JPH09111365A - 摺動用材料、ピストン及びその製造方法 - Google Patents

摺動用材料、ピストン及びその製造方法

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JPH09111365A
JPH09111365A JP26734195A JP26734195A JPH09111365A JP H09111365 A JPH09111365 A JP H09111365A JP 26734195 A JP26734195 A JP 26734195A JP 26734195 A JP26734195 A JP 26734195A JP H09111365 A JPH09111365 A JP H09111365A
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JP
Japan
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piston
volume
sliding
graphite
metal
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JP26734195A
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Koji Saito
浩二 斉藤
Yoshio Fuwa
良雄 不破
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/028Magnesium
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
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    • F05C2203/08Ceramics; Oxides
    • F05C2203/0804Non-oxide ceramics
    • F05C2203/0808Carbon, e.g. graphite

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  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い摺動特性と加工性を維持しつつ、耐Al凝
着性を向上させる。 【解決手段】黒鉛粉末が50〜90体積%からなる圧粉
成形体と、圧粉成形体の気孔に充填されたAl基金属及
びMg基金属の少なくとも一方の金属材料とよりなる。
黒鉛がマトリックスとなり、かつAl及び/又はMgの
体積率が小さいので、高い摺動特性と加工性を維持しつ
つ耐Al凝着性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は摺動部に用いられる
摺動用材料と、その摺動用材料から形成されたリング溝
をもつピストン及びその製造方法に関する。本発明のピ
ストンは内燃機関のピストンなどに用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】例えばディーゼルエンジン用のピストン
は、軽量化及び熱伝達性のうえからアルミニウム(A
l)を主成分とする金属から形成されている。そして特
に高い摺動特性の必要なリング溝には、Al基金属複合
材料(MMC)、ニレジスト鋳鉄などが用いられてい
る。
【0003】ところが近年のエンジンの高出力化に伴
い、ピストンリングの回転による剪断力及び高面圧が作
用してリング溝の表層部で塑性流動が発生するため、表
面の酸化膜が破壊されて新生面が露出し、ピストンリン
グとリング溝の接触部分でAl凝着が発生するという不
具合がある。このようなAl凝着を防止するためには、
摺動面に占めるAlの面積率(均一組成の場合は体積率
と同値)を50%以下とする必要があるが、繊維や固体
潤滑剤を含む従来のAl基MMCのAl体積率は一般に
70〜90%であり、このようにAl体積率が高いとA
l凝着が発生する。また繊維や固体潤滑剤を増量してA
lの体積率を50%以下とすると、鋳造の際に割れや含
浸不良による欠けなどの不具合が発生する。
【0004】そこで特開昭62−286660号公報に
は、鋳鉄粉末と黒鉛とからなる圧粉成形体の気孔にAl
系金属を充填させ、境界部に鉄とAlとの金属間化合物
を形成した複合部材が開示されている。この複合部材に
よれば、硬度の高いFe−Al金属間化合物と自己潤滑
性を有する黒鉛との共存により、耐摩耗性及び耐ヘタリ
性が高く、高温高圧摺動状態で使用される部分に用いる
のに好適である。
【0005】また特開平3−35864号公報には、T
i粉末と黒鉛からなる圧粉成形体の気孔にAlを充填さ
せた複合材料が開示されている。この複合材料は無潤滑
下で高い耐摩耗性と耐焼付性を有しているので、この複
合材料を用いて軽量な摺動部品を製造することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが特開昭62−
286660号公報に記載の複合材料では、圧粉成形体
は大部分が鋳鉄であり黒鉛は1.5体積%程度である。
したがってマトリックスは鋳鉄であり、切削加工性に劣
る。そして圧粉成形体の気孔率は20〜80%であり、
その気孔にAlが充填されているから、摺動部に占める
Alの面積率が比較的高い。そのためピストンのリング
溝などに適用した場合には、Al凝着を伴った摩耗(損
傷)が発生するという不具合がある。
【0007】また特開平3−35864号公報に記載の
複合材料では、Ti−Alの金属間化合物が生成する。
このTi−Al金属間化合物の硬度はHV180〜23
0程度とAl合金とほぼ同等であり、Al凝着を防止で
きる程度に硬くない。またTi−Al金属間化合物は、
伸びが大きいという性質をもつ。そのため摺動時に相手
材から剪断力が作用すると塑性流動が発生しやすく、ピ
ストンのリング溝などに適用した場合には、Al凝着を
伴った摩耗(損傷)が発生するという不具合がある。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、高い摺動特性と加工性を維持しつつ、耐A
l凝着性を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する第1
発明の摺動用材料の特徴は、黒鉛粉末が50〜90体積
%からなる圧粉成形体と、圧粉成形体の気孔に充填され
たAl基金属及びMg基金属の少なくとも一方の金属材
料とよりなることにある。第2発明の摺動用材料の特徴
は、第1発明の摺動用材料において、黒鉛粉末表面には
金属薄膜からなるコーティング層をもつことにある。
【0010】第3発明の摺動用材料の特徴は、上記第1
発明又は第2発明の摺動用材料において、硬質の粒子及
び硬質の繊維の少なくとも一方を1〜10体積%さらに
含むことにある。第4発明のピストンの特徴は、ピスト
ンリングが保持されるリング溝をもつピストンにおい
て、リング溝は請求項1、請求項2及び請求項3に記載
の摺動用材料から選ばれる材料から形成されていること
にある。
【0011】また第5発明のピストンの製造方法は、ピ
ストンリングが保持されるリング溝をもつピストンの製
造方法であって、成形用鋳型のリング溝を形成する箇所
に黒鉛粉末が50〜90体積%からなる圧粉成形体を保
持し、次いでAl基金属及びMg基金属の少なくとも一
方の金属材料の溶湯を用いて加圧鋳造することにより、
ピストン本体をその金属材料から形成するとともにリン
グ溝を請求項1、請求項2及び請求項3に記載の摺動用
材料から選ばれる材料から形成することにある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明にいう圧粉成形体は、黒鉛
粉末が50〜90体積%から構成されている。したがっ
て圧粉成形体の気孔率は10〜50体積%である。そし
て本発明にいう摺動用材料では、この気孔にAl基金属
及び/又はMg基金属(以下、充填金属という)が充填
されている。したがってこの摺動用材料では、黒鉛の体
積率が50〜90%となり黒鉛がマトリックスとなるの
で、相手材から剪断力が作用した際の伸びが小さく塑性
流動が発生しにくい。また摩耗により初期に滑らかな摺
動表面が形成され、かつ摺動表面の充填金属の面積率が
低いので、充填金属による凝着を防止することができ
る。
【0013】黒鉛粉末が50体積%未満では、充填金属
の体積率が高くなり充填金属による凝着が生じやすくな
る。また黒鉛粉末が90体積%を超えると、気孔中への
充填金属の充填が困難となり鋳造欠陥が生じる。製造時
の誤差を考慮して黒鉛粉末を60〜90体積%とすれ
ば、量産時の品質も維持することができるので特に好ま
しい。
【0014】黒鉛粉末の粒径は、5〜20μmの範囲と
することが好ましい。5μm未満では圧粉成形体とした
ときの気孔率がきわめて小さくなり、10体積%以上と
することが困難となる。また粒径が20μmを超える
と、圧粉成形体の気孔率は高くなるものの強度が低下す
る。黒鉛粉末表面には、金属薄膜からなるコーティング
層をもつことが望ましい。このコーティング層により黒
鉛と充填金属との結合力が向上して一体性が向上するた
め、摺動時の黒鉛の脱落を防止することができる。この
コーティング層を構成する金属としては、Fe、Mo、
Cu、Ni等が例示される。これらの金属のように充填
金属と金属間化合物を生成する金属を用いれば、黒鉛と
充填金属との結合力が一層向上する。
【0015】コーティング層の膜厚は5〜20μm程度
が好適である。コーティング層の膜厚が5μm未満であ
ると膜厚が不均一となり易く、そうなると充填金属と黒
鉛との結合力が低下して黒鉛の脱落が生じ易くなる。ま
た20μmを超えると、コーティング層を形成するため
の時間が長大となり量産性が低下する。なお、黒鉛粉末
表面にコーティング層を形成するには、スパッタリン
グ、蒸着、イオンプレーティングなどのPVD処理、あ
るいは無電解メッキなどの方法により形成することがで
きる。
【0016】本発明にいう摺動用材料には、硬質の粒子
及び硬質の繊維の少なくとも一方を1〜10体積%さら
に含むことが望ましい。これにより耐摩耗性を一層向上
させることができる。硬質の粒子としてはAl2 3
SiC、Si3 4 などのセラミックス粒子が例示さ
れ、硬質の繊維としてはアルミナ繊維、アルミナ−シリ
カ繊維、SiCウィスカーなどが例示される。なおFe
Cr、FeCrC、FeWなどの金属系硬質粒子を用い
ることも考えられるが、圧粉成形体の成形時や充填金属
の溶浸時の熱により硬度が低下する場合があるので、品
質を確保・維持するためには上記セラミックス粒子又は
セラミックス繊維を用いることが好ましい。
【0017】硬質の粒子及び硬質の繊維の少なくとも一
方の含有量としては、摺動用材料中に1〜10体積%と
される。1体積%以下では耐摩耗性を向上させるに充分
でなく、10体積%を超えて含有すると耐摩耗性は向上
するものの切削抵抗が増大するため量産性が低下する。
3〜10体積%が特に好ましい。本発明の摺動用材料に
よれば、摺動面の充填金属の面積率が10〜50%と僅
かであるので、充填金属による凝着が防止される。そし
て従来のように鉄系金属にてマトリックスが構成されて
いないので、軽量であり加工性も良好となる。そして黒
鉛粉末表面に金属薄膜からなるコーティング層を形成す
れば、充填金属と金属間化合物を形成することなどによ
り充填金属との結合力が向上するため摺動時の黒鉛粉末
の脱落が防止され、良好な摺動特性を長期間維持するこ
とができる。また硬質の粒子及び硬質の繊維の少なくと
も一方をさらに含むことにより、耐摩耗性を向上させる
ことができる。
【0018】また本発明のピストンでは、リング溝が上
記した摺動用材料から構成されている。したがって近年
のエンジンの高出力化に伴い、ピストンリングの回転に
よる剪断力及び高面圧が作用しても塑性流動が発生しに
くく、ピストンリングとリング溝とが接触する部分にお
ける充填金属の凝着が防止される。このリング溝は、別
に形成されたリング溝部をピストン本体に接合して一体
化してもよいが、以下のようにピストン本体の鋳造時に
同時に形成することが望ましい。
【0019】つまり本発明のピストンの製造方法では、
成形用鋳型のリング溝を形成する箇所に黒鉛粉末が50
〜90体積%からなる圧粉成形体を保持し、次いでAl
基金属及びMg基金属の少なくとも一方の金属材料の溶
湯を用いて加圧鋳造される。これによりピストン本体が
その金属材料から鋳造されるとともに、圧粉成形体の気
孔中に充填金属が充填され、リング溝にピストン本体と
一体的に本発明の摺動用材料が形成される。
【0020】そして黒鉛粉末表面に金属薄膜からなるコ
ーティング層を形成しておけば、鋳造時の熱によりAl
基金属及びMg基金属の少なくとも一方とコーティング
層との間に金属間化合物などが形成されることで黒鉛と
の結合力が向上し、摺動時の黒鉛粉末の脱落が防止され
る。また黒鉛粉末からなる圧粉成形体を作製する際に、
硬質の粒子及び硬質の繊維の少なくとも一方を混合して
おくことにより、ピストン及びリング溝の耐摩耗性を向
上させることができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明をさら
に具体的に説明する。 (実施例1〜5、比較例1〜2)黒鉛粉末(「MICROCAR
BO-G, NG-7」関西熱化学(株)製)を所定の型に充填
し、100MPaの圧力下400〜800℃で加熱して
黒鉛の圧粉成形体を形成した。圧粉成形体中の黒鉛の体
積率は50体積%であり、気孔率は50体積%である。
【0022】次に圧粉成形体を所定の型内に配置し、6
00〜800℃のAC8A溶湯を高圧鋳造し、気孔内に
AC8Aを溶浸させて実施例1の摺動用材料の試験片を
作製した。また、表1に示すように黒鉛粉末の体積率及
び気孔率が異なること以外は同様にして圧粉成形体を形
成し、同様にAC8Aを溶浸させて、実施例2〜5及び
比較例1〜2の摺動用材料の試験片を作製した。 (実施例6〜11)上記実施例で用いた黒鉛粉末表面
に、銅(Cu)を用いたスパッタリングによりコーティ
ング層を形成した。コーティング層の膜厚は5μmであ
る。そして、このコーティング層をもつ黒鉛粉末を用い
たこと以外は実施例1と同様にして圧粉成形体を形成
し、同様にAC8Aを溶浸させて、実施例6の摺動用材
料の試験片を作製した。
【0023】また、表1に示すようにコーティング層の
材質と、そのコーティング層をもつ黒鉛粉末の体積率及
び気孔率が異なること以外は同様にして圧粉成形体を形
成し、同様にAC8Aを溶浸させて、実施例7〜11の
摺動用材料の試験片を作製した。 (実施例12〜14)黒鉛粉末の体積%が70体積%さ
らにアルミナ(Al2 3 )粒子が3体積%となるよう
に、実施例1と同様に圧粉成形体を形成した。気孔率は
27体積%である。次にその圧粉成形体を所定の型内に
配置してAC8A溶湯を高圧鋳造し、気孔内にAC8A
を溶浸させて実施例12の摺動用材料の試験片を作製し
た。摺動用材料中に黒鉛は70体積%含まれ、AC8A
は27体積%、アルミナ粒子は3体積%含まれている。
【0024】また、実施例12と同様の圧粉成形体を用
い、表1に示すようにAC8Aとアルミナ粒子の含有量
が異なるようにしたこと以外は同様にして、実施例13
〜14の摺動用材料の試験片を作製した。 (実施例15〜17、比較例3)上記実施例1で用いた
黒鉛粉末表面に、ニッケル(Ni)を用いたスパッタリ
ングによりコーティング層を形成した。コーティング層
の膜厚は5μmである。そして、このコーティング層を
もつ黒鉛粉末の体積%が70体積%さらにアルミナ−シ
リカ繊維が3体積%となるように、実施例1と同様に圧
粉成形体を形成した。気孔率は27体積%である。
【0025】次にその圧粉成形体を所定の型内に配置
し、AC8A溶湯を高圧鋳造し、気孔内にAC8Aを溶
浸させて実施例15の摺動用材料の試験片を作製した。
摺動用材料中に黒鉛は70体積%含まれ、AC8Aは2
7体積%、アルミナ−シリカ繊維は1体積%含まれてい
る。また、実施例15と同様の圧粉成形体を用い、表1
に示すようにAC8Aとアルミナ−シリカ繊維の含有量
が異なるようにしたこと以外は同様にして、実施例16
〜17及び比較例3の摺動用材料の試験片を作製した。 (比較例4〜6)ニレジスト鋳鉄から形成された試験片
を比較例4とし、Al基MMC(アルミナ−シリカ繊維
7体積%、マトリックスAC8A)から形成された試験
片を比較例5とし、鉄粉70体積%とAC8Aが30体
積%とからなる鉄系焼結材(SKD61 70体積%、
マトリックスAC8A)から形成された試験片を比較例
6とした。 (試験)上記のそれぞれの試験片について、Al凝着特
性、摩耗特性及び加工性を試験した。
【0026】Al凝着特性は、リングオンプレートタイ
プの試験機(叩き−滑り)を用い、下記の条件で行って
凝着の有無を判定した。試験片はプレート形状であり、
相手材のリングはJIS−SUS430相当材に窒化処
理を施し、表面硬度HV1000以上に仕上げてあるも
のを用いた。 試験雰囲気温度 : 250℃ 試験荷重 : 1KN 叩き回数 : 5Hz/500回 摺動面積 : 2cm2 リング回転数 : 1rpm 潤滑 : 無し 摩耗特性は、リングオンブロックタイプの試験機(LF
W−1)を用い、下記の条件で行って摩耗量(摩耗厚
さ)を測定した。試験片はブロックとして配置され、相
手材のリングはJIS−SUS430相当材に窒化処理
を施し、表面硬度HV1000以上に仕上げてあるもの
を用いた。
【0027】 試験荷重 : 500N 試験時間 : 60分 潤滑 : 有り(エンジン油中) リング回転速度 : 1m/sec 加工性は、試験片形状を外径φ86mmの円柱の外周部
とし、下記の条件による旋削により切削抵抗を測定し
た。切削抵抗は、切削動力計により主分力、送分力及び
背分力を測定し、二乗和の平方根を計算して合成力を求
めて切削抵抗とし、各切削速度及び切込み時の切削抵抗
を平均して求めた。
【0028】 切削速度 : 100〜200m/min 切込み :0.04〜0.1mm/rev 上記の測定結果をそれぞれ表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】また実施例2、実施例4、実施例6及び実
施例8の摺動用材料の試験片を用い、試験荷重を2倍の
2KNとしたこと以外は同様にして、上記のAl凝着特
性評価試験を行い凝着の有無と黒鉛粒子の脱落の有無を
判定した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】 (評価)表1より、各実施例の摺動用材料は、比較例4
〜6の従来の材料に比べて切削抵抗が低く良好な加工性
を有していることがわかる。また摩耗量も従来に比べて
遜色なく、Al基MMC(比較例5)のようなAl凝着
も発生しないことが明らかである。
【0032】そして比較例1〜2のように黒鉛が50体
積%未満になると、Al凝着が発生し摩耗量も増大して
いる。しかし各実施例では、黒鉛が50体積%以上であ
るため、Al凝着がなく摩耗量も少ない。また実施例3
と実施例12〜14との比較から、アルミナ粉末をさら
に含有させることにより切削抵抗の増大なく、摩耗量が
格段に少なくなっていることが明らかである。
【0033】そして実施例15〜17と比較例3との比
較より、アルミナ−シリカ繊維を10体積%を超えて含
有させると切削抵抗が急激に増大することがわかり、摩
耗量を20μm未満とするためには、アルミナ−シリカ
繊維の3体積%以上の添加が必要であることもわかる。
さらに表2より、CuやFeからなるコーティング層を
黒鉛粉末に形成することにより、過酷な条件下でも黒鉛
粒子の脱落が防止されていることが明らかである。 (実施例18)上記実施例1で用いた黒鉛粉末表面に、
ニッケル(Ni)を用いたスパッタリングによりコーテ
ィング層を形成した。コーティング層の膜厚は5μmで
ある。そして、このコーティング層をもつ黒鉛粉末の体
積%が70体積%となるように、実施例1と同様にして
図1に示す圧粉成形体1を形成した。この圧粉成形体1
はリング状をなし、外周表面に外周表面を1周する断面
コ字状の溝10,11が形成されている。なお、この圧
粉成形体1の気孔率は30体積%である。
【0034】次にこの圧粉成形体1を、図2に示すよう
に一対の高圧鋳造用の金型20,21の型面に配置し、
実施例15と同様にしてアルミナ−シリカ繊維を含むA
C8A溶湯を高圧鋳造して、図3に示すディーゼルエン
ジン用ピストン3を鋳造した。このとき圧粉成形体1の
気孔内にAC8Aが溶浸され、ピストン3には実施例1
6相当の摺動用材料からなるリング溝部30が一体的に
形成された。
【0035】つまり得られたピストン3では、トップリ
ング及びセカンドリングが保持されるリング溝部30が
実施例16相当の摺動用材料から形成されているため、
切削抵抗が低く加工性に優れている。またアルミナ−シ
リカ繊維が3体積%含まれているので耐摩耗性に優れ、
AC8Aが27体積%と少なく黒鉛が70体積%含まれ
ているためAl凝着の発生もない。さらに黒鉛にはNi
のコーティング層が形成されているため、過酷な条件下
での摺動においても黒鉛粒子の脱落が防止されている。
【0036】
【発明の効果】すなわち本発明の請求項1に記載の摺動
用材料によれば、軽量であり加工性に優れるとともにA
l凝着又はMg凝着が防止され、かつ耐摩耗性を従来と
同等に維持することができる。また請求項2に記載の摺
動用材料によれば、上記効果を維持しつつ、摺動時の黒
鉛の脱落が防止されているので長期間安定した摺動特性
が得られる。
【0037】そして請求項3に記載の摺動用材料によれ
ば、請求項1に記載の摺動用材料の効果を維持しつつ、
耐摩耗性に一層優れている。また、請求項4に記載のピ
ストンによれば、リング溝が上記摺動用材料から形成さ
れているので、上記摺動用材料の効果がそのまま奏され
る。そして請求項5に記載のピストンの製造方法によれ
ば、上記摺動用材料から成るリング溝をピストンの鋳造
時に一体的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で形成された圧粉成形体の断
面図である。
【図2】本発明の一実施例で用いた高圧鋳造用金型内に
圧粉成形体を配置した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例で製造されたピストンの断面
図である。
【符号の説明】
1:圧粉成形体 20,21:金型 3:ピスト
ン 4:リング溝部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 1/09 C22C 1/09 A 21/00 21/00 E 23/00 23/00 F02F 3/00 F02F 3/00 G B 301 301B 302 302B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛粉末が50〜90体積%からなる圧
    粉成形体と、該圧粉成形体の気孔に充填されたアルミニ
    ウム基金属及びマグネシウム基金属の少なくとも一方の
    金属材料と、よりなることを特徴とする摺動用材料。
  2. 【請求項2】 前記黒鉛粉末表面には金属薄膜からなる
    コーティング層をもつことを特徴とする請求項1記載の
    摺動用材料。
  3. 【請求項3】 硬質の粒子及び硬質の繊維の少なくとも
    一方を1〜10体積%さらに含むことを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の摺動用材料。
  4. 【請求項4】 ピストンリングが保持されるリング溝を
    もつピストンにおいて、該リング溝は前記請求項1、前
    記請求項2及び前記請求項3に記載の摺動用材料から選
    ばれる材料から形成されていることを特徴とするピスト
    ン。
  5. 【請求項5】 ピストンリングが保持されるリング溝を
    もつピストンの製造方法であって、成形用鋳型の該リン
    グ溝を形成する箇所に黒鉛粉末が50〜90体積%から
    なる圧粉成形体を保持し、次いでアルミニウム基金属及
    びマグネシウム基金属の少なくとも一方の金属材料の溶
    湯を用いて加圧鋳造することにより、ピストン本体を該
    金属材料から形成するとともに該リング溝を前記請求項
    1、前記請求項2及び前記請求項3に記載の摺動用材料
    から選ばれる材料から形成することを特徴とするピスト
    ンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005031140A1 (de) * 2003-09-26 2005-04-07 Laukoetter Karl-Heinz Verfahren zur herstellung eines kolbens für verbrennungsmotoren insbesondere für einen gegenkolbenmotor nach art eines zweitaktmotors
JP2009533589A (ja) * 2006-04-08 2009-09-17 カーエス コルベンシュミット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 2つのピストンリング溝を有し、1つのピストンリング溝にピストンリング支持体が設けられている、内燃機関のためのピストン

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