JPH09150255A - 金型キャビティ表面への冷却剤噴霧方法および噴霧装置 - Google Patents

金型キャビティ表面への冷却剤噴霧方法および噴霧装置

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JPH09150255A
JPH09150255A JP7306184A JP30618495A JPH09150255A JP H09150255 A JPH09150255 A JP H09150255A JP 7306184 A JP7306184 A JP 7306184A JP 30618495 A JP30618495 A JP 30618495A JP H09150255 A JPH09150255 A JP H09150255A
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JP
Japan
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mold cavity
temperature
cooling air
spraying
liquid agent
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Pending
Application number
JP7306184A
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English (en)
Inventor
Yoshinari Murakami
工成 村上
Hideo Yoneya
秀夫 米屋
Akira Hirata
章 平田
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型キャビティ表面の細かい割れを防止し、
よって金型の寿命を長くする。 【解決手段】 金型キャビティ表面に液状剤を噴霧する
に際し、前記金型キャビティ表面温度が所定温度に降下
するまでの第1段階の噴霧工程では冷却空気を噴霧し、
液状剤が金型キャビティ表面に付着し易い所定温度まで
降温した後、第2段階の噴霧工程で離型剤としての噴霧
するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種鋳造用の金型キ
ャビティ表面の割れ防止を行なうための冷却剤噴霧方法
および噴霧装置であって、特に、金型キャビティ表面を
冷却空気による第1段階の噴霧工程冷却で所定温度まで
徐冷し、引続く第2段階の噴霧工程で離型剤としての液
状剤を噴霧するようにした金型キャビティ表面への冷却
剤噴霧方法および噴霧装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、成形機例えばダイカストマシン
では、型締、鋳込みを行なう前の型開状態になった度ご
とに、金型からの鋳込み製品の型離れをよくするために
離型剤を噴霧したり、溶融金属との接触で高温となる金
型キャビティ表面を冷却するために冷却水などを噴霧す
ることが行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これら離型剤ないしは
冷却水を金型キャビティ表面等へ噴霧する際は、1回の
噴霧の中で噴霧し始めて噴霧し終るまで、単位時間当り
の噴霧量を常に一定にし、かつ液滴状にして吹き付けて
いた。そのため、図10に点線で示すように、金型キャ
ビティ表面は噴霧開始当初より急冷され、その結果、図
16に点線で示すように、金型キャビティ表面の近傍に
は急冷によって急に大きな引張応力が発生しやすく、金
型の使用開始初期の段階で金型キャビティ表面にヘアク
ラックと呼ばれる細かい割れが発生し、これが徐々に成
長し、ついには大きな割れとなって使用不能になるか、
あるいは、細かい割れであっても鋳放しで使用する鋳物
については、初期の段階で使用不可能になることがあっ
た。
【0004】そこで、こうした問題点を解決すべく、特
開平06−142874号公報のように、まず、上下の
可動金型13と固定金型12を型開きしている状態でア
ーム22を伸張して噴霧装置21を金型12、13の間
に装入し、ノズル孔から冷却水を金型キャビティ11の
表面へ霧状にしてまず噴霧を行なう。つぎに、冷却水か
ら離型剤に切換え、離型剤を金型キャビティ11の表面
に噴霧する2段階制御方式で行なう。金型キャビティ1
1の表面温度が離型剤の最も付着しやすい温度まで冷却
された時点で、離型剤を圧縮空気によって噴霧径の大き
い液滴状態にて金型キャビティ11の表面に噴霧する。
そのために、金型キャビティ11の表面に発生する引張
応力が小さくなり、割れを防止できるようにしたもので
ある。しかしながら、第1段階で少量の液状剤を霧状に
して噴霧する、いわゆる予備的な冷却効果を期待するに
しても金型キャビティ表面の温度低下は急激に起こり、
依然として金型キャビティ表面では大きな引張応力が発
生するため、ヘアクラックと呼ばれる細かい割れが発生
し易いという問題は依然として解消されていない。
【0005】本発明の目的は、上記従来の問題点に着目
し、金型キャビティ表面の細かい割れを防止し、よって
金型の寿命を長くすることのできるようにした金型キャ
ビティ表面への冷却剤噴霧方法および噴霧装置を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る第1の発明では、金型キャビティ表面
に液状剤を噴霧するに際し、前記金型キャビティ表面温
度が所定温度に降下するまでの第1段階の噴霧工程では
冷却空気を噴霧し、液状剤が金型キャビティ表面に付着
し易い所定温度まで降温した後、第2段階の噴霧工程で
液状剤としての離型剤を噴霧するようにし、第1の発明
を主体とする第2の発明では、第1段階の噴霧工程にお
いて、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧する前に前
記金型キャビティ温度を測定し、測定した前記表面温度
が所定温度より高く、かつ前記表面温度と所定温度との
温度差が大きいときは、温度差に応じて冷却空気を増量
した状態で噴霧するようにした。また、第1の発明を主
体とする第3の発明では、第1段階の噴霧工程におい
て、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧する前に前記
金型キャビティ表面温度を測定し、測定した金型キャビ
ティ表面温度が所定温度より高く、かつ金型キャビティ
表面温度と所定温度との温度差が小さいときは、温度差
に応じて冷却空気を減量した状態で噴霧するようにし、
第1の発明を主体とする第4の発明では、第1段階の噴
霧工程において、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧
する前に前記金型キャビティ表面温度を測定し、測定し
た金型キャビティ表面温度が所定温度より低いときは、
金型キャビティへの冷却空気の噴霧を中止するようにし
た。第1の発明を主体とする第5の発明では、金型キャ
ビティ表面を冷却空気噴霧量Q、冷却空気噴霧ノズルと
液状剤噴霧ノズル間の距離L、噴霧装置移動速度Vおよ
び液状剤噴霧量W等の変数の組合せによって所望する温
度まで降温させるに際し、金型キャビティ表面に冷却空
気を噴霧する前に金型キャビティ表面温度を測定し、測
定した金型キャビティ表面温度が所定温度より高いとき
は、前記距離L、噴霧装置移動速度Vおよび液状剤噴霧
量Wを一定のまま冷却空気噴霧ノズルから金型キャビテ
ィ表面へ噴霧される冷却空気によって所定温度以下に降
温させ、金型の保有熱によって再度前記所定温度に温度
復帰するまでの所定温度以内降下時間tdを予め計算に
よって算出し、この算出された時間tdの長さに応じて
冷却空気噴霧量Qを増加させるようにした後、冷却空気
の噴霧に引続き液状剤を噴霧するようにし、逆に測定し
た金型キャビティ表面温度が所定温度より低いときは、
金型キャビティ表面への冷却空気の噴霧を中止したまま
所定量の液状剤のみを液状剤噴霧ノズルから金型キャビ
ティ表面へ噴霧するようにし、第5の発明を主体とする
第6の発明では、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧
する前に金型キャビティ表面温度を測定し、測定した金
型キャビティ表面温度が所定温度より高いときは、前記
変数の冷却空気噴霧量Q、噴霧装置移動速度Vおよび液
状剤噴霧量Wを一定のまま冷却空気噴霧ノズルから金型
キャビティ表面へ噴霧される冷却空気によって所定温度
以下に降温させ、金型の保有熱によって再度前記所定温
度に温度復帰するまでの所定温度以内降下時間tdを予
め計算によって算出し、この算出された時間tdの長さ
に応じて冷却空気噴霧ノズルと液状剤噴霧ノズル間の距
離Lを変化するようにした後、冷却空気の噴霧に引続き
液状剤を噴霧するようにし、逆に測定した金型キャビテ
ィ表面温度が所定温度より低いときは、金型キャビティ
表面への冷却空気の噴霧を中止したまま所定量の液状剤
のみを液状剤噴霧ノズルから金型キャビティ表面へ噴霧
するようにした。さらに、第5の発明を主体とする第7
の発明では、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧する
前に金型キャビティ表面温度を測定し、測定した金型キ
ャビティ表面温度が所定温度より高いときに、前記冷却
空気噴霧量Q、冷却空気噴霧ノズルと液状剤噴霧ノズル
間の距離Lおよび液状剤噴霧量Wを一定のまま冷却空気
噴霧ノズルから噴霧される冷却空気によって所定温度以
下に降温させ、金型の保有熱によって再度前記所定温度
に温度復帰するまでの所定温度以内降下時間tdを予め
計算によって算出し、この算出された時間tdの長さに
応じて噴霧装置移動速度Vを適宜変化するようにした
後、冷却空気の噴霧に引続き液状剤を噴霧するように
し、逆に測定した金型キャビティ表面温度が所定温度よ
り低いときは、金型キャビティ表面への冷却空気の噴霧
を中止したまま所定量の液状剤のみを液状剤噴霧ノズル
から金型キャビティ表面へ噴霧するようにし、第5の発
明を主体とする第8の発明では、金型キャビティ表面に
冷却空気を噴霧する前に金型キャビティ表面温度を測定
し、測定した金型キャビティ表面温度が所定温度より高
いときは、前記冷却空気噴霧量Q、冷却空気噴霧ノズル
と液状剤噴霧ノズル間の距離Lおよび噴霧装置移動速度
Vを一定のまま冷却空気噴霧ノズルから噴射される冷却
空気によって所定温度以下に降温させ、金型の保有熱に
よって再度前記所定温度に温度復帰するまでの所定温度
以内降下時間tdを予め計算によって算出し、この算出
された時間tdの長さに応じて引続く液状剤噴霧量Wを
予め算出した後、所定量の冷却空気の噴霧に引続き液状
剤を噴霧するようにし、逆に測定した金型キャビティ表
面温度が所定温度より低いときは、金型キャビティ表面
への冷却空気の噴霧を中止したまま所定量の液状剤の噴
霧量Wのみを予め計算によって算出するようにし、冷却
空気の噴霧に引続き液状剤を噴霧するようにした。第9
の発明では、温度検出器、冷却空気噴霧ノズル、液状剤
噴霧ノズルから構成された噴霧装置において、冷却空気
噴霧ノズルを中心に位置させ、冷却空気噴霧ノズルの周
辺を液状剤噴霧ノズルが公転可能に配設するとともに、
噴霧装置全体を同一面上を回転自在とし、第9の発明を
主体とする第10の発明では、噴霧装置を常に前記順番
に保持させた状態で金型キャビティ表面上に予め設定さ
れた噴霧ルートに沿って金型キャビティ表面を移動可能
な構成にした。
【0007】
【発明の実施の形態】噴霧初期においては、例えば、離
型剤が付着しやすくなる温度である200〜250℃ま
で金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧して徐冷し、金
型キャビティ表面が所定温度以下まで冷却された後は冷
却空気から液状剤に切換えて金型キャビティ表面に噴霧
して金型キャビティ表面温度を降温させるようにしたの
で、金型キャビティ表面にヘアクラックの発生が防止さ
れるとともに、離型剤を充分に付着させることができ
る。
【0008】
【実施例】以下に、本発明に係る金型キャビティ表面へ
の冷却剤噴霧方法および噴霧装置を図面を参照して詳細
に説明する。
【0009】本実施例は本発明を竪型締竪射出型のダイ
カストマシンに実施した例を示し、図1はこれを実施し
たダイカストマシンの一部破断正面図、図2は噴霧装置
の切断断面図、図3は噴霧装置による金型キャビティ表
面による冷却剤の噴霧状態を示す説明図、図4は噴霧ル
ートの代表例を示した金型キャビティ表面の平面図、図
5は噴霧装置の平面図、図6は温度検出器、冷却空気噴
霧ノズル、液状剤噴霧ノズルの軌跡を示す説明図、図7
は金型キャビティ表面の定点に対する冷却空気噴霧ノズ
ルの移動速度との相関関係を示す概要図、図8は図7の
状態下で得られた金型キャビティ表面の降温状態を示す
説明図、図9は冷却空気噴霧ノズルと液状剤噴霧ノズル
間の距離Lの変化を示す説明図、図10は金型キャビテ
ィ表面温度の経時変化を示す線図、図11はL、V、W
を一定のままQを変化するようにした場合のフローチャ
ート、図12はQ、V、Wを一定のままLを変化するよ
うにした場合のフローチャート、図13はQ、L、Wを
一定のままVを変化するようにした場合のフローチャー
ト、図14はQ、L、Vを一定のままWを変化するよう
にした場合のフローチャート、図15は温度検知器数を
増加させて測定した場合のフローチャート、図16は液
状剤噴霧によって生じる金型キャビティ表面引張応力の
経時変化を示す線図である。
【0010】まず、図1においてピット1の周辺に脚部
を支持された固定盤2の4隅には、コラム3がナット4
で固定されて立設されており、コラム3の上端部に固定
盤2と対向してナット5で固定されたシリンダ用固定盤
6の中心部には、型締シリンダ7が固定されている。8
は4隅をコラム3に摺動自在に支持された可動盤であっ
て、型締シリンダ7のピストン9に固定されており、型
締シリンダ7に圧油を導くことにより可動盤8が昇降す
るように構成されている。
【0011】固定盤2と可動盤8とには、分割面10を
境にして上下に分割されるキャビティ11を有する固定
金型12と可動金型13とがそれぞれ対向して装着され
ており、可動盤8の昇降によって型締、型開されるよう
に構成されている。
【0012】一方、ピット1底部のベース上に固定され
たシリンダブラケット14には、竪鋳込ユニット15の
射出シリンダ16が回動自在に枢支されており、これに
導入される油圧によって昇降するプランジャ17の頭部
であるプランジャチップ17aは、円筒状の鋳込スリー
ブ18に昇降自在に嵌合されている。19は鋳込スリー
ブ18を射出シリンダ16に対して昇降自在に取付けた
フレーム、20は射出シリンダ16を傾転させるための
シリンダであり、射出シリンダ16はシリンダ16等の
作用で、図1に実線で示した位置と2点鎖線で示した位
置との間で移動可能に設けられている。
【0013】次に、金型キャビティ表面11に噴霧する
冷却空気および液状剤としての離型剤の噴霧装置21に
ついて述べる。図2において噴霧装置21は温度検知器
25、冷却空気噴霧ノズル27、液状剤噴霧ノズル2
8、冷却空気噴霧ノズル用シリンダ29、液状剤噴霧ノ
ズル用第1シリンダ30、液状剤噴霧ノズル用第2シリ
ンダ31、囲繞箱32、保持箱33、モータ34、第1
歯車35、第2歯車36および軸受37から構成されて
いる。
【0014】外形が円柱状を有しかつ内部が空洞となっ
ている囲繞箱32の中心部には、下方から上方に向かっ
て、保持箱33、支持柱40、冷却空気噴霧ノズル用シ
リンダ29、冷却空気噴霧ノズル27が重畳的に配設さ
れている。保持箱33と支持柱40は図示しないボルト
等によって取着されており、保持箱33の内部に設けら
れた図示しないモータによって支持柱40が回動自在と
なっている。該支持柱40は囲繞箱32の下板38Bの
中央部で固着されるとともに、該支持柱40の先端部に
は冷却空気噴霧ノズル用シリンダ29が取外自在に取着
されており、前記冷却空気噴霧ノズル用シリンダ29の
ピストンロッド29aの先端部には冷却空気噴霧ノズル
27が固着されている。さらに該冷却空気噴霧ノズル用
シリンダ29が囲繞箱32の内部に図示しないボルト等
によって固定されていることから、前記モータの回動に
よって囲繞箱32も同時回動可能となっている。
【0015】支持柱40の細径部40aには軸受37が
装着され、さらに前記軸受37の外周面に第2歯車36
が嵌合されており、前記細径部40aに対して相対動可
能になっている。また、第2歯車36の上面には断面が
L字型の支持板41が固着され、該支持板41の側面に
は液状剤噴霧ノズル用第1シリンダ30が取着されてい
る。前記液状剤噴霧ノズル用第1シリンダ30のピスト
ンロッド30aの先端部には横置き状態を呈したまま液
状剤噴霧ノズル用第2シリンダ31が固着され、該液状
剤噴霧ノズル用第2シリンダ31のピストンロッド31
aの先端部には前記冷却空気噴霧ノズル27と同一方向
の軸線を有する液状剤噴霧ノズル28が固着されてい
る。
【0016】一方、モータ34には第1歯車35が装着
され、さらに第1歯車35と第2歯車36とが噛合して
いることからモータ34を回動すると、液状剤噴霧ノズ
ル28は囲繞箱32の上板38Aに冷却空気噴霧ノズル
27を中心にして開口された環状溝42に沿って冷却空
気噴霧ノズル27の周辺を公転可能となっている。ま
た、冷却空気噴霧ノズル27と液状剤噴霧ノズル28は
共にピストンロッド29a、30aの伸縮によって、冷
却空気噴霧ノズル27、液状剤噴霧ノズル28と金型キ
ャビティ表面11間の距離が接離自在となっている。
【0017】この噴霧装置21は図3に示す如く多関節
型ロボット45のアーム22の先端の傾転部44に取着
されている。そして、前記傾転部44が矢印の方向へ傾
転自在であり、かつアーム22の軸中心にして矢印の方
向へ回動自在となっていることから噴霧装置21を固定
金型12または可動金型13の金型キャビティ表面11
に対して対応自在であり、図4(1)または図4(2)
に示すような金型キャビティ表面11への冷却空気また
は離型剤の噴霧時の噴霧ルートに対しても、噴霧装置2
1をアーム22先端の傾転部44に取着したまま、固定
金型12と可動金型13間に横方向から前後進ならびに
左右移動さらには上下移動自在にコラム3間から介在さ
せたまま冷却空気または離型剤を上下金型キャビティ表
面11に均一かつ充分に吹付けられるようになってい
る。
【0018】前記冷却空気噴霧ノズル27の先端から金
型キャビティ表面11に噴霧される冷却空気は図示しな
い冷却装置にて所望温度(−20〜−30℃)まで冷却
された例えば圧力5Kg/cm2 のものであり、冷却空
気噴霧ノズル27の先端から噴霧されるようになってい
る。他方、液状剤噴霧ノズル28から噴霧される液状剤
すなわち離型剤の噴霧用媒体として1〜9Kg/cm2
の圧縮空気が用いられ、液・気相混合流を形成して離型
剤の噴霧液滴径の小さい霧状から液滴径の大きい液滴状
にわたって制御可能となっている。
【0019】前記したような離型剤としては一般的に黒
鉛系のものが使用されている。また、金型キャビティ表
面11に冷却空気または離型剤などの冷却剤を噴霧する
場合前もって噴霧ルートの形成を行なうが、このとき竪
鋳込ユニット15から金型キャビティ内に最初に射出さ
れる場所が溶湯温度の影響を受けて最も金型温度が高く
なることから、このような金型温度の高い場所から冷却
剤の噴霧を開始することが望ましい。
【0020】例えば、図4(1)は金型中心部の鋳込口
から溶湯が鋳込まれる金型であり、金型中心部の鋳込口
から高温の溶湯が鋳込まれるため他の箇所よりこの鋳込
口近傍が最も温度が高くなるいわゆる金型中心部が高く
金型の外側に向かって低下する山型の温度分布となり、
冷却空気または離型剤等の冷却剤の噴霧開始点を鋳込口
近傍として渦巻き状の噴霧ルートに沿って金型の外側方
向へと噴霧しながら行なうことがよい。また、渦巻きの
形については、何ら限定されるものではなく、また、冷
却空気の噴霧ルートと離型剤の噴霧ルートとがまったく
同一のルートを通るといった厳密性の必要もないことか
ら、例えば冷却空気の噴霧ルート近傍を離型剤の噴霧ル
ートとしてもよい。なお、金型キャビティ表面11の表
面温度が全体的に均一であり温度分布がほとんどない場
合は、図4(2)に示すような噴霧ルートに従って行な
うことが望ましい。
【0021】前述したように、いかなる噴霧ルートであ
ろうとも、本発明のような噴霧装置21を用いると、図
5および図6に示すように温度検出器25、冷却空気噴
霧ノズル27、液状剤噴霧ノズル28の順番どおりに噴
霧ルートに沿って進行することが可能となるのである。
また、温度検出器25による噴霧ルート上の温度測定点
は連続的に行なうのではなく、不連続的に予め最初に決
められた測定点のみの測定温度とする。
【0022】このように構成された本発明の噴霧装置に
おける動作を説明する。
【0023】まず、本実施例における金型キャビティ表
面11の初期温度Tiとは、製品を繰り返して製造する
過程のにおける金型キャビティ空間への溶湯鋳込開始前
の状態を示し、定常状態下では溶湯温度もほぼ一定であ
ることから金型キャビティ表面11の温度もほぼ一定と
なっている。
【0024】本発明では、最初に冷却剤として冷却空気
を金型キャビティ表面11へ噴霧し、引続き離型剤を噴
霧することを特徴としているが、冷却空気の冷却能が小
さいことから次のような問題点が提起された。すなわ
ち、図7に示す如く可動金型13上に定点Pnを定め、
一定距離離間した状態下で一定量の冷却空気を噴霧しつ
つ冷却空気噴霧ノズル27を一定の移動速度Vで一定距
離Lを矢印の方向へX、Y、Zと移動させると、定点P
nの金型キャビティ表面温度Tの降温状態変化は図8に
示すようになる。
【0025】すなわち、定点Pnを通過する際、定点P
nに対して冷却空気噴霧ノズル27が次第に近づくと、
最初金型キャビティ表面11の温度Tiから冷却空気噴
霧ノズル27から噴霧される冷却空気の影響を受けて一
旦離型剤が金型キャビティ表面11に付着し易いいわゆ
る所定温度To以下まで降温するものの、引続く液状剤
噴霧ノズル28から噴霧される離型剤の冷却能の影響を
受けるまでに再度前記所定温度Toに温度復帰するまで
の所定温度以内降下時間td(=L/V)が所望時間確
保されることが望ましい。このとき、冷却空気噴霧ノズ
ル27が定点Pnに対してX、Yと移動するに従って次
第に近づくことから冷却空気の影響で急速に降温する
が、Y、Zと移動するに従って次第に遠ざかることから
冷却空気の影響が次第に小さくなるとともに金型の保有
熱によって急速に温度回復するのである。
【0026】こうして得られた所定温度以内降下時間t
dが小さいと金型キャビティ表面11の温度が充分に冷
却されない内に引続く液状剤噴霧ノズル28から噴霧さ
れる離型剤による冷却能の影響を強く受けることにな
り、金型が強い温度履歴を受けることから金型キャビテ
ィ表面11に細かい割れが生じ易くなるのである。逆
に、所定温度以内降下時間tdが大きいと金型キャビテ
ィ表面11の温度が充分に冷却された後、引続く液状剤
噴霧ノズル28から噴霧される離型剤による冷却能の影
響を強く受けることになり、金型が予め冷却能の小さい
冷却空気によって所望の温度まで降温されていることか
ら、温度履歴を受け難く金型キャビティ表面11に生じ
る細かい割れが防止されるのである。
【0027】また、本実施例では、金型キャビティ表面
11の温度を所望温度まで熱履歴を余り受けずに降温さ
せ、かつ離型剤を効率よく付着させるには、主として次
のような関係因子が考えられる。すなわち、冷却空気噴
霧ノズル27から噴霧される冷却空気噴霧量Q、冷却空
気噴霧ノズル27と液状剤噴霧ノズル28間の距離L、
噴霧装置移動速度Vおよび液状剤噴霧ノズル28から噴
霧される液状剤噴霧量W等がある。ただし、冷却空気噴
霧ノズル27および液状剤噴霧ノズル28と金型キャビ
ティ表面11間の距離については変数として考慮せず一
定として実験を行なった。
【0028】〔実施例1〕実施例1の実験では、図11
に示す如く冷却空気噴霧ノズル27と液状剤噴霧ノズル
28間の距離L、噴霧装置移動速度Vおよび液状剤噴霧
量Wを一定にした状態で冷却空気噴霧量Qのみを変化さ
せるようにした。まず、上下の可動金型13と固定金型
12を型開きしている状態で多関節型ロボット45のア
ーム22を前進して噴霧装置21を金型12、13の間
に装入し、予め決められた噴霧ルートの噴霧開始点に温
度検出器25を位置させて金型キャビティ表面11の温
度を測定する。すなわち、定常状態下における金型キャ
ビティ内への溶湯鋳込前の金型キャビティ表面11の初
期温度Tiを温度検知器25で測定し、所定温度Toと
比較する。金型キャビティ表面11の初期温度Tiが所
定温度Toより高い(Ti>To)と、図8に示すよう
に多くの実験によって得られた知見から、前ショット時
に使用された冷却空気量Qによって初期温度Tiと所定
温度Toとの温度差に応じた次ショットの所定温度以内
降下時間tdが決まることから、このtdに対応した冷
却空気噴霧量Qを算定した後、冷却空気噴霧ノズル27
から算定された冷却空気噴霧量Qが金型キャビティ表面
11に噴霧すると、金型キャビティ表面11は離型剤の
付着し易い200〜250℃まで冷却される。引続き一
定量の液状剤噴霧量Wが噴霧されるようになっている
(図10中)。一方、金型キャビティ表面11の初期
温度Tiが所定温度Toより低い(Ti<To)と、冷
却噴霧ノズル27からの冷却空気の噴霧を中止したまま
液状剤噴霧ノズル28から離型剤のみ噴霧させて金型キ
ャビティ表面11に所望する厚みだけ付着させるのであ
る。
【0029】〔実施例2〕実施例2の実験では、図12
に示す如く冷却空気噴霧量Q、噴霧装置移動速度Vおよ
び液状剤噴霧量Wを一定にした状態で冷却空気噴霧ノズ
ル27と液状剤噴霧ノズル28間の距離Lのみを変化さ
せるようにした。まず、上下の可動金型13と固定金型
12を型開きしている状態で多関節型ロボット45のア
ーム22を前進して噴霧装置21を金型12、13の間
に装入し、予め決められた噴霧ルートの噴霧開始点に温
度検出器25を位置させて金型キャビティ表面11の温
度を測定する。すなわち、定常状態下における金型キャ
ビティ内への溶湯鋳込前の金型キャビティ表面11の初
期温度Tiを温度検知器25で測定し、所定温度Toと
比較する。金型キャビティ表面11の初期温度Tiが所
定温度Toより高い(Ti>To)と、図8に示すよう
に多くの実験によって得られた知見から、前ショット時
に使用された該距離Lによって初期温度Tiと所定温度
Toとの温度差に応じた次ショットの所定温度以内降下
時間tdが決まることから、このtdに対応した冷却空
気噴霧ノズル27と液状剤噴霧ノズル28間の距離Lを
算定した後、冷却空気噴霧ノズル27から算定された冷
却空気噴霧量Qが金型キャビティ表面11に噴霧する
と、金型キャビティ表面11は離型剤の付着し易い20
0〜250℃まで冷却される。引続き一定量の液状剤噴
霧量Wが噴霧されるようになっている(図10中)。
一方、金型キャビティ表面11の初期温度Tiが所定温
度Toより低い(Ti<To)と、冷却噴霧ノズル27
からの冷却空気の噴霧を中止したまま液状剤噴霧ノズル
28から離型剤のみ噴霧させて金型キャビティ表面11
に所望する厚みだけ付着させるのである。
【0030】なお、該距離Lの決定は図9に示すように
つぎのように行なう。すなわち、決められた冷却空気量
Qによって金型キャビティ表面11が所望する温度まで
降温せずにある程度降温しても所定温度Toにすぐ温度
復帰する場合には、距離Lを比較的短くしたL’の状態
にセットし、冷却空気による冷却に引続きすぐ離型剤に
よる冷却を行なって金型キャビティ表面11に離型剤を
付着するのである。逆に、決められた冷却空気量Qによ
って金型キャビティ表面11が所望する温度まで充分降
温した後、ゆっくりと所定温度Toにすぐ温度復帰する
場合には、冷却空気噴霧ノズル27と液状剤噴霧ノズル
28間の距離LをL”まで遠ざけた状態にセットし、冷
却空気による冷却に引続きすぐ離型剤による冷却を行な
って金型キャビティ表面11に離型剤を付着するのであ
る。
【0031】〔実施例3〕実施例3の実験では、図13
に示す如く冷却空気噴霧ノズル27と液状剤噴霧ノズル
28間の距離L、液状剤噴霧量Wおよび冷却空気噴霧量
Qを一定にした状態で噴霧装置移動速度Vのみを変化さ
せるようにした。まず、上下の可動金型13と固定金型
12を型開きしている状態で多関節型ロボット45のア
ーム22を前進して噴霧装置21を金型12、13の間
に装入し、予め決められた噴霧ルートの噴霧開始点に温
度検出器25を位置させて金型キャビティ表面11の温
度を測定する。すなわち、定常状態下における金型キャ
ビティ内への溶湯鋳込前の金型キャビティ表面11の初
期温度Tiを温度検知器25で測定し、所定温度Toと
比較する。金型キャビティ表面11の初期温度Tiが所
定温度Toより高い(Ti>To)と、図8に示すよう
に多くの実験によって得られた知見から、前ショット時
に使用された噴霧装置移動速度Vによって初期温度Ti
と所定温度Toとの温度差に応じた次ショットの所定温
度以内降下時間tdが決まることから、このtdに対応
した噴霧装置移動速度Vを算定した後、冷却空気噴霧ノ
ズル27から所定の冷却空気噴霧量Qを金型キャビティ
表面11に噴霧すると、金型キャビティ表面11は離型
剤の付着し易い200〜250℃まで冷却される。引続
き一定量の液状剤噴霧量Wが噴霧されるようになってい
る(図10中)。一方、金型キャビティ表面11の初
期温度Tiが所定温度Toより低い(Ti<To)と、
冷却噴霧ノズル27からの冷却空気の噴霧を中止したま
ま液状剤噴霧ノズル28から離型剤のみ噴霧させて金型
キャビティ表面11に所望する厚みだけ付着させるので
ある。
【0032】〔実施例4〕実施例4の実験では、図14
に示す如く冷却空気噴霧ノズル27と液状剤噴霧ノズル
28間の距離L、噴霧装置移動速度Vおよび冷却空気噴
霧量Qを一定にした状態で液状剤噴霧量Wのみを変化さ
せるようにした。まず、上下の可動金型13と固定金型
12を型開きしている状態で多関節型ロボット45のア
ーム22を前進して噴霧装置21を固定金型12と可動
金型13の間に装入し、予め決められた噴霧ルートの噴
霧開始点に温度検出器25を位置させて金型キャビティ
表面11の温度を測定する。すなわち、定常状態下にお
ける金型キャビティ内への溶湯鋳込前の金型キャビティ
表面11の初期温度Tiを温度検知器25で測定し、所
定温度Toと比較する。金型キャビティ表面11の初期
温度Tiが所定温度Toより高い(Ti>To)と、図
8に示すように多くの実験によって得られた知見から、
前ショット時に使用された液状剤噴霧量Wによって初期
温度Tiと所定温度Toとの温度差に応じた次ショット
の所定温度以内降下時間tdが決まることから、このt
dに対応した液状剤噴霧量Wを算定した後、冷却空気噴
霧ノズル27から所定の冷却空気噴霧量Qを金型キャビ
ティ表面11に噴霧すると、金型キャビティ表面11は
離型剤の付着し易い200〜250℃まで冷却される。
引続き初期温度Tiと所定温度Toとの温度差に応じて
増減された液状剤噴霧量Wが噴霧されるようになってい
る。一方、金型キャビティ表面11の初期温度Tiが所
定温度Toより低い(Ti<To)と、冷却噴霧ノズル
27からの冷却空気の噴霧を中止したまま初期温度Ti
と所定温度Toとの温度差に応じて液状剤噴霧ノズル2
8から離型剤噴霧量Wを調整し、調整後の離型剤のみ噴
霧させて金型キャビティ表面11に所望する厚みだけ付
着させるのである。
【0033】本実施例では実施例1から実施例4まで、
先行する温度検知器25によって温度を測定し、その温
度測定値に基づいて関係因子を変化させるようにした
が、これに限定することなく図15に示すようにしても
よい。すなわち、図15では図示しない噴霧装置21の
構成として、第1温度検知器、冷却空気噴霧ノズル2
7、第2温度検知器、液状剤噴霧ノズル28を有してお
り、予め決められた噴霧ルートに沿って噴霧装置21を
移動させるが、前記第1温度検知器で測定された金型キ
ャビティ表面11の初期温度Tiと所定温度Toとを比
較して初期温度Tiが所定温度Toより高い(Ti>T
o)場合は、前記変数冷却空気噴霧ノズル27から噴霧
される冷却空気噴霧量Q、冷却空気噴霧ノズル27と液
状剤噴霧ノズル28間の距離L、噴霧装置移動速度Vお
よび液状剤噴霧ノズル28から噴霧される液状剤噴霧量
Wの中から制御対象を決定する。この決定に従って一定
量の冷却空気を噴霧させ、引続き第2温度検知器によっ
て冷却空気によって冷却された金型キャビティ表面11
温度Tcを測定するのである。そして、Tcと所定温度
Toとの温度差に応じて予め得られた知見から液状剤噴
霧量Wを決定した後離型剤を噴霧するのである。
【0034】なお、金型初期温度Tiが所定温度Toよ
り低い(Ti<To)ときは、冷却噴霧ノズル27から
の冷却空気の噴霧を中止したまま初期温度Tiと所定温
度Toとの温度差に応じて液状剤噴霧ノズル28から離
型剤噴霧量Wを調整し、調整後の離型剤のみ噴霧させて
金型キャビティ表面11に所望する厚みだけ付着させる
のである。
【0035】以上述べたように、本実施例では、第1段
階の噴霧工程においては、冷却空気を噴霧し、第2段階
の噴霧工程においては、離型剤を噴霧するようにしたこ
とにより、金型キャビティ表面11の表面温度は、噴霧
開始時点からの時間経過とともに、例えば図3に実線で
示す()ように変化する。特に、噴霧開始直後は従来
のものに比べて比較的に緩やかに降温する。その結果、
金型キャビティ表面11の表面部分の引張応力は、噴霧
開始時点からの時間の経過とともに、例えば図16にお
いて実線で示すように、噴霧開始当初においても、ほと
んど大きくならない。このように2段制御方式によって
冷却空気と離型剤とを金型キャビティ表面11に噴霧す
ることにより、図16に示すように金型キャビティ表面
11に発生する引張応力が小さくなるため、金型キャビ
ティ表面11に生じる細かい割れが防止できるのであ
る。
【0036】また、本発明においては、第1段階の噴霧
工程においては、冷却空気を噴霧し、第2段階の噴霧工
程においては、離型剤を噴霧するようにしたことによ
り、冷却空気によって予め離型剤の付着しやすい200
〜250℃まで冷却すると、離型剤の付着しにくい金型
キャビティ表面11の温度の高い初期噴霧時から離型剤
を使用する場合と比較して、金型回りの汚染は少なくな
り離型剤の消費量も節約される。
【0037】冷却空気噴霧ノズル27から冷却空気を噴
霧した後、引続き液状剤噴霧ノズル28から離型剤を噴
霧すると、両金型12、13間から型締の邪魔にならな
い所まで噴霧装置21を多関節型ロボット45のアーム
22を後退させて、型締動作に入る。一方、鋳込スリー
ブ18を図1に2点鎖線で示した位置に傾転し、鋳込ス
リーブ18内面へ離型剤を噴霧する。次いで、図示して
いないラドルよりアルミニウム合金などの溶湯を鋳込ス
リーブ18へ注油する。つぎに、シリンダ20の作用に
より、射出シリンダ16を起立させて実線で示す位置ま
で引き起こす。この後、鋳込スリーブ18とプランジャ
チップ17aとフレーム19を上昇させ、鋳込スリーブ
18を固定金型12の下面の鋳込口に押付ける。
【0038】その後、射出シリンダ16を作動させて、
金型キャビティ内へ溶湯の射出を行なう。この後、射出
が終わり、型開きをして射出製品を取出すとともに、鋳
込スリーブ18を2点鎖線で示す注油位置まで傾転させ
たら、1サイクルを終わり、あとは前記したような動作
を繰返す。
【0039】本発明に基づく実施例では、図2に示すよ
うな噴霧装置21に配設された温度検知器25で予め決
められた噴霧ルートに従って金型キャビティ表面11の
温度測定を行なうとともに、この温度検出器25に基づ
いて測定された温度情報によって金型キャビティ表面1
1に冷却空気ならびに離型剤を適宜噴霧するようにした
が、これに限定することなく噴霧装置21に温度検知器
25を複数配置するか、あるいは金型キャビティ表面の
温度を別の温度検知器によって一括測定することによっ
て温度情報を得た後に冷却空気や離型剤などの冷却剤を
噴霧するようにしてもよい。
【0040】また、本発明においては、噴霧装置21を
用いて冷却空気や離型剤を噴霧し金型キャビティ表面1
1を所望温度まで低下させるとともに、離型剤を所望す
る厚さまで付着するようにしたが、金型キャビティ表面
11に限定することなく鋳込スリーブ18やプランジャ
17端などの溶湯接触面への適用も可能である。
【0041】
【発明の効果】以上説明したことからも明らかなよう
に、本発明ではつぎのような利点がある。すなわち、 金型キャビティ表面に離型剤の付着しやすい温度ま
で前もって冷却空気で徐冷するため、金型表面に生じる
引張応力が軽減される。 冷却空気によって金型キャビティ表面を予め200
〜250℃まで冷却した後離型剤を噴霧するため、金型
キャビティ表面温度の高い初期噴霧時から離型剤を使用
する場合と比較して、金型回りの汚染は少なくなり離型
剤の消費量も節約される。 第1段階の噴霧工程で冷却空気を用いて金型キャビ
ティ表面を徐冷した後、第2段階の噴霧工程で、離型剤
を噴霧するようにしたことにより、短時間に熱履歴が生
じることがなくなり、金型キャビティ表面の細かい割れ
(ヘアクラック)が防止でき、金型の寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施したダイカストマシンの一部破断
正面図である。
【図2】本発明の噴霧装置の切断断面図である。
【図3】噴霧装置による金型キャビティ表面による冷却
剤の噴霧状態を示す説明図である。
【図4】噴霧ルートの代表例を示した金型キャビティ表
面の平面図である。
【図5】噴霧装置の平面図である。
【図6】温度検出器、冷却空気噴霧ノズル、液状剤噴霧
ノズルの軌跡を示す説明図である。
【図7】金型キャビティ表面の定点に対する冷却空気噴
霧ノズルの移動速度との相関関係を示す概要図である。
【図8】図7の状態下で得られた金型キャビティ表面の
降温状態を示す説明図である。
【図9】冷却空気噴霧ノズルと液状剤噴霧ノズル間の距
離Lの変化を示す説明図である。
【図10】金型キャビティ表面温度の経時変化を示す線
図である。
【図11】L、V、Wを一定のままQを変化するように
した場合のフローチャートである。
【図12】Q、V、Wを一定のままLを変化するように
した場合のフローチャートである。
【図13】Q、L、Wを一定のままVを変化するように
した場合のフローチャートである。
【図14】Q、L、Vを一定のままWを変化するように
した場合のフローチャートである。
【図15】温度検知器数を増加させて測定した場合のフ
ローチャートである。
【図16】液状剤噴霧によって生じる金型キャビティ表
面引張応力の経時変化を示す線図である。
【符号の説明】
2 固定盤 3 コラム 4、5 ナット 6 シリンダ用固定盤 7 型締シリンダ 8 可動盤 9 ピストン 10 分割面 11 金型キャビティ表面 12 固定金型 13 可動金型 14 シリンダブラケット 15 竪鋳込ユニット 16 射出シリンダ 17 プランジャ 17a プランジャチップ 18 鋳込スリーブ 19 フレーム 20 シリンダ 21 噴霧装置 22 アーム 25 温度検知器 27 冷却空気噴霧ノズル 28 液状剤噴霧ノズル 29 冷却空気噴霧ノズル用シリンダ 30 液状剤噴霧ノズル用第1シリンダ 31 液状剤噴霧ノズル用第2シリンダ 32 囲繞箱 33 保持箱 34 モータ 35 第1歯車 36 第2歯車 37 軸受 38A 上板 38B 下板 39 開口部 40 支持柱 41 支持板 42 環状溝 44 傾転部 45 多関節型ロボット Q 冷却空気噴霧量 L 冷却噴霧ノズルと液状剤噴霧ノズル間の距離 V 噴霧装置移動速度 W 液状剤噴霧量 Ti 金型初期温度 To 所定温度 td 所定温度以内降下時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B22D 17/22 B22D 17/22 D (72)発明者 平田 章 山口県宇部市大字小串字沖の山1980番地 宇部興産株式会社宇部機械・エンジニアリ ング事業所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型キャビティ表面に液状剤を噴霧する
    に際し、前記金型キャビティ表面温度が所定温度に降下
    するまでの第1段階の噴霧工程では冷却空気を噴霧し、
    液状剤が金型キャビティ表面に付着し易い所定温度まで
    降温した後、第2段階の噴霧工程で液状剤としての離型
    剤を噴霧するようにしたことを特徴とする金型キャビテ
    ィ表面への冷却剤噴霧方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の第1段階の噴霧工程におい
    て、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧する前に前記
    金型キャビティ表面温度を測定し、測定した前記表面温
    度が所定温度より高く、かつ前記表面温度と所定温度と
    の温度差が大きいときは、温度差に応じて冷却空気を増
    量した状態で噴霧するようにしたことを特徴とする金型
    キャビティ表面への冷却剤噴霧方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の第1段階の噴霧工程におい
    て、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧する前に前記
    金型キャビティ表面温度を測定し、測定した金型キャビ
    ティ表面温度が所定温度より高く、かつ金型キャビティ
    表面温度と所定温度との温度差が小さいときは、温度差
    に応じて冷却空気を減量した状態で噴霧するようにした
    ことを特徴とする金型キャビティ表面への冷却剤噴霧方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の第1段階の噴霧工程にお
    いて、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧する前に前
    記金型キャビティ表面温度を測定し、測定した金型キャ
    ビティ表面温度が所定温度より低いときは、金型キャビ
    ティへの冷却空気の噴霧を中止するようにしたことを特
    徴とする金型キャビティ表面への冷却剤噴霧方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の金型キャビティ表面への
    冷却剤噴霧方法であって、金型キャビティ表面を冷却空
    気噴霧量Q、冷却空気噴霧ノズルと液状剤噴霧ノズル間
    の距離L、噴霧装置移動速度Vおよび液状剤噴霧量W等
    の変数の組合せによって所望する温度まで降温させるに
    際し、金型キャビティ表面に冷却空気を噴霧する前に金
    型キャビティ表面温度を測定し、測定した金型キャビテ
    ィ表面温度が所定温度より高いときは、前記距離L、噴
    霧装置移動速度Vおよび液状剤噴霧量Wを一定のまま冷
    却空気噴霧ノズルから金型キャビティ表面へ噴霧される
    冷却空気によって所定温度以下に降温させ、金型の保有
    熱によって再度前記所定温度に温度復帰するまでの所定
    温度以内降下時間tdを予め計算によって算出し、この
    算出された時間tdの長さに応じて冷却空気噴霧量Qを
    増加させるようにした後、冷却空気の噴霧に引続き液状
    剤を噴霧するようにし、逆に測定した金型キャビティ表
    面温度が所定温度より低いときは、金型キャビティ表面
    への冷却空気の噴霧を中止したまま所定量の液状剤のみ
    を液状剤噴霧ノズルから金型キャビティ表面へ噴霧する
    ようにしたことを特徴とする金型キャビティ表面への冷
    却剤噴霧方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の金型キャビティ表面への
    冷却剤噴霧方法であって、金型キャビティ表面に冷却空
    気を噴霧する前に金型キャビティ表面温度を測定し、測
    定した金型キャビティ表面温度が所定温度より高いとき
    は、前記変数の冷却空気噴霧量Q、噴霧装置移動速度V
    および液状剤噴霧量Wを一定のまま冷却空気噴霧ノズル
    から金型キャビティ表面へ噴霧される冷却空気によって
    所定温度以下に降温させ、金型の保有熱によって再度前
    記所定温度に温度復帰するまでの所定温度以内降下時間
    tdを予め計算によって算出し、この算出された時間t
    dの長さに応じて冷却空気噴霧ノズルと液状剤噴霧ノズ
    ル間の距離Lを変化するようにした後、冷却空気の噴霧
    に引続き液状剤を噴霧するようにし、逆に測定した金型
    キャビティ表面温度が所定温度より低いときは、金型キ
    ャビティ表面への冷却空気の噴霧を中止したまま所定量
    の液状剤のみを液状剤噴霧ノズルから金型キャビティ表
    面へ噴霧するようにしたことを特徴とする金型キャビテ
    ィ表面への冷却剤噴霧方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の金型キャビティ表面への
    冷却剤噴霧方法であって、金型キャビティ表面に冷却空
    気を噴霧する前に金型キャビティ表面温度を測定し、測
    定した金型キャビティ表面温度が所定温度より高いとき
    に、前記冷却空気噴霧量Q、冷却空気噴霧ノズルと液状
    剤噴霧ノズル間の距離Lおよび液状剤噴霧量Wを一定の
    まま冷却空気噴霧ノズルから噴霧される冷却空気によっ
    て所定温度以下に降温させ、金型の保有熱によって再度
    前記所定温度に温度復帰するまでの所定温度以内降下時
    間tdを予め計算によって算出し、この算出された時間
    tdの長さに応じて噴霧装置移動速度Vを適宜変化する
    ようにした後、冷却空気の噴霧に引続き液状剤を噴霧す
    るようにし、逆に測定した金型キャビティ表面温度が所
    定温度より低いときは、金型キャビティ表面への冷却空
    気の噴霧を中止したまま所定量の液状剤のみを液状剤噴
    霧ノズルから金型キャビティ表面へ噴霧するようにした
    ことを特徴とする金型キャビティ表面への冷却剤噴霧方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の金型キャビティ表面への
    冷却剤噴霧方法であって、金型キャビティ表面に冷却空
    気を噴霧する前に金型キャビティ表面温度を測定し、測
    定した金型キャビティ表面温度が所定温度より高いとき
    は、前記冷却空気噴霧量Q、冷却空気噴霧ノズルと液状
    剤噴霧ノズル間の距離Lおよび噴霧装置移動速度Vを一
    定のまま冷却空気噴霧ノズルから噴射される冷却空気に
    よって所定温度以下に降温させ、金型の保有熱によって
    再度前記所定温度に温度復帰するまでの所定温度以内降
    下時間tdを予め計算によって算出し、この算出された
    時間tdの長さに応じて引続く液状剤噴霧量Wを予め算
    出した後、所定量の冷却空気の噴霧に引続き液状剤を噴
    霧するようにし、逆に測定した金型キャビティ表面温度
    が所定温度より低いときは、金型キャビティ表面への冷
    却空気の噴霧を中止したまま所定量の液状剤の噴霧量W
    のみを予め計算によって算出するようにし、冷却空気の
    噴霧に引続き液状剤を噴霧するようにしたことを特徴と
    する金型キャビティ表面への冷却剤噴霧方法。
  9. 【請求項9】 温度検出器、冷却空気噴霧ノズル、液状
    剤噴霧ノズルから構成された噴霧装置において、冷却空
    気噴霧ノズルを中心に位置させ、冷却空気噴霧ノズルの
    周辺を液状剤噴霧ノズルが公転可能に配設するととも
    に、噴霧装置全体を同一面上を回転自在としたことを特
    徴とする噴霧装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の噴霧装置において、前
    記噴霧装置を常に前記順番に保持させた状態で金型キャ
    ビティ表面上に予め設定された噴霧ルートに沿って金型
    キャビティ表面を移動可能としたことを特徴とする噴霧
    装置。
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