JPH09136188A - 溶接用治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】棒状の溶接部材を簡単に少ない作業工数で溶接
することができ、溶接部材の寸法精度も向上させること
ができる溶接用治具を提供する。 【解決手段】この溶接用治具は、外面に長手方向に沿っ
て溝を設けた枠材により矩形の枠状に形成された外枠フ
レーム１と、外枠フレーム１内に縦に配置されると共
に、上端と下端を外枠フレームの上辺部と下辺部に摺動
可能に取付けられ、水平方向に移動可能な可動フレーム
２と、備える。外枠フレーム１の各辺部と可動フレーム
２には、内側に溶接部材を支持するための支持部５ｃを
有する複数の支持部材５が位置調整可能に設けられる。
外枠フレーム１は、脚部８、９を有する回転支持機構に
より回転可能に支持され、制動ドラム１０と、制動ドラ
ム１０の外周部に接する制動ベルト１３を設けた制動機
構を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、角棒、丸棒、パイ
プ等の棒材により矩形のフレームを製造する場合、各棒
材の端部を溶接する際に使用する溶接用治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】角棒、丸棒、パイプ等の棒材を使用して
矩形のフレームを溶接により製造する場合、従来、所定
の長さに切断した棒材を作業台上に載置し、その上面に
現れた接合部分を先ず溶接し、次に、一部を溶接した棒
材フレームを反転させ、反対側の接合部分（未溶接部
分）を溶接する作業を行っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のこの作
業は、棒材フレームの片側面を溶接した後、その棒材フ
レームを作業台上で持上げて手作業で反転させ、さら
に、未溶接部分を溶接するということを行うため、非常
に手間がかかり、特に、大形フレームを溶接する場合に
は、複数の作業者により反転させる必要があり、多くの
作業工数がかかり、生産効率が低いという問題があっ
た。

【０００４】また、溶接部材である棒材を単に作業台上
に載置して溶接を行った場合、溶接の熱による伸びや歪
が棒材に発生し、製造するフレームの寸法精度が低いと
いう不具合があった。

【０００５】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、棒状の溶接部材を簡単に少ない作業工数で溶接する
ことができ、溶接部材の寸法精度も向上させることがで
きる溶接用治具を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の溶接用治具は、表面長手方向に沿って溝を
設けた枠材により矩形の枠状に形成された外枠フレーム
と、外枠フレーム内に縦に配置されると共に、上端と下
端を外枠フレームの上辺部と下辺部に摺動可能に取付け
られ、水平方向に移動可能な可動フレームと、外枠フレ
ームの各辺部と可動フレームに位置調整可能に取付けら
れ、内側に溶接部材を支持するための支持部を有する複
数の支持部材と、脚部を有すると共に、外枠フレームの
両側を水平回転可能に支持する回転支持機構と、外枠フ
レーム側に制動ドラムを取付け、制動ドラムの外周部に
制動ベルトを接して設けた制動機構と、を備える。

【０００７】このような構成の溶接用治具を使用して、
棒状の溶接部材を溶接し矩形のフレームを製造する場
合、先ず、溶接部材を外枠フレームと可動フレームに取
付けた支持部材の支持部に挿入して支持させる。このと
き、可動フレームは、水平方向に移動させ、各溶接部材
の継ぎ目が適正に合致するように位置を調整した後、外
枠フレームに対し固定する。そして、この状態で、溶接
部材の各継ぎ目の正面側を溶接する。

【０００８】次に、外枠フレームを回転支持機構を軸と
して１８０°回転つまり反転させる。この外枠フレーム
の反転は手作業により容易に行われ、制動ベルトと制動
ドラムの摩擦抵抗によって、外枠フレームと溶接部材は
反転位置に停止する。そして、正面側と同様に、溶接部
材の背面側の継ぎ目を全て溶接する。

【０００９】このように、溶接部材が、回転可能に軸支
された外枠フレーム内に支持されるため、比較的大形の
溶接部材であっても、手作業で簡単にこれを反転させ、
溶接部材の継ぎ目を両側から、より少ない工数で効率良
く溶接することができる。

【００１０】また、溶接中、溶接部材は、外枠フレーム
と可動フレームに沿って支持部材により強固に支持され
るため、溶接の熱による溶接部材の伸びや歪が減少し、
製品の寸法精度を向上させることができる。

【００１１】さらに、上記構成の溶接用治具において、
制動ドラムの外周に接する制動ベルトの張力を調整する
張力調整具を設けることにより、外枠フレームの制動力
を調整することができる。

【００１２】また、上記溶接用治具において、支持部材
の支持部に永久磁石を設けることにより、溶接部材が鋼
等の磁性体であれば、永久磁石に吸着し、支持部に強固
に保持させることができる。また、支持部材の支持部
に、溶接部材を押付ける押付け部を設けることによって
も、溶接部材を強固に支持させることができる。

【００１３】さらに、可動フレームに取付けられる支持
部材が、溶接部材の上辺部を支持する形状の支持部を有
するように構成すれば、外枠フレームの高さ未満の高さ
の溶接部材でも、外枠フレーム内に支持させることがで
きる。

【００１４】さらに、外枠フレーム及び可動フレームに
寸法目盛を付すことにより、溶接部材の大きさや溶接位
置の寸法を容易に確認することができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【００１６】図１は溶接用治具の斜視図を示している。
１は矩形の外枠フレームであり、この外枠フレーム１
は、各面の長手方向に２本の溝１ａを設けた棒材（例え
ば、角パイプ材）を縦横に連結して横長矩形の枠状に形
成される。

【００１７】この外枠フレーム１の内側には、可動フレ
ーム２が水平方向に摺動可能に縦に取付けられる。可動
フレーム２は、外枠フレーム１と同様に各面の長手方向
に２本の溝２ａを設けた棒材から形成され、その棒材の
上端と下端には図２に示すように、摺動部材３が取付け
られる。

【００１８】摺動部材３は、外枠フレーム１側に固定さ
れた長尺のガイドレール３ａと、ブラケット３ｂを介し
て可動フレーム２側に取付けられたスライダ３ｃとから
なり、スライダ３ｃには多数の鋼球が無限直線運動を行
うように収容される。スライダ３ｃはガイドレール３ａ
内に、ガイドレールに沿って摺動自在に係合し、上と下
のスライダ３ｃは、そのガイドレール３ａに沿って円滑
に最小の摺動抵抗で水平移動する。

【００１９】また、可動フレーム２の下部には、それを
外枠フレーム１上で固定するための固定具４が取付けら
れる。この固定具４は、先端にゴム等を付けたロッド
を、コイルばね等により下方に押出して外枠フレーム１
上に当接させ、可動フレーム２を外枠フレーム１上の任
意の位置に固定する構造である。

【００２０】したがって、固定具４を外した状態で、ス
ライダ３ｃを上端と下端に取付けた可動フレーム２は、
上と下の摺動部材３を介して外枠フレーム１上をスムー
ズに水平移動可能であり、固定具４によって、任意の位
置に可動フレーム２を固定することができる。

【００２１】外枠フレーム１と可動フレーム２には、溶
接部材Ｗを支持するための支持部材５が各辺に２個づつ
取付けられる。支持部材５は、外枠フレーム１又は可動
フレーム２の前面に４個の取付ねじ５ｂで取付けられる
平板状の取付部５ａと、取付部５ａの端部に延設された
断面コ字状の支持部５ｃとから構成される。支持部５ｃ
の幅と深さは、溶接部材Ｗを挿入できる程度に形成され
る。

【００２２】支持部材５は、取付部５ａの取付ねじ５ｂ
を、外枠フレーム１又は可動フレーム２の溝１ａ，２ａ
に差し込んで固定されるため、取付ねじ５ｂを固定する
位置をずらせば、フレームの各辺の任意の位置に固定す
ることができる。また、一辺の可動フレーム２の位置が
水平方向に移動可能であるため、矩形の溶接部材Ｗを各
辺の支持部材５に支持させ、可動フレーム２を図１の左
側に引いた状態で固定具４により可動フレーム２の位置
を固定すれば、溶接部材Ｗを外枠フレーム１に対し容易
に固定することができる。

【００２３】さらに、このように構成された外枠フレー
ム１の縦部の略中央には、図３、図４に示す如く、回転
支持機構が設けられ、回転軸６と７が水平に突設され
る。一方の回転軸６は、一方の脚部８上に設けた軸受８
ａに挿入され、他方の回転軸７は他方の脚部９に設けた
軸受９ａに挿入され、これにより、外枠フレーム１及び
そこに取付けられた部材は、回転軸６、７を軸に回転自
在に支持される。

【００２４】さらに、他方の回転軸７の先端には、図４
に示すように、制動機構として制動ドラム１０がキー１
１と止めねじ１２によって固定される。制動ドラム１０
の外周には制動ベルト１３が掛けられる。この制動ベル
ト１３は無端ベルトを２つ折りにして使用され、制動ベ
ルト１３の一端はコイルばね１４を介して脚部９の背面
側に取付けられたシャフト１５に掛止され、制動ベルト
１３の他端は、脚部９の正面側に取付けたシャフト１６
に掛止される。

【００２５】シャフト１６は、図６に示すように、ブラ
ケット状の張力調整具１７に取付けられる。張力調整具
１７は長孔１７ｂに挿通した２本の固定ねじ１７ａによ
り、その脚部９への取付位置を上下に変え得る構造であ
る。この張力調整具１７の取付位置を上下に調整するこ
とにより、制動ベルト１３の張力つまり制動ドラム１０
に与える摩擦力を、最適な状態つまり溶接部材Ｗを保持
した外枠フレーム１が手作業で回転・停止できる状態に
調整する。

【００２６】このような構成の溶接用治具を使用して、
溶接を行い矩形のフレームを製造する場合、先ず、所定
の長さに切断された丸棒、各棒パイプ等の棒材（溶接部
材Ｗ）を、外枠フレーム１と可動フレーム２に設けた支
持部材５の支持部５ｃに嵌込んで支持させる。このと
き、可動フレーム２は、横方向に水平移動させ、各棒材
の継ぎ目が適正に合致するように位置を調整した後、固
定具４で外枠フレーム１に対し固定する。

【００２７】この状態で、溶接部材Ｗ（各棒材）におけ
るフレームの角部等に位置する継ぎ目の正面側を溶接す
る。

【００２８】次に、外枠フレーム１を回転軸６、７を支
点に１８０°回転つまり反転させる。この外枠フレーム
１の反転は手作業により容易に行われ、制動ベルト１３
と制動ドラム１０の作用によって、外枠フレーム１と溶
接部材Ｗは反転位置に停止する。

【００２９】そして、正面側と同様に、溶接部材Ｗの背
面側の継ぎ目を全て溶接し、矩形のフレームが製作され
る。

【００３０】このように、溶接部材Ｗが、回転可能に軸
支された外枠フレーム１内に支持されているため、比較
的大形の溶接部材であっても、手作業で簡単にこれを反
転させ、溶接部材Ｗの継ぎ目を両側から、より少ない工
数で効率良く溶接することができる。

【００３１】また、溶接中、棒材の溶接部材Ｗは、外枠
フレーム１と可動フレーム２に沿って支持部材５により
強固に支持されるため、溶接の熱による溶接部材の伸び
や歪が減少し、製品の寸法精度を向上させることができ
る。

【００３２】図７は支持部材の他の実施例を示してい
る。この支持部材２５は、取付ねじ２５ｂで取付けられ
る平板状の取付部２５ａの側方に、連結部を介して断面
コ字状の支持部２５ｃを水平方向に設け、支持部２５ｃ
と取付部２５ａの間に開口部２５ｄを設けて構成され
る。

【００３３】この支持部材２５は、外枠フレーム１の縦
辺部又は可動フレーム２に取付けられ、溶接部材Ｗの水
平部（上辺部又は下辺部）を支持部２５ｃで支持する構
造のため、溶接部材Ｗの縦辺の長さが外枠フレーム１の
縦辺の長さより小さい場合でも、取付部２５ａの高さ位
置を調整することにより、対応することができる。

【００３４】図８は、支持部材のさらに他の実施例を示
し、この支持部材３５の支持部３５ｃ内には、永久磁石
２０が埋設される。溶接部材Ｗが鋼等の磁性体であれ
ば、溶接部材Ｗが支持部材３５に支持された際、永久磁
石２０に吸着されるため、溶接部材Ｗを一層確実に保持
させることができる。

【００３５】図９は支持部材のさらに他の実施例を示し
ている。この支持部材４５は、断面コ字状の支持部４５
ｃの上端部にねじ孔を設け、そのねじ孔に締付ねじ４５
ａを螺合し、その締付ねじ４５ａの先端に押付け部４５
ｂを、回転を許容して取付け、締付ねじ４５ａにより、
支持部４５ｃ内の溶接部材Ｗを締付可能に構成される。

【００３６】このような支持部材４５では、支持部４５
ｃに入れた溶接部材Ｗを締付ねじ４５ａで締付・固定す
ることができるため、図９のように、溶接部材Ｗが丸棒
であっても、支持部４５ｃ内に確実に固定して保持する
ことができる。

【００３７】図１０はさらに他の実施例を示し、この支
持部材５５は、断面コ字状の支持部５５ｃの上端部に孔
を設け、その孔にピン５５ａを嵌挿し、そのピン５５ａ
の先端に押付け部５５ｂを取付け、押付け部材５５ｂに
より、支持部５５ｃ内の溶接部材Ｗを押付けるように構
成される。

【００３８】この支持部材５５では、支持部５５ｃに入
れた溶接部材Ｗを押付け部５５ｂで押付けて固定するこ
とができるため、溶接部材Ｗが丸棒であっても、支持部
５５ｃ内に確実に保持することができる。

【００３９】図１１は外枠フレームの他の実施例を示
し、この外枠フレーム２１には各辺の長手方向に沿って
寸法目盛２１ｂが付されている。この寸法目盛２１ｂに
より、支持部材５の位置を溶接部材Ｗの大きさに合せて
容易に且つ正確に位置決めすることができる。

【００４０】また、下辺部に取付けた支持部材５の側部
に、ストッパー２２を取付けたため、縦辺部の支持部材
の落下を防止することができる。また、縦辺部のゼロ目
盛位置にストッパー２２の上端を合せることにより、縦
辺部に取付けた支持部材５を、このストッパー２２によ
りゼロ位置で容易に止めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す溶接用治具の斜視図で
ある。

【図２】図１のII−II拡大断面図である。

【図３】外枠フレームの回転軸支持部分の拡大断面図で
ある。

【図４】外枠フレームの回転軸支持部分の拡大断面図で
ある。

【図５】溶接用治具の右側面図である。

【図６】張力調整具１７の拡大正面図である。

【図７】他の実施例の支持部材２５の正面図（Ａ）と断
面図（Ｂ）である。

【図８】他の実施例の支持部材３５の断面図である。

【図９】他の実施例の支持部材４５の断面図である。

【図１０】他の実施例の支持部材５５の断面図である。

【図１１】他の実施例の外枠フレーム２１の部分拡大正
面図である。

【符号の説明】

１−外枠フレーム、 ２−可動フレーム、 ５−支持部材、 ５ｃ−支持部、 ６、７−回転軸、 ８、９−脚部、 １０−制動ドラム、 １３−制動ベルト。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 棒状の溶接部材を溶接して矩形のフレー
   ムを製造する際、該溶接部材を支持するために使用する
   溶接用治具において、 表面長手方向に沿って溝を設けた枠材により矩形の枠状
   に形成された外枠フレームと該外枠フレーム内に縦に配
   置されると共に、上端と下端を該外枠フレームの上辺部
   と下辺部に摺動可能に取付けられ、水平方向に移動可能
   な可動フレームと、 該外枠フレームの各辺部と該可動フレームに位置調整可
   能に取付けられ、内側に溶接部材を支持するための支持
   部を有する複数の支持部材と、 脚部を有すると共に、該外枠フレームの両側を水平回転
   可能に支持する回転支持機構と、 該外枠フレーム側に制動ドラムを取付け、該制動ドラム
   の外周部に制動ベルトを接して設けた制動機構と、 を備えたことを特徴とする溶接用治具。
2. 【請求項２】 前記外枠フレームの両側中央位置に回転
   軸が突設され、一方の該回転軸に制動ドラムが固定さ
   れ、該制動ドラムの外周に接する制動ベルトの張力を調
   整する張力調整具が設けられたことを特徴とする請求項
   １記載の溶接用治具。
3. 【請求項３】 前記支持部材の支持部に永久磁石が設け
   られた請求項１又は２記載の溶接用治具。
4. 【請求項４】 前記可動フレームに取付けられる支持部
   材が、溶接部材の上辺部を支持する形状の支持部を有し
   ている請求項１、２、又は３記載の溶接用治具。
5. 【請求項５】 前記支持部材の支持部に、該支持部に挿
   入された溶接部材を押付ける押付け部が設けられた請求
   項１又は２記載の溶接用治具。
6. 【請求項６】 前記外枠フレーム及び前記可動フレーム
   に寸法目盛が付された請求項１、２、３、又は４記載の
   溶接用治具。
7. 【請求項７】 前記外枠フレームの下辺部に取付けられ
   た前記支持部材に縦辺部の支持部材の落下を停止させる
   ストッパーがゼロ目盛に合せて設けられた請求項６記載
   の溶接用治具。