JPH09142611A - ダンピングボックス装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】廃棄物をまとめて貯留槽へ投入するためのダン
ピングボックス装置において、建設コストの低減を図る
上から深いピットを構築することなく、ボックスを傾斜
状態に持ち上げるアクチュエータを荷卸しの邪魔になら
ないボックス下側に収装できるようにする。 【解決手段】ボックス１０をその一端部でダンピングヒ
ンジ１２を介して上下方向へ回動自由に支持し、ボック
ス１０の底下で略水平に直線運動を行うアクチュエータ
１４と、アクチュエータ１４の直線運動を上下方向の回
転運動に変換する腕の短いレバー１６ａと、その運動量
をレバー比に応じて増幅する腕の長いレバー１６ｂと、
この長いレバー１６ｂの回転運動をボックス１０の回動
軌跡の接線方向への作用力に変換するリンク１７とを設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は廃棄物の処理プラ
ントなどに適用されるダンピングボックス装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】例えば、ゴミ等廃棄物の処理施設におい
て、ゴミ回収車（パッカー車以外の車平ボディ車）など
から、廃棄物を焼却炉に安全かつ効率よく投入処理する
ため、図７，図８のようなダンピングボックス装置が備
えられる。１は廃棄物の集積用ボックスで、貯留槽に近
接する位置をダンピングヒンジ３として上下方向へ回動
自由に支持される。

【０００３】ボックス１の両側にブラケット４が配置さ
れ、各ブラケット４とボックス１との間にそれぞれ油圧
シリンダ５が介装される。これらシリンダ５はヘッド側
とロッド側でブラケット４とボックス１側面にクレビス
を介してピンで上下方向へ回動自由に結合され、伸側に
作動するとボックス１を所定角度の傾斜状態に持ち上げ
る一方、縮側に作動するとボックス１を基礎面６（貯留
槽２と一体に構築される）に脚座７を介して略水平状態
に降下させるようになっている。

【０００４】このようなダンピングボックス１を備える
と、ゴミ回収車などはバックで貯留槽に寄せる必要がな
く、回収物の荷卸しを安全かつ効率よく行うことができ
る。そして、ボックス１を傾斜状態に持ち上げると、廃
棄物はボックス１の前端側（開口側）から貯留槽２に自
重落下して焼却炉へと投入される。

【０００５】この場合、ボックス１の両側に油圧シリン
ダ５が位置するため、ゴミ回収車などをボックス１の両
側２面へ寄せられない。つまり、荷卸しはボックス１の
後端側からしか行えないという不具合があった。そこ
で、図９〜図１１のように油圧シリンダ５をボックス１
の底下に配置したものが知られている。

【０００６】貯留槽２の隣にピット８が構築され、ボッ
クス１はピット８上で貯留槽２への縁部に位置するダン
ピングヒンジ３を介して上下方向へ回動自由に支持され
る。ピット８内に油圧シリンダ５が立設され、ヘッド側
とロッド側でピット８底面とボックス１底面にそれぞれ
クレビスを介してピンで回動自由に連結される。

【０００７】そして、シリンダ５が伸側に作動するとボ
ックス１は所定角度の傾斜状態に持ち上げられ、シリン
ダ５が縮側に作動するとピット８の縁部上に脚柱９を介
して略水平状態に降下するようになっている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この例
では油圧シリンダ５がボックス１下側のピット８に収装
され、ボックス１の両側および後端側の３面で効率よく
荷卸しを行えるが、ピット８の構築に建設コストが嵩む
という不具合があった。

【０００９】この発明はこのような問題点を解決するこ
とを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】第１の発明では、ボック
スをその一端部でダンピングヒンジを介して上下方向へ
回動自由に支持し、ボックスの底下で略水平に直線運動
を行うアクチュエータと、アクチュエータの直線運動を
上下方向の回転運動に変換する腕の短いレバーと、その
運動量をレバー比に応じて増幅する腕の長いレバーと、
この長いレバーの回転運動をボックスの回動軌跡の接線
方向への作用力に変換するリンクとを設ける。

【００１１】第２の発明では、ボックスをその一端部で
ダンピングヒンジを介して上下方向へ回動自由に支持
し、ボックスの底下で略水平に直線運動を行うアクチュ
エータと、アクチュエータの直線運動を上下方向の回転
運動に変換する腕の短いレバーと、その運動量をレバー
比に応じて増幅する腕の長いレバーと、この長いレバー
の回転運動をボックスの回動軌跡の接線方向への作用力
に変換するローラとを設ける。

【００１２】第３の発明では、第１の発明または第２の
発明における腕の長いレバーと腕の短いレバーとして、
これら２つのレバーを同じ平面上で所定の角度をもって
連結するベルクランクを設ける。

【００１３】第４の発明では、第１の発明または第２の
発明におけるボックスは、底面にヒンジを介して外方へ
略水平に展開可能な側壁を備える。

【００１４】

【作用】第１の発明によれば、アクチュエータの直線運
動は腕の短いレバーで回転運動に変換され、その運動量
を腕の長いレバーが増幅するため、ボックスは腕の長い
レバーで持ち上げられる。ダンピングヒンジを中心に回
動するボックスに対して腕の長いレバーの回転中心は、
アクチュエータの大型化を回避する上から後方へ偏位さ
れるが、リンクが両者の回動軌跡のずれを吸収しなが
ら、レバーの回転運動をボックスの回動軌跡の接線方向
への作用力に変換するため、ボックスは所定の傾斜角度
に起立するダンピング位置へ回動し、それ以上の回動も
リンクを介して抑えられる。アクチュエータは腕の短い
レバーを回動させながら直線運動するが、レバーの回動
に伴う揺動角が小さいため、ボックス下側に深いピット
を構築することなく収装できる。

【００１５】第２の発明によれば、腕の長いレバーの回
動運動はローラを介してボックスの回動軌跡の接線方向
への作用力に変換される。つまり、ローラがボックス底
面を転がりながら、レバーとボックスの回動軌跡のずれ
を吸収するため、ボックスは第１の発明と同じく、アク
チュエータの直線運動に基づいて車両から廃棄物を受け
る略水平な荷卸し位置と、所定の傾斜角度に起立するダ
ンピング位置との間を円滑に回動する。この場合も、ア
クチュエータは腕の短いレバーを回動させながら直線運
動するが、レバーの回動に伴う揺動が小さくため、ボッ
クス下側に深いピットを構築することなく収装できる。

【００１６】第３の発明によれば、２つのレバーの形成
にベルクランクを１つ取り付けるだけで済むため、部品
数と取付工数の削減を得られる。

【００１７】第４の発明によれば、ボックスの側壁を略
水平に展開すると、荷卸し時にボックス内への車両の乗
り入れが可能になる。

【００１８】

【発明の実施の形態】図１，図２において、１０は廃棄
物の集積用ボックスで、荷卸しを受ける上面のほか、貯
留槽１１（焼却炉などの投入口を形成する）に臨む前端
側が開口され、貯留槽１１に近接する位置をダンピング
ヒンジ１２として上下方向へ回動自由に支持される。ボ
ックス１０の底下でその両側にブラケット１３が配置さ
れ、各ブラケット１３に油圧シリンダ１４がヘッド側ク
レビスを介してピンで上下方向へ回動自由に連結され
る。

【００１９】これらシリンダ１４のロッド側は後述する
ベルクランク１６の腕の短いレバー１６ａにクレビスを
介して連結される。ベルクランク１６はシリンダ１４の
伸縮（直線運動）を回転運動に変換する腕の短いレバー
１６ａと、その運動量をレバー比に応じて増幅する腕の
長いレバー１６ｂを同じ平面上で所定の角度を持たせて
連結したもので、この例では１本のシリンダ１４に左右
１対のベルクランク１６が使用される。２つのベルクラ
ンク１６は腕の短いレバー１６ａの先端がロッド１８で
結合され、このロッド１８上を油圧シリンダ１４のロッ
ド側クレビスが回動自由に連結される。

【００２０】ベルクランク１６は各組ごとにブラケット
１９でレバー１６ａと１６ｂの交差位置を支点としてヒ
ンジ２０を介して回動自由に支持される。これらベルク
ランク１６の腕の長いレバー１６ｂの先端にリンク１７
の一端がそれぞれ回動自由にピン結合され、各リンク１
７の他端はボックス１０の底部に同じく回動自由にピン
結合され、ベルクランク１６の回転中心とボックス１０
の回動中心とのずれを吸収するようになっている。ベル
クランク１６は両端が鈍角に広がるくの字形に形成さ
れ、ブラケット１９にその内角を下向きに取り付けられ
る。

【００２１】ベルクランク１６のレバー比については、
油圧シリンダ１４のストロークに基づいて、ボックス１
０が所定の角度範囲（略水平な荷卸し位置と所定のダン
ピング位置との間）を回動可能に設定される。なお、ベ
ルクランク１６のブラケット１９やシリンダ１４のブラ
ケット１３およびダンピングヒンジ１２のブラケット２
１は、貯留槽１１と一体に構築される基礎面２２にそれ
ぞれ固定される。

【００２２】このような構成により、ボックス１０内部
の集積物を貯留槽へ投入するときは、油圧シリンダ１４
を伸長状態から縮側に作動させる。シリンダ１４の直線
運動（ストローク）はベルクランク１６の腕の短いレバ
ー１６ａで回転運動に変換され、その運動量を腕の長い
レバー１６ｂが増幅するため、ボックス１０は腕の長い
レバー１６ｂで持ち上げられる。

【００２３】ダンピングヒンジ１２を中心に回動するボ
ックス１０に対して、腕の長いレバー１６ｂの回転中心
（ベルクランク１６のヒンジ２０）は、油圧シリンダ１
４の大型化を回避する上から後方に偏位されるが、リン
ク１７が両者の回動軌跡のずれを吸収しながら、レバー
１６ｂの回転運動をボックス１０の回動軌跡の接線方向
への作用力に変換する。

【００２４】そのため、ボックス１０は略水平な荷卸し
位置から所定の傾斜角度に起立するダンピング位置へ回
動し、それ以上の回動もリンク１７を介して抑えられ
る。ボックス１０内部の集積物は、ダンピング位置への
回動に伴ってボックス１０内を自重落下し、ボックス１
０の前端側から貯留槽１１へと投入される。このダンピ
ング作業が終了したら、油圧シリンダ１４を伸側に作動
すると、ボックス１０は降下して略水平な荷卸し位置に
復帰する。

【００２５】油圧シリンダ１４はベルクランク１６の腕
の短いレバー１６ａを回動させながら直線運動するが、
レバー１６ａの回動に伴う揺動角が小さいため、深いピ
ットを構築することなく、低コストでボックス１０下側
に収装できる。つまり、ボックス１０の３面で車両の荷
卸しを効率よく行えるのである。

【００２６】図３，図４はベルクランクの変形例を表す
もので、腕の短いレバー１６ａと腕の長いレバー１６ｂ
が鋭角に交差するベルクランク１６が使用され、ブラケ
ット１９に前記と反対にその内角を上向きにしてヒンジ
２０を介して取り付けられる。これによると、ボックス
１０は油圧シリンダ１４の伸側でダンピング位置に起立
し、油圧シリンダ１４の縮側で略水平な荷卸し位置に降
下する。そのため、通常の降下位置で油圧シリンダ１４
は収縮状態に維持され、ロッドの汚れでシリンダ１４が
故障を起こすことも少なくなる。

【００２７】別の実施形態として、リンク１７は図５の
ようなローラ２３に変更しても良い。この場合、ローラ
２３はベルクランク１６の腕の長いレバー１６ｂの先端
に車軸を介して回転自由に支持され、腕の長いレバー１
６ｂの回転運動に伴ってボックス１０底面を転がりなが
ら、ベルクランク１６の回動軌跡とボックス１０の回動
軌跡とのずれを吸収するようになっている。

【００２８】ボックス１０の実施形態については、荷卸
しを受ける上面のほか、貯留槽１１に臨む前端側が開口
されるが、ボックス１０底面を囲む３面の高さを変えず
に荷台の低い車両への対応性を高めるため、荷卸し時に
ボックス１０内への車両の乗り入れを可能にすると良
い。図６においては、ボックス１０の後端壁２５（車両
の進入方向に対する正面壁）がボックス１０底面にヒン
ジを介して外方へ展開可能に取り付けられ、ボックス１
０内への進入路にスロープ２４が形成される。

【００２９】なお、図３〜図６において、図１，図２と
同じ機能部品に同じ符号を付けて重複説明は省略する。

【００３０】

【発明の効果】第１の発明によれば、ボックスをその一
端部でダンピングヒンジを介して上下方向へ回動自由に
支持し、ボックスの底下で略水平に直線運動を行うアク
チュエータと、アクチュエータの直線運動を上下方向の
回転運動に変換する腕の短いレバーと、その運動量をレ
バー比に応じて増幅する腕の長いレバーと、この長いレ
バーの回転運動をボックスの回動軌跡の接線方向への作
用力に変換するリンクとを設けたので、アクチュエータ
は深いピットを構築することなく、荷卸しの邪魔になら
ないボックス下側に収装できる。つまり、ピットの建設
コストを低減できるという効果が得られる。

【００３１】第２の発明によれば、ボックスをその一端
部でダンピングヒンジを介して上下方向へ回動自由に支
持し、ボックスの底下で略水平に直線運動を行うアクチ
ュエータと、アクチュエータの直線運動を上下方向の回
転運動に変換する腕の短いレバーと、その運動量をレバ
ー比に応じて増幅する腕の長いレバーと、この長いレバ
ーの回転運動をボックスの回動軌跡の接線方向への作用
力に変換するローラとを設けたので、第１の発明と同じ
くピットの建設コストを低減できる。また、ローラは設
計が容易で誤差の許容度が大きく、ボックスの仕様違い
にも対応しやすいというメリットがある。

【００３２】第３の発明によれば、第１の発明または第
２の発明における腕の長いレバーと腕の短いレバーとし
て、これら２つのレバーを同じ平面上で所定の角度をも
って連結するベルクランクを設けたので、２つのレバー
の形成にベルクランクを１つ取り付けるだけで済むた
め、部品数と取付工数の削減を得られる。

【００３３】第４の発明によれば、第１の発明または第
２の発明におけるボックスは、底面にヒンジを介して外
方へ略水平に展開可能な側壁を備えたので、荷卸し時に
ボックス内への車両の乗り入れが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施形態を説明する側面図である。

【図２】同じく一部切欠平面図である。

【図３】同じく側面図である。

【図４】同じく一部切欠平面図である。

【図５】同じく側面図である。

【図６】同じく荷卸し時の側面図である。

【図７】従来例を説明する側面図である。

【図８】同じく平面図である。

【図９】同じく側面図である。

【図１０】同じく平面図である。

【図１１】同じくＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１０ ボックス １１ 貯留槽 １２ ダンピングヒンジ １３ シリンダブラケット １４ 油圧シリンダ １６ ベルクランク １６ａ 腕の短いレバー １６ｂ 腕の長いレバー １７ リンク １９ ベルクランクブラケット ２５ ボックスの後端壁

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ボックスをその一端部でダンピングヒンジ
   を介して上下方向へ回動自由に支持し、ボックスの底下
   で略水平に直線運動を行うアクチュエータと、アクチュ
   エータの直線運動を上下方向の回転運動に変換する腕の
   短いレバーと、その運動量をレバー比に応じて増幅する
   腕の長いレバーと、この長いレバーの回転運動をボック
   スの回動軌跡の接線方向への作用力に変換するリンクと
   を設けたことを特徴とするダンピングボックス装置。
2. 【請求項２】ボックスをその一端部でダンピングヒンジ
   を介して上下方向へ回動自由に支持し、ボックスの底下
   で略水平に直線運動を行うアクチュエータと、アクチュ
   エータの直線運動を上下方向の回転運動に変換する腕の
   短いレバーと、その運動量をレバー比に応じて増幅する
   腕の長いレバーと、この長いレバーの回転運動をボック
   スの回動軌跡の接線方向への作用力に変換するローラと
   を設けたことを特徴とするダンピングボックス装置。
3. 【請求項３】腕の長いレバーと腕の短いレバーとして、
   これら２つのレバーを同じ平面上で所定の角度をもって
   連結するベルクランクを設けたことを特徴とする請求項
   １または請求項２に記載のダンピングボックス装置。
4. 【請求項４】ボックスは底面にヒンジを介して外方へ略
   水平に展開可能な側壁を備えたことを特徴とする請求項
   １または請求項２に記載のダンピングボックス装置。