JPH09118551A - セメント製造方法及び製造装置 - Google Patents

セメント製造方法及び製造装置

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JPH09118551A
JPH09118551A JP7301978A JP30197895A JPH09118551A JP H09118551 A JPH09118551 A JP H09118551A JP 7301978 A JP7301978 A JP 7301978A JP 30197895 A JP30197895 A JP 30197895A JP H09118551 A JPH09118551 A JP H09118551A
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exhaust duct
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単にしかも効率良く、コーティングトラブ
ルを解消し、キルンの安定運転を可能とすると共に、ダ
イオキシンの再生成を抑制したセメント製造方法および
製造装置を提供する。 【解決手段】 都市ゴミ焼却灰などの塩素含有原料をロ
ータリキルンで焼成するセメント及びセメント系固化材
の製造において、キルン窯尻の排ガスを急冷することを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、セメント製造方
法及び製造装置、特に、都市ゴミ焼却灰などの塩素を多
量に含む原料を用いたセメント及びセメント系固化材の
製造において、コーティングトラブルやダイオキシンの
再生成を抑制したセメント製造方法及び製造装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、社会の進展に伴い、一般廃棄物及
びこれらを焼却処理する際に発生する焼却灰が著しく増
加している。都市ゴミ焼却灰のほとんどは埋立て処分さ
れているが、最終処分場である埋立地の不足や、埋立地
周辺土壌への有害物質の溶出等が深刻な社会問題になっ
ている。
【0003】都市ゴミ焼却灰の化学成分は発生源及び季
節により多少変化するが、SiO2、Al23 、Ca
O、アルカリ(Na2 OまたはK2 O)、塩素、重金属
等を含む。このような組成物を有する都市ゴミ焼却灰
は、従来、セメントの増量材として混合使用したり、透
水性のブロック用骨材又は増量材として一部使用又は開
発されつつあるが、現状では大部分がそのまま埋立て処
分されている。又、都市ゴミ焼却灰を溶融処理して重金
属の溶出が発生しないような形で減容化処分されるが、
この場合も大部分は埋立て処分されている。
【0004】さらには、これら都市ゴミ焼却灰をセメン
ト焼成原料として積極的に活用することも提案されてい
る(特公昭59−11545号、特開昭49−1319
59号)。原料として利用する都市ゴミ焼却灰には、塩
素が5〜10重量%含有されており、この値は、通常の
セメント原料中における塩素含有量の数百倍に相当す
る。この塩素は、他の原料成分と結合し、アリナイトや
カルシウムクロロアルミネートなどの主要なセメントク
リンカ鉱物を形成するが、一方で、クリンカ鉱物を形成
する塩素の割合は多くなく、残りの塩素は、キルン内で
揮散し、排気ガスと共にキルン下流側に導かれる。この
間、特に、キルン窯尻に続くダクトや予熱装置におい
て、塩素化合物がセメント原料と接触して凝縮し、ダク
ト内壁面上にコーティングを形成する。コーティングを
形成すると、通風障害やダクト詰り等を引起こし、操業
中断に至る場合もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなコーティン
グ付着問題に対して、従来、運転中に高圧空気や高圧水
を吹付けてコーティングを除去したり、又、人的に突棒
等を利用してコーティングを掻落すことが行われてい
る。しかしながら、上記方法によるコーティング除去作
業は、いずれも厳しい環境での危険作業であるほか、コ
ーティング物の系内への脱落は、キルンの安定運転を阻
害する。
【0006】また、都市ゴミ焼却灰は少量のダイオキシ
ン生成物を有する。一般に、セメント製造においては、
キルンによりダイオキシンの分解温度以上で操業される
ために、ダイオキシン生成を特に問題にする必要はな
い。しかし一方で、ダイオキシンは、300℃付近、4
70℃付近で合成されるので、排ガス中のダイオキシン
の再生成には注意する必要がある。
【0007】この発明は上記事情に鑑み、簡単にしかも
効率良く、コーティングトラブルを解消し、キルンの安
定運転を可能とすると共に、ダイオキシンの再生成を抑
制したセメント製造方法および製造装置を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、この発明のセメント製造方法によれば、都市ゴミ
焼却灰などの塩素含有原料をキルンで焼成するセメント
及びセメント系固化材の製造において、キルン窯尻の排
ガスを急冷することを特徴とする。急冷は、空冷、若し
くは水冷が好ましく、急冷により、排ガス温度を400
℃以下、好ましくは300℃以下とすることが好適であ
る。
【0009】さらに、キルン窯尻の排ガスに炭カル、ド
ロマイト、生石灰、又は、消石灰の少なくとも一種を吹
き込み急冷することができる。
【0010】また、この発明のセメント製造装置によれ
ば、都市ゴミ焼却灰などの塩素含有原料をキルンで焼成
するセメント及びセメント系固化材の製造において、キ
ルン窯尻に連通するハウジング若しくは排気ダクトに排
ガスの急冷手段を設けたことを特徴とする。排ガスの急
冷手段としては、空気、若しくは水の吹き込み手段のほ
か、炭カル、ドロマイト、生石灰、又は、消石灰の少な
くとも一種の吹き込み手段とすることができる。
【0011】急冷手段を設けたハウジング若しくは排気
ダクトに連通する排ガス下流側の排気ダクト、あるい
は、急冷手段を設けた排気ダクトに連通する排ガス上流
側の排気ダクトに粗大粒子の重力沈降部を形成すること
が好適であり、重力沈降部は、垂直の排気ダクトに形成
した拡大部であることが好ましい。
【0012】またさらに、排気ダクトにダストの分級手
段を連結し、該分級手段により、分級された粗粒ダスト
をキルンに導入する返却ダクトをさらに設けることが好
ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面に
基いて説明する。図1において、都市ゴミ焼却灰、下水
汚泥、その他産業廃棄物などに、従来周知のセメント原
料である石灰石、粘土、珪石、アルミ灰、ボーキサイト
等を調整成分材として加えた調合原料Aは、粉末状で、
又は、図示しない造粒機や成形機などにより、5〜50
mm、好ましくは、10〜30mm程度のペレットやフ
レーク状に成形され、乾燥後、キルン窯尻1aに連通す
るハウジング2からロータリキルンなどのキルン1に供
給される。調合原料Aは、キルン1でクリンカに焼成さ
れた後、クリンカクーラ6で冷却される。冷却されたク
リンカは、図示しない仕上げ工程で粉砕調整されて最終
製品であるセメント及びセメント系固化材が製造され
る。
【0014】一方、前記ハウジング2に連通する排ガス
下流側には、重力沈降部Gを有する排気ダクト3が連結
され、さらに、排気ダクト3に続いてダストの分級手段
4、集塵機5、及びファン装置7が連結されている。重
力沈降部Gは、ほぼ垂直の断面が角型、若しくは丸型の
直筒状に形成された排気ダクト3の中間部に拡大部3
a、すなわち、排気ダクトの下部3b、及び上部3cの
横断面よりも大きい拡大部3aを形成し、キルン1から
の燃焼ガスに伴われて搬送されるダスト中の粗大粒子を
分離除去してキルン1に戻すようにしたものである。
【0015】また、この発明においては、キルン窯尻1
aに連通するハウジング2若しくは排気ダクト3の下部
3bに、空気、若しくは水等を噴射して吹き込む排ガス
の急冷手段8が設けられる。排ガスの急冷手段8として
は、500℃〜800℃程度の排ガス温度を400℃以
下、好ましくは300℃以下となるようにすればよく、
その取り付け手段に制限はないが、一例として、前記ハ
ウジング2若しくは排気ダクト3の複数箇所に吹付管8
aを設け、高圧源から高圧空気、若しくは圧力水を排ガ
ス流の横断方向に吹き付けるようにすることができる。
尚、急冷手段8は、排気ダクト3の上部3cに設けるよ
うにしても良い。
【0016】このようなセメント製造装置において、キ
ルン1内で揮散し、塩素を多量に含む排気ガスは、特に
窯尻ハウジング2からダクト3間で塩素化合物が飛散ダ
ストに凝縮、吸着されて溶融状態でダクトの絞り部やダ
ンパー等で閉塞を起こしやすいが、この発明は、特に排
ガス温度を400℃以下、好ましくは300℃以下とな
るように急冷することで、揮発性物質が融点以下の付着
しにくい状態となり、排ガス下流のダクト3以下におけ
るコーティングを防止することができる。
【0017】また、都市ゴミ焼却灰は少量のダイオキシ
ン生成物を有するが、排ガスを急冷することで、ダイオ
キシンの合成温度域を短時間で通過させ、排ガス中のダ
イオキシンの再生成を抑制することができる。さらに、
前記排ガスの急冷手段8として、空気、若しくは水の吹
き込み手段のほか、炭カル、ドロマイト、生石灰、又
は、消石灰の少なくとも一種を吹き込むことにより、ダ
イオキシンを生成する化合物源である塩化水素を除去し
てダイオキシンの生成をさらに抑制することもできる。
【0018】排気ダクト3の重力沈降部Gでは排ガスの
上昇気流速度が減速され、上昇気流に乗れない排ガス中
の粗大な粒子が分離、落下してキルン1に戻される。従
って、ダスト負荷の軽減された排ガスが排気ダクト3か
ら後続の分級手段4や集塵機5などのダスト処理設備に
搬送することができる。
【0019】分級手段4は、融点以下に急冷された塩素
化合物を含むダストを微粉と粗粉に分級し、微粉を集塵
機5に送り回収すると共に、粗粉をセメント製造ライ
ン、例えば、返却ダクト9から前記ハウジング2若しく
はダクト3の下部3bに戻してキルン1内で再焼成に供
する。すなわち、前記塩素化合物を含むダストを詳細に
分析したところ、約10μm以下の微粉部分に塩素化合
物が多く存在し、粗粉部分にはそれが少なくセメント原
料として好適にそのまま再使用することができるもので
ある。尚、回収した微粉部分は、水洗等により、塩素化
合物を除去し、原料の一部として前記調合原料に加える
ことができる。
【0020】また、分級手段4としては、各種公知のも
の、例えばサイクロンなどを用いることができる。ま
た、高効率空気分級機、例えば、O−SEPA(秩父小
野田K.K製)、セパックス(F.L.スミス社製)、
セポール(ポリシウス社製)などの強制渦流式の分級機
を用いれば、サイクロン等と比較して効率的な分級が可
能であり、排ガス中のダストを極めてシャープに効率良
く微粉と粗粉に分級することができる。さらに、これら
の分級機のロータ回転数を制御することにより、分級す
る粒子の大きさをコントロールすることが可能であり、
例えば排ガス中のダストの粉末度が変わっても、容易に
分級コントロールすることができる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、この発明は、極め
て簡単な方法及び装置により、塩素を多量に含む排気ガ
スを急冷することにより、コーティングトラブルを解消
すると共に、ダイオキシンの再生成を抑制し、キルンの
安定運転を可能とする一方、排ガスダストを効率的に処
理して活用し、都市ゴミ焼却灰などの塩素を多量に含む
原料を用いて安定したセメント及びセメント系固化材を
製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 キルン 1aキルン窯尻 2 ハウジング 3 排気ダクト 3a拡大部 3b下部 3c上部 4 分級手段 5 集塵機 6 クリンカクーラ 7 ファン装置 8 急冷手段8 8a吹付管 9 返却ダクト A 調合原料 G 重力沈降部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉重 宇幹 東京都港区西新橋二丁目14番1号 秩父小 野田株式会社資源事業本部内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 都市ゴミ焼却灰などの塩素含有原料をキ
    ルンで焼成するセメント及びセメント系固化材の製造に
    おいて、キルン窯尻の排ガスを急冷することを特徴とす
    るセメント製造方法。
  2. 【請求項2】 キルン窯尻の排ガスを急冷し、排ガス温
    度を400℃以下、好ましくは300℃以下にすること
    を特徴とする請求項1記載のセメント製造方法。
  3. 【請求項3】 キルン窯尻の排ガスを空冷、若しくは水
    冷により急冷することを特徴とする請求項1若しくは2
    記載のセメント製造方法。
  4. 【請求項4】 キルン窯尻の排ガスに炭カル、ドロマイ
    ト、生石灰、又は、消石灰の少なくとも一種を吹き込み
    急冷することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の
    セメント製造方法。
  5. 【請求項5】 都市ゴミ焼却灰などの塩素含有原料をキ
    ルンで焼成するセメント及びセメント系固化材の製造に
    おいて、キルン窯尻に連通するハウジング若しくは排気
    ダクトに排ガスの急冷手段を設けたことを特徴とするセ
    メント製造装置。
  6. 【請求項6】 排ガスの急冷手段が空気、若しくは水の
    吹き込み手段であることを特徴とする請求項5記載のセ
    メント製造装置。
  7. 【請求項7】 排ガスの急冷手段が炭カル、ドロマイ
    ト、生石灰、又は、消石灰の少なくとも一種の吹き込み
    手段であることを特徴とする請求項5記載のセメント製
    造装置。
  8. 【請求項8】 急冷手段を設けたハウジング若しくは排
    気ダクトに連通する排ガス下流側の排気ダクトに粗大粒
    子の重力沈降部を形成したことを特徴とする請求項5〜
    7いずれか記載のセメント製造装置。
  9. 【請求項9】 急冷手段を設けた排気ダクトに連通する
    排ガス上流側の排気ダクトに粗大粒子の重力沈降部を形
    成したことを特徴とする請求項5〜7いずれか記載のセ
    メント製造装置。
  10. 【請求項10】 重力沈降部が垂直の排気ダクトに形成
    した拡大部であることを特徴とする請求項8若しくは9
    記載のセメント製造装置。
  11. 【請求項11】 排気ダクトにダストの分級手段を連結
    し、該分級手段により、分級された粗粒ダストをキルン
    に導入する返却ダクトをさらに設けたことを特徴とする
    請求項5〜10いずれか記載のセメント製造装置。
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