JPH09133468A - 電気炉の原料の追加装入または金属溶湯の出湯時点の判定方法および装置 - Google Patents

電気炉の原料の追加装入または金属溶湯の出湯時点の判定方法および装置

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JPH09133468A
JPH09133468A JP28736195A JP28736195A JPH09133468A JP H09133468 A JPH09133468 A JP H09133468A JP 28736195 A JP28736195 A JP 28736195A JP 28736195 A JP28736195 A JP 28736195A JP H09133468 A JPH09133468 A JP H09133468A
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temperature
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furnace
molten metal
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JP28736195A
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Tsutomu Okuno
勉 奥野
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気炉において、初期装入された原料の溶解
後、さらに原料を追加装入する時点、または溶解された
溶湯を出湯する時点を正確に判定する。 【解決手段】 判定装置20は、電気炉9の炉本体2の
水冷壁6に配設されている水冷管6aの入口冷却水温度
を検出する入口水温センサ16と、前記水冷管6aの出
口冷却水温度を検出する出口水温センサ13と、前記出
口冷却水温度と入口冷却水温度との温度差、または前記
出口冷却水温度の時間変化率を算出する演算手段17
と、前記温度差の予め定める判定温度、または前記時間
変化率の予め定める基準値を設定する設定手段18と、
前記演算手段17から算出される温度差または時間変化
率が前記設定手段18に設定されている判定温度または
基準値に達したとき、原料の追加装入または金属溶湯の
出湯を行うべきことを判定する判定手段19とを含んで
構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天井蓋や炉壁およ
び炉床の少なくとも一部に水冷構造を有する炉本体を備
える電気炉に係わり、初期装入される金属等の原料を溶
解または溶融する電気炉内にさらに原料を追加装入する
時点、または電気炉本体内から溶解された金属溶湯を出
湯する時点を好適に判定する方法およびそのための装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の金属材料や金属類や鉱石の溶解、
溶融、精錬または製錬工程、特にステンレス鋼等を含む
特殊鋼や高合金鉄などを溶製する製鉄や製鋼工程におい
ては、様々な金属溶解炉や金属溶解、溶融炉や金属製錬
炉などが用いられる。このうちの電気炉は、主に屑鉄や
フェロアロイや鉱石など種々の金属分を含有する主原料
と、主に精錬やスラグ塩基度調整用としての造滓材や加
炭材や還元材などを含む副原料などから成る原料の溶解
または溶融、さらに精錬などに用いられる。現在使用さ
れている電気炉は、その多くが次第に大型化され大容量
を有し、交流電源または直流電源を用いるアーク加熱式
電気炉である。このような電気炉内に、種々の事情や実
情に合わせて液状主原料を固体主副原料と抱き合わせ装
入することもあるけれども、通常、前述の如き種々の主
副原料が配合された固体原料を装入し、この電気炉に備
えられている電極に通電するとアーク放電が始まり、こ
のアーク放電により発生した熱によって固体原料が溶解
または溶融されて種々の金属や合金などの溶湯、溶銑ま
たは溶鋼など、すなわち広義の金属溶湯とスラグとが溶
解または溶融されて溶製される。そして、溶解または溶
融された金属溶湯とスラグは、適宜精錬され、電気炉本
体内から次工程へ向けて出湯かつ出滓される。
【0003】このようにして用いられる電気炉は、通
常、前述の如く固体原料の装入から溶製された金属溶湯
と、スラグの出湯かつ出滓に至るまでのバッチ方式(バ
ッチ処理)により、次々と連続的に操業される。
【0004】このようなバッチ処理により連続的に操業
される電気炉においては、近年、特に高能率、生産性や
経済性を伴うマスプロ化を促進するために、前述の如く
電気炉を大型化し大容量の炉にして、1回分の処理で極
力多量の原料を装入できるようにして、そして溶解また
は溶融された極力多量の金属溶湯を出湯可能にしてい
る。しかしながら、このように多量に装入される固体原
料は一般にかさばっており、1回の装入で1回分の処理
に必要な全ての原料が電気炉内に初期に装入できない場
合が多い。そのときは、初期に電気炉内に原料の大半を
装入して加熱し、この加熱装入原料がある程度溶解また
は溶融し、その嵩が減少した時点で残りの必用量の原料
を通常1回、あるいは2〜3回程度に分けて追加装入し
て加熱、溶解または溶融する。
【0005】このように電気炉内に原料を追加装入す
る、または必要に応じて適宜精錬され少なくとも溶解、
かつ溶融している金属溶湯やスラグを出湯かつ出滓する
には、初期装入あるいはさらに追加装入するいずれの装
入の場合であっても、電気炉内部に装入された原料が、
ほとんどあるいは完全に溶解または溶融している必要が
ある。このためには、いずれにしても装入された電気炉
内部の原料の溶解または溶融状態を経時的に確実に把握
し続けておくことと、特に初期装入された原料が溶解ま
たは溶融されて追加装入する場合の追加装入し得る、追
加装入可能な時点の間断のない把握およびその時点の確
実な判定とが必要である。また、溶解または溶融された
金属溶湯を精錬するあるいは精錬しないは別にして、少
なくとも溶解または溶融された金属溶湯を出湯し得る、
出湯可能な時点の間断のない把握およびその時点の確実
な判定が必要である。
【0006】このように間断のない確実な把握と、追加
装入または金属溶湯の出湯時点の確実な判定とが必要で
あるけれども、これに対する典型的な従来技術による
と、原料の溶解または溶融状態の経時的な把握と前記各
時点の判定は、原料の装入時で天井蓋を開放したときに
炉内監視用モニタを介し、または作業員が炉内を目視し
て行っている。また、電気炉本体には、その炉壁(側
壁)の一部にたとえば除滓口や作業口などの開口部を有
しているので、その開口部を開口したとき、炉内監視用
モニタを介し、または作業員が炉内を目視して行ってい
る。
【0007】一方、電気炉内に原料を追加装入するため
に電気炉本体から天井蓋を開放する時期は、予め定めら
れた消費電力量によって判定される場合もある。この予
め定められる消費電力量は、電気炉自体の種類、形式、
構造、形状、容量(寸法)などの条件や、炉への経時的
な原料の装入や通電条件などを含む操炉または操業条件
や、装入される原料配合に関係なく、単に装入される原
料の総重量に一定の電力原単位を乗算して定めるような
粗いものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、原料の
溶解または溶融状態の把握は、原料の装入時に天井蓋を
開放するときや、電気炉本体の炉壁(側壁)の一部に備
えられている除滓口や作業口などの開口部を開口すると
き、これらの短時間で限られた場合にのみ行われ、また
はその判定方法も炉外に配置された炉内監視用カメラか
らのモニタ画面を作業員が目視観察するか、または炉縁
で作業員が直接目視したりして行っている。このため、
原料の溶解または溶融中にその状態を観察し続けて、経
時的に連続把握しながら判定することはできない。さら
に、その判定は作業員によって行われるので、個人差や
ミスも多く、観察結果に基づく把握や判定は精度および
確実さに欠け、安定した信頼性のおけるものではない。
より充分に観察しようとして、頻繁に、前記除滓口や作
業口などの開口部を開口すると、その度毎に電気炉内の
熱量が開口部から炉外へ放散してしまい、高価な消費電
力量が増加し、電力原単位が上昇して省エネルギ操業に
つながらない。また、粉塵が多量に発生して環境悪化を
招き、さらに天井蓋や電気炉本体内の耐火物層に対して
も、比較的に急激な温度上昇や冷却作用を及ぼし悪影響
を及ぼすので、その開口回数も制限され、やはり連続的
に観察し続けることができず、好適な溶解または溶融状
態の把握と判定が困難である。さらに、粉塵の外部への
放散を防止するために、電気炉全体がハウス内に収容さ
れている場合には、作業員の炉内観察はハウスの介在の
ために困難であり、たとえ観察できたとしても狭い視野
での観察に限定される。
【0009】また、原料の溶解または溶融の際には前述
のごとき炉内の観察を行わず、また主副原料の種類やそ
の原料配合あるいは炉の種類等々の違いに拘わらず、一
定の電力量を加えて原料を溶解または溶融している場合
がある。したがって、このような場合には装入された原
料が、比較的溶解し易い原料およびその配合である場
合、設定電力量を全て消費する前に完全に原料が溶解ま
たは溶融してしまってもさらに電力が供給され、その後
に金属溶湯の出湯あるいは原料の追加装入が行われるた
め、過剰な電力量が供給されることになり、溶解電力量
のロス(無駄)が生じる。また、原料が完全に溶解また
は溶融した後もさらに電極への通電を続けると、電極か
ら発生するアークによって生じる炉壁の耐火物層への熱
負荷が大きくなり、耐火物の損耗量を増大させる。
【0010】また、電気炉で原料を溶解または溶融する
際に、原料がほとんど溶解または溶融する溶落時期に
は、原料の急速な反応による吹上げやフォーミング現象
が生じる。従来の原料溶解または溶融方法では、原料溶
解中に炉内を観察し続けることができないため、この溶
落時期の判定が困難であり、吹上げなどの未然予測もで
きない。
【0011】本発明の目的は、金属溶解・溶融炉内の原
料の溶解状況を目視によらずに判定し、過剰な電力投入
を抑えて電力原単位の低減を図ると同時に、炉壁耐火物
層への熱負荷を小さくして損耗量を減少させることによ
って、耐火物費用の低減を図ることができる電気炉の追
加装入時点または出湯時点の判定方法および装置を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、電気炉を構成
する天井蓋および炉本体の少なくとも一部に水冷管が配
設され、前記電気炉に通電開始して初期装入されている
金属等の原料を溶解する炉本体内に、さらに原料を追加
装入する時点、または溶解された金属溶湯を炉本体内か
ら出湯する時点を判定する方法において、前記水冷管の
入口冷却水の水温と、出口冷却水の水温との温度差が1
5〜45℃の範囲内で予め定める判定温度以上になった
とき、原料の追加装入または金属溶湯の出湯を行うこと
を特徴とする電気炉の原料の追加装入または金属溶湯の
出湯時点の判定方法である。本発明に従えば、原料の追
加装入または金属溶湯の出湯判定基準として、出口冷却
水温度と入口冷却水温度との温度差が用いられる。前記
温度差は、電気炉内の固体原料の溶解状態に対応してい
る。原料装入直後のように原料がかさばり、炉内空間を
満たしているときには、未溶解の原料がアークの輻射熱
を遮るので、前記水冷管は直接アークの熱負荷を受けな
い。このため、前記温度差の上昇率は非常に小さい。し
かしながら、原料の溶解が進行するにつれて前記水冷管
はアークの輻射熱を直接受けるようになるので、前記水
冷管に対する熱負荷はしだいに大きくなる。また、固体
の原料が溶解して金属溶湯となる反応が起こっていると
きには、与えられたエネルギは潜熱となって消費される
ので、前記温度差の上昇率は小さい。固体の原料が全て
溶解し、前記反応が終了したときには、与えられたエネ
ルギは金属溶湯自身の温度の上昇、すなわち水冷管の出
口冷却水温度の上昇に用いられるので、前記温度差の上
昇率は大きくなる。このように、前記冷却水温度の温度
差は、電気炉内の原料の溶解状態に対応して変化するの
で、前記温度差によって原料の溶解状態を連続的に把握
し、予め定める判定温度に基づいて、前記追加装入また
は出湯時期を正確に判定することができる。
【0013】また本発明は、前記温度差が15〜30℃
の範囲内で、15℃以上になったとき、原料の追加装入
を行うことを特徴とする。本発明に従えば、前記予め定
める判定温度が原料の追加装入を行うことができる溶解
状態と対応する値に設定されているので、原料の追加装
入時期を正確に判定し、適正な原料の溶解状態で原料の
追加装入を行うことができる。
【0014】また本発明は、前記温度差が20〜45℃
の範囲内で、20℃以上になったとき、金属溶湯の出湯
を行うことを特徴とする。本発明に従えば、前記予め定
める判定温度が金属溶湯の出湯を行うことができる溶解
状態と対応する値に設定されているので、金属溶湯の出
湯時期を正確に判定し、適正な溶解状態で金属溶湯の出
湯を行うことができる。
【0015】また本発明は、電気炉を構成する天井蓋お
よび炉本体の少なくとも一部に水冷管が配設され、前記
電気炉に通電開始して初期装入されている金属等の原料
を溶解する炉本体内に、さらに原料を追加装入する時
点、または溶解された金属溶湯を炉本体内から出湯する
時点を判定する方法において、前記水冷管における出口
冷却水の水温の時間変化率が大きく急変し、予め定めた
基準となる時間変化率以上になったとき、原料の追加装
入または金属溶湯の出湯を行うことを特徴とする電気炉
の原料の追加装入または金属溶湯の出湯時点の判定方法
である。本発明に従えば、原料の追加装入または金属溶
湯の出湯判定基準として、前記水冷管における出口冷却
水温度の時間変化率が用いられる。前記水温の時間変化
率は、電気炉内の原料の溶解状態に対応して変化し、特
に溶解時に急変するので、前記水温の時間変化率によっ
て原料の溶解状態を連続的に把握し、予め定める基準値
に基づいて前記追加装入または出湯時期を正確に判定す
ることができる。
【0016】また本発明は、前記予め定めた基準となる
時間変化率が3℃/分であることを特徴とする。本発明
に従えば、前記予め定める基準値が原料の追加装入また
は金属溶湯の出湯を行うことができる溶解状態と対応す
る値に設定されているので、前記追加装入または出湯時
期を正確に判定し、それぞれの操作に見合った原料の溶
解状態で前記追加装入または出湯を行うことができる。
【0017】また本発明は、電気炉を構成する天井蓋お
よび炉本体の少なくとも一部に水冷管が配設され、前記
電気炉に通電開始して初期装入されている金属等の原料
を溶解する炉本体内に、さらに原料を追加装入する時
点、または溶解された金属溶湯を炉本体内から出湯する
時点を判定する方法において、前記炉本体内の耐火物層
中、または炉本体内における炉壁の耐火物層中に間隔を
あけて複数の測温センサを配設し、前記通電開始時にお
ける各測温センサからの出力値と、それらにそれぞれ対
応する通電開始後の各測温センサからの出力値とに基づ
く温度差が、40〜50℃の範囲内で40℃以上になっ
たとき、原料の追加装入または金属溶湯の出湯を行うこ
とを特徴とする電気炉の原料の追加装入または金属溶湯
の出湯時点の判定方法である。本発明に従えば、原料の
追加装入または金属溶湯の出湯判定基準として、前記耐
火物温度の温度差が用いられる。前記耐火物温度の温度
差は、電気炉内の原料の溶解状態に対応して変化するの
で、前記温度差によって原料の溶解状態を連続的に把握
し、前記予め定める判定温度によって前記追加装入また
は出湯時期を正確に判定することができる。
【0018】また本発明は、電気炉を構成する天井蓋お
よび炉本体の少なくとも一部に水冷管が配設され、前記
電気炉に通電開始して初期装入されている金属等の原料
を溶解する炉本体内に、さらに原料を追加装入する時
点、または溶解された金属溶湯を炉本体内から出湯する
時点を判定する方法において、前記炉本体内の耐火物層
中、または炉本体内における炉壁の耐火物層中に間隔を
あけて複数の測温センサを配設し、各測温センサからの
出力に基づく各温度の時間変化率が急変して予め定めた
基準値以上になったとき、原料の追加装入または金属溶
湯の出湯を行うことを特徴とする電気炉の原料の追加装
入または金属溶湯の出湯時点の判定方法である。本発明
に従えば、原料の追加装入または金属溶湯の出湯判定基
準として、前記耐火物温度の時間変化率が用いられる。
前記耐火物温度の時間変化率は、電気炉内の原料の溶解
状態に対応して変化し、特に溶解時に急変するので、前
記耐火物温度の時間変化率によって原料の溶解状態を連
続的に把握し、前記予め定める基準値によって前記追加
装入または出湯時期を正確に判定することができる。
【0019】また本発明は、前記基準値が5℃/分であ
ることを特徴とする。本発明に従えば、前記予め定める
基準値が原料の追加装入または金属溶湯の出湯を行うこ
とができる溶解状態と対応する値に設定されているの
で、前記追加装入または出湯時期を正確に判定すること
ができる。
【0020】また本発明は、電気炉を構成する天井蓋お
よび炉本体の少なくとも一部に水冷管が配設され、前記
電気炉に通電開始して初期装入されている金属等の原料
を溶解する炉本体内に、さらに原料を追加装入する時
点、または溶解された金属溶湯を炉本体内から出湯する
時点を判定する装置において、前記水冷管の入口冷却水
の水温と、出口冷却水の水温とが検出される各水温測定
センサと、前記各水温センサからの出力に基づいて前記
入口冷却水の水温と出口冷却水の水温との温度差、また
は前記出口冷却水の水温の時間変化率が算定される演算
手段と、前記温度差に関する特定温度範囲内にあって予
め定める判定温度、または前記出口冷却水の水温に関し
て予め定めた基準となる時間変化率が予め設定される設
定手段と、前記演算手段から算出される温度差または時
間変化率が、前記設定手段に設定されている特定温度範
囲内にあって、予め定める判定温度または予め定めた基
準となる時間変化率とそれぞれ対比され、当該判定温度
以上または基準となる時間変化率以上になったとき、原
料の追加装入または金属溶湯の出湯を行うべきことを判
定する判定手段とを含むことを特徴とする電気炉の原料
の追加装入または金属溶湯の出湯時点の判定装置であ
る。本発明に従えば、前記判定装置は、水温測定センサ
によって入口冷却水温度および出口冷却水温度を検出
し、演算手段によって前記冷却水温度の温度差または出
口冷却水温度の時間変化率を算定し、設定手段によって
予め定める判定温度または時間変化率の基準値を設定
し、判定手段によって前記温度差または時間変化率が、
予め定める判定温度または予め定めた時間変化率の基準
値以上となったとき、原料の追加装入または金属溶湯の
出湯を行うべきことを判定することができる。これによ
って、前記判定装置は、原料の溶解状態を目視でなく冷
却水温度によって連続的に把握し、予め定める基準値に
基づいて前記追加装入または出湯時期を正確に判定する
ことができるので、過剰に電力を投入することなく、前
記追加装入または出湯を行うことができる。
【0021】また本発明は、電気炉を構成する天井蓋お
よび炉本体の少なくとも一部に水冷管が配設され、前記
電気炉に通電開始して初期装入されている金属等の原料
を溶解する炉本体内に、さらに原料を追加装入する時
点、または溶解された金属溶湯を炉本体内から出湯する
時点を判定する装置において、前記炉本体内の耐火物層
中、または炉本体内における炉壁の耐火物層中に間隔を
あけて設けられる複数の測温センサと、前記通電開始時
における各測温センサからの出力値と、それらにそれぞ
れ対応する前記通電開始後の各測温センサからの出力値
とに基づく温度差、または通電開始後の各測温センサの
出力値に基づく各温度の時間変化率が算定される演算手
段と、前記温度差に関する特定温度範囲内にあって予め
定める判定温度、または各温度の時間変化率に関して予
め定めた基準となる時間変化率が予め設定される設定手
段と、前記演算手段から算出される温度差または時間変
化率が、前記設定手段に設定されている特定温度範囲内
にあって、予め定める判定温度または予め定めた基準と
なる時間変化率とそれぞれ対比され、当該判定温度以上
または基準となる時間変化率以上になったとき、原料の
追加装入または金属溶湯の出湯を行うべきことを判定す
る判定手段とを含むことを特徴とする電気炉の原料の追
加装入または金属溶湯の出湯時点の判定装置である。本
発明に従えば、前記判定装置は、複数の測温センサによ
って、前記耐火物層の温度を測定し、演算手段によって
各測温センサの通電開始時と開始後の温度差または各温
度の時間変化率を算定し、設定手段によって予め定める
判定温度、または各温度の時間変化率の基準値を設定
し、判定手段によって前記温度差または時間変化率が、
予め定める判定温度または予め定めた時間変化率の基準
値以上となったとき、原料の追加装入または金属溶湯の
出湯を行うべきことを判定することができる。これによ
って、前記判定装置は、原料の溶解状態を目視でなく、
前記耐火物層の温度によって連続的に把握し、予め定め
る基準値に基づいて前記追加装入または出湯時期を正確
に判定することができるので、過剰に電力を投入するこ
となく、前記追加装入または溶湯の出湯を行うことがで
きる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態である電気炉の原料の追加装入または溶湯の出湯時点
の判定装置(以後、「判定装置」と略称することがあ
る)の構成を簡略化して示す系統図である。判定装置2
0は、電気炉9の炉本体2の水冷壁6に配設されている
水冷管6aの入口冷却水温度を検出する入口水温センサ
16と、前記水冷管6aの出口冷却水温度を検出する出
口水温センサ13と、前記出口冷却水温度と入口冷却水
温度との温度差、または前記出口冷却水温度の時間変化
率を算出する演算手段17と、前記温度差の予め定める
判定温度、または前記時間変化率の予め定める基準値を
設定する設定手段18と、前記演算手段17から算出さ
れる温度差または時間変化率が、前記設定手段18に設
定されている判定温度または基準値に達したとき、原料
の追加装入または金属溶湯、たとえばステンレス鋼溶湯
(以後、「溶湯」と略称することがある)の出湯を行う
べきことを判定する判定手段19とを含んで構成され
る。
【0023】前記入口水温センサ16および出口水温セ
ンサ13は、熱電対などによって構成され、入口冷却水
温度および出口冷却水温度を連続的に検出して検出出力
を前記演算手段17に送信する。前記入口水温センサ1
6および出口水温センサ13の設置位置ならびに構成
は、後述するとおりである。なお、出口冷却水温度は、
後述のように原料の溶解状態と対応して変化する。
【0024】図2は、電気炉の構成を簡略化して示す正
面から見た断面図である。電気炉9は電極10が取付け
られた天井蓋1と、略円筒形の鉄皮などから成る炉壁3
と、椀状の炉床4とで構成された炉本体2とから成る。
炉本体2の溶湯14などが接する炉壁3および炉床4の
内壁には耐火物層5が設けられ、溶湯14などと直接接
しない炉本体2の内壁および天井蓋1の内壁には、冷却
水を通す水冷管6aによって構成される水冷壁6が設置
される。炉本体2の一方側には、原料を溶解・精錬した
際に生じるスラグ15などを除去するための作業口7が
設けられ、また作業口7に対向する位置には、溶湯14
を出湯するための出湯口8が設けられ、出湯樋8aが取
付けられている。さらにまた、炉本体2の底部(炉底)
には、溶湯14を撹拌するための気体、たとえば窒素ガ
スなどを吹込むための吹込みノズル11が設けられてい
る。
【0025】電気炉9の炉本体2の内部に装入されたス
クラップなどの原料と、天井蓋1の電極10の先端部と
の間には間隙が設けられており、変圧器で電圧を調整さ
れた電流を電極10に通電すると、電極10と原料との
間にアークが発生し、このとき発生する熱によって原料
は溶解、溶融(以後、「溶解」と略称する)される。原
料が溶解されて生じる溶湯14およびスラグ15は、炉
本体2の内部に貯留される。
【0026】図3は、図2に示す電気炉の天井蓋の構成
を簡略化して示す平面図である。天井蓋1は、水冷壁6
と小天井1aとから構成されており、水冷壁6には、水
冷管6aが周方向に連続して密に配置されている。水冷
管6aの冷却水入口側および出口側には、入口水温セン
サ16および出口水温センサ13がそれぞれ配置されて
いる。小天井1aには、昇降自在な3本の電極10(1
0a,10b,10c)が挿通されており、3本の電極
10は、周方向に等間隔をあけて配設されている。
【0027】図4は、図2に示す電気炉の炉本体の水冷
壁の構成を簡略化して示す斜視図である。電気炉9の炉
本体2の炉壁3に設けられている水冷壁6(以後、「水
冷炉壁6」と略称することがある)は、円周方向に複数
個、たとえば8個のブロックB1〜B8に分割され、そ
れぞれのブロック内を水冷管6aが密に配置されてい
る。各水冷管6aの冷却水入口側および冷却水出口側の
少なくとも1箇所、あるいは複数箇所には、入口水温セ
ンサ16および出口水温センサ13がそれぞれ設置さ
れ、操業中の冷却水の水温を連続的に測定する。なお、
図3および図4に示す水冷管6aに供給される冷却水は
閉鎖した循環経路内を循環しており、水冷壁6を通過し
て昇温された冷却水は冷却設備で冷却され、再度入口冷
却水として供給される。このため、入口冷却水の水温
は、ほぼ一定温度、たとえば12〜20℃に保持され
る。
【0028】図5は、図1に示す出口水温センサの構成
および設置状況を簡略化して示す模式図である。前記出
口水温センサ13は、熱電対13aと、その感温部13
bと、保護管13cとを含み、感温部13bが水冷管6
aの中心軸6b上に配置されるように設置される。な
お、前記入口水温センサ16の構成および設置状況は、
前記出口水温センサ13と全く同一である。
【0029】図6は、図2の切断面線VI−VIから見
た電気炉の横断面図である。電気炉9の炉本体2の炉壁
3に形成されている耐火物層5は、溶湯14と接する消
耗レンガ層5aと、消耗レンガ層5aの外方側に設けら
れる永久レンガ層5bとから成り、これらの間の少なく
とも1箇所あるいは周方向の複数箇所には、熱電対など
で構成される測温センサ12が設置され、操業中の耐火
物温度を連続的に測定する。たとえば、周方向に6等分
されたブロックのうち3本の電極10に近く、電極10
の熱負荷を受け易い3箇所のホットスポット部に測温セ
ンサ12a,12c,12eが設置され、電極の熱負荷
を受けにくい3箇所のコールドスポット部に測温センサ
12b,12d,12fが設置される。
【0030】前記演算手段17は、マイクロコンピュー
タなどによって実現され、前記炉本体2の水冷壁6に設
けられている前記入口水温センサ16および出口水温セ
ンサ13からの出力に基づいて、出口冷却水温度と入口
冷却水温度との温度差、または前記出口冷却水温度の時
間変化率を算出する。
【0031】前記設定手段18は、前記温度差に関する
特定温度範囲内にあって、予め定める判定温度、または
前記出口冷却水の水温に関して、予め定めた基準となる
時間変化率をキーボードなどによって予め設定する。前
記判定温度または時間変化率の基準値は、原料の追加装
入時点、または溶湯の出湯時点と対応する前記温度差ま
たは時間変化率を事前に把握することによって後述する
予め定める値に設定される。
【0032】前記判定手段19は、プロセスコンピュー
タなどによって実現され、前記演算手段17から算出さ
れる温度差または時間変化率が、前記設定手段に設定さ
れている特定温度範囲内にあって、予め定める判定温度
または予め定めた基準となる時間変化率とそれぞれ対比
され、当該判定温度以上または基準となる時間変化率以
上になったとき、原料の追加装入または金属溶湯の出湯
を行うべきことを判断する。
【0033】このように判定装置20は、入口水温セン
サ16および出口水温センサ13によって前記入口冷却
水および出口冷却水の水温を測定し、後述のように原料
の溶解状態に対応して変化する出口冷却水温度と入口冷
却水温度との温度差、または出口冷却水温度の時間変化
率を演算手段17によって算出し、算出値が設定手段1
8によって設定される前記予め定める判定温度または前
記予め定める基準となる時間変化率に達したとき、判定
手段19によって原料の追加装入または溶湯の出湯を行
うべきことを判断することができる。このため、判定装
置20の判定は、正確かつ確実に行われる。
【0034】図7は、図4に示す炉本体の水冷炉壁の出
口冷却水温度の経時変化を示す推移図である。推移線W
1は、図4に示す電極10aのホットスポット部に位置
する水冷壁6のブロックB1の出口水温センサ13で測
定された冷却水温度を示す推移線であり、推移線W2,
W3は、電極10b,10cのホットスポット部に位置
する水冷炉壁6のブロックB4,B7の出口冷却水温度
をそれぞれ示す推移線である。炉本体2に設置した水冷
壁6の水冷管6a内の出口冷却水温度は、アークによる
熱負荷の影響または溶湯自身の温度変化の影響を受け易
いために操業中の温度変化が大きく、かつ、その変化は
原料の溶解状況、すなわち固体の原料と液体の溶湯の割
合に対応している。
【0035】時刻t0から電極10への通電を開始する
と原料の加熱溶解が始まる。矢符A1で示す溶解前期に
は固体の原料が炉内空間全体に充填され、水冷壁6に向
かうアークを遮断するために水冷壁6が直接アークの熱
負荷を受けず、また原料の溶解時には、与えられた熱エ
ネルギの大部分が固体の原料を溶解するための潜熱とし
て消費されるので、各ホットスポット部に位置する水冷
壁6の水冷管6aの出口側で測定した冷却水温度は大き
く上昇変化しない。しかしながら、矢符B1で示す溶解
後期には、原料がほとんど溶解し、原料が炉内空間に示
す割合が非常に小さくなって水冷壁6が直接アークの熱
負荷を受け、かつ、原料がほとんど溶解したことによっ
て与えられる熱エネルギの大部分が溶湯自身の温度上昇
に用いられるので、各ホットスポット部で測定した出口
冷却水温度は大きく上昇し、かつ水温の時間変化率も増
大する。時刻t1で追加装入のために天井蓋1が開放さ
れると、炉内の熱が放散し、炉内温度が低下するので、
出口冷却水温度も低下する。時刻t2で追加装入を終了
し電極10への通電を再開すると、出口冷却水温度は追
加装入前の温度変化と同様の挙動を示し、矢符A2で示
す溶解前期には大きく上昇せず、矢符B2で示す溶解後
期に大きく上昇し、かつ水温の時間変化率も増大する。
時刻t3では、出湯を行うために天井蓋1を開放するの
で、出口冷却水温度は低下する。なお、前述のように入
口冷却水温度は、ほぼ一定に保持されているので、前記
出口冷却水温度の推移は出口冷却水温度と、入口冷却水
温度との温度差の推移とほぼ一致する。
【0036】図8は、図2に示す電気炉への原料の装入
方法を示す模式図である。スクラップやバスラと呼ばれ
る切りばり屑などを含む原料は、保管場所からトラック
またはクレーンなどの移動手段21を用いて運ばれ、バ
スケットと呼ばれる装入容器22に、たとえば嵩の8割
になるまで装入される。装入容器22は、クレーンなど
で天井蓋1を開放した電気炉9の炉本体2の上部に運ば
れ、装入容器22の底を開いて中の原料が炉内に装入さ
れる。原料を追加装入する場合、炉内の原料に未溶解の
部分が多く残っているときには、炉内空間の容積が小さ
いので、追加装入する原料を全て装入することができな
いことがあり、また原料が盛り上がって天井蓋1を閉め
ることができない、いわゆる材料盛りが発生することが
ある。材料盛りが発生した場合、作業員が手動で原料を
装入し直すなど多大な労力と時間を要するので、原料が
充分溶解し、炉内空間の容積が充分大きくなってから原
料の追加装入を行う必要がある。
【0037】図9は、初期装入から追加装入間における
水冷炉壁の出口冷却水温度と、入口冷却水温度との温度
差に対する原料の材料盛り発生頻度および原料溶解率8
0%以上の頻度の関係を示す特性図である。原料の溶解
率とは、原料の装入総量に対する原料の溶解量の割合で
ある。図9から、前記冷却水温度の温度差と原料の溶解
状況とは対応しており、前記温度差が大きくなるほど原
料の溶解が進行し、前記材料盛りの発生頻度が低下して
いることが判る。すなわち、前記温度差が15℃未満の
範囲では、原料の溶解率が低い溶解初期段階に対応して
おり、前記温度差が大きくなるにつれて溶解率が急増
し、材料盛りの発生頻度が急減している。前記温度差が
15℃以上30℃以下の範囲では、原料の溶解率が高
く、原料の溶解がかなり進行している段階に対応してお
り、材料盛り発生頻度は、ほぼ0%である。このため、
この温度差範囲においては、材料盛りが発生せず、原料
の追加装入が可能である。前記温度差が30℃を超える
範囲では、原料がほぼ完全に溶解しており、追加装入は
可能であるけれども、過剰な電力投入によって電力原単
位の増大を招く。これによって、原料の追加装入時点を
判定するための前記温度差範囲は、15〜30℃である
ことが好ましく、かつ前記温度差の判定温度は、15℃
に選ばれることが好ましい。
【0038】図10は、初期装入原料の溶解電力原単位
に対する初期装入から追加装入間における水冷炉壁の出
口冷却水温度と、入口冷却水温度との温度差の関係を示
す特性図である。初期装入原料の溶解電力原単位は、初
期装入原料の溶解に使用した消費溶解電力量を、初期装
入原料の総重量で除算したものである。図10から、前
記冷却水温度の温度差と前記溶解電力原単位の間には、
相関関係が認められ、溶解電力の負荷によって前記温度
差が増大していることが判る。また、前記溶解電力原単
位の基準値である零は、前記従来技術を用いた場合の溶
解電力原単位であり、このときの前記冷却水温度の温度
差は、ほぼ25〜30℃の範囲を示している。したがっ
て、前記追加装入時の判定温度を30℃を超える値とし
た場合、溶解電力は過剰となっていることが判る。
【0039】さらにまた、前記追加装入時の判定温度を
適正温度範囲の下限値を下まわる15℃未満とした場合
には、前記電力原単位は大幅に低下するけれども、原料
の溶解が充分でないので、前記材料盛り発生頻度が増加
するばかりでなく、溶湯の温度が充分に上がらない状態
で、温度の低い原料の追加装入が行われる。このため、
溶湯の温度がさらに低下し、特に炉本体2の炉床4の傾
斜部に堆積している原料が未溶解のまま通電が終了し
て、溶湯を出湯した後も炉内に残る場合がある。これは
溶解歩留りを低下させ、また溶湯の成分のばらつきの原
因になる。したがって、前記判定温度は、前述のように
装入された原料が充分に溶解し、かつ溶解電力の過剰投
入が生じない前記適正温度範囲15〜30℃内で、かつ
15℃とすることが好ましい。
【0040】図11は、初期装入から追加装入間におけ
る水冷炉壁の出口冷却水温度の時間変化率に対する原料
の材料盛り発生頻度、および原料溶解率80%以上の頻
度の関係を示す特性図である。図11から、前記出口冷
却水温度の時間変化率と原料の溶解状況とは対応してお
り、前記時間変化率が大きくなるほど原料の溶解が進行
し、材料盛りの発生頻度が低下していることが判る。す
なわち、前記時間変化率が3℃/分未満の範囲では、原
料の溶解率が低い溶解初期段階に対応しており、前記時
間変化率が大きくなるにつれて溶解率が急増し、材料盛
りの発生頻度が急減している。前記時間変化率が3℃/
分以上では、原料の溶解率が高く、原料の溶解がかなり
進行している段階に対応しており、材料盛りの発生頻度
はほぼ0%である。このため、前記時間変化率の範囲に
おいては、材料盛りが発生せず、原料の追加装入が可能
である。これによって、原料の追加装入時点を判定する
ための前記時間変化率の予め定める基準値としては、3
℃/分の値に選ばれることが好ましい。
【0041】図12は、追加装入から出湯間における水
冷炉壁の出口冷却水温度と、入口冷却水温度との温度差
に対する原料の溶解率の関係を示す特性図である。図1
2から、前記温度差と原料の溶解率とは対応しており、
前記温度差が大きくなるほど原料の溶解が進行している
ことが判る。すなわち、前記温度差が20℃未満の範囲
では、原料の溶解率が低く、溶解原料の残存する段階に
対応しており、前記温度差が大きくなるにつれて溶解率
が急増している。前記温度差が20℃以上45℃以下の
範囲では、原料が完全溶解している段階に対応してい
る。原料の完全溶解後には、溶湯の出湯が可能であるけ
れども、実操業においては、溶湯の温度調整やスラグ中
酸化クロムの還元精錬などが行われた後、溶湯の出湯を
行うことが多い。前記原料の完全溶解後の精錬は、溶湯
の温度上昇をもたらし、それは前記温度差の増大を招
く。
【0042】前記温度差が45℃を超える範囲は、前記
原料の完全溶解後の精錬によってもたらされる温度上昇
よりも過大な温度上昇に対応する範囲であり、過剰な電
力投入によって電力原単位の増大を招く。これによっ
て、溶湯の出湯時点を判定するための前記温度差範囲
は、20〜45℃であることが好ましく、かつ前記温度
差の判定温度は20℃に選ばれることが好ましい。な
お、この判定温度は、前記原料の完全溶解後の精錬内容
に応じて、前記温度範囲20〜45℃内で変更すること
ができる。
【0043】図13は、追加装入から出湯間における水
冷炉壁の出口冷却水温度の時間変化率に対する原料の溶
解率の関係を示す特性図である。図13から、前記出口
冷却水温度の時間変化率と原料の溶解率とは対応してお
り、前記時間変化率が大きくなるほど原料の溶解が進行
していることが判る。すなわち、前記時間変化率が3℃
/分未満の範囲では、原料の溶解率が低く、未溶解原料
の残存する段階に対応しており、前記時間変化率が大き
くなるほど溶解率が急増している。前記時間変化率が3
℃/分以上の範囲では、原料が完全溶解している段階に
対応している。これによって、溶湯の出湯時点を判定す
るための前記時間変化率の予め定める基準値としては、
3℃/分の値に選ばれることが好ましい。なお、この値
は原料の完全溶解に対応する値であり、前述のように、
原料の完全溶解後に精錬を行う場合には、精錬内容に応
じて溶湯の出湯時点を決定すればよい。
【0044】図14は、水冷炉壁の出口冷却水温度と入
口冷却水温度との温度差による原料の追加装入時点また
は溶湯の出湯時点の判定方法を説明するためのフローチ
ャートである。ステップa1では、電気炉9の炉本体2
内にステンレス鋼の原料が初期装入され、通電が開始さ
れる。装入原料としては、フェロニッケル、フェロクロ
ムおよびステンレス鋼屑などが主として用いられる。ス
テップa2では、水冷炉壁6の入口冷却水温度T1が入
口水温センサ16によって測定される。ステップa3で
は、水冷炉壁6の出口冷却水温度T2が出口水温センサ
13によって測定される。ステップa4では、出口冷却
水温度T2と入口冷却水温度T1との温度差が演算手段
17によって算出される。ステップa3からステップa
4の各処理は、水冷炉壁6の8分割された各分割ブロッ
クB1〜B8毎に行われる。
【0045】ステップa5では、前記温度差T2−T1
が前記追加装入時点を判定するための予め定める判定温
度である15℃以上であるか否かが判断される。この判
断に供される前記温度差T2−T1としては、前記各分
割ブロックB1〜B8毎に求められた温度差T2−T1
の最小値が用いられる。これは、前記温度差の最小値を
示すブロックにおいて原料の溶解が律速されるからであ
り、これによって局部的に原料が溶け残ることを防ぐこ
とができる。ステップa5における判断が否定であれ
ば、原料の溶解率が低いと判断され、ステップa4に戻
り、再度、前記温度差T2−T1が算出される。この繰
り返し処理は、ステップa5における判断が肯定になる
まで繰り返される。ステップa5における判断が肯定で
あれば、原料の溶解が進行し、前記材料盛りが生じない
溶解率に達したと判断され、通電を停止してステップa
6に進む。なお、ステップa5では、前記判断後さらに
前記各分割ブロックB1〜B8毎に求めた温度差T2−
T1の最大値が、前記追加装入時点を判定するための温
度範囲の上限温度である30℃を超えているか否かも判
断される。この判断が否定であれば、ステップa6に進
み、この判断が肯定であれば、冷却水量チェックが行わ
れる。冷却水量が異常であれば水漏れ箇所の点検修理が
行われ、冷却水量が異常でなければ過剰な電力投入が行
われたと判断され、通電を停止してステップa6に進
む。
【0046】ステップa6では、原料の追加装入が行わ
れ、再度通電が開始される。ステップa7では、水冷炉
壁6の入口冷却水温度T3が測定され、ステップa8で
は、水冷炉壁6の出口冷却水温度T4が測定される。ス
テップa9では、出口冷却水温度T4と、入口冷却水温
度T3との温度差T4−T3が算出される。ステップa
10では、前記温度差T4−T3が前記出湯時点を判定
するための予め定める判定温度である20℃以上である
か否かが、ステップa5と同様に判断される。この判断
が否定であれば、原料が完全溶解していないと判断さ
れ、ステップa9に戻り、再度、前記温度差T4−T3
を算出する。この繰り返し処理は、ステップa10にお
ける判断が肯定になるまで繰り返される。ステップa1
0における判断が肯定であれば、原料が完全溶解してい
ると判断され、ステップa11に進む。なおステップa
10では、前記温度差T4−T3が、前記出湯時点を判
定するための温度範囲の上限温度である45℃を超えて
いるか否かも判断される。この判断の内容は、前記追加
装入時の場合と同様である。ステップa11では、溶湯
の温度調整やスラグ中酸化クロムの還元精錬などを行っ
た後、出湯が行われる。
【0047】このように、本判定方法によれば、原料の
追加装入時点または溶湯の出湯時点の判定は、電気炉9
内の原料の溶解状態に対応して変化する前記冷却水温度
の温度差が、原料の追加装入または溶湯の出湯を行うこ
とができる溶解状態と対応する値に予め定められている
判定温度に達したとき、原料の追加装入または溶湯の出
湯を行うべきと判断することによって行われる。このた
め、本判定方法によって原料の追加装入時点または溶湯
の出湯時点を正確、かつ確実に判定することができる。
【0048】図15は、本発明の判定方法を適用した場
合における水冷炉壁の出口冷却水温度と、入口冷却水温
度との温度差の経時変化を示す推移図である。推移線W
4は、原料の追加装入時点または溶湯の出湯時点の判定
方法として、前記本実施の形態の判定方法を適用した場
合の推移線であり、推移線W5は、前記判定方法として
従来技術である前記一定消費電力量を適用した場合の推
移線である。本実施の形態を示す推移線W4において
は、時刻t0から電極10への通電が開始され、原料の
溶解が始まる。時刻t11で前記出口冷却水温度と入口
冷却水温度との温度差が、前記追加装入時点を判定する
ための予め定める判定温度に達すると天井蓋1を開放し
て、原料の追加装入を開始する。時刻t12で前記追加
装入を終了して、電極10への通電が再開されると、再
び原料の溶解が始まる。時刻t13で前記温度差が、前
記出湯時点を判定するための予め定める判定温度に達す
ると、溶湯の出湯を行う。従来技術を示す推移線W5に
おいては、時刻t0から電極10への通電が開始され、
原料の溶解が始まる。時刻t21で追加装入時点を判定
するための一定消費電力量に達すると、追加装入を開始
する。時刻t22で前記追加装入を終了して、電極10
への通電が再開されると、再び原料の溶解が始まる。時
刻t23で、出湯時点を判定するための一定消費電力量
に達すると溶湯の出湯を行う。図15から、本実施の形
態を用いた場合の前記追加装入の開始時間t11および
前記出銑の開始時間t13は、それぞれ前記の従来方法
を用いた場合の追加装入の開始時間t21および出銑の
開始時間t23よりも早く、全原料の溶解時間が短縮さ
れていることが判る。
【0049】また、本実施の形態を用いた場合の前記冷
却水の温度差の変化は緩やかであり、従来技術を用いた
場合に、固体原料が完全に溶解した後に行われる過剰な
電力供給によって生じる冷却水温度の急上昇は生じてい
ないことが判る。したがって、過剰な電力供給は行われ
ておらず、投入電力の冷却水への熱ロスがほとんどない
ことが判る。
【0050】また、図15中に斜線を付して示す本実施
の形態を用いたことによって生じた前記冷却水の温度差
の低下分を熱量に換算して、従来技術を用いた場合の全
熱量と、本実施の形態を用いた場合の全熱量とを比較す
ると、本実施の形態を用いた場合の全熱量は、従来技術
を用いた場合の全熱量より2〜3割近く低減されている
ことが判る。
【0051】さらにまた、本実施の形態では、前記冷却
水の温度差の変化によって原料がほとんど溶解する溶落
時期を確実に把握することができるので、溶落時期に発
生する吹上げなどを未然に予測することができる。
【0052】図16は、水冷炉壁の出口冷却水温度の時
間変化率による原料の追加装入時点、または溶湯の出湯
時点の判定方法を説明するためのフローチャートであ
る。ステップb1では、電気炉9の炉本体2にステンレ
ス鋼の原料が初期装入され、通電が開始される。ステッ
プb2では、水冷炉壁6の出口冷却水温度T2が出口水
温センサ13によって測定される。ステップb3では、
出口冷却水温度T2の時間変化率R1が演算手段17に
よって算出される。ステップb2およびステップb3の
各処理は、水冷炉壁6の8分割された各分割ブロックB
1〜B8毎に行われる。ステップb4では、前記時間変
化率R1が前記追加装入時点を判定するための予め定め
る基準値である3℃/分以上であるか否かが判断され
る。この判断に供される前記時間変化率R1としては、
前記各分割ブロックB1〜B8毎に求められた時間変化
率R1の最小値が用いられる。これは、前記時間変化率
R1の最小値を示すブロックにおいて原料の溶解が律速
されるからであり、これによって局部的に原料が溶け残
ることを防ぐことができる。ステップb4における判断
が否定であれば、原料の溶解率が低いと判断され、ステ
ップb3に戻り、再度前記時間変化率が算出される。こ
の繰り返し処理は、ステップb4における判断が肯定に
なるまで繰り返される。ステップb4における判断が肯
定であれば、原料の溶解が進行し、前記材料盛りが生じ
ない溶解率に達したと判断され、通電を停止してステッ
プb5に進む。
【0053】ステップb5では、原料の追加装入が行わ
れ、再度通電が開始される。ステップb6では、前記出
口冷却水温度T4が測定され、ステップb7では前記出
口冷却水温度T4の時間変化率R2が算出される。ステ
ップb8では、前記時間変化率R2が、前記出湯時点を
判定するための予め定める基準値である3℃/分以上で
あるか否かが判断される。この判断が否定であれば、原
料が完全に溶解していないと判断され、ステップb7に
戻り、再度、前記時間変化率R2が算出される。この繰
り返し処理は、ステップb8における判断が肯定になる
まで繰り返される。ステップb8における判断が肯定で
あれば、原料は完全溶解していると判断され、ステップ
b9に進む。ステップb9では、溶湯の温度調整やスラ
グ中酸化クロムの還元精錬などを行った後、出湯が行わ
れる。
【0054】このように本判定方法によれば、原料の追
加装入時点または溶湯の出湯時点の判定は、電気炉内の
原料の溶解状態に対応して変化する前記冷却水温度の時
間変化率が、原料の追加装入または溶湯の出湯を行うこ
とができる溶解状態と対応する値に予め定められている
基準値に達したとき、原料の追加装入または溶湯の出湯
を行うべきと判断することによって行われる。このた
め、本判定方法は、前記冷却水温度の温度差による判定
方法と同様に、原料の追加装入時点または溶湯の出湯時
点の判定を正確、かつ確実に行うことができる。
【0055】なお本実施の形態においては、水冷炉壁6
における前記冷却水温度の温度差、および出口冷却水温
度の時間変化率に基づいて原料の追加装入時点または溶
湯の出湯時点の判定を行っているけれども、天井蓋1に
おける前記冷却水温度の温度差および出口冷却水温度の
時間変化率に基づいて、前記判定を行ってもよい。
【0056】図17は、本発明の第2の実施の形態であ
る判定装置の構成を簡略化して示す系統図である。図1
と対応する部分には、同一の参照符号を付す。判定装置
25は、電気炉9の炉本体2の炉壁3に設けられている
耐火物層5の温度を検出する測温センサ12と、通電開
始後の耐火物温度と通電開始時の耐火物温度との温度
差、または通電開始後の耐火物温度の時間変化率を算出
する演算手段17と、前記温度差の予め定める判定温
度、または前記時間変化率の予め定める基準値を設定す
る設定手段18と、前記演算手段17から算出される温
度差または時間変化率が、前記設定手段18によって設
定される判定温度または基準値に達したとき、原料の追
加装入または溶湯の出湯を行うべきことを判定する判定
手段19とを含んで構成される。
【0057】前記測温センサ12は、熱電対などによっ
て構成され、前記炉壁3の耐火物層5の温度を連続的に
検出して検出出力を、前記演算手段17に送信する。前
記測温センサ12の設置位置は、前記炉壁3の耐火物層
5内であり、図6に示すように周方向に間隔をあけて6
個設けられている。また、前記測温センサ12の高さ方
向設置位置は、溶湯14およびスラグ15よりも上部の
位置である。
【0058】前記演算手段17、設定手段18および判
定手段19の構成は、前記第1の実施の形態の判定装置
20のそれらと全く同一である。前記設定手段18によ
って設定される前記温度差の予め定める判定温度、また
は前記時間変化率の予め定める基準値は、原料の追加装
入時点、または溶湯の出湯時点と対応する前記温度差、
または時間変化率を事前に把握することによって後述す
る予め定める値に設定される。
【0059】このように、判定装置25は、複数の測温
センサ12によって、前記耐火物層5の温度を測定し、
演算手段17によって前記温度差または前記時間変化率
を算定し、設定手段18によって前記予め定める判定温
度、または前記時間変化率の予め定める基準値を設定
し、判定手段19によって、前記温度差または時間変化
率が前記判定温度または基準値以上となったとき、原料
の追加装入または溶湯の出湯を行うべきことを判定する
ことができる。これによって、前記判定装置25は、原
料の溶解状態を目視でなく、前記耐火物層の温度によっ
て連続的に把握し、予め定める基準値に基づいて前記追
加装入または出湯時期を正確に判定することができる。
【0060】図18は、初期装入から追加装入間におけ
る通電開始後の耐火物温度と、通電開始時の耐火物温度
との温度差に対する原料の材料盛り発生頻度および原料
溶解率80%以上の頻度の関係を示す特性図である。原
料の溶解率とは、原料の装入総量に対する原料の溶解量
の割合である。図18から、前記耐火物温度の温度差と
原料の溶解状況とは対応しており、前記温度差が大きく
なるほど原料の溶解が進行し、前記材料盛りの発生頻度
が低下していることが判る。すなわち、前記温度差が4
0℃未満の範囲では、原料の溶解率が低い溶解初期段階
に対応しており、前記温度差が大きくなるにつれて溶解
率が急増し、材料盛りの発生頻度が急減している。前記
温度差が40℃以上50℃以下の範囲では、原料の溶解
率が高く、原料の溶解がかなり進行している段階に対応
しており、材料盛り発生頻度は、ほぼ0%である。この
ため、この温度差範囲においては、材料盛りが発生せ
ず、原料の追加装入が可能である。前記温度差が50℃
を超える範囲では、原料がほぼ完全に溶解しており、追
加装入は可能であるけれども、過剰な電力投入によって
電力原単位の増大を招く。これによって、原料の追加装
入時点を判定するための前記温度差範囲は、40〜50
℃であることが好ましく、かつ前記温度差の判定温度
は、40℃に選ばれることが好ましい。
【0061】図19は、初期装入から追加装入間におけ
る炉壁の耐火物温度の時間変化率に対する原料の材料盛
り発生頻度、および原料溶解率80%以上の頻度の関係
を示す特性図である。図19から、前記耐火物温度の時
間変化率と原料の溶解状況とは対応しており、前記時間
変化率が大きくなるほど原料の溶解が進行し、材料盛り
の発生頻度が低下していることが判る。すなわち、前記
耐火物温度の時間変化率が5℃/分未満の範囲では、原
料の溶解率が低い溶解初期段階に対応しており、前記時
間変化率が大きくなるにつれて溶解率が急増し、材料盛
りの発生頻度が急減している。前記時間変化率が5℃/
分以上では、原料溶解率が高く、原料の溶解がかなり進
行している段階に対応しており、材料盛りの発生頻度は
ほぼ0%である。このため、前記時間変化率の範囲にお
いては、材料盛りが発生せず、原料の追加装入が可能で
ある。これによって、原料の追加装入時点を判定するた
めの前記時間変化率の予め定める基準値としては、5℃
/分の値に選ばれることが好ましい。
【0062】図20は、追加装入から出湯間における通
電開始後の耐火物温度と、通電開始時の耐火物温度との
温度差に対する原料の溶解率の関係を示す特性図であ
る。図20から、前記耐火物温度の温度差と原料の溶解
率とは対応しており、前記温度差が大きくなるほど原料
の溶解が進行していることが判る。すなわち、前記温度
差が40℃未満の範囲では、原料の溶解率が低く、未溶
解原料の残存する段階に対応しており、前記温度差が大
きくなるにつれて溶解率が急増している。前記温度差が
40℃以上50℃以下の範囲では、原料が完全溶解して
いる段階に対応している。原料の完全溶解後には、溶湯
の出湯が可能であるけれども、実操業においては、溶湯
の温度調整やスラグ中酸化クロムの還元精錬などが行わ
れた後、溶湯の出湯を行うことが多い。前記原料の完全
溶解後の精錬は、溶湯の温度上昇をもたらし、それは前
記温度差の増大を招く。
【0063】前記温度差が50℃を超える範囲は、前記
原料の完全溶解後の精錬によってもたらされる温度上昇
よりも過大な温度上昇に対応する範囲であり、過剰な電
力投入によって電力原単位の増大を招く。これによっ
て、溶湯の出湯時点を判定するための前記温度差範囲
は、40〜50℃であることが好ましく、かつ前記温度
差の判定温度は40℃に選ばれることが好ましい。な
お、この判定温度は、前記原料の完全溶解後の精錬内容
に応じて、前記温度範囲40〜50℃内で変更すること
ができる。
【0064】図21は、追加装入から出湯間における炉
壁の耐火物温度の時間変化率に対する原料の溶解率の関
係を示す特性図である。図21から、前記耐火物温度の
時間変化率と原料の溶解率とは対応しており、前記時間
変化率が大きくなるほど原料の溶解が進行していること
が判る。すなわち、前記時間変化率が5℃/分未満の範
囲では、原料の溶解率が低く、未溶解原料の残存する段
階に対応しており、前記時間変化率が大きくなるほど溶
解率が急増している。前記時間変化率が5℃/分以上の
範囲では、原料が完全溶解している段階に対応してい
る。これによって、溶湯の出湯時点を判定するための前
記時間変化率の予め定める基準値としては、5℃/分の
値に選ばれることが好ましい。なお、この値は原料の完
全溶解に対応する値であり、前述のように、原料の完全
溶解後に精錬を行う場合には、精錬内容に応じて溶湯の
出湯時点を決定すればよい。
【0065】図22は、通電開始後の耐火物温度と通電
開始時の耐火物温度との温度差による原料の追加装入時
点、または溶湯の出湯時点の判定方法を説明するための
フローチャートである。ステップc1では、電気炉9の
炉本体2内にステンレス鋼の原料が初期装入され、通電
が開始される。ステップc2では、通電開始時の耐火物
温度T5が測温センサ12によって測定される。ステッ
プc3では、通電開始後の耐火物温度T6が測温センサ
12によって測定される。ステップc4では、通電開始
後の耐火物温度T6と、通電開始時の耐火物温度T5と
の温度差が演算手段17によって算出される。ステップ
c2からステップc4の各処理は、図6に示す周方向に
配置された6個の測温センサ12a〜12f毎に行われ
る。
【0066】ステップc5では、前記耐火物温度の温度
差T6−T5が、前記追加装入時点を判定するための予
め定める判定温度である40℃以上であるか否かが判断
される。この判断に供される前記温度差T6−T5とし
ては、前記各測温センサ12a〜12f毎に求めた前記
温度差T6−T5の最小値が用いられる。これは、前記
温度差の最小値を示す測温センサ12に対応する位置に
おいて原料の溶解が律速されるからであり、これによっ
て局部的に原料が溶け残ることを防ぐことができる。ス
テップc5における判断が否定であれば、原料の溶解率
が低いと判断され、ステップc4に戻り、再度前記耐火
物温度の温度差T6−T5が算出される。この繰り返し
処理は、ステップc5における判断が肯定になるまで繰
り返される。ステップc5における判断が肯定であれ
ば、原料の溶解が進行し、前記材料盛りが生じない溶解
率に達したと判断され、通電を停止してステップc6に
進む。なお、ステップc5では、前記判断後さらに前記
各測温センサ12a〜12f毎に求めた前記温度差T6
−T5の最大値が、前記追加装入時点を判定するための
温度範囲の上限温度である50℃を超えているか否かも
判断される。この判断が否定であれば、ステップc6に
進み、この判断が肯定であれば、耐火物の残厚が小さい
か、または過剰な電力投入が行われたと判断され、通電
を停止して、ステップc6に進む。なお前者の場合に
は、出湯後、耐火物の残厚が目視で点検され、炉修等の
処置が決定される。
【0067】ステップc6では、原料の追加装入が行わ
れ、再度通電が開始される。ステップc7では、通電開
始時の耐火物温度T7が測定され、ステップc8では、
通電開始後の耐火物温度T8が測定される。ステップc
9では、温度差T8−T7が算出される。ステップc1
0では、前記温度差T8−T7が、前記出湯時点を判定
するための予め定める判定温度である40℃以上である
か否かが、前記ステップc5と同様に判断される。この
判断が否定であれば、原料が完全溶解していないと判断
され、ステップc9に戻り、再度、前記温度差T8−T
7を算出する。この繰り返し処理は、ステップc10に
おける判断が肯定になるまで繰り返される。ステップc
10における判断が肯定であれば、原料が完全溶解して
いると判断され、ステップC11に進む。なおステップ
C10では、前記温度差T8−T7が前記出湯時点を判
定するための温度範囲の上限温度である50℃を超えて
いるか否かがステップC5と同様に判断される。ステッ
プC11では、溶湯の温度調整やスラグ中酸化クロムの
還元精錬などを行った後、出湯が行われる。
【0068】このように、本判定方法によれば原料の追
加装入時点または溶湯の出湯時点の判定は、電気炉9内
の原料の溶解状態に対応して変化する前記耐火物温度の
温度差が、原料の追加装入または溶湯の出湯を行うこと
ができる溶解状態と対応する値に予め定められている判
定温度に達したとき、原料の追加装入または溶湯の出湯
を行うべきと判断することによって行われる。このた
め、本判定方法は、前記冷却水温度の温度差に基づく方
法(図14)と同様に、原料の追加装入時点または溶湯
の出湯時点を正確、かつ確実に判定することができる。
【0069】図23は、炉壁の耐火物温度の時間変化率
による原料の追加装入時点、または溶湯の出湯時点の判
定方法を説明するためのフローチャートである。ステッ
プd1では、電気炉9の炉本体2にステンレス鋼の原料
が初期装入され、通電が開始される。ステップd2で
は、通電開始後の耐火物温度T6が測温センサ12によ
って測定される。ステップd3では、前記耐火物温度T
6の時間変化率R3が算出される。ステップd2および
ステップd3の各処理は、前記周方向に配置された6個
の測温センサ12a〜12f毎に行われる。ステップd
4では、前記時間変化率R3が、前記追加装入時点を判
定するための予め定める基準値である5℃/分以上であ
るか否かが判断される。この判断に供される前記時間変
化率R3としては、前記各測温センサ12a〜12f毎
に求めた時間変化率R3の最小値が用いられる。これ
は、前記時間変化率R3の最小値を示す測温センサ12
に対応する位置において原料の溶解が律速されるからで
あり、これによって局部的に原料が溶け残ることを防ぐ
ことができる。ステップd4における判断が否定であれ
ば、原料の溶解率が低いと判断され、ステップd3に戻
り、再度、前記時間変化率が算出される。この繰り返し
処理は、ステップd4における判断が肯定になるまで繰
り返される。ステップd4における判断が肯定であれ
ば、原料の溶解が進行し、前記材料盛りが生じない溶解
率に達したと判断され、通電を停止してステップd5に
進む。
【0070】ステップd5では、原料の追加装入が行わ
れ、再度通電が開始される。ステップd6では、通電開
始後の耐火物温度T8が測定され、ステップd7では、
前記耐火物温度T8の時間変化率R4が算出される。ス
テップd8では、前記時間変化率R4が、前記出湯時点
を判定するための予め定める基準値である5℃/分以上
であるか否かが判断される。この判断が否定であれば、
原料が完全に溶解していないと判断され、ステップd7
に戻り、再度、前記時間変化率R4が算出される。この
繰り返し処理は、ステップd8における判断が肯定にな
るまで繰り返される。ステップd8における判断が肯定
であれば、原料が完全溶解していると判断され、ステッ
プd9に進む。ステップd9では、溶湯の温度調整やス
ラグ中酸化クロムの還元精錬などを行った後、出湯が行
われる。
【0071】このように本判定方法によれば、原料の追
加装入時点または溶湯の出湯時点の判定は、電気炉内の
原料の溶解状態に対応して変化する前記耐火物温度の時
間変化率が、原料の追加装入または溶湯の出湯を行うこ
とができる溶解状態と対応する値に予め定められている
基準値に達したとき、原料の追加装入または溶湯の出湯
を行うべきと判断することによって行われる。このた
め、本判定方法は、前記冷却水温度の時間変化率に基づ
く方法(図16)と同様に、原料の追加装入時点、また
は溶湯の出湯時点を正確、かつ確実に判定することがで
きる。
【0072】なお本実施の形態において、前記測温セン
サ12は、前記炉本体2の炉壁3の耐火物層5内であ
り、かつ溶湯14およびスラグ15よりも上部の位置に
設けられているけれども、前記炉本体2の他の位置の耐
火物層5内、たとえば炉床4の耐火物層5内に設けても
よい。
【0073】
【実施例】図2に示す90トン電気炉9を用いて、ステ
ンレス鋼を溶製した。SUS304系のステンレス鋼を
溶製する場合の主原料配合を、表1に示す。長期間にわ
たる溶製によって得られた結果を、表2に示す。本発明
の実施例1については、図1に示す判定装置20を用い
て、図16に示す判定方法によって原料の追加装入時
点、または溶湯の出湯時点の判定を行った。本発明の実
施例2については、図17に示す判定装置25を用い
て、図23に示す判定方法によって前記判定を行った。
本発明の実施例3については、図1に示す判定装置20
を用いて、図14に示す判定方法によって前記判定を行
った。本発明の実施例4については、図17に示す判定
装置25を用いて、図22に示す判定方法によって前記
判定を行った。従来技術の比較例1については、一定の
消費電力量に基づいて前記判定を行った。
【0074】表2から、実施例1〜4は比較例1に比べ
て、原料の追加装入時点または溶湯の出湯時点の判定を
正確に行うことができるので、原料の溶解時間が短縮さ
れ、電力原単位が大幅に低減されること、水冷炉壁6お
よび耐火物層5へのアーク熱が軽減されるので、水冷炉
壁6の寿命が大幅に延長され、耐火物補修費用が大幅に
低減すること、追加装入時の材料盛り頻度が低減され、
ほとんど発生しなくなることなどが判る。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、次のよう
な効果が得られる。 (1)原料の追加装入時点または溶湯の出湯時点を正確
に判定することができるので、溶解時間の短縮を図るこ
とができる。また、過剰電力の投入を防止することがで
きるので、電力原単位が低減され、省エネルギを図るこ
とができる。 (2)過剰な電力投入がなくなり、水冷炉壁に対する熱
負荷が減少するので、水冷炉壁の寿命が延長される。 (3)炉壁耐火物への熱負荷が減少し、耐火物補修費用
が減少する。 (4)炉内溶解状態が連続的に把握できるので、原料溶
解時期に発生する原料の急速な反応による吹上げやフォ
ーミングを未然に予測できる。 (5)炉内溶解状態が連続的に把握できるので、原料の
未溶解が防止できる。これによって、溶解歩留りの低下
が防止され、溶湯成分のばらつきが減少する。さらに、
原料が未溶解の状態で原料の追加装入を行い、天井蓋の
閉鎖ができなくなる、いわゆる材料盛りの発生が減少す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である電気炉の原料
の追加装入または溶湯の出湯時点の判定装置の構成を簡
略化して示す系統図である。
【図2】電気炉の構成を簡略化して示す正面から見た断
面図である。
【図3】図2に示す電気炉の天井蓋の構成を簡略化して
示す平面図である。
【図4】図2に示す電気炉の炉本体の水冷壁の構成を簡
略化して示す斜視図である。
【図5】図1に示す出口水温センサの構成および設置状
況を簡略化して示す模式図である。
【図6】図2の切断面線VI−VIから見た電気炉の横
断面図である。
【図7】図4に示す炉本体の水冷炉壁の出口冷却水温度
の経時変化を示す推移図である。
【図8】図2に示す電気炉への原料の装入方法を示す模
式図である。
【図9】初期装入から追加装入間における水冷炉壁の出
口冷却水温度と、入口冷却水温度との温度差に対する原
料の材料盛り発生頻度および原料溶解率80%以上の頻
度の関係を示す特性図である。
【図10】初期装入原料の溶解電力原単位に対する初期
装入から追加装入間における水冷炉壁の出口冷却水温度
と、入口冷却水温度との温度差の関係を示す特性図であ
る。
【図11】初期装入から追加装入間における水冷炉壁の
出口冷却水温度の時間変化率に対する原料の材料盛り発
生頻度、および原料溶解率80%以上の頻度の関係を示
す特性図である。
【図12】追加装入から出湯間における水冷炉壁の出口
冷却水温度と、入口冷却水温度との温度差に対する原料
の溶解率の関係を示す特性図である。
【図13】追加装入から出湯間における水冷炉壁の出口
冷却水温度の時間変化率に対する原料の溶解率の関係を
示す特性図である。
【図14】水冷炉壁の出口冷却水温度と、入口冷却水温
度との温度差による原料の追加装入時点、または溶湯の
出湯時点の判定方法を説明するためのフローチャートで
ある。
【図15】本発明の判定方法を適用した場合における水
冷炉壁の出口冷却水温度と、入口冷却水温度との温度差
の経時変化を示す推移図である。
【図16】水冷炉壁の出口冷却水温度の時間変化率によ
る原料の追加装入時点、または溶湯の出湯時点の判定方
法を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第2の実施の形態である判定装置の
構成を簡略化して示す系統図である。
【図18】初期装入から追加装入間における通電開始後
の耐火物温度と、通電開始時の耐火物温度との温度差に
対する原料の材料盛り発生頻度および原料溶解率80%
以上の頻度の関係を示す特性図である。
【図19】初期装入から追加装入間における炉壁の耐火
物温度の時間変化率に対する原料の材料盛り発生頻度、
および原料溶解率80%以上の頻度の関係を示す特性図
である。
【図20】追加装入から出湯間における通電開始後の耐
火物温度と、通電開始時の耐火物温度との温度差に対す
る原料の溶解率の関係を示す特性図である。
【図21】追加装入から出湯間における炉壁の耐火物温
度の時間変化率に対する原料の溶解率の関係を示す特性
図である。
【図22】通電開始後の耐火物温度と、通電開始時の耐
火物温度との温度差による原料の追加装入時点、または
溶湯の出湯時点の判定方法を説明するためのフローチャ
ートである。
【図23】炉壁の耐火物温度の時間変化率による原料の
追加装入時点、または溶湯の出湯時点の判定方法を説明
するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 天井蓋 2 炉本体 3 炉壁 4 炉床 5 耐火物層 6 水冷壁 6a 水冷管 7 作業口 8 出湯口 8a 出湯樋 9 電気炉 10 電極 11 吹込みノズル 12,12a,12b,12c,12d,12e,12
f 測温センサ 13 出口水温センサ 14 金属溶湯 15 スラグ 16 入口水温センサ 17 演算手段 18 設定手段 19 判定手段 20 判定装置 21 運搬手段 22 装入容器 25 判定装置

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気炉を構成する天井蓋および炉本体の
    少なくとも一部に水冷管が配設され、前記電気炉に通電
    開始して初期装入されている金属等の原料を溶解する炉
    本体内に、さらに原料を追加装入する時点、または溶解
    された金属溶湯を炉本体内から出湯する時点を判定する
    方法において、 前記水冷管の入口冷却水の水温と、出口冷却水の水温と
    の温度差が15〜45℃の範囲内で予め定める判定温度
    以上になったとき、原料の追加装入または金属溶湯の出
    湯を行うことを特徴とする電気炉の原料の追加装入また
    は金属溶湯の出湯時点の判定方法。
  2. 【請求項2】 前記温度差が15〜30℃の範囲内で、
    15℃以上になったとき、原料の追加装入を行うことを
    特徴とする請求項1記載の電気炉の原料の追加装入また
    は金属溶湯の出湯時点の判定方法。
  3. 【請求項3】 前記温度差が20〜45℃の範囲内で、
    20℃以上になったとき、金属溶湯の出湯を行うことを
    特徴とする請求項1記載の電気炉の原料の追加装入また
    は金属溶湯の出湯時点の判定方法。
  4. 【請求項4】 電気炉を構成する天井蓋および炉本体の
    少なくとも一部に水冷管が配設され、前記電気炉に通電
    開始して初期装入されている金属等の原料を溶解する炉
    本体内に、さらに原料を追加装入する時点、または溶解
    された金属溶湯を炉本体内から出湯する時点を判定する
    方法において、 前記水冷管における出口冷却水の水温の時間変化率が大
    きく急変し、予め定めた基準となる時間変化率以上にな
    ったとき、原料の追加装入または金属溶湯の出湯を行う
    ことを特徴とする電気炉の原料の追加装入または金属溶
    湯の出湯時点の判定方法。
  5. 【請求項5】 前記予め定めた基準となる時間変化率が
    3℃/分であることを特徴とする請求項4記載の電気炉
    の原料の追加装入または金属溶湯の出湯時点の判定方
    法。
  6. 【請求項6】 電気炉を構成する天井蓋および炉本体の
    少なくとも一部に水冷管が配設され、前記電気炉に通電
    開始して初期装入されている金属等の原料を溶解する炉
    本体内に、さらに原料を追加装入する時点、または溶解
    された金属溶湯を炉本体内から出湯する時点を判定する
    方法において、 前記炉本体内の耐火物層中、または炉本体内における炉
    壁の耐火物層中に間隔をあけて複数の測温センサを配設
    し、 前記通電開始時における各測温センサからの出力値と、
    それらにそれぞれ対応する通電開始後の各測温センサか
    らの出力値とに基づく温度差が、40〜50℃の範囲内
    で40℃以上になったとき、原料の追加装入または金属
    溶湯の出湯を行うことを特徴とする電気炉の原料の追加
    装入または金属溶湯の出湯時点の判定方法。
  7. 【請求項7】 電気炉を構成する天井蓋および炉本体の
    少なくとも一部に水冷管が配設され、前記電気炉に通電
    開始して初期装入されている金属等の原料を溶解する炉
    本体内に、さらに原料を追加装入する時点、または溶解
    された金属溶湯を炉本体内から出湯する時点を判定する
    方法において、 前記炉本体内の耐火物層中、または炉本体内における炉
    壁の耐火物層中に間隔をあけて複数の測温センサを配設
    し、 各測温センサからの出力に基づく各温度の時間変化率が
    急変して予め定めた基準値以上になったとき、原料の追
    加装入または金属溶湯の出湯を行うことを特徴とする電
    気炉の原料の追加装入または金属溶湯の出湯時点の判定
    方法。
  8. 【請求項8】 前記基準値が5℃/分であることを特徴
    とする請求項7記載の電気炉の原料の追加装入または金
    属溶湯の出湯時点の判定方法。
  9. 【請求項9】 電気炉を構成する天井蓋および炉本体の
    少なくとも一部に水冷管が配設され、前記電気炉に通電
    開始して初期装入されている金属等の原料を溶解する炉
    本体内に、さらに原料を追加装入する時点、または溶解
    された金属溶湯を炉本体内から出湯する時点を判定する
    装置において、 前記水冷管の入口冷却水の水温と、出口冷却水の水温と
    が検出される各水温測定センサと、 前記各水温センサからの出力に基づいて前記入口冷却水
    の水温と出口冷却水の水温との温度差、または前記出口
    冷却水の水温の時間変化率が算定される演算手段と、 前記温度差に関する特定温度範囲内にあって予め定める
    判定温度、または前記出口冷却水の水温に関して予め定
    めた基準となる時間変化率が予め設定される設定手段
    と、 前記演算手段から算出される温度差または時間変化率
    が、前記設定手段に設定されている特定温度範囲内にあ
    って、予め定める判定温度または予め定めた基準となる
    時間変化率とそれぞれ対比され、当該判定温度以上また
    は基準となる時間変化率以上になったとき、原料の追加
    装入または金属溶湯の出湯を行うべきことを判定する判
    定手段とを含むことを特徴とする電気炉の原料の追加装
    入または金属溶湯の出湯時点の判定装置。
  10. 【請求項10】 電気炉を構成する天井蓋および炉本体
    の少なくとも一部に水冷管が配設され、前記電気炉に通
    電開始して初期装入されている金属等の原料を溶解する
    炉本体内に、さらに原料を追加装入する時点、または溶
    解された金属溶湯を炉本体内から出湯する時点を判定す
    る装置において、 前記炉本体内の耐火物層中、または炉本体内における炉
    壁の耐火物層中に間隔をあけて設けられる複数の測温セ
    ンサと、前記通電開始時における各測温センサからの出
    力値と、それらにそれぞれ対応する前記通電開始後の各
    測温センサからの出力値とに基づく温度差、または通電
    開始後の各測温センサの出力値に基づく各温度の時間変
    化率が算定される演算手段と、 前記温度差に関する特定温度範囲内にあって予め定める
    判定温度、または各温度の時間変化率に関して予め定め
    た基準となる時間変化率が予め設定される設定手段と、 前記演算手段から算出される温度差または時間変化率
    が、前記設定手段に設定されている特定温度範囲内にあ
    って、予め定める判定温度または予め定めた基準となる
    時間変化率とそれぞれ対比され、当該判定温度以上また
    は基準となる時間変化率以上になったとき、原料の追加
    装入または金属溶湯の出湯を行うべきことを判定する判
    定手段とを含むことを特徴とする電気炉の原料の追加装
    入または金属溶湯の出湯時点の判定装置。
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JP28736195A Pending JPH09133468A (ja) 1995-11-06 1995-11-06 電気炉の原料の追加装入または金属溶湯の出湯時点の判定方法および装置

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100395104B1 (ko) * 1999-07-16 2003-08-21 주식회사 포스코 전기로의 구동제어장치
WO2024100968A1 (ja) * 2022-11-11 2024-05-16 スチールプランテック株式会社 追加装入時期の判定装置及び溶解設備、並びに追加装入時期の判定方法

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