JPH09176816A - 耐熱性および加工性等にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法 - Google Patents

耐熱性および加工性等にすぐれた溶融アルミめっき鋼板の製造方法

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JPH09176816A
JPH09176816A JP33456195A JP33456195A JPH09176816A JP H09176816 A JPH09176816 A JP H09176816A JP 33456195 A JP33456195 A JP 33456195A JP 33456195 A JP33456195 A JP 33456195A JP H09176816 A JPH09176816 A JP H09176816A
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Satoru Usuki
哲 臼杵
Nobuyoshi Tanaka
信義 田中
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低炭素アルミキルド鋼(連続鋳造材)の冷延鋼
板を母材鋼板として、溶融めっき後に熱処理を実施する
ことなく、改良された耐熱性(耐黒変化性)を有し、か
つ加工性,溶接性等にもすぐれた溶融アルミめっき鋼板
の製造法を提供する。 【解決手段】C:0.03〜0.08%,Si: 0.0
5%以下,Mn:0.1〜0.4%,P: 0.025%
以下,S: 0.015%以下,Al:0.006〜0.
012%,N:0.0030〜0.005%,残部Fe
および不可避不純物からなる連続鋳造片である低炭素ア
ルミキルド鋼を熱間圧延し、鋼板巻取りを550℃以下
で行った熱延板を冷間圧延してなる低炭素アルミキルド
鋼冷延板をめっき母材鋼板とし、母材鋼板表面にSi濃
度3〜15%の溶融アルミめっきを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造されたア
ルミキルド鋼の冷間圧延鋼板をめっき母材鋼板とし、耐
熱性にすぐれ、高温環境におけるめっき層表面の光沢保
持性(耐黒変性)が高く、かつ良好な加工性,溶接性等
を備えた溶融アルミめっき鋼板を高能率,低コストで製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融アルミめっき鋼板は、耐熱性,耐食
性にすぐれた材料であり、自動車の排気系部材(マフラ
ーパイプ等)や、石油ストーブの遮蔽板等、その他各種
の耐熱用途に使用されている。溶融アルミめっきは、素
地鋼板とめっき層との合金化反応(めっき層の加工性を
悪くする)を抑制防止するために、めっき浴として、S
iを含むアルミめっき浴を用いるのが一般である。Si
を含むめっき浴を使用して形成されるめっき層と素地鋼
板との界面には、六方晶型のAl−Si−Fe合金層が
生成し、このものは硬く脆い合金層であるが、層厚は約
3〜5μmと、めっき層全体の厚さに比べて薄いので、
めっき鋼板品質が損なわれることはない。従来より、耐
熱性や高温での光沢保持特性を要求される用途の溶融ア
ルミめっき鋼板は、造塊法によるリムド鋼の冷延鋼板を
めっき母材鋼板として製造されてきた。近年、スラブ連
続鋳造化の進展に伴い、リムド鋼に代えて連続鋳造によ
るアルミキルド鋼の冷延鋼板を用いて溶融アルミめっき
鋼板を製造する要求が、製造コストの低減,生産効率の
向上等の観点から益々増大している。
【0003】しかるに、リムド鋼板を使用した溶融アル
ミめっき鋼板の場合は、約520〜550℃の温度域で
も銀白色の美麗な光沢表面を保持するのに対し、アルミ
キルド鋼板を母材鋼板とする溶融アルミめっき鋼板で
は、約400℃の温度に加熱されると、短時間で銀白色
の光沢表面を失い、灰黒色に変化(黒変化)し易い。め
っき層の黒変化は、めっき層と母材鋼板との界面に生じ
るFe−Al相互拡散反応による現象であり、その相互
拡散反応により、界面の合金層がめっき層表面に向って
成長し、めっき層全体がFe−Al合金に変化すること
により、めっき層は銀白色を失い、黒変化した状態とな
る。リムド鋼板を使用した溶融アルミめっき鋼板の場合
は、めっき層と母材鋼板との界面にAlN層が生成し、
AlN層がFe−Al相互拡散反応を阻止するバリアー
層としての役目をはたすのに対し、アルミキルド鋼板を
母材鋼板とする溶融アルミめっき鋼板では、そのような
バリアー層の生成がないため、比較的低温域において
も、界面のFe−Al相互拡散反応が活発となり、急速
に黒変化するのである。
【0004】その黒変化対策として、特公平5-26864 号
公報には、C:0.2 %以下,Mn:0.1 〜0.4 %,A
l:0.005 〜0.02%,N:0.0005〜0.006 %,残部Fe
からなるアルミキルド鋼板を母材鋼板とし、溶融アルミ
めっき(Si含有量1〜15%)の後、昇温速度300℃
/Hr以下で、350〜500℃に加熱して30分以上保
持する熱処理を行うこととした溶融アルミめっき鋼板の
製造法が提案されている。その製造法は、母材鋼板のア
ルミ含有量と、溶融アルミめっき浴組成(Si含有
量)、およびめっき後の熱処理条件の規定効果として、
めっき層と母材鋼板との界面に、Fe−Alの相互拡散
を阻止するバリアー層(AlN層)を形成してめっき層
の合金化を抑制防止するというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記公報に記載された
溶融アルミめっき鋼板の製造方法においては、耐熱性を
高めるための熱処理として、そこに記載されているよう
に、300℃/Hr以下の緩徐な昇温速度で350〜50
0℃に加熱し、30分以上保持する熱処理の実施を必要
とする。しかし、その熱処理は、昇温速度や加熱時間
(30分以上)等の制約から、一般的にはバッチ焼鈍方
式を採用せざるを得ず、従ってその熱処理は長時間を要
し、著しく非能率的であり、工業的規模での実施には多
くの制約を受ける。しかも、その溶融アルミめっき鋼板
は、改良された耐熱性を有しているとはいえ、その耐熱
性はせいぜい550℃付近が限度であり、それを越える
高温環境では急速に黒変化を生じ、銀白色の光沢表面を
喪失する。更に、母材鋼板のC含有量が約0.08%を
越える高C量の場合には、加工性が著しく低く、例えば
自動車用マフラーの用途では、造管後に行われる拡管加
工の困難をきたし、他方C含有量が約0.03%未満の
低C量の場合には、溶接熱影響部(HAZ部)に粗粒化
を生じ、加工性および靱性が損なわれるという問題があ
る。本発明は、溶融アルミめっき鋼板の製造に関する上
記問題を解消するものであり、連続鋳造材のアルミキル
ド鋼冷間圧延板を母材鋼板とする溶融アルミめっき鋼板
に、改良された耐熱性(耐黒変性)、構造用部材料とし
て必要な溶接性、および拡管加工等の強加工に耐え得る
高加工性等を帯有せしめ、しかもその改良された溶融ア
ルミめっき鋼板を、溶融めっき後の熱処理を施すことな
く、効率よく製造することができる新規製造方法を提供
しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の溶融アルミめっ
き鋼板の製造方法は、C:0.03〜0.08%,S
i: 0.05%以下,Mn:0.1〜0.4%,P:
0.025%以下,S: 0.015%以下,Al:0.
006〜0.012%,N:0.0030〜0.005
%,残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造片で
ある低炭素アルミキルド鋼を熱間圧延し、鋼板巻取りを
550℃以下で行った熱延板を冷間圧延してなる低炭素
アルミキルド鋼冷延板をめっき母材鋼板とし、母材鋼板
表面にSi濃度3〜15%の溶融アルミめっきを行うこ
とを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】連続鋳造された低炭素アルミキル
ド鋼の冷延鋼板を母材鋼板とし、本発明方法により製造
される溶融アルミめっき鋼板は、母材鋼板のAlおよび
N含有量の規定と熱延鋼板巻取り温度の規定の効果とし
て、鋼中に固溶N(sol N)が豊富に残留し、その固溶
Nは、溶融アルミめっき後の冷却過程において、鋼板表
面に拡散移行し、めっき層との界面にAlN層を形成す
る。その溶融めっき後の冷却条件には別段の制約を必要
としない。このAlN層の形成により、界面のFe−A
l相互拡散(めっき層の合金化反応)が効果的に抑制防
止され、めっき層表面は、約570℃ないしそれを超え
る高温域においても、黒変化を生じず、銀白色の美麗な
光沢表面が安定に保持される。このように、溶融めっき
後の冷却過程で、母材鋼板とめっき層との界面に、バリ
アー層としてのAlN層が十分に形成されるので、従来
法のようなAlN層の生成を促進するための必須の工程
とされているめっき後の熱処理の実施を省略することが
可能となる。しかも、母材鋼板として、連続鋳造片から
製造される冷延鋼板を使用して卓抜した耐熱性等の諸特
性を確保することができる。この母材鋼板の鋼種の変更
および工程省略によりもたらされる生産効率の向上,省
エネルギー効果は極めて大である。更に、本発明による
溶融アルミめっき鋼板は、母材鋼板のC量等の規定の効
果として、改良された加工性および溶接性を備えてい
る。
【0008】〔母材鋼板の成分組成〕本発明において母
材鋼板として使用される低炭素アルミキルド鋼板の化学
組成の限定理由は次のとおりである(明細書中、成分含
有量を示す%はすべて重量%である)。 Al:0.006〜0.012% Alは、鋼の溶製工程における脱酸元素として添加され
る。その量が0.006%に満たないと、脱酸作用が不
足し、工業的規模における連続鋳造操業を安定に維持す
ることが困難となる。他方、0.012%を越えると、
鋼中の固溶Nと反応し易くなり、母材鋼板とアルミめっ
き層との界面に安定なバリア層(AlN層)を形成する
ための固溶Nの鋼中残留量が不足し、耐熱性(耐黒変
性)の改善効果が乏しくなる。
【0009】図1は、溶融アルミめっき鋼板の耐熱性
(耐黒変性)に及ぼす母材鋼板のAl含有量,N含有量
の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造により製造されたアルミキルド鋼の
冷間圧延鋼板) 化学組成:C 0.04, Si 0.01, Mn 0.25, P 0.013, S 0.0
09, Al 0.006-0.020, N 0.0005-0.0050 (sol.N 0.0002-
0.0045), Fe Bal (Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:515℃ めっき層:9.0 %Si−Al、層厚 20 μm
【0010】図1中の各符号は、供試材から切り出した
試験片を一定温度に設定された加熱炉内に200 Hr保持
した後のめっき層表面の黒変化の有無を示している。 ○…570℃で黒変化なし(銀白色光沢表面保持) △…550℃を越えると黒変化 ×…550℃以下で黒変化 図示のように、母材鋼板のAlおよびN量を本発明の規
定(Al量0.006〜0.012%,N量0.003
0〜0.005%)の範囲に調整することにより、57
0℃以上の高温加熱に耐え得る高度の耐熱性が確保され
ている。
【0011】N:0.0030〜0.0050% Nは、溶融アルミめっき鋼板の耐熱性(耐黒変性)の改
善に必要な元素であり、母材鋼板の鋼中固溶N(sol.
N)は、溶融めっき後の冷却過程において、鋼板表面に
拡散移行し、アルミめっき層との界面にAlN層を形成
する。このAlN層の形成による耐熱性改善効果を十分
ならしめるために、N量(total N量)は少なくとも
0.0030%であることを要する。しかし、0.00
50%を越えると、母材鋼板の時効による延性の低下が
大きく、加工性が損なわれる。このため、0.0050
%を上限とする。本発明者等の研究によれば、AlN層
の形成に関与する固溶N(sol.N)について、上記効果
を得るための適正な含有量は25〜45ppm であること
が判明している。その固溶N量は、N量(total N量)
を上記範囲に規定することにより確保される。
【0012】図2は、溶融アルミめっき鋼板の時効の前
後における伸びの減少量(ΔEl)に対する母材鋼板の
N含有量の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造により製造されたアルミキルド鋼の
冷間圧延鋼板) 化学組成:C 0.05, Si 0.01, Mn 0.25, P 0.012, S 0.0
07, Al 0.006又は0.012, N 0.0005-0.0065 (sol.N 0.00
02-0.0060), Fe Bal(Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:515℃ めっき層:9.0 %Si−Al、層厚 20 μm 時効処理:供試材(板厚1.0 mm)から試験片(JIS Z220
1 5号)を作製し、100℃×1Hrの人工時効処理を
実施。 図中、(1) はAl0.006 %、(2) はAl0.012 %の供試
材の測定結果である。母材鋼板のN量が本発明の上限値
50ppm(0.0050%) を越えると、時効による延性の低下
が大きくなるが、50 ppm以下に制限することにより、良
好な延性が保持されることがわかる。
【0013】C:0.03〜0.08% C量は、溶融アルミめっき鋼板の加工性および溶接性に
大きく影響する。C量が0.03%に満たないと、溶接
熱影響部の金属組織の粗大化をきたし、その部分の延
性,靱性の低下により、溶接後の加工性が大きく損なわ
れる。例えば自動車用マフラーパイプの製造では、溶接
による造管後の拡管加工に必要な加工性を確保すること
が困難となる。このため、C量は少なくとも0.03%
を必要とする。しかし、C量が0.08%を越えると、
鋼板の延性低下が大きく、この場合も良好な加工性を確
保し得なくなるので、これを上限とする。
【0014】図3は、溶融アルミめっき鋼板の延性(伸
び)、および加工性(パイプの拡管加工性)に及ぼす母
材鋼板のC含有量の影響を示している。 母材鋼板(連続鋳造により製造されたアルミキルド鋼の
冷間圧延鋼板) 化学組成:C 0.005-0.20, Si 0.01, Mn 0.25, P 0.013,
S 0.010, Al 0.010, N 0.0036 (sol.N 0.0031), Fe B
al (Wt%) 板 厚:1.0mm 熱延巻取り温度:525℃ めっき層:8.9 %Si−Al、層厚 22 μm めっき後の熱処理:400℃×2Hr パイプの成形加工:高周波溶接によりパイプ(管径28.6
mm) を成形した後、拡管加工(冷間加工)を行って、管
径37.2 mmのパイプに仕上げる(拡管比:1.3)。
【0015】図3中、○…拡管加工での割れなし、●…
割れ発生。図示のように、母材鋼板のC含有量が0.0
8%を越えると、鋼板の延性の急激な低下と、拡管加工
での割れの発生を免れず、他方0.03%に満たない
と、延性は良好であるものの、拡管加工に必要な加工性
を確保し得ない。これに対し、本発明の0.03〜0.
08%の範囲においては、高い伸び特性と、拡管加工割
れを防止し得る良好な加工性が確保されている。
【0016】Mn:0.1〜0.4% Mnは、鋼中のSをMnSとして固定無害化し、鋼の赤
熱脆性を防止し、熱間加工性を高める。このために、
0.1%以上を要するが、0.4%を越えると、鋼の加
工性が低下するので、これを上限とする。
【0017】Si: 0.05%以下 Siは、製鋼段階で脱酸剤として溶鋼中に添加され、鋼
中の酸素と反応し、珪酸および珪酸塩を形成して酸素を
除去する。この効果を得るためのSi量は0.05%ま
でで十分である。また、それを超えて多量に含有する
と、鋼を硬化させ加工性を悪くする。このため、0.0
5%を上限とする。
【0018】P: 0.025%以下 S: 0.015%以下 P,Sは、不純物元素である。鋼板特性向上の点から、
いずれの元素も低い程有利であるが、Pは0.025%
以下,Sは0.015%以下であれば、本発明の趣旨が
損なわれることはない。
【0019】〔熱間圧延の鋼板巻取り温度〕低炭素アル
ミキルド鋼の熱間圧延における鋼板巻取り温度の上限
を、550℃に規定したのは、それを越える高温巻取り
を行うと、鋼中の固溶Nの大部分が、鋼中のAlの一部
と反応してAlNとして鋼中に固定され、このため母材
鋼板とめっき層との界面のバリアー層(AlN層)の形
成に必要な固溶Nの残留量が不足し、耐熱性(耐黒変
性)を確保できなくなるからである。巻取り温度の下限
は特に規定しないが、約500℃より低い温度域では、
鋼板の結晶粒の微細化により延性が低下する傾向がある
ので、約500℃以上の温度域で巻取りを完了するのが
好ましい。
【0020】〔溶融アルミめっき浴組成〕溶融アルミめ
っき浴のSiは、めっき層と素地鋼板とのFe−Al合
金化反応を抑制する効果を有する。浴中のSi濃度の下
限を3%としたのは、それに満たないと上記効果がな
く、鋼板の化学組成や熱延巻取り温度を前記のように規
定しても、素地鋼板とめっき層との界面のFe−Al相
互拡散反応を抑制防止し得なくなるからである。Fe−
Al相互拡散は、前記のようにめっき層の黒変化を招
き、まためっき層の加工性を悪くし、拡管加工等におけ
る加工性の低下を招く原因ともなる。他方15%を上限
としたのは、それを越えると、めっき層中に板状のSi
が点在するようになり、このため、めっき層の加工性が
低下し、またそれに伴つて拡管加工等における加工性の
低下を招くからである。
【0021】
【実施例】
〔1〕溶融アルミめっき鋼板の製造 (i) 母材鋼板:低炭素アルミキルド鋼の連続鋳造鋳片を
熱間圧延し、熱延鋼板(板厚3.2mm)を、常法に従っ
て、酸洗処理し、冷間圧延に付して板厚1.0mmの冷延
鋼板を得る。 (ii)溶融アルミめっき:冷延鋼板をセンジマー型溶融ア
ルミめっきラインに通板し、めっき浴(Al−Si浴)
でめっきし、めっき浴上でのめっき目付け量の調整等を
行い、溶融アルミめっき鋼板を得る。表1に、母材鋼板
の化学組成、熱延巻取り温度,めっき条件を示す。母材
鋼板の化学組成欄に、固溶N量の測定結果(内部摩擦法
による)を併記した。なお、内部摩擦法による固溶N量
の測定は、捩り振子による自由減衰法により、低周波領
域(1.0 〜1.3 Hz)で行った。測定温度範囲は-150〜+
120 ℃(-150℃までの冷却は液体窒素による) であり、
スネークピークはヘリウムガス中、1℃/ 分の昇温速度
で測定した。
【0022】〔2〕諸特性の評価 表2に、各溶融アルミめっき鋼板の耐熱性(耐黒変
性),機械的性質,加工性(拡管加工性)を示す。耐熱
性および加工性の評価はそれぞれ下記の試験により行っ
た。 (1) 耐熱試験:供試めっき鋼板から切出した試験片(5
0×70,mm)を、所定温度(400〜570℃)に保
持された加熱炉内に、200Hr保持した後、めっき表面
の変色の有無を目視判定し、併せてAl−Si−Fe合
金層の層厚を測定する。表中、「めっき層表面外観」欄
の記号は次のとおりである。 ○…銀白色の光沢保持 ×…灰黒色に変色
【0023】(2) 拡管加工試験:供試めっき鋼板を、ロ
ールフォーミング加工および高周波溶接によりチューブ
(管径28.6mm, 厚さ1.0 mm)に形成し、ついでマンドレ
ルによる拡管加工を行う(拡管比:1.3)。拡管加工
後、目視観察により、パイプの割れの有無を判定する。
表中、「拡管加工性」欄の記号は次のとおりである。 ○…割れ発生なし ×…割れ発生
【0024】表中、No.1〜5 は発明例、No.6〜15は比較
例である。比較例のうち、No.6〜13は、低炭素アルミキ
ルド鋼板を母材鋼板とする発明例のめっき鋼板に類似し
ているが、母材鋼板組成, 熱延巻取り温度, めっき浴組
成, またはめっき後の熱処理条件のいずれかの要件(表
1中,下線付記)が本発明の規定から逸脱している例、
No.14, No.15は母材鋼板としてリムド鋼板を使用した例
である。リムド鋼板を母材鋼板とするNo.14 およびNo.1
5 の溶融アルミめっき鋼板は、525〜550℃付近ま
では、銀白色の光沢表面を保持しているが、その温度域
を越えると、めっき層の合金化により灰黒色に変化して
いる。これに対し、発明例 No.1 〜5 は、570℃の高
温域においても、めっき層表面の黒変化を生じず、Al
−Si−Fe合金層の厚みも3〜5μm程度と薄く、合
金層の成長は全く認められない。また、パイプとしての
強度および延性も良好であると共に、拡管加工に耐え得
る十分な加工性を有している。
【0025】また、比較例No.6〜13(母材鋼板はいずれ
も低炭素アルミキルド鋼板)において、No.6およびNo.7
の耐熱性(耐黒変化性)が劣るのは、母材鋼板のAl量
またはN量の過不足のため、鋼中の固溶N量が不足し、
結果としてアルミめっき層と母材鋼板との界面のバリア
ー層(AlN層)の形成が十分に行われなかったことに
よる。No.8は、母材鋼板が過剰のN量を含むため、鋼板
の時効による延性の低下が大きく、拡管加工で割れを生
じている。No.9は、良好な伸びを有していながら、拡管
加工で割れが発生している。これは、母材鋼板のC量の
不足のため、溶接熱影響部の金属組織が粗大化したこと
による。No.10 は、母材鋼板のC量が過剰のため、鋼板
の延性が低く、拡管加工において割れが発生している。
No.11 の耐熱性が低いのは、熱延巻取り温度が高過ぎた
ために、バリアー層(AlN層)の形成に必要な鋼中の
N量の不足をきたしたからである。また、No.12 で、造
管後の拡管加工における割れが発生したのは、アルミめ
っき浴のSi濃度が低過ぎたため、合金層が急激に成長
したことによる。この供試材では、拡管加工時にめっき
層の剥離・脱落も発生している。No.13 の拡管加工性が
悪いのは、アルミめっき浴のSi濃度が高過ぎること
(めっき層中に板状のSiが点在)に起因するものであ
り、拡管加工時にめっき層の剥離・脱落が観察された。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】本発明方法によれば、リムド鋼板より安
価で、加工性の良い低炭素アルミキルド鋼板を母材鋼板
として、耐熱性(耐黒変性)に優れ、かつ加工性や溶接
性を備えた溶融アルミめっき鋼板を製造することができ
る。その耐熱性の改善効果は極めて高く、約570℃な
いしそれを超える高温度域においても、めっき層表面の
黒変化を生じず、銀白色の美麗な光沢表面を安定に保持
する。しかも、従来法では、耐熱性を付与するための処
理工程として、溶融めっき後の熱処理(その熱処理は非
能率的なバッチ式焼鈍炉で行われる)の実施を必要とし
ているのに対し、本発明によれば、めっき後の熱処理を
必要とせず、更に本発明では母材鋼板として、造塊法に
代って連続鋳造法による鋳片から製造される冷延鋼板を
使用することができる等、生産能率の面で著しく有利で
あり、工業的意義は極めて大きく、溶融アルミめっき鋼
板の耐熱用途の拡大・多様化を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき鋼板の耐熱性に及ぼす母材鋼板のAlお
よびN含有量の影響を示すグラフである。
【図2】めっき鋼板の人工時効による伸びの低下量と母
材鋼板のN含有量の関係を示すグラフである。
【図3】めっき鋼板の伸びおよび加工性に及ぼす母材鋼
板のC含有量の影響を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.03〜0.08%,Si: 0.
    05%以下,Mn:0.1〜0.4%,P: 0.025
    %以下,S: 0.015%以下,Al:0.006〜
    0.012%,N:0.0030〜0.005%,残部
    Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造片である低炭
    素アルミキルド鋼を熱間圧延し、鋼板巻取りを550℃
    以下で行った熱延板を冷間圧延してなる低炭素アルミキ
    ルド鋼冷延板をめっき母材鋼板とし、母材鋼板表面にS
    i濃度3〜15%の溶融アルミめっきを行うことを特徴
    とする耐熱性、溶接性および加工性等にすぐれた溶融ア
    ルミめっき鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013512337A (ja) * 2009-12-04 2013-04-11 ポスコ 耐熱性に優れた加工用冷延鋼板及びその製造方法

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JP2013512337A (ja) * 2009-12-04 2013-04-11 ポスコ 耐熱性に優れた加工用冷延鋼板及びその製造方法

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