JPH09143554A - 局部軟化鋼板の製造方法 - Google Patents

局部軟化鋼板の製造方法

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JPH09143554A
JPH09143554A JP31023095A JP31023095A JPH09143554A JP H09143554 A JPH09143554 A JP H09143554A JP 31023095 A JP31023095 A JP 31023095A JP 31023095 A JP31023095 A JP 31023095A JP H09143554 A JPH09143554 A JP H09143554A
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JP
Japan
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steel sheet
strength
heating
formability
locally
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Application number
JP31023095A
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English (en)
Inventor
Masato Uchihara
正人 内原
Kiyoyuki Fukui
清之 福井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形性が必要とされる部分を局部的に軟化させ
てその部分の変形特性が改善された鋼板を製造する方法
の提供。 【解決手段】鋼板に、例えば冷間圧延等により10%以上
の塑性歪みを与え、その後、ガス炎、アーク、レーザ、
電子ビーム等を熱源とする照射、抵抗発熱による加熱、
高周波による誘導加熱、高温に加熱した金属やセラミク
ス等の接触による加熱などの手段により、成形性が必要
とされる部分を局部的に 800℃以上に加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、局部的に軟化部を
有する鋼板の製造方法に関し、具体的には、鋼板に対し
高強度と高成形性が要求される場合に、成形性が必要と
される部分を局部的に軟化させることによりその部分の
変形特性が改善された鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼を用いた構造物において軽量化や高
強度化が望まれる場合、通常、高強度の鋼材(例えば、
高強度鋼板)が用いられる。しかし、鋼板のように、プ
レス成形等により成形加工が施される場合は、高強度鋼
板は延性が小さいために厳しい成形加工に耐えられな
い。また、高強度鋼板は降伏応力が高いためにスプリン
グバックが大きく、形状凍結性に劣るという問題もあっ
た。このような理由から、鋼板においては高強度と高成
形性を両立させるのが難しく、高強度鋼板の使用にも限
界があった。
【0003】この対策として、例えば自動車の分野で
は、成形後に行われる電着塗装時の焼き付け過程で硬化
する焼き付け硬化型鋼板が使用されている。また、特開
平6−73438号公報には、加工時には優れた加工特
性を有し、加工完了後に強度が必要とされる部分にレー
ザなどのエネルギービームを照射して焼き入れ硬化さ
せ、高強度化して使用することができる高加工性鋼板が
開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の焼き付け硬化型
鋼板は、硬化後の強度が高々40kg/mm2 程度であり、そ
れ以上の強度が必要とされる場合には強度が不足する。
また、特開平6−73438号公報に記載された加工後
に部分的に焼き入れを施して使用する高加工性鋼板は、
構造物に要求される強度が高くなるほど大きな面積に焼
き入れ処理を施す必要があり、焼き入れ処理に要するコ
ストと時間が増大する。さらに、その場合、鋼板の熱に
よる変形が大きくなるという問題もある。
【0005】一方、高強度鋼材を用いれば必要とされる
強度は確保されるが、厳しい加工が施される部分では破
断等が生じる場合があり、成形性に問題がある。
【0006】本発明は、このような問題を解決し、鋼
材、特に鋼板における高強度と高成形性を両立させ得る
方法を提供することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述したように、高強度
鋼板を成形する場合、延性が小さいために厳しい成形加
工に耐えられず、成形が最も厳しくなる部分で破断した
り、あるいはスプリングバック等の問題が生じる。
【0008】そこで、本発明者らは、高強度鋼板を用い
る場合、厳しい成形加工を受ける部分の成形性が局部的
に良好であれば、成形性と最終製品の強度を両立させる
ことが可能になるとの観点から、局部軟化部を有する鋼
板の製造方法について検討した。その結果、塑性歪みが
残留して、加工硬化によって強化されている鋼板を用
い、良好な変形特性が要求される部分を 800℃以上に加
熱することによって、成形性と強度を両立させ得ること
を見いだした。
【0009】本発明はこの知見に基づきなされたもの
で、その要旨は下記の鋼板の製造方法にある。
【0010】鋼板に10%以上の塑性歪みを与え、その
後、局部的に 800℃以上に加熱することを特徴とする局
部軟化鋼板の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の局部軟化鋼板の製
造方法(本発明方法)について詳細に説明する。
【0012】前述したように、本発明方法は、加工硬化
によって強化された鋼板に対し、良好な変形特性が要求
される部分を 800℃以上に加熱する局部的軟化処理を施
すことにより、局部的に軟化した部分を有する鋼板を製
造する方法である。
【0013】鋼の強化方法としては、合金元素の添加に
よる固溶強化、析出物による析出強化、マルテンサイト
などの硬質相による変態強化、および転位密度の増加に
よる加工硬化などが知られているが、この中で、加工硬
化によって強化された鋼板を用いるのは、以下の理由に
よる。
【0014】本発明方法で行う局部的軟化処理を想定し
た場合、母材には、簡易かつ短時間の処理で軟化効果が
得られる性質が求められる。また、母材には高価な合金
元素量が少なく、かつ高強度であることも当然要求され
る。このような要求特性を考慮すると、母材の強化が固
溶強化によるものである場合には、軟化させるために合
金元素量を局部的に減少させる必要があり、そのような
鋼板を製造するのは技術的に困難である。析出強化や変
態強化による場合は、加熱によりその強化効果は消滅す
るものの、冷却過程において再び析出や変態がおこるた
め、室温においては顕著な軟化効果は得られない。これ
に対して、母材の強化が加工硬化によるものである場合
は、再結晶温度以上に加熱することによってその強化効
果は消滅し、室温において局部的な軟化部が比較的容易
に得られる。
【0015】そこで、本発明方法では、加工硬化によっ
て強化された鋼板を用いることとした。
【0016】加工硬化した鋼板は、圧縮や引張り荷重を
負荷して塑性歪みを与えることによって製造される。具
体的には、焼鈍処理を施さない冷間圧延ままの鋼板等を
用いることができる。
【0017】塑性歪量は10%以上とすることが必要であ
る。塑性歪量が10%より小さいと、鋼板自体を高強度化
することができない。塑性歪量の上限は特に限定しな
い。塑性歪みを導入する際、破断など、鋼板の破壊が生
じない範囲内の塑性歪量であれば許容される。なお、塑
性歪量は、再結晶が終了している状態、すなわち、再結
晶温度以上での恒温保持によっても軟化が生じない状態
を塑性歪量 0として求められる値である。
【0018】本発明方法で用いる鋼板の化学組成は特に
限定しないが、加熱(局部的軟化処理)後の冷却過程に
おいてマルテンサイトなどの硬い変態相が出現しない組
成であることが望ましい。例えば、Si、Mn、Ti、Ni、C
r、Cu等が添加されていても、これらの元素は硬い変態
相の生成をあまり助長しないので、加熱後に十分な軟化
効果を得ることができる。冷却時の鋼板の硬化の程度
(硬化量)は冷却速度と鋼板に含まれる炭素(C)量の
関係で決定されるが、加熱後の冷却速度が速い場合ほど
鋼板中のC量を低くすることが望ましい。
【0019】上記の加工硬化した鋼板を何らかの方法に
より 800℃以上に加熱すれば、軟化効果が得られ、成形
性が向上する。 800℃未満での加熱では加工組織からの
再結晶が起こり難く、軟化効果が得られない。なお、加
熱温度の上限は特に限定しないが、融点以上に加熱する
と、溶融による穴あきが発生するおそれがあるので、そ
の上限は融点直下とするのが好ましい。
【0020】加熱する領域は鋼板全体に対して局部的と
する。すなわち、成形性が要求される部分のみを加熱す
る。鋼板全体を加熱すると、鋼板の成形性が良好になる
反面、成形性が要求されない部分の強度までも低下する
からである。一方、加熱する面積が小さすぎると、部材
としての強度は高いものの、成形性が必要とされる部分
の強度も高く、成形性が不十分となる。したがって、強
度と成形性を両立させるためには、成形性が要求される
必要最小限の領域を加熱することが望ましい。
【0021】なお、その部分の面積は、成形される形状
に応じて適宜定めればよい。
【0022】加熱の方法は特に限定されない。ガス炎、
アーク、レーザ、電子ビーム等を熱源とする照射、抵抗
発熱による加熱、高周波による誘導加熱、高温に加熱し
た金属やセラミクス等の接触による加熱など、局部的
に、しかも 800℃以上に加熱できる方法であればどのよ
うな方法でもよい。
【0023】上記本発明方法によれば、成形性が必要と
される部分を局部的に軟化させてその部分の変形特性が
改善された鋼板を製造することができ、良好な成形性と
高強度とを両立させることが可能になる。
【0024】
【実施例】
(実施例1)供試鋼板の化学成分を表1に示す。この鋼
板は、 950℃で厚さ 4mmまで熱間圧延した後、厚さ 0.8
mmまで冷間圧延した鋼板である。焼鈍処理を施していな
いので、80%の塑性歪が導入されていることになる。こ
の鋼板の機械的性質を表2に示す。
【0025】上記の供試鋼板に電子ビームを照射し、部
分的に加熱する局部的軟化処理(加熱処理)を施し、そ
の際の最高加熱温度の測定、および加熱処理部の特性評
価を行った。
【0026】加熱処理は、図1に示すように、電子銃1
を用いて収束した電子ビーム2を供試鋼板4の表面上20
mm幅にわたって周波数 1kHz で走査し(図中に両方向矢
印で表示)、同時に鋼板4を電子ビームの走査方向と垂
直の方向(図中に白抜き矢印で表示した方向)に 100mm
移動させることにより行った。なお、鋼板の移動は、後
述する表4に示す速度で行った。図中に示した、幅20m
m、長さ 100mmの斜線を施した領域が加熱処理部3であ
る。表3に電子ビームの照射条件を示す。
【0027】最高加熱温度は熱電対により測定した。な
お、最高加熱温度の調整は、鋼板の移動速度を変化させ
ることによって行った。
【0028】加熱処理部の特性評価は引張り試験によっ
て行った。試験片には、加熱処理部から平行部幅を10mm
として採取した引張り試験片を用いた。
【0029】表4に試験結果を示す。試験番号1、2お
よび3の比較例では、最高加熱温度が本発明方法で規定
する範囲より低いために、強度が高く、延性が低かっ
た。これに対して、試験番号4および5の本発明例で
は、加熱処理を施していない(処理無)鋼板に比べて強
度が低下し、延性が著しく向上した。
【0030】(実施例2)表1に示した鋼板に対して 8
50℃で10分間焼鈍処理を施した後、引張り試験機で表5
に示す塑性歪みを導入した鋼板を供試鋼板とし、この鋼
板に実施例1におけると同様の加熱処理を施し、加熱処
理部の特性評価を行った。なお、鋼板の移動速度は75cm
/min で一定とした。この条件での最高加熱温度は900
℃であった。
【0031】表5に試験結果を示す。試験番号1および
2の比較例では、塑性歪量が小さいために加熱処理前の
鋼板の強度が低く、また、加熱処理によっても延性の向
上は認められなかった。これに対して、試験番号3およ
び4の本発明例では、歪みの導入による強度の上昇が大
きく、また、その後の加熱処理によって延性が向上し
た。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【発明の効果】本発明方法によれば、成形性が必要とさ
れる部分を局部的に軟化させてその部分の変形特性が改
善された鋼板を製造することが可能である。この方法で
製造される鋼板は、高強度と高成形性が要求される自動
車等の分野で使用される鋼板として好適で、従来成形性
が悪いために使用することが困難であった高強度鋼板の
適用範囲を大きく拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で行った加熱処理の方法を模式的に示す
図である。
【符号の説明】
1:電子銃 2:電子ビーム 3:加熱処理部 4:供試鋼板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板に10%以上の塑性歪みを与え、その
    後、局部的に 800℃以上に加熱することを特徴とする局
    部軟化鋼板の製造方法。
JP31023095A 1995-11-29 1995-11-29 局部軟化鋼板の製造方法 Pending JPH09143554A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210118139A (ko) 2019-02-27 2021-09-29 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 냉간 프레스용의 강판의 제조 방법, 및 프레스 부품의 제조 방법

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