
果的に重切削が困難となり、全体としての加工所要時間
が長くなってしまうといった問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の欠点を解消し、ワークの中心軸に対して対称
的な加工を行ったり切込み量を制限したりしなくても、
短い加工所要時間で十分な寸法精度を得ることのできる
NC工作機械における切削誤差補正方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、設定切込み量
でワークを切削したときに工具の切込み方向に作用する
押圧力を求め、該押圧力により加工経路上の各工具位置
でワークを押圧したときに生じるワークの撓み量を加工
経路上の各工具位置に対応させて予め測定記憶してお
き、同一ワークの加工に際し、工具位置に応じて前記記
憶した撓み量に相当する分の過剰切込みを加えることで
加工済ワークの寸法精度を確保することを特徴とした構
成により前記目的を達成した。
【0007】また、加工経路上の全ての工具位置でワー
クの撓み量を測定することは実際には困難であるため、
加工経路上の複数の工具位置を測定点として工具の押圧
力によって生じるワークの撓み量を求め、各測定点にお
けるワークの撓み量のデータを補間して各測定点間の各
位置における加工経路上のワークの撓み量を推定するよ
うにした。
【0008】測定点として選択する工具位置としては、
少なくとも、ワークの撓み傾向に大きな変化が生じる位
置、つまり、ワークの断面積が不連続的に変化する加工
経路上の工具位置を選択することが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態について説明する。図1はNC工作機械を駆動
制御する制御装置100の要部を示す機能ブロック図、
また、図2は工作機械としてのNC旋盤の要部を示す概
念図である。図2において、符号1はNC旋盤の刃物台
に装着されたバイト(切削工具)、符号2はワーク3の
素材となるロッド等を喰わえるためのチャック、符号4
はワーク3の一端面に穿設したセンタ穴に突入して該ワ
ーク3を回転自在に支える心押シ軸である。
【0010】チャック2は後述の主軸モータ62により
図2のZ軸を中心に回転駆動され、また、バイト1を装
着した刃物台は後述のX,Z各軸のサーボモータ50,
51により、加工プログラムに従ってX,Z各軸の方向
に平行移動されるようになっている。
【0011】図1に示されるように、制御装置100の
プロセッサ11は制御装置100を全体的に制御するプ
ロセッサである。このプロセッサ11は、ROM12に
格納されたシステムプログラムをバス21を介して読み
出し、このシステムプログラムに従って、制御装置10
0を全体的に制御する。RAM13には一時的な計算デ
ータや表示データおよびCRT/MDIユニット70を
介してオペレータが入力した各種データ等が格納され
る。CMOSメモリ14は図示しないバッテリでバック
アップされ、制御装置100の電源がオフにされても記
憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成され、イ
ンターフェイス15を介して読込まれた加工プログラム
やCRT/MDIユニット70を介して入力された加工
プログラム等が記憶されるようになっている。また、R
OM12には、加工プログラムの作成および編集のため
に必要とされる編集モードの処理や自動運転のための処
理を実施するための各種のシステムプログラムが予め書
き込まれている。
【0012】インターフェイス15は、制御装置100
に接続可能な外部機器のためのインターフェイスであ
り、フロッピーカセットアダプタ等の外部機器72が接
続される。外部機器72からは加工プログラム等が読み
込まれ、また、制御装置100内で編集された加工プロ
グラムを外部機器72を介してフロッピーカセット等に
記憶させることができる。
【0013】PMC(プログラマブル・マシン・コント
ローラ)16は、制御装置100に内蔵されたシーケン
スプログラムでNC旋盤側の補助装置、例えば、工具交
換用のロボットハンド等といったアクチュエータを制御
する。即ち、加工プログラムで指令されたM機能,S機
能およびT機能に従って、これらシーケンスプログラム
で補助装置側で必要な信号に変換し、I/Oユニット1
7から補助装置側に出力する。この出力信号により各種
アクチュエータ等の補助装置が作動する。また、NC旋
盤の本体に配備された操作盤の各種スイッチ等の信号を
受け、必要な処理をして、プロセッサ11に渡す。
【0014】NC旋盤の各軸の現在位置,アラーム,パ
ラメータ,画像データ等の画像信号はCRT/MDIユ
ニット70に送られ、そのディスプレイに表示される。
CRT/MDIユニット70はディスプレイやキーボー
ド等を備えた手動データ入力装置であり、インータフェ
イス18はCRT/MDIユニット70のキーボードか
らのデータを受けてプロセッサ11に渡す。インターフ
ェイス19は手動パルス発生器71に接続され、手動パ
ルス発生器71からのパルスを受ける。手動パルス発生
器71はNC旋盤の操作盤に実装され、手動操作に基く
分配パルスによる各軸制御でNC旋盤の刃物台を精密に
位置決めするために使用される。
【0015】NC旋盤の刃物台を移動させるX,Z各軸
の軸制御回路30〜31はプロセッサ11からの各軸の
移動指令を受けて、各軸の指令をサーボアンプ40〜4
1に出力する。サーボアンプ40〜41はこの指令を受
けて、NC旋盤の各軸のサーボモータ50〜51を駆動
する。各軸のサーボモータ50〜51には位置・速度検
出器が内蔵されており、この位置・速度検出器から位
置,速度フィードバック信号がフィードバックされる。
図1ではこれらの位置信号のフィードバックおよび速度
のフィードバックの説明は省略しているが、X軸の切込
み量の補正に関する補正値の加算処理を除けば、基本的
な位置,速度,電流ループの各処理は従来の制御装置お
よびNC旋盤のそれと同様である(図5参照)。
【0016】スピンドル制御回路60はNC旋盤への主
軸回転指令を受け、スピンドルアンプ61にスピンドル
速度信号を出力する。スピンドルアンプ61はこのスピ
ンドル速度信号を受けて、NC旋盤の主軸モータ62を
指令された回転速度で回転させ、チャック2で喰わえら
れたワーク3を回転駆動する。主軸モータ62には歯車
あるいはベルト等でポジションコーダ63が結合され、
該ポジションコーダ63が主軸の回転に同期して帰還パ
ルスを出力し、その帰還パルスはインターフェイス20
を経由してプロセッサ11によって読み取られる。
【0017】次に、ワーク3に対する最終仕上げ加工に
おいて切削誤差の補正を行う場合を例にとって、この実
施形態の作用原理を説明する。
【0018】既に作用の項でも述べた通り、本発明は、
切削工具となるバイト1がワーク3を押圧することによ
ってワーク3に生じる撓みを原因とする切削不足を解消
するためのものであるから、これを実施するためには、
まず最初に、切削状態でワーク3に生じる撓み量のデー
タを求めておく必要がある。
【0019】ここでいう撓みとは、加工プログラムに基
く通常の位置制御により設定された切込み量でバイト1
をワーク3の表面に突入させて切削加工を行おうとする
ときにワーク3に生じる撓みではなく、実際に設定切込
み量でワーク3を切削したときにバイト1の切込み方向
に作用する押圧力のためにワーク3に生じる撓みのこと
であり、これらの間には、以下に示す通りの差異があ
る。
【0020】つまり、設定された切込み量で例えば図2
のP0の位置でバイト1をワーク3の表面に突入させ、
その後、最終仕上げ形状の輪郭P0〜P8の加工経路に
沿ってバイト1を移動させたとしても、実際には、切削
時におけるバイト1の押圧力によりP0〜P8(Z軸位
置はz0〜z8)の各工具位置で図3に一点鎖線で示す
ような撓みα′が生じることになる。このα′が前記し
た“加工プログラムに基く通常の位置制御により設定さ
れた切込み量でバイト1をワーク3の表面に突入させて
切削加工を行おうとするときにワーク3に生じる撓み”
である。
【0021】この撓みにより、結果的に、ワーク3がバ
イト1の先端から逃げて、ワーク3の各位置でα′に相
当する切削不足が生じることになるが、加工プログラム
に基く通常の位置制御に加え、バイト1の各位置でα′
に相当する過剰切込みを入れて切削加工を行ったとして
も、それによって形成される仕上げ形状の寸法は、輪郭
P0〜P8で示されるような仕上げ寸法とは一致しな
い。
【0022】ワーク3の中央部、例えば、両端支持梁の
中央に相当するz5の位置ではワーク3が相当に撓みや
すい状態にあるため、加工プログラムに基く通常の位置
制御に加えα′に相当する過剰切込みを入れてワーク3
を押圧したとしても、この切込みを実際に入れるとワー
ク3がα′を越えて更に撓んでしまうため、設定切込み
量に相当するだけの切込みがワーク3に入らなくなるか
らである。
【0023】このような切削不足をなくすためには、
“実際に設定切込み量でワーク3を切削したときにバイ
ト1の切込み方向に作用する押圧力”に相当する力でワ
ーク3を押圧して切削加工を行わなくてはならない。無
論、NC旋盤による最終仕上げの輪郭加工は、その直前
の切削工程で加工されたワーク3の表面を基準とする倣
い制御によって切削加工を行うものではなく、最終的な
製品形状を得るための加工プログラムに基く位置制御に
従って行われるべきものであり、また、切込みの制御も
駆動トルク即ちバイト1の押圧力の制御によって行われ
るものではなく、飽くまで、位置制御によって行われる
べきものであるから、切削不足を解消するための補正値
も位置指令値として与えなければならない。
【0024】理論的には、“実際に設定切込み量でワー
ク3を切削したときにバイト1の切込み方向に作用する
押圧力”をバイト1に常に与えつつバイト1をZ軸方向
に移動させて切削加工を行えば、常にワーク3の表面か
ら設定切込み量分の切込みが与えられるはずであるが、
最終仕上げ加工によって得るべき形状および寸法は飽く
まで設計データに沿ったもの、つまり、P0〜P8で示
されるような加工プログラムの輪郭形状そのものでなけ
ればならず、荒加工や中仕上げ加工の工程で得られたワ
ーク3の形状に倣って拘束されるべきものではない。
【0025】つまり、加工経路の各位置でバイト1に与
えるべき過剰切込みの量は、正しく、“実際に設定切込
み量でワーク3を切削したときに工具1の切込み方向に
作用する押圧力のためにワーク3に生じる撓み量”であ
り、この過剰切込みによる補正動作によって初めて、ワ
ーク3の撓みによって生じる加工誤差の全てが解消され
るのである。
【0026】当然、“実際に設定切込み量でワーク3を
切削したときにバイト1の切込み方向に作用する押圧力
のためにワーク3に生じる撓み量”の値は、両端支持梁
状に保持されたワーク3上の各位置、つまり、工具経路
上のバイト1の各位置で相違するし、ワーク3の断面形
状(太さ)の変化による影響も受ける。
【0027】そこで、この実施形態においては、まず、
ワーク3またはワーク3と同等の材質を有する他のテス
トピースを用いて、“実際に設定切込み量でワーク3を
切削したときにバイト1の切込み方向に作用する押圧力
F”を求める。つまり、ワーク3またはワーク3と同等
の材質を有する他のテストピースを図2に示されるよう
な状態でチャック2および心押シ軸4に取り付け、主軸
を回転させながら、ワーク3またはテストピースに最も
撓みが生じにくい位置、例えば、z0の位置で、X軸の
サーボモータ50を位置制御で駆動してバイト1をワー
ク3またはテストピースに設定切込み量だけ突入させ、
このときにバイト1に作用する反力Fを、X軸のサーボ
モータ50の駆動電流として測定するのである。
【0028】つまり、測定されたFの値は、ワーク3ま
たはテストピースを撓ませない状態に保持してワーク3
またはテストピースに設定切込み量分の切込みを入れた
ときにバイト1の切込み方向に作用する押圧力であり、
この押圧力が、前記した“実際に設定切込み量でワーク
3を切削したときにバイト1の切込み方向に作用する押
圧力F”なのである。
【0029】そこで、次に、最終的に製品の寸法にまで
仕上げられたワーク3を用意し、z0〜z8の各位置に
バイト1を移動させ、X軸のサーボモータ50の駆動ト
ルクを押圧力Fに制限した状態で、前記各位置で手動パ
ルス発生装置71を操作し、バイト1を−xの方向に移
動させ、押圧力Fによって生じる撓みの量αをz0〜z
8の各位置で測定する。
【0030】例えば、X軸のサーボモータ50からの位
置帰還パルスを計数するカウンタを設け、その値を表示
するようにしておき、バイト1をワーク3から完全に退
避させた状態で手動パルス発生装置71のハンドルの定
速回転を開始してバイト1を−xの方向に移動させ、位
置帰還パルスを計数するカウンタの歩進ペースが鈍り始
めた時点、つまり、バイト1の先端がワーク3の表面に
当たった時点でのカウンタの値を記録し、更に、手動パ
ルス発生装置71のハンドルの回転を続け、これを行っ
てもカウンタの値が全く歩進されなくなった時点、つま
り、バイト1の押圧力Fによりワーク3が撓み切った時
点でのカウンタの値を読み、両者の差を求めるようにす
れば、押圧力Fによってワーク3に生じる撓みの量αを
測定することができる。
【0031】また、より精密な測定が必要であれば、バ
イト1をワーク3から完全に退避させた状態でワーク3
の下にダイヤルゲージを置き、プローブ先端をワーク3
の下面中央部付近に当ててその時の読みを記録し、更
に、前記と同様の操作によってワーク3が撓み切った状
態でダイヤルゲージの値を読み、両者の差を求めてワー
ク3に生じる撓みの量αを測定するようにすればよい。
【0032】工具経路上のバイト1の各位置の全てで満
遍なく撓み量αを測定するわけにはいかないので、ワー
ク3の断面形状の変化する位置等を含めて複数の測定点
を選択して各位置の撓み量αを測定し、非測定部分に関
しては、その直前直後の測定値から撓み量αを推定する
ようにする。ワーク3上のz0〜z8の各位置で撓み量
αを測定し、直線補間によって非測定部分の撓み量αを
推定した例を図3に実線で示す。
【0033】更に、この実施形態においてはCMOSメ
モリ14に図4に示すようなデータファイルを設け、ワ
ーク3における加工経路上のi=1〜jのzi-1 〜zi
の各区間における補間直線の傾きaiと撓み軸切片bi
とを記憶させ、後述する切削誤差補正処理において、z
軸方向におけるバイト1の現在位置がどの区間に属する
かに応じ、α=ai×〔z軸方向におけるバイト1の位
置〕+biの式により、過剰切込みの補正値αを求める
ようにしている。各区間における補間直線の傾きaiと
撓み軸切片biの値は、2点を通る直線の方程式により
容易に求めることができ、当然、〔測定位置のz軸成
分,該位置における撓みαの測定結果〕の組を測定点の
個数だけ入力することにより、制御装置100の内部処
理でaiおよびbiの値を求めてデータファイルを自動
作成することが可能である。
【0034】図6は、このようにして作成したデータフ
ァイルに基き、最終仕上げ加工の段階でプロセッサ11
が実施する切削誤差補正処理の概略を示すフローチャー
トであり、この処理は、プロセッサ11の位置ループ処
理周期毎に繰り返し実行される。この最終仕上げ加工で
切削するワーク3は、当然、荒加工もしくは中仕上げ加
工終了後最終仕上げ加工前のワーク3であり、前述の製
品形状にまで加工されたワーク3ではない。
【0035】切削誤差補正処理を開始したプロセッサ1
1は、まず、バイト1を移動させる加工プログラムの速
度指令および移動指令に基き、従来と同様のパルス分配
処理を実施してX,Z各軸方向のパルス分配量Δx,Δ
z(図5参照)を求め(ステップS1)、z軸現在位置
を記憶する現在値記憶レジスタA(z)にz軸方向の分
配量Δzを加算して、この移動指令によってバイト1が
移動する移動先のz軸座標を記憶させる(ステップS
2)。なお、最終仕上げ加工の開始位置のZ軸座標z0
は、最終仕上げ加工の実行開始時点で自動的に補正実行
位置記憶レジスタB(z)に格納され、また、補正量積
算レジスタA(α)の値は、この段階で自動的に零に初
期化されるものとする。
【0036】次いで、プロセッサ11は、現在値記憶レ
ジスタA(z)の値から補正実行位置記憶レジスタB
(z)の値を減じ、前回の処理で切込み量を補正したと
きのZ軸位置から当該処理周期で出力される分配パルス
によるバイト1の移動先までの距離|A(z)−B
(z)|を求め、この移動距離が補正実行ピッチP(設
定値)に達しているか否かを判別する(ステップS
3)。
【0037】つまり、この実施形態においては、バイト
1のZ軸方向の移動がある程度の量に達し、ワーク3の
撓みの変化が問題となるような時点で初めて過剰切込み
量の補正を行うようにしており、この移動量|A(z)
−B(z)|が補正実行ピッチPに達するまでの間は、
従来と同様、ステップS1の処理で求められた分配パル
スΔx,Δzをそのまま出力して(ステップS13)、
各軸の軸制御開路30,31およびサーボアンプ40,
41によりX,Z各軸のサーボモータ50,51を制御
して(図5参照)、バイト1(刃物台)の移動のための
補間動作を行わせる。
【0038】但し、分配パルスΔx,Δzの移動指令は
インクリメンタル量であるから、最終仕上げ加工の開始
位置z0からz0+Pの区間(最初の過剰切り込みの補
正が行われるまでの区間)を除けば、バイト1の移動軌
跡は必ずしも加工プログラムによる加工経路と一致する
わけではない。過剰切り込みの補正が既に何度か行われ
ている場合においては、当然、バイト1の移動軌跡は、
加工プログラムによって決まる移動軌跡に対し、撓みの
方向(−xの方向)にオフセットされたかたちとなる。
いうまでもなく、補正実行ピッチPは、測定点間の距
離、例えば、z0−z1間の距離に比べ、遥かにオーダ
ーが小さい。
【0039】ステップS1〜ステップS3およびステッ
プS13の処理を繰り返し実行する間に、前回の補正操
作を行った位置B(z)から次のバイト1の移動先A
(z)までのZ軸移動量が補正実行ピッチPに達し、ス
テップS3の判別結果が真となると、プロセッサ11
は、区間検索指標iを一旦初期化した後(ステップS
4)、その値を1インクリメントして最初の区間を示す
値i(=1)に合わせ(ステップS5)、図4に示すよ
うなデータファイルから該区間iの始点および終点に対
応するX軸座標zi-1 およびzi を読み込み、バイト1
の移動先A(z)が該区間i内にあるか否かを判別する
(ステップS6)。
【0040】そして、バイト1の移動先A(z)がこの
区間iに含まれていなければ、プロセッサ11は、バイ
ト1の移動先A(z)を含む区間iが検出されるまでの
間、前記と同様にしてステップS5およびステップS6
の処理を繰り返し実行し、バイト1の移動先A(z)を
含む区間iを求める。
【0041】次いで、プロセッサ11は、区間検索指標
iの値に基き該区間iに対応して記憶された補間直線の
傾きaiと撓み軸切片biとを図4に示すようなデータ
ファイルから読み込み(ステップS7)、これらの値と
バイト1の移動先A(z)の値に基いてα=ai×A
(z)+biの式により、バイト1の移動先A(z)の
位置に対応する撓みα、つまり、過剰切込みの補正量α
を求める(ステップS8)。
【0042】この値αは、図3からも明らかなように、
ワーク3に撓みが生じていない状態を零としたときの絶
対量であり、一方、移動指令のΔxは位置ループの処理
周期毎にインクリメンタル量で与えられるようになって
いるから、バイト1の移動先A(z)において絶対的な
補正量α(要するに加工プログラムに対するオフセット
量)を得るための補正量Δαをインクリメンタル量とし
て求め直す必要がある。
【0043】そこで、プロセッサ11は、バイト1の移
動先A(z)の位置に対応する撓みαの値から補正量積
算レジスタA(α)の値を減じ、この段階で新たに出力
すべき補正量Δα、つまり、あとΔαだけ移動指令を出
力すれば総合的な補正量が撓みαに一致するというΔα
の値を求め(ステップS9,図5におけるブロック10
0の処理)、ステップS1の処理で求めたX軸方向の分
配量ΔxにΔαを加算し、X軸移動指令Δxとして再記
憶する(ステップS10)。結果的に、このX軸移動指
令ΔxとステップS1で求めたZ軸方向の分配量Δzに
よりバイト1の刃物台を駆動すれば、バイト1は各位置
における製品形状の輪郭のX軸座標に前記各位置毎の補
正量αを加えて形成される移動軌跡に沿って移動するこ
とになり、ワーク3の撓みによる切削不足は全て解消さ
れることになる。
【0044】切削不足の補正に必要とされるX軸移動指
令Δxを求めたプロセッサ11は、更に、補正量積算レ
ジスタA(α)に今回算出したΔαの値を加算して補正
量の総和を更新し(ステップS11)、移動先A(z)
の位置を補正実行位置として補正実行位置記憶レジスタ
B(z)に更新記憶する(ステップS12)。
【0045】次いで、プロセッサ11は、補正処理を行
わなかった場合と同様、分配パルスΔx,Δzを出力し
て(ステップS13)、各軸の軸制御開路30,31お
よびサーボアンプ40,41によりX,Z各軸のサーボ
モータ50,51を制御して(図5参照)、バイト1の
移動のための補間動作を行わせる。
【0046】以下、プロセッサ11は、位置ループの処
理周期毎に前記と同様の処理操作を繰り返し実行し、結
果的に、バイト1がZ軸方向に補正実行ピッチPだけ移
動する毎にバイト1の切込みがΔαだけ補正され、改め
てバイト1がZ軸方向に補正実行ピッチPだけ移動する
までの間、バイト1は、加工プログラムで決まる加工経
路をワーク3の撓み方向にαだけオフセットした移動経
路に沿って移動することになる。
【0047】従って、補正実行ピッチPの区間内では撓
みαの変化が無視されることになるが、既に述べた通
り、補正実行ピッチPは、測定点間の距離のオーダーに
比べて遥かに小さなオーダーで設定されているので、こ
の区間内で撓みαの変化を無視したところで実質的な問
題はない。
【0048】以上、一実施形態として、補間直線の傾き
aiと撓み軸切片biとをデータファイルに記憶させて
おいてバイト1の移動先位置に対応する補正量αを求
め、この補正量αとそれまでの補正量の積算値A(α)
との差からインクリメンタル量として出力すべき補正値
Δαを求めるようにしたものについて述べたが(ステッ
プS8,ステップS9)、加工経路上の区間zi-1 〜z
i の各々に対応させて補正実行ピッチPに対応するイン
クリメンタル補正値Δαiを予め求めてデータファイル
に記憶させておくようにし(図4参照)、このデータフ
ァイルを参照して切込み量の補正を行うようにすること
も可能である。要するに、補正値Δαiは補正実行ピッ
チPを単位として各区間毎の撓みの変化量を示す値であ
る。
【0049】補正値Δαiを記憶したデータファイルを
用いて切込みの補正を行う場合は、図6におけるステッ
プS7〜ステップS11の処理に代えて、Δαiの読み
込み処理(ステップS7〜ステップS9およびステップ
S11に代わる処理)と、Δx←Δx+Δαiの処理
(ステップS10に代わる処理)とを実施するようにす
ればよい。
【0050】但し、この場合は、バイト1が補正実行ピ
ッチPを移動するに必要とされる所要時間が位置ループ
制御の処理周期の整数倍になるといった保証はなく、バ
イト1が補正実行ピッチPをかなり越えて移動してか
ら、これに遅れて補正値Δαiの出力が行われるといっ
た場合もあり、精度の点で前述の実施形態よりも劣るの
は仕方のないところである。
【0051】無論、前述した実施形態においてもバイト
1が補正実行ピッチPを移動するに必要とされる所要時
間が位置ループ制御の処理周期の整数倍になるといった
保証はないが、前述の実施形態では、バイト1の移動先
位置に対応する補正量αを求め、この補正量αからそれ
までの補正量の積算値A(α)を減じた値を補正値Δα
として出力するようにしているので、移動所要時間と処
理周期との不一致による補正誤差は補正値Δα自体によ
り解消され、補正誤差が累積されるといった問題はな
い。
【0052】以上の実施形態においては本発明を旋盤加
工に適用する場合についてのみ説明したが、本発明は、
従来からあるバランスカット機能のように切削力による
ワークの撓みを規制することで加工誤差をなくすもので
はなく、切削力によりワークを自然な状態に撓ませ、更
にこの撓みに相応する分の過剰切込みを加えることによ
って加工誤差をなくすものであるから、旋盤加工の他、
フライス盤や研削盤による加工、つまり、ワークを片側
のみから削るような加工に対しても適用することができ
る(フライス盤や研削盤による加工では、テーブルとの
間の接地性や寸法精度の向上のためにワークの下面に足
を残したままワークをテーブル上に固定した状態で切削
加工を行ったり、箱状のワークを裏返して切削加工を行
ったりする場合があるので、ワークに撓みが生じる可能
性があり、これを解消する必要が生じる場合もある)。
【0053】
【発明の効果】本発明の切削誤差補正方法によれば、仕
上げ段階においてワークに深い切込みを入れてもワーク
の撓みによる加工誤差が生じることがないため、短い加
工所要時間と十分な寸法精度とを両立して実現すること
ができる。
【0054】また、従来からあるバランスカット機能の
ようにその用途が旋盤に限定されることなく、フライス
加工や検索加工等のようにワークを片側からだけ削る加
工に対してもワークの撓みによる加工誤差を解消するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】NC工作機械を駆動制御する制御装置の要部を
示す機能ブロック図である。
【図2】工作機械としてのNC旋盤の要部を示す概念図
である。
【図3】加工経路上のZ軸位置と撓み量との関係を示す
概念図である。
【図4】ワークを押圧したときに生じるワークの撓み量
を加工経路上の工具位置に対応させて記憶するデータフ
ァイルの一例を示す概念図である。
【図5】一実施形態における位置制御の概略を示した機
能ブロック図である。
【図6】同実施形態における切削誤差補正処理の概略を
示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 バイト(切削工具) 2 チャック 3 ワーク 4 心押シ軸 11 プロセッサ 12 ROM 13 RAM 14 CMOSメモリ 15 インターフェイス 16 プログラマブル・マシン・コントローラ 17 I/Oユニット 18,19,20 インターフェイス 21 バス 30,31 軸制御回路 40,41 サーボアンプ 50,51 サーボモータ 60 スピンドル制御回路 61 スピンドルアンプ 62 主軸モータ 70 CRT/MDIユニット 71 手動パルス発生器 72 フロッピーカセットアダプタ 100 制御装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 設定切込み量でワークを切削したときに
    工具の切込み方向に作用する押圧力を求め、該押圧力に
    より加工経路上の各工具位置でワークを押圧したときに
    生じるワークの撓み量を加工経路上の各工具位置に対応
    させて予め測定記憶しておき、同一ワークの加工に際
    し、工具位置に応じて前記記憶した撓み量に相当する分
    の過剰切込みを加えることで加工済ワークの寸法精度を
    確保することを特徴としたNC工作機械における切削誤
    差補正方法。
  2. 【請求項2】 加工経路上の複数の工具位置を測定点と
    して工具の押圧力によって生じるワークの撓み量を求
    め、各測定点におけるワークの撓み量のデータを補間し
    て各測定点間の各位置における加工経路上のワークの撓
    み量を推定することを特徴とした請求項1記載のNC工
    作機械における切削誤差補正方法。
  3. 【請求項3】 ワークの断面積が不連続的に変化する加
    工経路上の工具位置を測定点として工具の押圧力によっ
    て生じるワークの撓み量を求め、各測定点におけるワー
    クの撓み量のデータを補間して各測定点間の各位置にお
    ける加工経路上のワークの撓み量を推定することを特徴
    とした請求項2記載のNC工作機械における切削誤差補
    正方法。
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