JP3896075B2 - 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品のうち、特に足回り系と呼ばれるフレーム類やアーム類などには高強度熱延鋼板が広く用いられている。こうした用途に用いられる鋼板に求められる特性には、高い延性とともに穴広げ試験値などで代表される伸びフランジ性の高さがある。この2つの特性は同一強度の鋼板では相反するものであり、一方の特性を大きく損ねることなく他方の特性を高めるための鋼板開発が進められている。そうした鋼板の例として、特許文献1や特許文献2をあげることが出来る。特許文献1には所定の化学成分を有し、ベイニティック・フェライトを主たるミクロ組織とすることで、引張強度が500N/mm2 級以上で伸びフランジ性に優れた熱延鋼板を得るための技術が開示されている。一方、特許文献2には、所定の化学成分を有し、フェライト単相のミクロ組織とすることで、引張強度が600N/mm2 級以上で伸びフランジ性に優れた熱延鋼板を得るための技術が開示されている。
【0003】
【引用文献】
(1)特許文献1(特開平6−172924号公報)
(2)特許文献2(特開平7−70696号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らも、こうした先行技術を参考に優れた伸びフランジ性を有する鋼板とその製造方法について研究を行っていた。その過程で、上記の先行技術に基づいた鋼板は確かに優れた伸びフランジ性を示す部分もあるものの、一部に特性が劣る部位が含まれる場合のあることが明らかになった。実験室規模の小型の熱延板では顕著ではないが、商業規模の熱延コイルでは特性の持つ分布範囲が大きいことがわかった。
【0005】
こうした問題は、鋼板使用者を取り巻く経済状況が好況である場合には不可避な特性のバラツキとして許容されるものであったが、今日においては避けて通れない問題であると認識されつつある。なぜなら、バラツキを考慮し、特性の下限値に対して十分なゆとりを持たせて来た部品設計は見直されつつあり、特性値の上限までを可能な限り活用しようとする姿勢が主流となりつつあるからである。
こうした状況下では鋼板の特性値が高いことのみでは十分ではなく、むしろ、その絶対値の高さよりもバラツキの小ささの方が重視されるようになったが、こうした点に着目した例は見当たらない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような状況に鑑み、本発明者らは、一定水準以上の伸びフランジ性を有し、かつバラツキの小さい鋼板であって、更に製造条件の変動に対する感受性も小さい鋼板を開発するべく鋭意研究を進め、これらを可能ならしめる化学成分や製造方法を明らかにして本発明を完成させた。
その要旨は以下の通りである。すなわち
(1)化学成分が、質量%にて、C:0.02〜0.10%、Si:0.2%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、Al:0.005〜2.0%、Ti:0.005%以下、ただし0%(無添加)を含む、Nb:0.1〜0.6%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、ミクロ組織が、ポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライトおよびベーナイトのうちの1つ若しくは2つ又は全部からなる伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法であって、前記化学成分を有する鋼材を1200℃以上に加熱し、(Ar3点−50)℃以上の温度で圧延を完了し、10〜50℃/秒の平均冷却速度で冷却して巻き取る工程において、巻き取り温度Tc(℃)を、0.1≦[Nb]≦0.35においては、616−415×[Nb]<Tc<703−103×[Nb]とし、0.35<[Nb]≦0.6においては368+290×[Nb]<Tc<703−103×[Nb]を満たす範囲にすることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
ただし、[Nb]はNb量(質量%)である。
【0007】
(2)質量%で、更に、Cu:0.8〜2.0%、Ni:0.4〜1.0%を含有することを特徴とする上記(1)記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法
【0008】
(3)質量%で、更に、Mo:0.05〜0.3%、V:0.025〜0.15%のうちの1種以上を含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法、である
【0009】
【発明の実施の形態】
まず本発明を完成するに至った実験について説明する。
本発明者らは、質量%にて、C:0.02〜0.1%、Si:0(無添加)〜0.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.01〜0.1%、S:0.001〜0.01%、N:0.003〜0.01%、Al:0.005〜2%を含有し残部がFeである鋼片を溶製し、これらを熱延して帯鋼(熱延コイル)を製造した。熱延に当たっては、圧延終了温度Tf(℃)と圧延後の冷却速度CR (℃/秒)および巻き取り温度Tc(℃)を変化させた。製造した帯鋼を酸洗すると共に、帯鋼の先端部、中央部、末尾部から鋼板を採取した。そしてそれら3つの部位の鋼板の各々について、幅方向の、両端部および中央部から特性評価用の試験片とミクロ組織調査試料の採取を行った。
【0010】
試験片は、強度延性評価用の引張り試験片(JIS5号、引張り方向を圧延方向と垂直となるように採取)と穴広げ値測定用の試験片(150mm×150mm)であり、各5体を作製した。これらの試験片を用いて強度(引張り強さ)σB(MPa)、延性(伸び)δ(%)、穴広げ値λ(%)を調査した。引張り試験は、インストロン型試験機を使用してJIS Z 2241に準拠した方法で行った。穴広げ値λの測定は、日本鉄鋼連盟規格JFS T1001に準拠して行い、クリアランスは12%とした。
【0011】
得られた特性値を、同一部位から採取した5点、幅方向の部位3箇所、および帯鋼上の位置3箇所について整理し、特性値の分布(バラツキ)と鋼板の化学成分の関係、および熱延条件(Tf、CR、Tc)との関係について検討した。その結果、同一部位5点間のバラツキは化学成分や熱延条件に依らず全ての鋼板において極めて僅かであり、最大値と最小値の差は単純平均値に対して2%以内であった。このため、5点の単純平均値で評価して実用上差し支えないものと判断し、その値(単純平均値)を使って幅方向の3箇所間、および帯鋼上の3箇所間のバラツキについて検討した。その結果、バラツキの程度は化学成分や熱延条件に依存して変動し、最も大きなものでは、幅方向3箇所間で約16%、帯鋼上の3箇所間で約20%にも及ぶものもあった。
【0012】
こうした結果を、まず化学成分と突き合わせて分析したところ、構成元素中のSi量との間に比較的強い相関が認められ、特に0.2%以下になると急激にバラツキが減少することを見出した。
そこで次に、Siを0.05〜0.2%とし、C、Mn、P、S、N、Alの量は上記のままとした上で、TiとNbを添加した場合についての実験を行った。Tiは0(無添加)〜0.25%、Nbは0.1〜0.6%の範囲で検討した。先行技術においても述べられているように、TiとNbはCと炭化物を形成することによってセメンタイトの生成を抑制するので、λの向上が期待できるが、バラツキに対する影響は明らかでないので上記と同様の方法で検討を行った。その結果、Nb量はバラツキに対してほとんど影響を与えないのに対して、Ti量は強い相関を持ち、0.005%以下にする事でバラツキを急激に小さく出来ることが明かとなった。
【0013】
以上の結果を踏まえて、C:0.02〜0.10%、Si:0.2%、Mn:1.5%、P:0.02%、S:0.001%、Nb:0.1〜0.6%を含有する鋼片に対して更にCuとNiおよびMoとVの添加の影響を検討したが、これらの元素はバラツキには影響を与えなかった。
以上の検討から化学成分としては、C:0.02〜0.10%、Si:0.2%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、Ti:0.005%以下、Nb:0.1〜0.6%を含有し、必要に応じてCu:0.8〜2.0%、Ni:0.4〜1.0%、Mo:0.05〜0.3%、V:0.025〜0.15%を含有し、残部がFe、および、不可避不純物とすることがバラツキを最も少なくする上で有効であることが明かとなったので、この成分の鋼板に絞って、熱延条件とバラツキとの関係を検討した。圧延終了温度Tf、圧延後の冷却速度CR、巻き取り温度Tcを変化させれば当然ミクロ組織が変化し、それに伴って強度σB、延性δ、および穴広げ値λの絶対値も変化するが、そのバラツキの程度は不明であるので調査した。
【0014】
その結果、圧延終了温度Tfと圧延後の冷却速度CRがバラツキに及ぼす影響は僅かであるが、巻き取り温度Tcはバラツキの程度に影響を与え、特にNb量の変化に応じてバラツキを小さくする上で望ましい巻き取り温度Tcの範囲が特定の範囲を取ることが明かとなった。
以上述べてきた検討の詳細は実施例にて説明するが、本発明はこうした基礎実験の上に立脚し、更に鋭意研究を重ねた結果なされたものであり、所定の伸びフランジ性をバラツキ少なく示す熱延鋼板とその製造方法を提供するものである。なお、「バラツキの少ない」ことこそ、今日鋼板使用者から求められている特徴であるとの考えから、バラツキが少なく、かつ、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板を、単に、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板と表記した。
【0015】
以下に本発明の限定理由を述べる。まず化学成分の限定理由について述べる。成分の標記は全て質量%である。
Cは、鋼板の強度を確保するために必須の元素であり、高強度鋼板を得るためには少なくとも0.02%が必要である。しかし、過剰に含まれると、セメンタイトやマルテンサイトなど伸びフランジ性に好ましくない相の生成が避けられなくなるので0.10%以下とする。
【0016】
Si量は、本発明で最も重要な条件の一つであり、バラツキの抑制のためには0.2%以下にする必要がある。0%とすることが最も好ましい。Si量がバラツキに強く影響する理由は必ずしも明らかではないが、同元素はフェライト中のCの固溶限を変動させ、その結果、圧延後の冷却過程で生成する可能性があるポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライト、ベーナイト、およびパーライトの中からの相の選択とその構成分率の決定に強く影響し、結果的に穴広げ値λのバラツキに関係するものと思われる。Si量が0.2%以下の範囲では、上記のC固溶限の変動は極めて僅かとなると推定されるので、バラツキの抑制に有効に働くものと考えられる。
【0017】
Mnは、鋼板の高強度化に有効な元素であり、0.5%以上は含有させるべきであるが、2.5%を越えて含有させると延性が劣化するため上限を2.5%とする。
Pは、固溶強化元素として有効であるが、偏析による加工性の劣化が懸念されるので0.1%以下にする必要がある。
Sは、MnSなどの介在物を形成して伸びフランジ性を劣化させるので出来るだけ抑制すべきであるが0.01%以下であれば許容される。
【0018】
Nは、窒化物を形成して延性や伸びフランジ性を低下させる。従って出来るだけ抑制すべきであるが0.01%以下であれば許容される。
Alは、脱酸剤として使用されるもので、適切な清浄度を得るためには0.005%は必要であるが、過剰に含有されていると延性や伸びフランジ性を劣化させるので2.0%を上限とする。
【0019】
TiおよびNbは、C、SおよびNを析出物として固定することによって鋼板の加工性を向上させる(いわゆるscavenging効果)働きをする。一方、必要以上に添加された場合には、それらは固溶Tiや固溶Nbとして鋼中に存在し、再結晶を温度を上昇させ熱間加工組織が残存し易くなり延性を損ねるので添加量には細心の注意が必要である。特にTiはNbに比べてCと容易に結合する傾向が強いので僅かな濃度の揺らぎが鋼中に残存するC量を大きく変化させ、その結果穴広げ値λのバラツキに強く影響するものと推測される。そのため0.005%以下に抑制する必要があり、0%(無添加)も本発明に含まれる。
【0020】
一方、Nbは、Tiと比べてCとの結合力が緩やかであることで、濃度の揺らぎによるC量の変動を誘発し難いものと推定される。そこで、Cを固定する効果が明瞭に認められる0.1%以上を添加し、加工組織の残存が特性に影響を及ぼし始める0.6%超の添加を避ける必要がある。
Cuは、固溶強化元素または析出強化元素として鋼板の高強度化に利用できる。またその添加によって疲労強度を一層向上させることができる。その効果は0.8%以上を添加しないと発現せず、一方、2.0%を越えて含有されていると熱延後の鋼板表面性状を悪化させるので2.0%を上限とする。
【0021】
Niは、上記Cuによる熱延表面性状悪化を緩和する効果があり、Cuの半分程度を目安に添加することが望ましい。従ってその下限は0.4%である。一方、1.0%を超えて添加してもその効果は飽和し、コストの上昇につながるだけなので、1.0%を上限とする。
MoおよびVはともに炭化物を形成して強度を高める働きをするとともに、Nbと複合した炭窒化物を形成して溶接の熱影響による鋼板の軟化を抑制する効果も期待出来る。こうした効果はそれぞれ0.05%および0.025%以上で発現し、一方、それぞれ0.3%および0.15%を越えて含有されると硬質相を形成して穴広げ値λの劣化を招くので、これらを上限とする必要がある。
なお、本発明において上記以外の成分はFeとなるが、スクラップなどの溶解原料から混入する不可避的不純物は許容される。
【0022】
次に、鋼板の組織について説明する。
優れた伸びフランジ性を得るには、ポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライトおよびベーナイトの中から選択した1つまたは2つ以上のミクロ組織を有する鋼板とすることが必要である。これら以外の残部組織として、パーライト、残留オーステナイト、マルテンサイトの1つ又は2つ以上は極力なくすべきであり、少なくとも面積率で3%以下にすることが望ましい。一方、ポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライトおよびベーナイトの3相のうちであれば、どのような組み合わせ(単一も含む)や構成比(面積比)でもよく、要求される強度、延性、伸びフランジ性に基づいて設計することが出来る。例えば、特に高延性を主眼とし、加えて高伸びフランジ性が要求されるような用途においては、ポリゴナル・フェライトを主相、あるいは単一相とし、析出物を活用して必要な強度を確保する方法が選択出来る。これに対して、出来るだけ構成元素を削減して低価格な鋼板であることが最も重視されるような用途においてはベーナイトを主相、あるいは単一相とする方法が選択出来る。
【0023】
最後に加熱、圧延、冷却および巻き取りの各条件について述べる。
加熱温度は鋼中の炭窒化物を一旦固溶させるため1200℃以上とすることが必要である。これらを固溶させておくことにより、圧延後の冷却過程で炭窒化物を微細に分散させて鋼板の高強度化が達成出来る。
一方、加熱温度が1300℃を超えるとスラブ表面の酸化が著しくなり、特に粒界が選択的に酸化されたことに起因すると思われる楔状の表面欠陥がデスケーリング後に残り、それが圧延後の表面品位を損ねるので上限は1300℃、好ましくは1250℃以下とすることが望ましい。
【0024】
圧延終了温度Tfは鋼板の組織制御上重要である。Ar3点+50℃未満では表層部の結晶粒径が粗大となって板厚方向の材質が安定せず特性上好ましくない。一方、Ar3点+100℃超では、圧延終了後のオーステナイト粒径が粗大になり、冷却中に生成する相の構成とその分率が不安定で操業が難しくなるのでこの温度を上限とすることが望ましい。
【0025】
圧延後の冷却速度CRは10〜50℃/秒とする必要がある。圧延後の冷却速度CRをコントロールすることによってポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライト、およびベーナイトのうちから選択した1つまたは2つ以上の構成組織とその分率を持った鋼板を得ることが出来る。圧延後の冷却速度CRが10℃/秒未満では伸びフランジ性に好ましくないパーライトの生成が抑制出来ず、一方50℃/秒超では、特に帯鋼の幅方向の冷却むらに起因する材質バラツキが懸念されるので圧延後の冷却速度CRは上記の範囲に限定される必要がある。
【0026】
巻き取り温度Tc(℃)の範囲は本発明の鋼板を得る上で最も重要な条件の1つである。特にNb量との間に一定の関係がある場合に極めてバラツキの少ない鋼板が得られる。その関係は実施例の中で述べるように[Nb]をNb量(質量%)とすると、0.1≦[Nb]≦0.35においては、616−415×[Nb]<Tc<703−103×[Nb]とし、0.35<[Nb]≦0.6においては368+290×[Nb]<Tc<703−103×[Nb]を満たす範囲とすることである。なぜこの関係を満足するとバラツキが小さくなるかは現在のところ明確には出来ていないが、恐らく、NbCの析出現象が何らかの形で関与しているものと推察している。上記の関係式は、後述する実施例により、Nb量別に強度σB、延性δおよび穴広げ値λの何れもバラツキが4%以内となる範囲を求めたものである。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
(実施例1)
表1に化学成分を示す鋼のスラブを表4中から選択した条件にて熱間圧延し、厚さ3.6mmの帯鋼を得た。このようにして得られた帯鋼の前記の9箇所(帯鋼先端部、中央部、末尾部、各々の幅方向両端部と中央部)の強度σB、延性δおよび穴広げ値λを調べた。9箇所の特性値の最大値と最小値の差をそれらの単純平均値で除した値(Δ)も併せて求めた。結果を鋼と条件の組み合わせ毎に表5に示す。また断面組織を観察して構成する組織を調べた。組織は鏡面研磨後、ナイタール液で現出させ、表面から板厚の1/4相当内部位置を400倍で観察し、下記の技術文献1を参考に存在する組織を同定した。その結果、認められた相は、ポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライトおよびベーナイトの3相のみであり、その他の相は認められなかった。
【0028】
【技術文献1】
「鋼のベーナイト写真集−1」(平成4年6月29日、(社)日本鉄鋼協会発行、例えば21頁・Fig.2.9
【0029】
【表1】
Figure 0003896075
【0030】
(実施例2)
表2に化学成分を示す鋼のスラブを表4中から選択した条件にて熱間圧延し、厚さ3.4mmの熱延板を得た。このようにして得られた帯鋼の強度σB、延性δ、穴広げ値λ、および各々のΔを上記実施例1と同様に調べた。その結果を鋼と条件の組み合わせ毎に表6に示す。また構成する相の同定も上記実施例1と同様に行ったが、ポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライトおよびベーナイトの3相以外の相は認められなかった。
表6から明らかなように、Siを0.2%以下としてもTi、Nbを添加するとバラツキは大きくなるが、本発明のようにTiを0.005%以下とすれば、強度、延性、および穴広げ性に優れ、何れのバラツキも4%以下と小さい鋼板を得ることができた。
【0031】
【表2】
Figure 0003896075
【0032】
(実施例3)
表3に化学成分を示す鋼のスラブを表4中から選択した条件にて熱間圧延し、厚さ3.2mmの熱延板を得た。このようにして得られた帯鋼の強度σB、延性δ、穴広げ値λ、および各々のΔを上記実施例1と同様に調べた。その結果を強度σB、延性δ、および穴広げ値λのいずれのΔも4%以下であるものと、それ以外に分け、Nb量を横軸に、巻き取り温度Tc(℃)を縦軸にして図1に示す。白丸(〇)は図中にI、II、およびIIIで示す直線で囲まれた領域であり、3本の直線は同図より下記のように求められた。
【0033】
すなわち、(I):Tc=703−103×[Nb]
(II):Tc=616−415×[Nb]
(III):Tc=368+290×[Nb]
である。ただしNb量を[Nb]と表記した。
以上より、巻き取り温度Tcを、0.1≦[Nb]≦0.35においては、616−415×[Nb]<Tc<703−103×[Nb]とし、0.35<[Nb]≦0.6においては368+290×[Nb]<Tc<703−103×[Nb]を満たす範囲にすることによって強度、延性、および穴広げ性に優れバラツキも4%以下と小さい鋼板を得ることができることが示された。
【0034】
【表3】
Figure 0003896075
【0035】
【表4】
Figure 0003896075
【0036】
【表5】
Figure 0003896075
【0037】
【表6】
Figure 0003896075
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法によれば、伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板の強度、延性、伸びフランジ性のバラツキをNb量を横軸に、巻き取り温度を縦軸にして表したグラフである。

Claims (3)

  1. 化学成分が、質量%にて、
    C:0.02〜0.10%、
    Si:0.2%以下、
    Mn:0.5〜2.5%、
    P:0.1%以下、
    S:0.01%以下、
    N:0.01%以下、
    Al:0.005〜2.0%、
    Ti:0.005%以下、ただし0%(無添加)を含む、
    Nb:0.1〜0.6%
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、ミクロ組織が、ポリゴナル・フェライト、ベイニティック・フェライトおよびベーナイトのうちの1つ若しくは2つ又は全部からなる伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法であって、前記化学成分を有する鋼材を1200℃以上に加熱し、(Ar3点−50)℃以上の温度で圧延を完了し、10〜50℃/秒の平均冷却速度で冷却して巻き取る工程において、巻き取り温度Tc(℃)を、0.1≦[Nb]≦0.35においては、616−415×[Nb]<Tc<703−103×[Nb]とし、0.35<[Nb]≦0.6においては368+290×[Nb]<Tc<703−103×[Nb]を満たす範囲にすることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
    ただし、[Nb]はNb量(質量%)である。
  2. 質量%で、更に
    Cu:0.8〜2.0%、
    Ni:0.4〜1.0%
    を含有することを特徴とする請求項1記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  3. 質量%で、更に
    Mo:0.05〜0.3%、
    V:0.025〜0.15%
    のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載の伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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