JPH09131563A - 多層塗膜 - Google Patents

多層塗膜

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JPH09131563A
JPH09131563A JP8211307A JP21130796A JPH09131563A JP H09131563 A JPH09131563 A JP H09131563A JP 8211307 A JP8211307 A JP 8211307A JP 21130796 A JP21130796 A JP 21130796A JP H09131563 A JPH09131563 A JP H09131563A
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meth
acrylic copolymer
acrylate
acid
coating film
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JP8211307A
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English (en)
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Akio Iwamoto
暁生 岩本
Takeshi Kato
武 加藤
Shinobu Fujie
忍 藤江
Kazuhiko Hotta
一彦 堀田
Kunio Iwase
国男 岩瀬
Hiroshi Takeuchi
浩史 竹内
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル系熱硬化性樹脂が持つ光沢性、塗膜
性能および美粧性を損なわず、耐酸性およびウェットオ
ンウェット性に優れた多層塗膜を提供する。 【解決手段】 ベースコート塗料が、1分子中にカルボ
キシル基および/または二塩基酸無水物基を少なくとも
2個有するアクリル系共重合体(A)および1分子中に
エポキシ基を少なくとも2個有するアクリル系共重合体
(B)の2成分を含有し、アクリル系共重合体(A)お
よびアクリル系共重合体(B)の合計の樹脂固形分含有
率が10〜50重量%である熱硬化性樹脂組成物からな
り、クリヤーコート塗料が、カルボキシル基および/ま
たは二塩基酸無水物基を有する化合物(C)および1分
子中にエポキシ基を少なくとも2個有する化合物(D)
の2成分を含有する熱硬化性樹脂組成物からなる、2コ
ート1ベーク塗装方法により形成された多層塗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の塗膜のよ
うな美粧性および長期の耐候性を要求される多層塗膜に
関する。さらに詳しくは、本発明は、メタリック粉末、
マイカ等の光輝材および/または着色顔料等の着色剤を
配合したベースコート塗料とクリヤーコート塗料とを用
いる2コート1ベーク方式の塗装で得られる多層塗膜に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体等のトップコートとしては、
一液型で塗装作業性に優れ、かつ、得られる塗膜の耐候
性および美粧性に優れ、コストパフォーマンスも高いこ
とから、水酸基含有アクリル樹脂をメラミン樹脂で架橋
させるアクリル−メラミン系塗料が工業的に広く用いら
れてきた。しかし、近年酸性雨が社会問題となり、クリ
ヤーコート塗料において、従来のアクリル−メラミン系
塗料ではメラミンの架橋部位の耐酸性が悪いため、酸性
雨により雨ジミが発生し外観が低下するという問題があ
った。
【0003】この問題を解決するために、メラミンに代
わる新規な架橋系を有するクリヤーコート塗料が求めら
れており、酸基とエポキシ基の架橋反応を利用した硬化
系の検討が盛んに行われている。例えば、特開平1−1
39653号公報に開示されているような酸基を有する
アクリル系共重合体とエポキシ基を有するアクリル系共
重合体からなる熱硬化性溶剤型塗料組成物や、特開平2
−45577号公報に開示されているような酸基として
の二塩基酸無水物基をハーフエステル化した共重合体
と、ヒドロキシ化合物およびエポキシ化合物とを含有す
る熱硬化性組成物や、特開平3−287650号公報や
特開平4−363374号公報に開示されているよう
な、酸基としての二塩基酸無水物基をハーフエステル化
した共重合体と、エポキシ基および水酸基を有する化合
物とを含有する熱硬化性組成物が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな酸基−エポキシ基架橋系クリヤーコート塗料は、耐
酸性は良好であるが、樹脂中に酸基、エポキシ基等の官
能基を多量に含むために塗料の極性が高く、従来のアク
リル−メラミン系ベースコート塗料上にウェットオンウ
ェット方式で塗装するとベースコートとクリヤーコート
とが界面で混層してしまい、光沢や発色性といった仕上
がり外観が低下するという問題点を有している。
【0005】本発明の目的は、アクリル系熱硬化性樹脂
が本来持つ光沢性、塗膜性能およびメタリック粉末、マ
イカ等の光輝材や着色顔料等の着色剤を含有する場合の
美粧性を損なうことなく、耐酸性およびウェットオンウ
ェット性に優れた多層塗膜を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点に鑑み、メタリック粉末、マイカ等の光輝
材および/または着色顔料等の着色剤を配合したベース
コート塗料とクリヤーコート塗料とを用いる2コート1
ベーク方式の塗装による多層塗膜について鋭意検討した
結果、本発明に至ったものである。
【0007】すなわち、本発明の多層塗膜は、メタリッ
ク粉末、マイカ等の光輝材および/または着色剤を配合
したベースコート塗料を塗装し、加熱硬化させることな
しにクリヤーコート塗料を重ね塗りした後、同時に加熱
硬化させて塗膜を得る2コート1ベーク塗装方法により
形成された多層塗膜であって、(1)ベースコート塗料
が、1分子中にカルボキシル基および/または二塩基酸
無水物基を少なくとも2個有し、酸価が30〜150mg
KOH /gの範囲であるアクリル系共重合体(A)および
1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有し、エポキシ
当量が400〜1500g/eqの範囲であるアクリル系
共重合体(B)の2成分を含有し、アクリル系共重合体
(A)およびアクリル系共重合体(B)の合計の樹脂固
形分含有率が10〜50重量%である熱硬化性樹脂組成
物からなり、(2)クリヤーコート塗料が、カルボキシ
ル基および/または二塩基酸無水物基を有する化合物
(C)および1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有
する化合物(D)の2成分を含有する熱硬化性樹脂組成
物からなる、多層塗膜である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においてベースコート塗料
に使用される1分子中にカルボキシル基および/または
二塩基酸無水物基を少なくとも2個有するアクリル系共
重合体(A)は、カルボキシル基および/または二塩基
酸無水物基を有するα,β−不飽和ビニルモノマーを含
む重合性ビニルモノマーを重合させて得られるか、二塩
基酸無水物基を有するα,β−不飽和ビニルモノマーを
含む重合性ビニルモノマーを重合後、酸無水物基をアル
カノールでモノエステル化させて得られるものであり、
酸価(アクリル系共重合体1gを中和するのに要する水
酸化カリウムのmg数)が、30〜150mgKOH /gの範
囲であることが好ましい。これは、アクリル系共重合体
(A)の酸価が30mgKOH /g未満であると硬化性が不
足し、塗膜の硬度や耐溶剤性が低下する傾向にあり、1
50mgKOH /gを越えると樹脂溶液の粘度が著しく上昇
したり、塗膜の耐水性が低下する傾向にあるためであ
る。より好ましくは40〜120mgKOH /g、さらに好
ましくは50〜100mgKOH /gの範囲である。
【0009】カルボキシル基および/または二塩基酸無
水物基を有するアクリル系共重合体(A)に使用される
カルボキシル基および/または二塩基酸無水物基を有す
るα,β−不飽和ビニルモノマーとしては、例えば、メ
タクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香
酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン
酸等の一塩基酸または二塩基酸ビニルモノマー類、β−
カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキ
シプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリ
ロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)アク
リロキシエチルアシッドマレエート、β−(メタ)アク
リロキシエチルアシッドフタレート、β−(メタ)アク
リロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、β−
(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒド
ロフタレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルアシ
ッドサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラク
トンの開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラ
クセルF単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水
酸基を無水コハク酸、無水フタル酸、あるいは無水ヘキ
サヒドロフタル酸でエステル化して末端にカルボキシル
基を導入したコハク酸モノエステル、フタル酸モノエス
テル、あるいは無水ヘキサヒドロフタル酸モノエステル
等のカプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリル酸
エステルと二塩基酸無水物のモノエステル反応生成物等
の長鎖カルボキシル基含有ビニルモノマー類、無水イタ
コン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、2,3−
ジメチル無水マレイン酸等の二塩基酸無水物基含有ビニ
ルモノマー、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエ
チル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチ
ル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イ
タコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、イタコ
ン酸モノ2−エチルヘキシル、フマール酸モノメチル、
フマール酸モノエチル、フマール酸モノブチル、フマー
ル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等の二塩基
酸または二塩基酸無水物ビニルモノマーのモノエステル
化物類等が挙げられ、これらは必要に応じて単独である
いは2種以上を併用して使用することができるが、本発
明のベースコート塗料の貯蔵安定性および、反応性を考
慮すると、マレイン酸モノメチル等の二塩基酸または二
塩基酸無水物ビニルモノマーのモノエステル化物類が好
ましい。
【0010】また、二塩基酸無水物基を有するα,β−
不飽和ビニルモノマーを含む重合性ビニルモノマーを重
合後、酸無水物基をアルカノールでモノエステル化させ
ることによりカルボキシル基、または、カルボキシル基
および二塩基酸無水物基を有するアクリル系共重合体
(A)を得ることができる。この場合に用いられるアル
カノールとしては、例えば、メタノール、エタノール、
i−プロパノール、t−ブタノール、i−ブタノール、
n−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノ
ール、アセトール、プロパルギルアルコール、アリルア
ルコール等が挙げられる。モノエステル化は、通常の方
法により、必要に応じてテトラブチルアンモニウムブロ
マイド等の第4級アンモニウム塩類やトリエチルアミン
等の第3級アミン類等の反応触媒を併用して行うことが
できる。
【0011】カルボキシル基および/または二塩基酸無
水物基を有するアクリル系共重合体(A)に使用される
その他の重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、
Sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリ
ル酸エステル類、スチレン、ビニルトルエン等のスチレ
ン誘導体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メトキシメチルア
クリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、
N−エトキシメチルアクリルアミド、N−プロポキシメ
チルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミ
ド等のN−アルコキシアルキル置換アミド基を有するビ
ニルモノマー類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和
塩基性ビニルモノマー類等が挙げられる。これらは、必
要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用する
ことができる。
【0012】また、二塩基酸無水物基を有するα,β−
不飽和ビニルモノマーを含まない重合性ビニルモノマー
混合物を重合させることにより上記カルボキシル基およ
び/または二塩基酸無水物基を有するアクリル系共重合
体(A)を得ることができ、この場合には2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の
ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エス
テル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレートへのγ−
ブチロラクトン開環付加物、2−ヒドロキシエチルアク
リレートへのε−カプロラクトン開環付加物、メタクリ
ル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、メタクリル酸
へのプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端に
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒ
ドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレ
ン等の他の水酸基含有ビニルモノマー類等の水酸基を有
するビニルモノマーを併用することもできる。これら
は、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使
用することができる。
【0013】カルボキシル基および/または二塩基酸無
水物基を有するアクリル系共重合体(A)は、重量平均
分子量が、3,000〜200,000の範囲であるこ
とが好ましい。これは、アクリル系共重合体(A)の重
量平均分子量が3,000未満であると耐溶剤性および
耐候性が低下する傾向にあり、200,000を越える
と樹脂溶液の粘度が高くなるため塗料固形分が低くなる
とともに塗膜の外観が低下する傾向にあるためであり、
より好ましくは8,000〜150,000、さらによ
り好ましくは10,000〜100,000の範囲であ
る。
【0014】本発明においてベースコート塗料に使用さ
れる1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するアク
リル系共重合体(B)は、エポキシ基を有するα,β−
不飽和ビニルモノマーを含む重合性ビニルモノマーを重
合させて得られるものであり、そのエポキシ当量が40
0〜1500g/eqの範囲であることが好ましい。これ
は、アクリル系共重合体(B)のエポキシ当量が150
0g/eqを越えると硬化性が不足するために塗膜の硬度
や耐溶剤性が低下し、400g/eq未満では被覆組成物
が増粘したり、ゲル化しやすくなるためである。好まし
くは450〜1200g/eq、さらに好ましくは500
〜1000g/eqの範囲である。
【0015】エポキシ基を有するアクリル系共重合体
(B)に使用されるエポキシ基を有するα,β−不飽和
ビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)
アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレー
ト、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレ
ート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これら
は、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使
用することができる。これらのエポキシ基含有単量体の
使用量は、アクリル系共重合体(B)のエポキシ当量が
400〜1500g/eqの範囲となるように、例えば、
10〜40重量%の範囲であることが好ましい。これ
は、エポキシ基含有単量体の使用量が10重量%未満で
は硬化性が不足するために塗膜の硬度や耐溶剤性が低下
し、40重量%を越えると被覆組成物が増粘したり、ゲ
ル化しやすくなるためである。
【0016】エポキシ基を有するアクリル系共重合体
(B)に使用されるその他の重合性ビニルモノマーとし
ては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、Sec−ブチル(メタ)アクリレー
ト、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート等の炭化水素置換基を有する
(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ビニルトル
エン等のスチレン誘導体類、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタ
クリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N
−プロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチ
ルアクリルアミド等のN−アルコキシアルキル置換アミ
ド基を有するビニルモノマー類、酢酸ビニル等のビニル
エステル類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエ
チレン性不飽和塩基性ビニルモノマー類、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の
ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エス
テル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレートへのγ−
ブチロラクトン開環付加物、2−ヒドロキシエチルアク
リレートへのε−カプロラクトン開環付加物、メタクリ
ル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、メタクリル酸
へのプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端に
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒ
ドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレ
ン等の他の水酸基含有ビニルモノマー類等の水酸基を有
するビニルモノマー類等が挙げられる。これらは、必要
に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用するこ
とができる。
【0017】エポキシ基を有するアクリル系共重合体
(B)は、重量平均分子量が、3,000〜200,0
00の範囲であることが好ましい。これは、アクリル系
共重合体(B)の重量平均分子量が3,000未満であ
ると耐溶剤性および耐候性が低下する傾向にあり、20
0,000を越えると樹脂溶液の粘度が高くなるため塗
料固形分が低くなるとともに塗膜の外観が低下する傾向
にあるためであり、より好ましくは8,000〜15
0,000、さらにより好ましくは10,000〜10
0,000の範囲である。
【0018】また、アクリル系共重合体(B)は、上記
に例示した水酸基を有するビニルモノマーを併用するこ
とによって、塗膜の耐候性を向上させることができる。
この場合、水酸基価(アクリル系共重合体1gに含まれ
る水酸基と同モルの水酸化カリウムのmg数)が、20〜
120mgKOH /gの範囲であることが好ましい。これ
は、アクリル系共重合体(B)の水酸基価が20mgKOH
/g未満であると塗膜の耐候性向上の十分な効果が得ら
れず、120mgKOH /gを越えると塗膜の耐水性が低下
する傾向にあるためである。より好ましくは30〜10
0mgKOH /g、さらに好ましくは40〜90mgKOH /g
の範囲である。
【0019】上記のアクリル系共重合体(A)および
(B)は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等の既
知の重合法により製造することができるが、溶液重合法
により製造するのが好ましい。溶液重合法により上記ア
クリル系共重合体を製造する場合には、有機溶剤および
重合開始剤の存在下にα,β−不飽和ビニルモノマー混
合物を共重合させる。有機溶剤としては、トルエン、キ
シレンのような芳香族系炭化水素類、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エ
チル、酢酸n−ブチルのようなエステル類、イソプロパ
ノール、n−ブタノールのようなアルコール類等の一般
的なものを選択できる。重合開始剤としては、2,2−
アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2
−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、クメン
ヒドロペルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ−t−
ブチルパーオキシド等の通常用いられる重合開始剤から
選択できる。また、必要に応じて2−メルカプトエタノ
ール、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカ
プタン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を
使用することができる。
【0020】溶液重合法でアクリル系共重合体を製造す
る場合、一般的には、分子量をコントロールするため、
70〜160℃の範囲で重合を行うことが好ましく、よ
り好ましくは80〜140℃の範囲である。本発明にお
いてベースコート塗料に使用される熱硬化性樹脂組成物
は、カルボキシル基および/または二塩基酸無水物基を
有するアクリル系共重合体(A)を5〜45重量%およ
びエポキシ基を有するアクリル系共重合体(B)を5〜
45重量%の範囲で含有し、またアクリル系共重合体
(A)およびアクリル系共重合体(B)の合計量を10
〜50重量%の範囲で含有するものである。これは、ア
クリル系共重合体(A)およびアクリル系共重合体
(B)の合計量が10重量%未満では2コート1ベーク
方式のウェットオンウェット性の向上に充分な効果が得
られないためであり、50重量%を越えると着色剤等を
配合したときの塗料の安定性が低下する傾向にあるため
である。
【0021】また、この熱硬化性樹脂組成物中のカルボ
キシル基および/または二塩基酸無水物基を有するアク
リル系共重合体(A)とエポキシ基を有するアクリル系
共重合体(B)の配合比率は、アクリル系共重合体
(B)中のエポキシ基1モルに対して、アクリル系共重
合体(A)中のカルボキシル基および二塩基酸無水物基
の合計が0.2〜5モルの範囲になるような比率である
のが好ましい。これは、この範囲以外では、未反応の官
能基により塗膜の耐水性、耐候性等が低下する傾向にあ
るためである。
【0022】ベースコート塗料に使用される熱硬化性被
覆組成物には、硬化促進のために触媒を含有させること
ができる。硬化触媒としては、酸基とエポキシ基のエス
テル化反応に用いられる公知のものであってよく、有機
アミン、有機金属化合物、金属キレート、4級アンモニ
ウム塩類、4級ホスホニウム塩類等を挙げることができ
る。
【0023】また、塗料の安定性を向上させるために、
必要に応じて、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸等のスルホン酸系化合物や、モノアルキ
ルリン酸、ジアルキルリン酸等のリン酸系化合物に代表
される酸性化合物を添加することができる。ベースコー
ト塗料に使用される熱硬化性樹脂組成物中には、アクリ
ル系共重合体(A)および(B)の他に、顔料分散性、
中塗り塗料との密着性、貯蔵安定性等を改良する目的で
従来公知のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ
樹脂などを1種以上混合して使用することができる。こ
れらは、塗膜外観を損なわない程度に、熱硬化性組成物
中の30〜80重量%の範囲で使用するのがよい。使用
量が30重量%未満では顔料分散性、中塗り塗料との密
着性、貯蔵安定性等が低下する傾向にあり、80重量%
を越えると2コート1ベーク方式のウェットオンウェッ
ト性の向上に充分な効果が得られないことがある。
【0024】また、ベースコート塗料に使用される熱硬
化性樹脂組成物には、熱硬化性樹脂の架橋密度を向上さ
せる目的でアミノ樹脂、ポリイソシアネート樹脂等の硬
化剤を使用することができる。これらの樹脂の使用量
は、上記熱硬化性樹脂組成物の5〜40重量%の範囲で
あるのがよい。使用量が5重量%未満では架橋密度の向
上の効果が充分でなく、40重量%を超えると2コート
1ベーク方式のウェットオンウェット性が低下する傾向
にある。上記アミノ樹脂としては、アミノトリアジン、
尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等のアミノ
化合物とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアル
デヒド化合物との縮合生成物を、さらに炭素数1〜6の
アルカノールによってアルキルエーテル化して得られる
アミノ樹脂類が挙げられ、特にアミノトリアジンから得
られるメチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル
化メラミン樹脂等が好ましい。また、上記ポリイソシア
ネート化合物の具体例としては、テトラメチレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート等の脂肪族もしくは脂環族ジイソ
シアネート類、あるいはこれらのポリイソシアネートへ
のエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメ
チロールプロパン等の多価アルコール付加物が挙げら
れ、さらに、アルコール類、アミド類、イミド類、オキ
シム類等の公知のブロック剤でイソシアネート基をブロ
ックしたものが挙げられる。
【0025】なお、本発明におけるベースコート塗料に
は、塗料化に際し、従来公知である、揮発性の有機溶剤
からなる希釈剤、アルミニウムペースト、マイカ、りん
片状酸化鉄等の光輝剤、酸化チタン、カーボンブラッ
ク、キナクドリン、シアニンブルー等の無機顔料および
有機顔料、繊維素樹脂等の添加樹脂、パラトルエンスル
ホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸またはそれらのア
ミン中和物等の外部触媒、有機ベントナイト、架橋重合
体粒子、ミクロゲル、ワックス等のようなレオロジー調
整剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料沈
降防止剤、揺変性付与剤等の添加剤を、必要に応じて公
知の手段を用いて、適宜配合することができる。
【0026】本発明においてクリヤーコート塗料に使用
されるカルボキシル基および/または二塩基酸無水物基
を有する化合物(C)としては、例えば、アジピン酸、
セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,10−
デカンジカルボン酸等の二塩基酸化合物、無水フタル
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸、無水ハイミック酸、無水トリメリット酸、無水ピ
ロメリット酸等の二塩基酸無水物基含有化合物あるいは
これらにメタノール、エタノール、n−ブタノール等の
アルカノールを付加させた、例えば、ヘキサヒドロフタ
ル酸モノメチルエステル等のモノエステル基含有化合
物、カルボキシル基および/または二塩基酸無水物基を
有するアクリル系共重合体(Ca)等が挙げられ、これ
らは必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使
用することができるが、中でもカルボキシル基および/
または二塩基酸無水物基を有するアクリル系共重合体
(Ca)が好ましい。
【0027】上記のカルボキシル基および/または二塩
基酸無水物基を有するアクリル系共重合体(Ca)は、
カルボキシル基および/または二塩基酸無水物基を有す
るα,β−不飽和ビニルモノマーを含む重合性ビニルモ
ノマーを重合させて得られるか、二塩基酸無水物基を有
するα,β−不飽和ビニルモノマーを含む重合性ビニル
モノマーを重合後、酸無水物基をアルカノールでモノエ
ステル化させて得られるものであり、酸価(アクリル系
共重合体1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg
数)が、30〜200mgKOH /gの範囲であることが好
ましい。これは、アクリル系共重合体(Ca)の酸価が
30mgKOH /g未満であると硬化性が不足し、塗膜の硬
度や耐溶剤性が低下する傾向にあり、200mgKOH /g
を越えると樹脂溶液の粘度が著しく上昇したり、塗膜の
耐水性が低下する傾向にあるためである。より好ましく
は50〜170mgKOH /g、さらに好ましくは80〜1
50mgKOH /gの範囲である。
【0028】カルボキシル基および/または二塩基酸無
水物基を有するアクリル系共重合体(Ca)に使用され
るカルボキシル基および/または二塩基酸無水物基を有
するα,β−不飽和ビニルモノマーとしては、例えば、
メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香
酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン
酸等の一塩基酸または二塩基酸ビニルモノマー類、β−
カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキ
シプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリ
ロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)アク
リロキシエチルアシッドマレエート、β−(メタ)アク
リロキシエチルアシッドフタレート、β−(メタ)アク
リロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、β−
(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒド
ロフタレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルアシ
ッドサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラク
トンの開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラ
クセルF単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水
酸基を無水コハク酸、無水フタル酸、あるいは無水ヘキ
サヒドロフタル酸でエステル化して末端にカルボキシル
基を導入したコハク酸モノエステル、フタル酸モノエス
テル、あるいは無水ヘキサヒドロフタル酸モノエステル
等のカプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリル酸
エステルと二塩基酸無水物のモノエステル反応生成物等
の長鎖カルボキシル基含有ビニルモノマー類、無水イタ
コン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、2,3−
ジメチル無水マレイン酸等の二塩基酸無水物基含有ビニ
ルモノマー、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエ
チル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチ
ル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イ
タコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、イタコ
ン酸モノ2−エチルヘキシル、フマール酸モノメチル、
フマール酸モノエチル、フマール酸モノブチル、フマー
ル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等の二塩基
酸または二塩基酸無水物ビニルモノマーのモノエステル
化物類等が挙げられる。これらは必要に応じて単独であ
るいは2種以上を併用して使用することができるが、本
発明のクリヤーコート塗料の貯蔵安定性および反応性を
考慮すると、マレイン酸モノメチル等の二塩基酸または
二塩基酸無水物ビニルモノマーのモノエステル化物類が
好ましい。
【0029】また、二塩基酸無水物基を有するα,β−
不飽和ビニルモノマーを含む重合性ビニルモノマーを重
合後、酸無水物基をアルカノールでモノエステル化させ
ることによりカルボキシル基、または、カルボキシル基
および二塩基酸無水物基を有するアクリル系共重合体
(Ca)を得ることができる。この場合に用いられるア
ルカノールとしては、例えば、メタノール、エタノー
ル、i−プロパノール、t−ブタノール、i−ブタノー
ル、n−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタ
ノール、アセトール、プロパルギルアルコール、アリル
アルコール等が挙げられる。モノエステル化は、通常の
方法により、必要に応じテトラブチルアンモニウムブロ
マイド等の第4級アンモニウム塩類やトリエチルアミン
等の第3級アミン類等の反応触媒を併用して行うことが
できる。
【0030】カルボキシル基および/または二塩基酸無
水物基を有するアクリル系共重合体(Ca)に使用され
るその他の重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、
Sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリ
ル酸エステル類、スチレン、ビニルトルエン等のスチレ
ン誘導体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メトキシメチルア
クリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、
N−エトキシメチルアクリルアミド、N−プロポキシメ
チルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミ
ド等のN−アルコキシアルキル置換アミド基を有するビ
ニルモノマー類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和
塩基性ビニルモノマー類等が挙げられ、これらは必要に
応じて単独であるいは二種以上を併用して使用すること
ができる。
【0031】また、二塩基酸無水物基を有するα,β−
不飽和ビニルモノマーを含まない重合性ビニルモノマー
混合物を重合させることにより上記カルボキシル基およ
び/または二塩基酸無水物基を有するアクリル系共重合
体(Ca)を得ることができ、この場合には2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等
のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレートへのγ
−ブチロラクトン開環付加物、2−ヒドロキシエチルア
クリレートへのε−カプロラクトン開環付加物、メタク
リル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、メタクリル
酸へのプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端
に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、4−
ヒドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシスチ
レン等の他の水酸基含有ビニルモノマー類等の水酸基を
有するビニルモノマーを併用することもできる。これら
は、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使
用することができる。
【0032】カルボキシル基および/または二塩基酸無
水物基を有するアクリル系共重合体(Ca)は、重量平
均分子量が、3,000〜50,000の範囲であるこ
とが好ましい。これは、アクリル系共重合体(Ca)の
重量平均分子量が3,000未満であると耐溶剤性およ
び耐候性が低下する傾向にあり、50,000を越える
と樹脂溶液の粘度が高くなるため塗料固形分が低くなる
とともに塗膜の外観が低下する傾向にあるためである。
より好ましくは3,500〜30,000、さらに好ま
しくは4,000〜20,000の範囲である。
【0033】クリヤーコート塗料に使用されるエポキシ
基を有する化合物(D)としては、例えば、ジグリシジ
ルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロ
フタレート等のグリシジルエステル系エポキシ化合物、
ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリ
トールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパ
ンポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール
ジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコール
グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系エポキシ
化合物、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジ
ペート等の環状脂肪族エポキシ化合物、またはエポキシ
基を有するアクリル系共重合体(Da)等が挙げられ、
これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を併用し
て使用することができるが、中でもエポキシ基を有する
アクリル系共重合体(Da)が好ましい。
【0034】上記のエポキシ基を有するアクリル系共重
合体(Da)は、エポキシ基を有するα,β−不飽和ビ
ニルモノマーを含む重合性ビニルモノマーを重合させて
得られるものであり、そのエポキシ当量が200〜15
00g/eqの範囲であることが好ましい。これは、アク
リル系共重合体(Da)のエポキシ当量が1500g/
eqを越えると硬化性が不足するために塗膜の硬度や耐溶
剤性が低下し、200g/eq未満では被覆組成物が増粘
したり、ゲル化しやすくなるためである。好ましくは2
50〜700g/eq、さらに好ましくは280〜600
g/eqの範囲である。エポキシ基を有するアクリル系共
重合体(Da)に使用されるエポキシ基を有するα,β
−不飽和ビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル
(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アク
リレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、
これらは、必要に応じて単独であるいは2種以上を併用
して使用することができる。これらのエポキシ基含有単
量体の使用量は、アクリル系共重合体(Da)のエポキ
シ当量が200〜1500g/eqの範囲となるように、
例えば、10〜60重量%の範囲であることが好まし
い。これは、エポキシ基含有単量体の使用量が10重量
%未満では硬化性が不足するために塗膜の硬度や耐溶剤
性が低下し、60重量%を越えると被覆組成物が増粘し
たり、ゲル化しやすくなるためである。
【0035】エポキシ基を有するアクリル系共重合体
(Da)に使用されるその他の重合性ビニルモノマーと
しては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、Sec−ブチル(メタ)アクリレー
ト、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート等の炭化水素置換基を有する
(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ビニルトル
エン等のスチレン誘導体類、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタ
クリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N
−プロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチ
ルアクリルアミド等のN−アルコキシアルキル置換アミ
ド基を有するビニルモノマー類、酢酸ビニル等のビニル
エステル類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエ
チレン性不飽和塩基性ビニルモノマー類、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の
ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エス
テル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレートへのγ−
ブチロラクトン開環付加物、2−ヒドロキシエチルアク
リレートへのε−カプロラクトン開環付加物、メタクリ
ル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、メタクリル酸
へのプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端に
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒ
ドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレ
ン等の他の水酸基含有ビニルモノマー類等の水酸基を有
するビニルモノマー類等が挙げられる。これらは、必要
に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用するこ
とができる。
【0036】エポキシ基を有するアクリル系共重合体
(Da)は、重量平均分子量が1,000〜50,00
0の範囲であることが好ましい。これは、アクリル系共
重合体(Da)の重量平均分子量が1,000未満であ
ると耐溶剤性および耐候性が低下する傾向にあり、5
0,000を越えると樹脂溶液の粘度が高くなるため塗
料固形分が低くなるとともに塗膜の外観が低下する傾向
にあるためである。好ましくは3,000〜30,00
0、さらに好ましくは4,000〜20,000の範囲
である。
【0037】また、(メタ)アクリル系共重合体(D
a)は、上記に例示した水酸基を有するビニルモノマー
を併用して、水酸基価(アクリル系共重合体1gに含ま
れる水酸基と同モルの水酸化カリウムのmg数)が、20
〜150mgKOH /gの範囲のものとすることが好まし
い。これは、アクリル系共重合体(Da)の水酸基価が
20mgKOH /g未満であると塗膜のノンサンドリコート
性が低下し、150mgKOH/gを越えると塗膜の耐水性
が低下する傾向にあるためである。好ましくは、40〜
140mgKOH /g、さらに好ましくは45〜130mgKO
H /gの範囲である。
【0038】上記のアクリル系共重合体(Ca)および
(Da)は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等の
既知の重合法により製造することができるが、溶液重合
法により製造するのが好ましい。溶液重合法により上記
アクリル系共重合体を製造する場合には、有機溶剤およ
び重合開始剤の存在下にα,β−不飽和ビニルモノマー
混合物を共重合させる。有機溶剤としては、トルエン、
キシレンのような芳香族系炭化水素類、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸
エチル、酢酸n−ブチルのようなエステル類、イソプロ
パノール、n−ブタノールのようなアルコール類等の一
般的なものを選択できる。重合開始剤としては、2,2
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビ
ス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、
クメンヒドロペルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ
−t−ブチルパーオキシド等の通常用いられる重合開始
剤から選択できる。また、必要に応じて2−メルカプト
エタノール、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシル
メルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移
動剤を使用することができる。
【0039】溶液重合法で(メタ)アクリル系共重合体
を製造する場合、一般的には、分子量をコントロールす
るため、70〜160℃の範囲で重合を行うことが好ま
しく、より好ましくは80〜140℃の範囲である。本
発明においてクリヤーコート塗料に使用される熱硬化性
樹脂組成物は、カルボキシル基および/または二塩基酸
無水物基を有する化合物(C)を10〜90重量%およ
びエポキシ基を有する化合物(D)を10〜90重量%
の範囲で含有し、また化合物(C)および化合物(D)
の合計量を50〜100重量%の範囲で含有するもので
あるのが好ましい。これは、化合物(C)および化合物
(D)の合計量が50重量%未満ではクリヤーコート塗
料の耐酸性が低下したり、架橋密度が低下して塗膜の耐
候性、耐水性等が低下する傾向にあるためである。ま
た、熱硬化性樹脂組成物中のカルボキシル基および/ま
たは二塩基酸無水物基を有する化合物(C)とエポキシ
基を有する化合物(D)の配合比率は、化合物(D)中
のエポキシ基1モルに対して、化合物(C)中のカルボ
キシル基および二塩基酸無水物基の合計が0.2〜5モ
ルの範囲になるような比率で配合するのが好ましい。こ
れは、この範囲以外では、未反応の官能基により塗膜の
耐水性、耐候性等が低下する傾向にあるためである。
【0040】クリヤーコート塗料に使用される熱硬化性
被覆組成物には、硬化促進のために触媒を含有させるこ
とができる。硬化触媒としては、酸基とエポキシ基のエ
ステル化反応に用いられる公知のものであってよく、有
機アミン、有機金属化合物、金属キレート、4級アンモ
ニウム塩類、4級ホスホニウム塩類等を挙げることがで
きる。
【0041】また、塗料の安定性を向上させるために、
必要に応じて、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸等のスルホン酸系化合物や、モノアルキ
ルリン酸、ジアルキルリン酸等のリン酸系化合物に代表
される酸性化合物を添加することができる。クリヤーコ
ート塗料に使用される熱硬化性樹脂組成物中には、塗膜
外観や架橋密度の向上のために、必要に応じて、一般の
塗料組成物に用いられるアクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂など
を1種以上混合できる。これらは、被覆組成物の貯蔵安
定性や塗膜性能を損なわない程度に適量添加することが
できるが、添加量としては、化合物(C)および化合物
(D)の合計量に対して20重量%以下が好ましい。こ
れは、添加量が20重量%を越えると塗膜の耐酸性が低
下したり、塗膜が黄変しやすくなる傾向にあるためであ
る。
【0042】さらに、クリヤーコート塗料に使用される
熱硬化性被覆組成物には、必要に応じて、有機ベントナ
イト、架橋重合体粒子、ミクロゲル、ワックス等のよう
なレオロジー調整剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安
定化剤、酸化防止剤、着色顔料、メタリック顔料、体質
顔料等を公知の手段を用いて適宜配合することができ
る。
【0043】本発明の多層塗膜は、上記した各成分を公
知の方法により配合したベースコート塗料およびクリヤ
ーコート塗料を2コート1ベーク方式により重ね塗り
し、加熱硬化させることにより形成される。代表的な形
成方法としては、次のような方法が例示できる。リン酸
亜鉛処理された鋼板に自動車用カチオン電着塗料を塗装
し、140〜220℃の温度範囲で10〜60分間焼き
付け、さらにアミノアルキッド樹脂系の中塗り塗料を塗
装し、120〜200℃の温度範囲で10〜60分間焼
き付けた後、塗膜を水研し、乾燥させる。この塗膜上
に、まず20℃での粘度がフォードカップNo.4で10
〜20秒の範囲内となるように調整したベースコート塗
料を乾燥膜厚が10〜30μmとなるように塗装し、室
温で1〜30分間放置した後、20℃での粘度がフォー
ドカップNo.4で15〜40秒の範囲内となるように調
整したクリヤーコート塗料を乾燥膜厚が10〜60μm
となるようにウェットオンウェット方式で重ね塗りす
る。未乾燥の重ね塗り塗膜を室温で1〜60分間放置
後、100〜180℃の範囲で10〜60分間焼き付け
る。このようにして、耐酸性およびウェットオンウェッ
ト性に優れた2コート1ベーク方式による多層塗膜を形
成することができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。例中の部および%は、全て重量基準である。な
お、例中で用いる共重合体の物性の定義は以下のとおり
である。 不揮発分 :1gのレジンをアルミ皿上にサンプリングし、150℃ で1時間乾燥させたときの不揮発分の比率 酸価 :樹脂1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数 水酸基価 :樹脂1gに含まれる水酸基と同モルの水酸化カリウムの mg数 酸当量 :1グラム当量の酸基を含む樹脂のグラム数 エポキシ当量 :1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数 重量平均分子量 :ポリスチレンを基準としてゲルパーミュエーションクロ マトグラフィーで測定 また、塗料性能の定義は以下のとおりである。
【0045】ベース塗料の貯蔵安定性:酢酸エチル/ト
ルエン/ソルベッソ#150(エッソ社製、芳香族炭化
水素)=40/30/30(重量%)からなる混合溶剤
で希釈し、フォードカップNo. 4で13秒(20℃)に
調整した塗料を30℃で72時間処理し、目視判定し
た。
【0046】クリヤー塗料の貯蔵安定性:ソルベッソ#
100(エッソ社製、芳香族炭化水素)/セロソルプア
セテート=50/50(重量%)からなる混合溶剤で希
釈し、フォードカップNo. 4で30秒(20℃)に調整
した塗料を30℃で72時間処理し、目視判定した。
【0047】上記貯蔵安定性の目視判定の基準は以下に
よった。 ◎:変化無し。 ○:僅かに増粘。実用上問題なし。 △:増粘。実用上問題あり。 ×:著しく増粘、またはゲル化。
【0048】また、塗膜性能の定義は以下のとおりであ
る。 目視外観 :ツヤ感、平滑性を中心に目視判定 光沢 :スガ試験機(株)製のデジタル変角光沢計UGV−5D を用いて測定(60°G) 硬度 :三菱鉛筆ユニ使用(45°の角度で塗膜を引っかいて硬 度を測定) 耐酸性 :10重量%硫酸水溶液0.3ccを塗面にスポットし、5 0℃で1時間放置後水洗し、スポット跡を目視判定 耐水性 :40℃の温水に10日間浸漬後、外観を目視判定 耐溶剤性 :日石レギュラーガソリンに室温で24時間浸漬後、外観 を目視判定 耐候性 :スガ試験機(株)製のサンシャインウェザーメーターで 2000時間曝露した後の塗膜の外観を目視判定 上記目視判定の基準は以下によった。
【0049】 ◎:非常に良好、優れた塗膜性能を維持していると判定 ○:良好、実用性能を十分有していると判定 △:不良、実用上問題があると判定 ×:極めて不良、実用上使用不可能と判定 (1)ベースコート塗料用アクリル系共重合体A−1〜
A−4およびA−7の合成 攪拌機、温度制御装置およびコンデンサーを備えた容器
に表1に記載の溶剤を加え、撹拌しながら110℃に加
熱した。その後、表1記載の組成の溶剤、ビニルモノマ
ーおよび重合開始剤の混合物を溶剤中に4時間にわたっ
て滴下し、さらに容器の内温を100℃に保持し、樹脂
への転化率を十分に高めたところで反応を終了させ、ベ
ースコート用アクリル系共重合体A−1〜A−4および
A−7を合成した。得られたアクリル系共重合体A−1
〜A−4およびA−7の樹脂溶液の特性値を表1に示し
た。 (2)ベースコート塗料用アクリル系共重合体A−5、
A−6およびA−8の合成 攪拌機、温度制御装置およびコンデンサーを備えた容器
に表1に記載の溶剤を加え、撹拌しながら110℃に加
熱した。その後、表1記載の組成の溶剤、ビニルモノマ
ーおよび重合開始剤の混合物を溶剤中に4時間にわたっ
て滴下し、さらに容器の内温を100℃に保持し、樹脂
への転化率を充分に高めた。その後容器の内温を80℃
に低下させ、さらに表1記載のメタノールとトリエチル
アミンの混合物を加え、80℃で7時間反応させて、酸
無水物基の消失をIRで確認して反応を終了させ、アク
リル系共重合体A−5、A−6およびA−8を合成し
た。得られたアクリル系共重合体A−5、A−6および
A−8の樹脂溶液の特性値を表1に示した。 (3)ベースコート塗料用アクリル系共重合体M−1の
合成 攪拌機、温度制御装置およびコンデンサーを備えた容器
に表1に記載の溶剤を加え、撹拌しながら110℃に加
熱した。その後、表1記載の組成の溶剤、ビニルモノマ
ーおよび重合開始剤の混合物を溶剤中に4時間にわたっ
て滴下し、さらに容器の内温を100℃に保持し、樹脂
への転化率を十分に高めたところで反応を終了させ、ベ
ースコート用アクリル系共重合体M−1を合成した。得
られたアクリル系共重合体M−1の樹脂溶液の特性値を
表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】(表中に記載の溶剤、ビニルモノマーおよ
び重合開始剤の数字はすべて重量基準である。) (4)ベースコート塗料用アクリル系共重合体B−1〜
B−6の合成 攪拌機、温度制御装置およびコンデンサーを備えた容器
に表2に記載の溶剤を加え、撹拌しながら110℃に加
熱した。その後、表2記載の組成のビニルモノマーおよ
び重合開始剤の混合物を溶剤中に4時間にわたって滴下
し、さらに容器の内温を100℃で保持し、樹脂への転
化率を十分に高めたところで反応を終了させ、ベースコ
ート用アクリル系共重合体B−1〜B−6を合成した。
得られたアクリル系共重合体B−1〜B−6の樹脂溶液
の特性値を表2に示した。
【0052】
【表2】
【0053】(表中に記載の溶剤、ビニルモノマーおよ
び重合開始剤の数字はすべて重量基準である。) (5)クリヤーコート塗料用アクリル系共重合体Ca−
1の合成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーおよび窒素導入管
を備えた容器に窒素を吹き込みながら表3に記載の溶剤
を加え、撹拌しながら120℃に加熱した。その後、表
3記載の組成の溶剤、ビニルモノマーおよび重合開始剤
の混合物を溶剤中に4時間にわたって滴下し、さらに容
器の内温を100℃に保持し、樹脂への転化率を充分に
高めたところで反応を終了させ、アクリル系共重合体C
a−1を合成した。得られたアクリル系共重合体Ca−
1の樹脂溶液の特性値を表3に示した。 (6)クリヤーコート塗料用アクリル系共重合体Ca−
2の合成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーおよび窒素導入管
を備えた容器に窒素を吹き込みながら表3に記載の溶剤
を加え、撹拌しながら120℃に加熱した。その後、表
2記載の組成の溶剤、ビニルモノマーおよび重合開始剤
の混合物を溶剤中に4時間にわたって滴下し、さらに容
器の内温を100℃に保持し、樹脂への転化率を充分に
高めた。その後容器の内温を80℃に低下させ、さらに
表3記載のメタノールとトリエチルアミンの混合物を加
え、80℃で7時間反応させて、酸無水物基の消失をI
Rで確認して反応を終了させ、アクリル系共重合体Ca
−2を合成した。得られたアクリル系共重合体Ca−2
の樹脂溶液の特性値を表3に示した。 (7)クリヤーコート塗料用アクリル系共重合体N−1
の合成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーおよび窒素導入管
を備えた容器に窒素を吹き込みながら表3に記載の溶剤
を加え、撹拌しながら120℃に加熱した。その後、表
3記載の組成の溶剤、ビニルモノマーおよび重合開始剤
の混合物を溶剤中に4時間にわたって滴下し、さらに容
器の内温を100℃に保持し、樹脂への転化率を充分に
高めたところで反応を終了させ、アクリル系共重合体N
−1を合成した。得られたアクリル系共重合体N−1の
樹脂溶液の特性値を表3に示した。
【0054】
【表3】
【0055】(表中に記載の溶剤、ビニルモノマーおよ
び重合開始剤の数字はすべて重量基準である。) *1)エッソ社製、芳香族炭化水素 (8)クリヤーコート塗料用アクリル系共重合体Da−
1の合成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーおよび窒素導入管
を備えた容器に窒素を吹き込みながら表4に記載の溶剤
を加え、撹拌しながら120℃に加熱した。その後、表
4記載の組成のビニルモノマーおよび重合開始剤の混合
物を溶剤中に4時間にわたり滴下し、さらに容器の内温
を100℃に保持し、樹脂への転化率を充分に高めたと
ころで反応を終了させ、アクリル系共重合体Da−1を
合成した。得られたアクリル系共重合体Da−1の樹脂
溶液の特性値を表4に示した。
【0056】
【表4】
【0057】(表中に記載の溶剤、ビニルモノマーおよ
び重合開始剤の数字はすべて重量基準である。) *1)エッソ社製、芳香族炭化水素 (9)ベースコート塗料PB−1〜PB−19の調製 表1および表2に記載のアクリル系共重合体を表5に記
載の割合で配合し、撹拌混合後、酢酸エチル/トルエン
/ソルベッソ#150(エッソ社製、芳香族炭化水素)
=40/30/30(重量%)からなる混合溶剤で希釈
し、ベースコート塗料組成物の粘度をフォードカップN
o.4で13秒(20℃)となるように調整し、ベース
コート塗料PB−1〜PB−19を得た。
【0058】
【表5】
【0059】(表中に記載の数字はすべて固形分基準で
ある。) *1)硬化触媒:ベンジルトリブチルアンモニウムクロ
リド *2)東洋アルミニウム(株)製、アルミニウムペース
ト(不揮発分65%) *3)三井東圧化学(株)製、ブチル化メラミン樹脂
(不揮発分60%) (10)クリヤーコート塗料PC−1〜PC−5の調製 表3および表4に記載のアクリル系共重合体を表6に記
載の割合で配合し、撹拌混合後、ソルベッソ#100/
セロソルブアセテート=50/50(重量%)からなる
混合溶剤で希釈し、クリヤーコート塗料組成物の粘度を
フォードカップNo.4で25秒(測定温度20℃)とな
るように調整し、クリヤーコート塗料PC−1〜PC−
5を得た。
【0060】
【表6】
【0061】(表中に記載の数字はすべて固形分基準で
ある。) *1)ナガセ化成(株)製、脂肪族エポキシ樹脂(固形
分100%) *2)硬化触媒:ベンジルトリブチルアンモニウムクロ
リド *3)チバガイギー社製、紫外線吸収剤 *4)三共(株)製、光安定化剤 *5)モンサント社製、アクリル系表面調整剤 *6)三井東圧化学(株)製、ブチル化メラミン樹脂
(不揮発分60%) 実施例1〜9および比較例1〜14 リン酸亜鉛処理された鋼板(30cm×45cm)に自動車
用カチオン電着塗料を塗装し、180℃で30分間焼き
付けた。さらに、アミノアルキッド樹脂系の中塗り塗料
を塗装し、160℃で30分間焼き付けた後、塗膜を水
研し、乾燥させた。この塗膜上に、表7および表8に記
載の組み合わせで、まずベースコート塗料を乾燥膜厚が
15μmとなるように塗装し、15分間放置した後、ク
リヤーコート用塗料を乾燥膜厚が30μmとなるように
ウェットオンウェット方式で重ね塗りした。未乾燥の重
ね塗り塗膜を常温で15分間放置後、140℃の熱風乾
燥機で30分間焼き付けて、2コート1ベーク方式によ
る多層塗膜を形成した。得られた多層塗膜の塗膜性能を
表7および表8に示した。
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】本発明の実施例1〜9の多層塗膜は、優れ
たウェットオンウェット性に起因する良好な光沢、塗膜
外観および優れた耐酸性を有し、その他の塗膜性能も優
れていた。これに対して、本発明で規定する条件を満た
さない比較例1〜14の多層塗膜は耐酸性、ウェットオ
ンウェット性等が低位なものであった。
【0065】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明によれば、光沢性、塗膜性能および美粧性を損なう
ことなく、耐酸性およびウェットオンウェット性に優れ
た多層塗膜の提供が可能であり、工業上非常に有益であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 135/00 PFW C09D 135/00 PFW 163/00 PJQ 163/00 PJQ (72)発明者 堀田 一彦 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 岩瀬 国男 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 竹内 浩史 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタリック粉末、マイカ等の光輝材およ
    び/または着色剤を配合したベースコート塗料を塗装
    し、加熱硬化させることなしにクリヤーコート塗料を重
    ね塗りした後、同時に加熱硬化させて塗膜を得る2コー
    ト1ベーク塗装方法により形成された多層塗膜であっ
    て、(1)ベースコート塗料が、1分子中にカルボキシ
    ル基および/または二塩基酸無水物基を少なくとも2個
    有し、酸価が30〜150mgKOH /gの範囲であるアク
    リル系共重合体(A)および1分子中にエポキシ基を少
    なくとも2個有し、エポキシ当量が400〜1500g
    /eqの範囲であるアクリル系共重合体(B)の2成分を
    含有し、アクリル系共重合体(A)およびアクリル系共
    重合体(B)の合計の樹脂固形分含有率が10〜50重
    量%である熱硬化性樹脂組成物からなり、(2)クリヤ
    ーコート塗料が、カルボキシル基および/または二塩基
    酸無水物基を有する化合物(C)および1分子中にエポ
    キシ基を少なくとも2個有する化合物(D)の2成分を
    含有する熱硬化性樹脂組成物からなる、多層塗膜。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005290128A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Kyoeisha Chem Co Ltd 熱硬化被膜形成組成物用の表面調整剤
CN103725143A (zh) * 2013-12-13 2014-04-16 中昊北方涂料工业研究设计院有限公司 一种防潮涂料

Cited By (3)

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JP2005290128A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Kyoeisha Chem Co Ltd 熱硬化被膜形成組成物用の表面調整剤
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