JPH09118970A - 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 - Google Patents
耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法Info
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- JPH09118970A JPH09118970A JP27517395A JP27517395A JPH09118970A JP H09118970 A JPH09118970 A JP H09118970A JP 27517395 A JP27517395 A JP 27517395A JP 27517395 A JP27517395 A JP 27517395A JP H09118970 A JPH09118970 A JP H09118970A
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Abstract
板を母材鋼板として、耐熱性(耐黒変性),加工性,溶
接性等にすぐれた溶融アルミめっき鋼板を、工業的規模
で効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 C0.03〜0.08%,Si0.05%以
下,Mn0.1〜0.4%,P0.025%以下,S
0.015%以下,Al0.006〜0.014%,N
0.0025〜0.005%,残部Feおよび不可避不
純物からなるアルミキルド鋼連続鋳造片の冷間圧延鋼板
(但し、熱間圧延での熱延板巻取りを500 〜600 ℃で行
ったもの)をめっき母材鋼板とし、Si含有量3〜15
%のAl−Si合金めっき浴による溶融アルミめっきを
行った後、温度250〜500℃、保持時間1分以上の
熱処理を施す。めっき後の熱処理は連続炉タイプ又はバ
ッチ焼鈍方式のいずれも適用できる。
Description
をめっき母材鋼板とし、耐熱性にすぐれ、高温環境にお
けるめっき層表面の光沢保持性(耐黒変性)が高く、か
つ良好な加工性,溶接性等を備えた溶融アルミめっき鋼
板を高能率,低コストで製造する方法に関する。
性にすぐれた材料であり、自動車の排気系部材(マフラ
ーパイプ等)や、石油ストーブの遮蔽板等、その他各種
の耐熱用途に使用されている。従来より、耐熱性や高温
での光沢保持特性を要求される用途の溶融アルミめっき
鋼板は、造塊法によるリムド鋼の冷延鋼板をめっき母材
鋼板として製造されてきた。近年、スラブ連続鋳造化の
進展に伴い、リムド鋼に代えて連続鋳造によるアルミキ
ルド鋼の冷延鋼板を用いて溶融アルミめっき鋼板を製造
する要求が、製造コストの低減,生産効率の向上等の観
点から益々増大している。しかるに、リムド鋼板を使用
した溶融アルミめっき鋼板の場合は、約550℃付近の
温度域でも銀白色の美麗な光沢表面を保持するのに対
し、アルミキルド鋼板を母材鋼板とする溶融アルミめっ
き鋼板では、約400℃の温度に加熱されると、短時間
で銀白色の光沢表面を失い、灰黒色に変化(黒変化)し
易い傾向がある。このめっき層表面の黒変化は、溶融ア
ルミめっき層と母材鋼板との界面に生じるFe−Al相
互拡散反応(アルミめっき層の合金化)に伴う現象であ
る。リムド鋼板を使用した溶融アルミめっき鋼板の場合
は、めっき層と母材鋼板との界面にAlN層が生成し、
Fe- Al相互拡散反応を阻止するバリアー層としての
役目をはたすのに対し、アルミキルド鋼板を母材鋼板と
する溶融アルミめっき鋼板では、そのようなバリアー層
の生成がないため、比較的低温域での熱影響で急速に黒
変化(銀白色の光沢喪失)を生じるのである。
公報には、C:0.2 %以下,Mn:0.1 〜0.4 %,A
l:0.005 〜0.02%,N:0.0005〜0.006 %,残部Fe
からなるアルミキルド鋼板を母材鋼板とし、溶融アルミ
めっき(Si含有量1〜15%)の後、昇温速度300℃
/Hr以下で、350〜500℃に加熱して30分以上保
持する熱処理を行うこととした溶融アルミめっき鋼板の
製造法が提案されている。その製造法は、母材鋼板のア
ルミ含有量と、溶融アルミめっき浴組成(Si含有
量)、およびめっき後の熱処理条件の調節効果として、
めっき層と母材鋼板との界面に、Fe−Alの相互拡散
を阻止するバリアー層(AlN層)を形成してめっき層
の合金化を抑制防止するというものである。
溶融アルミめっき鋼板の製造方法においては、耐熱性を
高めるための熱処理として、そこに記載されているよう
に、300℃/Hr以下の緩徐な昇温速度で350〜50
0℃に加熱し、30分以上保持する熱処理の実施を必要
とする。しかし、その熱処理は、連続焼鈍炉タイプの熱
処理炉(加熱昇温時間は通常1〜2分程度と極く短時間
である)において実施することは不可能であるから、バ
ッチ焼鈍方式を採用せざるを得ず、バッチ焼鈍を採用す
る場合にも、昇温速度の制御や操業上の制約から、オー
プンコイル焼鈍炉(通常その昇温速度は300℃/Hrよ
りも著しく速い)での処理は困難であり、タイトコイル
焼鈍炉によらざるを得ない。従ってその熱処理は長時間
を要し、著しく非能率であり、工業的規模での実施には
多くの制約を受ける。
良された耐熱性を有しているとはいえ、その耐熱性はせ
いぜい550℃付近が限度であり、それを越える高温環
境では急速に黒変化を生じ、銀白色の光沢表面を喪失す
る。更に、母材鋼板のC含有量が約0.08%を越える
高C量の場合には、加工性が著しく低く、例えば自動車
用マフラーの用途では、造管後に行われる拡管加工の困
難をきたし、他方C含有量が約0.03%未満の低C量
の場合には、溶接熱影響部(HAZ部)に粗粒化を生
じ、加工性および靱性が損なわれるという問題がある。
本発明は、溶融アルミめっき鋼板の製造法に関する上記
問題を解消し、改良された耐熱性(耐黒変性)、構造用
部材料として必要な溶接性や、拡管加工等の強加工に耐
え得る高加工性等を備えた溶融アルミめっき鋼板を効率
よく製造することができる新規製造方法を提供しようと
するものである。
き鋼板の製造方法は、C:0.03〜0.08%,S
i: 0.05%以下,Mn:0.1〜0.4%,P:
0.025%以下,S: 0.015%以下,Al:0.
006〜0.014%,N:0.0025〜0.005
%,残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造片で
ある低炭素アルミキルド鋼を熱間圧延し、鋼板巻取りを
500〜600℃で行った熱延板を冷間圧延してなる低
炭素アルミキルド鋼冷延板をめっき母材鋼板とし、母材
鋼板表面にSi含有量3〜15%のAl−Si合金から
なる溶融アルミめっきを行った後、温度250〜500
℃、保持時間1分以上の加熱処理を施すことを特徴とし
ている。
アルミめっき鋼板は、母材鋼板のAlおよびN含有量の
規定と熱間圧延巻取り温度の規定の効果として、鋼中に
固溶N(solN)が豊富に残留し、その固溶Nは、溶融
アルミめっき後の熱処理において、鋼板表面に拡散移行
し、めっき層との界面にAlN層を形成する。このAl
N層の形成により、界面のFe−Al相互拡散(めっき
層の合金化反応)が効果的に抑制防止され、めっき層表
面は、約575℃ないしそれを超える高温域において
も、黒変化を生じず、銀白色の美麗な光沢表面が安定に
保持される。AlN層を生成させる上記熱処理は、従来
の製造法におけるそれに比べてはるかに制約が少なく、
250〜500℃の温度域に1分以上保持するだけで十
分に達成できる。このことは、その熱処理を、連続焼鈍
炉タイプの熱処理炉で行うことが可能であることを意味
し、またバッチ式の加熱炉による場合においても、タイ
トコイル焼鈍炉に代え、生産効率の面で有利なオープン
コイル焼鈍炉による処理が可能であることを意味してい
る。更に、本発明による溶融アルミめっき鋼板は、母材
鋼板のC量等の規定の効果として、改良された加工性お
よび溶接性を備えている。
材鋼板として使用される低炭素アルミキルド鋼板の化学
組成の限定理由は次のとおりである(明細書中、成分含
有量を示す%はすべて重量%である)。 Al:0.006〜0.014% Alは、鋼の溶製工程における脱酸元素として添加され
る。その量が0.006%に満たないと、脱酸作用が不
足し、工業的規模における連続鋳造操業を安定に維持す
ることが困難となる。他方、0.014%を越えると、
鋼中の固溶Nと反応し易くなり、めっき層界面のバリア
層(AlN層)の形成に必要な固溶Nの鋼中残留量の不
足をきたし、耐熱性(耐黒変性)の改善効果が乏しくな
る。
(耐黒変性)に及ぼす母材鋼板のAl含有量,N含有量
の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造されたアルミキルド鋼の冷間圧延鋼
板) 化学組成:C 0.04, Si 0.01, Mn 0.20, P 0.012, S 0.0
08, Al 0.006-0.020, N 0.0005-0.0050 (sol.N 0.0002-
0.0045), Fe Bal (Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:510℃ めっき層:8.5 %Si−Al、層厚 19 μm めっき後の熱処理:400℃×2Hr
試験片を一定温度に設定された加熱炉内に200 Hr保持
した後のめっき層表面の黒変化の有無を示している。 ○…575℃で黒変化なし(銀白色光沢表面保持) △…550℃を越えると黒変化 ×…550℃以下で黒変化 図示のように、母材鋼板のAlおよびN量を本発明の規
定(Al量0.006〜0.014%,N量0.002
5〜0.005%)の範囲に調整することにより、57
5℃以上の高温加熱に耐え得る高度の耐熱性が確保され
ている。
善に必要な元素であり、母材鋼板の鋼中固溶N(sol.
N)は、溶融めっき後に行う熱処理において、鋼板表面
に拡散移行してめっき層との界面にAlN層を形成す
る。このAlN層の形成による耐熱性改善効果を十分な
らしめるために、N量(total N量)は少なくとも0.
0025%であることを要する。しかし、0.005%
を越えると、母材鋼板の時効による延性の低下が大き
く、加工性が損なわれる。このため、0.005%を上
限とする。本発明者等の研究によれば、AlN層の形成
に関与する固溶N(sol.N)について、上記効果を得る
ための適正な含有量は20〜45ppm であることが判明
している。その固溶N量は、N量(total N量)を上記
範囲に規定することにより確保される。
後における伸びの減少量(ΔEl)に対する母材鋼板の
N含有量の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造されたアルミキルド鋼の冷間圧延鋼
板) 化学組成:C 0.04, Si 0.01, Mn 0.20, P 0.012, S 0.0
08, Al 0.006又は0.014, N 0.0005-0.0065 (sol.N 0.00
02-0.0060), Fe Bal(Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:510℃ めっき層:8.0 %Si−Al、層厚 20 μm めっき後の熱処理:400℃×3Hr 時効処理:供試材(板厚1.0 mm)から試験片(JIS Z220
1 5号)を作製し、100℃×1Hrの人工時効処理を
実施。 図中、(1) はAl0.006 %、(2) はAl0.014 %の供試
材の測定結果である。母材鋼板のN量が本発明の上限値
50ppm(0.0050%) を越えると、時効による延性の低下
が大きくなるが、50 ppm以下に制限することにより、良
好な延性が保持されることがわかる。
大きく影響する。C量が0.03%に満たないと、溶接
熱影響部の金属組織の粗大化をきたし、その部分の延
性,靱性の低下により、溶接後の加工性が大きく損なわ
れる。例えば自動車用マフラーパイプの製造では、溶接
による造管後の拡管加工に必要な加工性を確保すること
が困難となる。このため、C量は少なくとも0.03%
を必要とする。しかし、C量が0.08%を越えると、
鋼板の延性低下が大きく、この場合も良好な加工性を確
保し得なくなるので、これを上限とする。
び)、および加工性(パイプの拡管加工性)に及ぼす母
材鋼板のC含有量の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造されたアルミキルド鋼の冷間圧延鋼
板) 化学組成:C 0.005-0.20, Si 0.01, Mn 0.20, P 0.012,
S 0.009, Al 0.010, N 0.0035 (sol.N 0.0030), Fe B
al (Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:505℃ めっき層:8.8 %Si−Al、層厚 22 μm めっき後の熱処理:400℃×2Hr パイプの成形加工:高周波溶接によりパイプ(管径28.6
mm) を成形した後、拡管加工(冷間加工)を行って、管
径37.2 mmのパイプに仕上げる(拡管比:1.3)。
割れ発生。図示のように、母材鋼板のC含有量が0.0
8%を越えると、鋼板の延性の急激な低下と、拡管加工
での割れの発生を免れず、他方0.03%に満たない
と、延性は良好であるものの、拡管加工に必要な加工性
を確保し得ない。これに対し、本発明の0.03〜0.
08%の範囲においては、高い伸び特性と、拡管加工割
れを防止し得る良好な加工性が確保されている。
熱脆性を防止し、熱間加工性を高める。このために、
0.1%以上を要するが、0.4%を越えると、鋼の加
工性が低下するので、これを上限とする。
中の酸素と反応し、珪酸および珪酸塩を形成して酸素を
除去する。この効果を得るためのSi量は0.05%ま
でで十分である。また、それを超えて多量に含有する、
鋼を硬化させ加工性を悪くする。このため、0.05%
を上限とする。
いずれの元素も低い程有利であるが、Pは0.025%
以下,Sは0.015%以下であれば、本発明の趣旨が
損なわれることはない。
ミキルド鋼の熱間圧延における鋼板巻取り温度の上限
を、600℃に規定したのは、それを越える高温巻取り
を行うと、鋼中の固溶Nの大部分が、鋼中のAlの一部
と反応してAlNとして鋼中に固定されるため、めっき
層界面のバリアー層(AlN層)の形成に必要な固溶N
の残留量が不足し、耐熱性(耐黒変性)を確保できなく
なるからである。他方、500℃を下限とするのは、そ
れより低温度域での巻取りを行うと、鋼板の結晶粒の微
細化により、延性が低下し、良好な加工性を確保するこ
とが困難となるからである。
っき浴のSiは、めっき層の合金化反応による金属間化
合物の成長を抑制する効果を有する。浴中のSi濃度
を、3〜15%の範囲に限定したのは、3%に満たない
と、上記効果がなく、他方15%を超える高濃度では、
めっき層中に板状のSiが点在するようになり、めっき
層の加工性の低下をきたすからである。
ミめっき後の熱処理により、母材鋼板の鋼中固溶Nは鋼
板表面に拡散移行し、めっき層との界面にAlN層(バ
リアー層)が形成される。その熱処理は250〜500
℃の温度域に1分間以上保持することにより達成され
る。処理温度の下限を250℃としたのは、それより低
い温度では、長時間の処理を行っても、耐熱性の十分な
改善効果を得ることができないからであり、他方500
℃を上限としたのは、それを越える高温処理は、熱経済
性を損なうのみならず、母材鋼板の鋼中セメンタイト
(Fe3 C)の再固溶が生じ、固溶C量の増加により鋼
板の加工性の低下をきたすからである。
(耐黒変性)の改善効果に及ぼす熱処理温度の影響を、
処理時間をパラメータとして示している。図の横軸は、
めっき後の熱処理における処理温度(図中のaは、処理
時間1分,bは同30分,cは同180分)であり、縦
軸は耐熱性試験におけるめっき層表面の黒変化開始温度
である。 母材鋼板(連続鋳造されたアルミキルド鋼の冷間圧延鋼
板) 化学組成:C 0.04, Si 0.01, Mn 0.20, P 0.012, S 0.0
08, Al 0.012, N 0.0040 (sol.N 0.0035), Fe Bal (Wt
%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:550℃ めっき層:9.0 %Si−Al、層厚 19 μm めっき後の熱処理:温度100〜550℃, 時間1
分,30分,180分。 耐熱性試験:供試材を加熱炉(炉内温度400 〜600 ℃)
に装入し、200 Hr保持した後、めっき層表面の黒変化
の有無を目視判定する。
度が250℃より低い場合は、処理時間を長くしても、
耐熱性の改善効果は少ないが、処理温度を250℃(本
発明の下限温度)以上とすることにより、耐熱性(黒変
化開始温度)は、575〜600℃付近の高温域まで高
められている(耐熱性改善効果の点からは、処理温度を
500℃以下に限定する必要はないが、熱経済性および
加工性の確保の観点から、上記のように本発明では50
0℃を上限としている) 。この耐熱性改善効果は、1分
程度の極めて短時間の熱処理(図中,a)でも達成する
ことができ、このことは既に述べたように、生産性・経
済性の面で最も有利な連続焼鈍炉タイプの加熱炉(例え
ば、溶融めっきライン内におけるインライン・ポスト・
アニーリング炉)等の適用が可能であること意味してい
る。連続炉タイプの熱処理による場合の処理時間は、約
1〜3分程度に設定して効率よくその連続処理を遂行す
ることができる。
って耐熱性改善効果がより大きくなること示している。
これは、処理時間の増大により、バリアー層としてより
緻密強固なAlN層が形成されることによる。従って、
耐熱性をより高めることを望む場合は、バッチ式焼鈍炉
による比較的長時間の熱処理を行うとよい。この場合の
熱処理も、生産効率の面で有利なオープン・コイル焼鈍
炉を適用することができる。その処理時間は特に限定さ
れないが、余り長時間化しても、耐熱性改善効果が飽和
し、生産効率・熱経済性を損なうので、10Hr以内と
するのが適当であり、実用上は数時間程度までで十分で
ある。
熱間圧延し、熱延鋼板(板厚3.2mm)を、常法に従っ
て、酸洗処理し、冷間圧延に付して板厚1.0mmの冷延
鋼板を得る。 (ii)溶融アルミめっきおよびめっき後の熱処理:冷延鋼
板を連続溶融アルミめっきラインに供給し、常法に従っ
て還元焼鈍処理,めっき浴(浴組成:Al−Si合金)
への通板,およびめっき浴上でのめっき目付け量の調整
等を行い、めっき後、加熱処理を施して溶融アルミめっ
き鋼板を得る。表1および表2に、母材鋼板の化学組
成、熱延巻取り温度,めっき条件,およびめっき後の熱
処理条件(処理温度・時間)を示す。母材鋼板の化学組
成欄に、固溶N量の測定結果(内部摩擦法による)を併
記した。なお、内部摩擦法による固溶N量の測定は、捩
り振子による自由減衰法により、低周波領域(1.0 〜1.
3Hz)で行った。測定温度範囲は-150〜+120 ℃(-150
℃までの冷却は液体窒素による) であり、スネークピー
クはヘリウムガス中、1℃/ 分の昇温速度で測定した。
(耐黒変性),機械的性質,加工性(拡管加工性)を示
す。耐熱性および加工性の評価はそれぞれ下記の試験に
より行った。 (1) 耐熱試験:供試めっき鋼板から切出した試験片(5
0×70,mm)を、所定温度(400〜575℃)に保持さ
れた加熱炉内に、200Hr保持した後、めっき表面の変
色の有無を目視判定し、併せて界面のFe−Al合金層
の層厚を測定する。表中、「めっき層表面外観」欄の記
号は次のとおりである。 ○…銀白色の光沢保持 ×…灰黒色に変色
ールフォーミング加工および高周波溶接によりチューブ
(管径28.6mm, 厚さ1.0 mm)に形成し、ついでマンドレ
ルによる拡管加工を行う(拡管比:1.3)。拡管加工
後、目視観察により、パイプの割れの有無を判定する。
表中、「拡管加工性」欄の記号は次のとおりである。 ○…割れ発生なし ×…割れ発生
例である。比較例のうち、No.7〜21は、アルミキルド鋼
板を母材鋼板とする発明例のめっき鋼板に類似している
が、母材鋼板組成, 熱延巻取り温度, めっき浴組成, ま
たはめっき後の熱処理条件のいずれかの要件(表1,表
2中,下線付記)が本発明の規定から逸脱している例、
No.22, No.23は母材鋼板としてリムド鋼板を使用した例
である。リムド鋼板を母材鋼板とするNo.22 およびNo.2
3 の溶融アルミめっき鋼板は、525〜550℃付近ま
では、銀白色の光沢表面を保持しているが、その温度域
を越えると、めっき層の合金化により灰黒色に変化して
いる。これに対し、発明例 No.1 〜6 は、575℃の高
温域においても、めっき層表面の黒変化を生じず、Fe
−Al合金層の厚みも3〜5μm程度と薄く、合金層の
成長は全く認められない。また、パイプとしての強度お
よび延性も良好であると共に、拡管加工に耐え得る十分
な加工性を有している。
も低炭素アルミキルド鋼板)において、No.7〜11の耐熱
性(耐黒変性)が劣るのは、母材鋼板のAl量・N量の
過・不足のため、鋼中の固溶N量が不足し、結果として
めっき層と母材鋼板との界面のバリアー層(AlN層)
の形成が十分に行われなかったことによる。No.12 は、
母材鋼板が過剰のN量を含むため、鋼板の時効による延
性の低下が大きく、拡管加工で割れを生じている。No.1
3 は、良好な伸びを有していながら、拡管加工で割れが
発生している。これは、母材鋼板のC量の不足のため、
溶接熱影響部の金属組織が粗大化したことによる。No.1
4 は、母材鋼板のC量が過剰のため、鋼板の延性が低
く、拡管加工において割れが発生している。
度が高過ぎたために、バリアー層(AlN層)の形成に
必要な鋼中のN量の不足をきたしたからである。No.16
に拡管加工での割れが発生したのは、熱延巻取り温度が
低過ぎ、鋼板の結晶組織が過度に微細化し延性が低下し
たことに起因している。No.17 およびNo.18 の耐熱性が
低いのは、前者ではめっき後の熱処理における処理時間
が不足し、後者ではその熱処理温度が低過ぎたために、
めっき層界面のAlN層(バリアー層)が十分に形成さ
れなかったことによる。No.19 は、めっき後の熱処理温
度が高過ぎることにより、母材鋼板の延性が低下し、拡
管加工で割れを生じている。また、No.20 で、造管後の
拡管加工における割れが発生したのは、アルミめっき浴
のSi濃度が低過ぎたため、六方晶系合金層が急激に成
長したことによる。この供試材では、拡管加工時にめっ
き層の剥離・脱落も発生している。No.21 の拡管加工性
が悪いのは、アルミめっき浴のSi濃度が高過ぎること
(めっき層中に板状のSiが点在)に起因するものであ
り、拡管加工時にめっき層の剥離・脱落が観察された。
価で、加工性の良いアルミキルド鋼板を母材鋼板とし
て、耐熱性(耐黒変性)に優れ、かつ加工性や溶接性を
備えた溶融アルミめっき鋼板を製造することができる。
その耐熱性の改善効果は極めて高く、約575℃ないし
それを超える高温度域においても、めっき層表面の黒変
化を生じず、銀白色の美麗な光沢表面を安定に保持す
る。また、従来法では、耐熱性を付与するためのめっき
後の熱処理を、バッチ式焼鈍炉で実施せざるを得ないの
に対し、本発明の製造方法では、熱処理条件の制約が少
なく、連続焼鈍炉タイプの熱処理炉により実施すること
ができる。また、バッチ方式を適用する場合にも、タイ
トコイル焼鈍炉だけでなく、オープンコイル焼鈍炉によ
る実施が可能である。更に、造塊法に代って連続鋳造法
による鋳片から母材鋼板を製造することができる等、生
産能率の面で著しく有利であり、工業的意義は極めて大
きく、溶融アルミめっき鋼板の耐熱用途の拡大・多様化
を可能とするものである。
よびN含有量の影響を示すグラフである。
材鋼板のN含有量の関係を示すグラフである。
板のC含有量の影響を示すグラフである。
理温度の影響を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.03〜0.08%,Si: 0.
05%以下,Mn:0.1〜0.4%,P: 0.025
%以下,S: 0.015%以下,Al:0.006〜
0.014%,N:0.0025〜0.005%,残部
Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造片である低炭
素アルミキルド鋼を熱間圧延し、鋼板巻取りを500〜
600℃で行った熱延板を冷間圧延してなる低炭素アル
ミキルド鋼冷延板をめっき母材鋼板とし、母材鋼板表面
にSi含有量3〜15%のAl−Si合金からなる溶融
アルミめっきを行った後、温度250〜500℃、保持
時間1分以上の加熱処理を施すことを特徴とする耐熱
性、溶接性および加工性等にすぐれた溶融アルミめっき
鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27517395A JP3398810B2 (ja) | 1995-10-24 | 1995-10-24 | 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27517395A JP3398810B2 (ja) | 1995-10-24 | 1995-10-24 | 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
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