JPH09123624A - 熱転写記録用シート - Google Patents

熱転写記録用シート

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Publication number
JPH09123624A
JPH09123624A JP7285915A JP28591595A JPH09123624A JP H09123624 A JPH09123624 A JP H09123624A JP 7285915 A JP7285915 A JP 7285915A JP 28591595 A JP28591595 A JP 28591595A JP H09123624 A JPH09123624 A JP H09123624A
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JP
Japan
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transfer recording
thermal transfer
heat
heat resistant
silicone oil
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Application number
JP7285915A
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English (en)
Inventor
Toshinori Torii
寿紀 鳥居
Takashi Morishima
高志 森嶋
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非印加時および印加時の摩擦力が小さく、し
かも非印加時と印加時の摩擦力の差の少ない走行性に優
れ、さらに塗布液の保存安定性の優れた耐熱滑性層を有
する感熱転写記録用シートを得る。 【解決手段】 ベースフィルムの一方の面に耐熱滑性層
を設け、ベースフィルムの他方の面に色材層を設けた熱
転写記録用シートにおいて、該耐熱滑性層中に一種類以
上のアミノ変性シリコーンオイルと結着性高分子化合物
とを含有し、かつ該アミノ変性シリコーンオイルは、ア
ミノ基1モルに対するアミノ変性シリコーンオイルの重
量で定義される変性当量が4,000〜12,000g
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱転写記録用シートに関
し、特にプリンタ、ファクシミリ、複写機等のOA端末
機におけるカラー記録やテレビ画像のカラー記録用等に
有利に使用できる熱転写記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】カラー記録には、電子写真、インクジェ
ット、感熱転写記録などの種々の方式が検討されている
が、感熱転写記録方式は装置の保守性、操作の容易性な
どの点において、他の方式に比べて有利である。感熱転
写記録方式では、一般に色材を含むインキを塗布した熱
転写記録用シートの色材層に受像体を重ね合わせ、熱転
写記録用シートの背面をサーマルヘッドで加熱して、熱
転写記録用シートの色材を受像体に転写させることによ
り記録が行われる。かかる方式には、熱溶融性インキを
用いる溶融型熱転写記録方式と、昇華性色素を含むイン
キを用いる昇華型熱転写記録方式がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の感熱転写記録
方式では、熱転写記録用シートがサーマルヘッドで高温
に加熱されるため、熱転写記録用シートのベースフィル
ムの耐熱性が不十分な場合には、ベースフィルムがサー
マルヘッドに融着し、この融着によりヘッドの走行が不
良となるスティッキング現象が発生する。さらには、こ
のためにシートにシワや切れの現象を引き起こし正常な
記録が不可能となる。このため従来、ベースフィルムの
耐熱性を改良するために各種の耐熱性樹脂の保護膜を設
けることが提案され(特開昭55−7467号、特開昭
57−74195号各公報)、また走行性を更に改善
し、サーマルヘッドとの摩擦係数を下げるために上記の
保護層に耐熱性の微粒子、滑剤、界面活性剤などを添加
することも提案されている(特開昭55−146790
号、特開昭56−155794号および特開昭57−1
29789号各公報等参照)。
【0004】しかし、近年の感熱転写記録方法の高速化
に伴って、従来より更に高いエネルギーをサーマルヘッ
ドに加えるため熱転写シートに大きな負担がかかり、こ
れら公知文献に記載された方法では充分なサーマルヘッ
ドの走行性を得ることが困難となっている。サーマルヘ
ッドに電圧を印加しない非加熱時の摩擦係数は、耐熱滑
性層に加えた滑剤の効果が現れにくいため大きくなり易
く、走行性に影響がでやすい。一方、サーマルヘッドに
電圧を印加する加熱印画時の摩擦係数も、熱によって耐
熱滑性層が軟化することにより、先に述べたようなステ
ィッキング現象が発生しやすくなるため、大きくなり易
い。従って、常に摩擦係数を小さく維持できる耐熱滑性
層が必要である。
【0005】また、熱転写記録用シートの走行において
は、熱転写用シート背面とサーマルヘッドとの間の摩擦
係数が、加熱時、非加熱時を問わず、また加熱の程度に
係わらず、一定に保たれることが望まれる。つまり、1
画面の中にも濃度の濃い所と薄い所があるから、サーマ
ルヘッドに印加されるエネルギーもそれに伴って部分部
分で異なることになる。ここで、摩擦係数が加熱程度で
大きく変動すると、カラーシートに加わる張力が1画面
中で場所によって変動することになる。即ち、ある部分
は大きな張力でカラーシートが引っ張られ、一方別のあ
る部分ではほとんど張力がかからない状況が生ずる。こ
のような状況下ではカラーシートやそれと共に搬送され
る受像紙の走行が横方向にずれたり、受像紙が徐々に斜
めに搬送されたりする結果となり、精細な画像を得るこ
とが困難となる。
【0006】以上述べた理由から、加熱時と非加熱時に
おける摩擦係数が小さく、かつ変動が小さい耐熱滑性層
を持つ熱転写記録用シートが要求されている。また、通
常、熱転写記録用シートは、プラスチック性の筒状のボ
ビン等に巻かれて保管されており、耐熱滑性層は色材を
含む色材層と接触している。また、熱転写記録用シート
は保管場所やその環境によっては保存時の温度が高くな
ることが考えられる。このとき、熱により、耐熱滑性層
と色材を含む色材層とが融着すれば、受像体に画像を形
成する際に保存時の融着跡が現れる等の問題を生じて、
精細な画像を得ることが困難になる。
【0007】この問題を解決するために、高温保存時に
おいても、ボビンに巻かれている熱転写用記録シートの
耐熱滑性層と色材を含む色材層との融着が無く、画像形
成が問題なくできることが要求される。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題について鋭意検討した結果、耐熱滑性層に最適な変性
当量を有するアミノ変性シリコーンオイルを選択するこ
とによって、サーマルヘッドによる加熱時などに発生し
やすかったシートのシワによる画像上の欠陥の発生を低
減することができ、サーマルヘッドが熱転写記録シート
の耐熱滑性層と摺動するときに生じる摩擦力が低減され
た、保存安定性に優れた熱転写記録シートを得るに至っ
た。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、ベースフィル
ムの一方の面に耐熱滑性層を設け、ベースフィルムの他
方の面に色材層を設けた熱転写記録用シートにおいて、
該耐熱滑性層中に一種類以上のアミノ変性シリコーンオ
イルと結着性高分子化合物とを含有し、かつ該アミノ変
性シリコーンオイルは、アミノ基1モルに対するアミノ
変性シリコーンオイルの重量で定義される変性当量が
4,000〜12,000gであることを特徴とする熱
転写記録用シートに関するものである。
【0010】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
耐熱滑性層に含まれるアミノ変性シリコーンオイルは、
その変性当量を除けば特に制限はなく、例えば下記一般
式(1)の構造を有する化合物が使用できる。
【0011】
【化1】
【0012】(式中、Rはアミノ変性シリコーンオイル
の場合はそれぞれ独立してアルキル基、フェニル基、ア
ルコキシ基またはアミノアルキル基を表すが、少なくと
も1つはアミノアルキル基またはアミノアルキルアミノ
アルキル基を表し、nは整数を表す。) 該変性シリコーンオイルは、通常は、例えば伊藤邦雄編
“シリコーンハンドブック”(日刊工業新聞社、199
0年発行)の第163頁以降に詳しく記載されている方
法にて合成される。主原料としては、オクタメチルシク
ロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシク
ロテトラシロキサンまたはオクタフェニルシクロテトラ
シロキサンなどが好ましく、これら主原料と変性基(ア
ミノアルキル基またはアミノアルキルアミノアルキル
基)を有するシリコーンオイルとの反応により合成され
る。
【0013】アミノ変性シリコーンオイルはその分子中
に極性を有するアミノ基を含んでいるので、本発明にお
いて好適に用いられる(メタ)アクリル系高分子化合物
内の極性部分であるエステル結合部分に対して、アミノ
基が親和性を示し弱く結合している。そのため、保存中
に染料を含有する色材層に潤滑物質であるシリコーンオ
イルが移行することが少ないと考えられる。このような
理由から、耐熱滑性層に含有されるシリコーンオイルに
は、アミノ基を代表とする極性基を含んでいることが好
ましい。
【0014】一方、アミノ変性シリコーン分子中のアミ
ノ基の含有量が一定の範囲を越えると、潤滑性の本質で
あるアルキル基やフェニル基などの側鎖を有する非極性
オルガノシロキシル基(モノマーユニット)の含有量が
低くなり潤滑性が低減する。また、このように変性当量
が少ない、すなわち1分子中に多くの極性基を有する極
性変性シリコーンオイルは、塗布液の極性を高めバイン
ダーの相溶性を低下させたり、極性の低い有機粒子や非
極性表面処理を施した無機微粒子を凝集させる傾向を示
すため、塗布液の保存安定性および背面層表面の粒子の
分散を大きく低減させる。従って、耐熱滑性層に含有さ
れるアミノ変性シリコーンオイルは、適当な変性当量で
あることが必要である。
【0015】以上の観点から、本発明において用いられ
るアミノ変性シリコーンオイルはその変性当量がアミノ
基1モルに対するアミノ変性シリコーンオイルの重量で
4,000〜12,000gであり、さらに好ましくは
6,000〜12,000gである。本発明に使用され
る耐熱滑性層には、シリコーンオイルを保持するための
結着性高分子化合物が1種類もしくはそれ以上含まれる
が、その高分子化合物として、アルキルアルコールのア
クリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルを構成
成分とするものが含まれていることが好ましい。より好
ましくは炭素数6以上20以下の、さらに好ましくは、
炭素数6以上10以下のアルキルアルコールのアクリル
酸エステルもしくはメタクリル酸エステルを構成成分と
する高分子が含まれていることが好ましい。
【0016】炭素数6以上10以下のアルキルアルコー
ルのアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル
としては、特に限定はないが、例えばヘキサノール、ヘ
プタノール、オクタノール、デカノール、ジメチルブタ
ノール、エチルブタノール、メチルペンタノール、ジメ
チルペンタノール、エチルペンタノール、メチルヘキサ
ノール、エチルヘキサノール、メチルヘプタノール、シ
クロヘキシルエタノール、ジメチルヘプタノール、エチ
ルジメチルペンタノール、トリメチルヘキサノール、シ
クロヘキシルプロパノール、ジメチルオクタノール、シ
クロヘキサノールなどのアルコールとアクリル酸、また
はメタクリル酸とのエステル類を挙げることができる。
【0017】これらを構成成分として含む高分子は、こ
れらアクリル酸、メタクリル酸の一種またはそれ以上に
よる重合体であるか、またはこれらアクリル酸、メタク
リル酸の一種またはそれ以上と他の構成成分との共重合
体が一般的である。前記の他の構成成分とは、重合体の
物性を調節するのに用いるものであり、特に限定はされ
ないが、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、
プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソ
プロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、
ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチ
ルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ter−
ブチルアクリレート、ter−ブチルメタクリレートな
どの炭素数5以下のアクリル酸エステル類またはメタク
リル酸エステル類や、スチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
アミド、塩化エチレン等のビニル化合物などを挙げるこ
とができる。中でもメチルメタクリレート、ブチルメタ
クリレートが用いられることが多い。
【0018】前記高分子化合物の合成法は常法でよく、
例えば所定量で混合した構成成分を、常法に従って溶液
中でのラジカル重合法を用いることで得ることが出来
る。このようにして得られる高分子化合物中の炭素数6
以上10以下のアルキルアルコールのアクリル酸エステ
ルもしくはメタクリル酸エステルの構成比率は、0.5
〜100重量%であり、好ましくは、1〜20重量%で
ある。
【0019】また、本発明の耐熱滑性層には、アルキル
アルコールのアクリル酸エステル及び/またはアルキル
アルコールのメタクリル酸エステルを構成成分として含
む高分子化合物の他の高分子化合物を添加してもよい。
該高分子化合物としては、特に限定はされないが、例え
ばガラス転移温度が50℃以上の通常の熱可塑性樹脂が
好適に用いられ、具体的にはポリアクリル酸エステル、
ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル共重合体、スチ
レン/アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート、
ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセ
タール、ポリウレタンなどが好適に用いられる。高分子
化合物のガラス転移温度が低すぎる場合には、熱転写記
録用シートを比較的高温で保存した際に、巻き重ねられ
た色材層側からの色素の転移が生じたり、色材層と耐熱
滑性層がブロッキングを起こすことがある。
【0020】さらに、本発明の耐熱滑性層中には、上記
成分の他に、必要に応じて有機または無機の非昇華性粒
子、分散剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、消泡
剤、酸化防止剤、粘度調節剤、pH調整剤、潤滑剤など
の添加剤を、必要に応じて適宜添加してもよい。粒子の
耐熱滑性層に対する添加は、表面の粗度を上げて摩擦係
数を下げたり、ヘッドに対するクリーニング性を高めた
りする目的で行われる。そのため、粒径のそろった球状
の粒子や軟質の粒子を添加することで摩耗の程度を軽減
する工夫や、微少な粒子で表面の粗度をコントロールす
る工夫が行われている。粒径のそろった球状の粒子や軟
質の粒子の直径としては、通常は数百nmから3μm程
度、より好ましくは粒径0.5〜2μm程度の架橋シリ
コーン粒子が用いられ、微小な粒子の大きさとしては、
通常は数十nm程度までのものが好適であり、特にバイ
ンダーとの親和性を良くするために表面を非極性処理し
たシリカゲルがより好適に用いられる。
【0021】前述のように耐熱滑性層中に粒子を添加す
る場合には、塗布液中の溶液部分と粒子との親和性が低
いと、粒子どうしが凝集し沈降する現象を誘起し、耐熱
滑性層の表面では粒子どうしが凝集した形状となり、こ
の凝集体が印画時に画像上に凹凸を形成し画質を低下さ
せる。従って、耐熱滑性層表面で粒子は凝集せずに一つ
一つ単独に分布していることが必要であると同時に、塗
布液中で粒子の凝集および沈降が生じないことが要求さ
れる。
【0022】本発明の耐熱滑性層を形成するには、(メ
タ)アクリル系高分子化合物ならびにアミノ変性シリコ
ーンオイルと、ベースフィルムと耐熱滑性層との接着を
向上させる(メタ)アクリル系高分子化合物以外の高分
子化合物、そして粒子等の添加剤、溶剤を加えて混合
し、耐熱滑性層塗布液を得、これをベースフィルム上に
塗工乾燥して形成することが出来る。
【0023】耐熱滑性層塗布液中の混合比率としては、
(メタ)アクリル系高分子化合物(A)とそれ以外の上
記の高分子化合物(B)との比の値が0〜20(重量
比)が好ましく、より好ましくは0.05〜10(重量
比)である。高分子化合物(A)および高分子化合物
(B)の和に対するに対するアミノ変性シリコーンオイ
ル(C)の配合比率C/(A+B)は、0.01〜0.
3とすることが一般的で、好ましくは0.05〜0.2
である。さらに、高分子化合物(A)および高分子化合
物(B)の和に対する粒径0.5〜2μm程度の球状粒
子や軟質の粒子(D)および数十nm以下の大きさの微
粒子(E)の混合比(D+E)/(A+B)は、0.0
1〜0.3とすることが一般的で、好ましくは0.05
〜0.2である。
【0024】また、全高分子物質量(A+B)の構成成
分中に炭素数6以上10以下のアルコールのアクリル酸
エステル及び/またはメタクリル酸エステルが構成成分
として占める割合は、重量比で1重量%以上で有ること
が好ましい。特に好ましくは2重量%以上である。耐熱
滑性層塗布液に用いられる溶剤としては、特に限定はさ
れないが、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系
溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢
酸ブチルなどのエステル系溶剤;イソプロパノール、ブ
タノールなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル系溶剤;ジメチルホルムア
ミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤などを
挙げることが出来る。
【0025】耐熱滑性層を熱硬化性樹脂を用いて作成す
ることも知られており、その場合には、熱硬化性樹脂と
硬化剤とを含んだ液を塗工乾燥後、硬化のために加熱処
理し、硬化皮膜の耐熱滑性層を得る。性能的には良好な
ものが得られるが、熱硬化工程が必要なので、コストが
高くなる。熱可塑性樹脂を用いる場合は、硬化工程が無
い分、コスト的に有利である。
【0026】耐熱滑性層を形成させる際に用いる上記塗
布液の塗布方法としては、例えば原崎勇次著「コーティ
ング方式」(1979年、槇書店発行)に記載されてい
るグラビアコーター、リバースコーター、エアドクター
コーターを用いる方法などの種々の方法が挙げられる。
ベースフィルム上に形成せしめる耐熱滑性層の厚さは、
乾燥膜厚で、通常0.1〜10μm、好ましくは0.3
〜5μmである。
【0027】本発明の熱転写記録用シートに用いられる
ベースフィルムとしては、特に限定はされないが、例え
ばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフ
ィルム、ポリアラミドフィルム、ポリイミドフィルム、
ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイ
ドフィルム、ポリスルホンフィルム、セロファン、トリ
アセテートフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙
げられるが、中でもポリエチレンテレフタレートフィル
ムは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、価格などの面
から好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルムが好ましい。これらのベースフィルムの厚さ
は一般に1〜30μmであるが、好ましくは2〜10μ
mである。
【0028】ベースフィルム上には、耐熱滑性層との接
着性を向上させる目的で接着層を設けておいてもよい。
接着層の組成に特に制限はないが、ポリエステル系の樹
脂が望ましい。熱転写記録用シートのベースフィルム上
の耐熱滑性層とは反対面に設けられる色材層の形成方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、昇華型感熱
転写記録用シートの場合には、昇華または熱拡散性色素
と耐熱性の良好なバインダー樹脂を、適当な溶媒に溶解
あるいは分散させてインキを調製し、このインキをベー
スフィルムに塗布、乾燥させて形成することができ、ま
た溶融型熱転写記録用シートの場合には、顔料または色
素などの色材を熱溶融性物質中に、必要に応じて溶媒を
用いて溶解あるいは分散させてインキを調製し、このイ
ンキをベースフィルムに塗布、乾燥して形成することが
できる。
【0029】昇華型熱転写記録用シートに用いられる昇
華または熱拡散性色素としては、特に制限はなくアゾ
系、アントラキノン系、スチリル系、インドアニリン
系、キノフタロン系、アゾメチン系、クマリン系、およ
び縮合多環系などの種々の非イオン性の色素が用いら
れ、またバインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹
脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フ
ェノキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリアラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミ
ド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレ
ン樹脂およびアセチルセルロース、メチルセルロース、
エチルセルロースなどのようなセルロース系樹脂などが
用いられる。溶剤としては、トルエン、キシレンなどの
芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エ
チル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;イソプロパノ
ール、ブタノール、メチルセロソルブなどのアルコール
系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテ
ル系溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリド
ンなどのアミド系溶剤などが用いられる。
【0030】溶融型熱転写記録用に用いられる色材とし
ては、例えば顔料としてカーボンブラックのような無機
顔料;アゾ系、縮合多環系などの各種有機顔料が用いら
れ、また色素として例えば、酸性染料、塩基性染料、油
溶性染料、金属錯塩染料などが用いられる。又、熱溶融
性物質としては融点が40〜120℃の固体または半固
体物質が好ましく、パラフィンワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、カルナバワックス、モンタンワック
ス、木ロウ、油脂系合成ワックスなどが挙げられる。溶
剤としては、前記の昇華型熱転写記録用シートの場合と
同様のものが挙げられる。
【0031】上記の色材層用インキの中には上記成分の
他に、必要に応じて有機または無機の非昇華性粒子、分
散剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、酸化
防止剤、粘度調節剤、pH調整剤、潤滑剤などの添加剤
を添加してもよい。これら色材層用インキは、耐熱滑性
層と同様の塗布方法により塗設されればよく、塗布膜厚
は乾燥膜厚で0.1〜5μmが適当である。
【0032】また、本発明の熱転写記録用シートの製造
においては、上記の塗布により形成される各層とベース
フィルムとの接着性を改良するために、ベースフィルム
の表面にコロナ処理を行ったり、あるいはポリエステル
系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹
脂、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などによ
る下引きコート処理を行っても良い。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本実施例はその要旨を超えない限り、本発明を
何ら限定するものではない。 実施例1 (a)熱転写記録用シートの作製 バインダーポリマーとしてセルロースアセテートプロピ
オネート(アセチル化率2.5%、プロピル化率45%、イ
ーストマン・コダック社製)205重量部、p-トルエン
スルホン酸0.17重量部、およびアミノ変性シリコー
ンオイル(商品名;KF−868、変性当量8,800
g/mol、信越化学工業社製)6.8重量部、をトル
エンと2ーブタノンとの等重量混合溶媒で溶解し、固形分
が10重量%となる溶液を調整し、これをペイントシェ
ーカーで2時間分散して、塗布液を作成した。この塗布
液を、厚さ6μmの片面を易接着処理した二軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルムの易接着面上に塗工
し、130℃で5秒間乾燥させ、乾燥後の塗布量が0.
6g/m2の耐熱滑性層を形成した。
【0034】(b)受像体の作製 TR−220(飽和ポリエステル樹脂、日本合成化学工
業株式会社製)10重量部、KF393(アミノ変性シ
リコーンオイル、信越化学工業株式会社製)0.5重量
部、メチルエチルケトン15重量部、トルエン15重量
部からなる液を合成紙(商品名:ユポFPG150、王
子油化合成紙株式会社製)にワイヤーバーで塗布、乾燥
し(乾燥膜厚約5μm)、さらにオーブン中で90℃で
20分間熱乾燥することにより受像体を作製した。
【0035】(c)熱転写記録試験 上記(a)の様にして作製された熱転写記録用シートの
色材層面と、上記(b)の様にして作製された受像体の
樹脂塗布面を重ね、記録用シートの耐熱滑性層面に6ド
ット/mmの発熱抵抗体密度を有する部分グレース型ラ
インサーマルヘッドを使用して、印圧2kgで、半径
2.75cmであるプラテンローラーとの間にはさみ、
6rpmでプラテンローラーを回転させながら、サーマ
ルヘッドに印画エネルギーをまったく印加しない場合
と、0.4W/ドットの電力を断続的に33m秒周期で
4m秒間および16m秒間印加して転写記録の模擬を行
ない、このときにプラテンローラーに発生する回転負荷
を負荷トルク試験器(MDT2−AMP、信明電機製)
を用いて測定し、サーマルヘッドと耐熱滑性層との間の
走行トルクを求めた。結果を表−1に示した。
【0036】実施例2 実施例1で用いたアミノ変性シリコーンオイルKF−8
68の替わりにKF−865(変性当量4,400g/
mol、信越化学工業社製)を6.5重量部用いて耐熱
滑性層を構成し、実施例1と同様に試験を行った。その
結果を表−1に示した。
【0037】(d)塗布液の粒子の分散安定性 粒子を含む塗布液に関しては、前記(a)の方法で作成
した塗布液を冷暗所で1週間静置した後、その塗布液中
の粒子の沈降を観察し、以下の評価基準にもとづいて評
価した。結果は表−2に示した。 評価基準 ○;塗布液中の粒子の沈降は認められない。 ×;塗布液中の粒子の沈降が認められる。
【0038】実施例3 実施例1における塗布液に、微粒子として球状シリコー
ン樹脂(商品名;トスパール120、平均粒径2μm、
東芝シリコーン社製)を38重量部加えて耐熱滑性層を
構成し、実施例1と同様に走行トルクの測定試験を行な
い、また塗布液中の粒子の分散安定性を観察した。その
結果を表−2に示した。
【0039】実施例4 実施例2における塗布液に、微粒子として球状シリコー
ン樹脂(商品名;トスパール120、平均粒径2μm、
東芝シリコーン社製)を38重量部加えて耐熱滑性層を
構成し、実施例1と同様に試験を行った。その結果を表
−2に示した。
【0040】比較例1 実施例1で用いたアミノ変性シリコーンオイルKF−8
68の替わりにX−22−161A(変性当量840g
/mol、信越化学工業社製)を6.5重量部用いて耐
熱滑性層を構成し、実施例1と同様に試験を行った。そ
の結果を表−1に示した。
【0041】比較例2 実施例1で用いたアミノ変性シリコーンオイルKF−8
68の替わりにX−22−161AS(変性当量450
g/mol、信越化学工業社製)を6.5重量部用いて
耐熱滑性層を構成し、実施例1と同様に試験を行った。
その結果を表−1に示した。
【0042】比較例3 実施例1で用いたアミノ変性シリコーンオイルKF−8
68の替わりにBY−16−757(変性当量1,50
0g/mol、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)
を6.5重量部用いて耐熱滑性層を構成し、実施例1と
同様に試験を行った。その結果を表−1に示した。
【0043】比較例4 実施例1で用いたアミノ変性シリコーンオイルKF−8
68の替わりに未変性シリコーンオイルKF−96−5
0(粘度;50cst、信越化学工業社製)を6.5重
量部用いて耐熱滑性層を構成し、実施例1と同様に試験
を行った。その結果を表−1に示した。
【0044】比較例5 実施例1で用いたアミノ変性シリコーンオイルKF−8
68の替わりに未変性シリコーンオイルKF−96−2
00(粘度;200cst、信越化学工業社製)を6.
5重量部用いて耐熱滑性層を構成し、実施例1と同様に
試験を行った。その結果を表−1に示した。
【0045】比較例6 比較例1における塗布液に、微粒子として球状シリコー
ン樹脂(商品名;トスパール120、平均粒径2μm、
東芝シリコーン社製)を38重量部加えて耐熱滑性層を
構成し、実施例3と同様に試験を行った。その結果を表
−2に示した。
【0046】比較例7 比較例2における塗布液に、微粒子として球状シリコー
ン樹脂(商品名;トスパール120、平均粒径2μm、
東芝シリコーン社製)を38重量部加えて耐熱滑性層を
構成し、実施例3と同様に試験を行った。その結果を表
−2に示した。
【0047】比較例8 比較例3における塗布液に、微粒子として球状シリコー
ン樹脂(商品名;トスパール120、平均粒径2μm、
東芝シリコーン社製)を38重量部加えて耐熱滑性層を
構成し、実施例3と同様に試験を行った。その結果を表
−2に示した。
【0048】比較例9 比較例4における塗布液に、微粒子として球状シリコー
ン樹脂(商品名;トスパール120、平均粒径2μm、
東芝シリコーン社製)を38重量部加えて耐熱滑性層を
構成し、実施例3と同様に試験を行った。その結果を表
−2に示した。
【0049】比較例10 比較例5における塗布液に、微粒子として球状シリコー
ン樹脂(商品名;トスパール120、平均粒径2μm、
東芝シリコーン社製)を38重量部加えて耐熱滑性層を
構成し、実施例3と同様に試験を行った。その結果を表
−2に示した。
【0050】
【表1】 *)バイアスを印加しない場合にはサーマルヘッドと耐熱滑性層との膠着により、 またはバイアス印加時には融着によって、試料片の走行が停止してしまった。
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明の耐熱滑性層を有する感熱転写記
録用シートは、非印加時および印加時の摩擦力が小さく
て、しかも非印加時と印可時の摩擦力の差の少ない走行
性に優れたものであり、さらにその塗布液は保存安定性
の優れたものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベースフィルムの一方の面に耐熱滑性層
    を設け、ベースフィルムの他方の面に色材層を設けた熱
    転写記録用シートにおいて、該耐熱滑性層中に一種類以
    上のアミノ変性シリコーンオイルと結着性高分子化合物
    とを含有し、かつ該アミノ変性シリコーンオイルは、ア
    ミノ基1モルに対するアミノ変性シリコーンオイルの重
    量で定義される変性当量が4,000〜12,000g
    であることを特徴とする熱転写記録用シート。
  2. 【請求項2】 該耐熱滑性層が耐熱粒子を含有すること
    を特徴とする特許請求項1記載の熱転写記録用シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3798014A4 (en) * 2018-06-29 2021-08-18 Dai Nippon Printing Co., Ltd. THERMAL TRANSFER SHEET
US11975554B2 (en) 2019-04-04 2024-05-07 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Thermal transfer sheet

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US11975554B2 (en) 2019-04-04 2024-05-07 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Thermal transfer sheet

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