JPH09127724A - 静電潜像現像剤 - Google Patents

静電潜像現像剤

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JPH09127724A
JPH09127724A JP30365695A JP30365695A JPH09127724A JP H09127724 A JPH09127724 A JP H09127724A JP 30365695 A JP30365695 A JP 30365695A JP 30365695 A JP30365695 A JP 30365695A JP H09127724 A JPH09127724 A JP H09127724A
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electrostatic latent
fine powder
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image
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JP30365695A
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Atsushi Igami
淳 伊神
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Brother Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電潜像に従って感光体上に形成されたトナ
ー層を記録媒体に転写する際における転写効率を向上す
ることが可能であるとともに、高い流動性に基づき良好
な画像濃度を保持しつつ画像かぶりを少なくして見栄え
の良い画像を形成することが可能な静電潜像現像剤を提
供する。 【解決手段】 感光体10上に形成された静電潜像をト
ナー26により現像して記録媒体18に画像を形成する
画像形成方法に使用される静電潜像現像剤において、前
記静電潜像現像剤には、金属塩にて表面処理され且つ平
均粒子径が0.1μm〜3.0μmの範囲にあるポリマ
ー微粉体からなる転写効率向上剤が、トナー100重量
部に対して1重量部以上表面にコートされたトナーが含
有され、トナーには疎水性シリカ微粉末からなる無機微
粉体が外添された構成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光体上に形成さ
れた静電潜像をトナーにより現像して記録媒体に画像を
形成する画像形成方法に使用される静電潜像現像剤に係
り、特に、静電潜像に従って感光体上に形成されたトナ
ー層を記録媒体に転写する際における転写効率を向上す
ることが可能であるとともに、高い流動性に基づき良好
な画像濃度を保持しつつ画像かぶりを少なくして見栄え
の良い画像を形成することが可能な静電潜像現像剤に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真現像方式は、一般的
に1成分現像方式と2成分現像方式に大別される。1成
分現像方式は、感光体上に形成された静電潜像を現像す
るトナーだけから構成されており、一方、2成分現像方
式は、静電潜像を現像するトナーとトナーを効率よく帯
電させるためのキャリヤとから構成されている。
【0003】ここに、2成分現像方式は、重量比でキャ
リヤ95〜98%、トナー2〜5%の混合比で構成され
るのが一般的である。このとき、トナーを非磁性のトナ
ーとしてキャリアに対する混合比を5%以上にすると、
非印字部にトナーのかぶりが生じて、画質を低下させる
結果となる。そこで、トナーを磁性トナーとして、トナ
ーの混合比率を高める方法が提案されており、1成分現
像方式と2成分現像方式の中間であるという事から1.
5成分現像方式とも呼ばれている。この1.5成分現像
方式では、キャリヤ30〜80%、トナー20〜70%
の混合比で現像剤が構成されている。
【0004】このように、2成分現像剤や1.5成分現
像剤では、キャリアなどによりトナーの帯電の補助が行
われることから、トナー自体の電荷保持率は比較的低い
ものとなっている。従って、静電潜像に従って現像され
たトナーを記録媒体に転写する場合には、トナーと感光
体の間に必要以上の静電気力による引力、いわゆる鏡像
力が働かず、感光体上のトナーはほぼ完全に記録媒体に
転写され得る。これより、感光体から記録媒体へのトナ
ーの転写効率が良い2成分現像方式や1.5成分現像方
式では、画像形成装置における部材等の小型化を図るべ
く、トナーのクリーニング機構を廃止したクリーナーレ
ス機構を採用したり、クリーニング工程を簡略化するこ
とが可能である。
【0005】前記した2成分現像方式や1.5成分現像
方式に対して、1成分現像方式においては、磁性トナー
と非磁性トナーを使用したタイプがあり、いずれのタイ
プにおいても感光体上の静電潜像にトナーを搬送するト
ナー担持体上に薄い現像剤層を形成するように構成され
ている。具体的には、1成分現像方式用トナーを使用し
た現像方式においては、静電潜像が形成された感光体へ
トナーを搬送するトナー担持ローラ表面にトナーの薄層
を形成させ、この薄層を感光体に接触させてトナーを静
電潜像へと導き現像するとともに、トナーを記録媒体に
転写する方法が採用されている。
【0006】前記のような1成分現像方式におけるトナ
ーの帯電方法は、攪拌機の運転によるトナー粒子同士の
衝突、トナーの薄層形成時でのブレードなどとの接触等
によっておこなわれ、1成分現像方式用トナーの特質
上、キャリアなどによる帯電の補助は行われない。その
ためトナーには摩擦帯電された電荷を現像されるまで保
持する能力を要求されることとなるが、1成分現像方式
用トナーでは、この電荷保持能力が大きいことから、現
像されたトナーを記録媒体に転写する場合には、トナー
と感光体の間に必要以上の静電気力による引力、いわゆ
る鏡像力が作用し、トナーは記録媒体に転写されず感光
体上に残存してしまう。このように、トナーの記録媒体
への転写効率が悪いので、2成分現像剤や1.5成分現
像剤の場合のように画像形成装置をクリーナーレス機構
にしたり、また、クリーニング工程を簡略化することは
困難であった。
【0007】そこで、1成分現像剤を使用する画像形成
装置にてクリーナーレス機構にしたり、また、クリーニ
ング工程を簡略化するには、トナーの電荷保持能力を下
げることが必要となるが、1成分現像剤の内非磁性1成
分現像方式のトナーは、磁性粉を含んでいないため、電
荷保持率は比較的高いものとなってクリーナーレス機構
等を採用することは難しい。かかる事情を勘案すれば、
トナーと感光体との間に発生する鏡像力を低減させるべ
く、結着樹脂が大半を占めるトナーに磁性粉など導電性
物質を含有させる磁性1成分現像方式が考えられる。し
かし、記録媒体上で可視化されたトナー像の定着性を考
慮すると、磁性粉の量を増やし結着樹脂の含有量を極端
に減らすことはできない。また、結着樹脂の体積抵抗
は、磁性粉の体積抵抗に比べ数段に高いため、トナーの
電荷保持能力には自ずと制限がついて回る。尚、結着樹
脂とは、トナーに含まれる様々な成分を結び付けるバイ
ンダーとしての役割を果たしており、定着時には熱融解
等をおこし記録媒体と結びつく役割を果たすものであ
る。
【0008】これに対してトナー像の定着性を無視し、
トナーの電荷保持能力を極端に低くした場合には、現像
されたトナーが記録媒体に転写されるまでに保持すべき
帯電量は不十分なものとなってしまい、この結果、画像
形成されるべき部分の画像が記録媒体に転写されず画像
の外縁が縁取りされたような状態、いわゆる中抜け現象
が発生してしまう。また、場合によっては画像がほとん
ど転写されない状態も発生し得る。
【0009】前記のような問題を解決する静電潜像現像
剤として、例えば、特開平4ー172364号公報、特
開平4ー280254号公報には、トナーに対してアク
リル系重合体微粉末と無機微粉体を所定の割合で添加し
た静電潜像現像剤が記載されている。かかる静電潜像現
像剤によれば、トナーのクリーニング不良を防止した
り、また、トナーが感光体上でフィルム化してしまうト
ナーフィルミング現象を回避することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平4ー172364号公報、特開平4ー280254
号公報に記載された静電潜像現像剤によっても、感光体
上のトナーを記録媒体に転写する際におけるトナーの転
写効率を向上することは困難なものであり、トナーの転
写効率の点ではまだまだ不十分なものである。
【0011】そこで、本発明者は、トナーと転写率向上
剤として作用するアクリル系重合体微粉末との混合比率
に着目して種々検討を重ねた結果、トナー100重量部
に対しアクリルポリマー系、ビニルポリマー系、スチレ
ンポリマー系などの重合体微粉末を1重量部位上外添し
た場合には、トナーの体積抵抗が外添前より低くなり、
電荷保持能力が小さくなることを見い出すとともに、前
記重合体微粉末が感光体上に薄層膜を形成してトナーと
感光体との間における鏡像力が弱められ、トナーが記録
媒体へ転写されやすくなって転写効率が向上することを
見い出した。
【0012】しかし、その一方で、前記重合体微粉末を
転写率向上剤としてトナーに外添していくと、その外添
量の増加に比例してトナーの流動性が低下してしまうこ
とが判明した。このようにトナーの流動性が低下してし
まうと、画像形成の際に画像の濃度が薄くなってしま
い、この結果、見栄えの良い画像を形成することができ
ないという問題がある。
【0013】本発明は、前記従来の問題点を解消するた
めになされたものであり、静電潜像に従って感光体上に
形成されたトナー層を記録媒体に転写する際における転
写効率を向上することが可能であるとともに、高い流動
性に基づき良好な画像濃度を保持しつつ画像かぶりを少
なくして見栄えの良い画像を形成することが可能な静電
潜像現像剤を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに請求項1に係る静電潜像現像剤は、感光体上に形成
された静電潜像をトナーにより現像して記録媒体に画像
を形成する画像形成方法に使用される静電潜像現像剤に
おいて、前記静電潜像現像剤には、表面に転写効率向上
剤をコートしたトナーが含有され、トナーには無機微粉
体が外添された構成を有する。
【0015】前記構成を有する請求項1の静電潜像現像
剤では、トナーの表面に転写率向上剤がコートされてお
り、このように表面処理された転写率向上剤は、トナー
の電荷保持力を低くする作用を行うとともに、トナーと
感光体との離型性を向上させる作用を行う。これによ
り、画像形成時に感光体上のトナーが記録媒体に転写さ
れる転写効率は格段に向上されるものである。また、無
機微粉体が含有されているので、トナーの流動性を向上
して画像濃度を一定以上に保持することが可能となる。
【0016】また、請求項2に係る静電潜像現像剤は、
請求項1の静電潜像現像剤において、前記転写効率向上
剤は、トナー100重量部に対して1重量部以上がトナ
ーの表面にコートされた構成を有する。トナー100重
量部に対してトナーの表面にコートされる転写効率向上
剤の比率が1重量部以上であれば、転写効率を80%以
上に向上することが可能であるが、転写効率向上剤の比
率が1重量部以下になると、転写効率が60%程度に低
下して転写効率向上剤の効果が殆ど得られない。尚、転
写効率向上剤の比率は、トナー100重量部に対して1
重量部〜10重量部の範囲であることが望ましい。
【0017】更に、請求項3に係る静電潜像現像剤は、
請求項1又は請求項2の静電潜像現像剤において、前記
転写効率向上剤はポリマー微粉体からなり、その表面が
金属塩で表面処理されるとともに平均粒子径が0.1μ
m〜3.0μmの範囲にある構成を有する。転写率向上
剤として金属塩で表面処理されたポリマー微粉体を使用
した場合には、金属塩が荷電制御剤としての作用を行
い、これによりトナーの帯電量分布をシャープにして、
画像形成部としての感光体上における静電潜像にトナー
を容易に付着することが可能となるとともに、非画像形
成部にはトナーが付着しないように制御することが可能
となって画像のかぶりを低減することが可能となる。ま
た、ポリマー微粉体の平均粒子径が0.1μm〜3.0
μmの範囲にある場合には良好な転写効率が得られる
が、ポリマー微粉体の平均粒子径が0.1μm〜3.0
μmの範囲を外れると、転写効率が低下してしまう。
【0018】また、請求項4に係る静電潜像現像剤は、
請求項3の静電潜像現像剤において、前記ポリマー微粉
体は、アクリルポリマー微粉体、ビニルポリマー微粉
体、スチレンポリマー微粉体、これらの各ポリマー微粉
体を生成する際に使用されるモノマーを2種以上を共重
合させた共重合ポリマー微粉体、又は、前記各ポリマー
微粉体の2種以上を混合した混合物からなる構成を有す
る。これらの各ポリマー微粉体は、比較的容易且つ安価
に入手することが可能であり静電潜像現像剤に使用され
て好適なものである。
【0019】更に、請求項5に係る静電潜像現像剤は、
請求項2の静電潜像現像剤において、前記無機微粉体
は、トナー100重量部に対して0.3重量部以上外添
されたBET比表面積50〜300 m2/gの疎水性シ
リカ微粉末である構成を有する。かかるBET比表面積
50〜300 m2/gの疎水性シリカ微粉末は、特に、
静電潜像現像剤の流動性の低下を防止して一定の流動性
を保持するにつき好適なものである。尚、疎水性シリカ
微粉末は、トナー100重量部に対して0.3重量部〜
1重量部の範囲で外添されるのが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る静電潜像現像
剤について、本発明を具体化して実施の形態に基づき説
明する。本実施の形態に係る静電潜像現像剤は、電子写
真方式、静電記録方式等の静電潜像を現像する画像形成
方法に適用されることになるが、先ず、その現像原理に
ついて静電潜像現像剤をレーザビームプリンタに使用し
て画像を形成する場合について図1に基づき説明する。
図1はレーザビームプリンタの要部を模式的に示す説明
図である。尚、以下において静電潜像現像剤をトナーと
呼称する。
【0021】図1において、レーザビームプリンタは着
脱可能な現像器2を備えており、かかる現像器2は、ト
ナーの蓄積、帯電、現像、及び、転写を行う機能部を具
有している。具体的に現像器2は、アルミ導電筒に光導
電層を塗布した感光体10の周りに配置され、その感光
体10に表面電位を与える帯電ローラ12と、画像情報
を提供するレーザスキャナ14と、トナー26を担持し
感光体上の静電潜像に搬送するためのトナー担持ローラ
16と、そのトナー担持ローラ16上のトナー26を均
一な薄層に規制するブレード4と、トナー担持ローラ1
6にトナー26を供給する供給ローラ8と、トナー貯留
部28内に蓄えられているトナー26を攪拌し流動性を
良好な状態に保っておくためのアジテータ6と、感光体
10上に形成されたトナー26の顕像を紙等の記録媒体
18に転写する転写ローラ20と、その転写ローラ20
で転写されなかった感光体10上のトナー26を除去す
るクリーニングローラ22と、及び、記録媒体18上の
トナー像を熱溶融によって固定化する熱定着器24(ヒ
ータを内蔵した一対のローラからなる)とから構成され
ている。
【0022】本実施の形態に係るトナー26は、前記現
像器2のトナー貯留部28内に充填されており、アジテ
ータ6により攪拌されて供給ローラ8に接触されるよう
に構成されている。供給ローラ8には−400ボルトの
バイアスがかけられており、トナー担持ローラ16には
−300ボルトのバイアスがかけられている。そのた
め、負に帯電したトナー26は、供給ローラ8とトナー
担持ローラ16の矢印方向の回転運動従い、供給ローラ
8からトナー担持ローラ16に供給されブレード4によ
って薄層形成される。
【0023】また、帯電ローラ12においては、約1.
4kV程度の電圧が印加されて、感光体10上に−90
0〜−1000V程度の表面電位を形成するようになっ
ている。なお、この帯電ローラ12は、接触、非接触を
問わず、ローラ形状以外のものでの良く、例えばコロナ
放電で感光体10に所定の表面電位を与えるスコロトロ
ン、感光体10に接触して表面電位を与える半導電性の
ブラシ、ブレード等の部材を用いることができる。
【0024】帯電ローラ12によって表面電位を与えら
れた感光体10には、電気信号に変換された画像情報が
レーザスキャナ14から光信号として供給され、光導電
層の作用によって、感光体10の光で露光された部分の
電位が低下して、電位分布の異なった静電潜像を形成す
る。なお、感光体に画像情報を光信号として供給する手
段は、レーザスキャナ以外にもLED等が挙げられる。
【0025】ブレード4により薄層形成され、トナー担
持ローラ16により搬送されたトナー26は、そのトナ
ー26の薄層が感光体10に接触して、感光体10上に
形成された静電潜像にトナー26だけが現像される。感
光体10上の静電潜像は、帯電ローラ12から与えられ
た表面電位が−900〜−1000Vである状態下にお
いて、レーザスキャナ14による露光によって、その露
光された部分の電位がー50Vに低下していることによ
り形成されている。一方、トナー担持ローラ16にはバ
イアス電位として−300Vの電位が与えられ、負に帯
電したトナー26が感光体10上の−50Vの電位部分
に現像されることになる。なお、使用されるトナー26
の帯電性は、本実施の形態では負帯電であるが、正帯電
であっても各部材に与える電位を逆極性にすれば適用で
きる。
【0026】こうして感光体10上に形成されたトナー
26の顕像は、3マイクロアンペアに定電流制御され、
極性がプラスに制御された転写ローラ20を用いて紙等
の記録媒体18上に転写され、熱定着器24によって記
録媒体18上にトナー26が定着せしめられ、目的とす
る記録画像を得ることができる。この熱定着器は、接
触、非接触を問わず、非接触方式であるスコロトロン等
による電界を利用したものや、ローラ、ブラシ、ブレー
ドなどで接触する方法がある。一方、記録媒体18に転
写されず、感光体上に残ったトナー26は、+400ボ
ルトのバイアスのかけられたクリーニングローラ22を
介して回収される。
【0027】次に、前記のように構成されたレーザビー
ムプリンタに使用されるトナー26について詳細に説明
する。尚、本実施の形態に係るトナー26は非磁性1成
分現像剤として構成されている。トナー26は、基本的
に、結着樹脂、カーボンブラック、離型剤、及び、荷電
制御剤から構成される。
【0028】ここに、結着樹脂はバインダとしての作用
を行うものであり、結着樹脂としては、例えば、ポリス
チレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ビニ
ル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ
エーテル、ポリカーボネート、セルロース系樹脂、エポ
キシ系樹脂、ポリアミド及びこれら樹脂を形成するモノ
マーの共重合体を単体、または、複数種類混合して使用
できる。尚、本実施の形態では、マイナス系のトナーを
使用したため、末端の官能基にカルボキシル基を有し、
強度的にも堅いポリエステル樹脂が好適であった。
【0029】また、カーボンブラックは着色剤として作
用し、かかるカーボンブラックとしては、例えば、ファ
ーネスブラック、ケッチェンブラック、ランプブラッ
ク、サーマルブラック、チャンネルブラックなどが挙げ
られ、これらを単体で使用しても、複数種類混ぜても良
い。また、これらのカーボンブラックは比表面積が小さ
く、吸油量の大きいものが好都合であり、具体的には比
表面積を吸油量で除したものが0.8以下のものが好ま
しい。特にファーネスブラックには前述した条件が当て
はまり好適である。
【0030】更に、離型剤としては、ポリアルキレン或
いは天然系のワックスを混合して使用することができ、
その具体的な例としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライス
ワックス等を使用することができる。荷電制御剤の例と
しては、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、アル
コキシ化アミン、アルキルアミド、アゾ系染料の金属錯
体、高級脂肪酸の金属塩があげられる。
【0031】続いて、基本的に前記のような成分で構成
されるトナーに外添される転写率向上剤、無機微粉体に
ついて説明する。転写率向上剤は、後述するような方法
によりトナーの表面にコートされてマイクロカプセル化
されて存在し、この転写効率向上剤としては、アクリル
系モノマー、または、スチレン系モノマー、または、ビ
ニル系モノマー等から選ばれる1種または2種以上のモ
ノマーを添加し、完全ケン化ポリビニルアルコールを添
加した水に分散させた後、乳化重合させポリマー微粒子
とし、この懸濁液にギ酸、酢酸、またはプロピオン酸の
カルシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、ニッケ
ル、クロム、マンガン、マグネシウムなどの特定の金属
塩を添加、融解し攪拌させた後、水を除去することによ
って得られたものが使用される。
【0032】前記ポリマー微粒子の出発物としては、具
体的に次の各種モノマーが挙げられる。アクリル系モノ
マーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び、(メ
タ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸アル
キル;(メタ)アクリル酸2ーヒドロキシメチル及び、
(メタ)アクリル酸2ーヒドロキシプロピルなどの(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシルアルキル;トリメチロール
プロパンモノ(メタ)アクリレート及び、トリメチロー
ルエタンモノ(メタ)アクリレートなどの多価アルコー
ルの(メタ)アクリル酸モノエステル;ポリエチレング
リコールモノ(メタ)アクリレート及び、ポリプロピレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリアル
キレングリコールの(メタ)アクリレート;ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミ
ノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルア
ミドならびにグリシジル(メタ)アクリレートを挙げる
ことができる。また、上記の(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシアルキルモノエステル、多価アルコールの(メタ)
アクリレートモノエステルのアルキルエーテルをも用い
ることもできる。
【0033】スチレン系モノマーとしてはスチレン、メ
チルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレ
ン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルス
チレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシル
スチレン、ヘプチルスチレン及び、オクチルスチレン等
のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレ
ン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、及び、ヨード
スチレン等のハロゲン化スチレン;さらに、ニトロスチ
レン、アセチルスチレン、メトキシスチレンを挙げるこ
とができる。
【0034】ビニル系モノマーとしてはビニルピリジ
ン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ジビニル
ベンゼン、酢酸ビニル、アクリロニトリル;ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエンモノマ
ー、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニリデン等のハロゲン化ビニル及び、ビニリデン類を挙
げることができる。
【0035】また、前記金属塩は、荷電制御剤としての
役割を果たすものである。金属塩について具体例を示す
と、ギ酸カルシウム、ギ酸亜鉛、ギ酸錫、ギ酸アルミニ
ウム、ギ酸コバルト、ギ酸ニッケル、ギ酸クロム、ギ酸
マンガン、ギ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜
鉛、酢酸錫、酢酸アルミニウム、酢酸コバルト、酢酸ニ
ッケル、酢酸クロム、酢酸マンガン、酢酸マグネシウ
ム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸亜鉛、プロ
ピオン酸錫、プロピオン酸アルミニウム、プロピオン酸
コバルト、プロピオン酸ニッケル、プロピオン酸クロ
ム、プロピオン酸マンガン、プロピオン酸マグネシウム
が挙げられる。これらの金属塩は水可溶性物質である。
【0036】尚、完全ケン化ポリビニルアルコールは、
水中油滴型エマルジョンの分散安定剤として用いられて
おり、また、水溶性接着剤としても用いられている周知
の材料である。完全ケン化ポリビニルアルコールは、前
記した特定モノマーを水を媒質として乳化重合するに当
たっての分散安定剤としての役割を果たすとともに生成
したポリマー微粒子の表面に特定金属を被覆させるバイ
ンダーとしての役割も果たしている。
【0037】転写効率向上剤の製造方法としては各種の
製造方法があり、例えばソープフリー重合、分散重合、
懸濁重合など化学反応により、球状の重合粒子を得るも
のの他に、重合塊を粉砕し微粉末を得るものもあり、そ
の都度添加剤が変わるものである。また、前記金属塩に
よる処理をせずに使用できるものもある。
【0038】また、前記転写効率向上剤の効果は、トナ
ーの表面にコートされることにより、トナー表面を覆っ
た転写効率向上剤が、感光体とトナーとの離型性を良く
する役割を果たしている。また、転写効率向上剤が金属
塩で表面処理された場合には、その金属塩の作用に基づ
きトナーの帯電量調節が施せるため、トナーの帯電量分
布がシャープになって安定し、これにより感光体の静電
潜像にトナーが容易に付着されるとともに、同時に、非
画像形成部(静電潜像以外の部分)にはトナーが付着さ
れ難くなる。この結果、画像かぶりを効率的に防止する
ことが可能となる。更に、トナー表面にコートされた転
写率向上剤を介してトナーの体積抵抗が低下し電荷保持
力が弱まるため、転写時には感光体との鏡像力が弱ま
り、印字媒体にトナーが転写され易くなり転写効率が向
上する。
【0039】前記転写効率向上剤と共にトナーに外添さ
れる無機微粉体は、トナーの流動性付与剤として作用
し、かかる無機微粉体としては例えばシリカ微粉体が好
適である。このシリカ微粉体としては、BET比表面積
が50〜300m2/gの範囲にあるものが、トナーの流動
性を付与するのに好適であり、シリカ表面をアミノシラ
ン、トリメチルシラン、ジメチルシラン、オクチルシラ
ン等のシリル基を有したシリコンで表面処理してある。
これらのシリカ微粉体を使用することによって、転写効
率向上剤による流動性の低下を防止することができる。
また、これら表面処理剤で処理したシリカは環境安定性
にも効果がある。シリカは、トナー表面に付着してその
効果を発揮する。シリカの比表面積が50m2/gに満たな
い小さなものであると、シリカのトナー中への分散が十
分でなく、トナー表面に付着することがないために、流
動性を与えるほどの効果はなくなる。シリカは、トナー
表面に付着してコロの役目をして、流動性を向上させ、
トナーにストレスがかからないようにしている。一方、
比表面積が300m2/gより大きなシリカをトナーに混合
したとき、シリカがトナー表面に付着したとしても何層
にもわたって付着しないと、トナー同志が接触してシリ
カの役目が果たせない。ところが、シリカが何層にもわ
たってトナー表面に付着した場合、コロとしての役割は
得られずシリカの効果は得られなくなる。かかる事情を
勘案して上述したように、シリカ微粉末としてBET比
表面積が50〜300m2/gの範囲にあるものを使用する
と、シリカ微粉末はコロとしての役割を果たし、流動性
付与剤としての効果を十分に発揮することが可能とな
る。シリカの粒子形状は、球形であることが望ましく、
粒子形状が不定形であるとトナー間でシリカ粒子がコロ
の役目として働く効果が少なくなると考えられるからで
ある。
【0040】また、前記シリカ微粉体に代えて、又は、
シリカ微粉体に加えて、無機微粉体としてアルミニウム
微粉体をトナーに外添してもよい。かかるアルミニウム
微粉体は、感光体上の付着物を研磨する研磨剤としての
役割を果たしたり、トナーの流動性をあげる流動性付与
剤としての役割を果たしたりする。アルミニウム微粉体
として、例えば、トナー粒子との摩擦帯電が小さく、か
つ、高い疎水化度を備えた酸化アルミニウム微粉体が好
適である。また、酸化アルミニウム微粉末は平均粒子径
が0.1μm〜60μm程度のものが研磨剤として知ら
れており、平均粒子径0.3μm〜10μmの酸化アル
ミニウム微粉末が好適である。また、酸化アルミニウム
は、シリカの様な比表面積を持った粒子でも研磨剤とし
ての役割を果たすことは可能であり、平均粒子径8〜1
8nmの酸化アルミニウム微粒子は研磨効果と流動性付
与効果を発揮することが知られている。
【0041】尚、感光体に現像されたトナーは、転写器
において記録媒体に転写されるが、100%記録媒体に
転写されるわけではなく、一部感光体上に残存する。こ
の残存したトナーの中には、感光体に圧接するローラや
ブレードなどで感光体に押しつけられ、感光体にトナー
が付着するものがある。一旦トナーが感光体に付着する
と、大きなトナー付着となって成長するため、画像サン
プル上ではじめ小さな黒い斑点でも印字を続けるうちに
大きな黒斑となる。かかる場合において、酸化アルミニ
ウム等の研磨剤は、感光体上に付着したトナーが成長す
る前に感光体上から削り取る役目を果たしている。
【0042】
【実施例】続いて、本実施の形態に係るトナーについて
複数の実施例を挙げつつ説明する。 《実施例1》 ポリエステル樹脂(三菱レイヨン FC−701) 100重量部 カーボンブラック(三菱化学 #44) 13重量部 ワックス (三洋化成 ビスコール660P) 5重量部 荷電制御剤 (オリエント化学 ボントロンS−34)2重量部 を粉体の状態で混合し、混練押出機で加熱しながらレジ
ン中にカーボンブラック、ワックス、荷電制御剤を分散
し、加熱混練した材料を冷やした後、粗粉砕、微粉砕を
して数μmオーダーのトナー微粒子とした。さらに風力
分級機で3〜20μmの粒子径をもつ粉体粒子とした。
【0043】前記組成を有するトナー粒子100重量部
に対して、転写効率向上剤として金属塩により表面被覆
された平均粒子径0.15μmのポリメチルメタクリレ
ート微粉体1重量部を、ハイブリダイザーにてトナー表
面にコートさせ、更に、平均粒子径10〜20nmの疎
水性シリカ微粉体を1重量部を混合した後、ヘンシェル
ミキサーで攪拌して乾式トナーとした。
【0044】前記のように調整されたトナーを図1に示
すレーザビームプリンタの現像器中に15グラム充填し
画像出力を行った。画像出力は、感光体に現像器で画像
を現像した後、転写ローラで記録媒体に転写して熱定着
ローラでトナーを固定化した。尚、記録媒体としては、
XEROX社製 4024 20ポンド紙を使用して画
像の形成を行った。
【0045】前記のような画像形成条件の下、転写効
率、画像濃度、画像かぶり、及び、嵩密度の測定を行っ
た。ここで、転写効率については、画像形成の途中で未
だ転写動作がすべて完了していない段階で、レーザビー
ムプリンタの運転を停止し、記録媒体上に転写されずに
感光体上に残ったトナー量を測定して転写効率の測定を
行った。その定量化の方法としては、転写前の感光体上
のトナー量に対する転写後の感光体上残留トナーの百分
率を測定し、転写効率の指標とした。
【0046】また、画像濃度については、記録媒体上に
形成された画像の濃度をマクベス透過濃度計にて黒ベタ
印字部分を測定することにより求めた。尚、画像濃度の
許容値は、一般的に、1.7以上とされる。
【0047】更に、記録媒体上に形成された画像に関し
て画像かぶりの測定では、先ず、何も印字していない記
録媒体の白色度を東京電色(株)製の REFLECT METER M
ODELTC-6MC を用いて測定し、次いで、画像が形成され
た印字後の記録媒体における非印字部(画像が形成され
ていない部分)の白色度を測定し、印字後の白色度と何
も印字していない記録媒体の白色度との差を求めて画像
かぶりの指標とした。この場合、両者間の白色度の差の
値が小さくなるほど、記録媒体上の画像かぶりが少ない
ことを示す。尚、画像かぶりの許容値は、一般的に、
2.0以下とされる。
【0048】また、トナーの流動性の指標としては、ト
ナーの嵩密度を適用した。例えば、流動性の良いトナー
では、1立方センチメートル当たりに充填される質量が
多くなり、流動性の悪いものは少なくなることを勘案し
たものである。前記各条件に従って測定した結果は、以
下の通りであった。 転写効率 83% 濃度 2.24 かぶり 0.75 嵩密度 0.39g/cm3
【0049】《実施例2》実施例1の場合と同一組成及
び同一方法により生成したトナー粒子100重量部に対
して、転写効率向上剤として金属塩により表面被覆され
た平均粒子径0.15μmのポリメチルメタクリレート
微粉体3重量部をハイブリダイザーにてトナー表面にコ
ートさせ、この後、平均粒子径10〜20nmの疎水性
シリカ微粉体を1重量部を混合し、ヘンシェルミキサー
で攪拌して乾式トナーとした。そして、前記条件で各測
定を行ったところ、測定結果は以下の通りであった。 転写効率 88% 濃度 2.06 かぶり 0.72 嵩密度 0.37g/cm3
【0050】《実施例3》実施例2の場合と同様にし
て、実施例1と同一組成及び同一方法により生成したト
ナー粒子100重量部に対して、転写効率向上剤として
金属塩により表面被覆された平均粒子径0.15μmの
ポリメチルメタクリレート微粉体5重量部をハイブリダ
イザーにてトナー表面にコートさせ、この後、平均粒子
径10〜20nmの疎水性シリカ微粉体を1重量部を混
合し、ヘンシェルミキサーで攪拌して乾式トナーとし
た。そして、前記条件で各測定を行ったところ、測定結
果は以下の通りであった。 転写効率 93% 濃度 2.05 かぶり 0.60 嵩密度 0.40g/cm3
【0051】《実施例4》実施例2の場合と同様にし
て、実施例1と同一組成及び同一方法により生成したト
ナー粒子100重量部に対して、転写効率向上剤として
金属塩により表面被覆された平均粒子径0.15μmの
ポリメチルメタクリレート微粉体10重量部をハイブリ
ダイザーにてトナー表面にコートさせ、この後、平均粒
子径10〜20nmの疎水性シリカ微粉体を1重量部を
混合し、ヘンシェルミキサーで攪拌して乾式トナーとし
た。そして、前記条件で各測定を行ったところ、測定結
果は以下の通りであった。 転写効率 95% 濃度 1.95 かぶり 0.58 嵩密度 0.35g/cm3
【0052】《実施例5》実施例2の場合と同様にし
て、実施例1と同一組成及び同一方法により生成したト
ナー粒子100重量部に対して、転写効率向上剤として
金属塩により表面被覆された平均粒子径0.15μmの
ポリメチルメタクリレート微粉体3重量部をハイブリダ
イザーにてトナー表面にコートさせ、この後、平均粒子
径2.6〜3.4μmの酸化アルミニウム微粉体0.2
重量部と、平均粒子径13nmの酸化アルミニウム微粉
体(日本アエロジル社製RFY−C)1重量部とを混合
し、ヘンシェルミキサーで攪拌して乾式トナーとした。
そして、前記条件で各測定を行ったところ、測定結果は
以下の通りであった。 転写効率 85% 濃度 1.90 かぶり 0.61 嵩密度 0.38g/cm3
【0053】《実施例6》実施例2の場合と同様にし
て、実施例1と同一組成及び同一方法により生成したト
ナー粒子100重量部に対して、転写効率向上剤として
金属塩により表面被覆された平均粒子径0.15μmの
ポリメチルメタクリレート微粉体3重量部をハイブリダ
イザーにてトナー表面にコートさせ、この後、平均粒子
径10〜20nmの疎水性シリカ微粉体を1重量部と、
平均粒子径2.6〜3.4μmの酸化アルミニウム微粉
体を0.5重量部を混合し、ヘンシェルミキサーで攪拌
して乾式トナーとした。そして、前記条件で各測定を行
ったところ、測定結果は以下の通りであった。 転写効率 88% 濃度 2.39 かぶり 0.53 嵩密度 0.42g/cm3
【0054】《実施例7》実施例2の場合と同様にし
て、実施例1と同一組成及び同一方法により生成したト
ナー粒子100重量部に対して、転写効率向上剤として
金属塩により表面被覆された平均粒子径0.4μmのポ
リメチルメタクリレート微粉体3重量部をハイブリダイ
ザーにてトナー表面にコートさせ、この後、平均粒子径
10〜20nmの疎水性シリカ微粉体を1重量部を混合
し、ヘンシェルミキサーで攪拌して乾式トナーとした。
そして、前記条件で各測定を行ったところ、測定結果は
以下の通りであった。 転写効率 83% 濃度 2.14 かぶり 0.70 嵩密度 0.40g/cm3
【0055】《実施例8》実施例2の場合と同様にし
て、実施例1と同一組成及び同一方法により生成したト
ナー粒子100重量部に対して、転写効率向上剤として
金属塩により表面被覆された平均粒子径0.8μmのポ
リメチルメタクリレート微粉体3重量部をハイブリダイ
ザーにてトナー表面にコートさせ、この後、平均粒子径
10〜20nmの疎水性シリカ微粉体を1重量部を混合
し、ヘンシェルミキサーで攪拌して乾式トナーとした。
そして、前記条件で各測定を行ったところ、測定結果は
以下の通りであった。 転写効率 90% 濃度 2.15 かぶり 0.52 嵩密度 0.41g/cm3
【0056】《実施例9》実施例2の場合と同様にし
て、実施例1と同一組成及び同一方法により生成したト
ナー粒子100重量部に対して、転写効率向上剤として
金属塩により表面被覆された平均粒子径1.5μmのポ
リメチルメタクリレート微粉体3重量部をハイブリダイ
ザーにてトナー表面にコートさせ、この後、平均粒子径
10〜20nmの疎水性シリカ微粉体を1重量部を混合
し、ヘンシェルミキサーで攪拌して乾式トナーとした。
そして、前記条件で各測定を行ったところ、測定結果は
以下の通りであった。 転写効率 80% 濃度 1.92 かぶり 0.32 嵩密度 0.37g/cm3
【0057】以上のように各実施例において得られた測
定結果における転写効率、画像濃度、画像かぶり、嵩密
度について考察すると、いずれの実施例においても転写
効率は80%以上であり、非常に高い転写効率となって
いる。これは、転写効率向上剤としてポリメチルメタク
リレート微粉体をトナー表面にコートさせることによ
り、トナーの電荷保持力が低くなってトナーの離型性が
格段に向上したことに基づくものと考えられる。また、
いずれの実施例においても、画像濃度については1.9
0以上の値が得られており、また、画像かぶりについて
は0.75以下の値が得られている。各値はいずれも許
容値を十分満足する値である。これは、ポリメチルメタ
クリレート微粉体の表面を金属塩により被覆することに
より、トナーの荷電制御を行ってトナーの帯電量分布を
シャープにすることが可能となり、これにより画像形成
部にはトナーを適正に付着させ得るとともに、非画像形
成部にはトナーを付着させないようにすることが可能で
あることに基づくものと考えられる。更に、嵩密度につ
いては、0.35g/cm3 以上となってトナーの流動
性が良好であることがわかる。これは、疎水性シリカ微
粉末を添加することにより、トナーの流動性が向上した
ことに基づくものである。また、トナーの流動性の向上
は、画像濃度を一定以上に保持することに寄与し得る。
【0058】次に、前記各実施例のトナーとの比較を行
うため各種の比較例に係るトナーを生成し、前記条件と
同一の条件に従って測定を行ってそれぞれにつき測定結
果を得た。以下に各比較例のトナーについて説明する。
【0059】《比較例1》前記実施例1の場合と同一組
成及び同一方法により生成したトナー粒子100重量部
に対して、転写効率向上剤として金属塩により表面被覆
された平均粒子径0.15μmのポリメチルメタクリレ
ート微粉体3重量部をメカノミルを介してトナーに外添
し、この後、平均粒子径10〜20nmの疎水性シリカ
微粉体1重量部を混合し、ヘンシェルミキサーで攪拌し
て乾式トナーとした。そして、前記条件で各測定を行っ
たところ、測定結果は以下の通りであった。 転写効率 91% 濃度 1.63 かぶり 0.52 嵩密度 0.28g/cm3
【0060】比較例1のトナーでは、転写効率と画像か
ぶりの値は良好であるが、嵩密度0.28g/cm3
あり、前記各実施例のトナーにおける嵩密度と比較して
小さな値であることから、トナーの流動性が低下してい
ることが分かる。これは、疎水性シリカ微粉末が外添さ
れているものの、ポリメチルメタクリレート微粉体がコ
ートされておらず、単に外添されているのみであること
に基づく。また、画像濃度の値は、1.63であり許容
値を満足していない。これも、トナーの流動性の低下に
起因するものと考えられる。
【0061】《比較例2》前記実施例1の場合と同一組
成及び同一方法により生成したトナー粒子100重量部
に対して、転写効率向上剤として金属塩により表面被覆
された平均粒子径3.5μmのポリメチルメタクリレー
ト微粉体3重量部をハイブリダイザーにてトナー表面に
コートさせ、この後、平均粒子径10〜20nmの疎水
性シリカ微粉体1重量部を混合し、ヘンシェルミキサー
で攪拌して乾式トナーとした。そして、前記条件で各測
定を行ったところ、測定結果は以下の通りであった。 転写効率 70% 濃度 1.87 かぶり 0.52 嵩密度 0.36g/cm3
【0062】比較例2のトナーでは、画像濃度、画像か
ぶり、及び、嵩密度については前記各実施例のトナーと
同等の値が得られているが、転写効率については70%
であり各実施例の場合よりも低下している。これは、ポ
リメチルメタクリレート微粉体の平均粒子径が3.5μ
mであり、各実施例のトナーの場合と比較して約4倍〜
20倍であり、その平均粒子径が大き過ぎることに起因
するものと考えられる。
【0063】《比較例3》前記実施例1の場合と同一組
成及び同一方法により生成したトナー粒子100重量部
に対して、転写効率向上剤として金属塩により表面被覆
された平均粒子径0.07μmのポリメチルメタクリレ
ート微粉体3重量部をハイブリダイザーにてトナー表面
にコートさせ、この後、平均粒子径10〜20nmの疎
水性シリカ微粉体1重量部を混合し、ヘンシェルミキサ
ーで攪拌して乾式トナーとした。そして、前記条件で各
測定を行ったところ、測定結果は以下の通りであった。 転写効率 67% 濃度 1.91 かぶり 0.32 嵩密度 0.39g/cm3
【0064】比較例3のトナーでは、画像濃度、画像か
ぶり、及び、嵩密度については前記各実施例のトナーと
同等の値が得られているが、転写効率については67%
であり、比較例2の場合と同様、各実施例の場合よりも
低下している。これは、ポリメチルメタクリレート微粉
体の平均粒子径が0.07μmであり、各実施例のトナ
ーの場合と比較して約1/2〜1/10であり、その平
均粒子径が小さ過ぎることに起因するものと考えられ
る。
【0065】前記したように、比較例2、比較例3のト
ナーでは、転写効率向上剤(この場合アクリル微粉体)
の平均粒子径が各実施例に使用された転写率向上剤の平
均粒子径の範囲から大きく外れており、これに基づき各
実施例のトナーに比して転写率が低下してしまう。
【0066】《比較例4》前記実施例1の場合と同一組
成及び同一方法により生成したトナー粒子100重量部
に対して、転写効率向上剤として金属塩により表面被覆
された平均粒子径0.15μmのポリメチルメタクリレ
ート微粉体0.5重量部をハイブリダイザーにてトナー
表面にコートさせ、この後、平均粒子径10〜20nm
の疎水性シリカ微粉体1重量部を混合し、ヘンシェルミ
キサーで攪拌して乾式トナーとした。そして、前記条件
で各測定を行ったところ、測定結果は以下の通りであっ
た。 転写効率 65% 濃度 2.25 かぶり 1.46 嵩密度 0.42
【0067】比較例4のトナーでは、画像濃度、画像か
ぶり、及び、嵩密度については前記各実施例のトナーと
同等の値が得られているが、転写効率については65%
であり、前記各比較例の場合と同様、各実施例の場合よ
りも低下している。これは、ポリメチルメタクリレート
微粉体の添加量が1重量部以下であり、その添加量が少
な過ぎることに起因するものと考えられる。
【0068】このように、転写効率向上剤(この場合ア
クリル微粉体)の添加量がトナーに対して1重量部以上
の範囲にない場合には、転写効率が低下してしまい前記
実施例1〜9における転写効率と比較してかなり低い転
写効率となることが分かる。
【0069】《比較例5》参考として、前記実施例1の
場合と同一組成及び同一方法により生成したトナー粒子
100重量部に対して、転写効率向上剤をトナー表面に
コートさせたり外添したりすることなく、平均粒子径1
0〜20nmの疎水性シリカ微粉体1重量部のみを外添
し、ヘンシェルミキサーで攪拌して乾式トナーとした。
そして、前記条件で各測定を行ったところ、測定結果は
以下の通りであった。 転写効率 62% 濃度 2.61 かぶり 1.81 嵩密度 0.42g/cm3
【0070】比較例5のトナーでは、画像濃度の値、画
像かぶりの値は共に許容値を満足しており、また、嵩密
度は前記各実施例の場合と同等の値が得られているが、
転写効率は62%であり、前記各比較例1〜比較例4の
場合よりも更に低い値しか得られていない。このよう
に、転写率向上剤が、トナー表面にコートされた形態や
トナーに外添された形態のいずれの形態でも全く含有さ
れていない場合には、トナーの転写効率が極端に低下し
てしまうことが分かる。
【0071】尚、本発明は前記各実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の
改良、変形が可能であることは勿論である。
【0072】
【発明の効果】以上説明した通り本発明は、静電潜像に
従って感光体上に形成されたトナー層を記録媒体に転写
する際における転写効率を向上することが可能であると
ともに、高い流動性に基づき良好な画像濃度を保持しつ
つ画像かぶりを少なくして見栄えの良い画像を形成する
ことが可能な静電潜像現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザビームプリンタの要部を模式的に示す説
明図である。
【符号の説明】
2 現像器 4 ブレード 6 アジテータ 8 供給ローラ 10 感光体 12 帯電ローラ 14 レーザスキャナ 16 トナー担持ローラ 18 記録媒体 20 転写ローラ 24 熱定着器 26 静電潜像現像剤

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光体上に形成された静電潜像をトナ
    ーにより現像して記録媒体に画像を形成する画像形成方
    法に使用される静電潜像現像剤において、前記静電潜像
    現像剤には、表面に転写効率向上剤をコートしたトナー
    が含有され、トナーには無機微粉体が外添されているこ
    とを特徴とする静電潜像現像剤。
  2. 【請求項2】 前記転写効率向上剤は、トナー100
    重量部に対して1重量部以上がトナーの表面にコートさ
    れていることを特徴とする請求項1記載の静電潜像現像
    剤。
  3. 【請求項3】 前記転写効率向上剤はポリマー微粉体
    からなり、その表面が金属塩で表面処理されるとともに
    平均粒子径が0.1μm〜3.0μmの範囲にあること
    を特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電潜像現像
    剤。
  4. 【請求項4】 前記ポリマー微粉体は、アクリルポリ
    マー微粉体、ビニルポリマー微粉体、スチレンポリマー
    微粉体、これらの各ポリマー微粉体を生成する際に使用
    されるモノマーを2種以上を共重合させた共重合ポリマ
    ー微粉体、又は、前記各ポリマー微粉体の2種以上を混
    合した混合物からなることを特徴とする請求項3記載の
    静電潜像現像剤。
  5. 【請求項5】 前記無機微粉体は、トナー100重量
    部に対して0.3重量部以上外添されたBET比表面積
    50〜300 m2/gの疎水性シリカ微粉末であること
    を特徴とする請求項2記載の静電潜像現像剤。
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