JPH0912753A - 制電性フイルム - Google Patents

制電性フイルム

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JPH0912753A
JPH0912753A JP7163409A JP16340995A JPH0912753A JP H0912753 A JPH0912753 A JP H0912753A JP 7163409 A JP7163409 A JP 7163409A JP 16340995 A JP16340995 A JP 16340995A JP H0912753 A JPH0912753 A JP H0912753A
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JP
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film
antistatic
mol
group
formula
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JP7163409A
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English (en)
Inventor
Sadami Miura
定美 三浦
Satoshi Kitazawa
諭 北澤
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0912753A publication Critical patent/JPH0912753A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制電性、耐背面転写性、耐ブロッキング性に
優れた磁気記録材料等に有用な制電性フイルムを提供す
る。 【構成】 ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、
ビニルピロリドン成分を5〜97モル%有する制電性共
重合体を含む水性塗液を塗布し、乾燥、延伸してつくら
れた制電性塗膜が設けられている制電性フイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制電性フイルムに関し、
更に詳しくは帯電防止性、背面転写性、耐ブロッキング
性に優れた、磁気カード(例えばテレホンカード、プリ
ペイドカード)、電子材料、グラフィック材料、OHP
フイルム、磁気記録材料(例えばオーディオテープ、ビ
デオテープ等の磁気テープやフロッピーディスク等の磁
気ディスク)等に有用な、特に磁気カード用に有用な制
電性フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートやポリエチ
レンナフタレート等のポリエステルからなるフイルムは
磁気カード用として、また包装材料、写真材料、グラフ
ィック材料等の一般工業材料用や磁気テープ等の磁気記
録材料用として広く使用されている。しかしながら、か
かるポリエステルフイルムは表面固有抵抗が大きく、摩
擦等で帯電し易いという欠点を有している。フイルムが
帯電すると、フイルム表面にゴミやほこりが付着し、こ
れらによるトラブルが生じる。また、加工工程で放電が
起こり、有機溶剤を用いている場合には引火の危険が生
じる。
【0003】このような帯電によるトラブルを防ぐ方法
の一つとして、フイルム表面に制電性塗膜を形成する方
法が種々提案され、かつ実用化されている。この制電性
塗膜に含有させる帯電防止剤としては低分子型のものや
高分子型のものが知られているが、それぞれ長短を有す
る。そこで、帯電防止剤はその特性を用途に合わせて使
い分けられている。
【0004】例えば低分子型の帯電防止剤としては、ス
ルホン酸塩基を有する長鎖アルキル化合物(特開平4―
28728号)等のような界面活性剤型のアニオン系帯
電防止剤が知られており、また高分子型の帯電防止剤と
しては、主鎖にイオン化された窒素元素を有するポリマ
ー(特開平3−255139号、特開平4−28812
7号、特開平6−172562号)や、スルホン酸塩変
性ポリスチレン(特開平5−320390号)等が知ら
れている。
【0005】しかし、低分子型の帯電防止剤を用いた制
電性塗膜では、帯電防止剤の一部が塗膜中を移動して界
面に集積しフイルムの反対面等に移行する(背面転写)
ことによる問題や、帯電防止性(制電性)が経時的に悪
化するという問題がある。一方、高分子型の帯電防止剤
を用いた制電性塗膜では、良好な制電性を得るために多
量の帯電防止剤の配合が必要であったり、膜厚の厚い制
電性塗膜を形成させることが必要であるため経済的でな
い。また、フイルム同士が剥離し難い(ブロッキング)
欠点や等がありその解決が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の問題点を解消し、帯電防止性、背面転写
性、耐ブロッキング性に優れた制電性フイルムを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、
下記式(I)で示される構成単位(i)5〜97モル
%、下記式(II)で示される構成単位(ii)3〜95モ
ル%及び下記式(III)で示される構成単位(iii)0〜9
2モル%の制電性共重合体(P)を含む水性塗液を塗布
し、乾燥、延伸してつくられた制電性塗膜が設けられて
いる制電性フイルムにより達成される。
【0008】
【化4】
【0009】
【化5】
【0010】[式(II)中、R1 はHまたはCH3 ;R2
は炭素数が2〜10のアルキレン基;R3 、R4 、R5
は炭素数が1〜6のアルキル基;X- はハロゲンイオ
ン、アルキルサルフェートイオン、有機スルホネートイ
オン又はナイトレートイオンを示す]
【0011】
【化6】
【0012】[式(III)中、R1 はHまたはCH3 ;Y
は水素元素、炭素数が1〜20の炭化水素基(脂肪族炭
化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素
基)、基内にエーテル結合(−O−)、ケトン結合(−
C(=O)−)、エステル結合(−COO−)若しくは
アミド結合(、−CON=)を有する炭素数が1〜20
の炭化水素基または末端に水酸基(−OH)、カルボキ
シル基(−COOH)、カルボキシル塩基(−COO
M)、スルホン酸基(−SO3 H)若しくはスルホン酸
塩基(−SO3 M)を有する炭素数が1〜20の炭化水
素基(但し、Mはアルカリ金属、4級アミンまたはテト
ラアルキルホスホニウム)である。] 以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】[ベースフイルム]本発明においてベース
フイルムはポリエステルフイルムであるが、該フイルム
を構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコ
ール成分からなる線状ポリエステルである。
【0014】このジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェ
ニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸等を挙げることができ、特にテレフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0015】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサ
ンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等を挙げることができ、特にエチレ
ングリコールが好ましい。
【0016】かかるポリエステルとしては、ポリエチレ
ンテレフタレート或いはポリエチレン―2,6―ナフタ
レートが高ヤング率である等の機械的特性に優れ、耐熱
寸法安定性がよい等の熱的特性等に優れるたフイルムが
得られるため好ましい。
【0017】上記のポリエステルは、上記ジカルボン酸
成分或いはグリコール成分等を共重合したポリエステル
であってもよく、三官能以上の多価カルボン酸成分或い
はポリオール成分をポリエステルが実質的に線状となる
範囲(例えば5モル%以下)で少量共重合したポリエス
テルであってもよい。
【0018】かかるポリエステルは常法によりつくるこ
とができ、ポリエステルの固有粘度が0.45以上であ
るとフイルムの剛性が大きい等の機械的特性が良好とな
るため好ましい。
【0019】上記のポリエステルには、フイルムの滑り
性を良好なものとするため、滑剤として平均粒径が0.
01〜20μm程度の有機や無機の微粒子を、例えば
0.001〜5重量%の配合割合で含有させることがで
きる。かかる微粒子の具体例として、シリカ、アルミ
ナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化
チタン、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、
炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリス
チレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹
脂粒子等を好ましく挙げることができる。
【0020】前記微粒子以外にも着色剤、公知の帯電防
止剤、酸化防止剤、有機滑剤(滑り剤)、触媒、蛍光増
白剤、可塑剤、架橋剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を必
要に応じて添加することができる。
【0021】本発明におけるベースフイルムには、制電
性フイルムの用途によって透明ポリエステルフイルムや
白色ポリエステルフイルムを用いることができる。この
透明ポリエステルフイルムとは、延伸後の光線透過率が
60%以上のものであり、特に80%以上のものが好ま
しい。また、白色ポリエステルフイルムとは、ポリエス
テルに例えば酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素等を
5〜30重量%配合したものであり、延伸後の光線透過
率が60%未満のもの、特に30%以下のものが好まし
い。白色ポリエステルフイルムをベースフイルムに用い
た白色の制電性フイルムは特に磁気カード用に好ましく
用いられる。
【0022】本発明におけるポリエステルフイルムは、
従来から知られている方法で製造することができる。例
えば、前記ポリエステルを溶融し冷却ドラム上にキャス
トして未延伸フイルムとし、該未延伸フイルムを縦方
向、次いで横方向に逐次二軸延伸する方法、或いは縦方
向と横方向に同時二軸延伸する方法で製造できる。更に
縦方向及び/又は横方向に再度延伸することもできる。
延伸処理はポリエステルの二次転移点(Tg)より高い
温度で、夫々の方向に2倍以上、さらには3倍以上延伸
することで行うのが好ましい。その際、面積延伸倍率は
8倍以上、さらには9倍以上とするのが望ましい。面積
延伸倍率の上限は、フイルムの用途にもよるが、35
倍、さらには30倍とするのが好ましい。延伸後に13
0〜260℃で熱処理して配向結晶化を完結させること
が好ましい。
【0023】[制電性共重合体(P)]本発明に用いる
制電性共重合体(P)は、前記式(I)で示される構成
単位(i)5〜97モル%、好ましくは10〜96モル
%、前記式(II)で示される構成単位(ii)3〜95モ
ル%、好ましくは4〜70及び前記式(III)で示される
構成単位(iii)0〜92モル%、好ましくは30〜86
モル%の共重合体である。この構成単位(i)が5モル
%未満では制電性塗膜の制電性が、特に低湿度の条件で
の制電性が不足し、97モル%%を超えると塗膜の耐熱
性が低下する。また、構成単位(ii)が3モル%未満で
は塗膜の制電性が不足し、90モル%を超えると耐熱性
が低下する。更に、構成単位(iii)が30〜86モル%
であると、制電性塗膜のポリエステルフイルムとの密着
性が良好となる。
【0024】構成単位(i)はビニルピロリドンにより
構成される単位である。
【0025】構成単位(ii)としては、例えば下記式
(II−1)〜式(II−3)を挙げることができる。
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】構成単位(iii)としては、例えば下記式
(III −1)〜式(III −10)を挙げることができ
る。
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】制電性共重合体(P)の平均分子量は1,
500〜300,000、特に2,000〜100,0
00であることがが好ましい。この平均分子量が1,5
00未満であると制電性共重合体(P)の制電性塗膜が
脆くなったり、背面転写性が悪化する傾向があり、平均
分子量が300,000を超えると水性塗液の粘度が高
くなりすぎフイルムに均一に塗布し難くなるため好まし
くない。
【0041】[バインダー樹脂(B)]本発明における
制電性塗膜には、塗膜とベースフイルムとの接着をより
強固なものとするため、制電性共重合体(P)とバイン
ダー樹脂(B)とが含まれることが好ましい。このバイ
ンダー樹脂としてはポリエステル樹脂(E)、アクリル
樹脂(A)、アクリル変性ポリエステル樹脂(M)等を
例示することができ、これらの樹脂から選ばれる1種以
上の樹脂を用いることが好ましい。特にポリエステル樹
脂(E)またはアクリル樹脂(A)を用いると、制電性
塗膜とベースフイルムとの接着性が良好になるため好ま
しい。
【0042】[ポリエステル樹脂(E)]ポリエステル
樹脂(E)は、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを
構成成分とする線状ポリエステルである。
【0043】このジカルボン酸成分としてはテレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4´
−ジフエニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、
ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等を
好ましく例示することができる。
【0044】また、グリコール成分としてはエチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ビスフェノールA−アル
キレンオキシド付加体、水添ビスフェノールA−アルキ
レンオキシド付加体、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等を好ましく例示することができる。
【0045】このポリエステル樹脂(E)には親水性を
付与するためにスルホン酸塩基を有する成分を共重合す
ることができる。ポリエステル樹脂(E)に親水性を付
与すると、水性塗液中での分散性が良好となる。かかる
成分としては、例えば5−Naスルホイソフタル酸、5
−Kスルホイソフタル酸等を挙げることができる。
【0046】ポリエステル樹脂(E)は、三官能以上の
多価化合物を実質的に線状のポリマーとなる範囲で少量
(例えば5モル%以下)共重合したものであってもよ
い。かかる三官能以上の多価化合物としては、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸、ジメチロールプロピオン酸、
グリセリン、トリメチロールプロパン等を例示すること
ができる。
【0047】[アクリル樹脂(A)]アクリル樹脂
(A)は、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アク
リル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸ソーダ、アクリ
ル酸アンモニウム、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸、メタクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸グリシジル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メトキシメチ
ルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等で
例示されるアクリル系単量体を主成分とする重合体或い
は共重合体であり、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、スチレンスルホン酸ソーダ、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルスルホン
酸ソーダ、メタリル酸ソーダ等の共重合成分を共重合し
た共重合体であってもよい。
【0048】[アクリル変性ポリエステル樹脂(M)]
アクリル変性ポリエステル樹脂(M)は、前記ポリエス
テル樹脂の存在下でアクリル酸エチル、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸ソー
ダ、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド等で例示されるアクリル系単量体を重合させて
つくられたグラフト共重合体であり、スチレン、α−メ
チルスチレン、スチレンスルホン酸ソーダ、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビ
ニルスルホン酸ソーダ、メタリル酸ソーダ等の単量体を
共重合成分として含むものであってもよい。
【0049】[その他のバインダー樹脂]制電性塗膜に
は塗膜とベースフイルムとの接着性を調節するため上記
以外のバインダー樹脂を配合することができ、かかる樹
脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル
樹脂、ポリエーテル樹脂、水溶性樹脂等を挙げることが
できる。
【0050】[界面活性剤(C)]本発明における制電
性塗膜には、塗膜とベースフイルムとの接着を強固なも
のとし、制電性フイルムの耐ブロッキング性を良好なも
のとするため、界面活性剤(C)を配合することができ
る。かかる界面活性剤(C)としては、例えばアルキレ
ンオキサイド単独重合体、アルキレンオキサイド共重合
体、脂肪族アルコール・アルキレンオキサイド付加物、
長鎖脂肪族置換フェノール・アルキレンオキサイド付加
重合物、多価アルコール脂肪酸エステル、長鎖脂肪族ア
ミドアルコール等のノニオン系界面活性剤、4級アンモ
ニウム塩を有する化合物、アルキルピリジニウム塩を有
する化合物、スルホン酸塩を有する化合物等のカチオン
系又はアニオン系界面活性剤等を挙げることができ、特
にノニオン界面活性剤が塗膜とベースフイルムとの接着
性や制電性フイルムの耐ブロッキング性に対する効果が
優れるため好ましい。尚、耐ブロッキング性とは、長尺
フイルムをロール状に巻いて保管した際にフイルム同士
の粘着(ブロッキング)が生じ難い特性のことである。
【0051】[制電性塗膜]本発明における制電性塗膜
は、前記の制電性共重合体(P)を含む塗膜であるが、
更にバインダー樹脂(B)を含む組成物からなる塗膜で
あることが好ましい。制電性塗膜に含まれる制電性共重
合体(P)の割合は1〜95重量%、特に5〜90重量
%であり、バインダー樹脂(B)が99〜5重量%、特
に95〜10重量%であることが好まし。制電性共重合
体(P)とバインダー樹脂(B)の割合がこの範囲であ
ると、制電性塗膜の制電性が良好となり、かつベースフ
イルムとの接着性が良好となるため好ましい。
【0052】また、水性塗液に含まれる固形分中に界面
活性剤(C)が25重量%以下含まれると、制電性塗膜
を均一に塗設できるため好ましい。
【0053】[水性塗液]本発明においては、制電性共
重合体(P)を含む水性塗液を用いて制電性塗膜を塗設
するが、この水性塗液には制電性塗膜表面の滑り性を良
好なものとし、フイルムの耐ブロッキング性を良好なも
のとするため滑剤を添加することができる。かかる滑剤
としては、例えばポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メ
ラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、尿素樹脂、
ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂等の微粒子を挙げることができる。これらの樹脂の
微粒子は、制電性塗膜に微粒子状で含まれるものであれ
ば熱可塑性であっても熱硬化性のものであってもよい。
水性塗液には、更にその他の成分として、酸化防止
剤、制電性共重合体(P)以外の帯電防止剤、着色剤、
顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、滑り剤(ワックス
等の滑り性付与剤)、紫外線吸収剤等を配合することが
できる。
【0054】水性塗液の固形分濃度は、1〜30重量%
が好ましく、特に2〜20重量%が好ましい。固形分濃
度がこの範囲にあると水性塗液の粘度が塗布に適したも
のになる。本発明に用いる水性塗液は、水溶液、水分散
液、乳化液等任意の形態で用いることができる。また、
水性塗液には少量の溶剤が含まれていてもよい。
【0055】[制電性塗膜の塗設]本発明においては、
ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、前記水性塗
液を塗布し、加熱乾燥、延伸することにより制電性塗膜
を塗設するが、水性塗液の塗布方法としては、公知の任
意の塗工法が適用でき、例えばグラビアコート法、リバ
ースロールコート法、ダイコート法、キスコート法、リ
バースキスコート法、オフセットグラビアコート法、マ
イヤーバーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコ
ート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコー
ト法等を単独または組み合わせて適用することができ
る。水性塗液のWET塗布量は走行しているフイルム1
2 当り1〜20g、特に2〜12gが好ましい。塗布
量がこの範囲であると乾燥が容易になり、かつ塗布斑が
生じ難いので好ましい。
【0056】本発明で水性塗液を塗布するポリエステル
フイルムとは、延伸可能なポリエステルフイルムであ
り、例えばポリエステルを熱溶融せしめ、そのままフイ
ルム状とした未延伸フイルム;未延伸フイルムを縦方向
(長手方向)または横方向(幅方向)の何れか一方に延
伸せしめた一軸延伸フイルム;縦方向或いは横方向の一
軸延伸フイルムを横方向或いは縦方向に逐次延伸せしめ
た(更に延伸可能な)二軸延伸フイルム、または未延伸
フイルムを縦方向および横方向の二方向に同時延伸せし
めた(更に延伸可能な)二軸延伸フイルムを挙げること
ができる。かかる延伸後のポリエステルフイルムの厚さ
は、1〜300μmが好ましい。
【0057】水性塗液は前記延伸可能なポリエステルフ
イルムのうち一軸延伸フイルム、特に縦方向の一軸延伸
フイルムに塗布することが、制電性塗膜の接着性が強固
なものになり、かつ効率良く制電性フイルムを製造でき
るため好ましい。例えば、ポリエステルを熱溶融し、シ
ート状に押出し冷却して未延伸フイルムとし、この未延
伸フイルムを縦方向に延伸して一軸延伸フイルムとした
後、水性塗液を塗布し、乾燥しつつ横方向に延伸し、必
要なら更に縦や横に再延伸した後熱処理して制電性塗膜
を塗設した制電性フイルムがつくられる。
【0058】本発明において水性塗液を塗布した後の乾
燥温度は80〜160℃とすることが塗液を迅速に乾燥
させることができるため好ましい。この乾燥のための加
熱はポリエステルフイルムを延伸する過程の加熱を兼ね
ことができる。また、ポリエステルフイルムを熱処理す
る温度は180〜250℃とすることができる。
【0059】塗設した制電性塗膜の厚さは0.005〜
3μm、特に0.015〜1μmが好ましい。塗膜の厚
さが0.005μmよりも薄いと制電性が不足すること
があり、1μmを超えると塗膜が削れ易くなることがあ
るため好ましくない。
【0060】[磁気カード]本発明の制電性フイルムは
磁気カード用として有用であり、白色ポリエステルフイ
ルムをベースフイルムに用いた白色の制電性フイルムは
特に磁気カード用に好ましく用いられる。尚、ここでい
う磁気カードとは、例えば制電性フイルムの片面に磁気
記録層(磁性層)を設け、もう一方の面にUVインキ等
により印刷層を設けたカードのことである。この磁性層
は、例えば磁性酸化鉄、変性塩化ビニル樹脂、ポリウレ
タン樹脂、ポリイソシアネート、分散剤等からなる磁気
塗料をベースフイルムに塗布し乾燥することにより塗設
することができ、磁気カードとして使用するには磁性層
の上に更に保護層を設けて用いることができる。また、
UVインキ等による印刷層は、例えば末端にアクリル基
を有するポリウレタンオリゴマーや末端にアクリル基を
有するビニルポリマー等に光増感剤、着色剤等を配合し
たインキをベースフイルムの制電性塗膜塗設面に印刷
し、紫外線を照射して硬化させることにより設けること
ができる。
【0061】磁気カードに用いる制電性フイルムの厚み
は、例えば50〜300μm、特に150〜250μm
のものがカードの剛性が良好となるため好ましい。
【0062】[透明制電性フイルム]また、透明ポリエ
ステルフイルムをベースフイルムに用いた透明制電性フ
イルムは磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録材料や
電子材料、グラフィックフイルム、製版フイルム、OH
Pフイルム用に好ましく用いられ、フイルムの厚みは用
途により変わるが、例えば15〜160μm、特に25
〜100μmのものが好ましく用いられる。
【0063】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。各特性値は下記の方法で測定した。尚、例中の
平均分子量は数平均分子量を意味する。
【0064】1.表面固有抵抗 サンプルフイルムを22℃×34%RHで20時間保持
した後、フイルム塗布面の表面固有抵抗を振動容量型電
位差測定器TR―84M型(タケダ理研社製)を用いて
測定した。尚、印加電圧は100Voltとした。
【0065】2.耐背面転写性 表面エネルギーがE0 dyne/cm のブランクフイルム(塗
膜を塗設しないポリエステルフイルム)の片面と、サン
プルフイルムの塗膜塗設面とを重ね、5 kg/cm 2 の荷重
を加えた状態で55℃、67%RHの雰囲気で7時間保
持した後剥離し、ブランクフイルムのサンプルフイルム
との接触面の表面エネルギー(E1 dyne/cm )を測定
し、得られた測定結果から下記の基準により耐背面転写
性を評価した。$ A: E1 /E0 ≧0.93(耐背面転写性良
好) B:0.93>E1 /E0 ≧0.85(耐背面転写性や
や良好) C:0.85>E1 /E0 (耐背面転写性不
良) 尚、表面エネルギーは、JIS−K6768−1977
の濡れ試験法に準じた濡れ指数を測定する方法により求
めた。
【0066】3.耐ブロッキング性 100mm幅に切断したフイルムサンプルを用い、フイ
ルムの塗膜塗設面と非塗設面とを重ね合わせて54kg
/cm2 の荷重を加え、53℃にて14時間保持した
後、塗設面と非塗設面との剥離力を測定し、耐ブロッキ
ング性を下記のとおり評価した。
【0067】 ランクA: 剥離力≦8g (耐ブロッキング性良
好) ランクB: 8<剥離力≦12g(耐ブロッキング性や
や不良) ランクC:12≦剥離力 (耐ブロッキング性不
良)
【0068】[実施例1]固有粘度0.65のポリエチ
レンテレフタレートを溶融して冷却ドラム上にキャスト
し、次いで92℃にて縦方向に3.5倍延伸して一軸延
伸フイルムとした。この一軸延伸フイルムの片面に、前
記式(I)で示される単位43モル%、前記式(II−
1)で示される単位44モル%、前記式(III −1)で
示される単位2モル%及び前記式(III −2)で示され
る単位11モル%からなる共重合体(P−1、平均分子
量:9,450)73重量部、メタクリル酸メチル成分
34モル%、メタクリル酸エチル成分42モル%、アク
リル酸エチル成分11モル%、メタクリル酸グリシジル
成分5モル%、アクリル酸2−ヒドロキシエチル成分4
モル%、アクリルアミド成分2モル%及びN−メトキシ
メチルアクリルアミド成分2モル%の共重合体(A−
1、平均分子量:45,880)11重量部、ジカルボ
ン酸成分としてテレフタル酸34モル%及びイソフタル
酸66モル%、グリコール成分としてエチレングリコー
ル84モル%、ジエチレングリコール9モル%及びポリ
エチレングリコール7モル%の共重合体(E−1、平均
分子量:17,890)5重量部、並びにエチレンオキ
シド・プロピレンオキシド・ブロック共重合体(C−
1、平均分子量:7,120)11重量部からなる組成
物の4重量%水性液をグラビアコーターで塗布した。次
いで塗布フイルムを98℃で乾燥後、105℃で横方向
に3.8倍延伸し、232℃で熱処理して制電性塗膜を
塗設した厚さ101μmのフイルムをつくった。フイル
ムの制電性塗膜の厚さは0.11μmであった。このフ
イルムの特性を表1に示す。
【0069】[比較例1]水性液を塗布しない以外は実
施例1と同様にして得たフイルムの特性を表1に示す。
【0070】[実施例2〜11および比較例2]制電性
塗液の組成、塗布厚さを表1に記載のように変更した以
外は実施例1と同様にして得たフイルムの特性を表1に
示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1より明らかなように、実施例1〜11
の制電性フイルムは、制電性、耐背面転写性、耐ブロッ
キング性に優れたものであった。
【0073】尚、表1の制電性塗膜組成において制電性
共重合体[P−2]、[P−3]、[P−4]、[P−
5]、制電性化合物[G−1]およびバインダー樹脂
[M−1]はそれぞれ下記の共重合体あるいは化合物で
ある。
【0074】[P−2]:前記式(I)で示される単位
50モル%、前記式(II−2)で示される単位44モル
%、前記式(III −1)で示される単位2モル%及び前
記式(III −3)で示される単位4モル%の共重合体
(平均分子量:12,450) [P−3]:前記式(I)で示される単位46モル%、
前記式(II−2)で示される単位44モル%、前記式
(III −1)で示される単位2モル%及び前記式(III
−4)で示される単位4モル%の共重合体(平均分子
量:21,880) [P−4]:前記式(I)で示される単位77モル%、
前記式(II−2)で示される単位13モル%及び前記式
(III −2)で示される単位10モル%の共重合体(平
均分子量:19,410) [P−5]:前記式(I)で示される単位30モル%、
前記式(II−2)で示される単位62モル%及び前記式
(III −2)で示される単位8モル%の共重合体(平均
分子量:16,400) [M−1]:ジカルボン酸成分として、テレフタル酸9
3モル%、アジピン酸6モル%及び5−Kスルホイソフ
タル酸1モル%、グリコール成分としてエチレングリコ
ール91モル%、1,4−ブタンジオール7モル%及び
ポリエチレングリコール2モル%の共重合ポリエステル
45重量%に、メタクリル酸エチル80モル%、アクリ
ル酸メチル8モル%、アクリル酸ブチル1モル%、メタ
クリル酸グリシジル5モル%、アクリル酸2ーヒドロキ
シエチル3モル%及びN−メチロールアクリルアミド3
モル%からなるアクリル系単量体55重量%をグラフト
重合した共重合体(平均分子量:52,330) [G−1]:C1225SO3
【0075】
【発明の効果】本発明の制電性フイルムは、制電性塗膜
成分として特定構造の制電性共重合体を用いるので、制
電性、耐背面転写性、耐ブロッキング性に優れ、磁気カ
ードや包装材料、写真材料、グラフィック材料、製版フ
イルム、OHPフイルム、磁気記録媒体等に有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/18 B32B 27/18 D 27/36 27/36 G11B 5/704 G11B 5/704 // B29K 67:00 B29L 7:00 9:00 C08L 67:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に、下記式(I)で示される構成単位(i)5〜97モ
    ル%、下記式(II)で示される構成単位(ii)3〜95
    モル%及び下記式(III)で示される構成単位(iii)0〜
    92モル%の制電性共重合体(P)を含む水性塗液を塗
    布し、乾燥、延伸してつくられた制電性塗膜が設けられ
    ている制電性フイルム。 【化1】 【化2】 [式(II)中、R1 はHまたはCH3 ;R2 は炭素数が2
    〜10のアルキレン基;R3 、R4 、R5 は炭素数が1
    〜6のアルキル基;X- はハロゲンイオン、アルキルサ
    ルフェートイオン、有機スルホネートイオン又はナイト
    レートイオンを示す] 【化3】 [式(III)中、R1 はHまたはCH3 ;Yは水素元素、
    炭素数が1〜20の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、脂
    環族炭化水素基または芳香族炭化水素基)、基内にエー
    テル結合(−O−)、ケトン結合(−C(=O)−)、
    エステル結合(−COO−)若しくはアミド結合(、−
    CON=)を有する炭素数が1〜20の炭化水素基また
    は末端に水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COO
    H)、カルボキシル塩基(−COOM)、スルホン酸基
    (−SO3 H)若しくはスルホン酸塩基(−SO3 M)
    を有する炭素数が1〜20の炭化水素基(但し、Mはア
    ルカリ金属、4級アミンまたはテトラアルキルホスホニ
    ウム)である。]
  2. 【請求項2】 制電性塗膜が、制電性共重合体(P)1
    〜95重量%、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂および
    アクリル変性ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる
    少なくとも1種のバインダー樹脂(B)99〜5重量%
    を含む請求項1記載の制電性フイルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002273834A (ja) * 2001-03-19 2002-09-25 Toray Ind Inc 積層フィルム

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