JP2550849B2 - 深絞り性及びめっき密着性と塗装後耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

深絞り性及びめっき密着性と塗装後耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、深絞り性及びめっき密
着性に優れると共に、塗装後耐食性に優れた高強度合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車々体の内外板の様な、難成形部品
用途向けの合金化溶融亜鉛めっき鋼板の原板は、従来は
低炭素Alキルド鋼を脱炭焼鈍した鋼板、或はTiやN
b等の炭窒化物形成元素を添加した極低炭素鋼板(いわ
ゆるIF鋼板)等が使用されていた。しかしながら、近
年の地球環境問題に端を発する燃費改善や排ガス量の低
減を目的とする車体軽量化の要望、或は生産効率向上の
要望が次第に高まってくるにつれて、上記の様な難成形
部品に対しても鋼板の高強度化による薄肉化を図るべ
く、より一層優れた加工性を有する高強度合金化溶融亜
鉛めっき鋼板が求められる様になってきている。
【0003】加工性の良い高強度合金化亜鉛めっき鋼板
を得る方法としては、前記極低炭素IF鋼にSi,M
n,P等の強化元素を添加した鋼板を基材とし、これに
合金化溶融亜鉛めっきを施す方法が既に知られている。
例えば特開昭61-60860号公報には、P添加極低炭素IF
鋼を基盤とし、これにめっき浴温度と浴中Al濃度を規
定して溶融亜鉛めっきを施すことによって、めっき密着
性の良い深絞り用亜鉛めっき鋼板を製造する方法が開示
されている。また特開平1-191748号公報には、極低炭素
Ti添加鋼や、Ti−Nb複合添加鋼に、Si,Mn,
P等を添加した鋼板が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら本発明者
らが、これまでの技術について様々な角度から検討した
ところ、次に示す様な問題のあることが分かった。Ti
を多量に含有する極低炭素鋼の場合には、P添加量の少
ない軟鋼板であれば熱延後650 ℃以上の高温巻取りを行
ない、炭化物を充分に析出させることによって焼鈍後の
深絞り性を向上させている。即ち熱延板の段階でCが固
溶状態で存在すると、冷延,焼鈍時に、深絞りに好ま
しい再結晶集合組織の形成及び発達が阻害されるため、
Cを炭化物として析出させ、固溶Cの悪影響を無害化す
る様にしている。しかしながらP添加量の多い高強度鋼
板では、高温巻取りによって熱延板中にFeTiP 化合物
(以下、単にP化合物と呼ぶ)の析出が生じ、焼鈍後の
深絞り性を却って劣化させる。
【0005】図1は、0.0028%C−0.01%Si−0.25%
Mn−0.071 %P−0.053 %Ti−0.0019%N鋼におい
て、巻取り温度が深絞り性(r値)とP化合物中P量に
どの様な影響を与えるかを調査した結果を示すグラフで
ある。図1から明らかな様に、焼鈍後の深絞り性は、巻
取り温度が600 ℃付近のときに最も良好であり、それよ
りも高い温度では深絞り性が逆に低下してくる。また熱
延鋼板中の析出物を調査したところ、600 ℃より高い巻
取り温度領域において、P化合物が結晶粒界に粗大羽毛
状に析出しており、P化合物の析出挙動と深絞り性に対
する巻取り温度の影響が明らかであった。更に、本発明
者らが詳細に検討したところ、P化合物が析出しないで
あろうと期待される低温度で巻取っても、スラブ加熱温
度が低ければ長時間の加熱によってオーステナイト中に
P化合物が析出してしまい、結果的に焼鈍後の深絞り性
が低下することが判明した。
【0006】ところでTiやPを含む鋼板を使用した場
合は、これらの元素がFeとZnの合金化速度に大きな
影響を与え、適正な合金化条件が得られないときは、合
金化めっき層内にZnが未合金状態で残存する合金化不
足、あるいは合金化めっき層表面内で合金化が進み過ぎ
て脆弱なΓ相(Fe3Zn10) が厚く成長する合金化過度の現
象が現れ易くなり、溶接性やめっき密着性あるいは塗装
後耐食性が著しく低下してくる。例えばTiは上記の合
金化を促進させ、Pは逆に合金化を遅延させると言われ
ているが、これらの元素を複合添加した場合は両者の作
用が複雑に絡み合うため、合金化不足または合金化過度
にならない最適の操業条件を迅速且つ的確に把握するこ
とは極めて困難であり、合金化の過不足による大幅な歩
留り低下が避けられない。
【0007】前記特開昭61-60860号公報には、品質特性
の優れためっき層を得る為に、めっき浴温度を430 〜50
0 ℃、浴中Al濃度を0.05%以上と規定しているが、T
i:0.03%以下,P:0.02〜0.1 %の範囲の鋼すべてに
同一の条件を適用しており、必ずしも鋼成分に応じた最
適な条件が得られているとは言い難い。ましてTiとP
が複合添加されている鋼では、上述した様にこれらの元
素の影響が複雑に絡み合うので、良好な合金化度を有す
るめっき層は更に得にくくなる。
【0008】一方特公昭60-55589号公報には、鋼中P量
とめっき浴中の有効Al濃度を、関係式で規定された値
に調整することでめっき密着性の優れた合金化亜鉛めっ
き鋼板を製造する方法が開示されている。しかしながら
この方法で適用される鋼板は、C量が0.02〜0.12%であ
り、且つTiを含まない通常の低炭素鋼であり、Tiを
添加した極低炭素鋼ではなく、合金化挙動に大きな影響
を及ぼすTiについて何ら考慮されてない。
【0009】本発明は上記の様な事情に着目されたもの
であって、その目的は、深絞り性及びめっき密着性に優
れると共に、塗装後耐食性に優れた高強度合金化溶融亜
鉛めっき鋼板製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法は、C:0.005 重量%以下,Mn:2重量
%以下,P:0.05〜0.15重量%,N:0.005 重量%以
下,S:0.02重量%以下,Ti:{4[C]+3.43[N] +1.
5[S]}〜0.1 重量%(但し、[C] ,[N],[S] は、夫々
C,N,Sの重量%を示す)を含む鋼を、1150℃以上の
温度で30分以上均熱処理した後熱間圧延すると共に、A
3 変態点〜(Ar3 変態点+100 ℃)の温度で仕上げ
圧延を終了し、次いで630 〜550 ℃で巻取った後酸洗お
よび冷間圧延してめっき用鋼板を得た後、該めっき鋼板
を再結晶温度以上の温度で焼鈍し、次いで下記[I] 式の
要件を満足する様にAl含有量の調整された溶融亜鉛め
っき浴を用いて溶融めっきし、その後合金化処理するこ
を要旨とするものである。
【0011】
【数2】 (但し、式中[P]および[Ti]は、それぞれ鋼板中
のPおよびTiの含有量[重量%]を表わす)尚上記鋼
に、更にNb:0.004 〜0.05重量%を含有させれば、異
方性の改善を図ることができ、またB:0.0003〜0.0025
重量%を含有させれば、耐2次加工脆性を改善すること
ができる。
【0012】
【作用】本発明は上述の如く構成されるが、要するに、
TiとPを複合添加した極低炭素鋼において、深絞り性
向上の観点から熱延段階でのP化合物の析出挙動を制御
することによって希望する特性のめっき用鋼板るこ
とができ、このめっき用鋼板を用い、めっき層の品質向
上の観点から鋼成分に的確に対応した最適なめっき条件
を厳密に規定することによって、深絞り性及びめっき密
着性と共に塗装後耐食性にも優れた高強度合金化溶融亜
鉛めっき鋼板が実現できたのである。以下本発明の各構
成要件について説明する。まず本発明で用いる鋼板の化
学成分の限定理由は下記の通りである。
【0013】C:0.005 重量%以下 Cはプレス加工性、特に延性を向上させる上では、少な
いほど良い。Cの含有量が0.005 重量%を超えると充分
な延性が得られず、また鋼中の固溶Cを析出固定するの
に必要なTiの添加量が増すので0.005 重量%を上限と
する。
【0014】Mn:2重量%以下 Mnは多量に含有されてもめっき密着性を損なうことが
少ないという面で安全な元素であり、しかもそれほど大
きく期待することはできないとは言え、一応は有効な強
化元素と位置付けられる。その為本願発明鋼においても
Mnを添加するが、Mnの含有量が2重量%を超える
と、深絞り性の劣化をはじめ、加工性への悪影響が顕著
になるので2重量%を上限とする。
【0015】P:0.05〜0.15重量% Pは、深絞り性を劣化させる恐れが少なく、一方で鋼を
強化できる。そこで、本発明においては、主としてPの
添加で鋼の高強度化を図るが、その為には少なくとも0.
05重量%含有させる必要がある。しかし、Pの含有量が
過剰になると、鋼板の溶接性を劣化させるだけでなく、
2次加工脆性をも助長させるので0.15重量%以下とする
必要がある。
【0016】N:0.005 重量%以下 Nは多すぎるとこれを析出固定するに必要なTiの添加
量が増し、コストアップになるだけでなく、加工性を劣
化させるので0.005 重量%を上限とする。S:0.02重量
%以下SはTiと結合して硫化物を形成する。多すぎる
と鋼板の延性を劣化させるので0.02重量%を上限とす
る。
【0017】Ti:{4[C]+3.43[N] +1.5[S]}〜0.1
重量%(但し、[C] ,[N] ,[S] は、夫々C,N,Sの
重量%を示す) Tiは鋼中のC,N,S等を析出物として析出固定する
ために、それぞれの等量以上添加する。そのためTiは
4[C]+3.43[N]+1.5[S] 以上の添加を必要とし、不足する
と深絞り性や時効性の劣化をひきおこす。一方、0.1 重
量%を超えて添加されても効果が飽和するだけでなく、
コストアップになるのでこれを上限とする。
【0018】本発明で用いる鋼板は上記各元素を基本成
分とするものであるが、異方性の改善を図るために、更
にNbを0.004 重量%以上添加することも可能である。
しかしNbは再結晶温度を著しく高めるため、Nbを添
加する場合は、その添加量を0.05重量%以下に抑える必
要がある。また耐2次加工脆性の改善を図るために、更
にBを0.0003重量%以上添加することも可能である。し
かしBを多量に添加してもその効果は飽和するので、B
を添加する場合は、その添加量の上限は0.0025重量%と
するのが良い。更に本発明鋼には、SiやAlを含有す
るものであってもよいが、これらの成分範囲は下記の如
く規定すべきである。
【0019】Si:0.3 重量%以下 Siは有効な強化元素となり得るが、多量に添加される
とめっき密着性を著しく劣化させるので0.3 重量%以下
とすべきである。また0.3 重量%以下であれば、合金化
挙動に及ぼす影響は非常に小さく無視できる。
【0020】Al:0.01〜0.1 重量% Alは、脱酸のために0.01重量%以上添加するのが良
い。しかし過剰に添加してもコストアップになるだけで
なく、表面性状を悪くするので0.1 重量%以下とすべき
である。
【0021】次に、本発明における各製造条件の限定理
由は下記の通りである。まずスラブの均熱処理条件は、
1150℃以上の温度で30分以上とする。これにより、スラ
ブが加熱炉に装入される前の徐冷中に析出するFeTiP 化
合物を再溶解させる。1150℃未満では、P化合物のかな
りの量が析出したまま残存し、焼鈍後の深絞り性を劣化
させる。またスラブを内部まで完全に1150℃以上とする
ために少なくとも30分以上炉内に装入して均熱処理する
必要がある。尚、スラブは常温まで冷却した冷片スラブ
でもHCRの高温スラブでも1150℃以上に加熱さえすれ
ば特に問題はない。
【0022】次に、熱間圧延仕上げ温度は、Ar3 変態
点以上とする必要がある。Ar3 変態点を下回ると、焼
鈍後の深絞り性にとって不利な集合組織が発達するので
好ましくなく、ランダムな集合組織の熱延鋼板となるの
で、Ar3 変態点以上で熱間仕上げすることが必要であ
る。しかしあまり高い温度で仕上げると、オーステナイ
トの粒成長が著しくなって変態後のフェライト粒径が粗
大化し、焼鈍後の深絞り性に好ましくない影響を与える
ので(Ar3 変態点+100 ℃)程度とする必要がある。
仕上圧延後はただちに50〜100 ℃/sec の強冷却を開始
することで、P化合物の析出を抑制するとともに、焼鈍
後の深絞り性に有利なようにフェライト粒の成長を抑
え、熱延鋼板の結晶細粒化をはかるのが好ましい。
【0023】一方巻取り温度が630 ℃を超えると、P化
合物の析出が生じ、550 ℃未満ではTiCの析出が不十
分で固溶Cが鋼中に残存して焼鈍後の深絞り性に悪影響
を及ぼすので、巻取り温度は630 〜550 ℃とする必要が
ある。
【0024】熱間圧延後は常法に従って酸洗,冷間圧延
および焼鈍を行う。冷間圧延は深絞り性向上のためには
70〜90%で実施するのが望ましい。焼鈍は再結晶温度以
上の高温で焼鈍する方が加工性の観点からは良い。しか
し、変態点以上の温度に加熱されると逆に加工性が劣化
するので好ましくない。
【0025】再結晶焼鈍後は冷却し、引き続き溶融亜鉛
めっきを施し、合金化処理する。この際、Fe−Znの
合金化は、めっき浴中のAlと素地Feとの反応によっ
て生成するFe−Al合金層を、素地FeとZnの相互
拡散によって破壊することで開始される。Fe−Al合
金層の性状には鋼中のTi,Pと浴中Alが強く影響
し、Tiは合金化を促進し、Pと浴中Alは合金化を遅
延する。ここで浴中Alとは、浴に溶解しているAl
と、浴中Feと重量比で1:1で結合してドロスとなっ
ているAlとに分けられるが、Fe−Al合金層の性状
に影響するのは、有効Alと言われる浴中に溶解してい
るAlである。
【0026】本発明においては、この有効Al(浴中A
l濃度−浴中Fe濃度)に注目し、鋼板中のTiによる
合金化促進とPによる合金化遅延の相互作用を、該有効
Al濃度によって調整し、合金化速度を的確にコントロ
ールするものである。即ち本発明者らは、Ti含有量お
よびP含有量の異なる種々の鋼板を使用し、有効Al濃
度の異なる溶融亜鉛めっき浴を用いてめっき処理した
後、直ちに合金化熱処理を行ない、夫々について合金化
速度を調べた。その結果、次式の関係が成立する場合に
はFe−Zn合金化速度がほぼ一定となり、合金化の過
不足のない極めて的確な合金化操業が行なえることを明
らかにした。 浴中有効Al濃度(%) =0.100-1/12×[P]+1/5 ×[Ti] (但し、[P] および[Ti]は鋼中P およびTi量[重量%]
を表わす)
【0027】即ち、鋼成分に応じて上記式の右辺の項よ
り求められる値に、めっき浴中有効Al濃度を調整する
ことによって、合金化処理を的確に、かつ迅速に行うこ
とができたのである。尚、上記式を成立させる条件
操業することが最適ではあるが、実際上、浴中有効Al
濃度は最適濃度の±5%の範囲であれば合金化不足ある
いは合金化過度にはならないので、本発明で鋼中Ti,
P量、浴中Al濃度の関係を前記[I] 式の様に規定し
た。従って、上記式が0.95未満あるいは1.05超えであれ
ば、合金化不足による塗装後の耐食性、溶接性の低下あ
るいは合金化過度によるめっき密着性の劣化を招くこと
になる。
【0028】この様に本発明では、素材鋼板中のTiお
よびP含有量に応じて溶融亜鉛めっき浴中の有効Al濃
度を調整して素材FeとZnの相互拡散による合金化速
度を制御するところにも特徴を有するものであり、溶融
めっき条件や合金化熱処理条件等は特に限定されない
が、もっとも一般的な条件として示すならば、溶融めっ
き法は、430 〜480 ℃の溶融亜鉛めっき浴(この中に
は、前記要件を満たす適量のAlが添加されている)に
被処理鋼板を浸漬走行させる方法であり、また合金化熱
処理は、上記めっき処理の直後に当該めっき鋼板を480
〜700 ℃で約3〜120 秒間加熱する方法である。尚、合
金化溶融亜鉛めっき処理後は調質圧延を施しても良いの
は勿論である。
【0029】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明はもとより下記実施例に限定され
るものではなく、鋼板の種類やめっき前処理法、溶融め
っき条件や合金化熱処理条件等を必要に応じて適宜変更
して実施することは、いずれも本発明の技術的範囲に含
まれる。
【0030】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を溶製し、連続鋳造
によりスラブとした。このスラブをスラブ加熱温度1150
〜1200℃で1 〜3 時間、仕上温度900 〜940 ℃で3.6mm
厚まで熱間圧延し、それぞれ表2に示す巻取り温度で巻
き取った。酸洗後0.8mm 厚まで冷間圧延し、表2に示す
均熱条件で再結晶焼鈍後引き続き表2に示す浴中有効A
l濃度のめっき浴にてめっきを施し、合金化処理を実施
した。0.5 %の伸び率の調質圧延後、機械的特性とめっ
き密着性、塗装後耐食性、耐2次加工脆性等を調査し
た。結果を表2に併記する。
【0031】尚めっき密着性および塗装後耐食性並びに
耐2次加工脆性の評価方法は下記の通りである。 <めっき密着性>合金化熱処理を終えた各供試鋼板に、
角度60°のV字曲げを施し、圧縮側をテープ剥離したと
きのめっき剥離量により3段階評価した。 ○:優秀、△:良好、×:不良
【0032】<塗装後耐食性> 各めっき鋼板をりん酸塩処理した後、自動車用3コート
塗装(具体的には電着塗料+中塗り塗料+上塗り塗料3
層塗り、150 ℃,20分の焼付け)を行なう。この塗装鋼
板に、めっき層表面まで到達するクロスカットを入れ、
1000時間の塩水噴霧試験を行なった後、クロスカット部
からの塗膜膨れの程度により3段階評価した。 ○:優秀、△:良好、×不良
【0033】<耐2次加工脆性>各供試鋼板を絞り比2.
3 でφ40mm円筒カップに深絞り成形し、0℃でカップ口
部を円錐台ポンチで押し拡げ、縦割れ発生の有無で評価
した。 ○:割れなし、×:割れ発生
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】表2から明らかなように、本発明例(No.
1,3,6,8〜10)はr値が2.0 以上の深絞り性を
有し、塗装後の耐食性、めっき密着性とも合格レベルの
良好な特性を示しているのに対し、比較例(No.5,
7,11〜13)では、熱延巻取り温度あるいは化学成
分のいずれかが本発明条件とは異なるためにr値が低
く、また比較例(No.2,4)は成分系に適した浴中有
効Al濃度になっていないためにそれぞれ塗装後耐食
性、めっき密着性が本発明例に比べ劣っている。また比
較例(No.14)は特性は、本発明鋼と同じ高いr値を
有しているが、P量が高く、絞りカップ押し拡げ試験で
縦割れが発生した。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、深絞り性及びめっき密着性に優れると共に、塗装後
耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法が提供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】P添加極低炭素Ti鋼の深絞り性と熱延板中の
化合物型P量に及ぼす巻取り温度の影響を示した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C22C 38/00 301 C22C 38/00 301S 301T 38/14 38/14 (72)発明者 加瀬 友博 加古川市金沢町1番地 株式会社神戸製 鋼所 加古川製鉄所内 (72)発明者 浦井 正章 加古川市金沢町1番地 株式会社神戸製 鋼所 加古川製鉄所内 (56)参考文献 特開 平2−163346(JP,A) 特開 平3−232927(JP,A) 特開 平4−66653(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.005 重量%以下,Mn:2重量%
    以下,P:0.05〜0.15重量%,N:0.005 重量%以下,
    S:0.02重量%以下,Ti:{4[C]+3.43[N] +1.5
    [S]}〜0.1 重量%(但し、[C] ,[N],[S] は、夫々
    C,N,Sの重量%を示す)を含む鋼を、1150℃以上の
    温度で30分以上均熱処理した後熱間圧延すると共に、A
    3 変態点〜(Ar3 変態点+100 ℃)の温度で仕上げ
    圧延を終了し、次いで630 〜550 ℃で巻取った後酸洗お
    よび冷間圧延してめっき用鋼板を得た後、該めっき鋼板
    を再結晶温度以上の温度で焼鈍し、次いで下記[I]式
    の要件を満足する様にAl含有量の調整された溶融亜鉛
    めっき浴を用いて溶融めっきし、その後合金化処理する
    ことを特徴とする深絞り性及びめっき密着性と塗装後耐
    食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。【数1】 (但し、式中[P]および[Ti]は、それぞれ鋼板中
    のPおよびTi の含有量[重量%]を表わす)
  2. 【請求項2】 更に、Nb:0.004 〜0.05重量%を含有
    する鋼を用いる請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 更に、B:0.0003〜0.0025重量%を含有
    する鋼を用いる請求項1または2に記載の製造方法。
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