JPH06104855B2 - 耐火性に優れた建築用低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
耐火性に優れた建築用低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法Info
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- JPH06104855B2 JPH06104855B2 JP1027297A JP2729789A JPH06104855B2 JP H06104855 B2 JPH06104855 B2 JP H06104855B2 JP 1027297 A JP1027297 A JP 1027297A JP 2729789 A JP2729789 A JP 2729789A JP H06104855 B2 JPH06104855 B2 JP H06104855B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は建築用軽量形鋼、Uコラム、その他土木および
海洋構造物等の分野における各種建造物に用いる耐火性
の優れた低降伏比熱延鋼板の製造方法に係る。
海洋構造物等の分野における各種建造物に用いる耐火性
の優れた低降伏比熱延鋼板の製造方法に係る。
(従来の技術) 建築用熱延鋼板には、一般構造用圧延鋼板(JIS G 310
1)、溶接構造用圧延鋼板(JIS G 3106)、溶接構造用
耐候性熱間圧延鋼板(JIS G 3114)、高耐候性圧延鋼板
(JIS G 3125)、(以下周知鋼板という)などが広く利
用されている。
1)、溶接構造用圧延鋼板(JIS G 3106)、溶接構造用
耐候性熱間圧延鋼板(JIS G 3114)、高耐候性圧延鋼板
(JIS G 3125)、(以下周知鋼板という)などが広く利
用されている。
建築物の耐火性は重要で、大型ビルから一般住宅用まで
種々その対策がなされている。特に一般住宅にあっては
地価高騰のため3階建て住宅が普及しつつあるがこの場
合、相応の耐火性が要求される。しかし、一般的には特
開昭63−47451号公報記載の技術のように耐火被覆で以
て火災対策を行っているのが現状である。そのため、建
築コストが上昇し、建造物の利用空間を狭くしている。
種々その対策がなされている。特に一般住宅にあっては
地価高騰のため3階建て住宅が普及しつつあるがこの場
合、相応の耐火性が要求される。しかし、一般的には特
開昭63−47451号公報記載の技術のように耐火被覆で以
て火災対策を行っているのが現状である。そのため、建
築コストが上昇し、建造物の利用空間を狭くしている。
近時、耐火設計について見直しが行われ、昭62年建築物
の新耐火設計法が法定されるにいたり、従来の火災時の
許容鋼材温度(350℃)の規定が外され、鋼板の高温強
度と建物に実際に加わっている荷重により、耐火被覆の
能力を決定できるようになり、素材鋼板の高温強度が確
保される場合等には無被覆で鋼板を使用することも可能
となった。
の新耐火設計法が法定されるにいたり、従来の火災時の
許容鋼材温度(350℃)の規定が外され、鋼板の高温強
度と建物に実際に加わっている荷重により、耐火被覆の
能力を決定できるようになり、素材鋼板の高温強度が確
保される場合等には無被覆で鋼板を使用することも可能
となった。
しかしながら、耐火用の高温強度を保証した熱延鋼板に
関する発明としては、特願昭63−143470号を以て嚆矢と
するものである。
関する発明としては、特願昭63−143470号を以て嚆矢と
するものである。
特願昭63−143470号発明は、本発明と同様の目的を有す
る発明であるが、同発明は主として厚板についてのもの
である。しかし、建築物のうち軽量鉄骨やU字状コラム
は熱延鋼帯または鋼板を素材として使用する場合が多
い。熱延鋼帯または鋼板はホットストリップミルにより
製造されるが、この工程では連続熱延のために仕上温度
をむやみに下げたり、通板速度を極度に低下させること
はできない。さらに大量に生産するため、ランアウトテ
ーブルの急冷工程と巻取工程が存在する。これらの理由
により常温引張特性および高温強度特性を付与させるの
は、厚板製造工程とは大幅に異なってくる。
る発明であるが、同発明は主として厚板についてのもの
である。しかし、建築物のうち軽量鉄骨やU字状コラム
は熱延鋼帯または鋼板を素材として使用する場合が多
い。熱延鋼帯または鋼板はホットストリップミルにより
製造されるが、この工程では連続熱延のために仕上温度
をむやみに下げたり、通板速度を極度に低下させること
はできない。さらに大量に生産するため、ランアウトテ
ーブルの急冷工程と巻取工程が存在する。これらの理由
により常温引張特性および高温強度特性を付与させるの
は、厚板製造工程とは大幅に異なってくる。
また、この厚板の技術をホットストリップミルに応用し
た技術に関する発明が、平成元年1月12日に特許出願さ
れたが、この発明もやはりMo添加を基本としており、高
合金鋼ほどではないが経済性において問題は完全に解決
されたとはいえない。
た技術に関する発明が、平成元年1月12日に特許出願さ
れたが、この発明もやはりMo添加を基本としており、高
合金鋼ほどではないが経済性において問題は完全に解決
されたとはいえない。
本発明者らはこの高温強度確保のためCu添加鋼の優秀性
に着目し、これら用途に適用する技術に関する発明を平
成元年2月4日付で特許出願(先願発明という)した。
に着目し、これら用途に適用する技術に関する発明を平
成元年2月4日付で特許出願(先願発明という)した。
本発明はこの先願発明に係るCu添加鋼の特性をさらに向
上させたものである。
上させたものである。
(発明が解決しようとする課題) 従来鋼では結晶粒成長、析出物の粗大化、炭化物溶解等
で高温強度を確保するのが難しい。また、高合金耐熱金
属は鉄系を含めて存在しているが、建築用に大量に消費
されるものとしては、経済性に難点がある。
で高温強度を確保するのが難しい。また、高合金耐熱金
属は鉄系を含めて存在しているが、建築用に大量に消費
されるものとしては、経済性に難点がある。
本発明の目的は、高温特性に優れ耐火被覆が低減ないし
省略でき、かつ常温強度も高く低降伏比であり、先願発
明のような極低炭素化を必要とせず、かつ非Mo系の普通
鋼に近い鋼成分という、経済性に低降伏比鋼板あるいは
鋼帯をホットストリップミルにて製造する方法の提供に
ある。
省略でき、かつ常温強度も高く低降伏比であり、先願発
明のような極低炭素化を必要とせず、かつ非Mo系の普通
鋼に近い鋼成分という、経済性に低降伏比鋼板あるいは
鋼帯をホットストリップミルにて製造する方法の提供に
ある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、火災時における鋼板強度について研究の
結果、経済的な成分系で、600℃での降伏点強度が常温
強度の60%以上となる鋼板の製造方法を発明するに至っ
た。さらに、地震時における鋼板強度について検討の結
果、常温における降伏比(降伏点強度/引張強度)が80
%以下の低降伏比鋼板が、耐震性に優れていることも明
らかにし、併せて達成するに至った。
結果、経済的な成分系で、600℃での降伏点強度が常温
強度の60%以上となる鋼板の製造方法を発明するに至っ
た。さらに、地震時における鋼板強度について検討の結
果、常温における降伏比(降伏点強度/引張強度)が80
%以下の低降伏比鋼板が、耐震性に優れていることも明
らかにし、併せて達成するに至った。
本発明の要旨とするところは、 (1)重量比で、C:0.02〜0.1%、Si≦:0.5%、Mn:0.3
〜1.5%、P≦0.05%、Al≦0.1%、Cu:0.6〜2.0%を含
み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼をスラブと
した後、直ちに、あるいは1150℃以下に加熱後、熱延を
行い、750℃以上の温度で圧延を終了し、その後平均冷
却速度3〜40℃/sで冷却を行った後、300〜600℃で巻取
ることを特徴とする600℃における降伏点強度が常温に
おける降伏点強度の0.6以上である耐火性に優れた建築
用低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法、および (2)重量比で、C:0.02〜0.1%、Si≦:0.5%、Mn:0.3
〜1.5%、P≦0.05%、Al≦0.1%、Cu:0.6〜2.0%を含
み、NiをNi/Cuで0.2〜1.0含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなる鋼をスラブとした後、直ちに、あるいは
1150℃以下に加熱後、熱延を行い、750℃以上の温度で
圧延を終了し、その後平均冷却速度3〜40℃/sで冷却を
行った後、300〜600℃で巻取ることを特徴とする600℃
における降伏点強度が常温における降伏点強度の0.6以
上である耐火性に優れた建築用低降伏比高強度熱延鋼板
の製造方法、 にある。
〜1.5%、P≦0.05%、Al≦0.1%、Cu:0.6〜2.0%を含
み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼をスラブと
した後、直ちに、あるいは1150℃以下に加熱後、熱延を
行い、750℃以上の温度で圧延を終了し、その後平均冷
却速度3〜40℃/sで冷却を行った後、300〜600℃で巻取
ることを特徴とする600℃における降伏点強度が常温に
おける降伏点強度の0.6以上である耐火性に優れた建築
用低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法、および (2)重量比で、C:0.02〜0.1%、Si≦:0.5%、Mn:0.3
〜1.5%、P≦0.05%、Al≦0.1%、Cu:0.6〜2.0%を含
み、NiをNi/Cuで0.2〜1.0含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなる鋼をスラブとした後、直ちに、あるいは
1150℃以下に加熱後、熱延を行い、750℃以上の温度で
圧延を終了し、その後平均冷却速度3〜40℃/sで冷却を
行った後、300〜600℃で巻取ることを特徴とする600℃
における降伏点強度が常温における降伏点強度の0.6以
上である耐火性に優れた建築用低降伏比高強度熱延鋼板
の製造方法、 にある。
すなわち、本発明の骨子は、低C−Mn基本成分系に多量
のCuを添加した成分系の鋼を用い、Cuによる高温割れが
生じないように、かつ所定の特性を十分付与させるよう
な特定の熱延条件で熱延を行い、また、高温割れに対し
てはNi添加で補強する点にある。
のCuを添加した成分系の鋼を用い、Cuによる高温割れが
生じないように、かつ所定の特性を十分付与させるよう
な特定の熱延条件で熱延を行い、また、高温割れに対し
てはNi添加で補強する点にある。
以下、本発明構成要件の数値限定理由について述べる。
Cは0.02〜0.1%とする。本発明にあってはCは、常温
・靭性を担う元素である。0.02%未満では必要な強度・
靭性を付与させることが難しい。また、製鋼における強
度の真空脱ガスを必要とするので経済性を損ねる。一方
0.1%を越えるとマルテンサイト等焼入れ組織となりや
すく靭性を劣化させる。
・靭性を担う元素である。0.02%未満では必要な強度・
靭性を付与させることが難しい。また、製鋼における強
度の真空脱ガスを必要とするので経済性を損ねる。一方
0.1%を越えるとマルテンサイト等焼入れ組織となりや
すく靭性を劣化させる。
つぎにMnは0.3〜0.5%の範囲で添加する。下限値未満で
は十分な強度・靭性を有する組織を得にくい。一方、1.
5%を越えるとやはり焼入れ組織となりやすく靭性を劣
化させる。
は十分な強度・靭性を有する組織を得にくい。一方、1.
5%を越えるとやはり焼入れ組織となりやすく靭性を劣
化させる。
Siは強度を補強する意味で0.5%以内添加する。これを
越えると鋼の靭性・溶接性を劣化させる。
越えると鋼の靭性・溶接性を劣化させる。
Pは本成分系の場合、靭性を劣化させるので0.05%以内
で添加する。靭性要求の強い場合はむしろ添加しないの
で0.02%以内の不純物のレベルに押さえることが好まし
い。一方、本成分系の場合0.03%以上Pを添加すると耐
食性を向上させることが判明した。この意味からはPは
0.03〜0.05%とする。
で添加する。靭性要求の強い場合はむしろ添加しないの
で0.02%以内の不純物のレベルに押さえることが好まし
い。一方、本成分系の場合0.03%以上Pを添加すると耐
食性を向上させることが判明した。この意味からはPは
0.03〜0.05%とする。
Alは脱酸剤として必要であるが0.1%を越える添加は介
在物が増し鋼の延性、靭性を劣化させる。下限値は0.01
%程度が通常採られているが、Tiによる脱酸等でさらに
下げられる場合には0.003%程度でもよい。
在物が増し鋼の延性、靭性を劣化させる。下限値は0.01
%程度が通常採られているが、Tiによる脱酸等でさらに
下げられる場合には0.003%程度でもよい。
次にCuは本発明にあっては極めて重要な元素である。す
なわち本発明の主目的である高温強度を確保し、かつ常
温強度・常温降伏比も担い、さらにPとの相互作用でも
って優れた耐食性をも持たせることも可能である。強化
のメカニズムは定かではないが、常温強度はCuの固溶化
強化ないし若干のクラスター強化に、高温強度はCuのク
ラスター強化ないし析出強化に負うものと考えられる。
0.6%未満のCu添加ではCuの過飽和度が不足し強度が付
与されない。とりわけ高温において著しい。また、2.0
%超の添加はこれら効果が飽和傾向になる一方、熱間割
れが避けがたくなるので添加値の上限は2.0%とする。
なわち本発明の主目的である高温強度を確保し、かつ常
温強度・常温降伏比も担い、さらにPとの相互作用でも
って優れた耐食性をも持たせることも可能である。強化
のメカニズムは定かではないが、常温強度はCuの固溶化
強化ないし若干のクラスター強化に、高温強度はCuのク
ラスター強化ないし析出強化に負うものと考えられる。
0.6%未満のCu添加ではCuの過飽和度が不足し強度が付
与されない。とりわけ高温において著しい。また、2.0
%超の添加はこれら効果が飽和傾向になる一方、熱間割
れが避けがたくなるので添加値の上限は2.0%とする。
本発明ではさらに場合によってNiを添加する。Ni添加は
熱間割れを完全になくするために行う。Ni添加量は熱間
割れの原因となるCu添加量に応じて行う。Ni/Cuが0.2未
満ではNiによる熱間割れ低減効果が認められず、またNi
/Cuが1.0超となるとNiが高価な金属であるため本発明の
大きな目的の一つである経済性を損なう。
熱間割れを完全になくするために行う。Ni添加量は熱間
割れの原因となるCu添加量に応じて行う。Ni/Cuが0.2未
満ではNiによる熱間割れ低減効果が認められず、またNi
/Cuが1.0超となるとNiが高価な金属であるため本発明の
大きな目的の一つである経済性を損なう。
本発明の効果はもちろん以上の成分系だけの特定でもた
らされるものではない。すなわち熱延条件もまた極めて
重要な要件である。特に、本発明のような多量のCuを添
加した鋼にあっては、いわゆるCu脆化と呼ばれる熱間脆
化が生じ、十分な熱間圧延ができないのが現状であっ
た。本発明では以下のように熱延条件を特定する。
らされるものではない。すなわち熱延条件もまた極めて
重要な要件である。特に、本発明のような多量のCuを添
加した鋼にあっては、いわゆるCu脆化と呼ばれる熱間脆
化が生じ、十分な熱間圧延ができないのが現状であっ
た。本発明では以下のように熱延条件を特定する。
熱延はスラブ鋳造後直ちに(いわゆるCC−直接圧延)行
うか、もしくは加熱する場合は1150℃以下とする。この
条件をはずすと熱間割れが避けられない。CC−直接圧延
を行う場合は保温もしくは端部の多少の加熱を行っても
差し支えない。また加熱する場合は、十分Cuへげをなく
するためには1100℃以下とすることが好ましい。加熱温
度の下限は現状の連続熱延設備で採れる1000℃程度であ
る。この条件であればCuの溶体化は十分である。
うか、もしくは加熱する場合は1150℃以下とする。この
条件をはずすと熱間割れが避けられない。CC−直接圧延
を行う場合は保温もしくは端部の多少の加熱を行っても
差し支えない。また加熱する場合は、十分Cuへげをなく
するためには1100℃以下とすることが好ましい。加熱温
度の下限は現状の連続熱延設備で採れる1000℃程度であ
る。この条件であればCuの溶体化は十分である。
熱間圧延終了温度は750℃以上とする。この温度より低
い温度で圧延を行うとCuが圧延によりひずみ誘起析出
し、後の高温強度確保の用をなさない。すなわち本発明
の熱延条件としてはCuを鉄中に過飽和に溶解したままに
することが一つの観点となっている。この意味からは熱
間圧延終了温度は800℃以上とすることが好ましい。
い温度で圧延を行うとCuが圧延によりひずみ誘起析出
し、後の高温強度確保の用をなさない。すなわち本発明
の熱延条件としてはCuを鉄中に過飽和に溶解したままに
することが一つの観点となっている。この意味からは熱
間圧延終了温度は800℃以上とすることが好ましい。
ランアウトテーブルでの冷却および巻取条件も過飽和度
維持の観点から定められる。前者は平均冷却速度で3〜
40℃/sとする。この冷却速度より低い値で徐冷すると冷
却中にCuが析出し、常温強度,常温降伏比,高温強度を
確保することができない。一方、冷却速度が40℃/sを越
えると焼入れ組織となり、靭性を劣化させる。安定して
特性を得るには6〜30℃/sの範囲内にすることが好まし
い。巻取温度は300〜600℃とする。600℃を越えると巻
取後の徐冷中にCuが過時効析出して、必要な引張特性を
得ることができない。巻取のバラツキを考慮してより安
定して特性を得るには巻取温度は520℃以下とすること
が好ましい。さらに熱延コイル全長にわたり十分な過飽
和Cuを得て、十分な常温強度・降伏比、高温強度等を得
るには巻取温度を450℃以下とすることがより好まし
い。巻取温度が300℃未満となるとやはり焼入れ組織が
生じやすく、鋼の靭性を劣化させる。このようにランア
ウトテーブルでの冷却条件や巻取温度条件が広いという
ことも本発明の、Mo系耐火鋼に対する特徴の一つであ
る。
維持の観点から定められる。前者は平均冷却速度で3〜
40℃/sとする。この冷却速度より低い値で徐冷すると冷
却中にCuが析出し、常温強度,常温降伏比,高温強度を
確保することができない。一方、冷却速度が40℃/sを越
えると焼入れ組織となり、靭性を劣化させる。安定して
特性を得るには6〜30℃/sの範囲内にすることが好まし
い。巻取温度は300〜600℃とする。600℃を越えると巻
取後の徐冷中にCuが過時効析出して、必要な引張特性を
得ることができない。巻取のバラツキを考慮してより安
定して特性を得るには巻取温度は520℃以下とすること
が好ましい。さらに熱延コイル全長にわたり十分な過飽
和Cuを得て、十分な常温強度・降伏比、高温強度等を得
るには巻取温度を450℃以下とすることがより好まし
い。巻取温度が300℃未満となるとやはり焼入れ組織が
生じやすく、鋼の靭性を劣化させる。このようにランア
ウトテーブルでの冷却条件や巻取温度条件が広いという
ことも本発明の、Mo系耐火鋼に対する特徴の一つであ
る。
本発明の鋼は通常転炉で鋼とされ、真空脱ガス等で二次
精錬を行っても良い。そして普通は連続鋳造されてスラ
ブとされる。ホットストリップミルで熱延コイルとされ
たあとそのまま、または酸洗あるいは/またスキンパス
あるいはレベラー通板されてコイル状で素材とされる。
あるいはまた切り板素材とされる。
精錬を行っても良い。そして普通は連続鋳造されてスラ
ブとされる。ホットストリップミルで熱延コイルとされ
たあとそのまま、または酸洗あるいは/またスキンパス
あるいはレベラー通板されてコイル状で素材とされる。
あるいはまた切り板素材とされる。
つぎに本発明の実施例について説明する。
第1表に示す成分を有する鋼を転炉にて出鋼後、連続鋳
造にてスラブとしたのち直ちにあるいは加熱後熱延を施
した。熱延条件を第2表に示す。製造した熱延コイルを
酸洗後スキンパスラインで巻き戻し試験用のサンプルを
採取した。常温における引張試験はJIS Z 2201 5号試験
片を用い、JIS Z 2241に則って行った。高温引張試験
は、高温伸び計を試験片に取り付け、600℃まで150℃/
時の速度で昇温しこの温度で引張り、降伏点を測定し
た。
造にてスラブとしたのち直ちにあるいは加熱後熱延を施
した。熱延条件を第2表に示す。製造した熱延コイルを
酸洗後スキンパスラインで巻き戻し試験用のサンプルを
採取した。常温における引張試験はJIS Z 2201 5号試験
片を用い、JIS Z 2241に則って行った。高温引張試験
は、高温伸び計を試験片に取り付け、600℃まで150℃/
時の速度で昇温しこの温度で引張り、降伏点を測定し
た。
また、板のいわゆるCuヘゲに起因する表面状況をスキン
パスラインで巻き戻す際に、コイル全長にわたり観察し
つぎのように評点付けを行った。
パスラインで巻き戻す際に、コイル全長にわたり観察し
つぎのように評点付けを行った。
◎:良好(一般材と同じ)、〇:軽微(出荷合格品)、
△:やや認められる(向け先により出荷不可)、×:発
生大(不良品)。
△:やや認められる(向け先により出荷不可)、×:発
生大(不良品)。
また、材料の靭性はJIS Z 2202 シャルピーVノッチ試
験片を用い、同Z 2242に従って行った。ただし、板厚が
10mm以下であるので元厚に最も近いサブサイズ試験片を
用いた。
験片を用い、同Z 2242に従って行った。ただし、板厚が
10mm以下であるので元厚に最も近いサブサイズ試験片を
用いた。
第2表に熱延条件と得られた鋼の特性値を示す。本発明
に従った鋼はCuヘゲの程度も実用レベルで問題なく、常
温引張特性では402MPa級の引張強度に対し、降伏点強度
はそれぞれ規格値の245MPa以上を十分に満たし、なおか
つ降伏比(降伏点強度/引張強度)が0.8以下という優
れたものである。さらに、600℃における高温の降伏点
強度も十分に高く、常温の降伏点強度との比で0.6以上
という値を十分に満たし、概ね0.7以上の高い値であ
る。
に従った鋼はCuヘゲの程度も実用レベルで問題なく、常
温引張特性では402MPa級の引張強度に対し、降伏点強度
はそれぞれ規格値の245MPa以上を十分に満たし、なおか
つ降伏比(降伏点強度/引張強度)が0.8以下という優
れたものである。さらに、600℃における高温の降伏点
強度も十分に高く、常温の降伏点強度との比で0.6以上
という値を十分に満たし、概ね0.7以上の高い値であ
る。
(発明の効果) ビル火災対策は社会的な課題であり、また一般住宅にお
いても高機能住宅が求められ、その中で火災対策は重要
な項目である。
いても高機能住宅が求められ、その中で火災対策は重要
な項目である。
本発明はこのような状況の中で鉄系の優れた耐高温特性
を有する素材を、大量に供給できるホットストリップミ
ルで、しかも普通鋼に近い成分系で製造可能としたもの
であるから、上記社会的課題の解決に大きく貢献するも
のと考えられる。
を有する素材を、大量に供給できるホットストリップミ
ルで、しかも普通鋼に近い成分系で製造可能としたもの
であるから、上記社会的課題の解決に大きく貢献するも
のと考えられる。
Claims (2)
- 【請求項1】重量比で、C:0.02〜0.1%、Si≦0.5%、M
n:0.3〜1.5%、P≦0.05%、Al≦0.1%、Cu:0.6〜2.0%
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼をスラ
ブとした後、直ちに、あるいは1150℃以下に加熱後熱延
を行い、750℃以上の温度で圧延を終了し、その後平均
冷却速度3〜40℃/sで冷却を行った後、300〜600℃で巻
取ることを特徴とする600℃における降伏点強度が常温
における降伏点強度の0.6以上である耐火性に優れた建
築用低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】重量比で、C:0.02〜0.1%、Si≦0.5%、M
n:0.3〜1.5%、P≦0.05%、Al≦0.1%、Cu:0.6〜2.0%
を含み、NiをNi/Cuで0.2〜1.0含み、残部Feおよび不可
避的不純物からなる鋼をスラブとした後、直ちに、ある
いは1150℃以下に加熱後熱延を行い、750℃以上の温度
で圧延を終了し、その後平均冷却速度3〜40℃/sで冷却
を行った後、300〜600℃で巻取ることを特徴とする600
℃における降伏点強度が常温における降伏点強度の0.6
以上である耐火性に優れた建築用低降伏比高強度熱延鋼
板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1027297A JPH06104855B2 (ja) | 1989-02-06 | 1989-02-06 | 耐火性に優れた建築用低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1027297A JPH06104855B2 (ja) | 1989-02-06 | 1989-02-06 | 耐火性に優れた建築用低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02205630A JPH02205630A (ja) | 1990-08-15 |
JPH06104855B2 true JPH06104855B2 (ja) | 1994-12-21 |
Family
ID=12217156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1027297A Expired - Lifetime JPH06104855B2 (ja) | 1989-02-06 | 1989-02-06 | 耐火性に優れた建築用低降伏比高強度熱延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JPH06104855B2 (ja) |
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-
1989
- 1989-02-06 JP JP1027297A patent/JPH06104855B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (2)
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