JPH09141766A

JPH09141766A - 樹脂容器

Info

Publication number: JPH09141766A
Application number: JP7299537A
Authority: JP
Inventors: Akihito Torii; 晶仁鳥居
Original assignee: Shiseido Co Ltd
Current assignee: Shiseido Co Ltd
Priority date: 1995-11-17
Filing date: 1995-11-17
Publication date: 1997-06-03

Abstract

(57)【要約】【課題】樹脂容器に、ガラス製の容器と同様の艶
消し効果を発生させて、意匠上の趣味感を高め、商品価
値を向上させる。この成形を簡便に行って、廉価に形成
する。【解決手段】ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂
又はポリエチレンテレフタレート樹脂等の形状保持用樹
脂の最外層に、アイオノマー樹脂を配置して一体成形す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、マット処理を施した樹
脂容器に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、化粧料、薬品、食品等を収納する
容器には、樹脂にて成形したものが多く使用されてい
る。この樹脂製の容器は、ガラス製の容器に比較して、
安価で軽量化できる利点を有している。また、装飾性の
問題から表面にマット処理を施して艶消しを形成した樹
脂容器は存在する。この従来の樹脂容器の素材には、ブ
ロー成型が容易で透明性及び耐衝撃に優れた、ポリプロ
ピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂等を用いていた。
また、ブロー成型用の金型の金属内面には、サンドブラ
スト、放電加工等により粗面加工を行い、この粗面形状
を樹脂表面に転写する事によって、樹脂容器の表面に艶
消し効果を生じさせていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来方
法に用いるポリプロピレン樹脂は、ブロー成型時の金型
の粗面形状を正確に転写する事ができず、ガラス製の容
器に比較して、艶消し効果が劣り、意匠上の趣味感が悪
く、商品価値を低下するものとなっていた。

【０００４】また、従来、ブロー成型で形成した樹脂容
器の表面に、特殊な塗装加工等を施し、艶消し効果を高
める方法が知られている。しかし、この方法は、塗装加
工に手間が掛かり、樹脂容器がコスト高になる欠点を有
していた。

【０００５】本発明は上述の如き課題を解決しようとす
るものであって、樹脂容器に、ガラス製の容器と同様の
艶消し効果を発生させて、意匠上の趣味感を高め、商品
価値を向上するものである。また、この樹脂容器の成形
を簡便に行って、廉価に形成しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上述の如き課題
を解決するため、形状保持用樹脂の最外層にアイオノマ
ー樹脂を配置して一体成形した事を特徴として成るもの
である。

【０００７】また、ポリプロピレン樹脂を内側に配置
し、アイオノマー樹脂を外側に配置して一体成形した事
を特徴として成るものである。

【０００８】また、ポリエチレン樹脂を内側に配置し、
アイオノマー樹脂を外側に配置して一体成形した事を特
徴として成るものである。

【０００９】また、ポリエチレンテレフタレート樹脂を
内側に配置し、このポリエチレンテレフタレート樹脂の
外面を接着剤層で被覆するとともにこの接着剤層の外側
にアイオノマー樹脂を配置して一体に接着成形した事を
特徴として成るものである。

【００１０】また、ポリエチレン樹脂を内側に配置し、
このポリエチレン樹脂の外面に再生樹脂を配置し、更に
この再生樹脂の外側に、アイオノマー樹脂を配置して一
体成形した事を特徴として成るものである。

【００１１】また、アイオノマー樹脂は、エチレン−メ
タクリル酸共重合体の分子間を、１価イオンにより架橋
して形成しても良い。

【００１２】また、アイオノマー樹脂は、エチレン−メ
タクリル酸共重合体の分子間を、２価金属イオンにより
架橋して形成しても良い。

【００１３】また、アイオノマー樹脂は、30μ以上、総
厚の80％以内の厚みで形成しても良い。

【００１４】また、接着剤層は、マレイン酸変性ポリエ
チレンにより形成しても良い。

【００１５】

【作用】本発明は、上述の如く金型表面の転写性に優れ
るものの、フレグランス等の匂いの安定性に劣るアイオ
ノマー樹脂を用いるものである。樹脂容器は、金型表面
の転写性に優れたアイオノマー樹脂を、形状保持用樹脂
の最外層に配置して一体成形するものであるから、ブロ
ー成型時の金型の粗面形状を表面側に正確に転写する事
が可能となる。また、樹脂容器は、フレグランスのよう
な内容物を収納しても、アイオノマー樹脂を外側に配置
するから、内容物によってアイオノマー樹脂の変質や内
容物の変質を生じる事がない。

【００１６】そのため、本発明の樹脂容器は、従来のポ
リプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂製の容器に比較
して、艶消し効果に優れ、ガラス製の艶消し容器の如き
風合いを得る事が可能となる。このため、樹脂容器は、
趣味感の高い容器の艶消しを形成でき、商品価値を高め
る事が可能となる。

【００１７】また、本発明の樹脂容器は、高い艶消し効
果を生じるため、ブロー成型後の特殊な塗装加工を不要
とし、成形作業を簡便に行って、廉価に形成する事が可
能となる。

【００１８】また、樹脂容器は、ポリプロピレン樹脂を
内側に配置し、アイオノマー樹脂を外側に配置して成形
すると、透明性の高いポリプロピレン樹脂を用いる事に
よって、アイオノマー樹脂の艶消し効果を引き立たせる
事ができ、意匠的趣味感を高める事ができる。

【００１９】また、ポリプロピレン樹脂を積層する事
で、樹脂容器は、耐衝撃性に優れ、経済的な成形が可能
となる。

【００２０】また、上記では、ポリプロピレン樹脂を用
いたが、樹脂容器は、半透明のポリエチレン樹脂を内側
に配置し、アイオノマー樹脂を外側に配置して一体成形
する事が可能である。この場合、アイオノマー樹脂は、
マット処理を表面全体に行わなくとも、半透明のポリエ
チレン樹脂を内側に重ねる事ができ、紫外線等の外部か
らの強い光を遮断して、内容物の変質等を防止する事が
可能となる。

【００２１】また、ポリエチレン樹脂を積層する事で、
樹脂容器は、一定の強度を有し、破損等を防止する事が
可能となる。

【００２２】また、上記では、ポリエチレン樹脂を用い
たが、樹脂容器は、ポリエチンレンテレフタレート樹脂
を内側に配置し、アイオノマー樹脂を外側に配置して成
形する事が可能である。このように、ポリエチレンより
も透明性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂を用い
る事によって、アイオノマー樹脂の艶消しを更に引き立
たせ、艶消し効果を高める事が可能となる。また、この
場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂とアイオノマー
樹脂とを、直接一体に融着する事はできないため、ポリ
エチンレンテレフタレート樹脂の外面を接着剤層で被覆
し、この接着剤層を介してポリエチンレンテレフタレー
ト樹脂とアイオノマー樹脂とを一体に接着する。

【００２３】また、この接着剤層は、マレイン酸変性ポ
リエチレンにより形成すれば、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂とアイオノマー樹脂との強固な接着が可能とな
る。

【００２４】また、ポリエチレンテレフタレート樹脂を
積層する事で、樹脂容器は、強靭で耐熱性に優れたもの
となる。

【００２５】また、上記では、ポリエチンレンテレフタ
レート樹脂を用いたが、樹脂容器は、ポリエチレン樹脂
を内側に配置し、このポリエチレン樹脂の外面に再生樹
脂を配置し、この再生樹脂の外側にアイオノマー樹脂を
配置して一体成形する事が可能である。この場合、樹脂
容器は、再生樹脂を用いる事によって、アイオノマー樹
脂の艶消し効果が多少劣るものの、スクラップ処理され
る再生樹脂で容器の補強ができ、資源の有効な利用を行
って、エコロジーへの貢献が可能となる。

【００２６】また、上記の各樹脂容器に於て、アイオノ
マー樹脂を、30μ以上、総厚の80％以内の厚みで形成す
れば、透明性が良好となり、艶消し効果が高まるととも
に一定の強度を得られ、破損を生じにくいものとなる。
また、アイオノマー樹脂を、30μ未満の厚みで形成する
と、強度が不足し、破損等を生じ易いものとなる。ま
た、アイオノマー樹脂を、総厚の80％を超えた厚みで形
成すると、透明性が低下すると同時に、コスト高となっ
て不経済なものとなる。

【００２７】また、アイオノマー樹脂は、エチレン−メ
タクリル酸共重合体の分子間を１価金属イオンにより架
橋して形成すれば、更に優れた透明感を得られ、艶消し
効果を大きく高める事が可能となる。

【００２８】また、アイオノマー樹脂は、エチレン−メ
タクリル酸共重合体の分子間を、２価イオンにより架橋
して形成すれば、透明性を得られ、艶消し効果を高める
とともに耐熱性を向上する事が可能となる。

【００２９】

【実施例】以下本発明の第１実施例を図１に於て説明す
れば、(１)は容器本体で、上端に口部(２)を形成し、下
端には底部(３)を形成している。この容器本体(１)は、
ブロー成形法によって形成し、形状保持用の内側の内面
層(４)をポリプロピレン樹脂にて形成する。このポリプ
ロピレン樹脂は、透明度が高く、耐衝撃性に優れてい
る。また、ブロー成型による容器等の成形を容易として
いる。

【００３０】また、この内面層(４)に用いるポリプロピ
レン樹脂には、ブロックタイプ、ランダムタイプ等の種
類の異なるものが存在する。例えば、ブロックタイプ
は、ポリプロピレン樹脂の中でも、落下強度に優れ、破
損等を生じにくいものであるが、ランダムタイプに比較
して透明性がやや劣っている。

【００３１】また、ランダムタイプは、ポリプロピレン
樹脂の中でも、透明度が高いものであるが、ブロックタ
イプに比較して、落下強度が少し低い。

【００３２】また、内面層(４)は、ブロックタイプ及び
ランダムタイプのどちらか一方を選択して使用する事が
可能であるが、この２種類のタイプを積層して用いる事
も可能なものである。

【００３３】また、容器本体(１)は、内面層(４)の外側
に外面層(５)を配置し、この外面層(５)をアイオノマー
樹脂にて形成している。このアイオノマー樹脂は、ブロ
ー成形の金型の内面に設けた粗面形状の転写性を良好と
し、ポリプロピレン等の他の樹脂に比較してマット処理
を容易とするから、艶消し効果が高いものである。ま
た、金型は、サンドブラスト、放電加工等により、内面
に粗面加工を施す事が可能である。

【００３４】また、アイオノマー樹脂は、エチレン−メ
タクリル酸共重合体の分子間を、Ｚｎイオン等の２価イ
オンにて架橋すれば、透明性が得られ、艶消し効果を高
めるとともに耐熱性を向上する事が可能となる。

【００３５】また、本発明の外面層(５)に用いるアイオ
ノマー樹脂の艶消し効果を検証する。この検証方法とし
ては、艶消し効果を光沢度に換算する方法が知られてい
る。また、この光沢度を測定する方法は、ＪＩＳＺ８
７４１(光沢度測定方法)に基づき、被験物の６０°の正
反射光を、デジタル携帯用光沢計(日本電色工業(株)Ｖ
Ｇ−２Ｐ)にて測定する。また、試験品に用いるアイオ
ノマー樹脂は、Ｎａイオン等の１価金属イオンの架橋に
よって形成し、金型の粗面形状を転写させて、表面にマ
ット処理を行ったものである。

【００３６】また、試験品に比較するものとして、比較
例１乃至比較例３を形成する。比較例１は、マット処理
を施さないポリスチレン樹脂(ＰＳ)である。また、比較
例２は、マット処理を行った高密度ポリエチレン樹脂
(ＨＤＰＥ)である。また、比較例３は、マット処理を行
ったポリプロピレン樹脂(ＰＳ)である。また、比較例２
及び比較例３は、いずれも試験品と同一の条件でマット
処理を行っている。

【００３７】

【表１】

【００３８】表１の検証結果から明らかな通り、比較例
１は、マット処理のないポリスチレン樹脂(ＰＳ)であっ
て、光沢度が極めて高い事が判明した。このような光沢
度の高い樹脂は、マット処理以外の他の目的の樹脂容器
に用いるのが一般的である。

【００３９】また、表１の光沢度は、可視波長範囲全域
に於て、屈折率1.567を示すガラスを基準とし、このガ
ラス表面の入射角を６０°に設定した場合の正反射光の
鏡面光沢度を100％として示すものである。

【００４０】また、比較例２は、高密度ポリエチレン樹
脂(ＨＤＰＥ)にマット処理を施したものである。この樹
脂は、半透明で光沢度が低いものの、マット処理を行っ
ても、試験品よりも光沢度が高く、艶消し効果があまり
表れていない事が判明した。

【００４１】また、比較例３は、ポリプロピレン樹脂
(ＰＰ)にマット処理を施したものであり、従来より艶消
し容器の代表的な素材として用いているものである。こ
のポリプロピレン樹脂(ＰＰ)は、透明性があって、て光
沢度が高いものである。そして、このポリプロピレン樹
脂(ＰＰ)は、マット処理を施す事によって、光沢度が低
下し、艶消し効果を一定の範囲まで高めている。しか
し、このポリプロピレン樹脂(ＰＰ)は、試験品のアイオ
ノマー樹脂に比較して、光沢度が高く、艶消し効果が不
足している事が判明した。

【００４２】また、試験品のアイオノマー樹脂は、成形
性に優れ、金型の粗面形状を表面側に正確に転写できる
ものであるから、同一の条件でマット処理を施した、比
較例２及び比較例３の被験物に比較して、光沢度を大幅
に低減でき、艶消し効果が極めて高い事が判明した。

【００４３】また、上記第１実施例に於て、容器本体
(１)は、ポリプロピレン樹脂を内面層(４)としたが、第
２実施例に於ては、半透明のポリエチレン樹脂を内面層
(４)とする。この場合、アイオノマー樹脂は、マット処
理を表面全体に行わなくとも、半透明のポリエチレン樹
脂を内側に重ねる事ができるから、紫外線等の外部から
の強い光を遮断して、内容物の変質等を防止する事が可
能となる。

【００４４】また、第３実施例に於て、容器本体(１)
は、図２に示す如く、ポリエチンレンテレフタレート樹
脂を内面層(４)とし、外面層(５)をアイオノマー樹脂と
している。このように、ポリエチレンよりも透明性の高
いポリエチレンテレフタレート樹脂を内面層(４)として
用いる事によって、アイオノマー樹脂の艶消しを更に引
き立たせ、艶消し効果を高める事が可能となる。また、
この場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂の内面層
(４)とアイオノマー樹脂の外面層(５)とを、直接融着す
る事はできないため、ポリエチンレンテレフタレート樹
脂の外面を、図２に示す如く、マレイン酸変性ポリエチ
レン等の接着剤層(６)で被覆し、この接着剤層(６)を介
して内面層(４)と外面層(５)とを一体に接着する。

【００４５】また、第４実施例に於て、容器本体(１)
は、ポリエチレン樹脂を内面層(４)とし、この内面層
(４)の外面に、図３に示す如く、再生樹脂(７)を配置し
ている。更に、この再生樹脂(７)の外側の外面層(５)を
アイオノマー樹脂としている。このように、再生樹脂
(７)を用いる事によって、容器本体(１)は、アイオノマ
ー樹脂の艶消し効果が多少劣るものの、スクラップ処理
される再生樹脂で容器本体(１)を補強でき、資源の有効
な利用を行って、エコロジーに貢献する事が可能とな
る。

【００４６】

【発明の効果】本発明は上述の如く構成したものである
から、樹脂容器は、金型表面の転写性に優れるアイオノ
マー樹脂を外側に配置して、ブロー成型時の金型の粗面
形状を表面側に正確に転写する事が可能となる。そのた
め、本発明の樹脂容器は、従来のポリプロピレン樹脂又
はポリエチレン樹脂製の容器に比較して、艶消し効果に
優れ、ガラス製の艶消し容器の如き風合いを得る事が可
能となる。このため、樹脂容器は、趣味感の高い容器の
艶消しを形成でき、商品価値を高める事が可能となる。

【００４７】また、本発明の樹脂容器は、高い艶消し効
果を生じるため、ブロー成型後の特殊な塗装加工を不要
とし、成形作業を簡便に行って、廉価に形成する事が可
能となる。

【００４８】また、樹脂容器は、フレグランス等の内容
物を収納しても、アイオノマー樹脂を外側に配置するか
ら、アイオノマー樹脂の変質や内容物の変質を生じる事
がないものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の断面図。

【図２】第３実施例の断面図。

【図３】第４実施例の断面図

【符号の説明】

６接着剤層７再生樹脂

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】形状保持用樹脂の最外層にアイオノマー
樹脂を配置して一体成形した事を特徴とする樹脂容器。
【請求項２】ポリプロピレン樹脂を内側に配置し、ア
イオノマー樹脂を外側に配置して一体成形した事を特徴
とする樹脂容器。
【請求項３】ポリエチレン樹脂を内側に配置し、アイ
オノマー樹脂を外側に配置して一体成形した事を特徴と
する樹脂容器。
【請求項４】ポリエチレンテレフタレート樹脂を内側
に配置し、このポリエチレンテレフタレート樹脂の外面
を接着剤層で被覆するとともにこの接着剤層の外側にア
イオノマー樹脂を配置して一体に接着成形した事を特徴
とする樹脂容器。
【請求項５】ポリエチレン樹脂を内側に配置し、この
ポリエチレン樹脂の外面に再生樹脂を配置し、更にこの
再生樹脂の外側に、アイオノマー樹脂を配置して一体成
形した事を特徴とする樹脂容器。
【請求項６】アイオノマー樹脂は、エチレン−メタク
リル酸共重合体の分子間を、１価イオンにより架橋して
形成した事を特徴とする請求項１、２、３、４又は５の
樹脂容器。
【請求項７】アイオノマー樹脂は、エチレン−メタク
リル酸共重合体の分子間を、２価金属イオンにより架橋
して形成した事を特徴とする請求項１、２、３、４又は
５の樹脂容器。
【請求項８】アイオノマー樹脂は、30μ以上、総厚の
80％以内の厚みで形成した事を特徴とする請求項１、
２、３、４又は５樹脂容器。
【請求項９】接着剤層は、マレイン酸変性ポリエチレ
ンにより形成した事を特徴とする請求項４の樹脂容器。