JPH09131181A - 変異型dnaポリメラーゼ - Google Patents
変異型dnaポリメラーゼInfo
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- JPH09131181A JPH09131181A JP7317017A JP31701795A JPH09131181A JP H09131181 A JPH09131181 A JP H09131181A JP 7317017 A JP7317017 A JP 7317017A JP 31701795 A JP31701795 A JP 31701795A JP H09131181 A JPH09131181 A JP H09131181A
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Abstract
持し、5' →3' エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変
異型DNAポリメラーゼ、及びその遺伝子と遺伝子工学
的製造方法を提供する。 【解決手段】 配列番号1に示されるアミノ酸配列(8
77)のうち、184番目及び/又は192番目のグリ
シンがそれ以外のアミノ酸に置換されている5'→3'
エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異型DNAポリメ
ラーゼ。それをコードする変異型DNAポリメラーゼ遺
伝子。該遺伝子を含有させた形質転換体の培養による上
記酵素の製造方法。
Description
として有用な5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失
した変異型DNAポリメラーゼ、該酵素をコードする遺
伝子、及び該遺伝子を用いたDNAポリメラーゼの遺伝
子工学的な製法に関する。
に使用されているDNAポリメラーゼには、大腸菌DN
AポリメラーゼI、その改変型であるクレノウ断片、T
4ファージ由来DNAポリメラーゼ、T7ファージ由来
DNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティカス由来耐
熱性DNAポリメラーゼ〔タック(Taq )ポリメラー
ゼ〕等がある。これらの酵素は、それらが有する性質に
応じて、特定のDNAの標識化やDNA塩基配列の決定
などにそれぞれ利用されている。
ーゼはその起源によって異なった特性を有しており、そ
の特性を生かした利用法がある。例えばバチルス・カル
ドテナクス(Bacillus caldotenax )は生育至適温度が
約70℃である好熱性細菌であり、この細菌由来のDN
Aポリメラーゼは高温においても高い安定性を示すこと
から、遺伝子工学用研究試薬として使用されている。ま
た、該酵素はDNAポリメラーゼ活性のほか、5’→
3’、及び3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有して
いるが、その用途のほとんどにおいて5’→3’エキソ
ヌクレアーゼ活性の存在は望ましくなく、この活性を失
った変異型酵素が使用されている。しかしながらこの変
異型酵素は、該酵素をコードする遺伝子より5’→3’
エキソヌクレアーゼ活性情報部分を欠失させることによ
って生産されるため、野生型の酵素とはそのタンパク質
としての構造が異なっている。本発明の目的は、野生型
のDNAポリメラーゼと同じ構造を保持しながら、望ま
しくない5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した
変異型DNAポリメラーゼ、及びその遺伝子と遺伝子工
学的製造方法を提供することにある。
発明の第1の発明は5’→3’エキソヌクレアーゼ活性
を欠失した変異型DNAポリメラーゼに関する発明であ
って、配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列中、
184番目のグリシン及び/又は192番目のグリシン
がそれ以外のアミノ酸に置換されていることを特徴と
し、とりわけ配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配
列中の184番目のグリシンがアスパラギン酸で置換さ
れているか、あるいは配列表の配列番号1で表されるア
ミノ酸配列中の192番目のグリシンがアスパラギン酸
で置換されていることを特徴とする。また、本発明の第
2の発明は変異型DNAポリメラーゼ遺伝子に関する発
明であって、該遺伝子が第1の発明の変異型DNAポリ
メラーゼをコードすることを特徴とし、とりわけ配列表
の配列番号2、あるいは配列表の配列番号3で表される
塩基配列を有することを特徴とする。また、本発明の第
3の発明は変異型DNAポリメラーゼの製造方法に関す
る発明であって、第2の発明の変異型DNAポリメラー
ゼ遺伝子を含有させた形質転換体を培養し、該培養物か
ら第1の発明の変異型DNAポリメラーゼを採取するこ
とを特徴とする。
のアミノ酸残基を他のものに置換することにより、酵素
タンパクの全体の構造を損なうことなくその活性を欠失
させることは可能と考えられる。しかしながらバチルス
・カルドテナクス由来DNAポリメラーゼの5’→3’
エキソヌクレアーゼ活性に関しては活性に必須のアミノ
酸残基が確認されていないため、該方法を直接適用する
ことはできない。本発明者らは鋭意研究の結果、該酵素
のN−末端より184番目のグリシン、又は192番目
のグリシンが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性に必須
であることを見出し、更に上記のグリシンが他のアミノ
酸に置換された変異型DNAポリメラーゼを作製し、本
発明を完成させた。
る。本発明に使用する菌株としてはDNAポリメラーゼ
を生産する菌株であれば何でもよく、例としてバチルス
・カルドテナクスYT−G株〔ドイッチェ ザムルンク
フォン ミクロオルガニスメン(Deutsche Sammlung
von Mikroorganismen )の保存菌株:DSM406〕が
ある。バチルス・カルドテナクス由来のDNAポリメラ
ーゼ遺伝子は既に石野らによって単離されている〔ジャ
ーナル オブ バイオケミストリー(J. Biochem. )、
第113巻、第401〜410頁(1993)〕。ま
た、該遺伝子を含有するプラスミドpUI101で形質
転換された大腸菌HB101は Escherichia coli HB
101/pUI101と命名、表示され、通商産業省工
業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM
BP−3721として寄託されている。該DNAポリメ
ラーゼのアミノ酸配列を配列表の配列番号1に、また該
アミノ酸配列をコードするプラスミドpUI101中の
DNAポリメラーゼ遺伝子の塩基配列を配列表の配列番
号4に示す。既知の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性
を欠く変異型DNAポリメラーゼとしては、野生型のバ
チルス・カルドテナクス由来DNAポリメラーゼのN末
端より284番目のアミノ酸までの領域を欠失した変異
型DNAポリメラーゼが知られている〔ジャーナル オ
ブ バイオケミストリー、第113巻、第401〜41
0頁(1993)〕。したがって、バチルス・カルドテ
ナクス由来DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌク
レアーゼ活性に重要なアミノ酸残基は該変異型酵素に欠
失した領域に存在することが予想される。そこで、配列
表の配列番号1に示した野生型のバチルス・カルドテナ
クス由来DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、アミノ
酸番号1番から284番までの領域に存在するアミノ酸
残基のあるものをそれ以外のアミノ酸残基に置換するこ
とにより、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を失った
変異型DNAポリメラーゼを得ることが期待される。
としてはいくつかの部位特異的変異導入法が知られてお
り、例えばクンケル(Kunkel,T.A. )の方法が利用でき
る〔メソッズ イン エンザイモロジー(Methods in E
nzymology )、第154巻、第367〜389頁(19
87)〕。該方法は合成オリゴヌクレオチドを使用して
タンパク質をコードする遺伝子上に変異を導入する方法
である。表1に本発明で導入を試みたアミノ酸置換とそ
れに用いた合成オリゴヌクレオチド、及びその塩基配列
を示す。
れ合成オリゴヌクレオチドD59A、Y73A、Y73
F、G148D、D185A、D188A、G192
D、及びE198Aの塩基配列を示す。各合成オリゴヌ
クレオチドの名称はそれによって導入されるアミノ酸置
換を示しており、例えばD59Aは59番目のアスパラ
ギン酸をアラニンに置換するための合成オリゴヌクレオ
チドである。
ラスミドpUI101に組込まれた野生型のバチルス・
カルドテナクス由来DNAポリメラーゼ遺伝子を含むD
NA断片を適当なベクターにサブクローニングした上、
dU(デオキシウリジン)を含む一本鎖DNAを調製し
て作製することができる。次に該鋳型DNAと上記の合
成オリゴヌクレオチドとを用いて該遺伝子上にアミノ酸
置換を導入することができる。変異導入に当ってはミュ
ータンKキット(宝酒造社製)が使用できる。しかしな
がらオリゴヌクレオチドの設計によっては変異導入効率
が悪く、目的の変異が得られない場合がある。また、変
異が導入された場合でも、導入されたアミノ酸置換の種
類によっては発現された変異型タンパク質が宿主に対し
て負荷となって形質転換体が得られなかったり、酵素タ
ンパク質全体の構造が破壊されてDNAポリメラーゼ活
性まで失われてしまう可能性もある。本発明に使用した
合成オリゴヌクレオチドのうち、D185Aを除く7つ
を使用した場合については変異が導入された遺伝子を得
ることができる。これらの遺伝子については通常の方
法、例えばジデオキシ法を用いてその塩基配列を調べ、
目的とする変異が導入できたかどうかを確認することが
できる。
プラスミドで形質転換した適当な微生物を培養し、該培
養物中に発現されるDNAポリメラーゼ活性を調べるこ
とにより、DNAポリメラーゼ活性を発現可能な変異導
入遺伝子を得ることができる。更に、DNAポリメラー
ゼ活性が認められたものについては酵素を精製した上で
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を調べ、目的とする
変異型DNAポリメラーゼを発現する変異導入遺伝子を
得ることができる。ただし導入された変異の種類によっ
ては発現された変異型DNAポリメラーゼの安定性が低
下しているために酵素の精製が困難な場合があり、例え
ば合成オリゴヌクレオチドD59A、Y73A、Y73
Fを用いて作製された変異導入遺伝子によって発現され
る変異型DNAポリメラーゼについては精製酵素標品が
得られない。一方、合成オリゴヌクレオチドG184
D、G192D、E198Aを用いたものでは精製され
た酵素標品を用いて5’→3’エキソヌクレアーゼ活性
を調べることができる。この結果、E198Aを用いた
ものでは野生型酵素の約70%の5’→3’エキソヌク
レアーゼ活性が残存しているのに対し、G184D、G
192Dでは活性が全く認められない。このように、D
NAポリメラーゼ活性を保持し、かつ5’→3’エキソ
ヌクレアーゼ活性を欠失した変異型DNAポリメラーゼ
を発現する2種の変異導入遺伝子を得ることができる。
こうして得られた変異導入遺伝子を組込んだプラスミド
のうち、合成オリゴヌクレオチドG184Dを用いて作
製された、野生型DNAポリメラーゼの184番目に存
在するグリシンがアスパラギン酸に置換された変異型D
NAポリメラーゼをコードする変異導入遺伝子を組込ん
だプラスミドはプラスミドpUIT104と命名され、
該プラスミドで形質転換された大腸菌JM109は Esc
herichia coli JM109/pUIT104と命名され
ている。また、合成オリゴヌクレオチドG192Dを用
いて作製された、野生型DNAポリメラーゼの192番
目に存在するグリシンがアスパラギン酸に置換された変
異型DNAポリメラーゼをコードする変異導入遺伝子を
組込んだプラスミドはプラスミドpUIT106と命名
され、該プラスミドで形質転換された大腸菌JM109
は Escherichia coli JM109/pUIT106と命
名されている。プラスミドpUIT104、及びプラス
ミドpUIT106に組込まれた変異型DNAポリメラ
ーゼ遺伝子の塩基配列を、それぞれ配列表の配列番号
2、及び配列番号3に示す。
した変異型DNAポリメラーゼは上記の変異導入遺伝子
を組込んだプラスミドで形質転換した形質転換体、例え
ば Escherichia coli JM109/pUIT104、あ
るいは Escherichia coli JM109/pUIT106
を通常の培地、例えば100μg/mlのアンピシリンを含
むLB培地(トリプトン10g/リットル、酵母エキス
5g/リットル、NaCl 5g/リットル、pH7.
2)中、37℃で培養することにより、その菌体内に発
現させることができる。次に、得られた培養菌体に適当
な精製操作を施すことによって精製された変異型DNA
ポリメラーゼ標品を得ることができる。こうして得られ
た変異型DNAポリメラーゼは、SDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により、野生
型DNAポリメラーゼと同じ約10万の分子量を示す。
また、該標品について各種酵素活性を測定することによ
り、該変異型酵素がDNAポリメラーゼ活性、3’→
5’エキソヌクレアーゼ活性を保持しているが、5’→
3’エキソヌクレアーゼ活性は失っていることを確かめ
ることができる。
来DNAポリメラーゼのアミノ酸配列中、184番目の
グリシン、あるいは192番目のグリシンをそれ以外の
アミノ酸残基に変換することにより、該酵素の5’→
3’エキソヌクレアーゼ活性を選択的に欠失させた変異
型DNAポリメラーゼが得られることが明らかとなっ
た。上記の2種類のアミノ酸残基は5’→3’エキソヌ
クレアーゼ活性には必須であるが、DNAポリメラーゼ
活性、及び酵素タンパクの安定性に関しては重要な役割
を果たしてはいない。したがって変異型酵素の作製に当
ってはこれらのアミノ酸残基の位置に導入されるアミノ
酸には特に制限はなく、置換の結果5’→3’エキソヌ
クレアーゼ活性が選択的に欠失されるものであればよ
い。該変異型酵素は野生型酵素の構造を保持し、かつ望
ましくない5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失し
ており、遺伝子工学研究用試薬として有用である。更
に、該変異型酵素をコードする遺伝子が得られたことに
より該変異型酵素の遺伝子工学的生産が可能となった。
れらの実施例に限定されるものではない。
M BP−3721)を培養し、培養菌体よりバチルス
・カルドテナクス由来のDNAポリメラーゼ遺伝子を含
有するプラスミドpUI101を調製した。得られたプ
ラスミドをNcoIで消化した後、アガロースゲル電気
泳動を行い、分離された約3.3KbのDNA断片を単離
した。このDNA断片の末端をDNAブランティングキ
ット(宝酒造社製)を用いて平滑化し、先にHincII
(宝酒造社製)で消化しておいたプラスミドベクターp
TV118Nと混合してライゲーションを行った。ライ
ゲーション反応液の一部を用いて大腸菌JM109を形
質転換して得られる形質転換体よりプラスミドを調製
し、DNAポリメラーゼ遺伝子の5’−側がプラスミド
ベクター上のlacプロモーター下流に位置しているも
のを選び、これをプラスミドpUI102と命名した。
次に、プラスミドpUI102をNcoIで部分消化
し、DNAブランティングキットを用いて末端を平滑化
した後、セルフライゲーション反応を行って大腸菌JM
109を形質転換した。得られた形質転換体よりプラス
ミドを調製し、DNAポリメラーゼ遺伝子の3’−末端
側のNcoIサイトのみが失われたものを選び、これを
プラスミドpUI103と命名した。プラスミドpUI
103の構築の工程を図1に示す。変異導入の鋳型とな
るdU(デオキシウリジン)を含む一本鎖DNAは以下
のようにして調製した。プラスミドpUI103で大腸
菌CJ236(宝酒造社製)を形質転換し、得られた形
質転換体を150μg/mlのアンピシリンと30μg/mlの
クロラムフェニコールを含む2×TY培地(トリプトン
16g/リットル、酵母エキス10g/リットル、Na
Cl 5g/リットル、pH7.6)中で培養した。培養
中の適当な時期にヘルパーファージM13KO7(宝酒
造社製)を感染させた後、更に70μg/mlとなるようカ
ナマイシンを添加して培養を継続し、培養終了後の培養
液上清よりファージ粒子を回収した。得られたファージ
粒子についてフェノール、及びフェノール−クロロホル
ムを用いた除タンパク処理を行い、更にエタノール沈殿
を行ってDNAを回収し、これを変異導入実験の鋳型と
した。
所のアミノ酸残基を選び、8種類のアミノ酸置換の導入
を計画した。この変異導入に使用する8種類のオリゴヌ
クレオチド、D59A、Y73A、Y73F、G148
D、D185A、D188A、G192D、およびE1
98Aを化学的に合成した。これらの合成オリゴヌクレ
オチドの塩基配列を、それぞれ配列表の配列番号5〜1
2に示す。実施例1で得られた鋳型DNA、及び上記の
変異導入用合成オリゴヌクレオチドを用いてDNAポリ
メラーゼ遺伝子上へのアミノ酸置換の導入を行った。変
異導入にはミュータンKキット(宝酒造社製)を用い、
キット添付の使用説明書に従って実験操作を行った。変
異導入操作後に得られたプラスミドについてジデオキシ
法による塩基配列の確認を行い、DNAポリメラーゼ遺
伝子上に目的のアミノ酸置換が導入されていることを確
かめた。この結果、D185A以外の合成オリゴヌクレ
オチドを使用したものでは目的通りのアミノ酸置換が起
こった変異導入遺伝子を含むプラスミドが得られた。合
成オリゴヌクレオチド、D59A、Y73A、Y73
F、G148D、D188A、G192D、及びE19
8Aを用いて得られた変異導入遺伝子を含むプラスミド
を、それぞれpUIT101、pUIT102、pUI
T103、pUIT104、pUIT105、pUIT
106、及びpUIT107と命名した。
液の調製 上記の変異導入DNAポリメラーゼ遺伝子を含む組換え
プラスミド、pUIT101、pUIT102、pUI
T103、pUIT104、pUIT105、pUIT
106、及びpUIT107で形質転換された大腸菌J
M109を、それぞれ100μg/mlのアンピシリンを含
むLB培地(トリプトン10g/リットル、酵母エキス
5g/リットル、NaCl 5g/リットル、pH7.
2)中、37℃で培養した。培養液の濁度(A600 )が
0.6の時に誘導物質であるイソプロピル−β−D−チ
オガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、更に15
時間培養を行った。培養液1mlより菌体を集め、50mM
トリス−HCl(pH8.0)、25%スクロース溶液
で洗浄した。同じ溶液に菌体を再懸濁した後、同量のリ
シス溶液〔50mMトリス−HCl(pH7.5)、25
%スクロース、60mMスペルミジン・一塩酸、20mM
NaCl、12mM DTT〕を加え、4℃で45分間静
置した。更に5%(w/v)トリトンX−100(Trit
on X−100)20μl を加え、37℃で5分間静置
した後、遠心分離により上清を回収し、60℃、20分
間静置した後再度遠心分離して上清を回収し、粗抽出液
とした。
6.7mM MgCl2、1mM2−メルカプトエタノー
ル、20μg/ml 活性化DNA、33μM dATP、d
CTP、dGTP、dTTP、60nM〔 3H〕dTTP
を用意し、この溶液150μlに対して適当量の粗抽出
液を加え、60℃、5分間反応させた後、50mMピロリ
ン酸、10%トリクロロ酢酸を1ml加えて反応を停止さ
せた。氷中で5分間静置した後、反応液全量をガラスフ
ィルター上に移し、吸引ろ過した。10%トリクロロ酢
酸で数回洗浄した後、70%エタノールで洗浄し、フィ
ルターを乾燥させて液体シンチレーションカウンターを
用いてフィルター上の放射活性を測定した。組換えプラ
スミド、pUIT101、pUIT102、pUIT1
03、pUIT104、pUIT106、及びpUIT
107で形質転換された大腸菌より得られた粗抽出液に
はDNAポリメラーゼ活性が確認された。
プラスミド、pUIT101、pUIT102、pUI
T103、pUIT104、pUIT106、及びpU
IT107で形質転換された大腸菌JM109を、それ
ぞれ100μg/mlのアンピシリンを含む125mlのLB
培地(トリプトン10g/リットル、酵母エキス5g/
リットル、NaCl 5g/リットル、pH7.2)
中、37℃で15時間培養した。菌体を集めて20mlの
緩衝液A〔50mMトリス−HCl(pH7.6)、2mM
2−メルカプトエタノール、10%グリセリン、4μM
PMSF〕に懸濁した後、超音波処理を行って菌体を破
砕し、遠心分離して上清を集めた。次いで60℃、30
分間の熱処理を行った後、再度遠心分離を行って上清を
集め、これを粗酵素液とした。この粗酵素液についてS
DS−PAGEで分析を行ったところ、プラスミドpU
IT104、pUIT106、及びpUIT107で形
質転換された大腸菌より得られたものでのみ野生型DN
Aポリメラーゼと同じ分子量のタンパクが発現されてい
るのが確認された。野生型DNAポリメラーゼに対する
抗体を用いてウエスタンブロッティングによる分析を行
うと、上記の3種のプラスミド以外で形質転換された大
腸菌由来の粗酵素液では野生型DNAポリメラーゼに比
べて低分子量のタンパクにシグナルが認められており、
これらの形質転換体では発現された変異型DNAポリメ
ラーゼの安定性が低下しているために培養中、あるいは
精製操作の初期段階に酵素タンパクの分解が起こってい
ることが示された。このため、以降の精製操作は上記の
3種類の形質転換体由来の粗酵素液についてのみ実施し
た。粗酵素液に30%飽和となるよう硫安を加え、遠心
分離を行って上清を集めた後、更に80%飽和となるよ
うに硫安を加えた。遠心分離を行って集めた沈殿を緩衝
液B〔50mMトリス−HCl(pH7.0)、2mM2−
メルカプトエタノール、10%グリセリン、4μM PM
SF〕に溶かし、同緩衝液に対して透析を行った後、透
析後の試料をFPLCシステム(ファルマシア社製)を
用いたモノ(Mono)Qカラム(ファルマシア社製)
クロマトグラフィーに供した。カラムは緩衝液Bで平衡
化しておき、0−300mMのNaCl濃度勾配により溶
出を行うとDNAポリメラーゼ活性は約170mM N
aClに相当する画分に回収された。得られたDNAポ
リメラーゼ活性画分を10mMリン酸カリウム(pH6.
8)、7mM2−メルカプトエタノール、50μM CaC
l2 、10%グリセリンで平衡化したハイドロキシルア
パタイトカラム(KBカラム、高研社製)にアプライし
た。吸着した酵素活性は10−800mMリン酸カリウム
の濃度勾配によって溶出し、約420mMリン酸カリウム
に相当する画分に溶出したDNAポリメラーゼ活性を回
収し、これを精製酵素標品とした。このようにして3種
の形質転換体より得られた精製酵素標品は、どれもSD
S−PAGE上で分子量約10万の単一のバンドを示し
た。
ゼ活性の測定 基質としてλ−BstPI消化物(宝酒造社製)を[γ
−32P]ATPとT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒
造社製)で末端標識したものを準備した。67mMリン酸
カリウム(pH7.4)、6.7mM MgCl2 、1mM
2−メルカプトエタノールを含む溶液中に実施例5で得
られた精製酵素標品と上記基質を混合し、60℃で2、
5、10、30分間反応させた後、エタノールを加えて
基質DNAを沈殿させた。この沈殿中に存在する放射活
性を液体シンチレーションカウンターで測定することに
より、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性による分解反
応後にDNAの末端に残存する32Pの量を求めた。ま
た、野生型のバチルス・カルドテナクス由来DNAポリ
メラーゼ、及び野生型のバチルス・カルドテナクス由来
DNAポリメラーゼのN末端より284番目のアミノ酸
までの領域を欠失した変異型DNAポリメラーゼである
BcaBEST DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を
それぞれ上記酵素標品の代りに加えたものについても同
様の測定を行い、これを対照とした。測定の結果を図2
に示す。図中横軸は反応時間(分)を、縦軸はDNAの
末端に残存する放射活性(cpm)を示す。また、図中
白三角、白四角、黒四角はそれぞれプラスミドpUIT
104、pUIT106、及びpUIT107で形質転
換された大腸菌より得られた精製酵素標品について得ら
れた結果を、更に図中白丸、黒丸はそれぞれ野生型のバ
チルス・カルドテナクス由来DNAポリメラーゼ、及び
BcaBEST DNAポリメラーゼについて得られた
結果を示す。図2に示されるように、プラスミドpUI
T107で形質転換された大腸菌より得られた精製酵素
標品では野生型のバチルス・カルドテナクス由来DNA
ポリメラーゼの約70%の5’→3’エキソヌクレアー
ゼ活性が認められるのに対し、プラスミドpUIT10
4、及びpUIT106由来のものではBcaBEST
DNAポリメラーゼと同様に5’→3’エキソヌクレ
アーゼ活性が失われていることが示された。配列表の配
列番号2、及び配列番号3にそれぞれプラスミドpUI
T104、及びpUIT106に含まれる変異型DNA
ポリメラーゼをコードする遺伝子の塩基配列を示す。
り5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を失った新規変異
型DNAポリメラーゼ、及び遺伝子工学的な該酵素の製
造方法が提供される。該酵素は遺伝子工学研究用試薬と
して有用である。
ある。
ヌクレアーゼ活性を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 配列番号1に示されるアミノ酸配列のう
ち、184番目のグリシン及び/又は192番目のグリ
シンがそれ以外のアミノ酸に置換されていることを特徴
とする5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変
異型DNAポリメラーゼ。 - 【請求項2】 配列番号1に示されるアミノ酸配列のう
ち、184番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され
ていることを特徴とする請求項1に記載の変異型DNA
ポリメラーゼ。 - 【請求項3】 配列番号1に示されるアミノ酸配列のう
ち、192番目のグリシンがアスパラギン酸に置換され
ていることを特徴とする請求項1に記載の変異型DNA
ポリメラーゼ。 - 【請求項4】 請求項1に記載の変異型DNAポリメラ
ーゼをコードすることを特徴とする変異型DNAポリメ
ラーゼ遺伝子。 - 【請求項5】 請求項2に記載の変異型DNAポリメラ
ーゼをコードすることを特徴とする請求項4に記載の変
異型DNAポリメラーゼ遺伝子。 - 【請求項6】 配列番号2に示される塩基配列を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の変異型DNAポリメ
ラーゼ遺伝子。 - 【請求項7】 請求項3に記載の変異型DNAポリメラ
ーゼをコードすることを特徴とする請求項4に記載の変
異型DNAポリメラーゼ遺伝子。 - 【請求項8】 配列番号3に示される塩基配列を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の変異型DNAポリメ
ラーゼ遺伝子。 - 【請求項9】 請求項4に記載の変異型DNAポリメラ
ーゼ遺伝子を含有させた形質転換体を培養し、該培養物
から請求項1に記載の変異型DNAポリメラーゼを採取
することを特徴とする変異型DNAポリメラーゼの製造
方法。
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---|---|---|---|
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-
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- 1995-11-13 JP JP31701795A patent/JP3688367B2/ja not_active Expired - Fee Related
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