JPH0913255A - 生分解性短繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

生分解性短繊維不織布及びその製造方法

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JPH0913255A
JPH0913255A JP7162722A JP16272295A JPH0913255A JP H0913255 A JPH0913255 A JP H0913255A JP 7162722 A JP7162722 A JP 7162722A JP 16272295 A JP16272295 A JP 16272295A JP H0913255 A JPH0913255 A JP H0913255A
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biodegradable
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woven fabric
fibers
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So Yamaguchi
創 山口
Chikayuki Fukushima
周之 福島
Fumio Matsuoka
文夫 松岡
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に柔軟性や嵩高性に優れた不織布を得る。 【構成】 生分解性の熱可塑性重合体からなる短繊維で
構成されるとともに、構成繊維どうしが三次元的に交絡
して形態保持されている。 【効果】 生分解性の熱可塑性重合体からなる短繊維で
不織布が構成されるため、この不織布は、実用的な強度
を備えたうえで生分解性に優れたものとなる。また、構
成繊維を加熱することなく三次元的に交絡させること
で、不織布を形態保持させているために、特に柔軟性や
嵩高性に優れたものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生分解性短繊維不織布
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、医療・衛生材料や、一般生活
関連材や、一部の産業資材用の素材として、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の熱
可塑性重合体からなる不織布が知られている。これらの
不織布は、化学的に安定な前記のような重合体から構成
されるため通常の自然環境下では分解されず、したがっ
て使い捨て用途のものは、使用後に焼却あるいは埋め立
てという方法で処理されているのが実情である。
【0003】ところが、焼却処理に関しては、プラント
建設や公害防止設備の設置に多大の費用が必要とされ、
しかも焼却時に生じる排ガスにより公害の原因となるな
ど、自然・生活環境保護の観点から問題である。一方、
埋め立てに関しては、前述したように素材が通常の自然
環境下で化学的に安定であるため、土中で長期間にわた
って元の状態のまま保持されるという問題がある。した
がって、これらの問題を解決するような生分解性を有す
る素材からなる不織布が要望されている。
【0004】生分解性不織布としては、例えば乾式法あ
るいは溶液浸漬法により得られるビスコースレーヨン短
繊維不織布、キチンやコラーゲンのような天然物の再生
繊維からなる不織布、コットンからなるスパンレース不
織布等が知られている。しかしながら、これらは機械的
強度が低くかつ親水性であるため吸水・湿潤の時の機械
的強度の低下が著しいという問題を抱えていた。
【0005】これらの問題を解決する生分解性不織布と
して、例えば、特開平5−214648号公報には、ポ
リ−ε−カプロラクトンやポリ−β−プロピオラクトン
からなる繊維を用いることで、実用に耐える引張強力と
生分解性とを兼備した不織布が開示されている。しか
し、ポリ−ε−カプロラクトンやポリ−β−プロピオラ
クトンは重合体の融点や結晶化温度が低いため、紡出糸
条の冷却性や可紡性が必ずしも十分ではなく、得られる
不織布の柔軟性が必ずしも満足なものではなかった。
【0006】そこで、特開平7−34369号公報で
は、脂肪族グリコールと脂肪族ジカルボン酸の縮重合体
である生分解性熱可塑性脂肪族ポリエステル系重合体か
らなる長繊維どうしを部分的に熱接着することで、生分
解性、機械的強度、柔軟性のいずれにもすぐれた不織布
が得られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の技術では、衛生材等のいっそう柔軟性が要求される
用途においては、まだ要求を十分に満たす不織布が得ら
れていないのが現状であるという問題点を有する。
【0008】そこで本発明はこのような問題点を解決
し、特に柔軟性や嵩高性に優れた不織布を得ることを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】この目的を達
成するため本発明は、(1)生分解性の熱可塑性重合体
からなる短繊維で構成されるとともに、構成繊維どうし
が三次元的に交絡して形態保持されていることを特徴と
する生分解性短繊維不織布と、(2)生分解性の熱可塑
性重合体からなる短繊維をウェブ化し、その後に水流交
絡加工を施して、このウェブを構成繊維どうしの三次元
的交絡により形態保持させることを特徴とする生分解性
短繊維不織布の製造方法と、を要旨とするものである。
【0010】したがって本発明によれば、生分解性の熱
可塑性重合体からなる短繊維で不織布が構成されるた
め、この不織布は、実用的な強度を備えたうえで生分解
性に優れたものとなる。また、構成繊維を加熱すること
なく三次元的に交絡させることで、不織布を形態保持さ
せているために、特に柔軟性や嵩高性に優れたものとな
る。
【0011】生分解性の熱可塑性重合体としては、脂肪
族ポリエステルが好適に用いられる。例えば、ポリグリ
コール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)
またはこれらを構成する繰り返し単位要素による共重合
体が挙げられる。また、ポリ(ε−カプロラクトン)、
ポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒド
ロキシアルカノエート)が挙げられる。さらに、ポリ−
3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシ
ブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプラレート、ポリ
−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキ
シオクタノエートのようなポリ(β−ヒドロキシアルカ
ノエート)およびこれらを構成する繰り返し単位要素と
ポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキ
シブチレートを構成する繰り返し単位要素との共重合体
が挙げられる。またグリコールとジカルボン酸の縮重合
体からなるもの、すなわち例えば、ポリエチレンオキサ
レート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジ
ペート、ポリエチレンアゼテート、ポリブチレンオキサ
レート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジ
ペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレン
セバケート、ポリネオペンチルオキサレートまたはこれ
らを構成する繰り返し単位要素による共重合体が挙げら
れる。
【0012】上記熱可塑性脂肪族ポリエステルとして
は、数平均分子量が約20,000以上、好ましくは4
0,000以上、さらに好ましくは60,000以上の
ものが、製糸性および得られる糸条の特性の点で好まし
い。また、重合度を高めるために少量のジイソシアネー
トやテトラカルボン酸二無水物などで鎖延長したもので
も良い。
【0013】また生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルとしては、ポリブチレンサクシネート、あるい
はブチレンサクシネートを主繰り返し単位とする共重合
体が特に好適に用いられる。このとき、ブチレンサクシ
ネートの共重合量比が70モル%以上であるのが好まし
い。ブチレンサクシネートの共重合量比が70モル%未
満であると、融点、結晶化温度が低下し、断面を中空化
あるいは異形化しても、または、結晶核剤の添加などを
行っても、紡出糸条を十分に冷却することが困難であ
り、さらに、得られた糸の寸法安定性および機械的強度
が低下するため好ましくない。この理由により、ブチレ
ンサクシネートの共重合量比は75モル%以上がより好
ましい。
【0014】重合体のメルトフローレート値(以降MF
R値と呼称する)は、20〜70g/10分であること
が重要である。このMFR値は、ASTM−D−123
8(E)に記載の方法に準じて測定したものである。M
FR値が20g/10分未満であると、あまりにも高粘
度であるために、紡出糸条の細化がスムーズに行われ
ず、得られる繊維は、太繊度で均斉度に劣るものとな
る。逆に、MFR値が70g/10分を超えると、あま
りにも低粘度であるために、紡糸工程において糸切れが
発生して操業性を損なうとともに、得られる繊維も均斉
度に劣るものとなる。
【0015】さらに、前述したところの生分解性を有す
る熱可塑性脂肪族ポリエステルに、必要に応じて、例え
ば光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤を
適宜の範囲内で添加することができる。
【0016】次に、本発明にもとづく不織布の製造方法
について説明する。生分解性を有する前述の重合体、例
えばポリブチレンサクシネート、あるいはブチレンサク
シネートを主繰り返し単位とし、かつブチレンサクシネ
ートの共重合量比が70モル%以上の共重合体であり、
しかも、重合体のMFR値が10〜70g/10分であ
る重合体を好適材料として用いる。その融点の温度をT
mとしたときに、(Tm+40)℃〜(Tm+150)
℃で溶融して紡糸温度とする。そして、紡糸口金より吐
出した紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却し、仕上げ油
剤を付与した後、紡糸速度300〜2000m/分の引
き取りローラーを介して未延伸糸とする。この未延伸を
いったん巻き取った後、1段あるいは複数段延伸機を用
いて延伸処理を施す。得られた延伸糸条に機械捲縮を付
与し所定長に切断することにより目的とする短繊維を得
る。
【0017】上述のように、紡糸温度は、(Tm+4
0)℃〜(Tm+150)℃であるのが好ましい。紡糸
温度が(Tm+40)℃未満であると、重合体中に未溶
融物を多く含有するため、製糸性が低下し、操業性を著
しく損なうことになる。逆に、紡糸温度が(Tm+15
0)℃を超えると、重合体が熱分解したり、紡出糸条が
密着し易くなり、好ましくない。
【0018】紡糸速度は、300〜2000m/分とす
ることが好ましい。紡糸速度が300m/分未満である
と、糸条の配向が不十分なため、得られる未延伸糸を後
述の延伸倍率範囲を超えて過度に延伸しなければなら
ず、好ましくない。逆に、2000m/分を超えると、
糸条の配向が高くなりすぎるため、得られる短繊維の機
械的強度および生分解性能に劣る傾向がある。
【0019】延伸処理における延伸倍率は、全延伸倍率
の0.5〜0.85倍で行うのが好ましい。延伸倍率が
全延伸倍率の0.5倍未満であると、延伸時における延
伸張力が均一に付与できず、得られる延伸糸の均斉度、
機械的物性および寸法安定性に劣るため好ましくない。
逆に、延伸倍率が全延伸倍率の0.85倍を超えると、
延伸時に糸切れが発生し、操業性を著しく損なうととも
に、得られる短繊維も均斉度に劣るものとなる。
【0020】延伸温度は、使用する重合体により適宜選
択して行うことができるが、通常、50℃〜80℃の範
囲で行うと、糸切れの発生もなく操業性は良好であり、
さらに得られる短繊維の均斉度に優れることから好まし
い。一般に、50℃未満であると、重合体の可塑性が発
現できずに十分に延伸することが困難となる。逆に、8
0℃を超えると、得られる短繊維の繊度にムラが生じ易
く、さらには重合体の熱分解や融解を起こすこととな
る。
【0021】得られた短繊維の単糸繊度は、1.5〜1
0デニールであることが好ましい。単糸繊度が1.5デ
ニール未満であると、得られる不織布の柔軟性には優れ
るものの、製糸時の糸切れが多く、しかも不織ウエブを
作成するに際してのカード通過性が劣り、操業性に劣る
こととなる。逆に、単糸繊度が10デニールを超える
と、生産性は向上するものの、紡出糸条の冷却性および
生分解性能に劣り、さらには、得られた不織布の風合い
が硬くなり柔軟性に劣ることとなるので好ましくない。
【0022】そして、以上のようにして得られた短繊維
からなる原綿を、カード機等を用いて開繊及び集積して
繊維ウェブを得る。この繊維ウェブは、構成繊維がカー
ド機の機械方向に配列したパラレル繊維ウェブ、構成繊
維がランダムに配列したランダム繊維ウェブ、或いは両
者の中程度に構成繊維が配列したセミランダム繊維ウェ
ブのいずれであっても差し支えない。
【0023】次に、得られたカードウェブに高圧液体流
処理を施して構成繊維どうしを三次元的に交絡させる。
高圧液体流処理を施すに際しては、公知の方法を採用す
ることができる。
【0024】例えば、孔径が0.05〜1.0mm、特
に0.1〜0.4mmの噴射孔を多数配列した装置を用
い、噴射圧力が5〜150kg/cm2 Gの高圧液体を
前記噴射孔から噴射する方法がある。噴射孔の配列は、
ウェブの進行方向と直交する方向に列状に配列する。こ
の処理は、ウェブの片面あるいは両面のいずれに施して
もよいが、特に片面処理の場合には、噴射孔を複数列に
配列し噴射圧力を前段階で低く後段階で高くして処理を
施すと、均一で緻密な交絡形態と均一な地合いを有する
不織布を得ることができる。
【0025】高圧液体としては、水あるいは温水を用い
るのが一般的である。噴射孔とウェブとの間の距離は、
1〜15cmとするのがよい。この距離が1cm未満で
あるとウェブの地合いが乱れ、一方、この距離が15c
mを超えると液体流がウエブに衝突した時の衝撃力が低
下し三次元的な交絡が十分に施されず、いずれも好まし
くない。この高圧液体流処理は、連続工程あるいは別工
程のいずれであってもよい。
【0026】高圧液体流処理を施した後、ウエブから過
剰水分を除去する。この過剰水分を除去するに際して
は、公知の方法を採用することができる。例えば、マン
グルロール等の絞り装置を用いて過剰水分をある程度除
去し、引き続き連続熱風乾燥機等の乾燥装置を用いて残
余の水分を除去するのである。
【0027】得られた不織布は、圧縮剛軟度が0.10
〜0.40g/(g/m2 )であることが好ましい。圧
縮剛軟度が0.10g/(g/m2 )未満であると、あ
まりにも柔らかすぎるため機械的性能に劣り、実用に耐
えないものとなる。逆に、圧縮剛軟度が0.40g/
(g/m2 )を超えると、不織布の風合いが硬くなり、
柔軟性を要求される衛生材等の用途には不適当となり、
好ましくない。
【0028】また、得られた不織布は、嵩密度が0.1
0〜0.30g/cm3 であることが好ましい。嵩密度
が0.10g/cm3 未満であると、不織布があまりに
も嵩高くなりすぎ、しかも毛羽立ちが多くなるため、実
用に耐えないものとなる。逆に、嵩密度が0.30g/
cm3 を超えると、嵩高性が不十分であるため、嵩高性
を要求される衛生材等の用途には不適当となり、好まし
くない。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、機械的強度に優れ、ま
た柔軟性及び嵩高性に優れる生分解性短繊維不織布を得
ることができる。本発明の不織布は、おむつや生理用品
その他の医療・衛生材料用素材、使い捨ておしぼりやワ
イピングクロス等の拭き取り布、使い捨て包装材料、家
庭・業務用の生ごみ捕集用袋その他の廃棄物処理材等
の、生活関連用素材、あるいは農業・園芸・土木用に代
表される産業資材用の各素材として好適である。しかも
この不織布は、生分解性を有するため、その使用後に完
全に分解消失し、このため自然環境保護の観点からも有
益であり、あるいは、例えば堆肥化して肥料とする等再
利用を図ることもできるため、資源の再利用の観点から
も有益である。
【0030】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
する。しかし、本発明は、これらの実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0031】以下の実施例、比較例において、各物性値
の測定は、次の方法により実施した。 ・MFR値(g/10分):ASTM−D−1238
(E)に記載の方法に準じて温度190℃で測定した。 ・融点(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱量計D
SC−2型を用い、試料重量を5mg、昇温速度を20
℃/分として測定して得た融解吸熱曲線の最大値を与え
る温度を融点(℃)とした。 ・目付け(g/m2 ):標準状態の試料から縦10cm
×横10cmの試料片各10点を作製し、平衡水分に至
らしめた後に各試料片の重量(g)を秤量し、得られた
値の平均値を単位面積当たりに換算して目付け(g/m
2 )とした。 ・引張り強力(kg/5cm幅)及び引張り伸度
(%):JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて
測定した。すなわち、試料長が15cm、試料幅が5c
mの試料片各10点を作製し、各試料片毎に不織布の経
及び緯方向について、定速伸長型引張り試験機(東洋ボ
ールドウィン社製テンシロンUTM−4−1−100)
を用い、試料のつかみ間隔10cmとし、引張速度10
cm/分で伸長し、得られた最大荷重値(kg/5cm
幅)の平均値を引張り強力(kg/5cm幅)とした。 ・圧縮剛軟度(g/(g/m2 )):試料長10cm、
試料幅長5cmの試料片計5個を作製し、各試料片毎に
横方向に曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合した
ものを圧縮剛軟度測定試料とした。測定試料毎に各々そ
の軸方向について、定速伸長型引張り試験機(東洋ボー
ルドウィン社製テンシロンUTM−4−1−100)を
用いて圧縮速度5cm/分で圧縮し、得られた最大荷重
値(g)を目付けで割った値の平均を圧縮剛軟度(g/
(g/m2 ))とした。したがって、この圧縮剛軟度の
値が低いほど柔軟な不織布であることを意味する。 ・嵩密度(g/cm3 ):試料幅10cm、試料長10
cmの試料を5個作製し、大栄科学精機製作所社製の厚
み測定器により、4.5g/cm2 の荷重の印可により
個々の不織布の厚み(mm)を測定し、平均値を厚み
(mm)とし、以下の式より求められた値を嵩密度(g
/cm3 )とした。
【0032】嵩密度(g/cm3 )=目付け(g/
2 )/厚み(mm)/1000 ・生分解性:不織布を土中に埋設して6カ月後に取り出
し、不織布がその形態を保持していない場合、あるいは
その形態を保持していても引張り強力が埋設前の50%
以下に低下している場合を、生分解性が良好であると評
価した。 (実施例1)融点が114℃、MFR値が25g/10
分のポリブチレンサクシネートを用い、孔径0.35m
mで孔数800の紡糸口金パックを使用し、紡糸温度1
80℃、単孔吐出量0.90g/分にて溶融紡糸した。
そして紡出糸を捲取速度800m/分で捲き取って未延
伸糸を得た。次いで得られた未延伸糸パッケージ複数本
を合糸して3.5倍に冷延伸し、スタッファボックスに
て機械捲縮を施した後、繊維長51mmに切断して、単
糸繊度3デニール、単繊維強度6.2g/d、捲縮数2
2ヶ/インチのポリブチレンサクシネート短繊維を得
た。
【0033】ウェブ化に際しては、ランダムカード機を
用い、繊維配列がランダムな短繊維ウェブを作製した。
次いで、得られたウェブを移動速度20m/分で移動す
る70メッシュの金網上に載置して、高圧液体流処理を
施した。高圧液体流処理は、孔径0.12mmの噴射孔
が孔間隔0.6mmで一列に配設された高圧柱状水流処
理装置を用い、ウェブの上方50mmの位置から2段階
に分けて柱状水流を作用させた。第1段階の処理では圧
力を30kg/cm2 Gとし、第2段階の処理では圧力
を70kg/cm2 Gとした。なお、第2段階の処理
は、まずウェブの表側から4回施した後にウェブを反転
し、裏側から4回施した。次いで、得られた処理物から
マングルロールを用いて過剰水分を除去した後、得られ
た処理物に熱風乾燥機を用いて温度90℃の条件で乾燥
処理を施し、繊維どうしが緻密に三次元的交絡をしたと
ころの、目付けが50g/m2 の短繊維不織布を得た。
得られた不織布の製造条件と物性と生分解性とを表1に
示す。
【0034】
【表1】
【0035】(実施例2)ウェブ化に際し、第2段階の
高圧液体流処理を40kg/cm2 Gとする以外は実施
例1と同様にして、短繊維不織布を得た。得られた不織
布の製造条件と物性と生分解性とを表1に示す。 (実施例3)ウェブ化に際し、第2段階の高圧液体流処
理を100kg/cm2 Gとする以外は実施例1と同様
にして、短繊維不織布を得た。得られた不織布の製造条
件と物性と生分解性とを表1に示す。 (実施例4)単孔吐出量0.42g/分にて紡糸し、捲
取速度800m/分で捲き取って未延伸糸を得た。次い
で得られた未延伸糸パッケージ複数本を合糸して3.3
倍で冷延伸し、単糸繊度を1.5デニールとした。そし
て、それ以外は実施例1と同様にして、短繊維不織布を
得た。得られた不織布の製造条件と物性と生分解性とを
表1に示す。 (実施例5)単孔吐出量3.50g/分にて紡糸し、捲
取速度800m/分で捲き取って未延伸糸を得た。次い
で得られた未延伸糸パッケージ複数本を合糸して4.1
倍で冷延伸し、単糸繊度を10デニールとした。そし
て、それ以外は実施例1と同様にして、短繊維不織布を
得た。得られた不織布の製造条件と物性と生分解性とを
表1に示す。 (実施例6)融点が104℃、MFR値が25g/10
分のポリエチレンサクシネートを用いた。また熱風乾燥
機による乾燥処理温度を80℃とした。そして、それ以
外は実施例1と同様にして、不織布を得た。得られた不
織布の製造条件と物性と生分解性とを表1に示す。 (実施例7)融点が92℃、MFR値が30g/10分
の、ブチレンサクシネート/エチレンサクシネート=7
0/30のモル比の共重合体を用いた。また、紡糸温度
を170℃とし、乾燥処理温度を70℃とした。そし
て、それ以外は実施例1と同様にして、不織布を得た。
得られた不織布の製造条件と物性と生分解性とを表1に
示す。 (実施例8)融点が108℃、MFR値が30g/10
分の、ブチレンサクシネート/ブチレンアジペート=8
0/20のモル比の共重合体を用いた。また、乾燥処理
温度を85℃とした。そして、それ以外は実施例1と同
様にして、不織布を得た。得られた不織布の製造条件と
物性と生分解性とを表1に示す。 (比較例1)ウェブを熱圧接処理して不織布とする以外
は実施例1と同様にして、不織布を得た。熱圧接処理を
施すに際しては、面積0.6mm2 の彫刻模様が圧接点
密度20点/cm2 かつ圧接面積率13.2%で配設さ
れたエンボスロールと、表面が平滑な金属ロールとを用
いた。このエンボスロールと表面が平滑な金属ロールと
の表面温度を100℃とした。得られた不織布の目付は
50g/m2 であった。得られた不織布の製造条件と物
性と生分解性とを表1に示す。 (比較例2)ウェブを得るに際し、スパンボンド法で長
繊維を得ること以外は実施例1と同様にして、不織布を
得た。すなわちウェブを得るに際しては、重合体チップ
にタルクを1.5重量%添加し、エクストルーダ型溶融
押出し機を用いて、これを孔数180の紡糸口金に通し
て紡糸温度180℃、吐出量1.35g/分で溶融紡出
した。そして、溶融紡出された糸条を冷却した後、ノズ
ルの下方に設置したエアサッカーを用いて引き取り速度
4000m/分で引き取った後、公知の開繊器により開
繊した。さらに、移動する捕集面上に捕集・堆積させ
て、単糸繊度が3.0デニールの長繊維からなるウェブ
とした。次いで、得られたウェブに、面積0.6mm2
の彫刻模様が圧接点密度20点/cm2 かつ圧接面積率
13.2%で配設されたエンボスロールと、表面が平滑
な金属ロールとを用いて熱圧接処理を施した。このエン
ボスロールと表面が平滑な金属ロールとの表面温度を1
00℃とした。得られた不織布の目付は50g/m2
あった。得られた不織布の製造条件と物性と生分解性と
を表1に示す。
【0036】表1に示す通り、実施例1の不織布は、柔
軟性、嵩高性に優れていた。また十分な生分解性を有し
ていた。実施例2の不織布は、実施例1の場合よりも低
圧で高圧液体流処理を施したために機械的強度がやや劣
るものの、柔軟性、嵩高性に優れていた。実施例3の不
織布は、実施例1の場合よりも高圧で高圧液体流処理を
施したために柔軟性、嵩高性がやや劣るものの、機械的
強度に優れていた。実施例4の不織布は、実施例1のも
のよりも構成繊維の繊度が低いため、緻密性に優れ、か
つ柔軟性、嵩高性に優れていた。実施例5の不織布は、
実施例1のものよりも構成繊維の繊度が高いため、柔軟
性の点でやや劣るものの、嵩高性は優れていた。実施例
6および実施例7の不織布は、実施例1のものに比べ機
械的強度はやや劣るものの、柔軟性、嵩高性に優れてい
た。これら実施例2〜7の不織布も、実施例1の不織布
と同様に、十分な生分解性を有していた。
【0037】比較例1のものは、ウェブを熱圧接処理し
て不織布を構成したため、実施例1の不織布に比べ機械
的強度はやや優るものの、柔軟性、嵩高性が劣ってい
た。比較例2のものは、スパンボンド法で得られた長繊
維によってウェブを構成し、さらにこのウェブを熱圧接
処理して不織布を構成したため、実施例1の不織布に比
べ機械的強度は優るものの、柔軟性、嵩高性が劣ってい
た。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性の熱可塑性重合体からなる短繊
    維で構成されるとともに、構成繊維どうしが三次元的に
    交絡して形態保持されていることを特徴とする生分解性
    短繊維不織布。
  2. 【請求項2】 生分解性の熱可塑性重合体が脂肪族ポリ
    エステルであることを特徴とする請求項1記載の生分解
    性短繊維不織布。
  3. 【請求項3】 脂肪族ポリエステルがポリブチレンサク
    シネート、ポリエチレンサクシネート、又はこれら重合
    体を主成分とする共重合体からなることを特徴とする請
    求項1又は2記載の生分解性短繊維不織布。
  4. 【請求項4】 圧縮剛軟度が0.10〜0.40g/
    (g/m2 )であることを特徴とする請求項1から3ま
    でのいずれか1項記載の生分解性短繊維不織布。
  5. 【請求項5】 嵩密度が0.10〜0.30g/cm3
    であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか
    1項記載の生分解性短繊維不織布。
  6. 【請求項6】 生分解性の熱可塑性重合体からなる短繊
    維をウェブ化し、その後に水流交絡加工を施して、この
    ウェブを構成繊維どうしの三次元的交絡により形態保持
    させることを特徴とする生分解性短繊維不織布の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 生分解性の熱可塑性重合体が脂肪族ポリ
    エステルであることを特徴とする請求項6記載の生分解
    性短繊維不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 脂肪族ポリエステルがポリブチレンサク
    シネート、ポリエチレンサクシネート、又はこれら重合
    体を主成分とする共重合体からなることを特徴とする請
    求項6又は7記載の生分解性短繊維不織布の製造方法。
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