JP3232120B2 - 耐火性と靱性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯およびその製造方法 - Google Patents

耐火性と靱性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、常温成形後の形状凍結
性が重要視される、建築、土木および海洋構造物等の用
途に用いて好適な耐火性と靭性に優れた低降伏比熱延鋼
帯(鋼板を含む。以下同じ)およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】建築用熱延鋼板としては、一般構造用圧
延鋼板(JIS G 3101)、溶接構造用圧延鋼板(JIS G 31
06)、溶接構造用耐候性熱間圧延鋼板(JIS G 3114)お
よび高耐候性圧延鋼板(JIS G 3125)などが広く利用さ
れている。建築物において、その耐火性は特に重要で、
大型ビルから一般住宅用まで種々の対策が施されてい
る。
【0003】従来は、たとえば特開昭63-47451号公報に
開示されているように、耐火被覆によって火災対策を行
っている場合が多かった。その後、耐火設計について見
直しが行われ、昭和62年に建築物の新耐火設計法が制定
されるに至り、従来の火災時における許容鋼材温度(35
0 ℃) の規定が外れて、鋼板の高温強度と建物に実際に
加わっている荷重により、耐火被覆の能力を決定できる
ようになり、素材鋼板の高温強度が確保される場合など
には無被覆での鋼板の使用も可能となった。かかる鋼板
としては、たとえば特開平2-77523号公報に、厚板に関
するものが提案されている。
【0004】しかしながら、建築物のうち軽量鉄骨やU
字状コラム等は熱延鋼帯を素材として使用する場合が多
い。また最近では、常温における加工性の要求が強まり
つつある。常温での加工性に優れたもの、いわゆるIF
(Interestial Free)鋼で、耐火性に優れた低降伏比熱
延鋼板に関する公知文献としては、例えば特開平2−20
5625号公報がある。しかし、上記公報に開示の熱延鋼板
には、とくにシャルピー特性に代表される靭性に関し、
充分満足する特性が得られないところに問題を残してい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を有利に解決するもので、Siを初めとして、NbCやTiC
の析出に影響を与える元素の含有量を最適化することに
より、溶接性を劣化させることなしに、従来の低Nb含有
鋼よりも優れた常温加工性さらには優れたシャルピー特
性や高温強度を有する建築用低降伏比熱延鋼帯を、その
有利な製造方法と共に提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて、本発明者らは、上
記の目的を達成すべく、数多くの実験と検討を重ねた結
果、完全にIF化し、しかも、NbCやTiCを常温での加
工性を劣化させることなく、かつ高温強度確保に有利に
作用する程度に微細に析出させるためには、Ar3変態点
を適度に低下させる元素を適正量添加することが有効
で、これによって常温で低降伏比、高加工性が得られ、
また、高温強度も充分で、さらにはシャルピー特性も向
上することの知見を得た。本発明は、上記の知見に立脚
するものである。
【0007】すなわち、本発明は、C:0.002 超〜0.06
0 wt%(以下単に%で示す)、Si:0.001 〜1.0 % M
n :0.05〜1.50%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、
Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下、Nb:0.04超〜0.20
%以下、かつ、Nb/8≧Cを含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物よりなる、耐火性と靭性に優れた建築用低
降伏比熱延鋼帯を要旨構成とするものである。
【0008】また、本発明は、上記要旨構成の鋼帯成分
に加え、さらに、Ti:0.02〜0.30%を、Nb/8+Ti/4
≧Cの範囲において含有する、耐火性と靭性に優れた建
築用低降伏比熱延鋼帯である。
【0009】また、本発明は、上記要旨構成の各鋼帯成
分に加え、さらに、Mo:0.1 〜1.5%、Cu:0.5 〜2.0
%、およびNi:0.15〜1.50%のうちから選んだ1種また
は2種以上を含有する、耐火性と靭性に優れた建築用低
降伏比熱延鋼帯である。
【0010】また、本発明は、上記要旨構成の各鋼帯成
分に加え、さらに、B:0.0005〜0.0100%を含有する、
耐火性と靭性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯である。
【0011】また、本発明は、上記要旨構成の各鋼帯成
分に加え、さらに、Ca:0.0005〜0.0100%、 Rem:0.00
1 〜0.020 %のうちから選んだ1種または2種を含有す
る、耐火性と靭性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯であ
る。
【0012】そして、本発明は、C:0.002 超〜0.060
%、Si:0.001 〜1.0 %Mn:0.05〜1.50%、P:0.03
%以下、S:0.02%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.01
%以下、Nb:0.04超〜0.20%以下、かつ、Nb/8≧Cを
含有する組成になる鋼スラブを素材として、高温のまま
直接または1000〜1250℃に加熱後、 820〜950 ℃の温度
で熱間圧延を終了したのち、冷却速度:15℃/s以上で
冷却し、ついで 550℃以下の温度で巻き取ることを特徴
とする耐火性と靭性に優れた建築用低降伏比の熱延鋼帯
を製造する方法について提案する。
【0013】以下、本発明を具体的に説明する。まず、
本発明の基礎となった実験結果について述べる。C:0.
01%,Mn:0.10%,P:0.007 %,S:0.003 %,Al:
0.040 %,N:0.003 %,Nb:0.1 %をベースとし、そ
れにSiを0.01%〜2.00%の範囲で変化させた鋼スラブを
用い、これらを、スラブ加熱温度1200℃, 熱間圧延終了
温度 890℃, 冷却速度25℃/s, 巻取温度 530℃で熱延
(スラブ寸法、仕上げ寸法も同一)し、板厚4.50mmの熱
延鋼帯を製造した。
【0014】得られた熱延鋼帯の 600℃における引張特
性および靭性(0℃でのシャルピー吸収エネルギー)を
調査した。なお 600℃での引張試験は、10℃/sで昇温
し、600 ℃に15分間保持後、JIS G 0567に準拠して行っ
た。また鋼板の靭性については、JIS Z 2202シャルピー
Vノッチ試験片を用い、JIS Z 2242に準拠して行った。
【0015】図1に、 600℃での 0.2%耐力(YS0.2)お
よび0℃でのシャルピー吸収エネルギー( VE0)とSi含
有量との関係を示す。同図から明らかなように、Si含有
量が 1.0%を境として、その前後で 600℃でのYS0.2
よび VE0は共に大きく変化し、良好なYS0.2 および VE0
が得られるSi含有量は 1.0%以下であることが判明し
た。この理由は、Si添加量が 1.0%を超えると、NbC が
粗大化するためと考えられる。
【0016】次に、発明者らは、C:0.05%,Si:0.01
%, Mn:0.10%,P:0.007 %,S:0.003 %,Al:0.
040 %,N:0.003 %,Ti:0.2 %およびNi:1.0 %を
ベースとし、それにNbを0.01〜0.24%の範囲で変化させ
た鋼スラブを用い、これらを、スラブ加熱温度1180℃,
熱間圧延終了温度 870℃, 冷却速度20℃/s, 巻取温度50
0℃で熱延(スラブ寸法、仕上げ寸法も同一)し、板厚
4.50mmの熱延鋼帯を製造した。
【0017】得られた熱延鋼帯の室温および 600℃にお
ける引張特性並びに靭性(0℃でのシャルピー吸収エネ
ルギー)を調査した。なお室温での引張試験は、JIS 5
号試験片を用い、JIS Z 2241に準拠して行った。また 6
00℃での引張試験および靭性の調査試験は上述したとお
りである。
【0018】図2に、室温での 0.2%耐力(YS0.2)、引
張強度(TS)、降伏比(YR)および 600℃での 0.2%耐力
(YS0.2)並びに0℃でのシャルピー吸収エネルギー( V
E0)とNb含有量との関係を示す。同図から明らかなよう
に、Nb添加量が0.04%を境として、 600℃でのYS0.2
よび VE0の値が著しく上昇している。これは、Nbの Ar3
変態遅帯作用によるTiC粒子の微細化によるものと考え
られる。一方、Nb添加量が0.15%を超えると降伏比が急
激に上昇し、本発明の目的の一つである低降伏比が得ら
れなくなる。これは、過度に組織の微細化が進行したた
めと考えられる。
【0019】なおこのような現象は、上述したNi添加系
以外に、Mo添加系、Cu添加系、Cu−Ni添加系、Mo−Cu添
加系、Mo−Ni添加系およびMo−Cu−Ni添加系においても
同様に認められた。
【0020】
【作用】次に、本発明の化学成分組成を前記の範囲に限
定した理由について述べる。 C:0.002 超〜0.060 % Cは、析出強化により、常温および高温における強度を
向上させる有用元素であるが、添加量が 0.002%以下で
はその効果に乏しく、また熱間圧延時にコイル長手方向
の先端部、尾端部を目標仕上げ温度に確保することが難
しいことあって、コイル内での材質均一性の観点からも
好ましくない。一方 0.060%を超えて多量に含有させて
も、析出強化効果は飽和に達するだけでなく、Cを固定
するために多量のNbやTiが必要となりコストの上昇を招
く。従ってCの含有量は 0.002超〜0.060 %とした。
【0021】Si:0.001 〜1.0 Siは、熱間圧延後の冷却過程におけるNbCやTiCの析出
を促進させる作用があり、この作用を通じて低YR特性
の向上に有効に寄与する。また素地を純化して延性を向
上させる元素でもある。しかし過剰添加は、析出したNb
CやTiCが粗大化して強度確保の点で好ましくないだけ
でなく、熱間圧延時に鋼板表面にスケール模様を発生さ
せる不利がある。そこでこれらの作用を勘案して、その
含有量は1.0 %以下、 0.001%以上とした。
【0022】Mn:0.05〜1.50% Mnは、基本的にはNbCやTiCの析出反応速度を抑制する
作用を有する。この原因は、熱間圧延後の Ar3変態を遅
帯させ、そのためNbCやTiCが析出するα粒の生成が遅
れるためである。しかしながら、この作用を適度に利用
した場合には、NbCやTiCが微細化して同じC,Nb,Ti
量であっても高い強度が得られる。このためには少なく
とも0.05%の含有が必要であるが、1.50%を超えるとNb
CやTiCの析出反応速度が著しく遅帯する結果、NbCや
TiCによる析出硬化量が低下するだけでなく、常温での
延性の劣化が著しくなる。従ってMn含有量は0.05〜1.50
%とした。
【0023】P:0.03%以下 Pは、中心偏析などの内部欠陥を誘発させる欠点を有す
るので、その含有量は0.03%以下とした。
【0024】S:0.02%以下 Sは、硫化物となって鋼の清浄度を低下させるので、極
力低減することが好ましいが、0.02%以下の範囲で許容
できる。
【0025】Al:0.01〜0.10% Alは、鋼の清浄化のためには少なくとも0.01%の添加が
必要である。しかしながら0.10%を超える添加はアルミ
ナクラスターによる表面欠陥等の原因となるので好まし
くない。従ってAlは、0.01〜0.10%の範囲で含有させる
ものとした。
【0026】N:0.01%以下 Nは、多量に含有されるとそれを固定するためのAl量が
増加し、延性の劣化を招くので、極力低減することが好
ましいが、0.01%以下の範囲で許容できる。
【0027】Nb:0.04超〜0.20% Nbは、本発明において特に重要な元素であり、Cと共に
強化元素として不可欠なだけでなく、固溶Cを低減させ
て低YR特性を発現させる作用の他、NbCの微細析出に
よる細粒組織化に伴う靭性向上作用および細粒組織とNb
Cによる高温での粒成長性抑制効果による高温強度確保
作用をそなえる。さらに Ar3変態を遅帯させる作用をも
有し、Tiとの複合添加の際にはTiCを微細化し、同じ
C,Ti量であっても高い強度が得られる。かかる作用を
有効に発現させるためには、前掲図1に示したとおり、
少なくとも0.04%超の添加を必要とするが、0.20%を超
えて多量に添加すると、上述した靭性や高温強度の向上
効果が飽和に達するだけでなく、過度の組織が微細化す
ることによって降伏比の上昇を引き起こし、また実操業
においても熱間圧延後段での圧延荷重が著しく増加する
操業上の不利を招く。従ってNbの含有量は、0.04超〜0.
20%とした。
【0028】なおNbの含有量は、単に上記の範囲を満足
するだけでなく、Cに対し化学量論的当量を超えるNb/
8≧Cの関係を満足させることが肝要である。というの
はかかる関係を満足してはじめて、上述した所望の効果
が得られるからである。
【0029】以上、基本成分について説明したが、本発
明では、さらにTiを適宜添加することができる。 Ti:0.02〜0.30% Tiは、Nbと同様の効果を有する有用元素であり、Cと共
に強化元素として有効に寄与するだけでなく、固溶Cを
低減させて低YR特性を発現させる作用およびTiCの微
細析出による高温強度確保作用をそなえる。かかる作用
を有効に発現させるためには、少なくとも0.02%の添加
を必要とするが、0.30%を超えて多量に添加すると、熱
間圧延に先立つ加熱時に容体化がしにくくなり、機械的
性質の低下を招くと共に、溶接性を劣化させる。従って
Ti含有量は0.02〜0.30%とした。
【0030】なお、Tiを添加した場合にも、Nbについて
上述したとおり、Cに対し化学量論的当量を超えるNb/
8+Ti/4≧Cの関係を満足させることが肝要である。
【0031】また本発明では、Mo, CuおよびNiを単独ま
たは複合使用することができる。 Mo:0.1 〜1.5 %、Cu:0.5 〜2.0 %、Ni:0.15〜1.50
% Mo, CuおよびNiはいずれも、 Ar3変態を遅帯させる効果
を通じて、NbCやTiCの微細化を図ると共に、十分な高
温強度を得るために極めて有効な元素であるが、含有量
がそれぞれ下限に満たないとその添加効果に乏しく、一
方、上限を超えても上述した高温強度の向上効果が飽和
に達するので、単独添加または複合添加いずれの場合に
おいてもそれぞれ上記の範囲で含有させるものとした。
なお、Cuは上記の範囲で耐蝕性の向上にも寄与する。
【0032】さらに本発明では、Bを適宜添加すること
ができる。 B:0.0005〜0.0100% Bは、微量の添加で Ar3変態点を顕著に低下させる元素
であり、この作用を適度に利用いることにより、NbCや
TiCの析出サイズを微細化することができるだけでな
く、耐2次加工脆性を向上させることができる。その適
正含有量は0.0005〜0.0100%である。
【0033】またさらに本発明では、加工性や靭性の改
善成分としてCaやRem を適宜添加することができる。 Ca:0.0005〜0.0100%、 Rem:0.001 〜0.020 % CaおよびRem はいずれも、MnSの形態を制御し、加工性
や靭性を向上させる。しかし多量添加はそれら自体が大
型介在物となり、延性を劣化させる。従って単独添加ま
たは複合添加いずれの場合においても、上記のおそれの
ない範囲、すなわちCaについては0.0005〜0.0100%の範
囲、またRem については 0.001〜0.020%の範囲で含有
させるものとした。
【0034】次に、本発明鋼の熱延条件の限定理由につ
いて述べる。熱間圧延は、スラブを連続鋳造後直ちに
(いわゆるCC−DR)行うか、もしくは1000〜1250℃
に加熱したのちに行う。CC−DRを行う場合に、保熱
もしくは端部の多少の加熱を行うことは差し支えない。
また加熱する場合は、加熱温度が1250℃を超えると、オ
ーステナイトが粗大化し、最終的に得られる組織の細粒
化が不十分となり、所望の靭性や高温強度が得られない
だけでなく、特にCu添加鋼の場合にはCuヘゲを生じ、一
方1000℃に満たないと、熱延後、目標仕上げ圧延温度の
確保が困難となる。従って、加熱する場合は1000〜1250
℃とする必要がある。
【0035】熱間圧延仕上げ温度は 820〜950 ℃とす
る。というのは 950℃を超えて熱間圧延を終了すると、
最終的に得られる組織の細粒化が不十分となり、所望の
靭性や高温強度が得難く、一方 820℃に満たないと、降
伏比が高くなるほか、所望の靭性や高温強度を得ること
ができない。従って、熱間圧延仕上げ温度は 820〜950
℃とする必要がある。
【0036】熱間圧延後、巻き取るまでの冷却速度は15
℃/s以上とする。というのは冷却速度が15℃/sに満
たないと、最終的に得られる組織の細粒化が不十分とな
り、所望の靭性や高温強度が得られないだけでなく、と
くにCu添加鋼の場合には冷却中にε−Cuが析出し、延性
を劣化させるからである。なお必要以上の急冷は最終的
な組織に焼きが入り、常温強度が高くなりすぎて加工性
の劣化を招く場合があるので、冷却速度は 150℃/s以
下程度とするのが好ましい。
【0037】巻き取り温度は 550℃以下とする。という
のは 550℃を超える温度で巻き取ると、最終的に得られ
る組織の細粒化が不十分となり、所望の靭性や高温強度
が得られないだけでなく、特にCu添加鋼の場合には巻き
取り後にε−Cuが析出し、延性を劣化させるからであ
る。しかし、必要以上の低温巻き取りは最終的な組織に
焼きが入り、常温強度が高くなりすぎて加工性が劣化す
るだけでなく、形状不良を引き起こす。従って望ましく
は 300℃以上で巻き取ることが好ましい。
【0038】上述のようにして得られた熱延コイルは、
そのままコイル状または切板として使用してもよいが、
さらにスキンパスまたはレベラーを通すことが常温にお
ける降伏点強度を調整する上では有利である。さらに上
記製品を素材として二次加工を行い、製品としてもよ
い。
【0039】
【実施例】表1〜3に示す種々の成分組成になる鋼を、
転炉精錬後、連続鋳造にてスラブとしたのち、直ちにま
たは加熱後、表4〜7に示す条件で熱間圧延した。かく
して得られた熱延材の、常温および 600℃における引張
特性並びに0℃における靭性について調査した。得られ
た結果を表4〜7に併せて示す。なお常温および 600℃
における引張試験並びに0℃における靭性の調査は前述
した方法で行った。ただし板厚10mm以下の鋼板について
の靭性調査は、元厚に最も近いサブサイズの試験片を用
いた。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】表4〜7から明らかなように、本発明に従
い得られた熱延鋼帯は、 600℃でのYS0.2 と常温でのYS
0.2 の比が、0.65以上という優れた高温強度を有し、か
つ、常温でのYRが70%以下と低い値を有し、さらに、0
℃でのシャルピー吸収エネルギーも高く、優れた靭性を
も有している。
【0048】
【発明の効果】かくして本発明によれば、常温、高温強
度および靭性に優れるだけでなく、常温での降伏比が低
い熱延鋼板を得ることができ、比較的常温での成形後の
形状凍結性が重要視される建築、土木および海洋構造物
等の用途に用いて偉効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】600℃での 0.2%耐力(YS0.2)および0℃での
シャルピー吸収エネルギー( VE0)とSi含有量との関係
を示すグラフである。
【図2】常温での 0.2%耐力(YS0.2)、引張強度(TS)、
降伏比(YR)および 600℃での 0.2%耐力(YS0.2)並びに
0℃でのシャルピー吸収エネルギー( VE0)とNb含有量
との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C21D 9/46 C21D 9/46 S (56)参考文献 特開 平2−294429(JP,A) 特開 平2−254117(JP,A) 特開 平2−205625(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 8/02 C21D 9/52 101 C22C 38/12 C21D 9/46

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.002 超〜0.060 wt%、 Si:0.00
    1 〜1.0 wt% Mn:0.05〜1.50wt%、 P:0.03wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.01〜0.10wt%、 N:0.01wt%以下、 Nb:0.04超〜0.20wt%以下、 かつ、Nb/8≧C を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる、耐
    火性と靭性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された鋼帯において、さ
    らに Ti:0.02〜0.30wt%を、Nb/8+Ti/4≧C の範囲において含有する、耐火性と靭性に優れた建築用
    低降伏比熱延鋼帯。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載されたいずれか
    1の鋼帯において、さらに Mo:0.1 〜1.5 wt%、 Cu:0.5 〜2.0 wt%、および Ni:0.15〜1.50wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有する、耐火
    性と靭性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載されたいず
    れか1の鋼帯において、さらに B:0.0005〜0.0100wt% を含有する、耐火性と靭性に優れた建築用低降伏比熱延
    鋼帯。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4に記載された
    いすれか1の鋼帯において、さらに Ca:0.0005〜0.0100wt%、 Rem:0.001 〜0.020 wt% のうちから選んだ1種または2種を含有する、耐火性と
    靭性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯。
  6. 【請求項6】 C:0.002 超〜0.060 wt%、 Si:0.00
    1 〜1.0 wt% Mn:0.05〜1.50wt%、 P:0.03wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Al:0.01〜0.10wt%、 N:0.01wt%以下、 Nb:0.04超〜0.20wt%以下、 かつ、Nb/8≧C を含有する組成になる鋼スラブを素材として、高温のま
    ま直接または1000〜1250℃に加熱後、 820〜950 ℃の温
    度で熱間圧延を終了したのち、冷却速度:15℃/s以上
    で冷却し、ついで 550℃以下の温度で巻き取ることを特
    徴とする耐火性と靭性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯
    の製造方法。
JP02394592A 1992-02-10 1992-02-10 耐火性と靱性に優れた建築用低降伏比熱延鋼帯およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3232120B2 (ja)

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