JP3576017B2 - 耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法に関し、耐衝撃貫通特性の向上とともに、溶接性や曲げ加工性などの向上を図るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼板に要求される特性の一つに耐衝撃貫通特性があり、このような特性を得るため鋼板の化学組成を調整するとともに、強度を上げるために時効などの熱処理を施すことが行われている。
【0003】
従来、この耐衝撃貫通特性を必要とする部材を製作する場合には、まず鋼板を得るため、溶製鋳造してスラブとした後、必要な板厚に熱間圧延を施して冷却する。その後、バッチ熱処理が可能な大きさに切断し、必要な曲げ加工などを施し、これに時効などの熱処理を施して製品としている。
【0004】
また、大型部材などの場合には、必要な曲げ加工などが施された後、時効などの熱処理が施された部材同志を溶接して製作されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の高張力鋼やマルエージ鋼板のうち、実使用でおくれ破壊が問題とならない引張強さ1200MPa 以下の鋼板の貫通限界エネルギは普通鋼であるJIS SS400の貫通限界エネルギ(貫通限界速度におけるエネルギ)に対して1.5倍(貫通限界エネルギ比が1.5)以下であり、さらなる向上が望まれている。
【0006】
また、従来の鋼板は、バッチ熱処理が必要なため最大の供給サイズが熱処理炉の大きさ以下に制限されるという問題がある。
【0007】
さらに、従来の鋼板同志の溶接の際、予熱なしで施工しようとするためには、オーステナイト系の高価な溶材が必要になるという問題がある。
【0008】
また、従来の鋼板は時効などの熱処理後の曲げ加工性が悪く、曲げ半径が板厚tの4倍(4t)と大きく、加工が制限されるという問題がある。
【0009】
この発明はかかる従来技術の有する課題に鑑みてなされたもので、耐衝撃貫通特性の向上とともに、溶接性や曲げ加工性などの向上を図ることができる耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
耐衝撃貫通特性を評価するため、小型衝撃試験装置を用い、プロジェクタイルによる打ち抜き試験を軟鋼から高強度鋼までの幅広い材料に対して行ったところ、引張強さが高いだけでは耐衝撃貫通特性の向上を図ることができなかった。
【0011】
そこで、材料の変形、硬さ分布、ミクロ組織等の調査を行うとともに貫通限界エネルギという概念を新たに導入してこれを打ち抜き試験で計測することにより、材料の具備すべき条件を子細に検討した結果、引張強さをある一定以上の範囲とし、かつ降伏比(耐力/引張強さ)を低くすることにより、貫通限界エネルギを高めることが可能であることを見出だし、この発明を完成させたものである。
【0012】
なお、貫通限界エネルギとは、打ち抜き試験でプロジェクタイルの速度を変え、貫通が生じない最大速度におけるプロジェクタイルの運動エネルギをいう。
【0015】
ここで、貫通限界エネルギ比とは、JIS SS400の貫通限界エネルギを基準として、同一条件での打ち抜き試験から求めた貫通限界エネルギを比で表した値であり、打ち抜き試験条件、例えばプロジェクタイルの形状、硬さなどによって得られる貫通限界エネルギの絶対値が変化することから、かかる比を用いることで耐衝撃貫通特性の評価を一般化するものである。
【0016】
すなわち、上記従来技術が有する課題を解決するため、この発明の請求項1記載の耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法は、耐衝撃貫通特性に優れた鋼を製造するに際し、室温でオーステナイト相を安定としない熱間圧延された鋼に対して、Ac3変態点以上に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理1とし、このAc3変態点とAc1変態点の間の温度に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理2とするとき、前記熱処理1を行った後、前記熱処理1もしくは前記熱処理2の単独あるいは組み合わせを少なくとも1回以上行って前記熱処理2で完了し焼き戻ししないことを特徴とするものである。
【0017】
この耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法によれば、室温でオーステナイト相を安定としない熱間圧延された鋼に対して、Ac3変態点以上に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理1とし、このAc3変態点とAc1変態点の間の温度に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理2とするとき、室温でオーステナイト相を安定としない鋼に対し熱処理1を行った後、前記熱処理1もしくは前記熱処理2の単独あるいは熱処理1,2の組み合わせを少なくとも1回以上行って最終熱処理として前記熱処理2で完了し焼き戻ししないようにしており、室温においてオーステナイト相を安定としない熱間圧延された鋼であっても引張強さが982MPa 以上1700MPa 以下で、降伏比が80%以下であるとともに、JIS SS400の貫通限界エネルギに対する比である貫通限界エネルギ比が2.0以上である鋼製プロジェクタイルの打ち抜き試験による貫通などの耐衝撃貫通特性に優れた鋼を熱間圧延工程などで製造することができるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法の一実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
ここでいう耐衝撃貫通特性に優れた鋼は、A c3 変態点以上に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理1とし、このA c3 変態点とA c1 変態点の間の温度に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理2とするとき、前記熱処理1を行った後、前記熱処理1もしくは前記熱処理2の単独あるいは組み合わせを少なくとも1回以上行って前記熱処理2で完了し焼き戻ししない熱間圧延材で、引張強さが982MPa 以上1700MPa 以下で、降伏比が80%以下であるとともに、JIS SS400の貫通限界エネルギに対する比である貫通限界エネルギ比が2.0以上であるものである。
【0020】
この耐衝撃貫通特性に優れた鋼は、耐衝撃貫通特性を評価するため小型衝撃試験装置を用いてプロジェクタイルによる打ち抜き試験を軟鋼(引張強さ:400MPa 級)から高強度鋼(引張強さ:2000MPa 級マルエージ鋼)までの幅広い材料に対して実施した結果から得られたものである。
【0021】
この試験結果から、軟鋼から高強度鋼までの幅広い材料について、引張強さTSが高いだけでは耐衝撃貫通特性の向上を図ることができなかった。
【0022】
そこで、試験後の材料の変形、硬さ分布、ミクロ組織等の調査を行うとともに貫通限界エネルギという概念を新たに導入してこれを打ち抜き試験で計測することにより、材料の具備すべき条件を子細に検討した結果、引張強さをある一定以上の範囲とし、かつ降伏比(耐力/引張強さ)を低くすることにより、貫通限界エネルギを高めることが可能であることを見出だした。
【0023】
その結果から具体的な特性としてA c3 変態点以上に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理1とし、このA c3 変態点とA c1 変態点の間の温度に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理2とするとき、前記熱処理1を行った後、前記熱処理1もしくは前記熱処理2の単独あるいは組み合わせを少なくとも1回以上行って前記熱処理2で完了し焼き戻ししない熱間圧延材で、引張強さTSが982MPa 以上1700MPa 以下で、降伏比(耐力/引張強さ)YRが80%以下であるとともに、JIS SS400の貫通限界エネルギに対する比(貫通限界エネルギ比)が2.0以上のものがここでいう鋼製プロジェクタイルの打ち抜き試験による貫通などの耐衝撃貫通特性に優れた鋼である。
【0024】
耐衝撃貫通特性を評価するため行った小型衝撃試験装置を用いたプロジェクタイルによる打ち抜き試験では、多くの試料についてプロジェクタイルの速度をパラメータとして試験を行い、貫通が生じない最大速度におけるエネルギを貫通限界エネルギとして求めたが、その代表的なものを、表1および図1に示す。
【0025】
ここには、基準とする基準鋼(普通鋼:400MPa 級)から比較鋼1〜比較鋼(高強度鋼:2000MPa 級マルエージ鋼)3までの4種類の鋼とこの発明にかかる実施例1の鋼との貫通限界エネルギを、基準鋼のJIS SS400の貫通限界エネルギに対する比(貫通限界エネルギ比)として示してある。
【0026】
この耐衝撃貫通特性に優れた鋼では、引張強さは982MPa 未満では、十分な鋼製プロジェクタイルの打ち抜き試験による貫通などの耐衝撃貫通特性が得られず、1700MPa を越える場合には使用環境によっておくれ破壊の問題が生じる。また、降伏比(耐力/引張強さ)YRが80%より高い場合には、貫通限界エネルギが小さくなることから上記の範囲の値が必要となる。
【0027】
なお、降伏比YRの下限値は何等限定するものでないが、製造上自ずから限界があり、通常60%程度が下限と考えられる。
【0028】
また、この耐衝撃貫通特性に優れた鋼では、基準鋼としたJIS SS400の貫通限界エネルギに対する比(貫通限界エネルギ比)を2.0以上としているが、この値が2.0未満では従来の鋼板に対する優位性が顕著とならないからである。
【0029】
ここでは、耐衝撃貫通特性を貫通限界エネルギ比で表わしているが、貫通限界エネルギは実験条件によって絶対値が異なり、一般化して比較することができないため、基準鋼であるJIS SS400の実験で得られた貫通限界エネルギを1.0(基準)として、同一条件で求めた他の比較例1〜3の鋼および本願の実施例1の鋼の貫通限界エネルギを比で示してある。
【0030】
この打ち抜き試験には、その質量:mが約13g、材料がSNCM439(JIS G4103)のプロジェクタイルを用い、試料の板厚を7mmとした。
【0031】
そして、プロジェクタイルの貫通限界速度をvとしたとき、貫通限界エネルギEを次式で求めた。
E=1/2・m・v2
【0032】
したがって、貫通限界エネルギ比は次のように表わすことができる。
貫通限界エネルギ比=E/Ess400
【0033】
【表1】
【0034】
このような鋼によれば、耐衝撃貫通特性が貫通限界エネルギ比で2.0以上となり、従来の耐衝撃貫通特性に比べ向上することができる。
【0035】
次に、このような耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法について具体的に説明する。
【0036】
この耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法では、室温でオーステナイト相を安定としない熱間圧延された鋼に対して、加熱温度などの熱処理条件を変えた2つの熱処理1,2を組み合わせて行うことで、引張強さが982MPa 以上1700MPa 以下で、降伏比が80%以下であるとともに、基準鋼のJIS SS400の貫通限界エネルギに対する比である貫通限界エネルギ比が2.0以上である鋼製プロジェクタイルの打ち抜き試験による貫通などの耐衝撃貫通特性に優れた鋼を製造するものである。
【0037】
すなわち、室温でオーステナイト相を安定としない鋼に対して、Ac3変態点以上に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理1とし、さらにAc3変態点とAc1変態点の間の温度に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理2とするとき、最初に熱処理1を行った後、熱処理1もしくは熱処理2の単独(熱処理1または熱処理2)あるいは組み合わせ(熱処理1および熱処理2)を少なくとも1回以上行って最終熱処理(単独の場合または組み合わせの場合の最後の熱処理)が熱処理2となるようにして熱処理を完了するものである。
【0038】
鋼は、高強度を得るために焼入れ性を安定かつ十分とする熱処理が最初に必要である。
【0039】
そこで、最初の熱処理として熱処理1を行ってAc3変態点以上に加熱することで、強度上昇の弊害となる未変態オーステナイトの生成を極小化する。
【0040】
この熱処理1の後は、未変態オーステナイトを故意に残す熱処理2を行ってAc3変態点とAc1変態点の間の温度に加熱後350℃以下の温度に水冷するようにしても焼入れ性は大きく劣化せず、強度を高めたままマルテンサイトのような微細硬化組織を分散させて降伏比を低下することが可能となる。
【0041】
また、熱処理1の後に熱処理1と熱処理2を組み合わせて複数回実施しても効果は失われないが、最終の熱処理は熱処理2である必要がある。
【0042】
これは、熱処理1では降伏比が80%以下あるいは貫通限界エネルギ比が2.0以上にならないからである。
【0043】
このような耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造に必要なAc3変態点とAc1変態点は熱膨張曲線から実測しても良く、また、鋼中の含有成分の重量%(C、Si 、Mn 、など)を代入して次式(1),(2)を用いて計算しても良い。
【0044】
【0045】
したがって、例えば、熱間圧延を経て加熱温度を890℃(Ac3=879 ℃)とした加熱を行った後100℃以下に水冷する熱処理1を行い、さらに加熱温度を780℃(Ac1=716 ℃)とした加熱を行った後100℃以下に水冷する熱処理2を行うことで、必要な板厚の鋼材を通常の厚板製造工程で製造することができる。
【0046】
これにより、従来のバッチ熱処理を行う場合に比べ熱処理炉の制限がなく、最大の大きさが幅約2m、長さ約12mのものを製造供給することが可能となり、大型部材製作時の溶接コストの削減を図ることができる。
【0047】
【実施例】
以下、この発明の耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法の一実施例について説明するが、まず、耐衝撃貫通特性に優れた鋼についての参考例を説明する。
なお、この発明はこれら実施例に何等限定されるものではない。
【0048】
この耐衝撃貫通特性に優れた鋼として表2に示す化学組成(実施例)で、熱間圧延を経て890℃での焼入れを行った後、さらに780℃での2次焼入れを行って幅2m、長さ12m、板厚7mmの参考例の本鋼を製造した。
【0049】
本鋼の主な機械的性質を測定したところ、表3に示すように、耐力:YSが696MPa 、引張強さ:TSが1004MPa 、降伏比:YRが69.3%などであり、本鋼として必要な引張強さ:TSおよび降伏比:YRを満足するとともに、機械的性質についても満足できるものであることを確認した。
【0050】
さらに、本鋼について、耐衝撃貫通特性を評価するため、基準鋼であるSS400と同一の条件で打ち抜き試験を行い貫通が生じない最大速度を求めて貫通限界エネルギを求め、貫通限界エネルギ比を算出したところ3.0であり、本鋼として必要な値を大幅に越え、耐衝撃貫通特性に優れていることが確認できた。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
また、本鋼の曲げ試験を行ったところ、実際の加工を模擬したプラズマ切断のままの試験片であっても板厚の1.5倍(1.5t)の内側半径での180度の曲げ加工が可能であり、例えば従来のマルエージ鋼の推奨曲げ半径が4tであるのに比べ、本鋼の曲げ加工性が優れていることが確認できた。
【0054】
さらに、本鋼の溶接性について、化学組成のPcm(溶接割れ感受性)が0.25と低く、板厚が7mm程度ならば共金系溶材を用いた場合でも予熱なしで溶接することが可能であり、継手引張試験においても十分な強度を確保することができることおよび継手部の耐衝撃貫通特性も十分確保できることを確認した。
【0055】
また、本鋼は熱処理における2次焼き入れが780℃からの急冷であるため、線状加熱の温度を焼き入れ温度の890℃から2次焼き入れ温度よりわずかに低い750℃までに制御することで、組織の変化を抑えて線状加熱による作業が可能となった。
【0056】
次に、この発明の耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法の実施例について、比較例とともに説明する。
【0057】
上記参考例と同様に鋼として表2に示す化学組成のものを用い、表4に示す加熱温度および水冷温度条件の熱処理1および熱処理2を組み合わせて表5に示す3種類の本願発明の実施例1〜3の鋼と熱処理条件が異なる5種類の比較例1〜5の鋼を作成した。
【0058】
こうして得られた実施例1〜3の鋼と比較例1〜5の鋼についてその機械的特性を調査するとともに、耐衝撃貫通特性を評価するため、基準鋼であるSS400と同一の条件で打ち抜き試験を行い貫通が生じない最大速度を求めて貫通限界エネルギを求め、貫通限界エネルギ比を算出し、その結果を表6に示してある。
【0059】
表6から明らかなように、この発明の製造方法による実施例1〜3の鋼では、いずれも本願発明の鋼として必要な引張強さ:TSおよび降伏比:YRを満足するとともに、機械的性質についても満足できるものであることを確認した。
【0060】
さらに、この発明の製造方法による実施例1〜3の鋼では、いずれも本願発明の鋼として必要な貫通限界エネルギ比を大幅に越え、耐衝撃貫通特性に優れていることが確認できた。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0065】
【発明の効果】
以上、一実施の形態とともに具体的に説明したように、この発明の請求項1記載の耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法によれば、室温でオーステナイト相を安定としない熱間圧延された鋼に対して、Ac3変態点以上に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理1とし、このAc3変態点とAc1変態点の間の温度に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理2とするとき、室温でオーステナイト相を安定としない鋼に対し熱処理1を行った後、前記熱処理1もしくは前記熱処理2の単独あるいは熱処理1,2の組み合わせを少なくとも1回以上行って最終熱処理として前記熱処理2で完了し焼き戻ししないようにしたので、室温においてオーステナイト相を安定としない鋼であっても引張強さが982MPa 以上1700MPa 以下で、降伏比が80%以下であるとともに、JIS SS400の貫通限界エネルギに対する比である貫通限界エネルギ比が2.0以上である鋼製プロジェクタイルの打ち抜き試験による貫通などの耐衝撃貫通特性に優れた鋼を熱間圧延工程などで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法の一実施例にかかり、製造された鋼の引張強さと降伏比と貫通限界エネルギ比を基準鋼および比較例とともに示すグラフである。
【符号の説明】
TS 引張強さ
YR 降伏比
Claims (1)
- 耐衝撃貫通特性に優れた鋼を製造するに際し、室温でオーステナイト相を安定としない熱間圧延された鋼に対して、Ac3変態点以上に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理1とし、このAc3変態点とAc1変態点の間の温度に加熱後350℃以下の温度に水冷することを熱処理2とするとき、前記熱処理1を行った後、前記熱処理1もしくは前記熱処理2の単独あるいは組み合わせを少なくとも1回以上行って前記熱処理2で完了し焼き戻ししないことを特徴とする耐衝撃貫通特性に優れた鋼の製造方法。
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