JPH09137254A - 超高速切削加工およびネジ切り加工で用いられる切削性に優れた硫黄添加オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
超高速切削加工およびネジ切り加工で用いられる切削性に優れた硫黄添加オーステナイト系ステンレス鋼Info
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Abstract
れる切削性に優れた硫黄添加オーステナイト系ステンレ
ス鋼。 【解決手段】 炭素<0.1 %、珪素<2%、マンガン<
2%、ニッケル:7〜12%、クロム:15〜25%、硫黄:
0.10 〜0.55%、銅:1〜5%、カルシウム>35×10-4
%、酸素>70×10-4%、酸素含有率に対するカルシウム
含有率の比は 0.2〜0.6 の重量組成(残部は鉄)を有す
る。
Description
びネジ切り加工(decolletage) で利用される切削性に優
れた硫黄添加オーステナイト系ステンレス鋼に関するも
のである。
削とは 500m/分以上の切削速度を用いるということを
意味する。鋼で使用可能な速度は例えばカーバイド被覆
された工具を用いた旋削試験で決定され、この試験では
15分間の切削した後の逃げ面磨耗が 0.15 mmになる速度
をVb15/0.15 で表す。この速度以上では切削には危険
が伴い、工業的な切削加工はこの速度以下で可能にな
る。
有する硫黄添加オーステナイトステンレス鋼が記載され
ている。この特許では切削性を向上させるために、一般
組成すなわち炭素0.15%以下、シリコン2%以下、マン
ガン2%以下、モリブデン3%以下、ニッケル7〜12%
およびクロム15〜25%という組成の鋼に、硫黄を 0.1〜
0.4 %の割合にしてカルシウムおよび酸素と組み合わせ
て添加する(カルシウムと酸素の含有率はそれぞれ30×
10-4%および70×10-4%以上で、Ca/Oの比は0.2 〜0.
6 である)ことを提案している。
りも低含有率のクロムとを用いてマンガン・クロムの硫
化物 (Mn,Cr)Sを特殊介在物の形で形成させ、それを切
削加工中の切削工具の固体潤滑剤にする点にある。硫黄
は耐食性の面で好ましくない影響を与えるため、一般に
は硫黄含有鋼中に硫化物介在物と石灰アルミノケイ酸塩
の酸化物介在物とを組み合わせて導入される。このオー
ステナイト系ステンレス鋼は通常の切削速度すなわち 5
00m/分以下では優れた切削特性を示す。この鋼は硫化
物介在物を選択的に被覆したアルミノケイ酸塩型の複合
酸化物介在物を含み、この介在物は硫化物のみの介在物
よりも大きく、変形性に富んでいるため、切削工具のい
わゆる固体潤滑剤効果が向上する。しかし、この鋼の欠
点は硫黄が結果的に低温変形と応力亀裂の点(例えば引
抜き加工または伸線加工時)で鋼の特性を低下させるこ
とにある。
速度が 700m/分を越える超高速切削加工およびネジ切
り加工(decolletage) で利用した場合、公知の硫黄添加
オーステナイトステンレス鋼に比較して生産性が30%以
上高くなる、切削性に優れた鋼を提供することにある。
削加工およびネジ切り加工で用いられる切削性に優れた
硫黄添加オーステナイト系ステンレス鋼において、下記
重量組成 (残部は鉄)を有することを特徴とするステン
レス鋼にある: 炭素 <0.1 % 珪素 <2% マンガン <2% ニッケル 7〜12% クロム 15〜25% 硫黄 0.10〜0.55% 銅 1〜5% カルシウム >35×10-4% 酸素 >70×10-4% 酸素含有率に対するカルシウム含有率の比は 0.2〜0.6
。
点にある:硫黄含有率は0.20〜0.40%、好ましくは0.25
〜0.35%である。銅含有率は 1.2〜3%、好ましくは1.
4 〜1.8 %である。さらに3%以下のモリブデンを含
む。
イト系ステンレス鋼は、 500m/分以下の切削速度で優
れた切削性を示すような黄含有率とカルシウムおよび酸
素の含有率とを有するいわゆる硫黄添加鋼(acier resul
fure) の範疇に入る。
と、多数の介在物、例えば硫化マンガンやカルシウムと
酸素との添加で生じる石灰のアルミノケイ酸塩型酸化物
の介在物の複合効果と、銅の存在とによって切削性が向
上する。銅は切屑形成に必要な力を小さくする。この特
性によって工具先端の温度は工具が耐えられる温度範囲
に留まる。これらの条件下で硫化マンガン介在物や石灰
のアルミノケイ酸塩型酸化物介在物等が複合して固体潤
滑剤の役目をし、工具の磨耗を遅らせる。
に合せるために硫化マンガンは極くわずかだけクロムで
置換され、切削時の可鍛性すなわち効率が向上する。硫
黄はセレンおよび/またはテルルで部分的に置換するこ
とができる。本発明の硫黄添加鋼は、酸素に結合した硫
黄または結合していない硫黄と硫化物および酸化物の多
数の可鍛性のある低融点介在物の存在と、本発明による
銅の存在とによって、高速切削加工で好ましく利用で
き、切削用工具の寿命を維持したまま切削加工を例外的
な切削速度で行うことができる。以下、添付図面を参照
して本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例
に限定させるものではない。
以上の速度に匹敵する速度でTiNコーティングしたカー
バイド工具を使用し、A、BおよびCで表される3種類
の硫黄添加鋼の切削加工での工具の逃げ面の磨耗の変化
を比較した。鋼Aと鋼Bは硫黄添加鋼の規準鋼であり、
鋼Aはカルシウムも酸素も含まない鋼であり、鋼Bは組
成中に銅を含まない鋼である。本実施例では本発明の鋼
Cはその組成中に1.5 %の銅と、44×10-4%のカルシウ
ムと、118 ×10-4%の酸素とを含んでいる。規準鋼A、
規準鋼Bおよび本発明鋼Cの組成を〔表1〕に示す。
1.5 mmの切削深さ、 700m/分の切削速度で無潤滑剤で
行った旋削試験(tournage)である。工具を定期的に取り
外して逃げ面磨耗を測定した。図1に得られた曲線であ
る。規準鋼Aと規準鋼Bは超高速切削加工には適してお
らず、わずか数分の旋削加工後に工具が破損する。換言
すれば、逃げ面磨耗が0.15mm以上になるか、エッジがダ
メになる(effondree) 。従って、鋼Aと鋼Bは上記切削
速度では切削加工できない。本発明の鋼Cでは20分間の
旋削後でもコーティグ工具は切削加工可能な状態を維持
するので、通常の被覆カーバイド工具で工業的条件下で
上記切削速度で使用できる。これは、鋼組成中に多量の
硫黄と、可鍛性のある低融点酸化物と、最適量の銅とが
同時に存在することによるものである。
は、銅の存在によってロッド製造中の切削性が向上し、
続く切削加工時には硫化マンガン介在物と石灰アルミノ
ケイ酸塩型酸化物介在物との影響で切削性が向上する。
〔図2〕は規準鋼Bと本発明鋼Cとを比較したもので、
〔図2〕から分かるように銅は加工硬化(ecrouissablil
ite)を低下させる。加工硬化が小さいため引抜き加工で
得られるロッドの硬度、特に表面硬度が低下する。次い
で、介在物が相補的に作用して切り子の剪断が促進さ
れ、工具/金属境界が潤滑される。
黄添加鋼DおよびEを比較した。規準鋼Dは組成中にカ
ルシウムおよび酸素を含まない硫黄添加鋼である。本実
施例では、本発明の鋼Eは組成中に1.5 %の銅と、62×
10-4%のカルシウムと、134 ×10-4%の酸素とを含んで
いる。規準鋼Dと本発明の鋼Eの組成は〔表1〕に示し
てある。
た直径5mmのロッドから切削深さが0.5 〜1.5 mmの丸削
り部を有する長さ 50 mmの部材を作った。〔表2〕はモ
ノブロックのカーバイド工具を備えたカム式単一スピン
ドル旋盤を用い、牛オイルで潤滑して行ったロッド旋削
の結果を示している。〔表2〕の値は工具交換時まで良
好に切削された製品の数を表している。
本発明の鋼では工具交換が必要になる前に 2.5倍の製品
が得られる。逆にいえば、寿命が同じならば、本発明の
鋼は生産性が30%高い。別のネジ切り試験では、ロッド
材料からトーチ型機械で直径4mmのスピンドルを作ると
いう簡単な棒切断操作で2種類の上記鋼Dと鋼Eとを比
較した。カルシウムと酸素を含まない規準鋼Dに比べて
本発明鋼Eでは生産性が28%向上した。3つの元素、
銅、酸素およびカルシウムの複合作用によって切削性の
向上に特定の効果が生まれるということは驚くべきこと
であり、この効果はこれらの元素の2つを組み合わせて
添加した場合や単独で添加した場合には予想できないも
のである。
介在物を全く含まない硫黄添加ステンレス鋼と、本発明
の硫黄添加ステンレス鋼とを超高速の切削速度で加工し
た時の逃げ面磨耗曲線。
硬化曲線。
Claims (6)
- 【請求項1】 下記重量組成(残部は鉄)を有すること
を特徴とする超高速切削加工およびネジ切り加工で用い
られる切削性に優れた硫黄添加オーステナイト系ステン
レス鋼: 炭素 <0.1 % 珪素 <2% マンガン <2% ニッケル 7〜12% クロム 15〜25% 硫黄 0.10〜0.55% 銅 1〜5% カルシウム >35×10-4% 酸素 >70×10-4% 酸素含有率に対するカルシウム含有率の比は 0.2〜0.6
。 - 【請求項2】 硫黄含有率が0.20〜0.40%である請求項
1に記載の鋼。 - 【請求項3】 硫黄含有率が0.25〜0.35%である請求項
2に記載の鋼。 - 【請求項4】 銅含有率が 1.2〜3%である請求項1に
記載の鋼。 - 【請求項5】 銅含有率が 1.4〜1.8 %である請求項4
に記載の鋼。 - 【請求項6】 3%以下のモリブデンを含む請求項1に
記載の鋼。
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Johnson | The metallurgical aspects of the machinability of steel |
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