JPH09141089A - リポ蛋白質結合用ペプチド及びリポ蛋白質吸着材 - Google Patents

リポ蛋白質結合用ペプチド及びリポ蛋白質吸着材

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JPH09141089A
JPH09141089A JP7327912A JP32791295A JPH09141089A JP H09141089 A JPH09141089 A JP H09141089A JP 7327912 A JP7327912 A JP 7327912A JP 32791295 A JP32791295 A JP 32791295A JP H09141089 A JPH09141089 A JP H09141089A
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JP
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lipoprotein
peptide
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terminal
amino acid
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JP7327912A
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Masako Ikenaga
正子 池永
Hajime Yoshida
一 吉田
Yuichi Tamura
雄一 田村
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
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Asahi Medical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブラジキニンを上昇させず、カルシウムやマ
グネシウムイオンを結合しない、リポ蛋白質と特異的に
結合する安定な低分子量の化合物を提供することにあ
る。 【解決手段】 少なくとも一方の末端構成単位が式1で
あり、3個以上20個以下の構成単位からなることを特
徴とするリポ蛋白質結合用ペプチドと、該ペプチドを水
不溶性担体表面に有することを特徴とするリポ蛋白質吸
着材。 X:末端にアミノ基を有するCが3個以上30個以下の
アルキル鎖

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リポ蛋白質、特にリポ
蛋白質中のLDLとの結合性を有するリポ蛋白質結合用
ペプチドと、該ペプチドを表面に有する水不溶性担体か
らなるリポ蛋白質吸着材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来はリポ蛋白質を吸着して分離あるい
は、除去する目的においてデキストラン硫酸、ヘパリン
等の硫酸化多糖類やポリアクリル酸、ポリスチレンスル
フォン酸等、高分子ポリアニオン化合物が利用されてい
た。例えば体外循環によるリポ蛋白質吸着材として架橋
セルロースビーズ表面に分子量5,000のデキストラ
ン硫酸を固定した吸着材が利用されている。高分子ポリ
アニオン化合物は、そのアニオン性基を介しリポ蛋白質
表面のカチオン性に富んだ構造部と静電的に結合する。
しかしながら血漿中には血液凝固第XII因子や高分子
キニノーゲン等の表面にカチオン性に富んだ構造部を有
する蛋白質が多く存在し、これらとも静電的に結合して
しまうなどの非特異結合があるため、リポ蛋白質と特異
的に結合しうるものではない。例えば前記架橋セルロー
スビーズ表面に分子量5,000のデキストラン硫酸を
固定した吸着材では、血漿中の血液凝固第XII因子や
高分子キニノーゲンも又吸着し、活性化してしまうた
め、体外循環中に血漿中のブラジキニンが極端に上昇す
ることが知られている。この上昇を抑制するために、し
ばしば抗凝固剤として高価なメシル酸ナファモスタット
を使用しなければならなかった。又、カルシウムやマグ
ネシウム等の多価金属イオンとも結合するため、例えば
血漿中のイオンバランスを保つために、これらイオンの
補充が必要であった。更に、高分子ポリアニオン化合物
の内、リポ蛋白質との結合性や取り扱い性等の点におい
てデキストラン硫酸等の硫酸化化合物が特に頻繁に利用
されているが、硫酸基部分は構造的にやや不安定である
などの欠点も又有していた。又、高分子ポリアニオン化
合物は分子量5,000未満ではリポ蛋白質との結合力
が極端に低下するため好ましくない。現在利用されてい
る高分子ポリアニオン化合物は分子量5,000以上の
ものであるが、例えば吸着材として担体表面に高分子ポ
リアニオンを固定した際、高分子故に未固定のものが絡
み合って担体表面に残存することが考えられる。そのた
め未固定の高分子ポリアニオンが実使用時に溶出するこ
とを防ぐ目的で、製造工程での十分な洗浄が必要であ
り、経済上及び作業上の問題点であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ブラ
ジキニンを上昇させず、カルシウムやマグネシウムイオ
ンを結合しない、リポ蛋白質と特異的に結合する安定な
低分子量の化合物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、本発明を成すに至
った。即ち本発明の要旨は以下のとおりである。3個以
上20個以下の構成単位からなり、少なくとも一方の末
端構成単位が式1であることを特徴とするリポ蛋白質結
合用ペプチド。 X:末端にアミノ基を有するCが3個以上30個以下の
アルキル鎖 末端構成単位に続く第2構成単位が式2であることを特
徴とするリポ蛋白質結合用ペプチド。 Y:環状構成を有さないCが1個以上30個以下のアル
キル鎖 末端構成単位から数えて第3番目以降の構成単位が式3
であることを特徴とするリポ蛋白質結合用ペプチド。 Z:環状構成を有さないCが1個以上10個以下のアル
キル鎖 3個以上20個以下の構成単位からなり、全構成単位中
に占める非極性構成単位と塩基性構成単位の合計存在比
率が40%以上であることを特徴とするリポ蛋白質結合
用ペプチド。3個以上20個以下の構成単位からなり、
全構成単位中に占める非極性構成単位と塩基性構成単位
の合計存在比率が40%以上であることを特徴とするリ
ポ蛋白質結合用ペプチド。少なくとも一方の末端アミノ
酸又はその誘導体の側鎖末端のハイドロジェンpKaが
30.0以上であることを特徴とするリポ蛋白質結合用
ペプチド。上記のいずれかのリポ蛋白質結合用ペプチド
を水不溶性担体表面に有することを特徴とするリポ蛋白
質吸着材。
【0005】本発明のペプチドは、蛍光物質、化学発光
物質、酵素或いは放射性物質等のマーカー物質と結合さ
れてリポ蛋白質を検出或いは定量する手段として用いる
ことができる。又、該ペプチドに薬剤を結合させて、例
えばリポ蛋白質を介して肝細胞に薬剤を取り込むなどの
ドラックデリバリーに利用できる。特に吸着材として、
血漿などのリポ蛋白質を含有する溶液中よりリポ蛋白質
を吸着して分離或いは除去することができる。詳しくは
血漿を体外に灌流して吸着材と接触させてリポ蛋白質を
除去する体外循環に用いる。
【0006】構成単位 本発明でいう構成単位とは、1分子中にアミノ基とカル
ボキシル基とを共に有する有機化合物をいい、天然アミ
ノ酸、合成アミノ酸、或いはそれらの誘導体をいう。こ
れらの内、溶出等により血液中に遊離した場合の免疫細
胞等への影響が少ないことよりαアミノ酸又はその誘導
体であることが好ましい。構成単位の分子量は、ペプチ
ドとして鎖状に合成する際の合成のしやすさより、1,
000以下であることが好ましい。構成単位は重合前の
単量体として次の式4で表される。 A:構成単位の側鎖 これには光学異性体や、構成単位中のアミノ基、カルボ
キシル基、グアニジル基、カルバミド基、水酸基、メル
カプト基、イミダゾリル基、インドリル基が各種保護基
で修飾されたものであってもよい。これらの内、血漿中
に遊離した場合に生体への影響が少ない点より、必須ア
ミノ酸がより好ましい。好ましい構成単位を例示する
と、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイ
シン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニ
ン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタ
ミン酸、α−アミノアジピン酸、リシン、ヒドロキシリ
シン、アルギニン、オルニチン、N−アセチルグルタミ
ン、Nα−アセチルリジン、α−アミノイソ酪酸、β−
アミノイソ酪酸、α−アミノオクタン酸、α−アミノ−
N−カプロン酸、6−アミノカプロン酸、α−アミノ吉
草酸、δ−δ−アミノ吉草酸、β−アミノグルタル酸、
α−アミノ−δ−ヒドロキシ吉草酸、α−アミノ−β−
ヒドロキシ酪酸、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、δ
−アミノレブリン酸、βアラニン、アルギノコハク酸、
イソセリン、allo−イソロイシン、エチオニン、カ
ナバニン、カナリン、s−カルボキシメチルホモシステ
イン、グアニジノ酪酸、グリコシアミン、グルタチオ
ン、クレアチン、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,
4−ジアミン−N−酪酸、シスタチオニン、シスチンス
ルフィン酸、システイン酸、シトルリン、NG,N’G
−ジメチルアルギニン、NG,NG−ジメチルアルギニ
ン、3,3’−ジョ−ドチロニン、セレノシスチン、セ
レノメチオニン、トレオニン、allo−トレオニン、
ノルバリン、ノルオイシン、3−ヒドロキシアスパラギ
ン酸、3−ヒドロキシグルタミン酸、β−ヒドロキシノ
ルバリン、δ−ヒドロキシリシン、O−ホスホセリン、
ホスアルギニン、ホモシステイン、ホモセレイン、メチ
オニンスルホキシド、β−メチルアスパラギン酸、γ−
メチルグルタミン酸、Nδ−メチルリシン、などがあげ
られる。更に驚くことに、従来は化合物中のアニオン性
基がリポ蛋白質との静電的相互作用結合に重要であった
が、本発明では末端構成単位中の側鎖中にアミノ基を有
することが、リポ蛋白質との結合性を高めてより好まし
い。この理由は定かではないが、従来のポリアニオン化
合物とはリポ蛋白質上の全く異なる部分を認識している
と考えられる。この点でより好ましい構成単位を例示す
るとリシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、オルニチ
ン、Nα−アセチルリジン、カンバニン、グアニジノ酪
酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ
−N−酪酸、シトルリン、δ−ヒドロキシリシンなどが
あげられる。更に、末端構成単位に続く構成単位の側鎖
中に環状構造を有さないことが好ましい。この理由も定
かではない。この点で好ましい構成単位を例示すると、
グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシ
ン、α−アミノイソ酪酸、ノルバリン、ノルロイシンな
どがあげられる。更に、これらのアミノ酸のうち非極性
脂肪族アミノ酸又はその誘導体であることがより好まし
い。
【0007】ハイドロジェンpKa 本発明でいうハイドロジェンpKa(Hydrogen
pKa)とは、固体状態でのアミノ酸又はその誘導体
分子中の水素原子のpKaであって一部を表1に例示す
る。側鎖末端のハイドロジェンpKaとは、主鎖に対し
最も遠くに位置する水素原子のハイドロジェンpKaと
する。主鎖に対して最も遠くに位置する側鎖の水素原子
が2個以上ある場合は、その平均値をハイドロジェンp
Kaとする。側鎖の主鎖に対し最も遠くに環状構造を有
する場合は、その環状構造に結合している水素の平均値
をハイドロジェンpKaとする。ハイドロジェンpKa
の計算は複雑であるが、既にハイドロジェンpKaの計
算ソフトウェアーとして「Beaker ver2.0
(Registered to:Kent H.Nak
agawa,Stanford Universit
y)」が知られている。
【0008】ペプチド ペプチドとは1つの構成単位中のアミノ基と他の構成単
位中のカルボキシル基とが結合するペプチド結合を繰り
返し、鎖状に伸長した化合物をいう。ペプチドは、構成
単位数が2個以下ではリポ蛋白脂質との結合力が低く、
好ましくない。又20個を越えると構造が不安定にな
り、熱滅菌による変成等の危険性が生じること、合成が
困難になり費用もかかることよりやはり好ましくない。
好ましい構成単位数は3個から20個以下であり、より
好ましいペプチドの大きさを分子量で表す時、構成単位
数と同様の理由より300以上5,000以下であり、
より好ましくは500以上2,000以下である。
【0009】構成単位の性状 本発明のペプチドは、少なくとも一方の末端構成単位が
下記式1であることを特徴とする。 構成単位の性状 X:末端にアミノ基を有するCが3個以上30個以下の
アルキル鎖 また本発明のペプチドは、末端構成単位に続く第2構成
単位が下記式2であることを特徴とする。 Y:環状構造を有さないCが1個以上30個以下のアル
キル鎖 更に本発明のペプチドは、末端構成単位から数えて第3
番目以降の構成単位が下記式3であることを特徴とす
る。 Z:環状構造を有さないCが1個以上10個以下のアル
キル鎖
【0010】本発明のペプチドは、末端構成単位が式1
で表されることが好ましい。末端構成単位はペプチド結
合した時のアミノ末端(N末端)の構成単位であること
が好ましい。末端にアミノ基を有するCが3個以上30
個以下のアルキル鎖とは、側鎖に芳香族、複素環などの
環状構造を持たない、主鎖との逆末端にアミノ基を有す
る構造をいい、途中分岐を有していてもよい。構成単位
中に環状構造を有すると、疎水性が強まり、血漿蛋白等
目的外物質との疎水結合がおこって特異的結合が阻害さ
れ、好ましくない。
【0011】この時、該末端構成単位の側鎖(X)の炭
素数が2個以下ではリポ蛋白質との結合力が弱くまた3
0個を越えると非特異的な吸着が起こるため好ましくな
い。側鎖の好ましい炭素数は3個以上30個以下であ
る。末端構成単位に続く構成単位が式2で表される構造
の時と末端構成単位から数えて3番目以降が式3であら
わされる構成単位である時はより好ましかった。これら
の理由は定かではないが、アルキル鎖構造が単に非特異
結合の抑制のみでなく、リポ蛋白質との結合に重要な働
きをしているものと考えられる。特に側鎖末端のアミノ
基の静電作用がリポ蛋白質の結合に深く関与していると
推察される。ところでペプチドとリポ蛋白質との結合に
おける作用の大きさは、N末端に近づくにつれて大きく
なる。即ち、末端構成単位の効果が最も大きく、次いで
末端構成単位に続く構成単位の効果が大きい。しかし巨
大分子であるリポ蛋白質を結合するには末端構成単位か
ら数えて3番目以降の構成単位の作用効果もあわせ持つ
ことがより好ましかった。また、本発明のペプチドのペ
プチド結合した時のカルボキシル基末端(C末端)は、
修飾されていてもよい。
【0012】ペプチドの構成単位 前述の通り理由は定かではないが実使用条件での評価よ
り、従来のポリアニオン化合物と異なり、本発明のペプ
チドにはアニオン性基が多く存在することは好ましくな
く、側鎖に酸性官能基を有する構成単位の比率が少ない
ことが好ましい。即ち、ペプチドの全構成単位中に占め
る、側鎖が非極性構成単位と塩基性構成単位の合計存在
比率が40%以上であることが好ましい。本発明でいう
塩基性構成単位とは、側鎖中に塩基性基特にアミノ基を
有するアミノ酸及びその誘導体をいい、非極性構成単位
とは、側鎖が疎水性であるものをいう。また本発明でい
う合計存在比率とは、ペプチドに占める構成単位のモル
数の比率をいい、合計存在比率は下式で求められる。 更に、塩基性の構成単位の存在比率が30%以上で且
つ、塩基性構成単位と非極性構成単位の合計存在比率が
60%以上である時より好ましい。塩基性構成単位につ
いては、塩基性基がリポ蛋白質との結合に関与している
と考えられ多いことが望ましい、一方で多すぎると恐ら
く他の血漿成分の非特異吸着が増加してリポ蛋白質との
結合を阻害することによりリポ蛋白質との結合力が低下
してしまうと考えられる。最も好ましい塩基性構成単位
の存在比率は40%以上80%以下であった。
【0013】ペプチドの製造方法 本発明のペプチドの製造方法には不溶性担体上にペプチ
ド鎖を伸長させていく固相法や、溶液中で均一に反応さ
せる液相法、或いは遺伝子組み替え技術を用いる方法な
どがあげられる。いずれであっても有効にペプチドを得
ることができるが、副産物や未反応物の除去のしやすさ
より固相法が好ましく、大量に得るためにはコストの点
より液相法が好ましい。いずれも縮合剤を用いたペプチ
ド結合法が、低エネルギー反応で合成できるため作業の
安全性の点で優れている。縮合剤としては、ジシクロヘ
キシルカルボジイミド(DDC)、ジイソプロピルカル
ボジイミド(DIPC)、N−アセチル−N’−3ジメ
チルアミノプロピルカルボジイミド(EDC=WSC
I)、及びその塩酸塩(WSCI・HCI)、ベンゾト
リアニゾール−1−イルートリス(ジメチルアミノ)ホ
スホニウムヘキサフルオロリン化物塩(BOP)等が代
表例としてあげられる。これら縮合剤を単独で用いても
よいが、添加剤としてN−ヒドロキシスクシンイミド
(HONSu)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
(HOBt)、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−
ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOB
t)等と組み合わせて用いることで縮合剤単独より反応
が早く進行でき、しかも副反応を抑制できる。
【0014】水不溶性担体 本発明でいう水不溶性担体とは常温の水溶液中で固体状
態にある、多数の孔構造を有するものをいい、いずれの
形状であってもよい。形状を例示すると球状、粒状、チ
ップ状、繊維状、平膜状、スポンジ状等があり、繊維状
のものとしては繊維を単に束ねたものや織布状、不織布
状、中空糸状のものなどがあげられる。これらの内、細
密充填のしやすさ、ペプチドを比較的均質に表面に保持
されやすい点、実有効面積を比較的多く確保できる点、
及び体液循環時の体液の流通面より、球状及び粒状のも
の或いは織布状、不織布状のものが好ましい。この時球
状または粒状の平均粒径は、10μmから2500μm
のものが使いやすいが、25μmから1000μmの範
囲が好ましく、より好ましくは50μmから800μm
である。また、織布状、不織布状の場合、繊維径は細す
ぎると白血球や血小板が付着し、太すぎるとリポ蛋白質
の吸着能力が低下するため好ましくない。好ましい繊維
径は5μm以上500μm以下である。水不溶性担体の
孔のサイズは、リポ蛋白質の吸着能力を確保するために
排除限界分子量で表す時100万以上であることが望ま
しい。特に低密度リポ蛋白質或いは極低密度リポ蛋白質
を十分に吸着できるためには200万以上であることが
好ましい。吸着能力は表面積によって大きく影響する。
表面積が大きいと吸着能力は上がり、小さいと下がるこ
とは自明である。このため本発明の吸着材は、全細孔表
面積が0.5m2 /ml以上であることが好ましい。よ
り好ましくは1.0m2 /ml以上である。水不溶性担
体の材質は、表面にペプチドを保持できるものであれ
ば、無機化合物、有機化合物を問わないが、体液との接
触時に溶出物が少ないこと、水不溶性担体の細孔の制御
がより容易且つ精密にできていることより、有機高分子
化合物が好ましい。このような例としては、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリメタクリレートエステル、ポ
リアクリレートエステル、ポリアクリル酸、ポリビニル
アルコール等のビニル系化合物の重合体及び共重合体、
ナイロン6或いは66等のポリアミド系化合物、ポリエ
チレンテレフタレート等のポリエステル系化合物、セル
ロース等の植物由来の多糖類系化合物等を例示すること
ができる。本発明において用いる水不溶性担体の材料
は、ペプチドを保持できるものであれば以上に限定され
るものではない。例示した中では、重合の容易さ、ペプ
チドの導入の容易さよりビニル系化合物の重合体及び共
重合体がより好ましく用いられる。このような例として
は、スチレン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリ
ル酸、メタクリル酸、或いはこれらの誘導体があげら
れ、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート等
の架橋性化合物との共重合体が強度的安定性の点より、
より好ましい。
【0015】水不溶性担体表面にペプチドを保持させる
方法 水不溶性担体表面にペプチドを保持させる方法には、化
学的或いは放射線や電子線を用いてのグラフト法によっ
て水不溶性担体表面にペプチドを共有結合する方法、或
いは化学的方法により水不溶性担体表面の官能基を介し
て共有結合する方法などがある。この中で官能基を介し
ての共有結合方法が使用時のペプチドの溶出の可能性が
なく好ましい。水不溶性担体が被覆層を有する場合はそ
の被覆層表面に不溶化することもできる。水不溶性担体
或いはその被覆層表面に官能基を得る方法の1例として
はハロゲン化シアン法、エピクロロヒドリン法、ビスエ
ポキシド法、ブロモアセチルブロミド法、ハロゲン化ア
セトアミド法等がある。具体的にはアミノ基、カルボキ
シル基、ヒドロキシル基、チオール基、酸無水化物、サ
クシニルイミド基、置換性ハロゲン基、アルデヒド基、
アミド基、エポキシ基、トレシル基などがあげられる。
この中で加熱滅菌の安定性、官能基の導入のしやすさ、
ペプチドの導入時のpHや反応温度が比較的穏和な条件
で行えることより、エピクロロヒドリン法やハロゲン化
アセトアミド法が特に好ましい例としてあげられる。
【0016】容器形状 本発明の吸着材は、体液の導入口を持つ容器内に充填保
持された吸着器として使用されるのが一般的である。本
吸着材を単独で充填しても良く、他の吸着材と混合もし
くは、積層しても良い。吸着器の容量は、体外循環に用
いる場合10mlから1000ml程度が適当である。
吸着器は使用に先立って一般に滅菌処理することができ
る。滅菌処理の方法は、湿潤状態での熱滅菌(オートク
レーブ)、γ線等の放射線、紫外線或いは電子線等によ
る照射滅菌、或いは活性酸素による滅菌などが例示でき
るがいずれの方法であってもよい。が、一般に熱滅菌や
γ線滅菌が汎用される。該吸着器を体外循環で用いる場
合には、大略次の2方法がある。1つは、体内から取り
出した血液を遠心分離もしくは膜型血漿分離器を使用し
て、血漿成分と血球成分とに分離して後、血漿成分を吸
着器に通過させ浄化した後、血球成分と合わせて体内に
戻す方法であり、他の1つは、体内から取り出した血液
を直接吸着器に通過させ、浄化する方法である。本発明
の吸着材はいずれの方法にも有効に使用できる。また、
体液の通過方法としては、使用上の必要に応じ、或いは
設備の装置状況に応じて、連続的に通液しても良いし、
また断続的に通液しても良い。
【0017】次に実施例及び参考例によって本発明を詳
細に説明する。
【実施例】低比重リポ蛋白質(LDL)結合用ペプチド
として、実施例1〜23を製造した。また各ペプチドが
結合したレジンを吸着材とした。ペプチドの合成はマル
チピンペプチド合成システム(和光純薬)を用いて行っ
た。ペプチドの量は水不溶性担体(レジン)あたりおよ
そ50nmol/レジンであった。レジンはポリプロピ
レンの表面にアミノ基を有するものであり、このアミノ
基に縮合剤を用いてペプチド結合形成を行いアミノ酸を
伸長しペプチドを合成した。アミノ酸のカップリングに
は、アミノ酸にFmocアミノ酸、縮合剤にジイソプロ
ピルカルボジイミド、緩衝剤にヒドロキシベンゾトリア
ゾール、反応溶媒にジメチルホルムアミドを用いた。保
護基の脱離は、Fmoc保護基の脱離にはピペリジン、
側鎖の保護基の脱離には、トリフロロ酢酸、エタンジチ
オール、アニソールの混合溶液を用いた。ペプチドの合
成方法は、マルチピンペプチド合成システムのマニュア
ルに従って行った。比較例1〜4は、実施例と同様の操
作により製造した。また、比較例5は、分子量およそ2
0,000のポリアクリル酸を分子中のカルボキシル基
を利用してレジンに不溶化した。比較例6は市販のリポ
蛋白質吸着材(分子量5,000のデキストラン硫酸固
定セルロースビーズ(リポソーバLAー15、鐘淵化学
社製))を用いた。 実施例1 RLKKK−レジン 実施例2 KLRKL−レジン 実施例3 KIVRG−レジン 実施例4 OLKIG−レジン 実施例5 RRRRG−レジン 実施例6 KRORR−レジン 実施例7 RFVFG−レジン 実施例8 GRMKG−レジン 実施例9 RLPKK−レジン 実施例10 KLPKL−レジン 実施例11 KIVRW−レジン 実施例12 OLKPI−レジン 実施例13 LKPKL−レジン 実施例14 IKVRW−レジン 実施例15 KYPRT−レジン 実施例16 RFPFG−レジン 実施例17 RRRKK−レジン 実施例18 RRRKL−レジン 実施例19 ORVRG−レジン 実施例20 KAKIG−レジン 実施例21 KGRRG−レジン 実施例22 ONVGG−レジン 実施例23 KYVFG−レジン 比較例1 WWWWW−レジン 比較例2 DEDED−レジン 比較例3 YWDLY−レジン 比較例4 RR−レジン 比較例5 ポリアクリル酸−レジン 比較例6 デキストラン硫酸−セルロースビーズ G:グリシン L:ロイシン I:イソロイシン P:プロリン R:アルギニン K:リジン O:オルニチン M:メチオニン V:バリン W:トリプトファン F:フェニルアラニン Y:チロシン T:スレオニン D:アスパラギン酸 E:グルタミン酸
【0018】
【参考例1】ヘパリン1,000IU/L家族性高脂血
症患者血漿130μLに各ペプチドが結合したレジンを
加えて、室温で1時間静置した。その後ペプチド結合レ
ジンを家族性高脂血症患者血漿から取り出して生理食塩
水で静かにリンスした。リンスしたペプチド結合レジン
に結合したリポ蛋白質の量を、リポ蛋白質測定用EIA
試薬(コレステロールE−テストワコー、和光純薬)に
よって測定した。各ペプチド結合レジンに吸着したリポ
蛋白質を表2に示す。実施例1〜23は、リポ蛋白質の
優れた吸着力を示した。実施例1〜5、9〜14、18
〜20は特に優れていた。
【0019】
【参考例2】血液8容に対して3.8%クエン酸ナトリ
ウム1容を添加して採血後、3,000rpmで10分
間遠心分離した健常人血漿200μLに、各実施例及び
比較例のレジンを加えて、37℃で60分間振とうして
反応させた。同時に健常人血漿のみを37℃で60分間
振とうして陰性対照とした。この時参考例の添加量は湿
潤容積でおよそ50μLとした。反応後の血漿中のブラ
ジキニン濃度をEIA法(マーキットAブラジキニン、
大日本製薬社製)によって測定した。測定結果を表3に
示す。実施例1〜23は、いずれも陰性対照と同様であ
り、ブラジキニンの上昇はなく、ブラジキニン上昇の原
因となる血液凝固第XII因子や、高分子量キニノーゲ
ン、プレカリクレインの明らかな非特異吸着はなかっ
た。一方比較例5、6では共に明らかなブラジキニンの
上昇があり、血液凝固第XII因子や、高分子キニノー
ゲン、プレカリクレインの活性化があり、顕著な非特異
吸着を認めた。
【0020】
【参考例3】参考例2で得た血漿を用いてフィブリノー
ゲンの非特異吸着性について評価した。健常人血漿50
0μLに各レジンを加えて室温で1時間静置した。その
後上清中の残存フィブリノーゲン量をトロンビン凝固時
間法によって測定し、陰性対照の濃度に対する残存率を
求めた。結果を表4に示す。実施例ではいずれも残存率
は90%以上であり、フィブリノーゲンの吸着は非常に
低値であった。一方比較例5、6では残存量が低く、フ
ィブリノーゲンの顕著な非特異吸着性を示した。 以上の通り、実施例1〜23ではリポ蛋白質の高い吸着
力を有しつつ且つ血液凝固第XII因子や、高分子キニ
ノーゲン、プレカリクレイン及びフィブリノーゲンの非
特異吸着を示さず、優れた特異性を有することが示され
た。一方比較例1〜4はリポ蛋白質との吸着力が低く、
また比較例5、6では顕著な血液凝固第XII因子や、
高分子キニノーゲン、プレカリクレイン及びフィブリノ
ーゲンの非特異吸着を示し、ポリアニオンはリポ蛋白質
を特異的に結合しうるものではなかった。
【0021】
【参考例4】 Ca,Mg吸着試験 参考例2で用いた血漿を用いてCa、Mg吸着性につい
て評価した。健常人血漿500μLに各レジンを加えて
室温で1時間静置した。その後上清中の残存量をCaは
OCPC法、Mgはキシリジルブルー法にて測定した。
結果を表5に示す。
【0022】
【発明の効果】本発明のペプチドはリポ蛋白質(特にL
DLコレステロール)を特異的に認識、結合でき、血漿
蛋白との非特異的な反応がないので、リポ蛋白質を特異
的に高感度に検出或いは定量する試薬が、また薬剤や酵
素などをリポ蛋白質に特異的に作用させるドラッグデリ
バリーが可能となる。更にペプチドを不溶化することで
血漿蛋白の非特異的な吸着がなくブラジキニンの上昇も
ない、リポ蛋白質の分離或いは吸着除去用の特異的な吸
着材が提供できる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3個以上20個以下の構成単位からな
    り、少なくとも一方の末端構成単位が式1であることを
    特徴とするリポ蛋白質結合用ペプチド。 X:末端にアミノ基を有するCが3個以上30個以下の
    アルキル鎖
  2. 【請求項2】 末端構成単位に続く第2構成単位が式2
    であることを特徴とするリポ蛋白質結合用ペプチド。 Y:環状構成を有さないCが1個以上30個以下のアル
    キル鎖
  3. 【請求項3】 末端構成単位から数えて第3番目以降の
    構成単位が式3であることを特徴とするリポ蛋白質結合
    用ペプチド。 Z:環状構成を有さないCが1個以上10個以下のアル
    キル鎖
  4. 【請求項4】 3個以上20個以下の構成単位からな
    り、全構成単位中に占める非極性構成単位と塩基性構成
    単位の合計存在比率が40%以上であることを特徴とす
    るリポ蛋白質結合用ペプチド。
  5. 【請求項5】 少なくとも一方の末端構成単位が非極性
    又は塩基性であり、且つ脂肪族構成単位である請求項4
    記載のリポ蛋白質結合用ペプチド。
  6. 【請求項6】 塩基性構成単位が30%以上で非極性構
    成単位と塩基性構成単位の合計存在比率が60%以上で
    ある請求項4記載のリポ蛋白質結合用ペプチド。
  7. 【請求項7】 少なくとも一方の末端アミノ酸又はその
    誘導体の側鎖末端のハイドロジェンpKaが30.0以
    上であることを特徴とするリポ蛋白質結合用ペプチド。
  8. 【請求項8】 末端アミノ酸又はその誘導体が塩基性ア
    ミノ酸又は塩基性アミノ酸誘導体である請求項7記載の
    リポ蛋白質結合用ペプチド。
  9. 【請求項9】 末端アミノ酸又はその誘導体の側鎖の炭
    素数が3以上30以下であり、且つ側鎖に環状構造を有
    さない請求項7記載のリポ蛋白質結合用ペプチド。
  10. 【請求項10】 末端アミノ酸に続くアミノ酸又はその
    誘導体が非極性脂肪族であって、側鎖末端のハイドロジ
    ェンpKaが30.0以上である請求項7記載のリポ蛋
    白質結合用ペプチド。
  11. 【請求項11】 末端アミノ酸に続くアミノ酸又はその
    誘導体の側鎖の炭素数が1以上30以下であり、且つ側
    鎖に環状構造を有さない請求項7記載のリポ蛋白質結合
    用ペプチド。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11記載のいずれかのリポ
    蛋白脂質結合用ペプチドを水不溶性担体表面に有するこ
    とを特徴とするリポ蛋白質吸着材。
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