JPH09112601A - 鉄道車両用ディスクブレーキ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダへの給油をキャリパブリッジ部に沿
わせたブリッジパイプを介して行う鉄道車両用ディスク
ブレーキであって、ブリッジパイプの飛び石からの保護
をコスト負担を減らして行えるようにすることである。 【解決手段】 キャリパ１のブリッジ部４に設ける補強
リブのうち、地の側の補強リブを７ａと７ｂの２つに分
けてブリッジパイプ８の両側に配置し、この２つの補強
リブ７ａ、７ｂと、両リブ間に生じた溝１２の入口を塞
ぐパイプカバー１６とでブリッジパイプ８を囲って保護
する。これであれば、パイプカバー１６は平板を曲げ加
工したものでよく、その加工や取付けが容易化されてコ
スト低減が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、鉄道車両用ディ
スクブレーキ、詳しくは、対向位置のシリンダに対する
給油をブリッジパイプ経由で行うタイプのブレーキを改
善の対象にし、ブリッジパイプの保護を従来品よりも有
利に行えるようにしたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】鉄道車両用ディスクブレーキで、シリン
ダへの給油をブリッジパイプ経由で行っているものがあ
る。図６及び図７にそのブレーキの従来例を示す。

【０００３】図６、７の１はキャリパである。このキャ
リパは、車両への取付部２、ブレーキピストン（図示せ
ず）を挿入したシリンダ３、ディスクＤ（図のそれは車
輪Ｗと一体）を跨いで対向位置のシリンダ３、３’を連
結するブリッジ部４を備えている。シリンダ３は、ここ
では片側に各２個設けられ、同じ側のシリンダは内部通
路で連通させている。

【０００４】図７の５は、ディスクを間にして対向配置
したパッドである。このパッド５、５をブレーキピスト
ンでディスクＤに押し当て、各パッドに加わる摩擦力を
キャリパの天の側と地の側に取付けたトルクピン６、
６’のどちらか一方で受けて車輪Ｗの制動が行われる。

【０００５】７は、ブリッジ部４の外面に設けた補強リ
ブであり、ピストンの押圧反力によるキャリパ（ブリッ
ジ部）の撓み防止のために設けられる。

【０００６】８はブリッジ部４と一体の三方継手９から
シリンダ部までの間の給油路となるブリッジパイプであ
り、ブリッジ部４の外周に、外面から浮いた状態にして
配管されている。

【０００７】そのブリッジパイプ８は、エアーブリーダ
１０（図６参照）をシリンダの天の側に接続し、ここか
らシリンダ内のエアー抜きを行う関係で図６のように地
の側に配置される。この地の側は、特に飛び石を受け易
い場所であり、そのため、ブリッジパイプ８をパイプカ
バー１１で覆って飛び石から保護する方法が採られてい
る。

【０００８】そのパイプカバー１１として、従来は、図
８に示すように、全体がＬ字状で、外周と両側の三面を
塞ぐ箱型のものが用いられていた。このパイプカバー１
１は、長手方向途中に設けた当て爪１１ｂを図６のよう
に補強リブ７の側面に当て、一端と他端に設けたボルト
座１１ａをキャリパにボルト止めする方法で装着され
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来のパイプ
カバーは、構造が複雑なため、図８の外周板１１ｃと両
側板１１ｄ、１１ｅを別々に作り、これ等を溶接するな
どして一体化していたが、この方法では、カバーの製作
に手間がかかり、製造コストが高くつく。

【００１０】また、ボルト座を２つ設け、計４本のボル
トを用いてキャリパに固定しているため、使用ボルト
数、ねじ穴加工数が増え、これもコストアップの要因と
なっていた。加えて、４本のボルトを操作するため、カ
バーの着脱にも手間がかかっていた。

【００１１】そこで、この発明は、ブリッジパイプ保護
用パイプカバーの製作コストを低減することを課題とし
ている。

【００１２】また、カバー固定用ボルトの数を減らして
コスト低減の効果をより高め、カバー着脱も容易化した
構造や、振動からのパイプ保護を図る構造も併せて提供
しようとするものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、キャリパブリッジ部に設けら
れる補強リブを厚み方向に複数に分け、この補強リブを
ブリッジパイプ配管領域の両側に配置し、このパイプ両
側の補強リブ間に生じた溝にブリッジパイプを収納し、
その溝の入口部を平板を曲げ加工して作られたパイプカ
バーで封鎖してブリッジパイプを保護するようにしたの
である。

【００１４】かかるパイプ保護構造を採用したこの発明
の鉄道車両用ディスクブレーキは、パイプカバーのキャ
リパへの固定を、カバーの一端側はキャリパとの間に差
込み嵌合部を設けてキャリパに抜き取り可能に係止さ
せ、カバーの他端側はボルト止めする構造にして行うと
より望ましい。

【００１５】また、ブリッジパイプの途中に防振ゴムを
取付け、この防振ゴムを前記パイプカバーとパイプ収納
溝の溝底とで挟持する構成にするのも望ましい。

【００１６】

【作用】ブリッジパイプの両側に配置した補強リブは、
従来のパイプカバーの側板と同じ働きをする。従って、
この発明で用いるパイプカバーは側板を必要とせず、構
造がシンプルになって簡単に安価に作れる。

【００１７】また、両側に補強リブがあると、そのリブ
でパイプカバーの横移動を拘束できるので、パイプカバ
ーの一端はキャリパとの間に差込み嵌合部を設けてキャ
リパに単に係止させ、他端のみをボルト止めする方法で
安定したカバー固定を行え、ボルトとねじ穴を各１個に
減らすことができる。そのため、コスト低減の効果が更
に高まり、カバー着脱も容易になる。

【００１８】このほか、ブリッジパイプの途中に防振ゴ
ムを取付け、この防振ゴムをパイプカバーと補強リブ間
に生じた溝底との間に挟むと、浮いた状態に配管される
パイプの途中に支持点ができてパイプ支持の安定性が高
まり、パイプ振動も防振ゴムによって減衰する。

【００１９】

【発明の実施の形態】図１乃至図５に、この発明の車両
用ディスクブレーキの実施形態を示す。

【００２０】この発明では、パイプカバー改善のために
キャリパ１の設計そのものを見直し、ブリッジ部４の部
分に設ける補強リブの配置を工夫した。

【００２１】これまでは、図６に示すように、肉厚の補
強リブをブリッジ部のディスク接線方向中心Ｃを基準に
して天の側と地の側に各１個設け、地の側の補強リブ７
はブリッジパイプ８よりも天の側に置いていたのに対
し、この発明では、地の側の補強リブを厚み方向に複数
（図は２個）に分け、この分割補強リブ７ａ、７ｂをブ
ッジパイプ配管領域の両側に配置して両側のリブ間にパ
イプ収納溝１２を生じさせた。

【００２２】また、図のブレーキにおいては、補強リブ
７ａ、７ｂのシリンダ側終端付近に横向き開口のスリッ
ト１３を対向して設け、さらに、リブの長手方向途中に
溝１２を横切る支持壁１４（いずれも図１、図４参照）
を設けている。

【００２３】さらに、三方継手９は、キャリパから独立
させたものをボルト１５で補強リブ７ａに止着し、この
三方継手９とシリンダ３の給油口との間をブリッジパイ
プ８でつないでこのパイプ８を収納溝１２内に納め、そ
の外側をパイプカバー１６で塞いでいる。

【００２４】パイプカバー１６は、収納溝１２と同程度
の幅をもつ平板を図５に示すようにＬ字状に曲げ加工し
て作られている。このカバー１６には、図５に示すよう
に、一端側に左右一対の係止片１６ａを、他端側にボル
ト座１６ｂを各々設けてあり、係止片１６ａを前述のス
リット１３に差込み、ボルト座１６ｂを図３に示すよう
に三方継手９に当ててその継手にボルト１７（これはカ
バー１個当り１本）で固定すると、カバー１６の取付け
が完了する。

【００２５】ブリッジパイプ８の長手方向途中には、ゴ
ムブッシュ１８を嵌めてある。このゴムブッシュ１８
は、図４に示す支持壁１４の中央部に切欠き凹部を設け
ておき、その切欠き凹部にブッシュの胴部を嵌め、胴部
両端の鍔を支持壁の端面に係止させて動き止めされる。
このゴムブッシュ１８が、パイプカバー１６の装着状態
下でカバー１６と支持壁１４との間に挾み込まれ、これ
により、パイプの支持安定性が高まり、パイプ振動も吸
収される。

【００２６】支持壁１４は、収納溝１２の溝底を部分的
に嵩上げし、併せてゴムブッシュ１８を動き止めする目
的で設けたが、ゴムブッシュに代えて溝１２にきっちり
嵌まるゴムブロックを用いれば、支持壁１４がなくても
同様の支持が可能である。

【００２７】なお、パイプカバー１６の一端側は、シリ
ンダ３の位置まで延伸し、シリンダの外壁にスリットを
設けてそのスリットに端縁を差込むようにしてもよく、
この場合には係止片１６ａは不要である。

【００２８】また、天の側の補強リブは、特に分割する
必要はないが、ブリッジ部の強度バランス面から、図１
のように７ｃ、７ｄの２つに分け、それ等を基準線Ｃを
中心にして７ａ、７ｂと対称配置にするのが望ましい。
このように、補強リブを分割して配置した結果、例示の
ブレーキは、同一重量での撓み量も従来品より小さくな
った。このリブの分割配置によるキャリパ鋳造上の問題
等は全くない。

【００２９】なお、従来品と同じその他の要素について
は同一符号を付して説明を省く。

【００３０】

【発明の効果】以上述べたように、この発明のディスク
ブレーキは、ブリッジパイプの保護を、そのパイプの両
側に配したブリッジ補強用リブと、リブ間の溝の入口を
塞ぐパイプカバーとで行うので、パイプカバーを簡素な
構造にしてブレーキの製造コストを下げることができ
る。

【００３１】パイプカバーの一端を差込み嵌合させるも
のはコスト低減の効果がより高く、カバーの着脱性も改
善される。

【００３２】また、ブリッジパイプに防振ゴムを嵌め、
そのゴムをカバーと溝底とで挟持するものは、ブリッジ
パイプの支持安定性が高まる上に、パイプ振動も吸収さ
れ、そのために、パイプ端の接続部が振動で緩むと云っ
た不具合も減少し、信頼性の更なる向上につながる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のブレーキの具体例を示す正面図

【図２】同上のブレーキの底面図

【図３】図１のＸ−Ｘ線部の拡大断面図

【図４】キャリパの図１Ｙ−Ｙ線部における拡大断面図

【図５】パイプカバーの斜視図

【図６】従来の鉄道車両用ディスクブレーキの一例を示
す正面図

【図７】同上のブレーキの底面図

【図８】従来ブレーキに用いられているブリッジパイプ
カバーの斜視図

【符号の説明】

１ キャリパ ３、３’ シリンダ ４ ブリッジ部 ５ パッド ６、６’ トルクピン ７、７ａ、７ｂ、７ｃ、７ｄ 補強リブ ８ ブリッジパイプ ９ 三方継手 １２ 収納溝 １３ スリット １４ 支持壁 １６ パイプカバー １６ａ 係止片 １６ｂ ボルト座 １８ ゴムブッシュ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 昭 伊丹市昆陽北一丁目１番１号 住友電気工 業株式会社伊丹製作所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダへの給油をディスクを跨ぐキャ
   リパのブリッジ部外周に沿わせたブリッジパイプを介し
   て行い、ディスクを間にして対向配置したパッドを対向
   位置の各シリンダに挿入したピストンでそれぞれ押圧し
   てディスクに摺接させる鉄道車両用ディスクブレーキに
   おいて、 キャリパブリッジ部の地の側の補強リブを厚み方向に複
   数に分け、この補強リブをブリッジパイプ配管領域の両
   側に配置し、このパイプ両側の補強リブ間に生じた溝に
   ブリッジパイプを収納し、その溝の入口部を平板を曲げ
   加工して作られたパイプカバーで封鎖することを特徴と
   する鉄道車両用ディスクブレーキ。
2. 【請求項２】 パイプカバーのキャリパへの固定を、カ
   バーの一端側はキャリパとの間に差込み嵌合部を設けて
   キャリパに抜き取り可能に係止させ、カバーの他端側は
   ボルト止めする構造にしたことを特徴とする請求項１記
   載の鉄道車両用ディスクブレーキ。
3. 【請求項３】 ブリッジパイプの途中に防振ゴムを取付
   け、この防振ゴムを前記パイプカバーとパイプ収納溝の
   溝底とで挟持したことを特徴とする請求項１又は２記載
   の鉄道車両用ディスクブレーキ。