JPH09111039A - 乗用車および小型トラック用タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents
乗用車および小型トラック用タイヤトレッド用ゴム組成物Info
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Abstract
おける低燃費性と、ウェット性能、耐摩耗性能、耐久性
能、電気伝導性の全てとを高次元で両立させることので
きる乗用車および小型トラック用タイヤトレッド用ゴム
組成物を提供する。 【解決手段】 天然ゴムまたはポリイソプレンゴムを少
なくとも40重量部配合してなるゴム成分100重量部
に対して、シリカ40重量部以上と、非イオン系界面活
性剤2.0〜12.0重量部と、前記シリカ量に対して
5〜25重量%のシランカップリング剤とを含み、前記
シリカのBET吸着量が150〜240m2/gである
タイヤトレッド用ゴム組成物であって、加硫後における
温度60℃で測定した損失正接(tanδ)が0.10
以下、同温度で測定した動的貯蔵弾性率(E’)が5.
0×107dyn/cm2以上、かつ100℃における
破壊エネルギー(TF)が100以上である。
Description
ゴム組成物に関し、詳しくはタイヤの低燃費性、湿潤路
面での操縦安定性(ウェット性能)、耐摩耗性、耐久性
および導電性の高度両立化を可能にする乗用車用および
小型トラック用タイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
にシリカを配合して、タイヤの低燃費性、ウェット性能
等を改善する試みは種々行われている。例えば、特開平
3−252433号、特開平3−252431号、特開
平4−224840号、特開平5−271477号、特
開平5−51484号、特開平7−1908号、特開平
7−48476号等の公報には、シリカをトレッドゴム
に用いて、低燃費性と、ウェット性能と、耐摩耗性とを
夫々高度に両立させる試みが示されている。
て、シリカとカーボンブラックの特定の組み合わせを用
いて、あるいは特定のポリマー、樹脂、薬品との組み合
わせにより、タイヤの耐久性の向上を図るとともに、耐
久性と低発熱性とを両立させる試みもなされており、か
かる試みは、例えば、特開平4−226140号、特開
平3−65406号、特開平1−31141号、特開平
1−118554号、特開平5−98074号、特開平
3−84049号等の公報に開示されている。
ドゴム組成物にシリカを配合して低燃費性、ウェット性
能、耐摩耗性の両立化を図る試みは、いずれも汎用タイ
ヤの用途に対するものであって、車両走行時のタイヤ温
度近傍の60℃での損失正接(tanδ)が0.10以
下の、耐久性が問題となるような極めて低発熱な乗用車
用や小型トラック用タイヤ用途に対するのものではなか
った。
とウェット性能を高度に両立化させるにはカーボンブラ
ックの充填量を減じ、シリカ充填量を増すことがよい
が、60℃での損失正接(tanδ)が0.10以下の
領域では、充填剤の総量が限定されるため、カーボンブ
ラックの量が少なくなり、電気伝導性が低下する。ま
た、60℃での損失正接(tanδ)が0.10以下
の、低燃費性能に特に有利な領域で低燃費性、ウェット
性能、耐摩耗性のみを追求すると、耐ピッチング性など
の耐久性の低下を招くことになる。かかる理由により、
上述する従来技術では60℃での損失正接(tanδ)
が0.10以下における低燃費性と、ウェット性能、耐
摩耗性能、耐久性能、電気伝導性の全てとを両立するこ
とは困難であった。
て、シリカとカーボンブラックの特定の組み合わせによ
り、タイヤの耐久性の向上を図るとともに耐久性と低発
熱性を両立させる試みは、従来主に大型タイヤの用途に
対してなされてきたものであり、60℃での損失正接
(tanδ)を0.10以下として低燃費性を追求する
乗用車トレッド用に関するものではなかった。また、か
かる従来技術では、ウェット性能に関しては触れておら
ず、損失正接(tanδ)が0.10以下の領域におけ
る低燃費性と、ウェット性能、耐摩耗性能、耐久性能、
電気伝導性の全てとを両立させることは困難であった。
接(tanδ)が0.10以下の領域における低燃費性
と、ウェット性能、耐摩耗性能、耐久性能、電気伝導性
の全てとを高次元で両立させることのできる乗用車およ
び小型トラック用タイヤトレッド用ゴム組成物を提供す
ることにある。
解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成とすることに
より本発明の目的を達成し得ることを見出し、本発明を
完成するに至った。すなわち、本発明の乗用車および小
型トラック用タイヤトレッド用ゴム組成物は、天然ゴム
またはポリイソプレンゴムを少なくとも40重量部配合
してなるゴム成分100重量部に対して、シリカ40重
量部以上と、非イオン系界面活性剤2.0〜12.0重
量部と、前記シリカ量に対して5〜25重量%のシラン
カップリング剤とを含み、前記シリカのBET吸着量が
150〜240m2 /gであるタイヤトレッド用ゴム組
成物であって、加硫後における温度60℃で測定した損
失正接(tanδ)が0.10以下、同温度で測定した
動的貯蔵弾性率(E’)が5.0×107 dyn/cm
2 以上、かつ100℃における破壊エネルギー(TF)
が100以上であることを特徴とするものである。尚、
ここでBET吸着量とはBET法による窒素吸着比表面
積のことであり、ASTM D4820−93aに準拠
して測定された値である。
(tanδ)が0.10以下の領域において、シリカを
用いて低燃費性、ウェット性能および耐摩耗性のみを追
求すると、動的貯蔵弾性率(E’)および100℃にお
ける破壊エネルギー(TF)が低下し、耐チッピング性
などの耐久性が低下する。従って本発明においては、6
0℃損失正接(tanδ)が0.10以下の領域でウェ
ット性能を高度に向上させ、かつ耐チッピング性等の耐
久性を確保するために、トレッドゴムの確保すべき物性
値および配合内容を所定の範囲に特定し、これにより低
燃費性、ウェット性能、耐摩耗性、耐久性の高度両立化
を可能にしたものである。さらに、カーボンブラック充
填量の減少による電気伝導性の低下を、帯電防止剤とし
て非イオン系界面活性剤を所定量配合することで防止し
たものである。
りである。タイヤトレッドゴムの低燃費性とウェット性
能を高度に両立させるには、トレッドゴムの60℃損失
正接(tanδ)を目標値以下に抑えつつ可能な限り多
量のシリカを充填させればよい。それにはゴム成分とし
てのポリマーによるヒステリシスロス発現分を抑え、シ
リカによる充填剤ヒステリシスロスを発現させる方が好
ましい。
anδ)が0.10以下の領域では摩耗入力が小さいた
め、カーボンブラックを使用しなくともカップリング剤
を使用して、ポリマーとシリカの間を補強すれば耐摩耗
性を確保することができる。かかるカップリング剤の使
用量を増加すると、シリカの分散も改良されるため、低
燃費性も改良される。このように、低燃費性、ウェット
性、耐摩耗性のみを追求すると、カーボンブラックによ
る補強が低減する。
高弾性率化すると、その結果として100℃における破
壊エネルギー(TF)が低下する。また、60℃損失正
接(tanδ)を低下させるため、総充填材料を低下し
過ぎると、60℃の動的貯蔵弾性率(E’)が低下す
る。ここで、耐ピッチング性などの耐久性は、100℃
の破壊エネルギー(TF)と、60℃損失正接(tan
δ)のどちらが低下しても低下する。従って本発明で
は、乗用車用または小型トラック用タイヤのトレッドゴ
ムとして市場性を確保するのに最低限必要な60℃動的
弾性率(E’)および100℃破壊エネルギー(TF)
を上述の如く特定した。
ー(TF)を確保する手法として、天然ゴムまたはポリ
イソプレンゴムの最低限必要な使用量、およびカップリ
ング剤の最大使用量を特定した。
なるほど、60℃の損失正接(tanδ)、動的弾性率
(E’)、100℃の破壊エネルギー(TF)、ウェッ
ト性能、耐摩耗性のいずれもが上昇する。ここで、60
℃の損失正接(tanδ)を同一にした場合には、BE
T吸着量が小なるほど低燃費性とウェット性能の両立に
好ましいが、耐久性に不利となる。また、BET吸着量
が大なるほど低燃費性と耐久性の両立に好ましいが、ウ
ェット性能に不利となる。
囲は、60℃損失正接(tanδ)が0.10以下の領
域において、ウェット性、耐久性、耐摩耗性の全てを両
立化するのに適切な範囲である。また、60℃損失正接
(tanδ)が0.10以下の領域で高度にウェット性
能を発現させるためには、総充填剤量が限定されるた
め、使用可能なカーボンブラック量が少なくなり、電気
伝導性が低下し、トレッドゴムが帯電するようになる。
本発明で用いる非イオン系界面活性剤は、帯電性を改良
するために配合するものである。
オン系、カチオン系があるが、本発明のゴム組成物には
非イオン系界面活性剤のみが特に帯電防止に最適であ
り、また、ゴムの基本物性に悪影響を与えず、ゴム用配
合剤との相互作用で悪影響がでたり、帯電防止効果がな
くなることがないのが特徴である。
剤は、従来の界面活性剤のように界面活性剤がブリード
することにより帯電防止効果を発現するものではない。
ブリードによるものであれば、表面抵抗のみが小さくな
り、体積抵抗値は変化しないが、本発明では、体積抵抗
そのものが小さくなるので、従来の界面活性剤による帯
電防止技術とは異なるものである。そのことは、表面を
溶剤で拭き取った直後も帯電防止効果があることからも
分かる。従って、本発明の帯電防止方法は、摩耗したタ
イヤトレッドにおいても効果が得られる。
R)またはポリイソプレンゴムをゴム成分100重量部
に対して少なくとも40重量部使用することを要する。
40重量部未満であると100℃の破壊エネルギー(T
F)を十分に確保することができず、耐チッピング性が
悪化する。
量部に対して、シリカを40重量部以上を含むことを要
する。40重量部未満であると、十分な低燃費性とウェ
ット性能の両立が得られない。
40m2/gの範囲内であることを要し、好ましくは1
50〜210m2/gの範囲内である。この値が150
m2/g未満だと、タイヤトレッドの耐チッピング性お
よび耐摩耗性が悪化する。一方、240m2/gを超え
ると、ウェット性能が低下する。
量に対して、5〜25重量%のシランカップリング剤を
含むことを要する。5重量%未満だと耐摩耗性が悪化す
る。一方、25重量%超えると耐チッピング性が悪化す
る。
として、一般式Y3−Si−CnH2nAで表されるも
のを挙げることができる(式中のYは、炭素数1〜4の
アルキル基、アルコキシル基、または塩素原子であって
3個のYは、同一でも異なっていてもよい。Aは−Sm
CnH2nSi−Y3 基、−X基、および−SmZ基
よりなる群から選ばれた基である。ここでXはニトロリ
基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、
塩素原子またはイミド基であり、Zは次式、 で表わされる基である。nおよびmはそれぞれ1〜6の
整数を示す)。
重量部に対して、非イオン系界面活性剤を2.0〜1
2.0重量部含むことを要する。2.0重量部未満だと
帯電性改良効果が不十分であり、一方12.0重量部を
超えても、もはやある程度までしか帯電性改良効果が得
られず、却ってコストの上昇を招き好ましくない。
る非イオン系界面活性剤として、次式、 (式中のR1は炭素数8〜25の直鎖または分岐を有す
る飽和、不飽和のアルキル基であり、m+nは1〜30
の整数である。)で表される化合物、次式、 (式中のR2は炭素数8〜25の直鎖または分岐を有す
る飽和、不飽和のアルキル基、若しくはビニル基(CH
2=CH−)、イソプロペニル基(CH2=C(C
H3)−)、アリール基であり、xは2〜30の整数で
ある。)で表される化合物、次式、 R3−O(CH2CH2O)yH (式中のR3は炭素数8〜25の直鎖または分岐を有す
る飽和、不飽和のアルキル基、若しくはアリール基であ
り、yは2〜12の整数である。)で表される化合物、
および次式、 (式中のR4は炭素数8〜25の直鎖または分岐を有す
る飽和、不飽和のアルキル基であり、a+bは1〜30
の整数である。)で表される化合物を挙げることができ
る。
加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、その他の
配合剤等が通常使用される分量で適宜配合される。
として以下の要件を満たすことを要する。すなわち、本
発明において先ずは、加硫後のゴムの60℃の損失正接
(tanδ)が0.10以下であることを要する。この
値が0.10を超えると、目的とする乗用車および小型
トラック用低燃費タイヤが得られない。
(E’)が5.0×107 dyn/cm2 以上であ
ることを要する。この値未満であると耐チッピング性が
悪化する。
ネルギー(TF)が100以上であることを要する。こ
の値未満であると、やはり耐チッピング性が悪化する。
より具体的に説明する。下記の表1〜4に示す配合内容
のゴム組成物を各種調製した。かかるゴム組成物の加硫
後の物性について下記の評価を行った。
性率(E’) 東洋精機社製スペクトロメーターを用い、幅5mm、厚
さ2mm、長さ20mmの試験片を初期荷重150g、
振動数50Hz、動歪1.0%、温度60℃にて測定し
た。
状のサンプルに対し500mm/分の速度、100℃に
て引っ張り試験を行い、各歪にて発生した応力を破壊ま
で積分した値をもって、破壊エネルギーとした。
ト社製)を使用して、加電圧500Vで測定した。数値
が小さいほど導電性となり、静電気の発生が抑制され
る。
荷重4.5kg、砥石の表面速度100m/秒、試験速
度130m/秒、スリップ率30%、落砂量20g/分
および室温とした。従来例を100として指数にて表示
した。数値が大なるほど結果が良好であることを示す。
ムとして用いて、サイズ185/65 R14なる乗用
車用ラジアルタイヤを試作して、かかる試作タイヤにつ
いて下記の性能評価を行った。
回転させ、一定速度まで上昇後、ドラムを惰行させて所
定速度での慣性モーメントから算出した。従来例を10
0として指数にて表示した。数値が大なるほど結果が良
好であることを示す。
後方向の摩擦係数)における、湿潤路面との最大摩擦力
係数を求め、従来例を100として指数にて表示した。
数値が大なるほど結果が良好であることを示す。
において80km/時走行から、タイヤをフルロックさ
せて停止するまでブレーキングする走行を10回繰り返
す試験において、チッピング発生したものを不良、発生
しなかったものを良好とした。得られた結果を下記の表
1〜4に示す。
Q *4:トクヤマ(株)製,商品名:トクシール AL−
1 *5:トクヤマ(株)製,商品名:トクシール URB *6:日本シリカ(株)製,商品名:NIPSIL K
Q *7:PPG社製,商品名:HISIL 233 *8:PPG社製,商品名:HISIL 2000 *9:デグッサ社製,商品名:Si69 *10:花王社製,商品名:KBL457 *11:リケン社製,商品名:リケマール A−23
明の乗用車および小型トラック用タイヤトレッド用ゴム
組成物は、特定のゴム成分100重量部に対して、BE
T吸着量が特定範囲内のシリカシランカップリング剤を
所定量含み、かつ加硫後における温度60℃で測定した
損失正接(tanδ)、動的弾性率(E’)および10
0℃における破壊エネルギー(TF)を所定の範囲内と
したことにより、低燃費性、ウェット性能、耐チッピン
グ性等の耐久性を高次元で両立させることができ、さら
に、非イオン系界面活性剤を所定量含有させたことで、
電気伝導性も確保することが可能である。
Claims (1)
- 【請求項1】 天然ゴムまたはポリイソプレンゴムを少
なくとも40重量部配合してなるゴム成分100重量部
に対して、シリカ40重量部以上と、非イオン系界面活
性剤2.0〜12.0重量部と、前記シリカ量に対して
5〜25重量%のシランカップリング剤とを含み、前記
シリカのBET吸着量が150〜240m2/gである
タイヤトレッド用ゴム組成物であって、加硫後における
温度60℃で測定した損失正接(tanδ)が0.10
以下、同温度で測定した動的貯蔵弾性率(E’)が5.
0×107 dyn/cm2 以上、かつ100℃における
破壊エネルギー(TF)が100以上であることを特徴
とする乗用車および小型トラック用タイヤトレッド用ゴ
ム組成物。
Priority Applications (1)
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JP29331995A JP3594150B2 (ja) | 1995-10-17 | 1995-10-17 | 乗用車および小型トラック用タイヤトレッド用ゴム組成物 |
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