JP2726874B2 - 表面性状の極めて優れたCu添加薄鋼板 - Google Patents

表面性状の極めて優れたCu添加薄鋼板

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JP2726874B2
JP2726874B2 JP3334515A JP33451591A JP2726874B2 JP 2726874 B2 JP2726874 B2 JP 2726874B2 JP 3334515 A JP3334515 A JP 3334515A JP 33451591 A JP33451591 A JP 33451591A JP 2726874 B2 JP2726874 B2 JP 2726874B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はCu添加薄鋼板の表面欠
陥防止に係わる技術で、利用分野は自動車用鋼板や耐火
鋼板その他Cu添加薄鋼板の利用分野全般にわたる。こ
れらの利用分野の中でも表面硬度等の表面強度が必要な
場合に特に利用される。
【0002】
【従来の技術】Cuはその時効硬化を利用して種々の工
業的な展開が図られている。例えば特開平2−2944
29号、特願平2−20180号、特開平2−2056
25号、および特開平2−205630号の各公報に
は、極低炭素ないし低炭素鋼にCuを約0.5〜2.0
%添加し、耐火特性を付与させた薄鋼板に関する技術が
記載されている。また、特願平2−303565号、特
願平3−9256号の各公報には、同じくCu添加鋼の
良加工性薄鋼板への応用技術が記載されている。しかし
これらCu添加鋼の熱延時には大きな製造技術上の欠陥
がある。それはCu添加に起因する表面疵である。これ
は笹くれ状の表面疵で薄板としては致命的な欠陥であ
る。通常Cuヘゲと言われている。特に比較的高温の熱
延を避けることができないまた表面の美麗度が問題と
される熱延鋼板およびこれを原板とする冷延鋼板あるい
はめっき鋼板では重大な欠陥である。この表面疵は、表
層が選択酸化されCuが濃化し、Cu自体は低融点のた
め結晶粒界等に偏在し脆くすることで生じると言われて
いる。さらにはスラブ端部にやはりCu添加に起因する
割れが頻繁に発生する。この割れは上記Cuヘゲとは異
なる原因と言われているが詳細は明らかでない。これら
の対策のため上記技術においては低温加熱を主体とした
特殊な熱延を施すか、あるいはNiの添加によりこれを
防止している。しかし、前者の特殊熱延では完全にこの
表面疵を防止することは困難で、薄板として普通鋼と遜
色無い表面性状レベルとするには普通、Ni添加を行わ
ざるを得ないのが現状である。しかしながら、Niはレ
アーメタルの代表で貴重な金属である。これを鋼中に多
量に添加することは鋼をいたずらに高価にするのみなら
ず、鋼の内部性質の向上になんら寄与せず、単に表面性
状改善にためだけに使用することになり、貴重な金属の
浪費といえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、Cu添加鋼の有する機能を最大限に発揮さ
せるために、これらCu添加鋼の機能発揮になんら支障
なしに、上記Cu添加鋼の表面疵を抜本的にかつ安価に
防止することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題を解
決するために表層部にのみNi含有成分とすることで解
決しようとするものである。すなわち本発明の骨子とす
るところは、 (1)表層成分が、C:0.0010〜0.100%、
Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.8〜2.0%、N
i:Ni/Cuで0.6〜1.0、酸可溶Al:0.0
05〜0.07%、さらにSi:1.5%以下、ないし
P:0.1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、残
部Feおよび不可避的不純物からなり、内層成分が、
C:0.0010〜0.100%、Mn:0.1〜2.
0%、Cu:0.8〜2.0%、酸可溶Al:0.00
5〜0.07%、さらにSi:1.5%以下、ないし
P:0.1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、残
部Feおよび不可避的不純物からなる表面性状の極めて
優れたCu添加薄鋼板
【0005】(2)表層成分が、C:0.0010〜
0.010%、Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.8
〜2.0%、Ni:Ni/Cuで0.6〜1.0、酸可
溶Al:0.005〜0.07%、さらにSi:1.5
%以下ないしP:0.1%以下のいずれかもしくは双方
を含有し、さらに、Ti:0.01〜0.1%ないしN
b:0.01〜0.1%のいずれかもしくは双方を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、内層成分
が、C:0.0010〜0.010%、Mn:0.1〜
2.0%、Cu:0.8〜2.0%、酸可溶Al:0.
005〜0.07%、さらにSi:1.5%以下ないし
P:0.1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、さ
らに、Ti:0.01〜0.1%ないしNb:0.01
〜0.1%のいずれかもしくは双方を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなる表面性状の極めて優れた
Cu添加薄鋼板
【0006】(3)表層成分が、C:0.0010〜
0.100%、Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.8
〜2.0%、Ni:Ni/Cuで0.6〜1.0、B:
0.0001〜0.0030%、酸可溶Al:0.00
5〜0.07%、さらにSi:1.5%以下ないしP:
0.1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなり、内層成分が、C:
0.0010〜0.100%、Mn:0.1〜2.0
%、Cu:0.8〜2.0%、B:0.0001〜0.
0030%、酸可溶Al:0.005〜0.07%、さ
らにSi:1.5%以下ないしP:0.1%以下のいず
れかもしくは双方を含有し、残部Feおよび不可避的不
純物からなる表面性状の極めて優れたCu添加薄鋼板
【0007】(4)表層成分が、C:0.0010〜
0.010%、Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.8
〜2.0%、Ni:Ni/Cuで0.6〜1.0、B:
0.0001〜0.0030%、酸可溶Al:0.00
5〜0.07%、さらにSi:1.5%以下ないしP:
0.1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、さら
に、Ti:0.01〜0.1%ないしNb:0.01〜
0.1%のいずれかもしくは双方を含有し、残部Feお
よび不可避的不純物からなり、内層成分が、C:0.0
010〜0.010%、Mn:0.1〜2.0%、C
u:0.8〜2.0%、B:0.0001〜0.003
0%、酸可溶Al:0.005〜0.07%、さらにS
i:1.5%以下ないしP:0.1%以下のいずれかも
しくは双方を含有し、さらに、Ti:0.01〜0.1
%ないしNb:0.01〜0.1%のいずれかもしくは
双方を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
表面性状の極めて優れたCu添加薄鋼板
【0008】
【作用】つぎに個々の構成要件の作用および数値限定理
由について述べる。 表層成分 C:表層では材質付与の観点から0.1%以下の低炭素
とすることが必要である。しかし、0.0010%未満
にするためには現在の大量生産法である転炉−真空脱ガ
ス法でも困難でいたずらにコストを要するだけである。
また、極低炭素としてさらにTiやNbを添加するいわ
ゆるインタースティシャルフリー鋼では、炭素量が高い
と炭素を固定するために必要とするTiやNb量が増し
やはりコスト増となるので、その場合は炭素量の上限を
0.01%とする。望ましくは0.0050%以下であ
る。 Mn:Mn量は0.1〜2.0%とする。0.1%未満
ではMnS形成が不十分なための脆化が生じ、熱間圧延
中の割れにつながる。表層をある程度硬質にするために
はMnを添加する。しかし表層の硬化は他の元素、特に
Cuによっているためあまり高Mnにすることは意味が
ない。その意味で2.0%を上限とする。
【0009】Cu:Cuは本発明にあってはその特異な
時効挙動を利用して種々の興味ある特性を引き出すため
もっとも基本となる元素といえる。すなわち耐火特性、
あるいは高強度特性、さらには成形加工後に500〜6
50℃で時効することで大幅な強度上昇特に引張強度上
昇、あるいはそれに付随する耐久強度上昇をもたらす特
性、さらには表面硬化あるいはそれに付随して曲げ疲労
強度の上昇等々はこのCu添加による。そのためには比
較的多量の含有量とするところに特徴がある。0.8%
未満ではこれらの効果があまり発揮されない。一方、
2.0%超では効果が飽和する。本発明では、表内層に
成分差をつけ抜本的に表面疵を改良するので、一般には
より不利な1.2%超のCu添加鋼に適用することが本
発明効果をより発揮させる。
【0010】Ni:表層のみにNiを添加することは本
発明の最も重要なところである。これにCuに起因する
表面割れその他表面欠陥を抜本的に防止するためであ
る。レアーメタルであるNiは表層のみに添加する。そ
の量はCuに対する割合で0.6〜1.0とする。下限
値未満では表面欠陥を完全に防止することは困難であ
る。1.0を越える添加は、いかに表層だけの添加とは
言え、貴重な金属の浪費になり本発明の目的たる経済性
改善に反する。 Al:Alは脱酸のために必要である。0.005%未
満では十分な脱酸ができず、また、0.07%を越える
といたずらに介在物を増やすことになり、鋼の性質を損
なう。さらに鋼板の場合、カップ状のような形に深絞り
成形した後に、二次的にさらに加工を加えると壁割れ、
あるいは縦割れあるいはまた二次加工割れとも呼ばれる
脆性破壊が生じることがある。そうしたことに対して対
策が必要な場合には、Bを0.0001〜0.0030
%添加する。0.0001%未満の添加ではその効果が
なく、0.0030%程度で効果は飽和する。
【0011】本発明鋼は、Siもしくは/かつPの固溶
体強化によりベースの強度を増すことができる。これら
の元素は置換型固溶体として鋼中に溶け込み延性の劣化
を少なくして鋼を強化する。これらの元素の添加量はあ
まり多くなりすぎると鋼を脆化し、鋼の特性を損なう。
それぞれ、1.5%および0.1%を上限とする。ま
た、めっき鋼板とするときはこれらの元素はめっき密着
性を損なうのでそれぞれ0.3%以下および0.05%
以下の添加にとどめることが望ましい。本鋼は上述のよ
うにインタースティシャルフリー鋼として加工性を格段
に向上させることも可能である。この場合、Cを0.0
1%以下とし、Tiもしくは/かつNbを添加する。C
の上限はTiもしくは/かつNbの添加量を減らし、経
済的に成り立つようにするためである。Tiもしくは/
かつNb量は、それぞれ0.01%未満では十分な炭素
の固定ができず、また、0.1%を越える添加はコスト
的に問題があるばかりか材質をかえって劣化させる。好
ましくは(Ti/48+Nb/93)の(C/12+N
/14)に対する比を1以上10以下とすべきである。
【0012】内層成分 C:材質、特に加工性の観点より0.1%以下とする。
下限値は表層に対するのと同じ理由である。また、イン
タースティシャルフリー鋼に対する考えも同様である。 Mn:下限値に対する理由は、表層に対するのと同じ理
由である。上限は2.0%とする。固溶体強化、あるい
は変態組織強化で強度を付与する場合に必要である。し
かし、2.0%程度で効果は飽和するので上限は2.0
%とした。 Cu:Cuは本発明にあってはその特異な時効挙動を利
用して種々の興味ある特性を引き出すためもっとも基本
となる元素といえる。すなわち耐火特性、あるいは高強
度特性、さらには成形加工後に500〜650℃で時効
することで大幅な強度上昇特に引張強度上昇、あるいは
それに付随する耐久強度上昇をもたらす特性等々はこの
Cu添加による。そのためには比較的多量の含有量とす
るところに特徴がある。0.8%未満ではこれらの効果
があまり発揮されない。一方、2.0%超では効果が飽
和する。本発明では、表内層に成分差をつけ抜本的に表
面疵を改良するので、一般にはより不利な1.2%超の
Cu添加鋼に適用することが本発明効果をより発揮させ
る。
【0013】Al:Alは脱酸のために必要である。
0.005%未満では十分な脱酸ができず、また、0.
07%を越えるといたずらに介在物を増やすことにな
り、鋼の性質を損なう。表層と同様、二次加工割れが問
題となるときは、Bを0.0001〜0.0030%添
加する。0.0001%未満の添加ではその効果がな
く、0.0030%程度で効果は飽和する。本発明鋼
は、Siもしくは/かつPの固溶体強化によりベースの
強度を増すことができる。これらの元素は置換型固溶体
として鋼中に溶け込み延性の劣化を少なくして鋼を強化
する。これらの元素の添加量はあまり多くなりすぎると
鋼を脆化し、鋼の特性を損なう。それぞれ、1.5%お
よび0.1%を上限とする。本鋼は上述のようにインタ
ースティシャルフリー鋼として加工性を格段に向上させ
ることも可能である。この場合、Cを0.01%以下と
し、Tiもしくは/かつNbを添加する。Cの上限はT
iもしくは/かつNbの添加量を減らし、経済的に成り
立つようにするためである。Tiもしくは/かつNb量
は、それぞれ0.01%未満では十分な炭素の固定がで
きず、また、0.1%を越える添加はコスト的に問題が
あるばかりか材質をかえって劣化させる。好ましくは
(Ti/48+Nb/93)の(C/12+N/14)
に対する比を1以上10以下とすべきである。
【0014】本発明は、鋳込みクラッド法によりそのス
ラブが製造される。鋳込みクラッドの製造方法は種々あ
るが特に限定するところではない。一例をあげると、特
公昭44−27361号公報に開示されている2本IN
法(IN:イマージョンノズル)がある。この方法によ
るときは、タンディッシュ内を2室に区切り、それぞれ
の室から各1本、合計2本の浸漬ノズルを鋳型内に挿入
し鋳造する。タンディッシュ内の各室には、別々に溶製
した異なる成分の溶鋼を取鍋からそれぞれ注入する。そ
の他、鋳型内を、クラッド鋼板の内層部、表層部に対応
する区域に仕切って、内層部にワイヤで合金元素を添加
する方法、あるいは鋳型を2段に配置し、上部鋳型で内
層部を鋳込んだ後、下部鋳型で表層部を鋳込む方法等に
よって製造することができる。
【0015】クラッド率として、内層/表層の比は、6
〜20に制御することが好ましい。ここで表層とは表裏
合わせた部分を言う。6未満では内層の割合が少なく、
内層でもって発揮されるCuによる所定の材質が得られ
ない。一方20を越えると表層部が薄すぎて所定の表面
疵防止効果を得ることが難しい。この鋳造はその後連続
鋳造あるいは鋼塊に鋳造されスラブとされる。その後熱
延されるが熱延の加熱炉を通さずに直接圧延する直送圧
延、あるいは温片を挿入するホットチャージ圧延等を採
用してもかまわない。加熱する場合、加熱温度は特に低
める必要はない。熱延鋼板として用いられる場合、通常
酸洗後調質圧延され、切り板あるいはコイルで出荷され
る。この場合巻取温度を適宜制御してCuを固溶状態で
出荷し、需要家で加工後熱処理を行なって強度を上げる
方法、需要家に出荷する際すでに、高強度鋼として調整
して出す方法、あるいは耐火特性を付与させて出す方法
等、適宜選択できる。冷延鋼板として用いられる場合、
熱延コイル酸洗後、冷延しそして焼鈍される。焼鈍は箱
焼鈍、連続焼鈍あるいは溶融亜鉛めっき用の焼鈍等が使
える。この場合、Cu添加鋼の商品としての機能は、熱
延巻取温度と焼鈍条件の適当な組合せにより付与され
る。
【0016】
【実施例】
実施例1 まず、耐火熱延鋼板としての実施例を示す。表層成分
が、C:0.0021%,Mn:0.30%,P:0.
015%,酸可溶Al:0.037%,Cu:0.26
%,Ni:0.87%(Ni/Cu=0.69),T
i:0.051%,Nb:0.013%,B:0.00
04%、残部Fe、内層成分がC:0.0024%,M
n:0.27%,P:0.013%,酸可溶Al:0.
041%,Cu:1.29%,Ti:0.047%,N
b:0.014%,B:0.0004%、残部Fe、内
層/表層厚み比:9.0のスラブを上述の2本ノズル法
にて製造した。これを加熱温度1110℃,仕上圧延終
了温度880℃,巻取温度250℃で厚さ3.2mmの
熱延鋼板とした。比較として、C:0.0032%,M
n:0.36%,P:0.015%,酸可溶Al:0.
041%,Ti:0.046%,Nb:0.023%,
Cu:1.38%,Ni:0.51%、残部Feの鋼を
溶製し、加熱温度1080,および1240℃,仕上圧
延終了温度860℃,巻取温度320℃の条件で同じく
厚み3.2mmに圧延した。600℃高温強度(600
℃での引張による降伏点強度)は、本発明材:239N
/mm2、比較高温加熱材:234N/mm2、比較低温
加熱材:237N/mm2といずれも遜色なく、高いレ
ベルであった(通常、196N/mm2が490N/m
2級耐火鋼の最小高温降伏強度である)。つぎに表面
性状調査結果を示す。これはコイル状に製造した熱延鋼
板を巻戻して表面欠陥を調べたものである。比較鋼で
は、高温加熱材でかなりの部分でヘゲ状表面欠陥が発生
している。熱延低温加熱はかなりの効果があるものの欠
陥が皆無というわけにはゆかない。これに対し本発明鋼
では多少の発生は認められるものの改善効果は顕著であ
る。
【0017】
【表1】
【0018】実施例2 つぎにユーザーでの成形加工後に熱処理を施すことで降
伏点強度および引張強度が大幅に上昇する、高r値、高
加工性冷延鋼板の実施例を示す。表層成分が、C:0.
0014%,Mn:0.13%,P:0.009%,酸
可溶Al:0.030%,Cu:1.66%,Ni:
1.21%(Ni/Cu=0.73),Ti:0.04
3%,B:0.0005%,残部Fe、内層成分がC:
0.0018%,Mn:0.28%,P:0.014
%,酸可溶Al:0.031%,Cu:1.59%,T
i:0.040%,B:0.0006%、残部Fe、内
層/表層厚み比:10.0のスラブを上述の2本ノズル
法にて製造した。これを加熱温度1170℃,仕上圧延
終了温度910℃,巻取温度310℃で厚さ3.2mm
の熱延鋼板とした。続いて75%の冷延後、連続焼鈍を
施した。連続焼鈍条件としては、810℃,1.2mi
n保持後冷却し、過時効帯では440℃,210sの処
理を受けた。0.7%の調質圧延を与えて製品とした。
比較として、C:0.0023%,Mn:0.36%,
P:0.017%,酸可溶Al:0.033%,Ti:
0.050%,Cu:1.55%,Ni:0.53%
(Ni/Cu=0.34)、残部Feの鋼を溶製し、加
熱温度1180℃,仕上圧延終了温度890℃,巻取温
度500℃の条件で同じく厚み3.2mmに圧延した。
続いて冷延以降は本発明と同じ条件で通板し、冷延鋼板
を得た。まず、成品のヘゲ状表面疵発生状況を実施例1
と同じ表現で表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】本発明鋼では若干の発生が認められるが通
常の歩留まり落ちの範囲内で大きな問題とはならない。
本発明鋼および比較鋼からサンプルを採取し(ただし、
比較鋼では表面欠陥の発生していない部位から採取)、
引張試験を行なったところ、本発明鋼では、YS=24
8N/mm2,TS=422N/mm2,El=37%,
rave=1.85、比較鋼は、YS=251 N/m
2,TS=421 N/mm2,El=36%,rav
e=1.85のともに良好な値を示した。なお、ここで
YS:降伏点強度、TS:引張強度、El:破断伸び、
rave:面内平均ランクフォード値である。つぎにユ
ーザーでのプレス成形を模し10%予ひずみを与え、続
いて600℃,20minの熱処理を加えた後引張試験
を行なった。その結果、本発明鋼では、YS=571
N/mm2,TS=741N/mm2、比較鋼では、YS
=560N/mm2、TS=730N/mm2の高い値を
示した。これがユーザー熱処理硬化性である。また、本
発明鋼の熱処理後の表面硬度を調べたところHVで21
1を示し、表面硬度も十分高いことが示された。
【0021】実施例3 つぎに同じくユーザーでの成形加工後に熱処理を施すこ
とで降伏点強度および引張強度が大幅に上昇する、かつ
表層の亜鉛めっき層が合金化され、溶接性および耐食性
が良好となる良加工性溶融亜鉛めっき鋼板の実施例を示
す。表層成分が、C:0.055%,Si:0.28
%,Mn:0.78%,P:0.048%,酸可溶A
l:0.030%,Cu:1.71%,Ni:1.22
%(Ni/Cu=0.71)、残部Fe、内層成分が、
C:0.066%,Si:0.85%,Mn:1.11
%,P:0.071%,Cu:1.65%,酸可溶A
l:0.041%,残部Fe、表層/内層厚み比:9の
スラブを上述の2本ノズル法にて製造した。これを加熱
温度1180℃,仕上圧延終了温度855℃,巻取温度
200℃で厚さ3.2mmの熱延鋼板とした。酸洗後連
続溶融亜鉛めっきラインを通板した。このラインでの熱
履歴は760℃,55sの還元処理後440℃で亜鉛ポ
ットに浸漬し、続いて冷却するというものである。な
お、亜鉛ポット浴中のAl濃度は0.19%であった。
比較鋼として、C:0.081%,Si:0.30%,
Mn:0.95%,P:0.053%,Cu:1.2
%,酸可溶Al:0.035%の鋼を加熱温度1090
℃,仕上圧延終了温度860℃,巻取温度500℃で厚
さ3.2mmの熱延鋼板とし、発明鋼と同様の処理にて
溶融亜鉛めっき鋼板とした。この両コイルの長手方向の
機械試験値と溶融亜鉛めっき密着性を表3に示す。
【0022】
【表3】 注.)めっき密着性はボールインパクト法によった。評
点付けは1〜10で大きいほどよくない。評点7以上が
出荷不可である。
【0023】なお、めっき密着性は下地の原板鋼の表面
状態、および下地鋼の表面のめっきラインでの還元のさ
れかたに依存し、後者は下地鋼の表層の成分に大きく影
響される。本発明鋼を採取し、自動車のメンバーを模し
たチャンネルの断面を持った部材にプレス成形し、成形
後、100℃/minで昇温し、570℃で10min
保持する熱処理を加えた。この部材の天部から引張試験
片を切り出し引張試験を行ったところ、YS=503N
/mm2、TS=655N/mm2の値を得た。すなわち
590N/mm2級の高強度鋼板並の強度であった。ま
た、平面曲げ疲労限は401 N/mm2であった。プレ
ス成形時に表層亜鉛の脱落はなかった。熱処理後は表層
亜鉛は完全に合金化した。プレス加工部材より板を切り
出し連続スポット溶接性を調べたところ2400点まで
チップ交換は不要であった。
【0024】実施例4 つぎに、高強度良加工性熱延鋼板の実施例について述べ
る。表層成分が、C:0.0025%,Mn:0.28
%,P:0.013%,酸可溶Al:0.034%,C
u:1.51%,Ni:1.22%(Ni/Cu=0.
87)、残部Fe、内層成分がC:0.0033%,M
n:0.58%,P:0.015%,酸可溶Al:0.
036%,Cu:1.49%、残部Fe、内層/表層厚
み比:12.0のスラブを上述の2本ノズル法にて製造
した。これを加熱温度1160℃,仕上圧延終了温度9
05℃,巻取温度605℃で厚さ2.6mmの熱延鋼板
とした。この熱延鋼板を酸洗後表面観察を表裏行った
が、ヘゲ状の欠陥は全く認められなかった。つぎに加工
性の結果を示す。加工性の比較として、同じ板厚の析出
強化型590N/mm2級高強度熱延鋼板を選んだ。表
4に機械試験値の比較を示す。
【0025】
【表4】 ここで、d/d0で示したのは穴拡げ率で、初期穴径d0
20mmの穴をバリを外にして30°円錐ポンチで広
げ、端面に割れが発生した時点での穴径dを測定しその
比で表す。自動車足周り等にはこの穴拡げ性に代表され
る伸びフランジ性が成形を律する場合が極めて多い。本
発明鋼は、このように伸びフランジ性が極めて優れた5
90N/mm2級高強度熱延鋼板の特性を示しており、
かつこの鋼の欠点であった表面欠陥は皆無である。
【0026】
【発明の効果】安価で、多くの極めて興味ある特性を引
き出す鋼の添加元素であるCuの、最大の欠陥で、実用
化を遅らせていた表面欠陥を完全になくすことが本発明
で実現した。その結果すでに知られている応用だけでも
その発展性は高く、例えば自動車の燃費向上のための軽
量化やあるいは耐火建築にと広く使われるようになる。
また、まだ知られていない潜在的な応用にも本技術は適
用可能である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表層成分が、質量割合(以下、鋼成分に
    関しては同じ)で、C:0.0010〜0.100%、
    Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.8〜2.0%、N
    i:Ni/Cuで0.6〜1.0、酸可溶Al:0.0
    05〜0.07%、さらにSi:1.5%以下、ないし
    P:0.1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、残
    部Feおよび不可避的不純物からなり、内層成分が、
    C:0.0010〜0.100%、Mn:0.1〜2.
    0%、Cu:0.8〜2.0%、酸可溶Al:0.00
    5〜0.07%、さらにSi:1.5%以下、ないし
    P:0.1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、残
    部Feおよび不可避的不純物からなる表面性状の極めて
    優れたCu添加薄鋼板
  2. 【請求項2】 表層成分が、C:0.0010〜0.0
    10%、Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.8〜2.
    0%、Ni:Ni/Cuで0.6〜1.0、酸可溶A
    l:0.005〜0.07%、さらにSi:1.5%以
    下ないしP:0.1%以下のいずれかもしくは双方を含
    有し、さらに、Ti:0.01〜0.1%ないしNb:
    0.01〜0.1%のいずれかもしくは双方を含有し、
    残部Feおよび不可避的不純物からなり、内層成分が、
    C:0.0010〜0.010%、Mn:0.1〜2.
    0%、Cu:0.8〜2.0%、酸可溶Al:0.00
    5〜0.07%、さらにSi:1.5%以下ないしP:
    0.1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、さら
    に、Ti:0.01〜0.1%ないしNb:0.01〜
    0.1%のいずれかもしくは双方を含有し、残部Feお
    よび不可避的不純物からなる表面性状の極めて優れたC
    u添加薄鋼板
  3. 【請求項3】 表層成分が、C:0.0010〜0.1
    00%、Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.8〜2.
    0%、Ni:Ni/Cuで0.6〜1.0、B:0.0
    001〜0.0030%、酸可溶Al:0.005〜
    0.07%、さらにSi:1.5%以下ないしP:0.
    1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、残部Feお
    よび不可避的不純物からなり、内層成分が、C:0.0
    010〜0.100%、Mn:0.1〜2.0%、C
    u:0.8〜2.0%、B:0.0001〜0.003
    0%、酸可溶Al:0.005〜0.07%、さらにS
    i:1.5%以下ないしP:0.1%以下のいずれかも
    しくは双方を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
    らなる表面性状の極めて優れたCu添加薄鋼板
  4. 【請求項4】 表層成分が、C:0.0010〜0.0
    10%、Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.8〜2.
    0%、Ni:Ni/Cuで0.6〜1.0、B:0.0
    001〜0.0030%、酸可溶Al:0.005〜
    0.07%、さらにSi:1.5%以下ないしP:0.
    1%以下のいずれかもしくは双方を含有し、さらに、T
    i:0.01〜0.1%ないしNb:0.01〜0.1
    %のいずれかもしくは双方を含有し、残部Feおよび不
    可避的不純物からなり、内層成分が、C:0.0010
    〜0.010%、Mn:0.1〜2.0%、Cu:0.
    8〜2.0%、B:0.0001〜0.0030%、酸
    可溶Al:0.005〜0.07%、さらにSi:1.
    5%以下ないしP:0.1%以下のいずれかもしくは双
    方を含有し、さらに、Ti:0.01〜0.1%ないし
    Nb:0.01〜0.1%のいずれかもしくは双方を含
    有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる表面性状
    の極めて優れたCu添加薄鋼板
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