JPH09129445A - 磁気抵抗効果型ヘッド - Google Patents
磁気抵抗効果型ヘッドInfo
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- JPH09129445A JPH09129445A JP8291735A JP29173596A JPH09129445A JP H09129445 A JPH09129445 A JP H09129445A JP 8291735 A JP8291735 A JP 8291735A JP 29173596 A JP29173596 A JP 29173596A JP H09129445 A JPH09129445 A JP H09129445A
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- H01F10/324—Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
Abstract
ない通常の薄膜形成装置で成膜しても十分に実用化する
ことができる磁気抵抗効果素子を用いた磁気抵抗効果型
ヘッドを提供することを目的とする。 【解決手段】磁気抵抗効果を発現する、非磁性層を介し
て積層された磁性層を具備し、前記磁性層がFe1-x C
ox (0.5≦x<1)で表されるCo合金で構成され
たている磁気抵抗効果素子を備えたことを特徴としてい
る。
Description
発現する、非磁性層を介して積層された磁性層を具備し
た磁気抵抗素子を備えた磁気抵抗効果型ヘッドに関す
る。 【0002】 【従来の技術】磁気抵抗効果は、印加磁界の強度により
抵抗が変化する効果である。このような磁気抵抗効果を
利用した磁気抵抗効果素子は、高感度であり比較的大き
な出力を得ることができるため、磁界センサや磁気ヘッ
ドとして広く利用されている。 【0003】従来、磁気抵抗効果型素子としてはパ−マ
ロイ合金薄膜が広く用いられている。しかし、パ−マロ
イ合金薄膜の磁気抵抗変化率(ΔR/R:Rは無磁場で
の電気抵抗、ΔRはRから飽和磁界印加時の電気抵抗R
S を引いた値)は2〜3%程度であり、十分な感度が得
られないという問題点がある。 【0004】一方、最近、新しい磁気抵抗効果素子とし
て、数オングストロ−ムから数十オングストロ−ムの厚
さの磁性層と非磁性層とを交互に積層させた積層体、い
わゆる人工格子膜が注目されている。このような人工格
子膜としては、(Fe/Cr)n (Phys.Rev.Lett.vol
61(21)(1988)2472)、(パ−マロイ/ Cu/Co/C
u)n (J.Phys.SOC.Jap.vol 59(9)(1990)3061)、(C
o/Cu)n (J.Mag.Mag.Mat.94(1991)L1,Phys.Rev.L
ett.66(1991)2152)が知られている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このような人工格子膜
は従来のパ−マロイ薄膜と比較して格段に大きな磁気抵
抗効果を有する。しかし、十分大きな磁気抵抗効果は、
超高真空蒸着装置(UHV)、分子線エピタキシ−(M
BE)装置など超高真空の処理が可能な装置を用いない
と達成することができず、通常の薄膜形成装置で形成さ
れた場合には、未だ要求を満足するに十分な値が得られ
ていないのが実情である。 【0006】この発明はこのような状況を考慮してなさ
れたものであり、その目的は、大きな磁気抵抗変化率を
有し、超高真空を用いない通常の薄膜形成装置で成膜し
ても十分に実用化することができる磁気抵抗効果素子を
用いた磁気抵抗効果型ヘッド提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するために、磁気抵抗効果を発現する、非磁性層を
介して積層された磁性層を具備し、前記磁性層がFe
1-x Cox (0.5≦x<1)で表されるCo合金で構
成されている磁気抵抗効果素子を備えたことを特徴とす
る磁気抵抗効果型ヘッドを提供する。 【0008】本願発明者らは、上述のいわゆる人工格子
膜を用いてさらに大きい磁気抵抗効果を有する素子を得
るべく研究を重ねた結果、上述の(Co/Cu)n のC
oの一部をFeで置換した場合に、磁気抵抗効果が非常
に大きくなることを見出した。そして、磁場が実質的に
存在しない状態で隣合う磁性層が反強磁性的に結合して
いる場合に一層大きいことを見出したのである。本発明
はこのような知見に基づいてなされたものである。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、この発明について詳細に説
明する。この発明に係る磁気抵抗効果素子は、磁性層と
非磁性層とを交互に積層してなる積層体であり、例えば
図1に示すように、基板1上に非磁性層2と磁性層3と
のペア4をn回積層することにより構成される。この場
合に、この図に示すように非磁性層を先に形成してもよ
いし、磁性層3を先に形成してもよい。また、基板1と
積層体との間に、Fe等のソフト磁性材料のバッファ層
を介在させてもよい。 【0010】磁性層は、Fe1-x Cox (0.5≦x<
1)で表されるCo合金で構成されることが好ましく、
この中にはNi等の他の元素が含まれていてもよい。例
えば、磁性層は、Fe,Co及びNiのうち2種以上を
主体とするもの、すなわち、Fe−Co合金、Fe−N
i合金、Fe−Ni−Co合金、Co−Ni合金で構成
され、この中には他の元素が含まれていてもよい。この
中ではFe−Co合金が好ましい。また、Fe−Ni合
金としては、Ni1-x Fex (ただし、0<x≦0.6
4)で表されるパ−マロイが好ましく、このFeの一部
を他の元素(例えば、Mo,Mn,Cu,Crなど)で
置換することにより、透磁率の向上や磁気抵抗変化率の
向上を図ることができる。磁性層は面内に一軸磁気異方
性を有していることが好ましい。 【0011】隣合う磁性層は、実質的に磁場を印加しな
い状態で、反強磁性的に結合していることが好ましい。
ここでいう反強磁性的結合とは、磁性層の磁気モ−メン
トが、隣合う磁性層間で逆向きであるように結合してい
ることをいう。このように結合することにより、磁気抵
抗変化率を高めることができる。このように反強磁性的
結合力を有していることが好ましいが、その結合力は小
さいほうが好ましい。反強磁性的結合力が小さければ、
小さな磁場で磁気抵抗変化率(ΔR/R)を大きくする
ことができ、磁気ヘッドなどの用途に対して適したもの
となる。また、小さな磁場で磁気抵抗変化率(ΔR/
R)を大きくする観点からは、素子の飽和磁界HS が小
さいことが好ましい。 【0012】非磁性層は、磁気抵抗効果を発揮できる材
料で形成されていれば特に限定されない。非磁性層の例
としては、Cu,Cr,Au,Ag,Ruなどがあり、
これら単体でも、これらを含む合金でも用いることがで
きる。非磁性層としてCu−Au合金を用いた場合には
反強磁性的結合力を小さくする効果が得られる。 【0013】磁性金属層と非磁性層との組み合わせに
は、種々のものが考えられるが、好ましい組み合わせと
しては、例えば磁性層を構成する合金がFe1-x Cox
で表され、xが0.5≦x<1の範囲であり、非磁性層
がCuであるものがあり、その組み合わせにより大きな
磁気抵抗効果を得ることができる。 【0014】磁性金属層と非磁性層との組み合わせに
は、種々のものが考えられるが、好ましい組み合わせと
しては、例えば以下のようなものがあり、その組み合わ
せにより大きな磁気抵抗効果を得ることができる。 【0015】1)磁性層を構成する合金がFe1-x Co
x で表され、xが0.5≦x<1の範囲であり、非磁性
層がCuであるもの。 2)磁性層を構成する合金がFe1-x Cox で表され、
xが0<x≦0.8の範囲、好ましくは0<x≦0.5
の範囲であり、非磁性層がCrであるもの。 【0016】3)磁性層を構成する合金がNi1-y (F
e1-x Cox )y で表され、0≦x≦1かつ0<y<1
であり、非磁性層がCuであるもの。 4)磁性層を構成する合金がNi1-y (Fe1-x Co
x )y で表され、0≦x≦0.9かつ0.7≦y<1で
あり、非磁性層がCrであるもの。 【0017】十分に大きな磁気抵抗変化率(ΔR/R)
を得るためには、磁性層の厚さtM(オングストロ−
ム;以下Aで表す)を2A≦tM ≦100A、非磁性層
の厚さtN を2A≦tN ≦100Aにすることが好まし
く、7A≦tM ≦90A、9≦tN ≦50Aが一層好ま
しい。 【0018】なお、非磁性層の厚さと磁気抵抗変化率と
は図2に示すような関係となり、磁気抵抗変化率が非磁
性層の厚さに対して振動するため、非磁性層の厚さtN
は上述の範囲内で大きな磁気抵抗変化率が得られるよう
に規定することが好ましい。また、図3に示すように、
飽和磁界も非磁性層の厚さに対して振動し、そのピ−ク
の位置は、磁気抵抗変化率のピ−クの位置と重なってい
る。従って、用途に従って、磁気抵抗変化率と飽和磁界
とがバランスするように非磁性層の厚さを決定すること
が望ましい。なお、図2及び図3は、磁性層として厚さ
10AのFe0.1 Co0.9 を用い、非磁性層として各厚
さのCuを用いて、このペアを16回積層した積層体に
ついて室温で測定したものである。 【0019】積層数nは一般的には5〜数10程度であ
り、磁気抵抗効果を考慮すると大きいほうがよいが、余
り大きくても磁気抵抗効果が飽和してしまうため、飽和
する範囲までの間で適宜設定することが好ましい。 【0020】本発明の積層体を形成するための基板は特
に限定されるものではない。例えば、SiO,MgO,
スピネル,Siなどを用いることができる。このような
積層体は、分子線エピタキシ−(MBE)法、超真空ス
パッタ法など超高真空で行う処理はもちろんのこと、R
Fマグネトロンスパッタ法、イオンビ−ムスパッタ(I
BS)法、蒸着法など初期真空度が10-7Torr以下(す
なわち圧力が10-7Torr以上)の通常の薄膜形成技術で
形成した場合でも、大きな磁気抵抗変化率を得ることが
できる。 【0021】従来の人工格子膜を利用した磁気抵抗効果
素子、例えば(Co/Cu)n 、(Fe/Cr)n な
ど、磁性層として単一元素を用いた素子の場合には、M
BEなどの超高真空装置で成膜すると20〜50%の磁
気抵抗変化率が得られるが、通常の初期真空度の成膜装
置を用いた場合には磁気抵抗変化率が数%と不十分であ
る。これに対して、本発明に係る磁気抵抗効果素子の場
合には、通常の成膜装置を用いても実用上十分な磁気抵
抗変化率を得ることができる。 【0022】なお、積層体を構成する各層の組成及び膜
厚は同一である必要はない。以下に、この発明の実施例
について説明する。 (実施例1)この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をCuとして、イオンビ−ムス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。 【0023】先ず、チャンバ−内に石英基板をセット
し、チャンバ−内を5×10-7Torrまで排気した後、A
rガスを1×10-4Torrになるまで導入し、加速電圧5
00V、ビ−ム電流30mAの条件にてスパッタリング
を実施した。タ−ゲットとしてFe、Fe0.1 Co0.9
合金及びCuを用い、最初にFeタ−ゲットをスパッタ
して石英基板上に50AのFeバッファ層を形成し、続
けてCuタ−ゲット及びFe0.1 Co0.9 合金タ−ゲッ
トを交互にスパッタして、図1に示すように、膜厚9A
のCu非磁性層及び膜厚7AのFe0.1 Co0.9 磁性層
のペアを15回積層した(積層数n=15)。これを
(Fe0.1 Co0.9 7A/Cu9A)15とする。 【0024】なお、この実施例ではバッファ層を設けた
が、本発明の実施に際しバッファ層は必ずしも必要はな
い。次に、このようにして製造された積層体について、
この発明の分野で一般的に用いられる四端子法によって
磁気抵抗効果を測定した。その結果を図4に示す。図4
は横軸に磁場の大きさをとり、縦軸に磁場0の際の電気
抵抗を1として規格化した電気抵抗値(R/R(H=
0))をとって、それらの関係を示すグラフであり、こ
のグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵抗変化
率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率ΔR/
Rは7.5%と大きな値となり、磁性層としてFe0.1
Co0.9 、非磁性層としてCuを用いた積層体が磁気抵
抗効果素子として適していることが確認された。 (実施例2)この実施例においては、磁性層をFe0.25
Co0.75とし、非磁性層をCuとして、イオンビ−ムス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。 【0025】実施例1と同一の成膜条件で、先ず石英基
板上にFeバッファ層を50Aの厚さで形成し、続けて
Cuタ−ゲット及びFe0.25Co0.75合金タ−ゲットを
交互にスパッタして、図1に示すように、膜厚9AのC
u非磁性層及び膜厚7AのFe0.25Co0.75磁性層のペ
アを15回積層した(積層数n=15)。これを、(F
e0.25Co0.757A/Cu9A)15とする。 【0026】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図5に示す。図5は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは11.1%と大きな値となり、磁性層として
Fe0.25Co0.75、非磁性層としてCuを用いた積層体
が磁気抵抗効果素子として適していることが確認され
た。 (実施例3)この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をCuとして、イオンビ−ムス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。な
お、基板としてはSi上に1000A程度の酸化被膜を
有するものを用いた。 【0027】実施例1と同一の成膜条件で、Cuタ−ゲ
ット及びFe0.1 Co0.9 合金タ−ゲットを交互にスパ
ッタして、図1に示すように、膜厚9AのCu非磁性層
及び膜厚15AのFe0.1 Co0.9 磁性層のペアを15
回積層した(積層数n=15)。これを、(Fe0.1 C
o0.9 15A/Cu9A)15とする。 【0028】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図6に示す。図6は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは8.15%と大きな値となり、この実施例で
製造した積層体が磁気抵抗効果素子として適しているこ
とが確認された。 (実施例4)この実施例においては、磁性層をFe0.75
Co0.25とし、非磁性層をCrとして、イオンビ−ムス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。な
お、基板としては、MgO(100)単結晶を用いた。 【0029】実施例1と同一の成膜条件で、MgO(1
00)単結晶基板上に、Crタ−ゲット及びFe0.75C
o0.25合金タ−ゲットを交互にスパッタして、図1に示
すように、膜厚13AのCr非磁性層及び膜厚20Aの
Fe0.75Co0.25磁性層のペアを15回積層した(積層
数n=15)。これを、(Fe0.75Co0.2520A/C
u13A)15とする。 【0030】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図7に示す。図7は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは6.8%と大きな値となり、この実施例で製
造した積層体が磁気抵抗効果素子として適していること
が確認された。 (実施例5)この実施例においては、磁性層をNi0.4
(Fe0.5 Co0.5 )0.6 とし、非磁性層をCuとし
て、イオンビ−ムスパッタ法を用いて積層体を成膜した
例について示す。なお、基板としてはSi上に1000
A程度の酸化被膜を有するものを用いた。 【0031】実施例1と同一の成膜条件で、Cuタ−ゲ
ット及びNi0.4 (Fe0.5 Co0.5 )0.6 合金タ−ゲ
ットを交互にスパッタして、図1に示すように、膜厚9
AのCu非磁性層及び膜厚15AのNi0.4 (Fe0.5
Co0.5 )0.6 磁性層のペアを15回積層した(積層数
n=15)。これを(Ni0.4 (Fe0.5 Co0.5 )
0.6 15A/Cu9A)15とする。 【0032】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図8に示す。図8は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは7.8%と大きな値となり、この実施例で製
造した積層体が磁気抵抗効果素子として適していること
が確認された。 (実施例6)この実施例においては、磁性層をNi0.25
(Fe0.75Co0.25)0.75とし、非磁性層をCrとし
て、イオンビ−ムスパッタ法を用いて積層体を成膜した
例について示す。なお、基板としてはMgO(100)
単結晶を用いた。 【0033】実施例1と同一の成膜条件で、Crタ−ゲ
ット及びNi0.25(Fe0.75Co0.25)0.75合金タ−ゲ
ットを交互にスパッタして、図1に示すように、膜厚1
3AのCr非磁性層及び膜厚20AのNi0.25(Fe
0.75Co 0.25)0.75磁性層のペアを15回積層した(積層
数n=15)。これを、(Ni0.25(Fe0.75C
o0.25)0.7520A/Cu13A)15とする。 【0034】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図9に示す。図9は図4と同様のグラフであ
り、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気抵
抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化率
ΔR/Rは5.7%と大きな値となり、この実施例で製
造した積層体が磁気抵抗効果素子として適していること
が確認された。 (比較例1)ここでは、磁性層をCoとし、非磁性層を
Cuとして、イオンビ−ムスパッタ法を用いて積層体を
成膜した例について示す。なお、基板としては石英を用
いた。 【0035】実施例1と同一の成膜条件で、先ず石英基
板上にFeバッファ層を50Aの厚さで形成し、続けて
Cuタ−ゲット及びCoタ−ゲットを交互にスパッタし
て、図1に示すように、膜厚9AのCu非磁性層及び膜
厚7AのCo磁性層のペアを15回積層した(積層数n
=15)。これを、(Co7A/Cu9A)15とする。 【0036】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図10に示す。図10は図4と同様のグラフで
あり、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気
抵抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化
率ΔR/Rは4.4%と実施例よりも小さいことが確認
された。 (比較例2)ここでは、磁性層をFeとし、非磁性層を
Crとして、イオンビ−ムスパッタ法を用いて積層体を
成膜した例について示す。なお、基板としてはMgO
(100)単結晶を用いた。 【0037】実施例1と同一の成膜条件で、Crタ−ゲ
ット及びFeタ−ゲットを交互にスパッタして、図1に
示すように、膜厚13AのCr非磁性層及び膜厚20A
のFe磁性層のペアを15回積層した(積層数n=1
5)。これを、(Fe20A/Cr13A)15とする。 【0038】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、四端子法によって磁気抵抗効果を測定した。そ
の結果を図11に示す。図11は図4と同様のグラフで
あり、このグラフから磁気抵抗効果の大きさを示す磁気
抵抗変化率ΔR/Rを求めた。その結果、磁気抵抗変化
率ΔR/Rは2.4%と実施例よりも小さいことが確認
された。 (実施例7)この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をCuとして、イオンビ−ムス
パッタ法を用いて積層体を成膜するに際し、成膜条件を
実施例1とは異なる条件とした例について示す。 【0039】本願発明者らは、磁気抵抗変化率が、成膜
の際の加速電圧に非常に敏感であることを見出した。こ
のため、この実施例では加速電圧を600Vに上昇さ
せ、ビ−ム電流は30mAに維持して成膜を行った。到
達真空度及びAr分圧は実施例1と同様にした。 【0040】MgO(110)単結晶基板上に、先ず、
Fe0.1 Co0.9 磁性層を10Aの厚さで成膜し、その
上にCu非磁性層を10Aの厚さで成膜し、このペアを
16回積層して積層体を製造した。これを(Fe0.1 C
o0.9 10A/Cu10A)16とする。 【0041】比較のため、磁性層をCoにした他は、上
と同様にして磁性層及び非磁性層のペアを16回積層し
て積層体を製造した。これを(Co10A/Cu10
A)16とする。 【0042】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、実施例1と同様に、四端子法によって磁気抵抗
変化率ΔR/Rを測定した。その結果、(Fe0.1 Co
0.910A/Cu10A)16ではΔR/Rが39.4%
であり、(Co10A/Cu10A)16では31.5%
であった。この結果から、磁性層を合金化した(Fe
0.1 Co0.9 10A/Cu10A)16のほうが磁気抵抗
変化率が高いことが確認された。 (実施例8)この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をCuAuとして、イオンビ−
ムスパッタ法を用いて積層体を成膜した例について示
す。 【0043】成膜条件を実施例7と同様に設定して、先
ず石英基板上に厚さ50AのFeバッファ層を成膜し、
次いでその上にCuAu非磁性層を10Aの厚さで成膜
し、その上にFe0.1 Co0.9 磁性層を20Aの厚さで
成膜し、これら非磁性層及び磁性層のペアを16回積層
して積層体を製造した。これを(Fe0.1 Co0.9 20
A/CuAu10A)16とする。 【0044】比較のため、磁性層をCoにした他は、上
と同様にして磁性層及び非磁性層のペアを16回積層し
て積層体を製造した。これを(Co20A/CuAu1
0A)16とする。 【0045】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、実施例1と同様に、四端子法によって磁気抵抗
変化率ΔR/Rを測定した。その結果、(Fe0.1 Co
0.920A/CuAu10A)16ではΔR/Rが20.
2%であり、(Co20A/CuAu10A)16では1
7.8%であった。この結果から、磁性層を合金化した
(Fe0.1 Co0.9 20A/CuAu10A)16のほう
が磁気抵抗変化率が高いことが確認された。 (実施例9)この実施例においては、磁性層をFe0.1
Co0.9 とし、非磁性層をAuとして、イオンビ−ムス
パッタ法を用いて積層体を成膜した例について示す。 【0046】成膜条件を実施例7と同様に設定して、先
ず、石英基板上に厚さ50AのFeバッファ層を成膜
し、次いで、その上にAu非磁性層を10Aの厚さで成
膜し、その上にFe0.1 Co0.9 磁性層を20Aの厚さ
で成膜し、これら非磁性層及び磁性層のペアを16回積
層して積層体を製造した。これを(Fe0.1 Co0.9 2
0A/Au10A)16とする。 【0047】比較のため、磁性層をCoにした他は、上
と同様にして磁性層及び非磁性層のペアを16回積層し
て積層体を製造した。これを(Co20A/Au10
A)16とする。 【0048】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、実施例1と同様に、四端子法によって磁気抵抗
変化率ΔR/Rを測定した。その結果、(Fe0.1 Co
0.920A/Au10A)16ではΔR/Rが15.3%
であり、(Co20A/Au10A)16では10.8%
であった。この結果から、磁性層を合金化した(Fe
0.1 Co0.9 20A/Au10A)16のほうが磁気抵抗
変化率が高いことが確認された。 (実施例10)この実施例においては、磁性層をNi
0.8 Fe0.2 とし、非磁性層をCuとして、イオンビ−
ムスパッタ法を用いて積層体を成膜した例について示
す。 【0049】成膜条件を実施例7と同様に設定して、先
ず、石英基板上に厚さ50AのFeバッファ層を成膜
し、次いで、その上にCu非磁性層を10Aの厚さで成
膜し、その上にNi0.8 Fe0.2 磁性層を10Aの厚さ
で成膜し、これら非磁性層及び磁性層のペアを16回積
層して積層体を製造した。これを(Ni0.8 Fe0.2 1
0A/Cu10A)16とする。 【0050】比較のため、磁性層をNiにした他は、上
と同様にして磁性層及び非磁性層のペアを16回積層し
て積層体を製造した。これを(Ni10A/Au10
A)16とする。 【0051】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、実施例1と同様に、四端子法によって磁気抵抗
変化率ΔR/Rを測定した。その結果、(Ni 0.8
Fe0.210A/Cu10A)16ではΔR/Rが18.
3%であり、(Ni10A/Cu10A)16では10.
1%であった。この結果から、磁性層を合金化した(N
i0.8 Fe0.2 10A/Cu10A)16のほうが磁気抵
抗変化率が高いことが確認された。 (実施例11)この実施例においては、磁性層をNi
0.8 Fe0.2 とし、非磁性層をAuとして、イオンビ−
ムスパッタ法を用いて積層体を成膜した例について示
す。 【0052】成膜条件を実施例7と同様に設定して、先
ず、石英基板上に厚さ50AのFeバッファ層を成膜
し、次いで、その上にAu非磁性層を10Aの厚さで成
膜し、その上にNi0.8 Fe0.2 磁性層を20Aの厚さ
で成膜し、これら非磁性層及び磁性層のペアを16回積
層して積層体を製造した。これを(Ni0.8 Fe0.2 2
0A/Au10A)16とする。 【0053】比較のため、磁性層をNiにした他は、上
と同様にして磁性層及び非磁性層のペアを16回積層し
て積層体を製造した。これを(Ni20A/Au10
A)16とする。 【0054】次に、このようにして製造された積層体に
ついて、実施例1と同様に、四端子法によって磁気抵抗
変化率ΔR/Rを測定した。その結果、(Ni0.8 Fe
0.220A/Au10A)16ではΔR/Rが13.4%
であり、(Ni20A/Cu10A)16では8.2%で
あった。この結果から、磁性層を合金化した(Ni0.8
Fe0.2 20A/Au10A)16のほうが磁気抵抗変化
率が高いことが確認された。 (実施例12)この実施例においては、磁性層をNi
0.8 Fe0.2 のパ−マロイとし、非磁性層をCuとし
て、イオンビ−ムスパッタ法を用いて積層体を成膜した
例について示す。 【0055】先ず、チャンバ−内にMgO(110)単
結晶基板をセットし、チャンバ−内を5×10-7Torrま
で排気した後、Arガスを1×10-4Torrになるまで導
入し、加速電圧700V、ビ−ム電流30mAの条件に
てスパッタリングを実施した。タ−ゲットとしてNi
0.8 Fe0.2 合金及びCuを用い、MgO(110)単
結晶基板上に、最初にNi0.8 Fe0.2 磁性層を15A
の厚さで成膜し、次いで、Cu非磁性層を10Aの厚さ
で成膜し、このペアを16回積層して積層体を製造し
た。 【0056】この積層体のトルク曲線を図12に示す。
図12に示すようにトルク曲線が2回対称であることか
ら、膜面内に一軸磁気異方性が付与されていることが確
認された。 【0057】図13に磁性層における磁化容易軸方向の
磁気抵抗効果を示す。この図から明らかなように、飽和
磁界HS が1.2kOeと小さいことが確認された。ま
た、磁気抵抗変化率が16.7%と高い値を示した。 【0058】同様の積層膜をSiO2 基板上に同様の条
件で成膜した場合には、一軸磁気異方性は得られず、磁
気抵抗変化率が5.5%であった。また、図13に示す
ように抵抗変化が1.0kOe程度から始まり、200
Oeの小さな磁界変化で急速に飽和に達しており、その
傾きが非常に急峻であることが確認された。従って、こ
の領域を使用すれば非常に高感度の磁界センサを実現す
ることが可能となる。 【0059】 【発明の効果】この発明によれば、大きな磁気抵抗変化
率を有し、超高真空を用いない通常の薄膜形成装置で成
膜しても十分に実用化することができる磁気抵抗効果素
子を用いた磁気抵抗効果型ヘッドが提供される。
す断面図。
す図。
Claims (11)
- 【請求項1】 磁気抵抗効果を発現する、非磁性層を介
して積層された磁性層を具備し、前記磁性層がFe1-x
Cox (0.5≦x<1)で表されるCo合金で構成さ
れている磁気抵抗効果素子を備えたことを特徴とする磁
気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項2】 前記磁気抵抗効果素子は、前記多層構造
を支持する基板をさらに具備する請求項1記載の磁気抵
抗効果型ヘッド。 - 【請求項3】 軟磁性材料からなり、前記基板と前記多
層構造との間に設けられたバッファ層をさらに具備する
請求項2記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項4】 前記基板がSiO2 ,MgO,またはS
iからなる請求項2記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項5】 前記磁性層は2〜100オングストロー
ムの厚さを有する請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッ
ド。 - 【請求項6】 前記磁性層は7〜90オングストローム
の厚さを有する請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項7】 前記非磁性層は2〜100オングストロ
ームの厚さを有する請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッ
ド。 - 【請求項8】 前記非磁性層は9〜50オングストロー
ムの厚さを有する請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッ
ド。 - 【請求項9】 前記磁性層は層内に一軸磁気異方性を有
する請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項10】 前記磁性層はさらにNiを含む請求項
1記載の磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項11】 前記非磁性層はCuを含む請求項1記
載の磁気抵抗効果型ヘッド。
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Country | Link |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US6669983B2 (en) | 2001-10-25 | 2003-12-30 | Tdk Corporation | Manufacturing method of thin-film magnetic head with magnetoresistive effect element |
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-
1996
- 1996-11-01 JP JP29173596A patent/JP3684005B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6603642B1 (en) | 2000-03-15 | 2003-08-05 | Tdk Corporation | Magnetic transducer having a plurality of magnetic layers stacked alternately with a plurality of nonmagnetic layers and a fixed-orientation-of-magnetization layer and thin film magnetic head including the magnetic transducer |
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Publication number | Publication date |
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