JPH09140275A - 熱線吸収材 - Google Patents

熱線吸収材

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JPH09140275A
JPH09140275A JP7304271A JP30427195A JPH09140275A JP H09140275 A JPH09140275 A JP H09140275A JP 7304271 A JP7304271 A JP 7304271A JP 30427195 A JP30427195 A JP 30427195A JP H09140275 A JPH09140275 A JP H09140275A
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JP
Japan
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absorbing layer
visible light
light absorbing
heat ray
synthetic resin
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Application number
JP7304271A
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English (en)
Inventor
Masuhiro Shoji
益宏 庄司
Teruo Sakagami
輝夫 阪上
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Publication date
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/25Greenhouse technology, e.g. cooling systems therefor

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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波長500〜600nm付近の可視光線を吸
収する性能を有し、かつ近赤外領域、特に1200nm
よりも長い波長域の近赤外線を高い効率で遮断若しくは
減衰させる性能を有する熱線吸収材を提供すること。 【解決手段】 合成樹脂中に、波長500〜600nm
の可視光線に対して吸収能を有する特定可視域吸収成分
が含有されてなる可視光線吸収層と、下記の(イ)およ
び(ロ)のいずれか一方の赤外線吸収層とを有する積層
体よりなることを特徴とする。 (イ)酸化インジウムおよび/または酸化スズからなる
金属酸化物の堆積体よりなる赤外線吸収層 (ロ)酸化インジウムおよび/または酸化スズからなる
金属酸化物の微粉末が合成樹脂中に分散されてなる赤外
線吸収層

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱線吸収材に関
し、さらに詳しくは、波長500〜600nmの可視光
線を吸収し、かつ近赤外領域より長波長の光線を効率よ
く吸収し、特に農業用の被覆材として好適な熱線吸収材
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、植物栽培雰囲気を覆って温室施設
を構築するための農業用被覆材としては、軟質塩化ビニ
ル、フッ素系樹脂等よりなる軟質系被覆材、またはガラ
ス、硬質塩化ビニル板等よりなる硬質系被覆材が用いら
れている。一般に、農作物などの植物における光合成
は、可視光線のうち青色光および波長700nm付近の
赤色光を受けることによって行われる。従って、太陽光
線のうち青色光および赤色光以外の光線、具体的には、
分光エネルギー分布が最大値を示す波長500〜600
nmの特定帯域の光線および赤外線などは、農作物の栽
培に有効に利用されるものではない。
【0003】然るに、従来の被覆材は、特定の波長域に
おける光線を選択的に吸収し或いは透過する性能につい
て特に考慮されたものではないため、これらの被覆材を
利用した温室施設においては、夏季期間中に、当該施設
内の温度が相当に高いものとなる。このような理由か
ら、夏季期間中においては、農作物、特に高温を嫌う農
作物を栽培するにあたって、温室施設を利用することが
できない、という問題が指摘されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に基づいてなされたものであって、酸化インジウム
および/または酸化スズを主体とする金属酸化物が12
00nmよりも長い波長域の赤外線を高い効率で吸収す
る性能を有すること、並びに2価のコバルトイオンまた
はピラジン環を有する化合物などの特定の物質が、波長
500〜600nm付近の可視光線を選択的に吸収する
性能を有することを見いだし、この知見に基づいて達成
されたものである。本発明の目的は、波長500〜60
0nm付近の可視光線を吸収する性能を有し、かつ近赤
外領域、特に1200nmよりも長い波長域の近赤外線
を高い効率で遮断若しくは減衰させる性能を有する熱線
吸収材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の熱線吸収材は、
合成樹脂中に、波長500〜600nmの可視光線に対
して吸収能を有する特定可視域吸収成分が含有されてな
る可視光線吸収層と、下記の(イ)および(ロ)のいず
れか一方の赤外線吸収層とを有する積層体よりなること
を特徴とする。 (イ)酸化インジウムおよび/または酸化スズからなる
金属酸化物の堆積体よりなる赤外線吸収層 (ロ)酸化インジウムおよび/または酸化スズからなる
金属酸化物の微粉末が合成樹脂中に分散されてなる赤外
線吸収層
【0006】また、本発明の熱線吸収材は、合成樹脂よ
りなる支持体上に、前記可視光線吸収層および前記赤外
線吸収層が設けられているものであってもよい。
【0007】本発明の熱線吸収材においては、前記可視
光線吸収層における特定可視域吸収成分が、2価のコバ
ルトイオンよりなる金属イオンであることを特徴とす
る。
【0008】上記の熱線吸収材においては、可視光線吸
収層を構成する合成樹脂が、下記式(1)で表される単
量体およびこれと共重合可能な単量体を共重合して得ら
れる共重合体であることが好ましい。
【0009】
【化4】
【0010】また、可視光線吸収層に、下記式(3)で
表されるリン酸エステルまたは下記式(4)で表される
ホスホン酸エステルが更に含有されていてももい。
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】このような熱線吸収剤においては、上記式
(3)および上記式(4)において、基R1 、基R2
よび基R3 が2−エチルヘキシル基であることが好まし
い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプラスチック製熱
線吸収材について詳細に説明する。本発明のプラスチッ
ク製熱線吸収材は、波長500〜600nmの可視光線
を選択的に吸収する性能を有する、合成樹脂製の可視光
線吸収層と、酸化インジウムおよび/または酸化スズか
らなる金属酸化物を有する赤外線吸収層とが積層されて
なるものである。
【0015】〔可視光線吸収層〕可視光線吸収層は、透
明性を有する合成樹脂中に、波長500〜600nmの
可視光線を吸収する特定可視域吸収成分が含有されてな
るものである。
【0016】可視光線吸収層を構成する合成樹脂として
は、可視光線域の光線透過率が大きい透明性に優れたも
の、例えば、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂等
を用いることができる。
【0017】特定可視域吸収成分としては、2価のコバ
ルトイオンよりなる金属イオンを用いることができる。
このような2価のコバルトイオンよりなる金属イオン
は、適宜のコバルト化合物よりなる金属化合物を、合成
樹脂に添加することによって、或いは合成樹脂を得るた
めの単量体に添加して重合処理することによって、合成
樹脂中に含有させることができる。
【0018】上記のコバルト化合物の具体例としては、
酢酸コバルト、蟻酸コバルト、安息香酸コバルト、ナフ
テン酸コバルト、臭化コバルト、塩化コバルト、硝酸コ
バルト、硫酸コバルト、硫酸二アンモニウムコバルト等
が挙げられる。
【0019】また、可視光線吸収層には、金属イオンの
一部として、コバルト以外の他の金属によるイオンを含
有させることができる。このような他の金属によるイオ
ンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、鉄イ
オン、マンガンイオン、マグネシウムイオン、ニッケル
イオン、銅イオン、タングステンイオン等が挙げられ
る。このような他の金属によるイオンは、コバルトイオ
ンと同様にして合成樹脂中に含有させることができる。
【0020】このように、金属イオンの一部として、コ
バルト以外の他の金属によるイオンが含有される場合に
は、全金属イオンにおけるコバルトイオンの占める割合
が50質量%以上であることが好ましい。
【0021】金属イオンの含有割合は、2価のコバルト
イオンおよびその他の金属によるイオンの合計が、可視
光線吸収層を構成する樹脂成分100質量部に対して
0.01〜20質量部であることが好ましく、より好ま
しくは0.1〜15質量部、さらに好ましくは0.1〜
10質量部である。この割合が0.01質量未満の場合
には、波長500〜600nmの可視光線をする吸収す
る性能が殆ど得られない。一方、この割合が20質量部
を超える場合には、金属イオンを合成樹脂中に均一に分
散含有させることが困難となり、500〜600nm以
外の波長の可視光線を十分に透過する可視光線吸収層が
得られない。
【0022】特定可視域吸収成分として2価のコバルト
イオンよりなる金属イオンを用いる場合には、合成樹脂
に対する金属イオンの分散性を高めるために、可視光線
吸収層中にリン酸基を含有させることが好ましい。本発
明において、「リン酸基」とは、PO(OH)n −(n
は1または2である。)で表される基をいう。
【0023】本発明においては、可視光線吸収層中にリ
ン酸基を含有させるために、化学構造にリン酸基を有す
る合成樹脂を用いることができる。内部構造にリン酸基
を有する合成樹脂としては、上記式(1)で表される単
量体(以下、「特定のリン酸基含有単量体」という。)
およびこれと共重合可能な単量体(以下、「共重合性単
量体」という。)よりなる単量体混合物を共重合して得
られるアクリル系共重合体(以下、「特定のアクリル系
共重合体」という。)を用いることが好ましい。
【0024】特定のリン酸基含有単量体の分子構造を示
す式(1)において、基Rは、式(2)で示されるよう
に、エチレンオキサイド基が結合したアクリロイルオキ
シ基(Xが水素原子の場合)またはメタクリロイルオキ
シ基(Xがメチル基の場合)である。ここで、エチレン
オキサイド基の繰り返し数mは0〜5の整数である。こ
のmの値が5を超えると、得られる共重合体は、硬度が
大幅に低下すると共に、透明性が低下して必要とされる
波長の光線透過率が小さくなるため好ましくない。
【0025】また、式(1)において水酸基の数nは1
または2であり、得られる樹脂基体の特性、成形法およ
び使用目的に応じて、nの値が1である特定のリン酸基
含有単量体およびnの値が2である特定のリン酸基含有
単量体のいずれか一方または両方を用いることができ、
また、両方を用いる場合には、その混合割合を選択する
ことができる。
【0026】具体的に説明すると、nの値が1である特
定のリン酸基含有単量体は、リン原子に結合したラジカ
ル重合性のエチレン性不飽和結合の数が2であり、架橋
重合性を有するものとなる。従って、熱可塑性樹脂に適
用される成形加工法により可視光線吸収層を得る場合に
は、nの値が2である特定のリン酸基含有単量体の混合
割合が大きいものを用いることが好ましい。一方、注型
成形法により可視光線吸収層を得る場合には、nの値が
1である特定のリン酸基含有単量体の混合割合が大きい
ものを用いるのが好ましい。
【0027】また、nの値が1である特定のリン酸基含
有単量体と、nの値が2である特定のリン酸基含有単量
体とを、それぞれがほぼ等モル量となる割合、例えばモ
ル比で45〜55:55〜45となる割合で用いる場合
には、好適な機械的強度が得られると共に、当該単量体
混合物に対する前述のコバルト化合物などの金属化合物
の溶解性が高いものとなって、得られる共重合体におい
てイオン性金属成分を均一に含有させることができるの
で、一層好ましい。
【0028】特定のアクリル系共重合体を得るための単
量体混合物には、上記の特定のリン酸基含有単量体と共
に、共重合性単量体が用いられる。この共重合性単量体
としては、(1)用いられる特定のリン酸基含有単量体
と均一に溶解混合すること、(2)用いられる特定のリ
ン酸基含有単量体とのラジカル共重合性が良好であるこ
と、(3)光学的に透明な共重合体が得られること等を
満足するものであれば特に限定されるものではない。
【0029】共重合性単量体の具体例としては、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル
(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレ
ート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリ
ル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜
20であるアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキブチル(メ
タ)アクリレート等のアルキル基がグリシジル基やヒド
ロキシ基によって置換された変性アルキル(メタ)アク
リレート類、エチレングリコールジメタクリレート、ジ
エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレング
リコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジ
(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−メタクリロ
キシエトキシフェニル〕プロパン、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、ペンタエリトリットトリメタク
リレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート等の
多官能(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリ
ル酸等の不飽和カルボン酸類、スチレン、α−メチルス
チレン、ハロゲン化スチレン、メトキシスチレン、ジビ
ニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物等を挙げることが
できる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」
とは、「アクリレート」または「メタクリレート」を意
味する。これらの化合物は、単独で若しくは2種類以上
を組み合わせて用いることができる。
【0030】以上の単量体混合物において、特定のリン
酸基含有単量体の使用割合は、3〜70質量%、特に1
0〜60質量%であることが好ましい。この割合が3質
量%未満である場合には、得られるアクリル系共重合体
中に、コバルトイオンよりなる金属イオンを十分に分散
した状態で含有させることが困難となる結果、波長50
0〜600nmにおける光線を十分に吸収する可視光線
吸収層が得られないことがある。一方、この割合が70
質量%を超える場合には、得られる共重合体は、吸湿性
が大きいものとなることがあるので好ましくない。
【0031】本発明においては、上記の特定のアクリル
系共重合体を用いること以外に、リン酸基を含有する可
視光線吸収層を得るためには、可視光線吸収層を構成す
る合成樹脂に、上記式(3)で表されるリン酸エステル
(以下、「特定のリン酸エステル」ともいう。)または
上記式(4)で表されるホスホン酸エステル(以下、
「特定のホスホン酸エステル」ともいう。)からなるリ
ン酸基含有化合物を含有させてもよい。
【0032】リン酸基含有化合物として用いられる特定
のリン酸エステルの具体例としては、モノメチルフォス
フェート、ジメチルフォスフェート、モノエチルフォス
フェート、ジエチルフォスフェート、モノイソプロピル
フォスフェート、ジイソプロピルフォスフェート、モノ
n−ブチルフォスフェート、ジn−ブチルフォスフェー
ト、モノブトキシエチルフォスフェート、ジブトキシエ
チルフォスフェート、モノ(2−エチルヘキシル)フォ
スフェート、ジ(2−エチルヘキシル)フォスフェー
ト、モノn−デシルフォスフェート、ジn−デシルフォ
スフェート、モノイソデシルフォスフェート、ジイソデ
シルフォスフェート、モノオレイルフォスフェート、ジ
オレイルフォスフェート、モノイソステアリルフォスフ
ェート、ジイソステアリルフォスフェート、モノフェニ
ルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート等が挙げ
られる。
【0033】リン酸基含有化合物として用いられる特定
のホスホン酸エステルの具体例としては、モノ(2−エ
チルヘキシル)2−エチルヘキシルホスホネート、モノ
メチルメチルホスホネート、モノエチルエチルホスホネ
ート、モノブチルブチルホスホネート、モノデシルデシ
ルホスホネート等が挙げられる。
【0034】これらの中では、特定のリン酸エステルの
分子構造を示す式(3)において基R1 が2−エチルヘ
キシル基であるモノ(2−エチルヘキシル)フォスフェ
ート若しくはジ(2−エチルヘキシル)フォスフェー
ト、または特定のホスホン酸エステルの分子構造を示す
式(4)において基R2 および基R3 が2−エチルヘキ
シル基であるモノ(2−エチルヘキシル)2−エチルヘ
キシルホスホネートを用いることが、可視光線吸収層を
構成する合成樹脂との相溶性がよく、金属イオンの分散
性に優れている点で好ましい。
【0035】リン酸基含有化合物の使用割合は、可視光
線吸収層を構成する樹脂成分100質量部に対して、好
ましくは1〜60質量部、より好ましくは5〜55質量
部、さらに好ましくは10〜50質量部である。この割
合が1質量部未満の場合には、コバルトイオンよりなる
金属イオンを十分に分散した状態で含有させることが困
難になり、波長500〜600nmにおける光線を十分
に吸収する可視光線吸収層が得られないことがある。一
方、この割合が60質量部を超える場合には、可視光線
吸収層を形成すること自体が困難となる場合がある。
【0036】本発明においては、可視光線吸収層に含有
される特定可視域吸収成分として、ピラジン環を有する
化合物(以下、「ピラジン環含有化合物」という。)を
用いることができる。かかるピラジン環含有化合物の具
体例としては、下記式(7)で表されるものが挙げられ
る。このピラジン環含有化合物は、波長490nm付近
の光線を吸収し、波長600nm付近の蛍光を放出する
特性を有するものである。
【0037】
【化7】
【0038】また、本発明においては、可視光線吸収層
に含有される特定可視域吸収成分として、ペリレン系染
料を用いることができる。かかるペリレン系染料として
は、BASF社製の蛍光染料「ルモゲンF(Lumog
en F)」が挙げられ、特に、「ルモゲンF Red
300」は、最大吸収波長が578nmで、蛍光波長が
612nmであるため好ましい。
【0039】特定可視域吸収成分としてピラジン環含有
化合物またはペリレン系染料を用いる場合には、これら
の使用割合は、可視光線吸収層を構成する樹脂成分10
0質量部に対して0.005〜5質量部であることが好
ましい。
【0040】更に、本発明においては、可視光線吸収層
に含有される特定可視域吸収成分として、波長500〜
600nmの可視光線を吸収する顔料、染料または有機
色素、例えばフタロシアニン等の金属錯体、アントラキ
ノン系染料、ナフトキノン系染料、ベンゾキノン系染
料、イモニウム系色素、アミニウム系色素等を用いるこ
とができる。
【0041】可視光線吸収層の厚みは、当該可視光線吸
収層と後述する赤外線吸収層との2層構成とする場合に
は、0.01〜10mm、特に0.05〜5mmである
ことが好ましく、後述する支持体を設けることにより3
層以上の構成とする場合には、当該可視光線吸収層の厚
みを0.005〜0.1mmとすることができる。
【0042】本発明においては、可視光線吸収層を構成
する合成樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、合
成樹脂および特定可視域吸収成分を含有してなる可視光
線吸収層成形用組成物を成形することにより、可視光線
吸収層を得ることができる。成形法としては、一般の熱
可塑性樹脂に適用される方法、例えば、押出成形法、射
出成形法、カレンダー成形法等を利用することができ
る。
【0043】また、可視光線吸収層を構成する合成樹脂
として、前述の式(1)においてnの値が1である特定
のリン酸基含有単量体より得られる架橋樹脂を用いる場
合には、特定のリン酸基含有単量体と、共重合性単量体
と、前述のコバルト化合物よりなる金属化合物とを含有
してなる単量体組成物を調製し、この単量体組成物を例
えば注型重合法によって重合処理することにより、可視
光線吸収層を得ることができる。
【0044】〔赤外線吸収層〕本発明のプラスチック性
熱線吸収材においては、上記の可視光線吸収層と共に、
酸化インジウムおよび/または酸化スズからなる金属酸
化物(以下「特定の金属酸化物」という。)を有してな
る赤外線吸収層が設けられる。そして、この赤外線吸収
層は、次の(イ)および(ロ)のいずれかの形態とされ
る。 (イ)特定の金属酸化物の微粉末が合成樹脂中に分散さ
れてなる赤外線吸収層(以下「分散型層」という。) (ロ)特定の金属酸化物の堆積体よりなる赤外線吸収層
(以下「堆積型層」という。)
【0045】上記特定の金属酸化物として酸化インジウ
ムを主成分とするものを用いる場合は、酸化インジウム
におけるインジウム原子の一部がスズ原子で置換され、
さらに酸素欠陥が導入されて酸化インジウム中のキャリ
ア電子密度が増大された、酸化インジウムと酸化スズと
の複合酸化物(以下「ITO」(Indium Tin
Oxide)ともいう。)であることが好ましい。ま
た、特定の金属酸化物として酸化スズを主成分とするも
のを用いる場合は、スズ酸化物におけるスズ原子の一部
がアンチモン原子で置換され、さらに酸素欠陥が導入さ
れて酸化スズ中のキャリア電子密度が増大された、酸化
スズと酸化アンチモンとの複合酸化物(以下「ATO」
(Antimony Tin Oxide)ともい
う。)であることが好ましい。
【0046】上記のITOまたはATOは、酸化インジ
ウム単体または酸化スズ単体に比較して、いずれも、近
赤外領域の光線の反射が一層低波長側の領域から生じる
ようになるため、1200nmより長い波長域の光線の
透過率が一層低下したものとなると思われる。
【0047】分散型層の形成に用いられる特定の金属酸
化物としては、酸化インジウムおよび/または酸化スズ
を主成分とする、例えばITOもしくはATOよりなる
微粉末であって、特に最大粒子径が0.1μm以下であ
り、粒子径分布が0.001〜0.05μmの範囲内に
ある超微粒子状微粉末が好ましい。特定の金属酸化物の
微粉末の最大粒子径が0.1μmを超える場合には、形
成される分散型層それ自体の可視光線域の光線透過率が
低下するため、得られる熱線吸収材は、可視光線域の光
線透過率が低いものとなる。一方、特定の金属酸化物が
粒子径0.001μm未満のものを含有する場合には、
微粉末が凝集しやすくなり、当該金属酸化物の粒子を合
成樹脂中に均一に分散させることが困難になり、また微
粉末自体の製造も非常に困難である。
【0048】分散型層は、特定の金属酸化物の微粉末
が、バインダーである合成樹脂中に均一に分散されたも
のであり、その厚みは0.1〜50μm、好ましくは
0.5〜10μmである。この赤外線吸収層の厚みが過
大の場合には、当該赤外線吸収層における可視光線域の
透過率が低くなるので好ましくない。一方、この赤外線
吸収層の厚みが過小の場合には、波長1200nmより
長い波長の近赤外領域における光線透過率が大きくな
り、目的とする光学特性を得ることが困難となる。
【0049】この分散型層においてバインダーとして用
いられる合成樹脂は、可視光線域の光線透過率が大き
い、すなわち透明性に優れた合成樹脂であればよく、例
えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹
脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、シリ
コーン樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール
系樹脂などの熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂もしく
は光硬化性樹脂を用いることができる。
【0050】分散型層は、特定の金属酸化物の微粉末が
含有されてなる分散型層形成液を可視光線吸収層または
後述する支持体の表面に塗布し、必要な処理を行うこと
により形成される。
【0051】分散型層を形成するためのバインダーとし
て熱可塑性樹脂を用いるときには、分散型層形成液の調
製において、媒体として有機溶媒が用いられる。この有
機溶媒としては、例えばメチルアルコール、エチルアル
コール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコールなどの
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブなどのエステ
ル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エー
テル類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化
炭化水素類、キシレン、トルエン、ベンゼンなどの芳香
族炭化水素類、並びにシクロヘキサン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルなどの
有機化合物、およびこれら化合物の混合物、その他が用
いられる。そして、これらの有機溶媒と、特定の金属酸
化物の微粉末と、熱可塑性樹脂とを混合することによ
り、分散型層形成液を調製し、この分散型層形成液を可
視光線吸収層または後述する支持体の表面に塗布して乾
燥することにより、熱可塑性樹脂をバインダーとする分
散型層が形成される。
【0052】また、バインダーとして熱硬化性樹脂また
は光硬化性樹脂を用いるときは、その樹脂の前駆体、例
えば多官能アクリル系単量体と、特定の金属酸化物の微
粉末と、必要に応じて用いられる上記と同様の有機溶媒
とを混合することにより、重合性分散型層形成液を調製
し、この重合性分散型層形成液を可視光線吸収層または
後述する支持体の表面に塗布して乾燥し、加熱処理また
は紫外線などの照射処理を行うことにより、硬化樹脂を
バインダーとする分散型層が形成される。硬化性樹脂の
うち、光硬化性樹脂、特に紫外線などの照射により容易
に重合する光重合性の単量体を主体とする組成物より得
られる架橋重合体は、通常、その前駆体の混合液である
重合性分散型層形成液のポットライフが長くて取扱いが
容易であり、しかも加熱によらずに硬化させることがで
きるために可視光線吸収層が耐熱性の低いものである場
合にも可視光線吸収層に対する熱の影響を確実に回避す
ることができ、しかも表面硬度が高く、耐薬品性、耐熱
性などの性能に優れた分散型層が形成されるので好まし
い。
【0053】分散型層において、特定の金属酸化物の微
粉末の含有量は、当該分散型層の可視光線吸収層に対す
る接着性、当該分散型層それ自体における透明性、機械
的特性などが損なわれない範囲でできるだけ多い方が望
ましいが、当該分散型層における質量割合で30〜98
質量%、好ましくは50〜95質量%である。
【0054】堆積型層は、ITOまたはATOなどの特
定の金属酸化物を、直接、可視光線吸収層または後述す
る支持体の表面に、真空蒸着法やスパッタリング法など
により付着堆積させることにより形成される。この堆積
型層の厚みは0.01〜10μm、好ましくは0.05
〜1μmである。この赤外線吸収層の厚みが過大の場合
には、当該赤外線吸収層における可視光線域の透過率が
低くなるので好ましくない。一方、この赤外線吸収層の
厚みが過小の場合には、波長1200nmより長い波長
の近赤外領域における光線透過率が大きくなり、目的と
する光学特性を得ることが困難となる。
【0055】〔支持体〕本発明のプラスチック製熱線吸
収材においては、上記の可視光線吸収層および赤外線吸
収層は、合成樹脂よりなるシート状若しくはフィルム状
の支持体上に設けることができる。この支持体を構成す
る合成樹脂としては、可視光線の透過率が大きく、透明
性に優れたもの、例えばポリエステル系樹脂、アクリル
系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩
化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができ
る。
【0056】本発明において、このような支持体を設け
る場合には、赤外線吸収層、可視光線吸収層および支持
体の積層の順序は特に限定されるものではなく、(1)
支持体の一面に可視光線吸収層を設けると共に、この可
視光線吸収層の表面に赤外線吸収層を設ける構成、
(2)支持体の一面に赤外線吸収層を設けると共に、こ
の赤外線吸収層の表面に可視光線吸収層を設ける構成、
(3)支持体の一面に可視光線吸収層を設けると共に、
支持体の他面に赤外線吸収層を設ける構成のいずれであ
ってもよい。
【0057】また、支持体を設ける場合においては、可
視光線吸収層は、特定可視域吸収成分が含有されてなる
可視光線吸収層形成液を調製し、当該可視光線吸収層形
成液を支持体の表面に塗布し、必要な処理を行うことに
より形成することができる。特定可視域吸収成分として
2価のコバルトイオンよりなる金属イオンを用いる場合
には、可視光線吸収層形成液には、リン酸基含有化合物
が含有されていてもよい。
【0058】可視光線吸収層形成液としては、特定可視
域吸収成分および合成樹脂が有機溶剤中に分散または溶
解されてなるものを用いることができる。そして、この
ような可視光線吸収層形成液を用いる場合には、可視光
線吸収層形成液を支持体の表面に塗布して乾燥すること
により、可視光線吸収層を形成することができる。
【0059】また、可視光線吸収層形成液としては、可
視光線吸収層を構成する合成樹脂を得るための単量体、
例えばアクリル酸エステル系単量体と、特定可視域吸収
成分と、熱重合開始剤または光重合開始剤とを含有して
なる重合性のものを用いることもできる。
【0060】このような重合性可視光線吸収層形成液に
用いられるアクリル酸エステル系単量体としては、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル
(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレ
ート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリ
ル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレ
ート等を用いることができる。これらの化合物は、単独
でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0061】そして、このような重合性可視光線吸収層
形成液を用いる場合には、当該重合性可視光線吸収層形
成液を支持体の表面に塗布して加熱処理または紫外線な
どの照射処理を行うことにより、可視光線吸収層を形成
することができる。
【0062】また、可視光線吸収層を支持体に積層する
手段としては、射出成形法、押出成形法、カレンダー成
形法、注型重合法等により成形された可視光線吸収層
を、支持体の表面に積重して接着する手段を用いること
もできる。接着剤または粘着剤等により、可視光線吸収
層を支持体の表面に接着する場合には、熱硬化型または
光硬化型の接着剤であって透明性に優れたもの、例えば
エポキシ系、ウレタン系若しくはアクリル系の接着剤、
または透明性および耐候性に優れたアクリル系の粘着剤
を好ましく用いることができる。
【0063】以上において、赤外線吸収層を可視光線吸
収層または支持体の表面に形成するに際して、両者の接
着性を高めるために、可視光線吸収層または支持体の表
面に、公知の表面処理法、例えばプライマー塗布、コロ
ナ処理またはその他の物理的または化学的な前処理を施
すこともできる。また、成形された可視光線吸収層を支
持体の表面に接着するに際しても、当該可視光線吸収層
または支持体の表面に、上記と同様の前処理を施すこと
ができる。
【0064】本発明のプラスチック製熱線吸収材は、後
述する実施例から明らかなように、波長500〜600
nmの可視光線を吸収する性能を有すると共に、近赤外
領域、特に波長1200nmより長い波長域の光線を高
い効率で遮断若しくは減衰させる性能を有するものであ
る。従って、本発明のプラスチック製熱線吸収材は、熱
線の照射を防止することが要求される用途への適用に有
用であり、特に、植物栽培雰囲気を覆って温室施設を構
築するための農業用被覆材として用いることにより、夏
季期間中に当該施設内の温度の上昇を抑制することがで
き、温室施設の利用期間を広げることができる。
【0065】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、以下において、「部」および「%」は、光の透過率
を除き、「質量部」および「質量%」を意味する。
【0066】〈実施例1〉 (1)可視光線吸収層用成形体の製造 下記式(5)で表される特定のリン酸基含有単量体19
部と、下記式(6)で表される特定のリン酸基含有単量
体19部と、メチルメタクリレート61部と、α−メチ
ルスチレン1部とを十分に攪拌して混合し、この混合単
量体に酢酸コバルト四水和物6.5部(混合単量体10
0部に対するコバルトイオンの含有量が1.5部)を添
加し、水浴中で冷却しながらホモジナイザーにより十分
に攪拌して混合し、単量体組成物を調製した。
【0067】
【化8】
【0068】
【化9】
【0069】このようにして調製された単量体組成物
に、t−ブチルパーオキシピバレート1.4部を添加混
合し、これをガラスモールド中に注入し、45℃で10
時間、65℃で8時間、更に95℃で3時間と順次異な
る温度で加熱して注型重合を行うことにより、2価のコ
バルトイオンを含有した厚みが1mmの可視光線吸収層
用成形体Aを製造した。
【0070】この可視光線吸収層用成形体Aの可視光線
領域の光線透過率を分光光度計を用いて測定したとこ
ろ、波長500〜600nmにおいて顕著な吸収が認め
られた。波長550nmの透過率は53%であった。波
長400nm、500nm、550nm、600nm、
700nm、1200nmおよび1500nmにおける
光線透過率を表1に示す。
【0071】(2)赤外線吸収層の形成 粒子径が0.002〜0.005μmの範囲にあるIT
O超微粒子粉体(三菱マテリアル社製)40gと、キシ
レンとn−ブチルアルコールとの混合割合が質量比で
8:2である混合溶媒53gと、バインダーとしてアク
リル系樹脂7gとを十分に混合することにより、固形分
に対するITOの濃度が85.1%である分散型層形成
液を調製した。この分散型層形成液を、バーコーターを
用いて上記の可視光線吸収層用成形体Aの片側表面に塗
布し、次いで100℃のオーブン中に1時間放置して溶
媒を蒸発除去することにより、ITOが分散含有された
厚みが2.4μmの分散型層を形成して本発明のプラス
チック製熱線吸収材1を製造した。
【0072】このプラスチック製熱線吸収材1の光線透
過率を分光光度計を用いて測定したところ、波長500
〜600nmの可視光線に加えて、波長1200nm以
上の波長域における近赤外線の透過率が大幅に低下して
いることが確認された。波長400nm、500nm、
550nm、600nm、700nm、1200nmお
よび1500nmにおける光線透過率を表1に示す。
【0073】〈実施例2〉 (1)可視光線吸収層複合体の製造 上記式(5)で表される特定のリン酸基含有単量体30
部と、上記式(6)で表される特定のリン酸基含有単量
体30部と、メチルメタクリレート39部と、α−メチ
ルスチレン1部とを十分に攪拌して混合し、この混合単
量体に酢酸コバルト四水和物6.5部(混合単量体10
0部に対するコバルトイオンの含有量が1.5部)を添
加し、水浴中で冷却しながらホモジナイザーにより十分
に攪拌して混合し、単量体組成物を調製した。この単量
体組成物100部に、光重合開始剤「イルガキュアー5
61(チバガイギー社製)」2部を添加し、十分に混合
した後、これを脱気処理することにより、可視光線吸収
層形成液を調製した。
【0074】次いで、厚みが50μmのポリエステルフ
ィルムよりなる支持体の片側表面に、バーコーターを用
いて可視光線吸収層形成液を塗布し、高圧水銀灯を用い
て紫外線を照射し、単量体を重合させることにより、2
価のコバルトイオンを含有した厚みが20μmの可視光
線吸収層が支持体の表面に形成されてなる可視光線吸収
層複合体aを製造した。この可視光線吸収層複合体aの
光線透過率を実施例1と同様にして測定した。結果を表
1に示す。
【0075】(2)赤外線吸収層の形成 可視光線吸収層複合体aにおける可視光線吸収層の表面
に、実施例1と同様にしてITOが分散含有された厚み
が2.4μmの分散型層を形成して本発明のプラスチッ
ク製熱線吸収材2を製造した。このプラスチック製熱線
吸収材2の光線透過率を実施例1と同様にして測定し
た。結果を表1に示す。
【0076】〈実施例3〉 (1)可視光線吸収層用成形体の製造 平均重合度が1300の塩化ビニル樹脂100部と、ジ
(2−エチルヘキシル)フォスフェートおよび酢酸コバ
ルト四水和物が質量比で100:30の割合で混合され
てなる混合物25部と、可塑剤ジオクチルフタレート
(DOP)25部と、バリウム/亜鉛系複合安定剤「B
Z−370(勝田化工製)」3.0部と、エポキシ化大
豆油4.0部とをヘンシェルミキサーに投入し、粉体温
度が110℃となるまで加温して攪拌混合することによ
り、可視光線吸収層成形用組成物を調製した。この可視
光線吸収層成形用組成物を用いてカレンダー成形機によ
りフィルム成形を行うことにより、厚みが100μmの
フィルム状の可視光線吸収層用成形体Bを製造した。こ
の可視光線吸収層用成形体Bの光線透過率を実施例1と
同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0077】(2)赤外線吸収層の形成 粒子径が0.005〜0.015μmの範囲にあるAT
O超微粒子粉体(住友セメント(株)社製)21gと、
トルエンとメチルエチルケトンとの混合割合が質量比で
1:1である混合溶媒70gと、バインダーとしてポリ
エステル樹脂「エリーテル(ユニチカ(株)製)」9g
とを十分に混合することにより、固形分に対するATO
の濃度が70%である分散型層形成液を調製した。この
分散型層形成液を、バーコーターを用いて上記の可視光
線吸収層用成形体Bの片側表面に塗布し、次いで50℃
のオーブン中に1時間放置して溶媒を蒸発除去すること
により、ATOが分散含有された厚みが4μmの分散型
層を形成して本発明のプラスチック製熱線吸収材3を製
造した。
【0078】このプラスチック製熱線吸収材3の光線透
過率を分光光度計を用いて測定したところ、波長500
〜600nmの可視光線に加えて、波長1200nm以
上、特に波長1500nm以上の波長域における赤外線
の透過率が大幅に低下していることが確認された。波長
400nm乃至波長1500nmにおける光線透過率を
表1に示す。
【0079】〈実施例4〉 (1)可視光線吸収層複合体の形成 イソボニルアクリレート90部と、ジ(2−エチルヘキ
シル)フォスフェートおよび酢酸コバルト四水和物が質
量比で100:50の割合で混合されてなる混合物10
部とを十分に攪拌して混合し、次いで、光重合開始剤
「イルガキュアー561(チバガイギー社製)」2部を
添加し、十分に混合した後、これを脱気処理することに
より、重合性可視光線吸収層形成液を調製した。
【0080】次いで、厚みが50μmのポリエステルフ
ィルムよりなる支持体の片側表面に、バーコーターを用
いて重合性可視光線吸収層形成液を塗布し、高圧水銀灯
を用いて紫外線を照射し、単量体を重合させることによ
り、2価のコバルトイオンを含有した厚みが20μmの
可視光線吸収層が支持体の表面に形成されてなる可視光
線吸収層複合体bを製造した。この可視光線吸収層複合
体bの光線透過率を実施例1と同様にして測定した。結
果を表1に示す。
【0081】(2)赤外線吸収層の形成 可視光線吸収層複合体bにおける可視光線吸収層の表面
に、実施例1と同様にしてITOが分散含有された厚み
が2.4μmの分散型層を形成して本発明のプラスチッ
ク製熱線吸収材4を製造した。このプラスチック製熱線
吸収材4の光線透過率を実施例1と同様にして測定し
た。結果を表1に示す。
【0082】〈実施例5〉 (1)可視光線吸収層用成形体の製造 平均重合度が1300の塩化ビニル樹脂100部と、キ
ノン系バイオレット色染料「Kayaset Viol
et A−R(日本化薬製)」0.56部と、可塑剤ジ
オクチルフタレート(DOP)100部と、バリウム/
亜鉛系複合安定剤「BZ−370(勝田化工製)」3.
0部と、エポキシ化大豆油4.0部とをヘンシェルミキ
サーに投入し、粉体温度が110℃となるまで加温して
攪拌混合することにより、可視光線吸収層形成用組成物
を調製したこと以外は、実施例3と同様にして厚みが1
00μmのフィルム状の可視光線吸収層用成形体Cを製
造した。この可視光線吸収層用成形体Cの光線透過率を
実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0083】(2)赤外線吸収層の形成 この可視光線吸収層用成形体Cの表面に、実施例1と同
様にしてITOが分散含有された厚みが2.4μmの分
散型層を形成して本発明のプラスチック製熱線吸収材5
を製造した。このプラスチック製熱線吸収材5の光線透
過率を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示
す。
【0084】〈実施例6〉 (1)可視光線吸収層用成形体の製造 バイオレット色染料「Kayaset Violet
A−R」の代わりに下記式(7)で表されるピラジン環
含有化合物0.2部を用いたこと以外は、実施例5と同
様にして厚みが100μmのフィルム状の可視光線吸収
層用成形体Dを製造した。この可視光線吸収層用成形体
Dの光線透過率を実施例1と同様にして測定した。結果
を表1に示す。
【0085】
【化10】
【0086】(2)赤外線吸収層の形成 この可視光線吸収層用成形体の表面に、実施例1と同様
にしてITOが分散含有された厚みが2.4μmの分散
型層を形成して本発明のプラスチック製熱線吸収材6を
製造した。このプラスチック製熱線吸収材6の光線透過
率を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示
す。
【0087】〈実施例7〉 (1)可視光線吸収層用成形体の製造 バイオレット色染料「Kayaset Violet
A−R」の代わりにペリレン系染料「Lumogen
F Red300(BASF社製)」0.2部を用いた
こと以外は、実施例5と同様にして厚みが100μmの
フィルム状の可視光線吸収層用成形体Eを製造した。こ
の可視光線吸収層用成形体Eの光線透過率を実施例1と
同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0088】(2)赤外線吸収層の形成 この可視光線吸収層用成形体の表面に、実施例1と同様
にしてITOが分散含有された厚みが2.4μmの分散
型層を形成して本発明のプラスチック製熱線吸収材7を
製造した。このプラスチック製熱線吸収材7の光線透過
率を実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示
す。
【0089】〈実施例8〉 (1)赤外線吸収層複合体の製造 厚みが50μmのホリエチレンテレフタレートフィルム
「E−5001#50(東洋紡社製)」を支持体として
用い、その一面に、マグネトロンスパッタリング法によ
り、厚みが300nmのITOよりなる堆積型層を形成
し、支持体の一面に赤外線吸収層が形成されてなる赤外
線吸収層複合体cを製造した。この赤外線吸収層複合体
cの光線透過率を実施例1と同様にして測定した。結果
を表1に示す。
【0090】(2)可視光線吸収層の形成 赤外線吸収層複合体cにおける赤外線吸収層が形成され
ていない面に、実施例4と同様にして調製された重合性
可視光線吸収層形成液をバーコーターを用いて塗布し、
高圧水銀灯を用いて紫外線を照射し、単量体を重合させ
ることにより、2価のコバルトイオンを含有した厚みが
20μmの可視光線吸収層が形成して本発明のプラスチ
ック製熱線吸収材8を製造した。このプラスチック製熱
線吸収材8の光線透過率を実施例1と同様にして測定し
た。結果を表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】本発明のプラスチック製熱線吸収材によ
れば、可視光線吸収層によって波長500〜600nm
の可視光線を選択的に吸収されると共に、酸化インジウ
ムおよび/または酸化スズを有する赤外線吸収層によ
り、近赤外領域、特に波長1200nmより長い波長域
の光線を高い効率で遮断され若しくは減衰するため、熱
線の照射を防止することが要求される用途への適用に有
用であり、特に、植物栽培雰囲気を覆って温室施設を構
築するための農業用被覆材として用いることにより、夏
季期間中に当該温室施設内の温度の上昇を抑制すること
ができ、温室施設の利用期間を広げることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/10 KAC C08K 3/10 KAC 5/521 KCB 5/521 KCB 5/5333 5/5333 C08L 43/02 LKA C08L 43/02 LKA G02B 5/22 G02B 5/22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂中に、波長500〜600nm
    の可視光線に対して吸収能を有する特定可視域吸収成分
    が含有されてなる可視光線吸収層と、下記の(イ)およ
    び(ロ)のいずれか一方の赤外線吸収層とを有する積層
    体よりなることを特徴とする熱線吸収材。 (イ)酸化インジウムおよび/または酸化スズからなる
    金属酸化物の堆積体よりなる赤外線吸収層 (ロ)酸化インジウムおよび/または酸化スズからなる
    金属酸化物の微粉末が合成樹脂中に分散されてなる赤外
    線吸収層
  2. 【請求項2】 合成樹脂よりなる支持体上に、可視光線
    吸収層および赤外線吸収層が設けられていることを特徴
    とする請求項1に記載の熱線吸収材。
  3. 【請求項3】 可視光線吸収層における特定可視域吸収
    成分が、2価のコバルトイオンよりなる金属イオンであ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱
    線吸収材。
  4. 【請求項4】 可視光線吸収層を構成する合成樹脂が、
    下記式(1)で表される単量体およびこれと共重合可能
    な単量体を共重合して得られる共重合体であることを特
    徴とする請求項3に記載の熱線吸収材。 【化1】
  5. 【請求項5】 可視光線吸収層に、下記式(3)で表さ
    れるリン酸エステルまたは下記式(4)で表されるホス
    ホン酸エステルが更に含有されていることを特徴とする
    請求項3に記載の熱線吸収材。 【化2】 【化3】
  6. 【請求項6】 式(3)および式(4)において、基R
    1 、基R2 および基R3 が2−エチルヘキシル基である
    ことを特徴とする請求項5に記載の熱線吸収材。
  7. 【請求項7】 農業用の被覆材として用いられることを
    特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の熱
    線吸収材。
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