JPH09118970A - 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 - Google Patents

耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH09118970A
JPH09118970A JP27517395A JP27517395A JPH09118970A JP H09118970 A JPH09118970 A JP H09118970A JP 27517395 A JP27517395 A JP 27517395A JP 27517395 A JP27517395 A JP 27517395A JP H09118970 A JPH09118970 A JP H09118970A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
hot
heat treatment
plating
heat resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP27517395A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3398810B2 (ja
Inventor
Satoru Usuki
哲 臼杵
Nobuyoshi Tanaka
信義 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP27517395A priority Critical patent/JP3398810B2/ja
Publication of JPH09118970A publication Critical patent/JPH09118970A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3398810B2 publication Critical patent/JP3398810B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 連続鋳造片より製造したアルミキルド冷延鋼
板を母材鋼板として、耐熱性(耐黒変性),加工性,溶
接性等にすぐれた溶融アルミめっき鋼板を、工業的規模
で効率よく製造する方法を提供する。 【構成】 C0.03〜0.08%,Si0.05%以
下,Mn0.1〜0.4%,P0.025%以下,S
0.015%以下,Al0.006〜0.014%,N
0.0025〜0.005%,残部Feおよび不可避不
純物からなるアルミキルド鋼連続鋳造片の冷間圧延鋼板
(但し、熱間圧延での熱延板巻取りを500 〜600 ℃で行
ったもの)をめっき母材鋼板とし、Si含有量3〜15
%のAl−Si合金めっき浴による溶融アルミめっきを
行った後、温度250〜500℃、保持時間1分以上の
熱処理を施す。めっき後の熱処理は連続炉タイプ又はバ
ッチ焼鈍方式のいずれも適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミキルド鋼板
をめっき母材鋼板とし、耐熱性にすぐれ、高温環境にお
けるめっき層表面の光沢保持性(耐黒変性)が高く、か
つ良好な加工性,溶接性等を備えた溶融アルミめっき鋼
板を高能率,低コストで製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融アルミめっき鋼板は、耐熱性,耐食
性にすぐれた材料であり、自動車の排気系部材(マフラ
ーパイプ等)や、石油ストーブの遮蔽板等、その他各種
の耐熱用途に使用されている。従来より、耐熱性や高温
での光沢保持特性を要求される用途の溶融アルミめっき
鋼板は、造塊法によるリムド鋼の冷延鋼板をめっき母材
鋼板として製造されてきた。近年、スラブ連続鋳造化の
進展に伴い、リムド鋼に代えて連続鋳造によるアルミキ
ルド鋼の冷延鋼板を用いて溶融アルミめっき鋼板を製造
する要求が、製造コストの低減,生産効率の向上等の観
点から益々増大している。しかるに、リムド鋼板を使用
した溶融アルミめっき鋼板の場合は、約550℃付近の
温度域でも銀白色の美麗な光沢表面を保持するのに対
し、アルミキルド鋼板を母材鋼板とする溶融アルミめっ
き鋼板では、約400℃の温度に加熱されると、短時間
で銀白色の光沢表面を失い、灰黒色に変化(黒変化)し
易い傾向がある。このめっき層表面の黒変化は、溶融ア
ルミめっき層と母材鋼板との界面に生じるFe−Al相
互拡散反応(アルミめっき層の合金化)に伴う現象であ
る。リムド鋼板を使用した溶融アルミめっき鋼板の場合
は、めっき層と母材鋼板との界面にAlN層が生成し、
Fe- Al相互拡散反応を阻止するバリアー層としての
役目をはたすのに対し、アルミキルド鋼板を母材鋼板と
する溶融アルミめっき鋼板では、そのようなバリアー層
の生成がないため、比較的低温域での熱影響で急速に黒
変化(銀白色の光沢喪失)を生じるのである。
【0003】その黒変化対策として、特公平5-26864 号
公報には、C:0.2 %以下,Mn:0.1 〜0.4 %,A
l:0.005 〜0.02%,N:0.0005〜0.006 %,残部Fe
からなるアルミキルド鋼板を母材鋼板とし、溶融アルミ
めっき(Si含有量1〜15%)の後、昇温速度300℃
/Hr以下で、350〜500℃に加熱して30分以上保
持する熱処理を行うこととした溶融アルミめっき鋼板の
製造法が提案されている。その製造法は、母材鋼板のア
ルミ含有量と、溶融アルミめっき浴組成(Si含有
量)、およびめっき後の熱処理条件の調節効果として、
めっき層と母材鋼板との界面に、Fe−Alの相互拡散
を阻止するバリアー層(AlN層)を形成してめっき層
の合金化を抑制防止するというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載された
溶融アルミめっき鋼板の製造方法においては、耐熱性を
高めるための熱処理として、そこに記載されているよう
に、300℃/Hr以下の緩徐な昇温速度で350〜50
0℃に加熱し、30分以上保持する熱処理の実施を必要
とする。しかし、その熱処理は、連続焼鈍炉タイプの熱
処理炉(加熱昇温時間は通常1〜2分程度と極く短時間
である)において実施することは不可能であるから、バ
ッチ焼鈍方式を採用せざるを得ず、バッチ焼鈍を採用す
る場合にも、昇温速度の制御や操業上の制約から、オー
プンコイル焼鈍炉(通常その昇温速度は300℃/Hrよ
りも著しく速い)での処理は困難であり、タイトコイル
焼鈍炉によらざるを得ない。従ってその熱処理は長時間
を要し、著しく非能率であり、工業的規模での実施には
多くの制約を受ける。
【0005】しかも、その溶融アルミめっき鋼板は、改
良された耐熱性を有しているとはいえ、その耐熱性はせ
いぜい550℃付近が限度であり、それを越える高温環
境では急速に黒変化を生じ、銀白色の光沢表面を喪失す
る。更に、母材鋼板のC含有量が約0.08%を越える
高C量の場合には、加工性が著しく低く、例えば自動車
用マフラーの用途では、造管後に行われる拡管加工の困
難をきたし、他方C含有量が約0.03%未満の低C量
の場合には、溶接熱影響部(HAZ部)に粗粒化を生
じ、加工性および靱性が損なわれるという問題がある。
本発明は、溶融アルミめっき鋼板の製造法に関する上記
問題を解消し、改良された耐熱性(耐黒変性)、構造用
部材料として必要な溶接性や、拡管加工等の強加工に耐
え得る高加工性等を備えた溶融アルミめっき鋼板を効率
よく製造することができる新規製造方法を提供しようと
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の溶融アルミめっ
き鋼板の製造方法は、C:0.03〜0.08%,S
i: 0.05%以下,Mn:0.1〜0.4%,P:
0.025%以下,S: 0.015%以下,Al:0.
006〜0.014%,N:0.0025〜0.005
%,残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造片で
ある低炭素アルミキルド鋼を熱間圧延し、鋼板巻取りを
500〜600℃で行った熱延板を冷間圧延してなる低
炭素アルミキルド鋼冷延板をめっき母材鋼板とし、母材
鋼板表面にSi含有量3〜15%のAl−Si合金から
なる溶融アルミめっきを行った後、温度250〜500
℃、保持時間1分以上の加熱処理を施すことを特徴とし
ている。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明方法により製造される溶融
アルミめっき鋼板は、母材鋼板のAlおよびN含有量の
規定と熱間圧延巻取り温度の規定の効果として、鋼中に
固溶N(solN)が豊富に残留し、その固溶Nは、溶融
アルミめっき後の熱処理において、鋼板表面に拡散移行
し、めっき層との界面にAlN層を形成する。このAl
N層の形成により、界面のFe−Al相互拡散(めっき
層の合金化反応)が効果的に抑制防止され、めっき層表
面は、約575℃ないしそれを超える高温域において
も、黒変化を生じず、銀白色の美麗な光沢表面が安定に
保持される。AlN層を生成させる上記熱処理は、従来
の製造法におけるそれに比べてはるかに制約が少なく、
250〜500℃の温度域に1分以上保持するだけで十
分に達成できる。このことは、その熱処理を、連続焼鈍
炉タイプの熱処理炉で行うことが可能であることを意味
し、またバッチ式の加熱炉による場合においても、タイ
トコイル焼鈍炉に代え、生産効率の面で有利なオープン
コイル焼鈍炉による処理が可能であることを意味してい
る。更に、本発明による溶融アルミめっき鋼板は、母材
鋼板のC量等の規定の効果として、改良された加工性お
よび溶接性を備えている。
【0008】〔母材鋼板の成分組成〕本発明において母
材鋼板として使用される低炭素アルミキルド鋼板の化学
組成の限定理由は次のとおりである(明細書中、成分含
有量を示す%はすべて重量%である)。 Al:0.006〜0.014% Alは、鋼の溶製工程における脱酸元素として添加され
る。その量が0.006%に満たないと、脱酸作用が不
足し、工業的規模における連続鋳造操業を安定に維持す
ることが困難となる。他方、0.014%を越えると、
鋼中の固溶Nと反応し易くなり、めっき層界面のバリア
層(AlN層)の形成に必要な固溶Nの鋼中残留量の不
足をきたし、耐熱性(耐黒変性)の改善効果が乏しくな
る。
【0009】図1は、溶融アルミめっき鋼板の耐熱性
(耐黒変性)に及ぼす母材鋼板のAl含有量,N含有量
の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造されたアルミキルド鋼の冷間圧延鋼
板) 化学組成:C 0.04, Si 0.01, Mn 0.20, P 0.012, S 0.0
08, Al 0.006-0.020, N 0.0005-0.0050 (sol.N 0.0002-
0.0045), Fe Bal (Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:510℃ めっき層:8.5 %Si−Al、層厚 19 μm めっき後の熱処理:400℃×2Hr
【0010】図1中の各符号は、供試材から切り出した
試験片を一定温度に設定された加熱炉内に200 Hr保持
した後のめっき層表面の黒変化の有無を示している。 ○…575℃で黒変化なし(銀白色光沢表面保持) △…550℃を越えると黒変化 ×…550℃以下で黒変化 図示のように、母材鋼板のAlおよびN量を本発明の規
定(Al量0.006〜0.014%,N量0.002
5〜0.005%)の範囲に調整することにより、57
5℃以上の高温加熱に耐え得る高度の耐熱性が確保され
ている。
【0011】N:0.0025〜0.005% Nは、溶融アルミめっき鋼板の耐熱性(耐黒変性)の改
善に必要な元素であり、母材鋼板の鋼中固溶N(sol.
N)は、溶融めっき後に行う熱処理において、鋼板表面
に拡散移行してめっき層との界面にAlN層を形成す
る。このAlN層の形成による耐熱性改善効果を十分な
らしめるために、N量(total N量)は少なくとも0.
0025%であることを要する。しかし、0.005%
を越えると、母材鋼板の時効による延性の低下が大き
く、加工性が損なわれる。このため、0.005%を上
限とする。本発明者等の研究によれば、AlN層の形成
に関与する固溶N(sol.N)について、上記効果を得る
ための適正な含有量は20〜45ppm であることが判明
している。その固溶N量は、N量(total N量)を上記
範囲に規定することにより確保される。
【0012】図2は、溶融アルミめっき鋼板の時効の前
後における伸びの減少量(ΔEl)に対する母材鋼板の
N含有量の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造されたアルミキルド鋼の冷間圧延鋼
板) 化学組成:C 0.04, Si 0.01, Mn 0.20, P 0.012, S 0.0
08, Al 0.006又は0.014, N 0.0005-0.0065 (sol.N 0.00
02-0.0060), Fe Bal(Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:510℃ めっき層:8.0 %Si−Al、層厚 20 μm めっき後の熱処理:400℃×3Hr 時効処理:供試材(板厚1.0 mm)から試験片(JIS Z220
1 5号)を作製し、100℃×1Hrの人工時効処理を
実施。 図中、(1) はAl0.006 %、(2) はAl0.014 %の供試
材の測定結果である。母材鋼板のN量が本発明の上限値
50ppm(0.0050%) を越えると、時効による延性の低下
が大きくなるが、50 ppm以下に制限することにより、良
好な延性が保持されることがわかる。
【0013】C:0.03〜0.08% C量は、溶融アルミめっき鋼板の加工性および溶接性に
大きく影響する。C量が0.03%に満たないと、溶接
熱影響部の金属組織の粗大化をきたし、その部分の延
性,靱性の低下により、溶接後の加工性が大きく損なわ
れる。例えば自動車用マフラーパイプの製造では、溶接
による造管後の拡管加工に必要な加工性を確保すること
が困難となる。このため、C量は少なくとも0.03%
を必要とする。しかし、C量が0.08%を越えると、
鋼板の延性低下が大きく、この場合も良好な加工性を確
保し得なくなるので、これを上限とする。
【0014】図3は、溶融アルミめっき鋼板の延性(伸
び)、および加工性(パイプの拡管加工性)に及ぼす母
材鋼板のC含有量の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造されたアルミキルド鋼の冷間圧延鋼
板) 化学組成:C 0.005-0.20, Si 0.01, Mn 0.20, P 0.012,
S 0.009, Al 0.010, N 0.0035 (sol.N 0.0030), Fe B
al (Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:505℃ めっき層:8.8 %Si−Al、層厚 22 μm めっき後の熱処理:400℃×2Hr パイプの成形加工:高周波溶接によりパイプ(管径28.6
mm) を成形した後、拡管加工(冷間加工)を行って、管
径37.2 mmのパイプに仕上げる(拡管比:1.3)。
【0015】図3中、○…拡管加工での割れなし、●…
割れ発生。図示のように、母材鋼板のC含有量が0.0
8%を越えると、鋼板の延性の急激な低下と、拡管加工
での割れの発生を免れず、他方0.03%に満たない
と、延性は良好であるものの、拡管加工に必要な加工性
を確保し得ない。これに対し、本発明の0.03〜0.
08%の範囲においては、高い伸び特性と、拡管加工割
れを防止し得る良好な加工性が確保されている。
【0016】Mn:0.1〜0.4% Mnは、鋼中のSをMnSとして固定無害化し、鋼の赤
熱脆性を防止し、熱間加工性を高める。このために、
0.1%以上を要するが、0.4%を越えると、鋼の加
工性が低下するので、これを上限とする。
【0017】Si: 0.05%以下 Siは、製鋼段階で脱酸剤として溶鋼中に添加され、鋼
中の酸素と反応し、珪酸および珪酸塩を形成して酸素を
除去する。この効果を得るためのSi量は0.05%ま
でで十分である。また、それを超えて多量に含有する、
鋼を硬化させ加工性を悪くする。このため、0.05%
を上限とする。
【0018】P: 0.025%以下 S: 0.015%以下 P,Sは、不純物元素である。鋼板特性向上の点から、
いずれの元素も低い程有利であるが、Pは0.025%
以下,Sは0.015%以下であれば、本発明の趣旨が
損なわれることはない。
【0019】〔熱間圧延の鋼板巻取り温度〕低炭素アル
ミキルド鋼の熱間圧延における鋼板巻取り温度の上限
を、600℃に規定したのは、それを越える高温巻取り
を行うと、鋼中の固溶Nの大部分が、鋼中のAlの一部
と反応してAlNとして鋼中に固定されるため、めっき
層界面のバリアー層(AlN層)の形成に必要な固溶N
の残留量が不足し、耐熱性(耐黒変性)を確保できなく
なるからである。他方、500℃を下限とするのは、そ
れより低温度域での巻取りを行うと、鋼板の結晶粒の微
細化により、延性が低下し、良好な加工性を確保するこ
とが困難となるからである。
【0020】〔溶融アルミめっき浴組成〕溶融アルミめ
っき浴のSiは、めっき層の合金化反応による金属間化
合物の成長を抑制する効果を有する。浴中のSi濃度
を、3〜15%の範囲に限定したのは、3%に満たない
と、上記効果がなく、他方15%を超える高濃度では、
めっき層中に板状のSiが点在するようになり、めっき
層の加工性の低下をきたすからである。
【0021】〔溶融アルミめっき後の熱処理〕溶融アル
ミめっき後の熱処理により、母材鋼板の鋼中固溶Nは鋼
板表面に拡散移行し、めっき層との界面にAlN層(バ
リアー層)が形成される。その熱処理は250〜500
℃の温度域に1分間以上保持することにより達成され
る。処理温度の下限を250℃としたのは、それより低
い温度では、長時間の処理を行っても、耐熱性の十分な
改善効果を得ることができないからであり、他方500
℃を上限としたのは、それを越える高温処理は、熱経済
性を損なうのみならず、母材鋼板の鋼中セメンタイト
(Fe3 C)の再固溶が生じ、固溶C量の増加により鋼
板の加工性の低下をきたすからである。
【0022】図4は、溶融アルミめっき鋼板の耐熱性
(耐黒変性)の改善効果に及ぼす熱処理温度の影響を、
処理時間をパラメータとして示している。図の横軸は、
めっき後の熱処理における処理温度(図中のaは、処理
時間1分,bは同30分,cは同180分)であり、縦
軸は耐熱性試験におけるめっき層表面の黒変化開始温度
である。 母材鋼板(連続鋳造されたアルミキルド鋼の冷間圧延鋼
板) 化学組成:C 0.04, Si 0.01, Mn 0.20, P 0.012, S 0.0
08, Al 0.012, N 0.0040 (sol.N 0.0035), Fe Bal (Wt
%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:550℃ めっき層:9.0 %Si−Al、層厚 19 μm めっき後の熱処理:温度100〜550℃, 時間1
分,30分,180分。 耐熱性試験:供試材を加熱炉(炉内温度400 〜600 ℃)
に装入し、200 Hr保持した後、めっき層表面の黒変化
の有無を目視判定する。
【0023】図4に示したように、めっき後の熱処理温
度が250℃より低い場合は、処理時間を長くしても、
耐熱性の改善効果は少ないが、処理温度を250℃(本
発明の下限温度)以上とすることにより、耐熱性(黒変
化開始温度)は、575〜600℃付近の高温域まで高
められている(耐熱性改善効果の点からは、処理温度を
500℃以下に限定する必要はないが、熱経済性および
加工性の確保の観点から、上記のように本発明では50
0℃を上限としている) 。この耐熱性改善効果は、1分
程度の極めて短時間の熱処理(図中,a)でも達成する
ことができ、このことは既に述べたように、生産性・経
済性の面で最も有利な連続焼鈍炉タイプの加熱炉(例え
ば、溶融めっきライン内におけるインライン・ポスト・
アニーリング炉)等の適用が可能であること意味してい
る。連続炉タイプの熱処理による場合の処理時間は、約
1〜3分程度に設定して効率よくその連続処理を遂行す
ることができる。
【0024】また、図4は、熱処理時間を長くするに伴
って耐熱性改善効果がより大きくなること示している。
これは、処理時間の増大により、バリアー層としてより
緻密強固なAlN層が形成されることによる。従って、
耐熱性をより高めることを望む場合は、バッチ式焼鈍炉
による比較的長時間の熱処理を行うとよい。この場合の
熱処理も、生産効率の面で有利なオープン・コイル焼鈍
炉を適用することができる。その処理時間は特に限定さ
れないが、余り長時間化しても、耐熱性改善効果が飽和
し、生産効率・熱経済性を損なうので、10Hr以内と
するのが適当であり、実用上は数時間程度までで十分で
ある。
【0025】
【実施例】
〔1〕溶融アルミめっき鋼板の製造 (i) 母材鋼板:低炭素アルミキルド鋼の連続鋳造鋳片を
熱間圧延し、熱延鋼板(板厚3.2mm)を、常法に従っ
て、酸洗処理し、冷間圧延に付して板厚1.0mmの冷延
鋼板を得る。 (ii)溶融アルミめっきおよびめっき後の熱処理:冷延鋼
板を連続溶融アルミめっきラインに供給し、常法に従っ
て還元焼鈍処理,めっき浴(浴組成:Al−Si合金)
への通板,およびめっき浴上でのめっき目付け量の調整
等を行い、めっき後、加熱処理を施して溶融アルミめっ
き鋼板を得る。表1および表2に、母材鋼板の化学組
成、熱延巻取り温度,めっき条件,およびめっき後の熱
処理条件(処理温度・時間)を示す。母材鋼板の化学組
成欄に、固溶N量の測定結果(内部摩擦法による)を併
記した。なお、内部摩擦法による固溶N量の測定は、捩
り振子による自由減衰法により、低周波領域(1.0 〜1.
3Hz)で行った。測定温度範囲は-150〜+120 ℃(-150
℃までの冷却は液体窒素による) であり、スネークピー
クはヘリウムガス中、1℃/ 分の昇温速度で測定した。
【0026】〔2〕諸特性の評価 表3および表4に、各溶融アルミめっき鋼板の耐熱性
(耐黒変性),機械的性質,加工性(拡管加工性)を示
す。耐熱性および加工性の評価はそれぞれ下記の試験に
より行った。 (1) 耐熱試験:供試めっき鋼板から切出した試験片(5
0×70,mm)を、所定温度(400〜575℃)に保持さ
れた加熱炉内に、200Hr保持した後、めっき表面の変
色の有無を目視判定し、併せて界面のFe−Al合金層
の層厚を測定する。表中、「めっき層表面外観」欄の記
号は次のとおりである。 ○…銀白色の光沢保持 ×…灰黒色に変色
【0027】(2) 拡管加工試験:供試めっき鋼板を、ロ
ールフォーミング加工および高周波溶接によりチューブ
(管径28.6mm, 厚さ1.0 mm)に形成し、ついでマンドレ
ルによる拡管加工を行う(拡管比:1.3)。拡管加工
後、目視観察により、パイプの割れの有無を判定する。
表中、「拡管加工性」欄の記号は次のとおりである。 ○…割れ発生なし ×…割れ発生
【0028】表中、No.1〜6 は発明例、No.7〜23は比較
例である。比較例のうち、No.7〜21は、アルミキルド鋼
板を母材鋼板とする発明例のめっき鋼板に類似している
が、母材鋼板組成, 熱延巻取り温度, めっき浴組成, ま
たはめっき後の熱処理条件のいずれかの要件(表1,表
2中,下線付記)が本発明の規定から逸脱している例、
No.22, No.23は母材鋼板としてリムド鋼板を使用した例
である。リムド鋼板を母材鋼板とするNo.22 およびNo.2
3 の溶融アルミめっき鋼板は、525〜550℃付近ま
では、銀白色の光沢表面を保持しているが、その温度域
を越えると、めっき層の合金化により灰黒色に変化して
いる。これに対し、発明例 No.1 〜6 は、575℃の高
温域においても、めっき層表面の黒変化を生じず、Fe
−Al合金層の厚みも3〜5μm程度と薄く、合金層の
成長は全く認められない。また、パイプとしての強度お
よび延性も良好であると共に、拡管加工に耐え得る十分
な加工性を有している。
【0029】また、比較例No.7〜21(母材鋼板はいずれ
も低炭素アルミキルド鋼板)において、No.7〜11の耐熱
性(耐黒変性)が劣るのは、母材鋼板のAl量・N量の
過・不足のため、鋼中の固溶N量が不足し、結果として
めっき層と母材鋼板との界面のバリアー層(AlN層)
の形成が十分に行われなかったことによる。No.12 は、
母材鋼板が過剰のN量を含むため、鋼板の時効による延
性の低下が大きく、拡管加工で割れを生じている。No.1
3 は、良好な伸びを有していながら、拡管加工で割れが
発生している。これは、母材鋼板のC量の不足のため、
溶接熱影響部の金属組織が粗大化したことによる。No.1
4 は、母材鋼板のC量が過剰のため、鋼板の延性が低
く、拡管加工において割れが発生している。
【0030】No.15 の耐熱性が低いのは、熱延巻取り温
度が高過ぎたために、バリアー層(AlN層)の形成に
必要な鋼中のN量の不足をきたしたからである。No.16
に拡管加工での割れが発生したのは、熱延巻取り温度が
低過ぎ、鋼板の結晶組織が過度に微細化し延性が低下し
たことに起因している。No.17 およびNo.18 の耐熱性が
低いのは、前者ではめっき後の熱処理における処理時間
が不足し、後者ではその熱処理温度が低過ぎたために、
めっき層界面のAlN層(バリアー層)が十分に形成さ
れなかったことによる。No.19 は、めっき後の熱処理温
度が高過ぎることにより、母材鋼板の延性が低下し、拡
管加工で割れを生じている。また、No.20 で、造管後の
拡管加工における割れが発生したのは、アルミめっき浴
のSi濃度が低過ぎたため、六方晶系合金層が急激に成
長したことによる。この供試材では、拡管加工時にめっ
き層の剥離・脱落も発生している。No.21 の拡管加工性
が悪いのは、アルミめっき浴のSi濃度が高過ぎること
(めっき層中に板状のSiが点在)に起因するものであ
り、拡管加工時にめっき層の剥離・脱落が観察された。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】本発明方法によれば、リムド鋼板より安
価で、加工性の良いアルミキルド鋼板を母材鋼板とし
て、耐熱性(耐黒変性)に優れ、かつ加工性や溶接性を
備えた溶融アルミめっき鋼板を製造することができる。
その耐熱性の改善効果は極めて高く、約575℃ないし
それを超える高温度域においても、めっき層表面の黒変
化を生じず、銀白色の美麗な光沢表面を安定に保持す
る。また、従来法では、耐熱性を付与するためのめっき
後の熱処理を、バッチ式焼鈍炉で実施せざるを得ないの
に対し、本発明の製造方法では、熱処理条件の制約が少
なく、連続焼鈍炉タイプの熱処理炉により実施すること
ができる。また、バッチ方式を適用する場合にも、タイ
トコイル焼鈍炉だけでなく、オープンコイル焼鈍炉によ
る実施が可能である。更に、造塊法に代って連続鋳造法
による鋳片から母材鋼板を製造することができる等、生
産能率の面で著しく有利であり、工業的意義は極めて大
きく、溶融アルミめっき鋼板の耐熱用途の拡大・多様化
を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき鋼板の耐熱性に及ぼす母材鋼板のAlお
よびN含有量の影響を示すグラフである。
【図2】めっき鋼板の人工時効による伸びの低下量と母
材鋼板のN含有量の関係を示すグラフである。
【図3】めっき鋼板の伸びおよび加工性に及ぼす母材鋼
板のC含有量の影響を示すグラフである。
【図4】めっき鋼板の耐熱性(耐黒変性)に及ぼす熱処
理温度の影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 2/28 C23C 2/28

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.03〜0.08%,Si: 0.
    05%以下,Mn:0.1〜0.4%,P: 0.025
    %以下,S: 0.015%以下,Al:0.006〜
    0.014%,N:0.0025〜0.005%,残部
    Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造片である低炭
    素アルミキルド鋼を熱間圧延し、鋼板巻取りを500〜
    600℃で行った熱延板を冷間圧延してなる低炭素アル
    ミキルド鋼冷延板をめっき母材鋼板とし、母材鋼板表面
    にSi含有量3〜15%のAl−Si合金からなる溶融
    アルミめっきを行った後、温度250〜500℃、保持
    時間1分以上の加熱処理を施すことを特徴とする耐熱
    性、溶接性および加工性等にすぐれた溶融アルミめっき
    鋼板の製造方法。
JP27517395A 1995-10-24 1995-10-24 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP3398810B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27517395A JP3398810B2 (ja) 1995-10-24 1995-10-24 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27517395A JP3398810B2 (ja) 1995-10-24 1995-10-24 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09118970A true JPH09118970A (ja) 1997-05-06
JP3398810B2 JP3398810B2 (ja) 2003-04-21

Family

ID=17551692

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27517395A Expired - Lifetime JP3398810B2 (ja) 1995-10-24 1995-10-24 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3398810B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109182944A (zh) * 2018-10-22 2019-01-11 安徽青润精密科技有限公司 一种有色金属工件的表面处理方法
JP2021116438A (ja) * 2020-01-22 2021-08-10 日本製鉄株式会社 複層めっき鋼板およびその製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5873465B2 (ja) 2013-08-14 2016-03-01 日新製鋼株式会社 全反射特性と耐食性に優れたAl被覆鋼板およびその製造法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109182944A (zh) * 2018-10-22 2019-01-11 安徽青润精密科技有限公司 一种有色金属工件的表面处理方法
JP2021116438A (ja) * 2020-01-22 2021-08-10 日本製鉄株式会社 複層めっき鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3398810B2 (ja) 2003-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4781836B2 (ja) 耐水素脆性に優れた超高強度鋼板とその製造方法及び超高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法並びに超高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3812279B2 (ja) 加工性および歪時効硬化特性に優れた高降伏比型高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP4601502B2 (ja) 高強度電縫鋼管の製造方法
JP4528184B2 (ja) 加工性の良好な合金化溶融亜鉛メッキ高強度鋼板の製造方法
JP5264234B2 (ja) 耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法
JP2002012948A (ja) 加工性及びめっき密着性に優れた高強度鋼板及びその製造方法
JP5364993B2 (ja) 加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JPH09176815A (ja) めっき密着性の良好な高強度溶融亜鉛めっき鋼板
JP3398810B2 (ja) 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法
JP3543276B2 (ja) 耐熱性にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法
JPH09176816A (ja) 耐熱性および加工性等にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法
JP3820900B2 (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2002173714A (ja) 高張力溶融めっき鋼板およびその製造方法
JP3267325B2 (ja) 耐火用高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法
JPH01184227A (ja) 絞り用合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2001192795A (ja) 高張力溶融めっき鋼板およびその製造方法
JP3376590B2 (ja) 伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法
JP2550849B2 (ja) 深絞り性及びめっき密着性と塗装後耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2844136B2 (ja) 穴拡げ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2698479B2 (ja) めっき密着性及び伸びフランジ性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2698480B2 (ja) めっき密着性及び伸びフランジ性の優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2726874B2 (ja) 表面性状の極めて優れたCu添加薄鋼板
JPH04293758A (ja) めっき密着性及び伸びフランジ性の優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2001131693A (ja) 高張力溶融めっき鋼板およびその製造方法
JPH1096043A (ja) 耐亜鉛めっき割れ性に優れた建築構造用耐火鋼材とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030116

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080221

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090221

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090221

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100221

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100221

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110221

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110221

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120221

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130221

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140221

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term