JPH09118988A - 樹脂クロメート組成物および表面処理金属板 - Google Patents

樹脂クロメート組成物および表面処理金属板

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JPH09118988A
JPH09118988A JP21078096A JP21078096A JPH09118988A JP H09118988 A JPH09118988 A JP H09118988A JP 21078096 A JP21078096 A JP 21078096A JP 21078096 A JP21078096 A JP 21078096A JP H09118988 A JPH09118988 A JP H09118988A
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steel sheet
plated steel
sheet
zinc
chromium
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JP21078096A
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English (en)
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Masato Nakazawa
眞人 仲澤
Teruaki Isaki
輝明 伊崎
Kimitaka Hayashi
公隆 林
Shinichi Suzuki
眞一 鈴木
Yuujirou Miyauchi
優二朗 宮内
Kengo Yoshida
健吾 吉田
Toshio Odajima
壽男 小田島
Tomozo Takahashi
智三 高橋
Shiyuuji Shibabuki
修司 芝吹
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Nippon Steel Corp
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浴安定性に優れた樹脂クロメート組成物なら
びにクロム難溶解性、加工部耐食性、塗料密着性、耐ア
ルカリ性、平板耐食性、および外観品位に優れた樹脂ク
ロメート処理金属板を提供する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっ
き鋼板、鉛系めっき鋼板、錫系めっき鋼板、亜鉛合金
板、アルミニウム合金板、冷延鋼板の上に、(a)エチ
レン系不飽和カルボン酸成分 10重量%超、30重量
%未満、水酸基含有単量体成分 3重量%未満、その他
がエチレン系不飽和化合物成分から成る有機重合体が水
性媒体中に安定に分散した有機重合体エマルジョンと、
(b)水溶性クロム化合物 および (c)鉱酸 を主
成分とする樹脂クロメート組成物の皮膜を、金属クロム
換算で5〜300mg/m2 形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浴安定性に優れた
樹脂クロメート組成物、ならびにクロム難溶解性、加工
部耐食性、塗料密着性、耐アルカリ性、平板耐食性、お
よび外観品位に優れた樹脂クロメート処理金属板に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】クロメート処理は金属表面の簡易防錆処
理として古くから使用されており、大別して3価クロム
を主成分とする電解クロメートや反応クロメートと、6
価クロムを含有し、塗布後水洗することなく乾燥される
塗布クロメートとがある。近年、クロメート処理が家
電、建材、自動車などの用途に広く使用されるに至っ
て、需要家からさまざまな性能を要求されるようになっ
てきた。例えば色調の均一性、耐指紋性といった外観品
位、塗料密着性、裸使用時の平板材の耐食性と加工部耐
食性、アルカリ脱脂等に対するクロム難溶解性などがそ
の例である。これらの性能の中には、例えば加工部耐食
性とクロム難溶解性のように原理的に矛盾するものも含
まれており、すべての性能をバランス良く発現させるこ
とは技術的に容易ではない。クロムの難溶化が達成され
れば、従来、りん酸水溶液による封孔処理により耐食性
を確保してきた自動車タンク材料においてもクロメート
処理を適用できる可能性が出てくる。
【0003】クロメートを難溶化する公知技術として
は、例えば特開平3−215683号公報に一部記載が
あるように、クロメート皮膜の加熱を板温300℃とい
った高温で行う方法が知られているが、乾燥設備のコス
トを考えると経済的でない。また、特開平4−3580
82号公報や特開平5−287548号公報に見られる
ように、クロメート処理浴中にポリアクリル酸等の樹脂
やアルコール等の還元剤を添加し、6価クロムは還元固
定、3価クロムは樹脂中で架橋させる方法も知られてい
る。この方法によれば、樹脂のバリア効果も手伝ってク
ロメート皮膜の耐食性は向上するが、加工部で皮膜が破
れると、6価クロムによる自己修復作用が機能しないた
め加工部耐食性の問題が残る。また処理浴中に還元性成
分が多量に存在するため、浴安定性に劣る。
【0004】一方、特開平5−230666号公報に
は、クロム難溶性と高耐食性を両立する金属表面処理組
成物として、特定組成のカルボン酸、水酸基を含有する
有機重合体と水溶性クロム化合物等からなる樹脂クロメ
ート組成物が開示されている。しかしながら、この組成
物は25℃、相対湿度65%での保管によってすら、数
日でゲル化・沈降・分離などの異常を発生し、処理浴の
温度が50℃にも達する金属表面処理ラインにおける長
期連続操業には耐えがたい。また、得られたクロメート
処理金属板は塗料との二次密着性(長期耐久性)に劣
る。また、特開昭61−23767号公報には水酸基を
含有しない水分散性有機重合体とクロム酸塩およびシリ
カゾルの混合物が浴安定性に優れることが示されてい
る。
【0005】しかしながら、得られたクロメート処理板
はクロム溶出量が著しく多く、また浴安定性についても
必ずしも十分ではない。さらに、特開昭63−1457
85号公報には、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロ
ピレンブロックポリマー系乳化剤を用いて乳化重合して
得られたアクリル系重合体エマルジョンと6価クロム化
合物から成る組成物が開示されている。この組成物は乳
化剤の効果で40℃でも3週間以上安定であるが、裸耐
食性が十分でなく、またクロム溶出量も多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、処理
浴が長期安定な樹脂クロメート組成物、ならびにクロム
難溶性と加工部耐食性という原理的に相矛盾する性能を
同時に満足し、かつ塗料密着性、耐アルカリ性、平板耐
食性にも優れた外観品位の良好な樹脂クロメート処理金
属板を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、(a)
エチレン系不飽和カルボン酸成分 10重量%超、30
重量%未満、水酸基含有単量体成分3重量%未満(無添
加も含む)、その他がカルボキシル基も水酸基も含まな
いエチレン系不飽和化合物成分から成る有機重合体が水
性媒体中に安定に分散した有機重合体エマルジョンと、
(b)水溶性クロム化合物 および (c)鉱酸 とを
主成分とする樹脂クロメート組成物である。本発明の第
二は、当該組成物を亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板、ア
ルミニウムまたはアルミニウム合金めっき鋼板、鉛また
は鉛合金めっき鋼板、錫または錫合金めっき鋼板、亜鉛
または亜鉛合金板、アルミニウムまたはアルミニウム合
金板、鋼板の上に金属クロム換算で5〜300mg/m
2 有することを特徴とする表面処理金属板である。有機
重合体は低分子量界面活性剤を用いずに重合されたソー
プフリーエマルジョンであることが好ましい。乾燥温度
が板温90℃を越えない場合には、後述する(1)式で
与えられる有機重合体のTgTotal 値を−40℃以上2
0℃以下とすることが好ましい。
【0008】以下、本発明を詳述する。本発明者らは、
まず、金属表面処理ラインにおける連続操業に耐える、
安定性に優れた樹脂クロメート組成物を得るため鋭意検
討した。その結果、クロメート浴中にりん酸、硫酸、塩
酸などの鉱酸を添加し、かつ有機重合体中の水酸基含有
成分を3重量%未満、有機重合体中の水酸基含有成分と
エチレン系不飽和カルボン酸成分との合計を10重量%
超とすることにより、50℃においても1カ月前後の浴
寿命が得られることを見いだした。
【0009】次に、樹脂クロメート処理金属板のクロム
溶出性について調べたところ、一般に有機重合体中の水
酸基含有成分の量が多くなるほどクロム溶出量は低下す
ること、水酸基含有成分が3重量%未満の範囲において
はエチレン系不飽和カルボン酸成分の量を30重量%未
満とすることによりクロム溶出は十分抑制されることを
見いだした。次に、樹脂クロメート処理金属板の塗料と
の密着性、特に二次密着性(長期耐久性)を良好にする
ため検討したところ、有機重合体中のエチレン系不飽和
カルボン酸成分の量が10重量%を越えれば良好な密着
性が得られることが分かった。一方、30重量%を越え
ると、皮膜の耐アルカリ性が劣化する。有機重合体中の
その他の成分はカルボキシル基も水酸基も含まないエチ
レン系不飽和化合物からなる。
【0010】以下、上述した各成分について、さらに詳
細に述べる。有機重合体の水酸基含有単量体成分として
は、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル
酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸2,2−ビス(ヒ
ドロキシメチル)エチル、(メタ)アクリル酸2,3−
ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−クロ
ル−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒ
ドロキシエステル類、アリルアルコール類、及びN−メ
チロールアクリルアミド、N−ブトキシメチロール(メ
タ)アクリルアミド等のアルコールアミド類の還元性水
酸基を含有するモノマー、及び酸性溶液中で水酸基と同
様な反応性を期待できるグリシジル(メタ)アクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル、β−メチルグリシジル
(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有す
るモノマー、アクロレイン等のアルデヒド基を有するモ
ノマーなどから選ばれた1種または2種以上が使用可能
であるが、特に好ましくは(メタ)アクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、または/およびグリシジル(メタ)アク
リレートである。なお、(メタ)アクリル酸〜は、メタ
アクリル酸〜 または/および アクリル酸〜 を表し
ている。
【0011】有機重合体のエチレン系不飽和カルボン酸
成分としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、ク
ロトン酸等のエチレン系不飽和モノカルボン酸、イタコ
ン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン系不飽和ジカ
ルボン酸と、それらのカルボン酸アルカリ金属塩、アン
モニウム塩、有機アミン塩などの中から選ばれた1種ま
たは2種以上が使用できるが、好ましくはアクリル酸、
または/およびメタアクリル酸である。
【0012】有機重合体中のその他の成分、すなわちカ
ルボキシル基も水酸基も含まないエチレン系不飽和化合
物成分とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び
その他のビニル化合物である。(メタ)アクリル酸アル
キルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸
2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステ
アリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル
酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル等の中から選
ばれた1種または2種以上が使用できる。
【0013】その他のビニル化合物としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ジメチルアミノスチレン、ジ
メチルアミノスチレン(メタ)アクリルアミド、ビニル
トルエンおよびクロロスチレンなどから選ばれた1種ま
たは2種以上の芳香族ビニル化合物が推奨される。これ
らのうち1種または2種以上を併用したり、芳香族ビニ
ル化合物以外の化合物を併用することもかまわない。さ
らに、本発明の目的を損なわない範囲で上述した化合物
以外の化合物等を含有させておくことも差し支えない。
【0014】さらに、クロメート処理ラインの乾燥工程
において、板温90℃未満で皮膜を形成させようとする
場合には、下式(1)で得られる有機重合体のTg
Total 値が20℃以下であることが必要であることを見
いだした。これより高いと、成膜不良による白化等が起
こり耐食性も十分得られない。一方、TgTotal 値が−
40℃未満では、樹脂クロメート皮膜が乾燥後にも粘着
性を帯び、指紋の跡が残ったり、板の重ね合わせ時の固
着(ブロッキング)が起こりやすくなる。なお、成膜性
と耐指紋性、耐ブロッキング性とをより高度に両立させ
るためには、TgTo tal 値が−20℃以上10℃以下と
することがなお好適である。
【0015】
【数2】
【0016】なお、90℃以上の高温での乾燥が可能な
場合においては、有機重合体のTg Total を上記の範囲
で制限する必要はない。有機重合体の(1)式で与えら
れるTgTotal 値を−40℃以上、20℃以下に調整す
るためには、各成分のTg値、すなわちTgi と容積分
率(重量分率とほぼ同一)、φi を適切に選ぶ必要があ
るが、前述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル
が、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸ブチル、メ
タアクリル酸フェニル等であるときはTg値を上昇せし
め、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル等であるときはTg値を下降させるという知見を
応用し適宜組み合わせればよい。
【0017】有機重合体は水系媒体中に安定に分散した
エマルジョンである必要があり、その製造方法は特に限
定しないが、水性媒体中での乳化重合による合成方法が
望ましい。この場合、通常の乳化重合においては、低分
子量界面活性剤や、より高分子量の水溶性ポリマー、水
溶性オリゴマー等の水溶性保護コロイドの存在下で合成
を行うことが一般的である。しかし、これらのうち低分
子量界面活性剤を用いて合成したエマルジョンでは、成
膜後にエマルジョン粒子界面に低分子量界面活性剤が残
留し、皮膜の耐水性、耐食性が劣化するという問題が生
じる。従って、乳化重合に際してはこのような低分子量
界面活性剤を用いないことが好ましい。一方、高分子量
の水溶性ポリマー、水溶性オリゴマー等の水溶性保護コ
ロイドについては、高分子鎖がエマルジョン粒子に絡み
合い強い結合を保っていると考えられること、成膜後に
エマルジョン粒子間で架橋反応を起こすと考えられるこ
となどから、上記のような問題は少なく、浴安定性を向
上させる効果もあることから、他の皮膜性能を阻害しな
い範囲で使用しても差し支えない。以上のように本発明
の有機重合体は、低分子量界面活性剤を使用しない、い
わゆるソープフリーエマルジョンであることが望まし
い。
【0018】次に本発明における水溶性クロム化合物と
しては、無水クロム酸およびこれをでんぷん等で部分還
元した還元クロム酸、(重)クロム酸カリウム、(重)
クロム酸ナトリウム、(重)クロム酸アンモニウムなど
の重クロム酸塩やクロム酸塩を用いることができるが、
好ましくは無水クロム酸または部分還元クロム酸であ
る。クロム酸の還元率は特に定めるものではないが、特
別に重視する性能がある場合には以下の基準で選択する
ことが好ましい。すなわち、クロム難溶性を重視する場
合には、還元率20〜100%の範囲から選択し、一
方、加工部耐食性を重視する場合には、還元率0〜70
%の範囲から選択することが好ましい。
【0019】樹脂クロメート組成物中の水溶性クロム化
合物と有機重合体エマルジョンとの量比は適宜選択でき
るが、水溶性クロム化合物のCrO3 換算での重量と有
機重合体エマルジョンの固形分との重量比で1:1〜
1:20とすることが好ましい。樹脂クロメート皮膜の
厚みも適宜選択できるが、通常は0.1〜5μm程度で
よい。樹脂クロメート組成物中に添加する鉱酸として
は、りん酸、硫酸、塩酸、硝酸などが使用可能である
が、耐食性、浴安定性の観点からはりん酸が最も好まし
い。その添加量は特に制限するものではないが、浴安定
性を好適にするためには、H3 PO4 換算で浴中クロム
酸濃度(CrO3 換算)の1.2倍以上添加することが
有利である。
【0020】これら以外に、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、ジルコニア等の無機系ゾル、フッ化物などを必要に
応じて樹脂クロメート組成物および皮膜中に含有させる
ことができる。特にコロイダルシリカ等の添加は耐食性
を向上させる効果がある。金属表面への樹脂クロメート
組成物の付着量は金属クロム換算で5〜300mg/m
2 であることが好ましい。5mg/m2 未満では耐食性
が十分ではなく、300mg/m2 を越えると経済的で
ない。金属板へのクロメート処理方法としては、ロール
コーターによる塗布、リンガーロールによる塗布、浸漬
およびエアナイフ絞りによる塗布、バーコーターによる
塗布、スプレーによる塗布、刷毛塗りなどが使用可能で
ある。また、塗布後の乾燥も通常の方法でよい。
【0021】なお、本発明が適用可能な金属板として
は、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛
−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アル
ミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−
マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板な
どの亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼
板、アルミニウムまたはアルミニウム合金めっき鋼板、
鉛または鉛合金めっき鋼板、錫または錫合金めっき鋼
板、さらにはこれらのめっき層に少量の異種金属元素あ
るいは不純物としてコバルト、タングステン、ニッケ
ル、チタン、クロム、カドミウム、マンガン、鉄、マグ
ネシウム、鉛、アンチモン、錫、銅、カドミウム、ヒ素
等の金属を含有させたもの、または/およびシリカ、ア
ルミナ、チタニア等の無機物を分散させたものが含まれ
る。さらには、以上のめっきのうち2種類以上を順次施
した多層めっき、あるいは以上のめっきと他の種類のめ
っき、例えば鉄めっき、鉄−りんめっきなどとを組み合
わせた複層めっきにも適用可能である。さらに、亜鉛
板、亜鉛合金板、アルミニウム板、アルミニウム合金
板、鋼板なども使用可能である。
【0022】
【実施例】次に本発明を実施例によって説明する。 (実施例1) (1)カルボン酸、水酸基含有エマルジョンの合成 脱イオン水400部(重量部。以下同じ。)を反応槽に
入れて液温度60℃に上昇させ、これを表1に示すA〜
F、V〜Zの共重合割合のモノマー混合物400部と、
過硫酸アンモニウム4部を脱イオン水96部に溶解した
液と、酸性亜硫酸ソーダ4部を脱イオン水96部に溶解
した液とを同時並行に2時間で終了するように攪拌しな
がら滴下した後、引き続き60℃にて3時間攪拌しなが
ら重合反応を行ってカルボン酸、水酸基含有エマルジョ
ンを合成した。このうちA〜F,Y,Zが本発明例、V
〜Xが比較例である。 (2)樹脂クロメート組成物 部分還元クロム酸(還元率40%)をCrO3 換算で3
0g/l、りん酸をH 3 PO4 換算で45g/l、表1
に示す有機重合体エマルジョンを固形分で180g/l
含有する樹脂クロメート組成物を建浴した。また、比較
のため樹脂を含まない浴も用いた。
【0023】
【表1】
【0024】(3)金属板の種類 クロメート処理を行う金属板として、以下を用いた。 EG:電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量20g/m
2 ) GI:溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量90g/m
2 ) SZ:溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板(めっき
付着量120g/m2,AL/Zn=5/95) GA:合金化溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量45g
/m2 ,Fe/Zn=15/85) AL:溶融アルミニウムめっき鋼板(めっき付着量12
0g/m2
【0025】(4)クロメート処理方法 ロールコーターを使用して処理し到達板温60℃で乾燥
した。付着量は金属Cr換算で3〜300mg/m2
した。 (5)エージング 樹脂クロメート処理皮膜は常温でも時間とともに徐々に
成膜性が向上してゆく。これを勘案して、40℃で3日
間エージングを行い、成膜を完了させた。
【0026】(6)性能評価方法 以下の項目について性能評価を行った。 1)浴安定性:樹脂クロメート組成物を50℃の乾燥機
に入れて、ゲル化・沈降・分離等の異常が発生するまで
の日数を記録した。 2)平板耐食性:サンプルに5%、35℃の塩水を噴霧
したあとの錆発生面積率を調べた。なお、噴霧時間はE
Gが7日、GI、SZ、GAが10日、ALが15日
で、いずれも白錆発生面積率を測定した。 ◎ 錆発生なし 〇 錆発生率 5%未満 △ 錆発生率 5%以上、20%未満 × 錆発生率 20%以上
【0027】3)加工部耐食性:サンプルをエリクセン
加工により高さ7mmとし、2)と同様に塩水噴霧試験
を行った後、加工部の錆発生面積率を調べた。試験期間
は、EG、GI、SZ、GAが3日、ALが5日でいず
れも白錆発生面積率を測定した。 ◎ 錆発生なし 〇 錆発生率 5%未満 △ 錆発生率 5%以上、20%未満 × 錆発生率 20%以上
【0028】4)クロム溶出性:サンプルを沸騰水に3
0分浸漬しその前後でのクロム付着量の変化率を調べ
た。 ◎ △Cr<5% 〇 5%≦△Cr<10% △ 10%≦△Cr<20% × 20%≦△Cr
【0029】5)塗料密着性:サンプルにメラミンアル
キド塗料を20μm塗布、乾燥したのち、沸騰水に30
分浸漬した。ただちに碁盤目試験(1mm碁盤10×1
0、テープ剥離)により塗膜の剥離面積率を調べた。 ◎ 剥離率5%未満 〇 剥離率5%以上、10%未満 △ 剥離率10%以上、20%未満 × 剥離率20%超
【0030】6)耐アルカリ性:サンプルにpH10の
弱アルカリ性脱脂液を3分間スプレーした前後でのクロ
ム付着量の変化を調べた。 ◎ △Cr<5% 〇 5%≦△Cr<10% △ 10%≦△Cr<20% × 20%≦△Cr
【0031】7)色調:サンプルの黄色度YIを色差計
で測定した。YIが小さいほど、白色均一外観を呈す
る。 ◎ YI<−1.0 〇 −1≦YI<1 △ 1≦YI<5 × 5≦YI
【0032】8)耐指紋性:サンプルに親指を押しつ
け、指紋の目立ち具合を目視で評価した。 ◎ 指紋の跡が全く判別できない 〇 指紋の跡がかすかに見える △ 指紋の跡が容易に見分けられる × 指紋の跡が遠目にも目立つ 結果を表2に示す。表より明らかなように本発明は浴安
定性、平板耐食性、加工部耐食性、クロム溶出性、塗料
密着性、耐アルカリ性、色調、耐指紋性のいずれにおい
ても優れている。
【0033】
【表2】
【0034】(実施例2) (1)カルボン酸、水酸基含有エマルジョンの合成 表1のエマルジョンから選んで用いた。 (2)樹脂クロメート組成物 部分還元クロム酸(還元率20%)をCrO3 換算で3
0g/l、りん酸をH 3 PO4 換算で55g/l、表1
に示す有機重合体エマルジョンを固形分で30g/l含
有する樹脂クロメート組成物を建浴した。また、比較の
ため樹脂を含まない浴も用いた。 (3)金属板の種類 以下の金属板を用いた。 TC:溶融鉛−錫合金めっき鋼板(めっき付着量100
g/m2 、Pb/Sn=92/8) SN:溶融錫めっき鋼板(めっき付着量20g/m2 ) CR:冷延鋼板
【0035】(4)クロメート処理方法 実施例1と同様、ロールコーターを使用して処理し板温
80℃で2秒間乾燥した。付着量は金属Cr換算で30
mg/m2 とした。膜厚は約0.2μmであった。 (5)エージング 実施例1と同様、40℃で3日間エージングを行い、成
膜度を定常状態に到達させた。 (6)比較材の表面処理 TC,SNについては、比較として1vol%のりん酸
水溶液(65℃)に浸漬して封孔処理を施したものも用
意した。
【0036】(7)性能評価方法 以下の項目について性能評価を行った。 1)平板耐食性:サンプルに5%、35℃の塩水を噴霧
したあとの錆発生面積率を調べた。なお、噴霧時間はT
C、SNが15日、CRが5日で、いずれも赤錆発生面
積率を測定した。 ◎ 錆発生なし 〇 錆発生率 5%未満 △ 錆発生率 5%以上、20%未満 × 錆発生率 20%以上
【0037】2)加工部耐食性:サンプルをエリクセン
加工により高さ7mmとし、2)と同様に塩水噴霧試験
を行った後、加工部の錆発生面積率を調べた。試験期間
は、TC、SNが9日、CRが3日でいずれも赤錆発生
面積率を測定した。 ◎ 錆発生なし 〇 錆発生率 5%未満 △ 錆発生率 5%以上、20%未満 × 錆発生率 20%以上
【0038】3)クロム溶出性:サンプルを沸騰水に3
0分浸漬しその前後でのクロム付着量の変化率を調べ
た。 ◎ △Cr<5% 〇 5%≦△Cr<10% △ 10%≦△Cr<20% × 20%≦△Cr
【0039】4)塗料密着性:サンプルにメラミンアル
キド塗料を20μm塗布、乾燥したのち、沸騰水に30
分浸漬した。ただちに碁盤目試験(1mm碁盤10×1
0、テープ剥離)により塗膜の剥離面積率を調べた。 ◎ 剥離率5%未満 〇 剥離率5%以上、10%未満 △ 剥離率10%以上、20%未満 × 剥離率20%以上
【0040】5)耐アルカリ性:サンプルにpH12の
強アルカリ性脱脂液を3分間スプレーした前後でのクロ
ム付着量の変化を調べた。 ◎ △Cr<5% 〇 5%≦△Cr<10% △ 10%≦△Cr<20% × 20%≦△Cr 結果を表3に示す。表より明らかなように本発明はいず
れの金属板に適用した場合にも、平板耐食性、加工部耐
食性、クロム溶出性、塗料密着性、耐アルカリ性におい
て優れている。特に、TC、SNにおいてはりん酸によ
る封孔処理よりも優れた耐食性、塗料密着性を示す。
【0041】
【表3】
【0042】(実施例3) (1)カルボン酸、水酸基含有エマルジョンの合成 表1のエマルジョンを用いた。 (2)樹脂クロメート組成物 部分還元クロム酸(還元率55%)をCrO3 換算で2
0g/l、りん酸をH 3 PO4 換算で45g/l、有機
重合体エマルジョンを固形分で80g/l、コロイダル
シリカをSiO2 換算で35g/l含有する樹脂クロメ
ート組成物を建浴した。また、比較のため樹脂を含まな
い浴も用いた。 (3)金属板の種類 実施例1と同様に、EG、GI、SZ、GA、ALを用
いた。
【0043】(4)クロメート処理方法 金属板を樹脂クロメート浴に浸漬後、エアナイフにより
付着量が金属Cr換算で30mg/m2 となるよう調整
し、到達板温60℃で乾燥した。膜厚は0.4μmであ
った。 (5)性能評価方法 実施例1と同様に行った。 結果を表4〜表8に示す。いずれのめっき鋼板において
も本発明は優れた性能を示している。
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】(実施例4) (1)カルボン酸、水酸基含有エマルジョンの合成 表1のエマルジョンより選択して用いた。 (2)樹脂クロメート組成物 部分還元クロム酸(還元率70%)をCrO3 換算で3
0g/l、りん酸をH 3 PO4 換算で70g/l、有機
重合体エマルジョンを固形分で75g/l、さらにコロ
イダルシリカをSiO2 換算で10g/l含有する樹脂
クロメート組成物を建浴した。 (3)金属板の種類 GIを用いた。 (4)クロメート処理方法 ロールコーターを使用して付着量が金属Cr換算で30
mg/m2 となるよう調整し、到達板温60〜90℃で
乾燥した。膜厚は約0.3μmであった。
【0050】(5)性能評価方法 実施例1と同様に行った。ただし、以下の評価項目をつ
け加えた。 1)成膜性:クロメート処理を施し、所定温度で乾燥し
た金属板の処理面を爪でこすり、皮膜が剥離するかどう
かを目視で確認した。 〇 剥離なし △ 一部剥離が認められる × 全体的に剥離が起こる 結果を表9に示す。板温90℃未満で乾燥する場合に
は、有機重合体のTgTo tal が−40℃以上、20℃以
下であることが好ましい。
【0051】
【表9】
【0052】
【発明の効果】本発明により、従来両立が技術的に困難
であったクロメート処理組成物の浴安定性と当該処理を
施された処理金属板のクロム溶出性、加工部耐食性がい
ずれも高いレベルで満足され、かつ塗料密着性、耐アル
カリ性、平板耐食性にも優れた外観品位の良好なクロメ
ート処理金属板を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 133/02 PFW C09D 133/02 PFW 133/04 PGA 133/04 PGA (72)発明者 林 公隆 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内 (72)発明者 鈴木 眞一 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 宮内 優二朗 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 吉田 健吾 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 小田島 壽男 岡山県岡山市金岡東町3丁目1番11号 (72)発明者 高橋 智三 岡山県岡山市金岡東町3丁目1番10号 (72)発明者 芝吹 修司 岡山県岡山市中畦74番地

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)エチレン系不飽和カルボン酸成
    分:10重量%超、30重量%未満、水酸基含有単量体
    成分:3重量%未満(無添加も含む)その他がカルボキ
    シル基も水酸基も含まないエチレン系不飽和化合物成分
    から成る有機重合体が水性媒体中に安定に分散した有機
    重合体エマルジョンと、(b)水溶性クロム化合物、お
    よび(c)鉱酸を主成分とする樹脂クロメート組成物。
  2. 【請求項2】 亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板、アルミ
    ニウムまたはアルミニウム合金めっき鋼板、鉛または鉛
    合金めっき鋼板、錫または錫合金めっき鋼板、亜鉛また
    は亜鉛合金板、アルミニウムまたはアルミニウム合金
    板、あるいは鋼板の上に請求項1記載の樹脂クロメート
    組成物の皮膜を、金属クロム換算で5〜300mg/m
    2 有することを特徴とする表面処理金属板。
  3. 【請求項3】 (a)成分の有機重合体において、下記
    式で与えられるTg Total 値が−40℃以上20℃以下
    であることを特徴とする請求項1記載の樹脂クロメート
    組成物。 【数1】
  4. 【請求項4】 亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板、アルミ
    ニウムまたはアルミニウム合金めっき鋼板、鉛または鉛
    合金めっき鋼板、錫または錫合金めっき鋼板、亜鉛また
    は亜鉛合金板、アルミニウムまたはアルミニウム合金
    板、あるいは鋼板の上に請求項3記載の樹脂クロメート
    組成物を塗布後、板温90℃未満で乾燥させ、金属クロ
    ム換算で5〜300mg/m2 の皮膜を形成させたこと
    を特徴とする表面処理金属板。
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