JPH09134521A - 磁気記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 強磁性体粉の防錆性及び分散性を向上させた
塗布型の磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 磁性層に用いる磁性粒子として、下記一
般式（１−１），（１−２）で表されるアミノキノン構
造のうち少なくとも一方のアミノキノン構造を有する物
質により表面処理された強磁性金属微粒子を使用する。 【化１】

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は塗布型の磁気録媒体
に関するものであり、特に強磁性体粉の防錆性及び分散
性を向上させた磁気記録媒体を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、磁気記録媒体用強磁性体粉には酸
化鉄系のものが多く使用されていたが、近年の高記録密
度化の要求に伴い、鉄または鉄を主体とする強磁性金属
微粒子が用いられるようになってきた。強磁性金属微粒
子は従来の酸化鉄系磁性体粉より優れた磁気記録特性を
有するが、粒子表面の活性が高く、空気中で酸化されや
すいという欠点がある。この性質は、得られた磁気記録
媒体の磁気特性を経時的に低下させるという問題を生
む。また、強磁性金属微粒子は酸化鉄系より凝集しやす
く、塗料化段階で分散性が悪いという問題点もある。

【０００３】これらの問題に対し、従来においては、液
相法または気相法で強磁性金属微粒子の表面に緻密な酸
化被膜を形成したり、また、強磁性金属微粒子に含まれ
るある種の金属元素や、界面活性剤、高級脂肪酸、樹脂
などの有機物で粒子表面を覆う方法等の対策が採られて
きた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したよう
な方法では、強磁性金属微粒子の酸化を抑制しつつ、塗
料化段階での高分散性を確保することが難しく、磁気特
性の経時的な低下を抑制する上で必ずしも十分な方法と
はいえなかった。本発明は、強磁性体粉の防錆性、分散
性を高め、磁気特性の経時安定性に優れた磁気記録媒体
を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題を解決するために、強磁性体粉と結合剤とを含む磁性
層を支持体に塗布してなる磁気記録媒体であって、前記
強磁性体粉は下記一般式（１−１），（１−２）で表さ
れるアミノキノン構造を有する物質により表面処理され
た強磁性体粉であることを特徴とする磁気記録媒体を提
供するものである。

【０００６】

【化１】

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明者は、強磁性体粉と結合剤
とを含む磁性層を支持体に塗布してなる磁気記録媒体に
おいて、強磁性体粉（特に強磁性金属微粒子）の防錆
性、分散性を向上させ、磁気特性の経時安定性を改善で
きる方法について鋭意研究を重ねた。その結果、前記化
１に示すアミノキノン構造を有する物質（例えば、キノ
ンとポリアミン化合物の反応生成物であるアミノキノン
化合物）によって、強磁性体粉を表面処理することによ
り、強磁性体粉の防錆性、分散性が向上し、磁気特性の
経時安定性に優れた磁気記録媒体が得られることを見出
した。

【０００８】強磁性体粉としては、Ｆｅ等の強磁性金属
微粒子や、Ｆｅ等を主体としてＮｉ，Ｃｏ，Ｍｎ，Ｚ
ｎ，Ｃｒ，Ｐ，Ｍｇ，Ａｌ，Ｓｉなどを少なくとも一種
以上添加した強磁性金属微粒子などが使用できる。これ
ら強磁性金属微粒子は酸化被膜形成前のものでもよい
し、酸化被膜形成後のものでもよい。

【０００９】アミノキノン化合物による強磁性金属微粒
子の表面処理方法については、使用する強磁性金属微粒
子の性質により処理方法を決定すべきであり、一つの方
法に限定することはできない。表面処理方法の一例を示
すと、水、またはアルコール系、ケトン系、芳香族系
有機溶媒等にアミノキノン化合物を溶解あるいは分散さ
せて表面処理液を作成し、その表面処理液中に強磁性金
属微粒子を浸漬させ表面処理する方法、磁性塗料化段
階でアミノキノン化合物を添加し表面処理する方法があ
る。アミノキノン化合物は、単体または複合体で使用で
きる。

【００１０】上記，の方法とも、添加するアミンキ
ノン化合物の量は、強磁性金属微粒子に対し０．１〜２
０重量％、好ましくは０．５〜１０重量％である。添加
量が０．１重量％未満では防錆効果が発現しにくい。ま
た、添加量が２０重量％を越えると増量効果がほとんど
なくなり、逆に過剰分が磁気記録媒体の物理的特性に悪
影響を及ぼしやすい。

【００１１】上記の表面処理方法では、強磁性金属微
粒子に対し０．１〜２０重量％（好ましくは０．５〜１
０重量％）のアミノキノン化合物を溶解あるいは分散さ
せた表面処理液を５０℃以上に加熱し、強磁性金属微粒
子を０．１〜２４時間、好ましくは５〜１０時間撹拌浸
漬させる。浸漬後の強磁性金属微粒子は、処理液ごと磁
性塗料化してもよいし、乾燥後の強磁性金属微粒子のみ
を磁性塗料化してもよい。

【００１２】本発明に用いるアミノキノン化合物として
は、例えば、次に示す構造式（３），（４），（５）で
表わされるものがある。

【００１３】

【化２】

【００１４】

【実施例】次に、本発明の各実施例の作成方法について
説明する。表１に示したアミノキノン化合物１０重量部
をエタノール３００重量部に溶解し、その表面処理液に
メタル磁性粉末（比表面積：５５ｍ2 ／ｇ，長軸長：
０．２μｍ，抗磁力：１２７ｋＡ／ｍ）１００重量部を
浸漬させ、温度を６０℃に保ちつつ５時間撹拌した。そ
の後、表面処理液をろ過し、溶媒を完全に蒸発させた表
面処理磁性粒子を用いて、下記組成で磁性塗料化した。

【００１５】 ［磁性塗料組成］ ・表面処理済みメタル磁性粉末（Fe:94%，Ni:2% ） １００．０重量部 ・塩化ビニル樹脂 （日本ゼオン製：ＭＲ１１０） １２．５重量部 ・ポリウレタン樹脂（東洋紡製 ：ＵＲ８３００） １２．５重量部 ・α−アルミナ ３．０重量部 ・パルミチン酸 ２．０重量部 ・メチルエチルケトン １００．０重量部 ・シクロヘキサノン １００．０重量部 上記磁性塗料をＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）
フィルム上に塗布し、磁気記録媒体（実施例１〜３）を
作成した。

【００１６】また、比較例として、メタル粉末を樹脂に
浸漬した場合、エタノールのみに浸漬した場合、無処理
の場合の３種類の磁気記録媒体（比較例１〜３）を同様
に作成した。上記各実施例、比較例について磁気特性を
測定した。磁気特性の経時安定性評価は、各磁気記録媒
体を６０℃、９０％環境下に３０日間保存し、飽和磁束
密度Ｂｍの変化率を測定することにより行なった。測定
結果を表２に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【表２】

【００１９】表２より、アミノキノン化合物により表面
処理を施した強磁性金属微粒子を用いた実施例１〜３
は、比較例１〜３のものと比べＢｍ経時変化率が著しく
小さい。このことより、実施例１〜３は、アミノキノン
化合物による表面処理により強磁性金属微粒子の防錆性
が大幅に向上していることがわかる。また角型比、飽和
磁束密度Ｂｍについても、実施例１〜３のものが、比較
例１〜３のものよりも良化傾向にある。従って、実施例
１〜３は、アミノキノン化合物による表面処理により強
磁性金属微粒子の分散性も向上している。

【００２０】

【発明の効果】以上の通り、本発明の磁気記録媒体は、
アミノキノン化合物による表面処理により強磁性体粉の
防錆性、分散性が向上し、磁気特性の経時安定性を大幅
に改善できる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】強磁性体粉と結合剤とを含む磁性層を支持
   体に塗布してなる磁気記録媒体であって、 前記強磁性体粉は下記一般式（１−１），（１−２）で
   表されるアミノキノン構造のうち少なくとも一方のアミ
   ノキノン構造を有する物質により表面処理された強磁性
   体粉であることを特徴とする磁気記録媒体。 【化１】