JPH09124332A - 光ファイバ用母材の製造方法 - Google Patents
光ファイバ用母材の製造方法Info
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Abstract
透明ガラス化工程と2〜3の工程を必要とすることなく
一工程で透明ガラス状のファイバ用シリカガラス母材を
得ること。 【解決手段】 一又は複数のコア等の周囲にクラッド層
が形成されて成る光ファイバ用母材の製造方法におい
て、シリカガラス製の外管内にコア等を形成する一又は
複数のシリカガラス棒を挿入すると共に、該外管とシリ
カガラス棒間にシリカを主成分とする粉状体を充填して
シリカ粉充填体を形成すると共に、前記粉状体充填域を
減圧雰囲気に維持しながら帯域溶融にて前記シリカ粉充
填体を軸方向に沿って順次加熱溶融しながら延伸させて
光ファイバ用母材を製造することを特徴とする。
Description
周囲にクラッド層が形成されて成る光ファイバ用母材の
製造方法に係り、特に従来のコアとクラッドが同心状に
配置されてなる石英系充填コアクラッド形光ファイバに
加えて偏心コアファイバ、2コアファイバのような異形
ファイバ若しくは伝送コアの両側にコア状応力付与部を
具えた偏波保持ファイバ等の光ファイバ用母材を容易に
製造するための光ファイバ用母材の製造方法に関する。
て、エネルギー伝送用や光応用・計測用に用いるものが
種々開発されている。例えば光応用計測用ファイバは通
常の通信用ファイバと比べてそのコア形状等の断面構造
等で種々の違いが見られる。例えば図3(A)には、コ
ア31をクラッド32の周縁側に偏心させた偏心コアフ
ァイバ33が開示されており、かかる偏心コアファイバ
33では光のフィールドの裾がファイバの外まで広がっ
ているので、ファイバの外側面に液体が付着すると、光
の減衰の有無として検知できる。又図3(B)には、二
つのコア32をクラッド31に挿設した2コアファイバ
34が開示されており、かかる2コアファイバでは、例
えば受信側と送信側で複数の伝送路を独立して形成でき
る。更に図3(C)には、伝送用の通信コア31の両側
に、一対のコア状応力付与部31’を挿設した偏波ファ
イバ35が開示されており、かかる偏波ファイバ35で
は、応力付与部を結ぶ方向に偏波面を持つ直線偏波と、
それと直交する方向に偏波面を持つ直線偏波の2つの固
有モードが伝播可能である。
た光ファイバ母材を製造する方法の一つとして粉末成型
法を応用した技術が提案されている。例えば、特開平6
2−65947号、特開平4−124043号において
は、成型容器内にコア材としてのシリカガラスロッドを
入れ、その周囲にクラッド材となり得る粉末を充填し、
そのまま熱間静水圧プレスで仮焼結して多孔質ガラス成
形体を形成し、その後成形容器より前記多孔質体を取り
だし、脱水焼結して透明ガラス化を完了させる。
焼結による多孔質ガラス成形体を形成する工程、成形容
器より前記多孔質体を取りだした後脱水焼結を行う工
程、という2つの工程を必要とするのみならず、仮焼結
の都度成形容器より多孔質体を取り出さなければなら
ず、工程が煩雑化する。
後の多孔質体を押出し成形により排出するようにした通
路を有する容器を具えた石英系ガラス母材の製造方法を
特開平4−124042号公報で提案している。
多孔質体形成と脱水/透明ガラス化工程と2〜3の工程
を必要とすることには変わりがなく、しかも通路を有す
る容器はその形状が中々複雑化し、製造コスト及び設備
コストの増大につながる。
本的に成型容器(型枠)が必要とされ、また容器とシリ
カガラス粉末が接触しているために、溶融時成型型枠か
らの汚染がある。このため特開平62−65947号等
では前記容器を石英ガラス製にしているが、該容器は成
形の都度変形等により廃棄せねばならず、これは製造コ
ストの無用な増大につながる。
を用いるも多孔質体形成工程と脱水/透明ガラス化工程
と複数の工程を必要とすることなく一工程で透明ガラス
状のファイバ用シリカガラス母材を得ることの出来る発
明を提供する事にある。本発明の他の目的は透明ガラス
化工程で気泡等が発生することなく、高寸法精度、表面
に擦り傷のない事、高純度等の品質条件を容易にクリア
できるファイバ用シリカガラス母材の製造方法を提供す
る事にある。
コア等の周囲にクラッド層が形成されて成る光ファイバ
用母材の製造方法において、シリカガラス製の外管内に
コア等を形成する一又は複数のシリカガラス棒を挿入す
ると共に、該外管とシリカガラス棒間にシリカを主成分
とする粉状体を充填してシリカ粉充填体を形成すると共
に、前記粉状体充填域を減圧雰囲気に維持しながら帯域
溶融にて前記シリカ粉充填体を軸方向に沿って順次加熱
溶融しながら延伸させ、好ましくは前記帯域溶融後の延
伸を、帯域溶融前の外管外径の1/2以下より好ましく
は1/3以下の直径になるように延伸させて光ファイバ
用母材を製造することを特徴とするものである。
垂直下方に移動させた方が装置の小形化の面で好ましい
が、前記帯域溶融の為の加熱手段をシリカ粉充填体の軸
方向に、下端側より上方に向け移動させてもよい。この
場合、シリカ粉充填体を軸回転させながら帯域溶融させ
るのがより好ましい。又前記充填域内の減圧雰囲気は1
Torr以下の真空であること事が好ましい。
を加熱するのではなく、減圧下で該シリカ粉充填体下端
より上端に向けて帯域溶融にてリングゾーン状に徐々に
加熱するものであるために、粉状ガラス体内よりの析出
ガスや残存ガスが巻き込まれることなく実質的に無気泡
で加熱溶融できる。
カガラス製外管は成形枠として機能し、帯域溶融後は該
外管と粉状体が一体化してクラッド部位として機能する
ため、成形枠部分が有効に活用されることになる。又1
本のガラス体を直接帯域溶融出来るために、例えば外径
60〜200mm、原料粉充填長1〜10mの大口径の
シリカガラス製外管を用いて製造する事も可能であり、
この結果光ファイバ用母材の製造が容易である。尚、前
記帯域溶融手段として下記実施例では円形電気炉を用い
ているが、これのみに限定されない。
体として結晶質シリカ粉又は非晶質シリカ粉のいずれも
用いることが可能である。結晶質シリカ粉を用いた場
合、例えば水晶粉等の結晶質シリカ粉は1730℃にメ
ルティングポイントを有する為に1730℃以上に加熱
帯域溶融する事により一気に溶融させ、溶融ガラス内の
気泡発生を極力抑える事が出来る。しかしながら水晶粉
等の結晶質シリカ粉は、573℃にα型からβ型への転
移点を有するために、加熱開始時から外管の粘度が低下
するまでの間に該外管内部の水晶粉のα型からβ型への
転移による急激な膨張により外管の破壊が生じてしま
う。
るシリカ原料粉が天然水晶粉、合成水晶粉、合成クリス
トバライト粉の結晶質シリカ粉を用いる場合は、シリカ
粉充填体の充填域内先端に非晶質シリカを主成分とする
粉状体を充填し、その後水晶粉その他の結晶質シリカを
主成分とする主原料シリカ粉を充填するのがよい。この
結果最初に帯域加熱される充填域下端側に、言い換えれ
ば加熱開始時に外管の粘度が低下する前の区域に、前記
転移点のない非晶質シリカ粉を主成分とする粉状体が存
在するために、α型からβ型への転移自体が存在せず外
管の破壊を阻止し得る。
トゾーン(均熱幅域)の予熱により外管の粘度が低下
し、その部分の結晶質シリカ粉がα型からβ型への転移
による急激な膨張が生じても外管の破壊を有効に阻止し
得る。尚、前記非晶質シリカ粉の充填長さは、帯域加熱
手段のヒートゾーン(均熱幅域)より大、具体的には前
記帯域溶融を円筒型電気炉で行う場合に、先端に非晶質
シリカ粉を主成分とする粉状体を円筒型電気炉の均熱長
さ以上になるように入れる事が必要である。しかし余り
に大量に投入すると実質的な無気泡域が少なくなり生産
性が低下するために、好ましくは粉状体の全充填量の2
0%未満がよい。
合成水晶粉、合成クリストバライト粉のいずれかであ
り、粒径が10〜1000μm、好ましくは20〜50
0μm、より好ましくは50〜200の範囲でかつ10
μm未満の微粒子含有比率が0.1wt%以下である事
が必要である。
え充填域を真空引きしても内部まで真空にする事が出来
ず、又帯域溶融でも気泡がぬけにくくなってしまい、溶
融したシリカガラス中に気泡が多量に含まれてしまい、
且つ断熱効果により均一な伝熱を困難にする。又、粒径
が1000μm以上では、溶融時均一にならなかった
り、同様に例え水晶粉を用いても粉体間の空隙により気
泡の発生を解消出来ない。
する場合、前記の様に結晶質シリカ粉を用いる事が出来
ない場合がある。この様な場合は、合成シリカガラスの
ように高純度非晶質シリカ粉を用いても実質的な無気泡
な光ファイバ用母材が製造できればよい。このためには
非晶質シリカ粉をあらかじめ水素含有雰囲気若しくはヘ
リウム含有雰囲気にて600〜1200℃の範囲にて加
熱処理を行なった後、シリカ粉充填体を形成し、帯域溶
融する必要がある。
ムからなる残留ガスが存在しても溶融時にこれらが溶融
ガラス中に吸蔵/ドープされ、気泡の発生を阻止でき
る。そしてこの様に非晶質のシリカ粉のみを原料とする
場合には外管下端部分も同じ非晶質シリカ粉を充填す
る。
に、シリカガラス棒としてゲルマニウム等の絶対屈折率
を上げるためのドーパントの含まれていない高純度合成
シリカガラス棒を使用する場合において、シリカを主成
分とする粉状体としてフッ素またはホウ素の少なくとも
1種類が含有されているシリカ粉を用い、そして溶融後
のシリカガラスロッドの絶対屈折率が波長589nmに
おいて、1.450以下に設定するのが良い。
手段内への(重力方向の)送り速度と該帯域加熱手段に
より溶融された棒状透明シリカガラス体の引き速度を制
御することにより実質的に無気泡の光ファイバ用母材を
得る事が出来る。送り速度と引き速度のみの制御により
寸法制御を行うものであるために、すなわち非接触で且
つ重力方向における引きで寸法制御を行うために、高寸
法精度で且つ表面に擦り傷のないシリカガラスロッドを
得る事が出来る。
前記溶融前のシリカ粉充填体の直径Bと棒状透明シリカ
ガラス体の直径Aの比(B/A)が2倍以上、好ましく
は3倍以上になるようにすることにより、一層の高精度
寸法の達成とともに、表面の擦り傷発生阻止を図る事が
出来る。
0.2mmであり、(外径)×2%〜(外径)×20%
の厚み、より具体的には外径が30〜200mmの範囲
で、外径の2〜20%の厚みを有する外管を用いるのが
良い。即ち肉厚は0.5mm未満若しくは2%以下では
強度と耐熱性が不足し、又外管の肉厚が(外径)×20
%以上では粉状体への熱伝導が遅延しその分加熱時間が
長くなると共に、シリカ原料粉の充填量が少なくなるた
めに、経済性も低下する。
若しくはコア状応力付与部をファイバ母材断面の任意の
位置に設定できるために、偏心コアファイバや複数コア
ファイバを製造する場合有利な製造方法である。
(以下母材と言う)は、母材外径寸法精度がよいこと、
外表面に擦り傷のないこと、気泡の含有が少ないこと、
少量のシリカ原料粉からでも作成できること、電気炉を
汚染することなく特定元素がドープされたシリカガラス
を得られること、シリカ原料粉の高純度が保存されてい
ること、母材のコア部分の位置が精度良く設定される、
等の有利性を有し、この為、後記する各種用途のファイ
バ母材を得ることが出来る。偏心コアファイバ、2コア
ファイバのような異形ファイバ若しくは伝送コアの両側
にコア状応力付与部を具えた偏波保持ファイバのような
光応用、計測コアファイバに加えてコア部(シリカガラ
ス棒部分)が塩素100wtppm以下、繊維金属元素
Ti,Cr,Fe,Ni,Cuの合計含有量が10wt
ppb以下の高純度合成シリカガラスであり、クラッド
部がシリカ原料粉の溶融されたコア部に比較して相対的
に低い、光エネルギー伝送用ファイバ等のファイバ母材
の製造も可能である。
手順としての実施形態を説明する。但し、この実施形態
に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相
対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発
明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例
にすぎない。 (1)外管1及びシリカガラス棒2の準備 外径30〜200mmの範囲、肉厚は外径の2〜20%
の範囲(最低肉厚0.5mm以上)、長さ1〜5mの範
囲の外管1を準備する。 この外管1の材質は溶融天然
石英ガラス又は合成シリカガラスのいずれでも使用可能
である。
るシリカガラス棒を1又は複数本準備する。このシリカ
ガラス棒の材質は溶融天然石英ガラス又は合成シリカガ
ラスのいずれでも使用可能であるが、光伝送損失を少な
くする為には、高純度合成シリカガラスの方が適してお
り、特に光エネルギー伝送用ファイバ等のファイバ母材
の製造には、塩素100wtppm以下、遷移金属元素
Ti,Cr,Fe,Ni,Cuの合計含有量が10wt
ppb以下の高純度合成シリカガラスが好ましい。
基準は、製造しようとするファイバ用シリカガラス母材
9のレシオ(母材の直径/コア部の直径)と、ファイバ
用シリカガラス母材9の直径寸法により決まって来る。
すなわち、(外管1の外径/シリカガラス棒2の直径)
の比率は(ファイバ用シリカガラス母材9の直径/コア
直径)のレシオより同じか、若干大きめに設定する必要
がある。また、外管1の外径は、製造後のファイバ用シ
リカガラス母材9外径の2倍以上、好ましくは3倍以上
とすることが好ましい。
カガラス母材9の直径が30mm、コア部直径が20m
mの時、外管1の外径は120mm、シリカガラス棒2
の直径は80mmとなるのが良い。尚、(外管1の外径
/シリカガラス棒2の直径)の比率をファイバ用シリカ
ガラス母材9のレシオより同じか、若干大きめに設定す
る理由は、シリカ原料粉を充填したシリカ粉充填体10
を加熱溶融して延伸する手法のために、基本的にはレシ
オをほぼ一定に保持する方向にしか制御不可能であるこ
とによる。外管1、シリカガラス棒2の各長さは、製造
しようとするファイバ用シリカガラス母材9の数量、合
計重量と、充填するシリカ原料粉の必要重量から任意に
決まる。
た理由は、外径が200mmを越えるとシリカ粉充填体
の円筒型電気炉を使っての溶融が、技術的に、工業的に
困難となるためであり、30mm未満のシリカガラス中
空体を溶融して例えば5mm程度の小口径のファイバ用
シリカガラス母材9を製造することは技術的に可能であ
るが、経済性が低いためである。また、外管1の外径
を、製造後のファイバ用シリカガラス母材9の直径の2
倍以上、好ましくは3倍以上とした理由は、本発明が加
熱溶融して延伸する手法の為に、この倍率を大きくする
方がシリカガラス母材の直径制御が正確にやりやすい為
である。
に、小口径のシリカガラス棒2を1本または複数本挿入
し、これら管体の下端には、シリカガラス棒2と外管1
との間を封止板3にて加熱融着し、 外管1とシリカガ
ラス棒2の空隙(充填域)4にシリカ粉体原料を充填で
きるような形に形成する。一方前記シリカガラス中空体
10の上端側の、外管1とシリカガラス棒2の間には蓋
板6を設けると共に、該蓋板6に真空引き用ポンプへ接
続するためのフランジ付き枝管5を設ける。
除去/洗浄処理 前記のように形成したシリカガラス中空体10を105
0゜Cで10hrs加熱処理を行ない、熱歪除去処理を
行った後、10wt%フッ化水素水溶液に前記ガラス体
10を10min浸し洗浄およびマイクロクラックの除
去を行なった後、清浄な雰囲気で乾燥を行なう。
ガラス棒2が、ファイバ母材のコア部分となり、外管1
とシリカ原料粉7充填部分がクラッド部分となる。従っ
て例えば光エネルギー伝送用ファイバ母材の製造におい
て、シリカガラス棒2としてゲルマニウム等の絶対屈折
率を上げるためのドーパントの含まれていない高純度合
成シリカガラス棒を使用した場合、シリカ原料粉7には
絶対屈折率を下げるためフッ素またはホウ素を含有さ
せ、そして溶融後のシリカガラスファイバ母材9のクラ
ッド部分の絶対屈折率が波長589nmにおいて、1.
450以下に設定するのが良い。
水晶、合成クリストバライト、合成シリカガラスのいず
れか1種類以上を用いるが、前記絶対屈折率の制御を行
うシリカ原料粉7の製造を行う為には原料粉7にほう素
の化合物、例えばオルトホウ酸H3BO3を水溶液とし、
混合乾燥して該原料粉を製造することも可能である。又
ゾルゲル法によってほう素を所定濃度ドープした合成シ
リカガラス粉や合成クリストバライト粉も製造可能であ
る。あるいは、CVDスート法によりフッ素またはホウ
素の少なくともいずれか一方を含有するスート粉を作成
し、次いでこのスート粉を必要に応じ造粒して、原料シ
リカ粉としてもよい。さらに、天然水晶粉、天然石英粉
にホウ素であれば三酸化二ホウ素B2 O3 、ホウ酸H3
BO3 等の化合物を混合させたものを原料シリカ粉とし
て用いても良い。
しい。これ以下では真空引き時に、圧力損失が大きくな
り充分に減圧雰囲気とすることが困難となり、溶融した
シリカガラス中に小さな気泡が多くなってしまう。ま
た、これ以上では、シリカ原料粉7をシリカガラス中空
体10に充填した時の充填密度が上がらず、溶融したシ
リカガラス中に大きな気泡が残りやすくなる。
あり、具体的には主要不純物元素LiとCaが500w
tppb以下、Na、Mg、Kが100wtppb以
下、より好ましくは5元素同時に各々50wtppb以
下が良い。理由としては、これら不純物元素を高濃度で
含有するシリカ原料粉7を使ってファイバ用母材9を製
造した後、線引するときに、不純物が核生成剤となり、
再結晶化を起こしやすくなり、最悪の場合ファイバが途
中で折れてしまうことがあるからである。
じめ真空中、水素含有雰囲気若しくはヘリウム含有雰囲
気にて600〜1200℃の範囲にて加熱処理を行なう
とその後の溶融時のシリカガラス中の泡の量が少なくな
る。
原料粉7の充填によるシリカ粉充填体の作成 主原料シリカ粉に結晶質シリカを用いる場合は、図2に
示すように、シリカガラス中空体10のシリカガラス棒
2と外管1との間の下端部分には合成シリカガラス粉7
aを入れ、次いで結晶質シリカ粉7bを入れるか、徐々
に結晶粉の比率を大きくしたシリカ粉を入れていく。下
端のシリカガラス粉7aの充填長さは、溶融に使用する
円筒型電気炉8のヒートゾーンL(均熱幅域)より大き
くしなければならない。この理由は、前記した通りであ
る。尚、主原料シリカ粉としてすべてを非晶質シリカ粉
とする場合は、先端部分からすべて同一種類のシリカガ
ラス粉7を順次充填すれば良い。
うに、前記蓋板5のフランジ付き枝管5より先ず合成シ
リカガラス粉7aを投入し、次いで天然水晶粉7bで充
填域4を充填した。この場合合成シリカガラス粉体層7
aの長さが円筒型電気炉8のヒートゾーンL(均熱幅
域)より大にする。
帯域溶融透明ガラス化 次に図1に示すように、前記蓋板5のフランジ付き枝管
5よりシリカガラス棒2と外管1の間のシリカ粉体7の
充填域4内を1Torr以下に真空引きした後、シリカ粉充
填体10の先端部分を円筒型電気炉8に挿入し、電気加
熱を開始する。先端部分が溶融落下したら、次にシリカ
粉充填体10のヒータ8への投入速度と、帯域溶融して
出て来た光ファイバ用母材9の引き速度を制御しながら
延伸を行う。
部直径の寸法が一定し、安定するまで、上述の項目の微
調整をくり返し行なう。光ファイバ用母材9の外径は、
シリカ粉充填体10の外径の1/3以下であれば、制御
が容易である。
る。本実施例は便宜的に1本のコアとその周囲にクラッ
ドが同心状に位置する同心コアシリカガラス系ファイバ
母材の製造に関するが、かかる同心充填コアクラッド形
光ファイバに加えて偏心コアファイバ、2コアファイバ
のような異形ファイバ若しくは光伝送用コアの両側にコ
ア状応力付与部を具えた偏波保持ファイバ等の光ファイ
バ用母材を製造するのも前記実施対応から容易に製造可
能である。
石英粉の電気加熱溶融法で製造した信越石英(株)製の
Heralux-E-LAを用いて外径160mm、肉厚6mm、
長さ2mの外管1を製造する。一方シリカガラス棒2は
四塩化珪素原料の酸水素火炎加水分解法である信越石英
(株)製のSuprasil−F310を用い、直径120m
m、長さ1.5mのシリカガラス棒2を用意する。シリ
カガラス棒2はCl含有量10wtppm、主要不純物
元素Tiが0.1wtppb、Crが0.01wtpp
b、Feが0.1wtppb、Niが0.01wtpp
b、Cuが0.01wtppbであった。尚、Cl分析
は比濁法、他の金属元素は誘導結合プラズマ質量分析法
による。
ーナ加熱加工により、図2に示す二重構造のシリカガラ
ス中空体10を作成する。 シリカガラス中空体10の熱歪除去/洗浄処理:横型円
筒型電気加熱炉により、1100℃,5hrsの加熱歪
処理を行ない、その後室温まで徐冷却し、次に3wt%
フッ素水素酸水溶液にてエッチング洗浄を行ない、続い
てイオン交換水にて洗浄を行ない、乾燥した。
有のシリカガラス微粉末をCVDスート法により合成し
た。次いでこの微粉末を造粒し、加熱処理にてクリスト
バライト化し、粒径10〜200μmの範囲に調整し
た。 シリカガラス粉の調整:ゾルゲル法にて合成シリカガラ
ス粉を作成し、 粒径を10μm〜500μmの範囲に
調整した。 シリカガラス中空体10へのシリカ原料粉7の充填によ
るシリカ粉充填体の作成:先端に約2kgのシリカガラ
ス粉を充填した。充填長さは約200mmとした。この
理由は帯域溶融させるための円筒型電気炉の均熱長が1
00mmである為、これより長くさせるためである。次
に、主原料シリカ粉としてのフッ素ドープ合成クリスト
バライト粉を約10kg充填した。
ス化:シリカ粉充填体10のシリカ原料粉7が充填され
ている充填域4を1Torr以下の真空に引き、次いでヘリ
ウムガス希釈の水素ガス5volum%の混合ガスを導入し
て原料粉の空隙雰囲気のガス置換処理を5回繰り返し行
った。
Torr以下の真空に維持しつつ、円筒型電気炉8の上部よ
り、ゆっくりとシリカ粉充填体10の先端を挿入し、炉
を昇温させた。しばらくすると、先端部分が溶融透明ガ
ラス化し、炉の下に落下を始めた。次いで、シリカ粉充
填体10の炉への送り速度と、炉下部からの透明ガラス
となった光ファイバ用母材9の引き速度の制御を行なう
ことにより、光ファイバ用シリカガラス母材9の直径を
所定寸法に調整した。
バ用母材9として、直径40mm、長さ500mmの母
材10本を作成し、これらの物性評価を行なった。
は1.4585であり、クラッド部の絶対屈折率ndは
1.450であった。
成型法で示されている多孔質体形成工程と脱水工程、透
明ガラス化工程と複数の工程を必要とすることなく一工
程で透明ガラス状のファイバ用シリカガラス母材を得る
ことの出来る発明を提供する事が可能である。また本発
明によれば、透明ガラス化工程で気泡等が発生すること
なく、高寸法精度、表面に擦り傷のない事、高純度等の
品質条件を容易にクリアできる光ファイバ用母材を得る
ことが出来る。
製造するにあたり以下の課題を解決する事が出来た。光
ファイバ用母材として必要なコアとクラッドの屈折率差
を有するのみならず、実質的に無気泡で且つ寸法精度が
良く而も表面にすりきずのない光ファイバ用母材が得ら
れる。例えば前記製法により直径が10〜100mm、
長さ1mにおいて半径方向の円周振れ公差が(直径)×
0.5%以内、半径方向の全振れ公差が(直径)×1%
以内で、更にはシリカガラスの100cm3 に存在する
泡の総断面積が1mm 2 以下であるファイバ用シリカガ
ラス母材を得る事が出来る。
成型型枠を用いず、またシリカガラス粉末はシリカガラ
ス棒と外管との間に保護されている為に溶融時汚染が生
じることなく、シリカ原料粉の組成、不純物濃度が保存
されたシリカガラスが得られる。更にシリカ原料粉とし
て高純度品を使った場合、得られる光ファイバ用母材の
クラッド純度も高純度が維持される。
す。
の充填状態を示す。
図3(A)には偏心コアファイバが、図3(B)には、
2コアファイバ、更に図3(C)には偏波ファイバが夫
々開示されている。
体) 10 シリカガラス中空体又はシリカ粉充填体 31、31’コア等 32 クラッド層 33 偏心コアファイバ 34 2コアファイバ 35 偏波保持ファイバ L 均熱長
Claims (11)
- 【請求項1】 一又は複数のコア等の周囲にクラッド層
が形成されて成る光ファイバ用母材の製造方法におい
て、 シリカガラス製の外管内にコア等を形成する一又は複数
のシリカガラス棒を挿入すると共に、該外管とシリカガ
ラス棒間にシリカを主成分とする粉状体を充填してシリ
カ粉充填体を形成すると共に、前記粉状体の充填域を減
圧雰囲気に維持しながら帯域溶融にて該シリカ粉充填体
を軸方向に沿って順次加熱溶融しながら延伸させ、棒状
透明シリカガラス体を得ることを特徴とする光ファイバ
用母材の製造方法 - 【請求項2】 前記帯域溶融後の棒状透明シリカガラス
体の直径を、帯域溶融前の外管外径の1/3以下になる
ように延伸することを特徴とする請求項1記載の光ファ
イバ用母材の製造方法 - 【請求項3】 前記シリカ粉充填体を軸回転させながら
帯域溶融させることを特徴とする請求項1記載の光ファ
イバ用母材の製造方法 - 【請求項4】 充填域内へ充填される前記シリカを主成
分とする粉状体が天然水晶粉、合成水晶粉、合成クリス
トバライト粉、合成シリカガラス粉のいずれか1種類以
上である事を特徴とする請求項1記載の光ファイバ用母
材の製造方法 - 【請求項5】 前記帯域溶融を円筒型電気炉で行う場合
に、シリカ粉充填体の先端に非晶質シリカを主成分とす
る粉状体を円筒型電気炉の均熱長さ以上になるように入
れ、次いで結晶質シリカを主成分とする主原料シリカ粉
を入れることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ用
母材の製造方法 - 【請求項6】 前記シリカ粉充填体の、該粉状体の充填
域を水素含有ガス若しくはヘリウム含有ガスで置換した
後に帯域溶融を行うことを特徴とする請求項1記載の光
ファイバ用母材の製造方法 - 【請求項7】 光エネルギー伝送用ファイバ母材におい
て、シリカガラス棒として高純度合成シリカガラス棒を
使用する場合、前記シリカを主成分とする粉状体が、フ
ッ素またはホウ素の少なくとも1種類が含有されている
シリカ原料粉であり、溶融後のシリカガラスロッドの粉
状体溶融部の絶対屈折率が波長589nmにおいて、
1.450以下であることを特徴とする請求項1記載の
光ファイバ用母材の製造方法 - 【請求項8】 前記シリカを主成分とする粉状体の不純
物濃度を外管の不純物濃度に実質的に一致させた請求項
1記載の光ファイバ用母材の製造方法 - 【請求項9】 前記シリカ粉充填体の帯域加熱手段内へ
の重力方向の送り速度と該帯域加熱手段により溶融され
た棒状透明シリカガラス体の引き速度を異にすることを
特徴とする請求項1記載の光ファイバ用母材の製造方法 - 【請求項10】 前記シリカを主成分とする粉状体が天
然水晶粉、合成水晶粉、合成クリストバライト粉のいず
れか1種類以上であり、且つ該粉状体が、真空下又は水
素含有雰囲気若しくはヘリウム含有雰囲気下で600〜
1200℃の範囲にて加熱処理されている事を特徴とす
る請求項1記載の光ファイバ用母材の製造方法 - 【請求項11】 前記シリカを主成分とする粉状体が高
純度非晶質シリカ粉であり、且つ該非晶質シリカ粉があ
らかじめ水素含有雰囲気若しくはヘリウム含有雰囲気に
て600〜1200℃の範囲にて加熱処理されている事
を特徴とする請求項1記載の光ファイバ用母材の製造方
法
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- 1995-10-31 JP JP30695495A patent/JP3797567B2/ja not_active Expired - Fee Related
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