JPH09141342A - アルミニウム又はアルミニウム合金板の成形加工方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金板の成形加工方法

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JPH09141342A
JPH09141342A JP7295795A JP29579595A JPH09141342A JP H09141342 A JPH09141342 A JP H09141342A JP 7295795 A JP7295795 A JP 7295795A JP 29579595 A JP29579595 A JP 29579595A JP H09141342 A JPH09141342 A JP H09141342A
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JP
Japan
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aluminum
lubricant
solid lubricant
aluminum alloy
lubricating oil
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JP7295795A
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Inventor
Tomoyuki Sugita
知之 杉田
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固形潤滑剤の剥離による星目及び押し込み疵
の発生を防止すると共に、鋼板と同程度の成形性が得ら
れるアルミニウム及びアルミニウム合金板の成形加工法
を提供する。 【解決手段】 固形潤滑剤をアルミニウム又はアルミニ
ウム合金板11に塗布した後に、下型2のビード用凸部
6上に配置する。下型2の上面10に小穴14が設けら
れており、この小穴14より潤滑油を連続的に涌出させ
つつ、前記アルミニウム又はアルミニウム合金板11を
上型1と下型2とにより押圧して成形加工する。この場
合に、前記固形潤滑剤の水溶性樹脂、水溶性ワックス、
脂肪酸の金属塩及びそれらの混合物の含有量を総量で9
0重量%以上とし、前記固形潤滑剤の前記板11に対す
る塗布量を0.2乃至5g/m2とし、前記潤滑油の粘
度は10mm/秒2以下とし、前記潤滑油の1分間の涌
出量は、1分間に加工される板11の数をNとすると、
小穴14形成部分の単位面積当たり2N乃至30N(g
/m2分)とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車部品、電機機器
部品及び航空機部品等、加工が厳しく複雑な形状である
アルミニウム又はアルミニウム合金板製品を製造するの
に好適のアルミニウム又はアルミニウム合金板の成形加
工方法に関する。本発明において、アルミニウム又はア
ルミニウム合金を総称してアルミニウムという。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材は軽量であることに加
え、耐食性及び成形性が優れているため、鉄鋼材料に次
ぐ汎用金属材料として、自動車を始め種々の産業分野で
多用されている。最近、自動車の軽量化を図るため、ア
ルミニウム板の使用が次第に増加しつつあるが、アルミ
ニウム板は、鋼板に比して成形性が劣るため、成形時に
割れが発生しやすい。このため、潤滑性が良好な潤滑油
等を使用して、材料のダイ等への流入を円滑にする必要
があるが、粘度が高いプレス油を使用すると脱脂工程に
て脱脂することができず、塗装時にムラが発生する。こ
のため、自動車の組立工程では、アルミニウム板をプレ
ス加工する場合に、通常の鉱油潤滑油を使用するのでは
なく、潤滑性が優れた固形潤滑剤を使用することがあ
る。これは、固形潤滑剤を予め素材のアルミニウム板に
塗布し、この板表面に潤滑性の皮膜を形成し、プレス成
形性を高めようとするものである。プレスして得られた
製品は、その後の組立工程において潤滑剤が除去されな
い状態で、接着加工及び溶接加工が施され、組立工程が
終了後に、脱脂工程にて潤滑剤が除去される。
【0003】なお、洗浄油(粘度2乃至4mm/秒2
と共に固形潤滑剤をアルミニウム板の表面に塗布した
後、このアルミニウム板をプレス加工する方法が公知と
なっており、この加工方法により、成形性を向上させる
ことが可能であるが、自動車の組立工程では工程数を減
少させるため、原則として固形潤滑剤単体を使用してプ
レスしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術には、以下に示す問題点がある。即ち、アルミ
ニウム板には、プレス加工時に、ビード部等には、他の
部分に比して、より一層厳しい加工が負荷される部分が
あり、この部分から潤滑皮膜が剥がれて、金型内に堆積
する。このため、次の被加工材をプレスする場合に、こ
の剥がれた潤滑皮膜が、星目及び押し込み疵等の加工品
表面の形状不良を発生させるという問題点がある。ま
た、固形潤滑剤を使用した場合であっても、アルミニウ
ム板の成形性は、鋼板の成形性に比して劣るという欠点
がある。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、固形潤滑剤の剥離による星目及び押し込み
疵の発生を防止すると共に、鋼板と同程度の成形性が得
られるアルミニウム又はアルミニウム合金板の成形加工
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム又はアルミニウム合金板の成形加工方法は、固形潤滑
剤が塗布されたアルミニウム又はアルミニウム合金板
を、第1金型と第2金型との間で押圧して成形加工する
アルミニウム又はアルミニウム合金板の成形加工方法に
おいて、加工中に前記第1金型表面の所定部位から粘度
が10mm/秒2の潤滑油を連続的に涌出させる工程を
有し、前記固形潤滑剤における水溶性樹脂、水溶性ワッ
クス、脂肪酸の金属塩及びそれらの混合物の含有量を総
量で90重量%以上とし、前記固形潤滑剤の前記アルミ
ニウム又はアルミニウム合金板に対する塗布量を0.2
乃至5g/m2とし、前記潤滑油の1分間の涌出量は、
1分間に加工されるアルミニウム又はアルミニウム合金
板の数をNとすると、前記所定部位の単位面積当たり2
N乃至30N(g/m2分)であることを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合
金板の成形加工方法においては、潤滑剤として固形潤滑
剤を使用する。この固形潤滑剤は水溶性樹脂、水溶性ワ
ックス脂肪酸の金属塩及びこれらの混合物を、総量で9
0重量%以上含有する。この固形潤滑剤が0.2乃至5
g/m2塗布されたアルミニウム板を第1金型と第2金
型との間に配置し、第1金型表面の加工が厳しい部位等
の所定の部位から粘度が10mm/秒2以下の潤滑油
(以下、この潤滑油を涌出潤滑油という)を涌出させつ
つ、第1金型と第2金型とによりこのアルミニウム板を
押圧し、成形加工する。この場合に、1分間に加工され
るアルミニウム板の数をNとすると、涌出潤滑油の1分
間の涌出量が、所定部位の単位面積当たり2N乃至30
N(g/m2分)となるように設定する。そうすると、
プレス加工時に潤滑皮膜がアルミニウム板から剥離した
場合であっても、この剥離した潤滑皮膜は低粘度の涌出
潤滑油によって金型の外へ流出する。このため、剥離し
た潤滑皮膜による星目及び押し込み疵の発生が防止され
る。また、固形潤滑剤をアルミニウム板に塗布し、潤滑
油を涌出させつつ、このアルミニウム板をプレスするこ
とにより、鋼板と同程度の成形性を得ることができる。
【0008】次に、本発明における数値限定の理由につ
いて説明する。
【0009】固形潤滑剤の水溶性樹脂、水溶性ワック
ス、脂肪酸の金属塩及びこれらの混合物:総量で90重
量%以上 固形潤滑剤の水溶性樹脂、水溶性ワックス、脂肪酸の金
属塩及びそれらの混合物の含有量が90重量%未満で
は、不純物がアルミニウム板表面に吸着して、プレス後
の脱脂性が劣化する。従って、固形潤滑剤の水溶性樹
脂、水溶性ワックス、脂肪酸の金属塩及びこれらの混合
物の含有量は総量で90重量%以上とする。
【0010】なお、固形潤滑剤の組成については、成形
性が必要な場合は、脂肪酸の金属塩を主成分とすること
が好ましい。一方、脱脂性が必要な場合は、水溶性樹脂
及び水溶性ワックスを固形潤滑剤の主成分とすることが
好ましい。また、使用目的に応じて、上述以外の添加剤
を固形潤滑剤に加えてもよい。例えば、酸化防止剤、防
食剤、油性向上剤、極圧剤及び金属分散剤を加えてもよ
い。但し、これらの添加剤の添加量が10重量%を超え
ると、脱脂性が劣化するため、これらの添加剤の添加量
は、総量で10重量%以下とする。
【0011】水溶性ワックスとしては、ポリオキシエチ
レン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、カーボ
ワックス及びヘキストワックス等を挙げることができ
る。
【0012】水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコー
ル、ポリ酢酸ビニル及びオキシエチレンオキシプ(ブロ
ック)ポリマー等が挙げられる。
【0013】脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸、
パルミチン酸、ミステリン酸、ラウリン酸、アラキン
酸、ベヘン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリ
ン酸、ヒドロキシスレアリン酸及びリシノール酸等のソ
ーダ塩、カリ塩並びにその他の塩類が挙げられる。
【0014】固形潤滑剤の塗布量:0.2乃至5g/m
2 アルミニウム板に対する固形潤滑剤の塗布量が0.2g
/m2未満では、潤滑性が不足し、プレス加工時に割れ
が発生する。一方、アルミニウム板に対する固形潤滑剤
の塗布量が5g/m2を超える場合は、脱脂性が劣化
し、塗装工程において塗装ムラが発生する原因となる。
従って、アルミニウム板に対する固形潤滑剤の塗布量は
0.2乃至5g/m2とする。
【0015】涌出潤滑油の粘度:10mm/秒2以下 金型から涌出する涌出潤滑油の粘度が10mm/秒2
超える場合は、脱脂性が劣化し、塗装工程において塗装
ムラが発生する原因となる。従って、金型から涌出する
涌出潤滑油の粘度を10mm/秒2以下とする。
【0016】涌出潤滑油の1分間の涌出量(g/m
2分):1分間に加工されるアルミニウム板の数をNと
して、所定部位の単位面積当たり2N乃至30N(g/
2分) 1分間に加工されるアルミニウム板の数をNとする。金
型から涌出する涌出潤滑油の単位面積当たりの1分間の
涌出量が2N(g/m2分)未満では、低粘度油付与に
よる潤滑性の向上効果が十分ではない。また、プレス加
工時にアルミニウム板から固形潤滑剤の潤滑皮膜が剥離
し、この剥離した潤滑皮膜を金型外へ流出させることが
不十分となる。このため、プレス加工時にアルミニウム
板に割れが発生する原因となる。一方、涌出潤滑油の単
位面積当たりの1分間の涌出量が30N(g/m2分)
を超える場合は、涌出潤滑油の油量が過多となり、成形
品の表面にすじ模様が発生する。従って、金型から涌出
する涌出潤滑油の1分間の涌出量(g/m2分)は、1
分間に加工されるアルミニウム板の数をNとして、所定
部位の単位面積当たり2乃至30N(g/m2分)とす
る。
【0017】本発明において、成形材料であるアルミニ
ウム板の材質等については特に制限はなく、最終製品に
要求される特性が得られるように、適宜の成分系及び組
成のものを選択すればよい。例えば、高い強度が必要と
される場合は、Al−高Mg(Mg含有量3乃至6重量
%)系のアルミニウム合金板を使用することが望まし
い。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例方法について、添付の
図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1
実施例方法について説明する。図1はこの実施例方法を
示す模式的断面図、図2は金型の下型及びポンチを示す
平面図である。図1に示すように、下板4には支持台8
が立設されており、支持台8の上部に下型2が配置され
ている。下型2の上面10には、ビード用の凸部6が形
成されている。プレス加工時には、凸部6上にブランク
(アルミニウム板)11が配置される。ブランク11の
表面には固形潤滑剤が塗布されており、その塗布量は、
0.2乃至5g/m2の範囲で設定される。また、固形
潤滑剤の水溶性樹脂、水溶性ワックス、脂肪酸の金属塩
及びそれらの混合物の含有量は総量で90重量%以上で
ある。
【0019】下板4の中央部には、直方体状のポンチ1
2が配置されており、ポンチ12は下型2及び支持台8
に取り囲まれている。ポンチ12上部の角部13は面取
りされた形状となっている。凸部6は、ブランク11に
厳しい加工を負荷する部位であるため、図2に示すよう
に、上面10の凸部6の両側の近傍には多数の小穴14
が形成されている。各小穴14の直径は20μmであ
り、各小穴14は管15を介してポンプ16に接続され
ている。ポンプ16は管17を介して油タンク18に接
続されており、ポンプ16が油タンク18より涌出潤滑
油を汲み出し、この涌出潤滑油が小穴14から滲み出す
ようになっている。この涌出潤滑油の粘度は10mm/
2以下である。また、この涌出潤滑油の涌出量は、ポ
ンプ16の出力を調整することにより、調整することが
できる。上面10の小穴14が形成された部分におい
て、涌出潤滑油の1分間の涌出量は、1分間に加工され
るアルミニウム板の数をNとすると、この形成部分の単
位面積当たり2N乃至30N(g/m2分)となるよう
に設定する。一方、矩形をなす上板3の下面には上型1
が設けられており、上型1は上板3の4辺に沿ってその
縁部に設けられている。上型1の下面9には、ビード用
の凹部5が設けられており、この凹部5に下型の凸部6
が嵌合するようになっている。上型1の内周側の角部に
は、面取りされた形状のダイ部7が形成されている。
【0020】このように構成された金型及びポンチにお
いて、ブランク11に固形潤滑剤を塗布し、ブランク1
1表面に潤滑皮膜を形成した後、ブランク11を凸部6
上に配置する。次に、上型1を下降させ、上型1の凹部
5と下型2の凸部6とにより、ブランク11を挟み込
み、ブランク11の周縁部19の伸長を規制しつつ、涌
出潤滑油を小穴14より滲み出させる。潤滑油を滲み出
させたまま、更に上型1を下降させると、上型1の下降
に伴って、下型2は上型1にブランク11を介して押圧
され、下型2が支持台8に沿って下降し、ブランク11
がポンチ12に当接する。そして、更に上型1を下降さ
せると、ブランク11は角部13とダイ部7とにより挟
まれ、ブランク11は角筒状に絞り成形加工される。そ
うすると、プレス加工時に潤滑皮膜がブランク11から
剥離した場合であっても、小穴14から涌出潤滑油が滲
み出しているため、剥離した潤滑皮膜は涌出潤滑油によ
って金型の外へ流出する。これにより、成形品に星目及
び押し込み疵が発生することを防止できる。また、固形
潤滑剤をブランク11に塗布し、涌出潤滑油を小穴14
より滲み出させつつ、ブランク11をプレスすることに
より、鋼板並みの成形性を得ることができる。
【0021】次に、第2実施例方法について説明する。
図3はこの実施例方法を示す模式的断面図、図4は金型
の上型を示す底面図である。図3において、図1と同一
物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図
4においても、図2と同一物には同一符号を付してその
詳細な説明は省略する。図3に示すように、下板4には
支持台8が立設されており、支持台8の上部に下型2が
配置されている。下板4の中央部には、直方体状のポン
チ12が配置されており、ポンチ12は下型2及び支持
台8に取り囲まれている。下板4の上面10には、ビー
ド用の凸部6が形成されている。但し、第1実施例とは
異なり、上面10に小穴は形成されていない。矩形をな
す上板3の下面に上型1が設けられており、上型1は上
板3の4辺に沿ってその縁部に設けられている。上型1
の下面9には、ビード用凹部5が設けられており、この
凹部5に下型の凸部6が嵌合するようになっている。凹
部5は、ブランク11に厳しい加工を負荷する部位であ
るため、図4に示すように、凹部5の両側には、多数の
小穴14が形成されている。各小穴14は管15を介し
てポンプ16に接続されており、ポンプ16は管17を
介して油タンク18に接続されている。油タンク18に
は涌出潤滑油が貯蔵されており、ポンプ16は油タンク
18より涌出潤滑油を汲み出し、涌出潤滑油を小穴14
から滲み出させる。涌出潤滑油の粘度及び涌出量は、第
1実施例方法と同様である。
【0022】このように構成された金型及びポンチにお
いて、ブランク11に固形潤滑剤を塗布し、ブランク1
1表面に潤滑皮膜を形成した後、ブランク11を凸部6
上に配置する。この場合に固形潤滑剤の組成及び塗布量
は第1実施例方法と同一なものとする。次に、第1実施
例と同様に、上型1を下降させ、上型1の凹部5と下型
2の凸部6とにより、ブランク11を挟み込み、ブラン
ク11の周縁部19の伸長を規制しつつ、涌出潤滑油を
小穴14より滲み出させ、ブランク11を角筒状に絞り
成形加工する。そうすると、プレス加工時に潤滑皮膜が
ブランク11から剥離した場合であっても、上型1の小
穴14から涌出潤滑油が滲み出しているため、剥離した
潤滑皮膜は涌出潤滑油によって金型の外へ流出する。こ
れにより、第1実施例と同様に、成形品に星目及び押し
込み疵が発生することが防止されると共に、鋼板並みの
成形性を得ることができる。
【0023】なお、上述の実施例方法は、いずれもアル
ミニウム板を角筒状に絞り成形加工するものであるが、
これに限られるわけではなく、各種の深絞り成形加工及
びその他の成形加工に適用することができる。また、上
述の各実施例方法においては、ビード部(凹部5又は凸
部6)の近傍に小穴14を設け、涌出潤滑油を滲み出さ
せたが、加工が厳しい他の部分に小穴14を設け、涌出
潤滑油を滲み出させてもよい。
【0024】次に、図1及び図2に示す第1実施例方法
により実際にアルミニウム板を成形加工した結果につい
て、その比較例と比較して説明する。下記表1に示す加
工例(実施例No.1〜10、比較例No.11〜2
2)について、プレス成形性及び脱脂工程における脱脂
性を調査すると共に、プレス加工後の成形品を表面観察
した。固形潤滑剤以外の潤滑剤として高粘度のプレス油
(200mm/秒2/40℃。即ち、40℃の温度にお
ける粘度が200mm/秒2)又は市販の洗浄油(鉱油
系、4mm/秒2/40℃。即ち、40℃の温度におけ
る粘度が4mm/秒2)をアルミニウム板に塗布した場
合について調査した。また、現行の鋼板の成形性につい
ても調査した。この試験に使用した供試材、供試潤滑油
及び評価方法を以下に示す。なお、同一の試験を3回実
施し(n=3)、その平均値をとった。
【0025】試験の供試材として、実施例No.1〜1
0及び比較例No.11〜21においては、JIS51
82−Oにより規定される厚さが1mmのアルミニウム
合金板を使用した。また、比較例No.22では、供試
材として厚さが1mmの鋼板(JIS SPCC)を使
用した。実施例No.1、5〜9及び比較例No.14
〜19の固形潤滑剤には、ポリアルキレンオキサイド8
0重量%+ステアリン酸カリ20重量%のものを使用し
た。実施例No.2の固形潤滑剤については、ポリビニ
ルアルコール80重量%+ステアリン酸亜鉛20重量%
のものを使用した。実施例No.3の固形潤滑剤には、
セルロース50重量%+パルチミン酸カルシウム50重
量%のものを使用し、実施例No.4の固形潤滑剤に
は、ポリアクリル酸80重量%+ステアリン酸カリ20
重量%のものを使用した。実施例No.10の固形潤滑
剤には、実施例No.1の潤滑剤に界面活性剤としてト
リエタノールアミンを加えたもの(ポリアルキレンオキ
サイド74重量%+ステアリン酸カリ19重量%+トリ
エタノールアミン7重量%)を使用した。また、比較例
No.11、12の固形潤滑剤には、夫々、動物油脂、
カルナバワックスを使用した。これら固形潤滑剤の塗布
量はバーコーダーにより調整された。比較例No.13
の固形潤滑剤には、実施例No.1の潤滑剤に界面活性
剤としてトリエタノールアミンを加えたもの(ポリアル
キレンオキサイド71重量%+ステアリン酸カリ18重
量%+トリエタノールアミン11重量%)を使用した。
【0026】比較例No.20、21では、固形潤滑剤
以外の潤滑剤を供試材に塗布した。比較例No.20で
は、潤滑剤として洗浄油(市販品 粘度4mm/秒2
を供試材に塗布し、比較例No.21では潤滑剤として
高粘度プレス油(市販品 粘度200mm/秒2)を供
試材に塗布した。比較例No.20、21においては、
いずれも試験直前に、潤滑剤を供試材にはけ塗りした。
【0027】また、金型から涌出する涌出潤滑油とし
て、パラフィン系の鉱物油を使用した。なお、実施例及
び比較例における鉱物油の粘度を、鉱物油の組成を変更
することによって、調整した。
【0028】下記表1に潤滑剤の組成、潤滑剤の塗布
量、涌出潤滑油の粘度及び涌出潤滑油の涌出量を示す。
【0029】
【表1】 なお、上記表中の比較例No.22の供試材は、鋼板
(JIS SPCC)である。
【0030】各実施例及び比較例の成形性、製品の表面
形状及び脱脂性は以下のように評価した。先ず、成形性
の試験方法について説明する。80tonのメカニカル
プレスにて、角筒絞り成形をアルミニウム合金板及び鋼
板に割れが生じるまで実施し、割れが生じた高さ(最大
成形高さ)により成形性を評価することにした。最大成
形高さが30.0mm以上の場合を○(良好)とし、3
0.0未満の場合を×(不良)とした。成形試験の試験
条件を下記表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】製品の表面形状は、以下のようにして評価
した。上記表2の条件で、成形高さが14mmとなるよ
うに供試材を成形加工し、連続的に成形品を10個作製
した。成形品を目視により観察し、星目、押し込み疵及
び製品表面上のすじ模様等の不具合が発生していないか
調査し、全ての成形品に不具合が無ければ○(良好)と
し、不具合が1個でもあれば×(不良)とした。
【0033】図5は、角筒状に絞り成形加工されたブラ
ンク11を示す模式図である。図5に示すように、ポン
チ12及びダイ部7の形状に倣って、ブランク(供試
材)11には上面20、側面21及び下面22が形成さ
れる。成形性が不良である場合は、上面20にすじ模様
23及び星目24が発生したり、側部21に押し込疵2
5が発生したりする。
【0034】脱脂性は、以下のようにして評価した。各
供試材に実施例No.1〜10及び比較例No.11〜
22の潤滑剤(固形潤滑剤+パラフィン系鉱油)を塗布
した後、未成形の各供試材をケイ酸ソーダ型アルカリ脱
脂液(43±2℃、pH=10.5)に2分間浸漬し
た。次いで、各供試材を取り出して水洗した後、各供試
材の水濡れ面積率を調査した。水濡れ面積が80%以上
のものを○(良好)とし、80%未満のものを×(不
良)とした。
【0035】得られた結果を下記表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】上記表1に示すように、実施例No.1〜
10においては、成形性、成形面の表面形状及び脱脂性
のいずれもが良好であった。また、実施例No.1〜1
0の角筒絞り高さは、比較例No.22の30mmに比
して高くなった。即ち、各実施例の成形性は鋼板と同等
以上となっている。
【0038】一方、比較例No.11では、潤滑剤に動
物油脂を使用したために、水濡れ面積率が0%と脱脂性
が極めて劣化した。比較例No.12では、潤滑剤にカ
ルナバワックスを使用したため、成形性が不十分であ
り、角筒絞り高さが21mmと低かった。比較例No.
13では、トリエタノールアミンの含有量が11重量%
であり、水溶性樹脂、水溶性ワックス、脂肪酸の金属塩
及びそれらの混合物の含有量が総量で90重量%未満で
あったため、脱脂性が劣化した。比較例No.14にお
いては、潤滑剤の組成は本発明にて規定したものであっ
たものの、この潤滑剤の塗布量が6.0g/m2と本発
明にて規定した範囲より多かったため、水濡れ面積率が
50%と脱脂性が劣化した。比較例No.15では、潤
滑剤の塗布量が0.1g/m2と本発明にて規定した範
囲より少なかったため、角筒絞り高さが22mmと成形
性が劣化した。比較例No.16では、涌出潤滑油の粘
度が15mm/秒2と本発明にて規定した値より大きか
ったため、水濡れ面積率が60%と脱脂性が劣化した。
比較例No.17では、成形品1個当たりの涌出潤滑油
の涌出量が1g/m2分と本発明にて規定した量より少
なかったため、角筒絞り高さが26mmとなり、充分な
成形性向上効果を得ることができなかった。また、剥離
した潤滑剤がそのまま金型内に残存したため、押込み疵
が発生した。比較例No.18では、成形品1個当たり
の涌出潤滑油の涌出量が40g/m2分と本発明にて規
定した量より多かったため、成形品の表面にすじ状の模
様が発生した。比較例No.19では、涌出潤滑油を涌
出させなかったため、成形性向上効果を得ることができ
ず、剥離した潤滑剤が金型内に残存した。このため、成
形性、成形面の表面形状及び脱脂性のいずれもが不良で
あった。比較例No.20では、潤滑剤として洗浄油を
使用したため、角筒絞り高さが16mmと成形性が低下
した。比較例No.21においては、潤滑剤として高粘
度のプレス油を使用したため、水濡れ面積率が0%と脱
脂性が劣化した。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
水溶性樹脂、水溶性ワックス、脂肪酸の金属塩及びそれ
らの混合物が主成分である固形潤滑剤が塗布されたアル
ミニウム又はアルミニウム合金板を第1金型と第2金型
との間で押圧し成形加工する際に、金型表面から低粘度
の潤滑油を涌出させつつ、この金型により成形加工する
ので、従来のプレス加工では加工が困難であった形状に
アルミニウム又はアルミニウム合金板を成形加工するこ
とができることに加え、通常のプレス加工と同等の製品
の表面品質を維持しつつ、脱脂性を向上させることがで
きる。これにより、アルミニウム又はアルミニウム合金
板の適用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す模式的断面図であ
る。
【図2】金型の下型及びポンチを示す平面図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す模式的断面図であ
る。
【図4】金型の上型を示す底面図である。
【図5】角筒状に絞り成形加工されたブランク11を示
す模式図である。
【符号の説明】
1;上型 2;下型 3;上板 4;下板 5;凹部 6;凸部 7;ダイ部 8;支持台 9,22;下面 10,20;上面 11;ブランク 12;ポンチ 13;角部 14;小穴 15,17;管 16;ポンプ 18;油タンク 19;周縁部 21;側面 23;すじ模様 24;星目 25;押し込疵

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固形潤滑剤が塗布されたアルミニウム又
    はアルミニウム合金板を、第1金型と第2金型との間で
    押圧して成形加工するアルミニウム又はアルミニウム合
    金板の成形加工方法において、加工中に前記第1金型表
    面の所定部位から粘度が10mm/秒2の潤滑油を連続
    的に涌出させる工程を有し、前記固形潤滑剤における水
    溶性樹脂、水溶性ワックス、脂肪酸の金属塩及びそれら
    の混合物の含有量を総量で90重量%以上とし、前記固
    形潤滑剤の前記アルミニウム又はアルミニウム合金板に
    対する塗布量を0.2乃至5g/m2とし、前記潤滑油
    の1分間の涌出量は、1分間に加工されるアルミニウム
    又はアルミニウム合金板の数をNとすると、前記所定部
    位の単位面積当たり2N乃至30N(g/m2分)であ
    ることを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金
    板の成形加工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150020236A (ko) * 2012-02-03 2015-02-25 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 성형 가공용 알루미늄판
JP2017001045A (ja) * 2015-06-05 2017-01-05 株式会社デンソー プレス金型

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