JPH09117346A - シートクッションのサスペンション構造 - Google Patents

シートクッションのサスペンション構造

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JPH09117346A
JPH09117346A JP30221295A JP30221295A JPH09117346A JP H09117346 A JPH09117346 A JP H09117346A JP 30221295 A JP30221295 A JP 30221295A JP 30221295 A JP30221295 A JP 30221295A JP H09117346 A JPH09117346 A JP H09117346A
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JP
Japan
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seat cushion
seat
pan frame
seat pad
air chamber
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Application number
JP30221295A
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English (en)
Inventor
Hiromitsu Ogasawara
絋充 小笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tachi S Co Ltd
Original Assignee
Tachi S Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 価格の上昇、大型化等を伴うことなく振動を
減衰可能とする。 【構成】 パンフレームの尻部収納部14a の開口部分
に、複数本のS ばね19を架設、張設して、S ばねを含む
パンフレーム14の着座面全面に、シートパッド16を載置
している。そして、尻部収納部14a でのパンフレーム14
とシートパッド16との間を空気室20とするとともに、オ
リフィス24を空気室に連通可能に設けることによって、
シートクッション12をエアダンパーとして機能可能とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等の床下
から伝達される振動を減衰可能とするシートクッション
のサスペンション構造に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、自動車等のシートのシートク
ッションは、シートクッションフレームにウレタンフォ
ーム等からなるシートパッドを載置し、これらを表皮等
からなるトリムカバーで一体的に被装して、着座者の尻
部、大腿部等を弾性的に支持可能に形成されている。
【0003】この種のシートクッションとして、たとえ
ば、尻部に相当する部分に複数のSばねを配置、張設し
てS ばねを含むパンフレームの全面にシートパッドを載
置した、いわゆる併設タイプが知られている。このよう
なシートクッションでは、シートパッドやS ばね等の弾
性のもとで、着座者の尻部や大腿部等に十分なクッショ
ン性が得られるため、床下から着座者に伝達される衝
撃、振動等の緩衝がはかられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車等に
おいては、その走行時に、低周波の振動が床面等に生
じ、この振動は床面等からシートクッションに伝達され
る。そして、シートクッションは、通常、3 〜5Hz 付近
に共振点を有するとされているため、この付近の振動が
シートクッションに伝達されると、シートクッションが
走行時の床面等の振動に共振する現象が生じる。
【0005】しかしながら、4 〜5Hz 付近には、着座者
の上肢、内臓等の共振点があるとされ、3 〜5Hz 付近で
のシートクッションが共振すると、その振動が着座者に
伝達されるため、自動車の走行時に発生する振動が、着
座者に不快感を与える原因となりやすい。また、S ばね
とシートパッドとの併設タイプにおいては、共振点付近
での振動伝達率が特に高くなるため、着座者に長時間伝
達されると、疲労の原因となる虞れがある。
【0006】つまり、公知のシートクッションにおいて
は、特定の共振周波数の振動を受けることによって、十
分なクッション性にも拘らず、着座者の快適性を損なう
虞れがある。
【0007】そこで、自動車等のシートのシートクッシ
ョンにおいては、この3 〜5Hz 付近の周波数領域での振
動を低減することが望まれ、その対策として、たとえ
ば、Sばね、フィッシュマウス、円錐コイルばね等を組
み合わせた支持手段にシートパッドを載置して振動を減
衰させる構成が知られている。
【0008】しかし、この構成は、3Hz 以下の振動に鋭
い共振点を持たせたものであり、いわゆる21/2・f0 以上
の周波数領域に振動減衰の要求される高級乗用車向けに
提供されているものであるため、S ばねとシートパッド
との組み合わせによりなる一般的な汎用タイプのシート
クッションには適さない。
【0009】また、X リンク等を利用したシートサスペ
ンション装置(X リンク式サスペンション)を用い、こ
のシートサスペンション装置の持つ減衰効果によって、
振動の減衰をはかる構成も知られている。しかし、この
ような別部材からなるシートサスペンション装置をシー
トに設ける公知の構成は高価となるため、その汎用性に
劣ることは避けられない。特に、シートサスペンション
装置は、シートの下方に配置されるものであるため、シ
ートの全体的な大型化を招き、トラック等の大型車に適
するとはいえ、シートの小型軽量化の要求される乗用車
等への適用は非常に困難となる。
【0010】この発明は、価格の上昇、大型化等を伴う
ことなく振動を減衰可能とするシートクッションのサス
ペンション構造の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明においては、シートパッドの周縁をパンフ
レームのフランジに密着させて、少なくとも尻部収納部
でのパンフレームとシートパッドとの間を空気室とし、
この空気室に連通するオリフィスをパンフレームに設け
ることによって、シートクッション自体を振動の減衰可
能なエアダンパーとして機能させている。
【0012】そして、この発明によれば、パンフレーム
の尻部収納部の開口部分に、複数本のS ばねを架設、張
設して、S ばねを含む着座面全面にシートパッドを載置
している。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】図1、図2に示すように、この発明に係る
シートクッションのサスペンション構造10においては、
シートクッション12が、パンフレーム14の着座面全面へ
のシートパッド16の載置、および、表皮等からなるトリ
ムカバー18によるこれらパンフレーム、シートパッドの
一体的な被装によって、着座者の尻部、大腿部等を弾性
的に支持可能に形成されている。
【0015】パンフレーム14は、たとえば、着座者の尻
部を収納可能な凹状の尻部収納部14a を対応箇所に有す
る皿形状に、鋼鈑等から折曲成形され、パンフレームの
着座面全面、つまりは上面に、ウレタンフォーム等から
なる対応形状のシートパッド16が載置されている。
【0016】なお、図1、図2に示すように、パンフレ
ームの尻部収納部14a は、たとえば、平坦な底面を有す
る平面略四角形で、前後左右の縦壁の傾斜した縦断面略
逆台形状の凹部として形成されている。
【0017】ここで、この発明においては、パンフレー
ムの尻部収納部14a の開口部分に、複数本、たとえば、
3本のS ばね19が、等間隔離反して左右方向に架設、張
設され、シートパッド16が、このS ばねを含む着座面全
面に載置されている。
【0018】そして、この発明では、図1に示すよう
に、たとえば、パンフレームの尻部収納部14a を空気の
滞留される空気室20として規定することによって、シー
トクッション12が、シートパッド16の変形に制動を掛け
ることで減衰力を得る、いわゆるエアダンパーとして機
能可能に構成されている。
【0019】このようなシートクッション12の原理およ
びその基本構成は公知であり、それ自体はこの発明の趣
旨でないため、ここでは詳細に説明しないが、その基本
構成の概略を説明すると、たとえば、図1に示すよう
に、パンフレーム14が周縁にフランジ22を有して形成さ
れ、このフランジへのシートパッド16の周縁の密着によ
って、尻部収納部14a でのパンフレーム14とシートパッ
ド16との間に、上記の空気室20が形成されている。
【0020】そして、この空気室20に連通するオリフィ
ス24を尻部収納部14a のいずれかの壁面、たとえば底面
に設け、オリフィスを介した通気の際に発生する抵抗力
により、シートパッド16の変形に対する制動力を減衰力
として確保することによって、シートクッション12がエ
アダンパーとして機能可能となっている(図1参照)。
【0021】なお、この場合、トリムカバー18の端末18
a は、その内部での気密性を高く得るために、通常、パ
ンフレーム14の下面に、全周的に接着される。
【0022】ここで、パンフレーム14に設けられるオリ
フィス24の径は、たとえば、以下のように計算によって
算出される。
【0023】このオリフィス24の径を算出する数式、算
出方法自体はこの発明の趣旨でないため、ここでは詳細
に説明しないが、オリフィスの総断面積a を a = 2{(1/μ2)・(8 / 3π)・(Ae3/2mg)・w0x01/2
λc5/2/{(1+λc2)3/4・(λc −1)} で算出し、この総断面積a[cm2]から、選定した個数に対
応するオリフィス24の径(直径)Φ[mm]を算出する方法
が、エアダンパーとして機能可能なシートクッション12
においては一般的に採用されている。
【0024】なお、数式中のλc としてオリフィス孔の
極限絞り率が、またw0として振動変位前における空気比
重量[kg/cm3]が、更にμとしてオリフィス孔からの空気
の流れの収縮係数が、それぞれ代入される。
【0025】たとえば、シートクッション12の尻部に相
当する部分、つまりはパンフレームの尻部収納部14a の
範囲において、当該範囲に付与される荷重mgが44.5Kg、
接触面積Aeが860cm2、シートパッド16の対応部分の容積
V0が8100cm3 と、それぞれに応じた数式により算出され
たと仮定し、尻部ばね定数K =31.5kg/cm 、振動変位x0
=0.5cm と共に上記数式に代入すると、オリフィス24の
総断面積a は、5.828≒5.8cm2として算出される。
【0026】そして、たとえば、オリフィス24の個数を
4個に選定した場合、その1個当たりのオリフィスの径
(直径)Φは、略13.5mmとなることがわかる。つまり、
図1、図2を見るとわかるように、この発明において
は、直径13.5mmのオリフィス24-1が、尻部収納部14a の
底面に4個設けられることになる。
【0027】このように、シートクッション12をエアダ
ンパーとして機能可能とした構成では、自動車の走行時
等での振動が床面等からシートクッション12に伝達され
ても、オリフィス24を介した通気の際の抵抗力により、
シートパッド16の圧縮変形およびS ばね19の伸縮に制動
が掛かるため、その制動力のもとで、図3に実線で示す
ように、共振周波数となる3 〜5Hz の振動が減衰され
る。
【0028】つまり、図3に実線で示すこの構成での振
動曲線と、破線で示す、エアダンパー機能を持たない従
来のシートクッションでの振動曲線とを比較するとよく
わかるように、この発明によれば、共振周波数付近での
振動伝達率を低減させることで、シートクッション12に
おける振動特性が改善されるため、共振点での振動伝達
率が十分に低減化される。
【0029】上記のように、この発明のシートクッショ
ンのサスペンション構造10においては、シートクッショ
ン12の持つエアダンパー機能によって、床面等からの振
動の減衰をはかるため、シートの全体的な大型化、重量
化および構成の複雑化を招かない。従って、シートの全
体的な小型軽量化、高さの抑制等の要求される乗用車の
シートにおいても、十分に適用可能なサスペンション構
造10が、この発明の構成によって十分に確保できる。
【0030】そして、この発明のように、パンフレーム
の尻部収納部14a の開口部分にS ばね19を張設するとと
もに、尻部収納部を空気室20として形成することによっ
て、S ばねとシートパッド16との併設された、いわゆる
併設タイプのシートクッション12に、エアダンパー機能
を持たせることが可能となる。つまり、シートクッショ
ンの汎用タイプとして知られるS ばねとシートパッドの
併設されたシートクッション12においても、シートサス
ペンション装置等の別部材を設けることなく、振動が減
衰できるため、汎用性に優れたシートクッション12がコ
ストの上昇、大型化等を伴うことなく容易に確保でき
る。
【0031】なお、上述したこの発明の実施の形態にお
いては、オリフィス24の個数が4個として例示されてい
るが、これに限定されず、他の個数としてもよい。この
場合、数式により算出された総断面積a からオリフィス
24の径を求める数式に所望の個数を代入すれば、その個
数に応じたオリフィスの径が算出できることはいうまで
もない。
【0032】ところで、このような、エアダンパーとし
て機能可能なシートクッション12においては、オリフィ
ス24以外の箇所、つまりはパンフレームのフランジ22と
シートパッド16との隙間等からの空気の漏れを確実に阻
止して、空気室20の気密性を高く維持する必要がある。
【0033】そこで、図1、図2に示すように、この発
明においては、たとえば、シートパッド16の全周の周縁
に、パンフレームのフランジ22の外周面22a と同等以上
の長さの垂れ部16a を一体に設けている。そして、図1
に示すように、フランジの外周面22a と垂れ部16a の内
面とを密着させ、たとえば、まち部18b を気密性素材と
するトリムカバー18の当該部分によって、シートパッド
の垂れ部を全周的に覆っている。
【0034】トリムカバーのまち部18b となる気密性素
材として、たとえば、通気の抑制された、いわゆる通気
率の低い塩ビレザー、皮等が利用でき、円滑な通気の可
能な通気性素材からなるかがみ部、がくぶち部との縫合
等による組み合わせによって、この発明におけるトリム
カバー18は形成されている。
【0035】このような構成によれば、パンフレームの
フランジ外周面22a とシートパッド垂れ部16a の内面と
を密着させることによって、接触面での接触面積が増大
するとともに、気密性素材からなるまち部18b によって
シートパッドの垂れ部外周面が覆われるため、シートパ
ッド周縁からの空気の漏出が十分に防止でき、空気室20
の気密性が十分に高く維持できる。
【0036】従って、シートパッドの垂れ部16a の内面
をパンフレームのフランジ外周面22a に密着させ、気密
性素材からなるまち部18b で垂れ部外周面を覆うこの構
成によれば、空気室20の気密性が十分に高く維持でき、
エアダンパーとしての効果が、シートクッション12に一
層高く確保できる。
【0037】この場合、パンフレームのフランジ外周面
22a 、シートパッドの垂れ部16a の内面の接触面間を接
着材による接着のもとで密着させるとよい。このような
構成によれば、着座者からの荷重の作用に伴うシートパ
ッド16の圧縮変形のもとでも、シートパッドの垂れ部16
a がパンフレームのフランジ外周面22a に対してずれな
いため、より確実な密着が確保でき、空気室20の気密性
が一層高く維持できる。
【0038】ここで、パンフレームのフランジ外周面22
a とのシートパッドの垂れ部16a の内面間の接着に限ら
ず、パンフレームのフランジ22の上面とシートパッド16
の対向する接触面との接着等によっても、空気室20の気
密性は高く維持できる。しかし、このような、パンフレ
ームのフランジ22の上面とシートパッド16の対向する接
触面とを接着すると、接着箇所が着座面に近く、着座者
からの荷重の作用のもとでの、シートパッドの圧縮変形
に起因する垂れ部16a の引き込み量が少なくなってしま
うため、シートパッドのたわみが小さくなり、シートク
ッション12のクッション性に悪影響を与えやすい。
【0039】これに対し、この発明の実施の形態に示す
ように、パンフレームのフランジ外周面22a とシートパ
ッドの垂れ部16a の内面とを接着すれば、接着箇所が着
座面から遠くなり、シートパッド16の圧縮変形のもとで
の垂れ部の引き込み量が十分に確保できるため、シート
パッドのたわみが十分に大きく得られる。従って、シー
トクッション12のクッション性に悪影響を与えることな
く、空気室20に高い気密性が確保できる。
【0040】なお、この実施の形態においては、トリム
カバーのまち部18b のみを気密性素材とする構成を例示
しているが、これに限定されず、たとえば、トリムカバ
ー18のかがみ部、がくぶち部を含む全範囲に、気密性素
材を使用してもよい。このような構成では、オリフィス
24以外の箇所からの空気の漏出が確実に阻止されるた
め、空気室20の気密性はより高く維持できる。
【0041】しかしながら、特にかがみ部を気密性素材
とすると、着座により、着座者の部位が気密性素材から
なるトリムカバー18に密着するため、この密着した箇所
にムレ等を生じさせるとともに、トリムカバー、ひいて
はシートクッション12の全体的な外観品質の低下を伴う
ことが避けられない。つまり、トリムカバーのまち部18
b のみを気密性素材とするこの実施の形態によれば、着
座時のムレ、外観品質の低下等を招かないシートクッシ
ョン12が容易に得られるため、実用上好ましい。
【0042】また、このような、尻部収納部14a を空気
室20とするシートクッション12においては、図4に示す
ように、尻部収納部の底面に設けたオリフィス24を、人
体の座骨の幅に近似の間隔だけ離反した左右位置にそれ
ぞれ設けるとよい。
【0043】このような構成においては、オリフィス24
により近い箇所に、着座者からの荷重の作用の際のシー
トパッド16の圧縮変形が得られるため、シートパッドの
圧縮変形に伴う、オリフィス24を介した空気室20からの
空気の流出が、ほぼ垂直の直線上で行われる(図4の二
点鎖線参照)。従って、シートパッド16の圧縮変形に伴
う、オリフィス24を介した空気室20からの空気の流出が
より円滑に行われ、エアダンパーとしての機能性が、シ
ートクッション12において一層高く維持できる。
【0044】ところで、着座者に伝達される振動周波数
は、尻部、大腿部等の振動を受ける部位、つまり、床面
等から着座者までの振動の伝達経路によって異なり、一
般に、床面での振動が8 〜20Hzであるのに対し、尻部で
3 〜5Hz 、大腿部で8 〜15Hz程度とされている。しかし
ながら、公知の構成におけるシートクッション12のエア
ダンパー効果のもとでは、尻部を中心に減衰するにすぎ
ないため、大腿部等での振動の減衰は容易に確保できな
い。
【0045】そこで、図5、図6に示す、この発明の実
施の形態の変形例のように、たとえば、空気室20をパン
フレーム14とシートパッド16との間の全範囲に形成し
て、分離手段26でこの空気室を分断し、この空気室の分
断によって分離規定されたシートクッション12の尻部支
持範囲L1と大腿部支持範囲L2とに、個別のオリフィス24
(24-1、24-2) をそれぞれ設けるとよい。
【0046】分離手段26として、たとえば、パンフレー
ム14の上面で左右方向に延びて突設された長手の突起が
利用でき、突起は、対向面、つまりはシートパッド16の
下面への当接のもとで空気室20を分断可能に構成されて
いる。
【0047】なお、この実施の形態においては、分離手
段26となる突起の挿入、係合可能な溝28が、シートパッ
ド16の下面に設けられ、溝に対する突起の挿入、係合の
もとで、空気室20が分断されている。
【0048】このように、空気室20の分断によりシート
クッション12を尻部支持範囲L1と大腿部支持範囲L2とに
分離して規定すれば、床面等から着座者までの振動の伝
達経路が2系統に明確化される。そして、尻部支持範囲
L1と大腿部支持範囲L2とにおけるエアダンパー効果は、
各範囲毎のオリフィス24(24-1、24-2) の個数、径の影響
をそれぞれ直接的に受けるため、上記の通り算出した個
数、径のオリフィスを各範囲毎に個別に設定すれば、振
動の伝達経路に適した減衰量が各範囲毎に個別に確保で
きる。
【0049】つまり、図3の実線と一点鎖線との組み合
わせからなる振動曲線を破線で示す振動曲線に比較して
見るとわかるように、尻部収納部14a (尻部支持範囲L
1)での振動の減衰に加えて、大腿部支持範囲L2での振
動の減衰が可能となるとともに、大腿部支持範囲に適し
た減衰量が、尻部支持範囲での減衰量とは別に設定でき
る。
【0050】このように、シートクッション12を尻部支
持範囲L1と大腿部支持範囲L2とに分離して規定し、これ
ら範囲毎、つまりは振動の伝達系統毎に減衰量を個別に
設定すれば、各伝達系統に応じた振動の減衰が得られる
ため、着座者の上肢、内臓等への不快な振動の伝達の抑
制に加えて、大腿部の体感性も向上される。従って、着
座者の快適性が十分に改善される。
【0051】なお、大腿部支持範囲L2に適したオリフィ
ス24-2の径は、大腿部支持範囲L1のオリフィス、つまり
は前述した尻部収納部14a のオリフィス24-1と同様の数
式、計算方法によって算出される。
【0052】たとえば、大腿部支持範囲L2において、当
該範囲に付与される荷重mgが21Kg、接触面積Aeが540c
m2、シートパッド16の対応部分の容積V0が4140cm3 と、
それぞれに応じた数式により算出されたと仮定し、大腿
部ばね定数K =21kg/cm 、振動変位x0=0.5cm と共に上
記数式に代入すると、オリフィス24-2の総断面積a は、
3.88≒3.9cm2として算出される。
【0053】そして、これを尻部支持範囲L1のオリフィ
ス24-1と同様の4個に分けると、その1個当たりのオリ
フィス24-2の径Φは、略11mmとなり、図5、図6に示す
ように、直径11mmの4個のオリフィスが、大腿部支持範
囲L2に設けられる。
【0054】ここで、この実施の形態においては、分離
手段26となる突起をパンフレーム14に突設しているが、
パンフレーム14、シートパッド16間の空気室20を分断す
れば足りるため、これに限定されず、たとえば、パンフ
レームに当接可能な突起をシートパッドの下面に突起を
設ける構成や、パンフレーム、シートパッドの双方に、
相互に係合可能な突起をそれぞれ設ける構成等としても
よい。
【0055】また、この実施の形態においては、分離手
段26となる突起の挿入、係合可能な溝28をシートパッド
16の下面に設けた構成を図示により例示しているが、パ
ンフレーム14、シートパッド間の空気室20を分断すれば
足りるため、これに限定されず、シートパッドの平坦状
の下面に突起を当接させる構成としてもよい。
【0056】しかしながら、シートパッド16の下面への
突起(分離手段)26の当接は点であるのに対し、溝28に
突起を挿入、係合させることで、その当接は面となり、
隙間のない当接が可能になるため、分離手段となる突起
をパンフレーム14に、対応する溝をシートパッドに、そ
れぞれ設けることによって、空気室20の確実な分断が容
易に可能となる。
【0057】なお、この発明は、乗用車等のシートクッ
ションのサスペンション構造として最適であるとはい
え、これに限定されず、たとえば、トラック、バス等の
他の自動車や電車、飛行機、船舶等のシートのシートク
ッションに、この発明のサスペンション構造を応用して
もよい。
【0058】上述した実施の形態例は、この発明を説明
するためのものであり、この発明を何等限定するもので
なく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施された
ものも全てこの発明に包含されることはいうまでもな
い。
【0059】
【発明の効果】上記のように、この発明に係るシートク
ッションのサスペンション構造によれば、シートクッシ
ョンの持つエアダンパー機能によって、床面等からの振
動の減衰をはかるため、シートの全体的な大型化、重量
化および構成の複雑化を招かない。従って、シートの全
体的な小型軽量化、高さの抑制等の要求される乗用車の
シートにおいても、十分に適用可能なサスペンション構
造が、この発明の構成によって十分に確保できる。
【0060】そして、パンフレームの尻部収納部の開口
部分にS ばねを張設するとともに、尻部収納部を空気室
として形成することによって、S ばねとシートパッドと
の併設された、いわゆる併設タイプのシートクッション
に、エアダンパー機能を持たせることが可能となる。つ
まり、シートクッションの汎用タイプとして知られるS
ばねとシートパッドの併設されたシートクッションにお
いても、シートサスペンション装置等の別部材を設ける
ことなく、振動が減衰できるため、汎用性に優れたシー
トクッションが、コストの上昇、全体的な大型化等を伴
うことなく容易に確保できる。
【0061】更に、シートパッドの全周の周縁に、パン
フレームのフランジ外周面と同等以上の長さの垂れ部を
一体に設けて対向面間を密着させ、少なくともまち部を
気密性素材とするトリムカバーの当該部分によって、シ
ートパッドの垂れ部を全周的に覆うことによって、空気
室の気密性がより高く維持できる。従って、エアダンパ
ーとして機能性の高いシートクッションが確保できる。
【0062】また、シートクッションを尻部支持範囲と
大腿部支持範囲とに分離して規定すれば、各範囲毎での
オリフィスの個数、径の個別の設定により、各範囲毎の
伝達系統に応じた振動の減衰が適宜得られるため、着座
者の上肢、内臓等への不快な振動の伝達の抑制に加え
て、大腿部の体感性も向上される。従って、着座者の快
適性が十分に改善される。
【0063】そして、左右方向に延びた長手の突起をパ
ンフレームの上面およびシートパッドの下面の少なくと
もいずれかに突設して分離手段とすれば、構成の複雑化
を招くことなく、空気室の分断が容易に行える。
【0064】また、左右方向に延びた長手の突起をパン
フレームの上面に突設して分離手段とするとともに、当
該突起の挿入、係合可能な溝をシートパッドの下面に設
ければ、溝に突起を挿入、係合させることで、その当接
は面となり、隙間のない当接が可能になるため、空気室
の一層確実な分断が可能となる。
【0065】更に、尻部収納部のオリフィスを人体の座
骨の幅に近似の間隔だけ離反した左右位置にそれぞれ設
ければ、シートパッドの圧縮変形に伴う、オリフィスを
介した空気室からの空気の流出が、ほぼ垂直の直線上で
行われるため、空気室からの空気の流出がより円滑とな
り、エアダンパーとしての機能性が、シートクッション
において一層高く維持できる。
【0066】また、パンフレームのフランジ外周面に対
する垂れ部内面の全周的な接着により、シートパッドの
垂れ部をパンフレームのフランジに密着させれば、着座
者からの荷重の作用に伴うシートパッドの圧縮変形に起
因する、パンフレームのフランジ外周面、シートパッド
の垂れ部間のずれが阻止されるため、より確実な密着が
確保でき、空気室の気密性が一層高く維持できる。
【0067】そして、パンフレームのフランジ外周面
と、これに対向するシートパッドの垂れ部の内面とを接
着すれば、接着箇所が着座面から遠くなり、シートパッ
ドの圧縮変形のもとでの垂れ部の引き込み量が十分に確
保できるため、シートパッドのたわみが十分に大きく得
られる。従って、シートクッションのクッション性に悪
影響を与えることなく、空気室に高い気密性が確保でき
る。
【0068】また、トリムカバーのまち部のみを気密性
素材とすれば、着座面に位置するかがみ部等に通気性の
よい素材が配置できるため、着座時のムレ、外観品質の
低下等を招かないシートクッションが容易に得られる。
従って、エアダンパーとしての機能性の低下を招くこと
なく、実用性に優れたシートクッションが確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るシートクッションのサスペンシ
ョン構造の、左右方向から見た概略縦断面図である。
【図2】シートクッションのサスペンション構造におけ
る、パンフレーム、シートパッドの概略分解斜視図であ
る。
【図3】この発明のサスペンション構造を採用したシー
トクッション、および、従来のシートクッション等にお
ける、それぞれの振動曲線である。
【図4】前後方向から見た、シートクッションのサスペ
ンション構造の概略縦断面図である。
【図5】この発明の実施の形態の変形例における、シー
トクッションのサスペンション構造の概略縦断面図であ
る。
【図6】図5のシートクッションのサスペンション構造
における、パンフレーム、シートパッドの概略分解斜視
図である。
【符号の説明】
10 シートクッションのサスペンション構造 12 シートクッション 14 パンフレーム 14a パンフレームの尻部収納部 16 シートパッド 16a 垂れ部 18 トリムカバー 18b まち部 19 S ばね 20 空気室 22 パンフレームのフランジ 22a フランジの外周面 24(24-1、24-2) オリフィス 26 分離手段(突起) 28 溝

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹状の尻部収納部を少なくとも有するパ
    ンフレームの着座面全面にシートパッドを載置し、これ
    らをトリムカバーで一体的に被装して形成されたシート
    クッションにおいて、 パンフレームの尻部収納部の開口部分に複数本のS ばね
    を架設、張設して、Sばねを含む着座面全面にシートパ
    ッドを載置し、 シートパッドの周縁をパンフレームのフランジに密着さ
    せて、少なくとも尻部収納部でのパンフレームとシート
    パッドとの間を空気室とし、空気室に連通するオリフィ
    スを尻部収納部のいずれかの壁面に設けることによっ
    て、シートクッションを振動の減衰されるエアダンパー
    として機能可能としたことを特徴とするシートクッショ
    ンのサスペンション構造。
  2. 【請求項2】 凹状の尻部収納部を少なくとも有するパ
    ンフレームの着座面全面にシートパッドを載置し、これ
    らをトリムカバーで一体的に被装して形成されたシート
    クッションにおいて、 パンフレームの尻部収納部の開口部分に、複数本のS ば
    ねを架設、張設して、S ばねを含む着座面全面にシート
    パッドを載置し、 シートパッドの周縁をパンフレームのフランジに密着さ
    せて、少なくとも尻部収納部でのパンフレームとシート
    パッドとの間を空気室とし、空気室に連通するオリフィ
    スを尻部収納部のいずれかの壁面に設けることによっ
    て、シートクッションを振動の減衰されるエアダンパー
    として機能可能とするとともに、 シートパッドの全周の周縁に、パンフレームのフランジ
    外周面と同等以上の長さの垂れ部を一体に設けて対向面
    間を密着させ、少なくともまち部を気密性素材とするト
    リムカバーの当該部分によって、シートパッドの垂れ部
    を全周的に覆ったことを特徴とするシートクッションの
    サスペンション構造。
  3. 【請求項3】 パンフレーム、シートパッド間の全範囲
    に空気室を形成し、分離手段による空気室の分断によっ
    て、当該シートクッションを尻部支持範囲と大腿部支持
    範囲とに分離して規定するとともに、所望の減衰力を得
    るに適した個数、径のオリフィスを各範囲毎に個別に設
    定した請求項1または2記載のシートクッションのサス
    ペンション構造。
  4. 【請求項4】 左右方向に延びた長手の突起をパンフレ
    ームの上面およびシートパッドの下面の少なくともいず
    れかに突設して分離手段とし、対向面への突起の当接の
    もとでの空気室の分断によって、シートクッションを尻
    部支持範囲と大腿部支持範囲とに分離して規定した請求
    項3記載のシートクッションのサスペンション構造。
  5. 【請求項5】 左右方向に延びた長手の突起をパンフレ
    ームの上面に突設して分離手段とするとともに、当該突
    起の挿入、係合可能な溝をシートパッドの下面に設け、
    溝への突起の挿入、係合のもとでの空気室の分断によっ
    て、シートクッションを尻部支持範囲と大腿部支持範囲
    とに分離して規定した請求項3記載のシートクッション
    のサスペンション構造。
  6. 【請求項6】 尻部収納部のオリフィスが、人体の座骨
    の幅に近似の間隔だけ離反した左右位置にそれぞれ設け
    られた請求項1ないし5のいずれか記載のシートクッシ
    ョンのサスペンション構造。
  7. 【請求項7】 パンフレームのフランジ外周面に対する
    垂れ部内面の全周的な接着により、シートパッドの垂れ
    部をパンフレームのフランジに密着させた請求項2ない
    し6のいずれか記載のシートクッションのサスペンショ
    ン構造。
  8. 【請求項8】 トリムカバーのまち部のみを気密性素材
    とした請求項2ないし7のいずれか記載のシートクッシ
    ョンのサスペンション構造。
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