JPH09132640A - 硬化性ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

硬化性ポリエステルおよびその製造方法

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JPH09132640A
JPH09132640A JP28883995A JP28883995A JPH09132640A JP H09132640 A JPH09132640 A JP H09132640A JP 28883995 A JP28883995 A JP 28883995A JP 28883995 A JP28883995 A JP 28883995A JP H09132640 A JPH09132640 A JP H09132640A
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JP
Japan
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polyester
acid
glycol
dicarboxylic acid
dihydroxy compound
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JP28883995A
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English (en)
Inventor
Shigeru Yoneda
茂 米田
Masanori Kobayashi
正典 小林
Toshiyuki Otani
寿幸 大谷
Seiichiro Yokoyama
誠一郎 横山
Tomoharu Kurita
智晴 栗田
Tadashi Inukai
忠司 犬飼
Yozo Yamada
陽三 山田
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光または熱により自己硬化しうる、透明性に
優れ光学異方性の小さい、耐薬品性と耐熱性とに優れ
た、成形性、寸法安定性にも優れたポリエステル系組成
物を提供する。 【手段】ジヒドロキシ化合物としてアンスロン骨格を有
するジヒドロキシ化合物をグリコール成分の30〜80
モル%用い、他のグリコール成分として脂肪族グリコー
ルを用いたポリエステルを含有する自己硬化性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光または熱により
自己硬化し得る硬化性ポリエステルに関し、より詳しく
は、液晶デイスプレイ用基板フィルム、UVフィルター
等として使用され、また眼鏡、窓、ガラス、温室、天
窓、オーブン用窓、太陽蒸溜器のフィルター等に使用さ
れる硬化性ポリエステルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、光学機器等に用いられる光学
材料には、主にガラスが用いられてきたが、ガラスは割
れやすい等の理由から、ポリメチルメタクリレート(P
MMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン
(PS)、ポリアリレート(PAR),ポリエーテルス
ルホン(PES)等のプラスチックを用いることが試み
られてきた。しかし、近年より、高性能な光学用プラス
チックが求められるようになってきた。例えば、液晶デ
スプレイ用の光等方性基板には、透明性、低複屈折性、
高耐熱性、耐溶剤性、耐衝撃性に優れたものが要求され
ている。上記特性を有するプラスチックとして、従来よ
り、エポキシ樹脂と架橋硬化剤との反応生成物が光学材
料として用いられている。しかし、この硬化したエポキ
シ樹脂においては、成型法としては注型・熱硬化がとら
れるが生産上問題がある。また、反応により生成した第
2アルコール性ヒドロキシル基を含んでおり、このヒド
ロキシル基は周囲の水を引きつけて結合サイトを与え
る。従って、水は可塑剤として働き、その結果、硬化し
たエポキシ樹脂の引っ張り強度、曲げ強度および弾性を
低下させる。さらに水は硬化したエポキシ樹脂の誘電率
を増大させるので、耐トラッキング性、耐アーク性、耐
コロナ性が低下するという問題がある。
【0003】この問題を解決する方法として、光照射に
よるポリイミドの硬化生成物が報告されている。例えば
1991年にH.Higuchi らによって、ベンゾフェノン型ポリ
イミドが光照射により硬化することが報告されている。
この方法の特徴は生産上有利な光照射により硬化するこ
と、硬架剤が不要なため未反応物が残留する恐れがない
ことが挙げられる。これらの理由により、生産性の向上
が大幅に期待できる。
【0004】しかし、上記の先行技術においては、光照
射によるベンゾフェノン型ポリイミドの硬化物が実際に
用いられる工業用途としての物理的および化学的特性を
有するかどうかはほとんど記載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、透明性に優れ、耐薬品性および耐熱性があり、光学
異方性が小さく、成形性、寸法安定性に優れた自己硬化
性ポリエステル(樹脂)を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、自己架橋反応
が可能な置換基を有する芳香族ポリエステルであって、
該芳香族ポリエステルがジカルボン酸成分として芳香族
ジカルボン酸、グリコール成分として下記化2で表わさ
れるジヒドロキシ化合物および脂肪族グリコールからな
るポリエステルであり、該ジヒドロキシ化合物が、全グ
リコール成分中30〜80モル%の範囲で含有されているこ
とを特徴とする硬化性ポリエステルであり、
【0007】
【化2】 (式中、R1 〜R4 はそれぞれ独立してハロゲン原子、
アルキル基またはアルコキシ基を示し、m、n、p、お
よびqはそれぞれ独立して0〜4の整数を示す。) さらには、前記の硬化性ポリエステルが、光または熱に
より自己硬化した硬化性ポリエステルであり、また、ポ
リエチレンテレフタレートで代表される芳香族ジカルボ
ン酸を酸成分として含有する芳香族ポリエステルと、芳
香族ジカルボン酸と、前記化2のジヒドロキシ化合物と
の混合物を加熱して酸分解を行い、次いで、減圧下で重
縮合を行うことを、少なくとも含むことを特徴とする、
硬化性ポリエステルの製造方法である。
【0008】好ましい実施様態は、上記硬化性ポリエス
テルが、ポリエチレンテレフタレートと、芳香族ジカル
ボン酸と、前記化2のジヒドロキシ化合物との混合物を
加熱して酸分解を行い、次いでアシル化を行い、次い
で、減圧化で重縮合を行うことにより得られるものであ
り、上記ヒドロキシ化合物が、全グリコール成分に対し
て30〜80モル%となるように混合されてなるものであ
る。また本発明は、前記硬化性ポリエステル(樹脂)を
含有するフィルムおよび光照射により硬化させたフィル
ムを含むものである。
【0009】次に本発明を詳細に説明する。本発明の硬
化性ポリエステルはジカルボン酸成分として芳香族ジカ
ルボン酸と、ジオール成分として脂肪族グリコールおよ
び化2で表わされるジヒドロキシ化合物とを含有する。
芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる
が、テレフタル酸とイソフタル酸とを併用することが好
ましい。また得られるポリエステルの耐熱性等の特性が
著しく損なわれない範囲で脂肪族カルボン酸を用いても
よい。この脂肪族ジカルボン酸としては、例えばシュウ
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカジオン
酸等が挙げられる。このようなジカルボン酸成分は単独
であるいは2種以上併用して使用される。
【0010】上記の脂肪族ジカルボン酸の使用量は、全
ジカルボン酸成分中、好ましくは0〜10モル%、より好
ましくは0〜8モル%、特に好ましくは0〜5モル%で
ある。化2で表わされるジヒドロキシ化合物において、
1 〜R4 において、ハロゲン原子としては、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、中で
もフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。アルキ
ル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、n-ブチル、sec-ブチル、tert- ブチル、ペンチル、
イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル等の炭素原子
数が1〜6のアルキル基が挙げられ、中でもメチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチ
ル、tert- ブチル等の炭素原子数が1〜4のアルキル基
が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブ
トキシ、tert- ブトキシ、ペントキシ、イソペントキ
シ、ネオペントキシ、n-ヘキシル等の炭素原子数が1〜
6のアルコキシ基が挙げられ、中でもメトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブ
トキシ、tert- ブトキシ等の炭素原子数が1〜4のアル
コキシ基が好ましい。またmおよびnは0が好ましく、
pおよびqは0〜2が好ましい。さらにR3とR4は同一
であることが好ましい。
【0011】このようなジヒドロキシ化合物の具体例と
しては、10.10-ビス- (ヒドロキシフェニル)-9- アン
スロン、10.10-ビス- (ヒドロキシ-3- メチルフェニ
ル)-9- アンスロン、10.10-ビス- (4-ヒドロキシ-3-
クロロフェニル)-9- アンスロン、10.10-ビス- (4-ヒ
ドロキシ-3- ブロモフェニル)-9- アンスロン、10.10-
ビス- (4-ヒドロキシ-3- フルオロフェニル)-9- アン
スロン、10.10-ビス- (4-ヒドロキシ-3- メトキシフェ
ニル)-9- アンスロン、10.10-ビス- (4-ヒドロキシ-
3.5- ジメチルフェニル)-9- アンスロン、10.10-ビス-
(4-ヒドロキシ-3.5- ジクロロフェニル)-9- アンス
ロン、10.10-ビス(4-ヒドロキシ-3.5ジブロモフェニ
ル)-9- アンスロンなどが挙げられるが、特に10.10-ビ
ス- (ヒドロキシフェニル)-9- アンスロンが経済的に
は好ましい。
【0012】上記ジヒドロキシ化合物の使用量は、全グ
リコール成分中、30〜80モル%、好ましくは30〜70モル
%、特に好ましくは40〜60モル%である。該ジヒドロキ
シ化合物の使用量が30モル%未満の場合、得られるポリ
エステルの耐熱性が悪いため、製造工程中または製造後
に高温下に置かれた場合に寸法安定性が悪くなる、ま
た、80モル%を越えると得られるポリエステルの溶融粘
度が大きくなりすぎ成形性が悪くなるし、自己架橋性が
不良となる。
【0013】本発明における脂肪族グリコールは、炭素
原子数2〜4の脂肪族グリコールが好ましく、具体的に
は、例えばエチレングリコール、1.3-プロパンジオー
ル、1.2-プロパンジオール、1.4-ブタンジオール、1.2-
ブタンジオール、1.3-ブタンジオール等が挙げられる
が、特にエチレングリコールが好ましい。また上記の脂
肪族グリコールの使用量は、全グリコール成分中、20〜
70モル%、好ましくは30〜70モル%、特に好ましくは40
〜60モル%出有る。脂肪族グリコールの使用量が20モル
%未満の場合、得られるポリエステルの溶融粘度が大き
くなって成形性が悪くなる。また高温・多湿下で加水分
解が生じる。逆に70モル%を超える場合、ポリエステル
の耐熱性が悪いため、製造工程中または製造後に高温下
に置かれた場合に寸法安定性が悪くなって、フィルムの
品質の低下および劣化の原因となる。
【0014】本発明のポリエステルは公知の重縮合法に
より重合することができる。例えば、界面重合法、溶液
重合法、エステル交換法、アセテート法、アシドリシス
/アセテート法、アシドリシス/無水酢酸法などの溶融
重合法が採用され得る。特に溶融重合法、中でもアシド
リシス/無水酢酸法が好ましい。以下に、各々の重合法
について説明をする。 (界面重合法)界面重合法では、一般に酸性分の活性種
として酸クロライドを用い有機溶媒中に溶解させた溶液
を、あらかじめジヒドロキシ化合物及び脂肪族グリコー
ルを溶解させたアルカリ溶液に室温で撹拌しながら加え
る。このとき反応を促進させるために相間移動触媒を加
えるのが一般的である。相間移動触媒としては、テトラ
エチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニ
ウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウム、テトラ
プロピルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアン
モニウムブロマイドなどが挙げられる。有機溶媒として
は、クロロホルム、1.2-ジクロロエタン、1.1.3-トリク
ロロエタンなどが挙げられる。このとき、ポリマー中に
残留化合物があると基板に用いた場合、液晶デスプレイ
の寿命や信頼性を低下させる原因になるので、十分な、
洗浄、ろ過などの残留塩素の除去工程が必要である。 (溶液重合法)溶液重合法では、一般に酸性分の活性種
として酸クロライド、さらにジヒドロキシ化合物及び脂
肪族グリコールを有機溶媒中に溶解させ、加熱する。こ
のとき、反応を促進させるために脱塩酸触媒を加えるの
が一般的である。脱塩酸触媒としては、アルカリ金属お
よびアルカリ土類金属の水酸化物、第三アミンなどが挙
げられる。この場合でも、ポリマー中に残留化合物があ
ると基板に用いた場合、液晶デスプレイの寿命や信頼性
を低下させる原因になるので、十分な、洗浄、ろ過など
の残留塩素の除去工程が必要である。 (溶融重合法)溶融重合法には、エステル交換法、アセ
テート法、アシドリシス/アセテート法、アシドリシス
/無水酢酸法などがある。
【0015】エステル交換法では、一般に酸性分の活性
種としてジメチルエステル、さらにジヒドロキシ化合物
及び過剰の脂肪族グリコールの混合物を加熱し、メタノ
ールを留出させた後に、減圧下で重縮合を行う。このと
き、反応を促進させるために重合触媒を加えるのが一般
的である。重合触媒としては、アンチモン化合物、チタ
ン化合物、ゲルマニウム化合物、マンガン化合物、マグ
ネシウム化合物、コバルト化合物、カルシウム化合物、
亜鉛化合物、リチウム化合物、ナトリウム化合物、カリ
ウム化合物など一般に使用されている公知の触媒が適宜
可能である。好ましい触媒としては、酢酸マンガンと酸
化アンチモン系、酢酸カルシウムと酸化アンチモン系、
酢酸マグネシウムと酸化アンチモン系、テトラブチルチ
タネート、酢酸亜鉛と酸化ゲルマニウム系、酢酸マンガ
ンと酸化ゲルマニウム系などを挙げることができる。ま
た、着色防止剤、紫外線吸収剤などの添加物を必要に応
じて添加してもかまわない。例えば、フェノール系酸化
防止剤、リン系酸化防止剤などを挙げることができる。
アセテート法では、一般に芳香族ジカルボン酸と、一般
式化2のジヒドロキシ化合物のジアセチル化合物および
脂肪族グリコールのジアセチル化合物との混合物を加熱
し、酢酸を流出させた後、減圧下で重縮合を行う。この
とき上記ジヒドロキシ化合物のジアセチル化合物は、全
グリコール成分に対して30〜80モル%の範囲となるよう
に混合される。
【0016】上記の一般式化2のジヒドロキシ化合物の
ジアセチル化物および脂肪族グリコールのジアセチル化
物は一般式化2のジヒドロキシ化合物または脂肪族グリ
コールの水酸基と酢酸のカルボキシル基を脱水縮合する
ことにより得られる。このときアセチル化物の純度は9
9.9%以上であることが望ましい。純度が99.9%未満で
あれば、重合時に得られるポリエステルの分子量が大き
くなりにくく、透過率が低下する。例えば10.10-ビス-
(ヒドロキシフェニル)-9- アンスロンのアセチル化物
は、例えば、10.10-ビス- (ヒドロキシフェニル)-9-
アンスロンを無水酢酸と硫酸存在下で 100℃に加熱して
約30分反応させれば得られる。このときも、純度は99.9
%以上であることが望ましい。
【0017】また上記反応を促進させるために重合触媒
を添加することが一般的である。重合触媒としては、例
えば酢酸マグネシウム、テトラブチルチタネート、酢酸
カリウム、酢酸カルシウム等の公知の触媒が使用可能で
ある。また着色防止剤、紫外線吸収剤、フェノール系や
リン酸系酸化防止剤を必要に応じて添加してもよい。ア
シドリシス/アセテート法では、ポリエチレンテレフタ
レートと、芳香族ジカルボン酸と、一般式化2のジヒド
ロキシ化合物のジアセチル化合物との混合物を加熱して
酸分解を行い、均一溶液とした後、減圧下で重縮合を行
う。上記ジヒドロキシ化合物のジアセチル化合物は、全
グリコール成分に対して30〜80モル%の範囲となるよう
に混合させる。またこの時反応を促進させるために重合
触媒を添加することが一般的である。重合触媒として
は、例えば酢酸マグネシウム、テトラブチルチタネー
ト、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等の公知の触媒が使
用可能である。また着色防止剤、紫外線吸収剤、フェノ
ール系やリン酸系酸化防止剤を必要に応じて添加しても
よい。
【0018】アシドリシス/無水酢酸法ではポリエチレ
ンテレフタレートと、芳香族ジカルボン酸と、一般式化
2のジヒドロキシ化合物との混合物を加熱して酸分解を
行い、均一溶液とした後、減圧下で重縮合を行う。上記
ジヒドロキシ化合物のジアセチル化合物は、全グリコー
ル成分に対して30〜80モル%の範囲となるように混合さ
せる。またこの時反応を促進させるために重合触媒を添
加することが一般的である。重合触媒としては、例えば
ニッケルアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナ
ート、酸化スズテトラブチルチタネート、酢酸アンチモ
ン等の公知の触媒が使用可能である。また着色防止剤、
紫外線吸収剤、フェノール系やリン酸系酸化防止剤を必
要に応じて添加してもよい。
【0019】これらの方法のうち、アシドリシス/アセ
テート法およびアシドリシス/無水酢酸法が好ましい。
エステル交換法では、脂肪族グリコールの反応性が低い
場合には得られるポリエステルの分子量が大きくなりに
くい。またアセテート法では脂肪族グリコールの沸点が
低い場合には、得られるポリエステの組成が所望の組成
とならない。
【0020】
【発明の実施態様】このようにして得られたポリエステ
ルは、乾式製膜、湿式製膜、溶融製膜法により製膜でき
る。しかしながら、このポリマーは低沸点の汎用溶媒に
対して溶解性が高く高濃度の溶液が得られるので、光学
的に等方なフィルムを得やすい乾式製膜法が特に好まし
い。好適に用いられる溶媒としては、塩化メチレン、ク
ロロホルム、1.2-ジクロロエタン、クロロベンゼンなど
のハロゲン系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオ
キソランなどの環状エーテル系などが挙げられる。地球
環境の点から、環状エーテル系がとくに好適である。本
発明のポリマーは環状エーテル系溶媒に対する溶解性は
優れている。
【0021】このポリエステル樹脂を用いたフィルムに
紫外線等の放射光を照射するとアンスロン骨格中のケト
ン基による脂肪族グリコール中の水素引き抜きによる架
橋反応がおこり、このフィルムは不溶化し、製膜に用い
た低沸点の汎用溶媒に対しても溶解しない。具体的な反
応スキームを以下の化3に示す。
【0022】
【化3】 本発明においては、ポリエステル樹脂はアンスロン骨格
を有しているため、その分子構造に由来して配向性およ
び複屈折が小さく、従って透明性および光等方性に優れ
たポリエステル樹脂となる。また、同時にポリエステル
樹脂が元来有する優れた耐熱性も維持し、かつ成形性も
優れている。さらにまた、上記ポリエステル樹脂は、低
沸点の汎用溶剤等に対する溶解性が良好であるので、こ
のポリエステル樹脂を乾式製膜法で容易に、安価にかつ
さらに光等方性に優れたフィルムに製膜できる。さらに
また、上記ポリエステルフィルムを光照射することによ
り、耐溶剤性を付与することができる。従来の硬化性樹
脂とは異なり、架橋剤が不要なため成形上の制約が少な
く、経済性に優れる。
【0023】
【実施例】以下に実施例を挙げ本発明を詳しく述べる
が、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に
おける共重合体の極限粘度、ガラス点移転温度、複屈折
率、全光線透過率、ゲル分率は以下に示す方法で測定し
た。 (1)極限粘度 フェノール50wt% 、1.2.2.2-テトラクロロエタン50wt%
の混合溶液25mlにポリエステル(共重合体)0.1mg を40
℃で溶解後、25℃で粘度を測定した。 (2)ガラス転移温度 示差走査熱量計(島津製作所DSC-50)に試量を約10mgを
用いて、10℃/minの昇温速度で加熱し測定した。 (3)複屈折値 ポリエステル樹脂をTHF に30wt% の濃度で溶解させ表面
平滑性の良好なPET フィルム上にキャストした。室温で
溶媒を留去した後、減圧下で完全に溶媒を除去し、膜厚
60〜150 μm のフィルムを得た。
【0024】このフィルムの複屈折値をアッペ屈折計
(アタゴ)で測定した。 (4)全光線透過率 上記方法で得たフィルムをスペクトロフォトメーター
(日立製作所U-3210)で測定した。 (5)溶解性 テトラヒドロフランに対するポリエステル樹脂の溶解性
を調べた。
【0025】
【実施例1】ポリエチレンテレフタレート 43重量部、
イソフタル酸 16重量部 10.10-ビス- (4-ヒドロキシフェニル)-9- アンスロン
- アセテート 41重量部を原料とし、これらを反応糟に
投入し、撹拌しながら 280℃で酸分解を行った。約30分
行った後、 300℃に昇温しながら、減圧を徐徐に行い、
300℃に保ったまま、真空度を0.5mmHg 以下に到達させ
た。この条件を維持し、粘度の上昇を待ち、所定のトル
クに達した時点で反応を終了し、重合物を水中に押し出
して、ペレットを得た。試験結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【実施例2】ポリエチレンテレフタレート 24重量部、
イソフタル酸 21重量部 .-ビス- (4-ヒドロキシフェニル)-9- アンスロン- ア
セテート 55重量部を原料とし、これらを反応糟に投入
し、撹拌しながら 280℃で酸分解を行った。約30分行っ
た後、 300℃に昇温しながら、減圧を徐徐に行い、 300
℃に保ったまま、真空度を0.5mmHg 以下に到達させた。
この条件を維持し、粘度の上昇を待ち、所定のトルクに
達した時点で反応を終了し、重合物を水中に押し出し
て、ペレットを得た。試験結果を表1に示す。
【0028】
【実施例3】ポリエチレンテレフタレート 12重量部、
イソフタル酸 24重量部 10.10-ビス- (4-ヒドロキシフェニル)-9- アンスロン
- アセテート 63重量部を原料とし、これらを反応糟に
投入し、撹拌しながら 280℃で酸分解を行った。約30分
行った後、 300℃に昇温しながら、減圧を徐徐に行い、
300℃に保ったまま、真空度を0.5mmHg 以下に到達させ
た。この条件を維持し、粘度の上昇を待ち、所定のトル
クに達した時点で反応を終了し、重合物を水中に押し出
して、ペレットを得た。試験結果を表1に示す。
【0029】
【比較例1】市販の光学フィルム用ポリエチレンテレフ
タレートフィルムの複屈折値、ガラス転移温度、全光線
透過率を測定した。試験結果を表1に示す。
【0030】
【比較例2】市販の光学フィルム用ポリカーボネートの
複屈折値、ガラス転移温度、全光線透過率を測定した。
試験結果を表1に示す。
【0031】
【発明の効果】以上の発明で明らかなように、本発明に
よれば、透明性、光等方性、成形性、耐熱性に優れたポ
リエステル樹脂および透明性、光等方性、成形性、耐熱
性、耐薬品性に優れたフィルムを提供することができ
る。従って、このようなポリエステル樹脂およびフィル
ムは、光学材料に好適に使用され得る。またこのポリエ
ステル樹脂は、低沸点の汎用溶媒等に対する溶解性が良
好であるので、容易にかつ安価にフィルムに製膜でき
る。さらにまたこのフィルムは光照射により硬化が可能
であるので、容易にかつ安価に耐薬品性を付与すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 誠一郎 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 栗田 智晴 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 犬飼 忠司 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 山田 陽三 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己架橋反応が可能な置換基を有する芳
    香族ポリエステルであって、該芳香族ポリエステルがジ
    カルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸、グリコール
    成分として下記化1で表わされるジヒドロキシ化合物お
    よび脂肪族グリコールからなるポリエステルであり、該
    ジヒドロキシ化合物が、全グリコール成分中30〜80モル
    %の範囲で含有されていることを特徴とする硬化性ポリ
    エステル。 【化1】 (式中、R1 〜R4 はそれぞれ独立してハロゲン原子、
    アルキル基またはアルコキシ基を示し、m,n,pおよ
    びqはそれぞれ独立して0〜4の整数を示す。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の硬化性ポリエステルが、
    光または熱により自己硬化した硬化性ポリエステル。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンテレフタレートで代表され
    る芳香族ジカルボン酸を酸成分として含有する芳香族ポ
    リエステルと、芳香族ジカルボン酸と、前記化1のジヒ
    ドロキシ化合物との混合物を加熱して酸分解を行い、次
    いで、減圧下で重縮合を行うことを、少なくとも含むこ
    とを特徴とする、硬化性ポリエステルの製造方法。
JP28883995A 1995-11-07 1995-11-07 硬化性ポリエステルおよびその製造方法 Pending JPH09132640A (ja)

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