JP4003401B2 - 降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する鋼板およびその製造方法 - Google Patents

降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼構造物、自動車および家電製品などに使用される、特性値の変動が少なく、高成形性で低降伏比を有する鋼板およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明の鋼板は、特に建築などの構造物の耐震・制震・免震部材、および自動車用の高成形性が必要な部材に使用するのに最適となるように、降伏強さと破断伸びの変動が小さく、高成形性と低降伏比とを有する鋼板であり、溶融亜鉛メッキ鋼板、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板、電気メッキ鋼板、有機被覆コーティング処理用として適用できる。
【0002】
【従来の技術】
地震などの外力による変形や振動が建築構造物に加わった際に、建築構造物の損壊や倒壊を防止するには、外力による変形や振動エネルギーを速やかに吸収する必要がある。このため、建築構造物の一部に柱や梁などの主要構造部材よりも先に塑性変形する極低降伏点鋼や鉛を使用して、建築構造物の損壊や倒壊を防止する方法が提案されている。
【0003】
例えば、特開平9−287051号公報では、低降伏点の鋼板を使用する方法として、C量が0.01%以下の鋼を用い、平均コロニーサイズが80μm以上となるミクロ組織を有する鋼板が提案されている。ここで、コロニーとは隣接する結晶粒の方位がほぼ等しい、すなわち、方位差が20度以内である一群の結晶粒を指しており、コロニーサイズを粗大化させることによって、延性の急激な劣化を防止して、地震発生時の建造物の制震性を高めることができるとしている。しかし、提案の鋼板では降伏強さは120MPa以下に限定され、それ以上の降伏強さを得ることができない。しかも、鋼板の降伏強さや破断伸びの変動については何ら言及されていない。
一方、自動車や家電製品に使用される鋼板には、優れた成形性を具備することが要求される。通常、鋼板の成形性を向上させるには、C、P、SおよびN等の不純物を低減させる方法があるが、この方法ではフェライト粒が極端に粗大化する場合がある。そのため、高延性が安定して得られないだけでなく、降伏強さや破断伸びの変動が大きくなり、自動車や家電製品用の鋼板として所定の成形性が確保できない場合もある。さらに、鋼板の成形時に表面肌荒れが生じやすいという問題も発生する。
【0004】
また、不純物を低減させた鋼板を地震時の制震材として用いると、他の構造部材よりも優先的に変形して、エネルギーを安定して吸収することが困難になるという致命的な欠点がある。さらに、鋼中の不純物元素を低減すると、スラブ鋳造時にオーステナイト粒が粗大化してしまい、連続鋳造時やスラブ加熱後の粗圧延時にオーステナイト粒界割れを呈する表面割れが生じやすいという問題がある。さらに、製銑、製鋼の段階で不純物元素を低減するには、真空脱ガスの処理時間を長くしたり、脱硫処理剤の添加量を増やすなど対策が必要になり、鋼板の製造コストが高騰するという問題もある。
【0005】
【発明が解決使用とする課題】
上述の通り、建築構造物の耐震・制震に適する低降伏比の部材、または自動車用の高成形性が必要な部材に最適な鋼板として、種々の改善が試みられたが、いずれも特性の改善効果が不十分であり、必要とされる特性を具備するような鋼板を安定して得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、鋼の化学組成、結晶組織、熱間および冷間圧延の最適条件を選択することによって、鋼板の強度−延性のバランスに優れ、降伏強さと破断伸びの変動が小さく、高成形性と低降伏比とを有する鋼板およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
本発明は、下記(1)の降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する熱延鋼板、および(2)のその熱延鋼板の製造方法を要旨としている。
(1)質量%で、C:0.0002〜0.0079%、Si:0.003〜0.65%、Mn:0.003〜3.0%およびAl:0.002〜2.0%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり不純物としてP:0.0002〜0.15%、S:0.0002〜0.05%およびN:0.0005〜0.015%を含む鋼板であって、フェライト相の平均結晶粒径が1μm超え〜50μmで、その体積率が70%以上で、フェライト相のアスペクト比が5以下であり、フェライト粒界の70%以上が大角粒界からなり、さらに残部相のうちで体積率が最大である第二相の平均結晶粒径が50μm以下であることを特徴とする降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する熱延鋼板である。
上記の熱延鋼板は、さらに下記1群から4群のうちから1群または2群以上を選択して含有するのが好ましい。
1群・・・B:0.0002〜0.01%を含む
2群・・・Ti、Nb、VおよびZrのうちから1種または2種以上を合計で0.005〜1.0%を含む
3群・・・Cr、Mo、CuおよびNiのうちから1種または2種以上を合計で0.005〜3.0%を含む
4群・・・Ca:0.005%以下および希土類元素:0.20%以下を含む
【0008】
(2)上記(1)に記載の成分を含有する鋼を用いてスラブを鋳造後、直ちに熱間圧延をするとき、または950〜1300℃の温度域で再加熱したのち熱間圧延するとき、鋼スラブを粗圧延後、仕上圧延開始時の粗圧延材のコイル長手方向と幅方向におけるコイル内温度差が100℃以下となるように粗圧延材を再加熱、若しくは保熱すると同時に、オーステナイト域仕上圧延の場合には仕上圧延完了温度が(Ar 3 点+100℃)以下、(Ar 3 点−50℃)以上(ただし、(Ar 3 点+30℃)以下Ar 3 点以上を除く)で、かつその温度域での合計圧下率を50%以上とし、また、フェライト域仕上圧延の場合には仕上圧延完了温度が(Ar 3 点−50℃)未満、(Ar 3 点−250℃)以上で、かつその温度域での合計圧下率を50%以上とし、さらに下記(a)式を満足する条件で熱間圧延を行うことを特徴とする降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する熱延鋼板の製造方法である。
△FT≦0.6×△RT ・・・ (a)
ただし、△FT:仕上圧延完了温度の変動(℃)、△RT:粗圧延完了温度の変動(℃)とし、△FT≦30℃の場合には(a)式を適用しない。
【0009】
上記(2)に記載の熱延鋼板の製造方法では、熱間圧延後に、600〜950℃の温度域で焼鈍処理するのが好ましい
【0010】
本発明の鋼板の特徴である、降伏強さと破断伸びの変動が小さく、かつ高成形性と低降伏比とを具備する特性は、後述する図1および図2に示すような鋼板の強度−延性バランスとして表現される場合もある。この鋼板の特性を定量的に判断する場合には、コイル内全てにおいて引張強さTS≧270MPa、降伏強さの変動△YS≦50MPa、破断伸びの変動△EL≦5%、降伏比(降伏強さを引張強さで除した値)YR≦0.75、およびTS×EL≧15000MPa・%の条件を全て満足するか否かで行われ、この条件を全て満足する場合には特性を具備すると判断される。
【0011】
本発明で規定するフェライト相のアスペクト比は、最大径を最小径で除した値として示している。また、フェライト粒界が大角粒界であるか否かは、隣接フェライト粒間の結晶方位差の調査を行い、隣接フェライト結晶粒間の方位差が15度以上の場合に大角粒界と判定することとしている。
【0012】
さらに、本発明で第二相と記す結晶組織とは、フェライト相以外のパーライト、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイト等の各種の相、およびセメンタイト(以下、これらを単に「残部相」と総称し、析出物(セメンタイトを除く炭化物、窒化物、硫化物、酸化物、燐化物、硼化物、およびこれらの複合生成物など)を含まない)のうちで体積率が最も大きい相をいう。
【0013】
本発明者らは、前記の課題を解決するために、鋭意実験研究を行い、以下のことを知見して、上記の本発明を完成させた。
【0014】
各化学組成の鋼板が有する特性を把握するため、表1に示す各元素を含有する鋼を真空溶解炉にて鋳塊として、これらから熱間鍛造によって圧延用の鋼材を作製した。鋼材を再加熱した後、熱間圧延して等軸フェライト相を主体とし、残部相として、セメンタイト、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトのうち1種または2種以上を有する熱延鋼板を製造した。
【0015】
【表1】
Figure 0004003401
一部の鋼種については、真空溶解炉で鋳塊とした後、直ちに熱間圧延を開始する直送圧延の実験も行った。得られた熱延鋼板の厚さは2.6mmであった。これらの鋼板について、熱延鋼板として等軸フェライト相の平均結晶粒径、その体積率、および隣接フェライト粒間の結晶方位差、さらに、残部相の平均結晶粒径とその体積率を調査した。同時に、全ての鋼種について引張試験も行った。一部の熱延鋼板については酸洗後、820℃×50secの焼鈍処理を行った。
【0017】
フェライト相と残部相の平均結晶粒径は、光学顕微鏡組織写真または走査電子顕微鏡(SEM)組織写真を5視野で撮影し、これらを用いて直線切断法により測定した平均切片長さを1.128倍した値で代表した。フェライト相と残部相の体積率は、画像解析装置を用いて上記の5視野の組織写真を解析し、それらの平均値で代表した。隣接フェライト結晶粒間の結晶方位差は、電子線後方散乱法(EBSP)により測定した。
【0018】
引張試験は、JIS Z 2201 に規定される5号引張試験片を用いて行った。各引張試験値の平均値Vmは、V =(V +2V45+V90)/4で評価した。ここで、V 、V45およびV90は、それぞれ圧延方向、圧延方向に対して45°の方向、圧延方向に対して90°の方向に引張試験を行った測定値を示している。また、各引張値の変動値であるΔV値は、鋼板内での最大値と最小値との差を絶対値で示している。
【0019】
図1は、フェライト相を体積率で70%以上含有する熱延鋼板の強度−延性バランスに対するフェライト相と第二相の平均結晶粒径との関係を示す図ある。同図中の●印は、鋼の特性がTS≧270MPa、TS×EL≧15000MPa・%、△YS≦50MPa、△EL≦5%、YR≦0.75の条件を全て満足するものである。この特性に合致する場合は、降伏強さと破断伸びの変動が小さく、高成形性と低降伏比を有する鋼板であることを示している。
【0020】
これに対し、■および▲印はこれらの特性を満足せず、例えば、TS≧270MPa、TS×EL<15000MPa・%、△YS>50MPa、△EL>5%、YR>0.75のいずれかの特性を具備するものである。
【0021】
図1に示されているように、フェライト相の平均結晶粒径が1μm超え50μm以下で、第二相の平均結晶粒径が50μm以下の場合には、強度−延性バランスが優れている。しかし、同図中でフェライト相の平均結晶粒径が50μm以下で、第二相の平均結晶粒径が50μm以下の場合であっても、フェライト粒界の70%未満が大角粒界の場合であったり、またはフェライト相のアスペクト比が5を超える場合であれば、TS≧270MPa、TS×EL≧15000MPa・%、△YS≦50MPa、△EL≦5%、YR≦0.75の条件を全てを満たすことができない。
【0022】
図2は、フェライト相の平均結晶粒径が0.5〜38μm、第二相の平均結晶粒径が0.3〜30μmである熱延鋼板の強度−延性バランスに及ぼす等軸フェライト相と第二相の体積率の影響を示す図である。図中の●、■、▲印の記号は、上記図1の場合と同様である。
【0023】
図2に示されているように、フェライト相のアスペクト比が5以下で、フェライト相の比率が体積率で70%以上である場合には、鋼板の特性がTS≧270MPa、TS×EL≧15000MPa・%、△YS≦50MPa、△EL≦5%、YR≦0.75の条件を全て満足するものである。しかし、同図中でフェライト相の体積率が70%以上であっても、フェライト粒界のうち大角粒界の占める割合が70%未満であったり、またはフェライト相のアスペクト比が5を超えるような場合には、上記の良好な特性を満足できないことが分かる。
【0029】
次に、熱間圧延条件が鋼板の特性に及ぼす影響について検討した。熱延コイルの長手方向と幅方向における仕上圧延完了温度の変動(最高温度と最低温度の差)△FTは、粗圧延完了温度の変動△RTの影響を受ける。△FTの変動が大きくなると、コイル内の特性変動も大きくなる。この特性変動を抑えて、地震エネルギー吸収性能の安定化し、プレス加工時の成形性を良好にするには、△RTと△FTの変動を抑制する必要がある。
【0030】
具体的には、粗圧延材を再加熱または保熱して、仕上圧延を開始する直前の粗圧延材の圧延長手方向と幅方向における温度差を100℃以下とし、△FTと△RTの関係が下記(a)式を満たす条件で熱間圧延を行うか、さらに好ましくは熱間圧延後に600℃〜950℃の焼鈍処理することにより、熱延鋼板の圧延長手方向と幅方向の特性の均一化が図れる。しかし、仕上圧延完了温度の変動△FT≦30℃の条件が保てる場合には、粗圧延完了温度の変動△RTの影響を考慮する必要がないことから、下記(a)式の条件を満たす必要がない。
△FT≦0.6 × △RT ・・・ (a)
また、連続鋳造スラブを、再加熱することなく直接熱延を開始する場合はスラブ温度を1300℃以下にすることにより、また、スラブを再加熱する場合は1300℃以下950℃以上に加熱することにより、スラブ中に存在する粗大な析出物の再固溶を抑制し、熱延時の微細析出を抑制することができるので、破断伸びを向上させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の熱延鋼板およびその製造方法を上記のように規定した理由を、1.鋼の化学組成、2.結晶組織および3.熱間圧延に区分して説明する。
1.鋼の化学組成以下の説明のおいて、成分組成は質量%を示す。
【0032】
C:0.0002〜0.0079
含有量が多いほどフェライト相の体積率が減少し、硬質な残部相の体積率が増加するので、延性や深絞り性に悪影響を及ぼすことになる。そのため、Cの含有は少ない方がよく、0.0079%以下とする。一方、含有量を0.0002%未満までに低下させるには、製鋼コストが嵩むだけでなく、フェライト粒が極端に粗大化するので、高延性が安定して得られず、鋼板の成形時に表面肌荒れが生じやすいという問題がある。このため、C含有量は0.0002%以上とする。
【0033】
Si:0.003〜0.65
Siは加工性をさほど損なうことなく、鋼の強度を向上させる作用があるので、0.65%以下を含有させる。また、フェライトの生成を促進してフェライト量を増加させる作用がある。Si含有量が0.65%を超えると鋼の加工性が悪くなるのでこれ以上の添加は好ましくない。また、Siは鋼を硬くする作用に加えて、鋼の表面性状を劣化させるので、鋼の加工性を重視する場合にはSi含有量は少ない方が好ましい。したがって、加工性や表面性状に実質的な悪影響を及ぼさないようにするには0.6%以下にする。一方、含有量を0.003%未満までに低下させるには、製鋼コストが嵩むため、Si含有量は0.003%以上とする。
【0034】
Mn:0.003〜3.0%
一般的に、Sによる熱間脆性を防止する目的で、適量のMnを含有させる。また、Mnを固溶強化元素として活用する場合には、その含有量が0.003%以上でなければ所望の効果が得られない。しかし、Mnを過剰に含有させると、成形性が劣化してしまうだけでなく、熱間圧延後の冷却過程で十分なフェライトを生成させることが困難になり、延性と溶接性が損なわれることになる。これを防止するため、Mnの含有量は3.0%以下とし、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.5%以下とする。
【0035】
Al:0.002〜2.0%
Alは健全な鋳片を得るための脱酸に用いられ、Siと同様に、フェライトの生成を促進してフェライト量を増加させるため、またはTiなど添加元素の歩留を確保するため、0.002%以上含有させる。一方、その含有量が2.0%を超えると上記の効果が飽和するので、Al含有量は2.0%以下とする。好ましくは1.2%以下、より好ましくは0.1%以下である。
【0036】
本発明の鋼板は、上記の成分元素の他に、次の成分元素を必要に応じて含有することができる。
【0037】
B:0.0002〜0.01%(1群)
Bは必須元素でないが、鋼の焼入れ性を向上させる作用があるため、冷却過程でフェライト相や残部相の結晶粒径や体積率を制御する場合に添加する。また、BはAr点を低下させる作用があるので、オーステナイト温度域で仕上圧延を完了するのが困難な場合に、含有させるのが有効である。特に、板厚が2.0mm以下と薄物の熱延鋼板を製造する場合に有効である。さらに、極低炭素鋼板を絞り加工時に発生するおそれがある「二次加工割れ」を防止する作用があるため、含有させてもよい。
【0038】
Bを含有させる場合には、0.0002%以上含有させる。しかし、Bを0.01%を超えて含有させると、フェライトの生成が著しく抑制され、二次加工割れを防止する作用が飽和することによって、鋼板を脆くする場合がある。このため、B含有量は0.01%以下とし、好ましくは0.007%以下、より好ましくは0.005%以下である。
【0039】
Ti、Nb、V、Zrのうちから1種または2種以上:0.005〜1.0%(2群)
これらの元素はいずれも鋼に含有される固溶C、固溶N、固溶Sを析出物として固定して無害化する作用がある。また、延性や深絞り性をさほど損なうことなく、鋼の強度を高める作用を発揮する。したがって、鋼の深絞り性や強度を確保するために必要がある場合には、これらの元素のうちから1種または2種以上を合計して、0.005以上含有させてもよい。しかし、合計の含有量が1.0%を超えると、上記効果は飽和し、逆に延性や深絞り性が低下するので、降伏比が高くなってプレス成形時の形状凍結性が劣化する。このため、これらの含有量は1.0%以下とし、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.2%以下とする。
【0040】
Cr、Mo、Cu、Niのうちから1種または2種以上:0.005%〜3.0%(3群)
これらの元素には、Mnと同様に、焼入れ性を向上させる作用があるので、これらの元素を適量含有させることにより、冷却過程でのフェライト相や残部相の結晶粒径や体積率を制御するのが容易になる。また、Cuは耐食性を向上する作用も有する。したがって、必要がある場合には、これらの元素のうちから1種または2種以上を合計で0.005%以上含有させる。しかし、これらの含有量が3.0%を超えると上記効果は飽和すると同時に、過剰に添加すると成形性を損なうことになる。したがって、これらのの含有量は3.0%以下とし、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。
【0041】
Ca:0.005%以下および希土類元素:0.20%以下(4群)
これらの元素は、いずれも介在物の形状を調整して、冷間加工性を改善するので、必要に応じて含有させる。含有させる場合には、Caが0.005%を超えて、希土類元素が0.20%を超えて含有させると、上記効果が飽和することになるので、これらを含有量の上限とする。
【0042】
本発明の鋼板は、上記化学組成を適宜含有し、残部はFeおよび不純物からなる。不純物のうちP、SおよびNの含有量は次のように制御する。
【0043】
P:0.0002〜0.15%
Pは鋼を硬くし脆くする傾向があるが、加工性を阻害することなく鋼の強度を高めることができる。しかし、過度に含有させるとPは結晶粒界に偏析して鋼が脆くなるので、含有量は0.15%以下とする。好ましくは0.12%以下、より好ましくは0.10%以下である。一方、P含有量を0.0002%未満まで低下するには製鋼コストが嵩むだけでなく、フェライト粒が極端に粗大化して高延性が安定して得られず、鋼板の成形時に表面肌荒れが生じやすい。このため、含有量の下限をは0.0002%とする。
【0044】
S:0.0002〜0.05%
Sは硫化物系介在物を形成して、加工性を低下させるので、含有量を0.05%以下で管理する。好ましくは、一段と優れた加工性を得るために、0.03%以下、より好ましくは0.015%以下とするのがよい。一方、S含有量を0.0002%未満まで低下するには製鋼コストが嵩むだけでなく、フェライト粒が極端に粗大化して高延性が安定して得られず、鋼板の成形時に表面肌荒れが生じやすい。このため、含有量の下限をは0.0002%とする。
【0045】
N:0.0005〜0.015%
Nは少ないほどよいが、0.015%以下であれば本発明においては影響が小さい。しかし、その含有量が0.015%を超えると、AlやTiを多量に添加する必要が生じ経済的でない。したがって、その含有量は0.015%以下とするのがよい。好ましくは0.007%以下、より好ましくは0.005%以下である。ただし、N含有量を0.0005%未満に低下するには製鋼コストが嵩むだけでなく、フェライト粒が極端に粗大化してしまうため高延性が安定して得られず、鋼板の成形時に表面肌荒れが生じやすいという問題がある。このため、N含有量は0.0005%以上とする。
2.結晶組織
本発明の鋼板は、フェライト相の平均結晶粒径が1μm超え〜50μmとする。フェライト相の平均結晶粒径が50μmを超えて大きくなると、特定の粗大結晶粒に変形が集中して歪みが局在化しやすくなる。このため、高い地震エネルギー吸収性能や良好な強度−特性バランスを安定して得ることができなくなるだけでなく、特性変動も大きくなる。さらに、鋼板表面がプレス加工時に肌荒れを起こし、表面荒さが大きくなって表面性状が不芳になり易い。このため、鋼板のフェライト相の平均結晶粒径は50μm以下とし、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下とする。
【0046】
一方、平均結晶粒径が1μm以下となると、フェライト粒界に占める大角粒界の割合が減少し、70%以上とすることが困難になる。さらに、降伏強さが極端に高くなり、低降伏比の特性を得ることができず、プレス成形性が大幅に低下する。したがって、フェライト粒径の下限を1μmとする。
【0047】
次に、鋼板のフェライト相の体積率を70%以上にする必要がある。フェライト相の比率が体積率で70%未満である場合には、フェライト相よりも高強度の第二相が増加するため、鋼板の強度を高めることができるが、熱延鋼板の延性が大幅に劣化し、強度−延性バランスを適正に確保することができない。このため、フェライト相の比率を体積率で70%以上とし、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上とする。
【0048】
フェライト相のアスペクト比は5以下とする。アスペクト比が5を超える場合には、ミクロ組織は実質上等軸としての等方的な特性は得られなくなり、伸長した方向と直角の方向の成形性が変動することになる。
【0049】
フェライト粒界の70%以上が大角粒界からなることが必要である。フェライト相の粒界のうち大角粒界の割合が70%未満になると、相対的に小角粒界が多くなり、実質上粗大なフェライト粒が多くなる。この場合、高い延性、強度−延性バランスが安定して得られなくなる。
【0050】
このように、フェライト相の粒界のうち大角粒界の割合が70%未満になると、実質上のフェライト粒界としての効果が小さくなり、フェライト相の体積率が70%以上で、平均結晶粒径が50μm以下で、かつアスペクト比が5以下であり、同時に、後述する第二相の平均結晶粒径が50μm以下であっても、熱延鋼板における良好な強度−特性バランスが確保できず、特性変動が大きくなる。
【0051】
残部相のうち最大体積率を占める相を第二相とするが、この第二相の平均結晶粒径を50μm以下、その体積率を30%未満にする必要がある。熱延鋼板の第二相の平均結晶粒径が50μmを超えると、熱延鋼板では硬質な第二相の分布が不均一になるため、降伏強さの変動△YSや破断伸びの変動△ELが大きくなる。また、プレス成形時にフェライト相と第二相の界面から発生するクラックがフェライト粒界で伝播を阻止されにくくなるため、延性が低下し、強度−延性バランスも低下する。
【0053】
第二相の平均結晶粒径の好ましい下限は0.1μmである。第二相の平均結晶粒径が0.1μmを下回ると、フェライト相を強化する作用が強くなり、降伏強さが高くなって降伏比が上昇するとともに、プレス成形時にフェライト相と第二相との界面から転位が増殖するより、むしろ第二相が転位の移動の妨げとなる傾向が強くなり、成形性が劣化するためである。
3.熱間圧延
本発明の熱延鋼板は以下の方法で製造する。
3−1 スラブ加熱
連続鋳造法によって製造されたスラブの温度が1300℃以下Ar3点以上である場合には、そのまま直送して熱間圧延することができる。スラブの温度が1300℃以上の場合、スラブ温度が1300℃以下になるまで放冷した後、熱間圧延を行う。冷却後に圧延する場合には、スラブを950〜1300℃の温度領域に再加熱した後、熱間圧延を行うことになる。
【0054】
圧延に際して、スラブ温度を1300℃以下にするのは、スラブ温度を低温にし、鋳造時に粗大析出しているMnS、AlN、TiS、Ti422等の析出物を再固溶させて、熱間圧延時の微細析出を抑制するためである。したがって、熱間圧延前のスラブ温度は、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1150℃以下にする。加熱時間は、全体が均一な温度になり、かつ、オーステナイト結晶粒が粗大にならない範囲でスラブの寸法に応じて選定すればよい。
3−2 粗圧延
粗圧延の少なくとも最終圧延パスを、Ar3点〜1150℃の温度域で行うのが好ましい。粗圧延の合計圧下率は、30%以上とするのが好ましい。これにより、オーステナイト結晶粒が微細化し、γ/α変態後のフェライト結晶粒の微細化を図り易い。合計圧下率は、40%以上にするのがより好ましい。
3−3 粗圧延材の処理
粗圧延材を仕上圧延開始までに再加熱、または保熱処理を行うことにより、強度−延性のバランスに優れた熱延鋼板を製造し易くなる。言い換えると、この処理によって、仕上圧延開始時の粗圧延材のコイル長手方向と幅方向におけるコイル内温度差が100℃以下になるように温度制御でき、前記(a)式の条件を満たすように、コイル内の仕上圧延完了温度の変動△FTを制御することが容易になる。
【0055】
△FTが小さくなると、仕上圧延後の冷却巻取過程での温度変動も小さくなる。冷却巻取過程で形成される第二相は低温変態生成物であるため、冷却巻取時のコイル内温度変動がそのまま第二相の種類や体積率の変動、さらにコイル内での特性変動に直結する。このため、△FTが小さくなると△YSや△ELの変動が小さくなる。
【0056】
粗圧延材を仕上圧延開始までに再加熱、または保熱処理し、前記(a)式の条件を満たすように仕上温度を制御することにより、粗圧延材の板幅方向と圧延方向の温度の均一化が図られ、仕上圧延、冷却、巻取の各工程でのコイル内の温度変動を抑制することができる。この結果、ミクロ組織を均質にでき、コイル内での特性変動を抑制することができる。なお、仕上圧延開始時の粗圧延材のコイル内温度差は100℃以下とし、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下とする。前記(a)式の係数は0.6としているが、好ましくは0.5とし、より好ましくは0.4とする。
【0057】
また、上記の処理により、仕上圧延をオーステナイト域で完了する場合には、△FTを低減することができるため、仕上圧延完了温度をAr点直上にしてもコイル全体に亘りAr点以下になることなく圧延できる。この結果、低温オーステナイト域での累積歪みを増加することができ、変態後のフェライト粒径を効率的に微細化し、粒界を大角化することができる。
【0058】
仕上圧延をフェライト域で完了する場合、上記の処理を行うことによりフェライト域での累積歪みを増加することができ、フェライト相を熱延ままで再結晶させるか、または熱間圧延後の熱処理(連続焼鈍、箱焼鈍、溶融亜鉛めっきや合金化溶融亜鉛めっき前の焼鈍など)で再結晶させることが可能になる。
【0059】
仕上完了温度がオーステナイト域またはフェライト域のいずれの場合であっても、上記の処理によって本発明の鋼板の特徴である結晶組織を得ることが容易になり、高成形性で特性変動の少ない熱延鋼板を得ることができる。
【0060】
さらに、仕上圧延前に粗圧延材を再加熱または保熱処理することにより、粗圧延前のスラブ温度を低温にしても、仕上圧延完了温度を大幅に低下することなく圧延できるので、仕上圧延時の熱間変形抵抗の増加も抑制でき、熱間圧延機に過負荷をかけることなく圧延することができる。すなわち、上記の処理によって、粗圧延前のスラブ温度を低温にすることができるため、前述の熱間圧延時の微細析出の抑制が可能になり、高成形性の熱延鋼板を得ることが容易になる。スラブを粗圧延し、コイルボックスを用いてコイル状に巻き取った後、巻き戻して仕上圧延を行うプロセス、および粗圧延材の先端部を先行する粗圧延材の後端部と接合した後、仕上圧延を行う連続仕上圧延プロセスは、コイル内の特性を均一化するのに有効であるが、これらのプロセスと上記の処理とを組み合わせることにより、特性を一層均一にすることが可能になる。
【0061】
粗圧延材の表層部を冷却して、組織をオーステナイト相からフェライト相に変態させた状態から、上記の処理によってオーステナイト相に逆変態させることにより、熱延鋼板表層部のフェライト粒径を効率的に微細化し粒界を大角化することができる。
【0062】
仕上圧延開始までに粗圧延材を加熱または保熱する方法として、粗圧延材を高周波誘導加熱で加熱する方式、粗圧延材に直接電流を流して加熱する通電加熱方式、燃焼ガスを用いるガスバーナー加熱によるガス加熱方式等を採用することができる。特に、誘導加熱方式の粗バーヒーターが有効であるが、加熱方式はこれらの方法に限定されるものでは無い。
【0063】
なお、粗圧延を簡略化し、または省略可能な薄スラブ鋳造プロセスにおいて、仕上圧延の開始前に加熱或いは保熱する方法として、この処理を用いても何ら問題の発生はない。
3−4 仕上圧延
本発明の熱延鋼板を得るためには、上述の粗圧延材の処理を行い、前記(a)式の条件を満たすように仕上圧延を行う。オーステナイト域仕上の場合、仕上圧延完了温度は(Ar3点+100℃)以下、(Ar3点−50℃)以上(ただし、(Ar 3 点+30℃)以下Ar 3 点以上を除く)で、かつその温度域での合計圧下率50%以上にする。仕上温度が(Ar3点+100℃)を超えるか、または合計圧下率が50%に満たない場合には、本発明で規定するミクロ組織を確保することが困難になる。これは、歪み蓄積の程度が小さいためである。規定する温度域での合計圧下率は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0064】
仕上圧延完了温度が(Ar3点−50℃)よりも低くなる場合は、フェライト域熱間圧延を活用する。フェライト域仕上圧延の場合には、仕上圧延温度は(Ar3点−50℃)未満、(Ar3点−250℃)以上の温度域とし、このときの合計圧下率を50%以上とする。このような条件を満足できない場合には、本発明で規定するミクロ組織を確保することが困難になる。すなわち、仕上温度が(Ar3点−250℃)よりも低いと、熱間圧延ままで再結晶組織が得られないだけでなく、加工フェライト組織を焼鈍により再結晶させても、成形性を向上させるような集合組織が得られないためである。この温度域での合計圧下率は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0065】
上記の仕上圧延に際しては熱間潤滑剤を用いて、圧延ロールと被圧延材との間の摩擦係数μが0.2以下となるようにして圧延するのが好ましい。これにより板厚方向の加工変形が均一化されるので、熱延鋼板の板厚表層部での延性を向上させることができる。熱間潤滑剤としては慣用されているものでよく、例えば摩擦係数を低減した機械油などを使用することができる。
3−5 冷却および巻取り
フェライト結晶粒を微細にするために、仕上圧延の最終圧延パスが終了した後、20℃/sec以上の冷却速度で冷却するのが好ましい。より好ましくは30℃/sec以上である。最終圧延パス終了後冷却開始までの時間は短い方が好ましく3秒以下、より好ましくは2秒以下にするのがよい。
【0066】
巻取温度が800℃を超えると、スケールロスの増加や表面性状の劣化、熱間圧延鋼板フェライト結晶粒の粗大化等が問題になることから、巻取温度は800℃以下とすることが好ましい。ただし、フェライト域仕上圧延で熱間圧延ままで再結晶させる場合は、巻取温度の下限を630℃以上とするのが好ましい。
【0070】
【実施例】
本発明の鋼板の効果を確認するため、表2に示す化学組成の鋼種A〜G、IおよびJを用いて鋳造し、熱間鍛造により厚さ50mmのスラブを作製し、これらのスラブを用いて、熱延鋼板を製造した。表3に示す条件に基づいて、実験室規模でスラブ加熱、粗圧延および仕上圧延を行い、厚さ2.6mm、幅250mmの熱延鋼板を得た。粗圧延材の加熱は、実験室規模の誘導加熱装置を用いて行った。
【0071】
圧延条件は、極力種々の組み合わせとしている。例えば、熱延No.2、3の鋼種Aは、仕上圧延完了温度を(Ar点−150℃)とするフェライト域で仕上圧延を行い、700℃まで冷却後徐冷(巻取相当処理)し焼鈍を省略する場合と、600℃まだ冷却後徐冷の後800℃で焼鈍する場合の2種類の条件で熱延鋼板を製造した。フェライト域での圧延は、鋼板と圧延ロール間の摩擦係数が0.12という高潤滑条件で行った。
【0072】
【表2】
Figure 0004003401
【表3】
Figure 0004003401
【0073】
得られた熱延鋼板について、トップ部、ミドル部およびボトム部の3箇所の両エッジ部、1/2幅の合計3箇所から、JIS Z 2201 の5号試験片を採取して、降伏強さ、引張強さ、破断伸び、それらの変動を調査した。調査結果を表4に示す。
【0074】
各引張試験の特性値は、前述した手法によって、両エッジ部については圧延方向に対して平行方向から、また、1/2幅については圧延方向に対して0°、45°、90°方向から採取した試験片の測定値を平均して用いている。特性値の変動値は各特性の最大値から最小値を引いた値として求めた。降伏比(YR)はコイル内の最大値、TS×EL値はコイル内の最小値を示した。
【0075】
表4の結果から明らかなように、本発明で規定する化学組成、結晶組織および圧延条件を満足する熱延鋼板は、いずれもコイル内での降伏強さと破断伸びの変動が小さく、かつ高い成形性を有するとともに、低降伏比であることが分かる。具体的には、表4に示す発明例は、TS≧270MPa、TS×EL≧15000MPa・%、△YS≦50MPa、△EL≦5%、YR≦0.75の条件を全て満足している。
【0076】
【表4】
Figure 0004003401

【図面の簡単な説明】
【図1】フェライト相を体積率で70%以上含有する熱延鋼板の強度−延性バランスに対するフェライト相と第二相の平均結晶粒径との関係を示す図ある。
【図2】フェライト相の平均結晶粒径が0.5〜38μm、第二相の平均結晶粒径が0.3〜30μmである熱延鋼板の強度−延性バランスに及ぼす等軸フェライト相と第二相の体積率の影響を示す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.0002〜0.0079%、Si:0.003〜0.65%、Mn:0.003〜3.0%およびAl:0.002〜2.0%を含有し、残部はFeおよび不純物からなり不純物としてP:0.0002〜0.15%、S:0.0002〜0.05%およびN:0.0005〜0.015%を含む鋼板であって、フェライト相の平均結晶粒径が1μm超え〜50μmで、その体積率が70%以上で、フェライト相のアスペクト比が5以下であり、フェライト粒界の70%以上が大角粒界からなり、さらに残部相のうちで体積率が最大である第二相の平均結晶粒径が50μm以下であることを特徴とする降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する熱延鋼板。
  2. 上記鋼板が、さらに下記1群から4群のうちから1群または2群以上を選択して含有することを特徴とする請求項1に記載の降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する熱延鋼板。
    1群・・・B:0.0002〜0.01%を含む
    2群・・・Ti、Nb、VおよびZrのうちから1種または2種以上を合計で0.005〜1.0%を含む
    3群・・・Cr、Mo、CuおよびNiのうちから1種または2種以上を合計で0.005〜3.0%を含む
    4群・・・Ca:0.005%以下および希土類元素:0.20%以下を含む
  3. 請求項1または2に記載の成分を含有する鋼を用いてスラブを鋳造後、直ちに熱間圧延をするとき、または950〜1300℃の温度域で再加熱したのち熱間圧延するとき、鋼スラブを粗圧延後、仕上圧延開始時の粗圧延材のコイル長手方向と幅方向におけるコイル内温度差が100℃以下となるように粗圧延材を再加熱、若しくは保熱すると同時に、オーステナイト域仕上圧延の場合には仕上圧延完了温度が(Ar 3 点+100℃)以下、(Ar 3 点−50℃)以上(ただし、(Ar 3 点+30℃)以下Ar 3 点以上を除く)で、かつその温度域での合計圧下率を50%以上とし、さらに下記(a)式を満足する条件で熱間圧延を行うことを特徴とする降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する熱延鋼板の製造方法。
    △FT≦0.6×△RT ・・・ (a)
    ただし、△FT:仕上圧延完了温度の変動(℃)、△RT:粗圧延完了温度の変動(℃)とし、△FT≦30℃の場合には(a)式を適用しない。
  4. 請求項1または2に記載の成分を含有する鋼を用いてスラブを鋳造後、直ちに熱間圧延をするとき、または950〜1300℃の温度域で再加熱したのち熱間圧延するとき、鋼スラブを粗圧延後、仕上圧延開始時の粗圧延材のコイル長手方向と幅方向におけるコイル内温度差が100℃以下となるように粗圧延材を再加熱、若しくは保熱すると同時に、フェライト域仕上圧延の場合には仕上圧延完了温度が(Ar 3 点−50℃)未満、(Ar 3 点−250℃)以上で、かつその温度域での合計圧下率を50%以上とし、さらに下記(a)式を満足する条件で熱間圧延を行うことを特徴とする降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する熱延鋼板の製造方法。
    △FT≦0.6×△RT ・・・ (a)
    ただし、△FT:仕上圧延完了温度の変動(℃)、△RT:粗圧延完了温度の変動(℃)とし、△FT≦30℃の場合には(a)式を適用しない。
  5. 上記熱間圧延後に、600〜950℃の温度域で焼鈍処理することを特徴とする請求項3または4に記載の降伏強さと破断伸びの変動が小さく高成形性と低降伏比とを有する熱延鋼板の製造方法。
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