JPH09119655A - 熱媒循環式暖房床材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱媒を循環させるパイプを収容する凹溝の底
部からの熱の伝わりを防止することによって、床表面が
均一に暖められるようになしたり、或いは、裏側への熱
の逃げを効果的に防止して床表面が十分に暖められるよ
うになしたりすることができる熱媒循環式暖房床材を提
供する。 【解決手段】 木質基板１の裏面２に凹溝３を形成し、
この凹溝３内に熱媒を循環させるパイプ４を収容し、同
木質基板１の裏面２に凹溝３を覆い塞ぐように均熱板５
を介して裏板６を積層一体化してなる熱媒循環式暖房床
材であって、凹溝３の底部分に溝状空所８にて形成され
る断熱部７を設けてなる。この場合、使用形態が表裏逆
となっても良い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、温水等の熱媒を循
環させて床を暖める熱媒循環式暖房床材に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来から、図６に示す如く、木質基板
（イ）の裏面に凹溝（ロ）を形成し、該凹溝（ロ）内に
熱媒を循環させるパイプ（ハ）を収容し、同木質基板
（イ）の裏面に凹溝（ロ）を覆い塞ぐように均熱板
（ニ）を介して裏板（ホ）を積層一体化してなる熱媒循
環式暖房床材は知られている。又、これとは表裏逆に、
図７に示す如く、木質基板（イ）の表面に凹溝（ロ）を
形成し、該凹溝（ロ）内に熱媒を循環させるパイプ
（ハ）を収容し、同木質基板（イ）の表面に凹溝（ロ）
を覆い塞ぐように均熱板（ニ）を介して床表面板（ヘ）
を積層一体化してなる熱媒循環式暖房床材も知られてい
る。これ等いずれの熱媒循環式暖房床材も床部に敷設施
工され、いずれの場合も、パイプ（ハ）内に温水等の熱
媒が流通循環されることによって、床表面が暖められる
と共に室内も暖房される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術にあっては、いずれの熱媒循環式暖房床材にお
いても問題がある。すなわち、図６に示す従来例の熱媒
循環式暖房床材においては、均熱板（ニ）が存在するも
のの、凹溝（ロ）の底部から木質基板（イ）の表面へと
直接に熱が伝わって、同凹溝（ロ）に対応する部分の木
質基板（イ）の表面が他の部分よりも高温となり、床表
面となる同木質基板（イ）の表面が均一に暖められない
という問題がある。又、図７に示す従来例の熱媒循環式
暖房床材においては、凹溝（ロ）の底部から木質基板
（イ）の裏面へと熱が伝わって放熱され、床表面板
（ヘ）の表面が十分に暖められないという問題がある。

【０００４】本発明は、上記従来の技術における問題を
悉く解決するために発明されたもので、すなわち、その
課題は、熱媒を循環させるパイプを収容する凹溝の底部
からの熱の伝わりを防止することによって、床表面が均
一に暖められるようになしたり、或いは、裏側への熱の
逃げを効果的に防止して床表面が十分に暖められるよう
になしたりすることができる熱媒循環式暖房床材を提供
することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
熱媒循環式暖房床材は、木質基板の裏面に凹溝を形成
し、該凹溝内に熱媒を循環させるパイプを収容し、同木
質基板の裏面に凹溝を覆い塞ぐように均熱板を介して裏
板を積層一体化してなる熱媒循環式暖房床材であって、
凹溝の底部分に断熱部を設けてなる。したがって、該断
熱部によって凹溝の底部から木質基板の表面へと熱が直
接に伝わることが防止され、パイプからの熱が均熱板に
伝わり該均熱板によって、床表面となる同木質基板の表
面が温度ムラ少なく均一に暖められる。

【０００６】本発明の請求項２記載の熱媒循環式暖房床
材は、木質基板の表面に凹溝を形成し、該凹溝内に熱媒
を循環させるパイプを収容し、同木質基板の表面に凹溝
を覆い塞ぐように均熱板を介して床表面板を積層一体化
してなる熱媒循環式暖房床材であって、凹溝の底部分に
断熱部を設けてなる。したがって、該断熱部によって効
果的に、凹溝の底部から木質基板の裏面へと熱が伝わり
放熱され裏側へ熱が逃げることが防止され、パイプから
の熱が均熱板に無駄なく伝わり該均熱板によって、床表
面となる床表面板の表面が十分に暖められる。

【０００７】本発明の請求項３記載の熱媒循環式暖房床
材は、上記請求項１又は２記載の熱媒循環式暖房床材に
おいて、凹溝の底面に該凹溝よりも巾狭の溝状空所を形
成して、該溝状空所を断熱部となしたことを特徴とす
る。したがって、この場合は特に、凹溝と共にその底面
に溝状空所を形成することによって簡単に断熱部を設け
ることができ、しかも、該溝状空所は凹溝よりも巾狭で
あるため、パイプが同溝状空所に入り込むことなく凹溝
内でがたつきなく確実に保持される。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の請求項１、３に
対応する一実施形態を示し、該実施形態の熱媒循環式暖
房床材は、木質基板１の裏面２に凹溝３を形成し、該凹
溝３内に熱媒を循環させるパイプ４を収容し、同木質基
板１の裏面２に凹溝３を覆い塞ぐように均熱板５を介し
て裏板６を積層一体化してなるものであって、凹溝３の
底部分に断熱部７を設けてなる。この場合、凹溝３の底
面に該凹溝３よりも巾狭の溝状空所８が形成されて、該
溝状空所８が断熱部７となっている。

【０００９】木質基板１は基材合板９の表面に突板10を
貼着して形成され、該基材合板９の裏側に凹溝３が刻設
されている。該凹溝３はその底面がパイプ４に適合する
ように略半円状の湾曲面として形成され、該底面の略中
央に角溝形状の溝状空所８が同凹溝３と同時に彫設され
ている。同木質基板１の裏面には銅その他熱伝性の高い
金属でなる均熱板５が接着され、該均熱板５の裏面には
合板でなる裏板６が接着されている。

【００１０】図２に示す如く、木質基板１は平面視長方
形状で、その長手方向に沿って複数本の上記凹溝３が端
部で連続するように並設され、該凹溝３にパイプ４が一
連に収容される。又、同木質基板１は床部に複数枚並べ
られ相互に接合されて敷設施工され、各木質基板１間に
おいても前記パイプ４は連続されるもので、床部全面が
暖められると共に室内も暖房される。

【００１１】パイプ４は銅その他熱伝性の高い金属で円
形断面に形成され、該パイプ４内には温水等の熱媒が流
通循環される。同パイプ４は木質基板１の裏面に均熱板
５が貼着されることによって凹溝３から外れないように
固定されるが、接着剤を介して凹溝３内に強固に固定し
ても良く、この場合、凹溝３の底面に形成される溝状空
所８が余剰接着剤の溜まり部として活用される。

【００１２】該実施形態の熱媒循環式暖房床材において
は、パイプ４内に流通循環される温水等の熱媒の熱が該
パイプ４と接触する均熱板５に伝わり、その際、凹溝３
の直上への熱の伝わりは溝状空所８でなる断熱部７によ
って減少され、この結果として凹溝３の両側方への熱の
伝わりが増大されて木質基板１の表面側が均等に暖めら
れ、前記均熱板による伝熱作用とあいまって同木質基板
１全体が均等に暖められ、床表面となる同木質基板１の
突板10表面全体が温度ムラ少なく均一に暖められる。

【００１３】図３に、上記床表面温度の均一性を従来例
と比較して表示する。該図３において、上側の（ａ）は
同実施形態の熱媒循環式暖房床材を示す概略断面図、下
側の（ｂ）は従来例の熱媒循環式暖房床材を示す概略断
面図であり、（ａ）（ｂ）間の上下中程位置に両図に対
応して各々における床表面温度（ａ）矢指（実線で示
す）、（ｂ）矢指（破線で示す）を比較する概略グラフ
を記載表示している。この場合、従来例の熱媒循環式暖
房床材における床表面温度（ｂ）矢指が、パイプ（ハ）
が収容される凹溝（ロ）の部分で極端に高温となってそ
の他の部分が低温となってしまっているのに対し、同実
施形態の熱媒循環式暖房床材における床表面温度（ａ）
矢指は、パイプ４が収容される凹溝３の部分で極端には
高温とならずに全体として比較的高温で均一となってい
る。

【００１４】したがって、該実施形態の熱媒循環式暖房
床材においては、熱媒を循環させるパイプ４を収容する
凹溝３の底部分に設けられる断熱部７によって、同凹溝
３の底部から木質基板１の表面へと熱が直接に伝わるこ
とが防止され、パイプ４からの熱が均熱板５に伝わり該
均熱板５によって、床表面となる同木質基板１の表面が
温度ムラ少なく均一に暖められる。又、凹溝３と共にそ
の底面に溝状空所８を形成することによって簡単に上記
断熱部７を設けることができ、しかも、該溝状空所８は
凹溝３よりも巾狭であるため、パイプ４が同溝状空所８
に入り込むことなく凹溝３内でがたつきなく確実に保持
される。

【００１５】図４は、本発明の請求項１のみに対応する
別の実施形態を示し、該実施形態の熱媒循環式暖房床材
においては、木質基板１が厚手の木質単板でなり、裏板
６が石膏ボードでなり、同木質基板１の裏面に角溝形状
の凹溝３が形成され、該凹溝３の底部分に合成樹脂発泡
体11が充填装着されて断熱部７が設けられている。それ
以外は上記実施形態と同様に構成されていて、上記実施
形態における溝状空所８に関する以外の作用効果が上記
実施形態におけると略同様に奏される。

【００１６】図５、本発明の請求項２、３に対応する更
に別の実施形態を示し、該実施形態の熱媒循環式暖房床
材は、木質基板１の表面12に凹溝３を形成し、該凹溝３
内に熱媒を循環させるパイプ４を収容し、同木質基板１
の表面12に凹溝３を覆い塞ぐように均熱板５を介して床
表面板13を積層一体化してなる熱媒循環式暖房床材であ
って、凹溝３の底部分に断熱部７を設けてなる。この場
合も、凹溝３の底面に該凹溝３よりも巾狭の溝状空所８
が形成されて、該溝状空所８が断熱部７となっている。
又、木質基板１が厚手の合板でなり、床表面板13が薄手
の基材合板９の表面に突板10を貼着して形成されてお
り、同木質基板１の表面12に角溝形状の凹溝３が形成さ
れているが、それ以外は上記実施形態と同様に構成され
ている。

【００１７】したがって、該実施形態の熱媒循環式暖房
床材においては、熱媒を循環させるパイプ４を収容する
凹溝３の底部分に設けられる断熱部７によって部分的に
簡単で効果的に、同凹溝３の底部から木質基板１の裏面
へと熱が伝わり放熱され裏側へ熱が逃げることが防止さ
れ、パイプ４からの熱が均熱板５に無駄なく均等に伝わ
り該均熱板５によって、床表面となる床表面板13の表面
が十分且つ均一に暖められる。又、凹溝３と共にその底
面に溝状空所８を形成することによって簡単に上記断熱
部７を設けることができ、しかも、該溝状空所８は凹溝
３よりも巾狭であるため、パイプ４が同溝状空所８に入
り込むことなく凹溝３内でがたつきなく確実に保持され
る。

【００１８】

【発明の効果】上述の如く、本発明の請求項１記載の熱
媒循環式暖房床材においては、熱媒を循環させるパイプ
を収容する凹溝の底部分に設けられる断熱部によって、
同凹溝の底部から木質基板の表面へと熱が直接に伝わる
ことが防止され、パイプからの熱が均熱板に伝わり該均
熱板によって、床表面となる同木質基板の表面が温度ム
ラ少なく均一に暖められる。

【００１９】又、本発明の請求項２記載の熱媒循環式暖
房床材においては、熱媒を循環させるパイプを収容する
凹溝の底部分に設けられる断熱部によって効果的に、同
凹溝の底部から木質基板の裏面へと熱が伝わり放熱され
裏側へ熱が逃げることが防止され、パイプからの熱が均
熱板に無駄なく伝わり該均熱板によって、床表面となる
床表面板の表面が十分に暖められる。

【００２０】又、本発明の請求項３記載の熱媒循環式暖
房床材においては、特に、凹溝と共にその底面に溝状空
所を形成することによって簡単に上記断熱部を設けるこ
とができ、しかも、該溝状空所は凹溝よりも巾狭である
ため、パイプが同溝状空所に入り込むことなく凹溝内で
がたつきなく確実に保持される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明である熱媒循環式暖房床材の一実施形態
を示す要部断面図。

【図２】同熱媒循環式暖房床材の施工形態を示す概略平
面図。

【図３】（ａ）は同熱媒循環式暖房床材を示す概略断面
図、（ｂ）は従来例の熱媒循環式暖房床材を示す概略断
面図、（ａ）（ｂ）間にこれ等に対応して表示される床
表面温度を比較する概略グラフ。

【図４】本発明である熱媒循環式暖房床材の別の実施形
態を示す要部断面図。

【図５】本発明である熱媒循環式暖房床材の更に別の実
施形態を示す要部断面図。

【図６】従来例である熱媒循環式暖房床材を示す概略断
面図。

【図７】別の従来例である熱媒循環式暖房床材を示す概
略断面図。

【符号の説明】

１ 木質基板 ２ 裏面 ３ 凹溝 ４ パイプ ５ 均熱板 ６ 裏板 ７ 断熱部 ８ 溝状空所 12 表面 13 床表面板

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 木質基板の裏面に凹溝を形成し、該凹溝
   内に熱媒を循環させるパイプを収容し、同木質基板の裏
   面に凹溝を覆い塞ぐように均熱板を介して裏板を積層一
   体化してなる熱媒循環式暖房床材であって、凹溝の底部
   分に断熱部を設けてなる熱媒循環式暖房床材。
2. 【請求項２】 木質基板の表面に凹溝を形成し、該凹溝
   内に熱媒を循環させるパイプを収容し、同木質基板の表
   面に凹溝を覆い塞ぐように均熱板を介して床表面板を積
   層一体化してなる熱媒循環式暖房床材であって、凹溝の
   底部分に断熱部を設けてなる熱媒循環式暖房床材。
3. 【請求項３】 凹溝の底面に該凹溝よりも巾狭の溝状空
   所を形成して、該溝状空所を断熱部となしたことを特徴
   とする請求項１又は２記載の熱媒循環式暖房床材。