JPH09110766A - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents

ビスフェノールaの製造方法

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JPH09110766A JP7272437A JP27243795A JPH09110766A JP H09110766 A JPH09110766 A JP H09110766A JP 7272437 A JP7272437 A JP 7272437A JP 27243795 A JP27243795 A JP 27243795A JP H09110766 A JPH09110766 A JP H09110766A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビスフェノールA製造時に未反応アセトンを
効率よく回収する。 【解決手段】 フェノールとアセトンとを反応させてビ
スフェノールAを製造する方法において、ビスフェノー
ルAを精製する際に分離された未反応アセトン、水およ
びフェノールを含む流出液を、クメン法フェノール製造
プロセスのクメンヒドロペルオキシドの酸分解工程に続
くアセトン精製工程及び/またはフェノール精製工程に
供給することによって反応副生水の除去及び未反応アセ
トンの回収をするビスフェノールAの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビスフェノールA
(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)
の製造法に関するものであり、詳しくは、フェノールと
アセトンとを強酸性イオン交換樹脂触媒等の触媒存在下
で反応させて得られたビスフェノールAを精製する際、
未反応アセトンを工業的有利に分離回収する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ビスフェノールAは、通常、フェノール
とアセトンとを酸性触媒の存在下に反応させることによ
り製造される。反応混合物は、ビスフェノールAの他
に、未反応フェノール、未反応アセトン、反応副生水お
よび着色物質等の反応副生物を含んでいる。
【0003】酸性触媒としては、強酸性イオン交換樹脂
が代表的である。また、強酸性イオン交換樹脂のスルホ
ン酸基の一部をメルカプト基とアミノ基とを併せ持つメ
ルカプトアルキルアミン等により中和された触媒を用い
ることにより反応成績の向上を図っている(特公昭55
−16700号公報、等)。しかしながら、反応域内に
流入および/または反応により副生する水により、イオ
ン交換樹脂触媒の活性が低下するので、反応を完結させ
ることは困難である。そこで、未反応アセトンは反応生
成水と一部のフェノールと共に反応混合物から分離され
た後、蒸留回収され再使用されている。
【0004】例えば、特公昭37−981号公報には、
反応混合物から未反応アセトン、水およびフェノールか
らなる混合物を蒸留分離し、2つの蒸留塔により水分含
有量の少ないアセトンおよび一部のフェノールを精製回
収している。この方法によると水分含有量の少ないアセ
トンおよびフェノールが回収されるが、回収のために使
用されるエネルギーが膨大になり、工業的に有利でな
い。
【0005】また、特開昭62−221650号公報に
は反応混合物から分離された未反応アセトン、水および
同伴フェノールをクメン法フェノール製造プロセスのク
メンヒドロペルオキシド酸分解工程に続く中和工程およ
び/または洗浄工程の液々分離の前工程に回収してい
る。しかしながら、この方法では中和塩含有水層を分離
除去したのち有機層に更に水を加え、これを洗浄してい
るので、洗浄のための装置が必要になり、操作も煩雑に
なる等のほか、多量の洗浄水を使用するためその後の廃
水処理等の問題が生じ、経済的でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】強酸性イオン交換樹脂
を触媒としてビスフェノールAを製造する場合には、反
応域内に流入する水が実質的に無視できる量であって
も、反応により副生する水により反応速度が次第に低下
し、95%以上のアセトン転化率を得ることは困難であ
る。例えば、通常、回分式反応にて95%以上の転化率
を得るには6時間以上要し、また、固定床流通反応では
膨大な量のイオン交換樹脂を要する。この為、アセトン
転化率は、通常、80〜95%で工業的に実施されてい
る。
【0007】未反応アセトンを回収することは経済上好
ましいが、回収アセトン中に含まれる水分量をできるだ
け少なくするためには、煩雑な分離工程と多大な設備投
資とエネルギーを必要としていた。本発明の目的は、ビ
スフェノールAを製造する際に生じる上記欠点、即ち、
未反応アセトンを経済的に回収する方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、フェノ
ールとアセトンとを反応させてビスフェノールAを製造
する方法において、ビスフェノールAを精製する際に分
離された未反応アセトン、水およびフェノールを含む流
出液を、クメン法フェノール製造プロセスのクメンヒド
ロペルオキシドの酸分解工程に続くアセトン精製工程及
び/またはフェノール精製工程に供給することにより反
応副生水の除去及び未反応アセトンの回収をすることを
特徴とするビスフェノールAの製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】ビスフェノールAは、酸性触媒の
存在下に、アセトンと化学量論的に過剰量のフェノール
を反応させて合成される。フェノールとアセトンのモル
比は、フェノール/アセトン=3〜30、好ましくは、
5〜20の範囲である。反応温度は通常、30〜100
℃、好ましくは、45〜85℃、反応圧力は、通常、常
圧〜5kg/cm2のゲージ圧で行われる。
【0010】酸性触媒としては強酸性イオン交換樹脂触
媒等の不溶性の触媒が好ましい。塩酸などを用いる場合
は、酸がクメン法フェノール製造プロセスに持ち込まれ
るので好ましくない。酸性触媒として用いられる強酸性
イオン交換樹脂は、通常、ゲル型、ポーラス型、ハイポ
ーラス型に分類される。ビスフェノールAの製造におい
てはゲル型で架橋度が1〜8%、好ましくは2〜6%で
ある遊離酸型のスルホン酸型陽イオン交換樹脂が適して
いる。特に、メルカプト基とアミノ基を併せ持つメルカ
プトアルキルアミン化合物又は2,2−ジメチルチアゾ
リジンにより部分中和された強酸性イオン交換樹脂が好
適に用いられる。メルカプトアルキルアミン化合物の具
体例としては、2−メルカプトエチルアミン、3−メル
カプトブチルアミン、N,N−ジメチル−3−メルカプ
トプロピルアミン、N,N−ジ−n−ブチル−4−メル
カプトブチルアミンなどが挙げられる。この場合の樹脂
の部分中和の割合は、通常、樹脂中のスルホン酸基に対
して、3〜30モル%、好ましくは5〜20モル%であ
る。
【0011】反応帯域から流出する反応混合物には、ビ
スフェノールAの他に、未反応アセトン、フェノール、
水および反応副生物が含まれている。未反応アセトン
は、通常、減圧蒸留により、水および少量のフェノール
と共に塔頂より除去され、塔底よりビスフェノールAを
含む液状混合物が得られる。減圧蒸留の条件は、圧力5
0〜300mmHg、温度70〜130℃の範囲が好まし
い。
【0012】更に、この液状混合物は、冷却されてビス
フェノールAをフェノールとの付加物として晶析させ、
この結晶を反応副生物を含む母液から分離した後、付加
物結晶中のフェノールを減圧蒸留等の方法によって除去
し、ビスフェノールAが回収される。クメン法フェノー
ル製造プロセスは、ベンゼンとプロピレンよりクメンを
製造するクメン製造工程、クメンを空気酸化してクメン
ヒドロペルオキシドにする酸化工程、クメンヒドロペル
オキシドを硫酸によりフェノールとアセトンに分解する
酸分解工程、酸分解反応液中の硫酸を中和する中和工
程、中和処理された反応液を有機層と水層に分液して水
層を分液除去する分液工程、フェノールとアセトンを蒸
留精製する精製工程、および各工程において分離除去さ
れた混合物よりアセトンおよびクメン等を回収する回収
工程に大別される。
【0013】本発明では、ビスフェノールA製造プロセ
スの減圧蒸留塔の塔頂から抜き出される未反応アセト
ン、水および同伴フェノールから成る混合液をフェノー
ル製造プロセス内にて分離回収する。以下、本発明を図
面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一態様を
表すフローシートである。
【0014】フェノール1およびアセトン2は強酸性イ
オン交換樹脂触媒を充填した反応器R1に連続的に供給
される。反応器R1から流出する反応混合液3は、連続
的に低沸分離塔D1に供給され、ビスフェノールAおよ
びフェノールを主成分とする塔底液4は、ビスフェノー
ルA精製工程に送られ、通常の方法により高純度のビス
フェノールAが回収される。また、塔頂流出液5はクメ
ン法フェノール製造プラントの粗アセトン塔(粗アセト
ンを得る蒸留塔)D2に送られる。塔頂流出液5の組成
は、反応器R1でのアセトン転化率および低沸分離塔D
1の設計及び運転条件等により異なるが、一例を挙げる
と、アセトン19重量%、フェノール7重量%、水74
重量%およびメシチルオキシド等の不純物0.1重量%
以下である。
【0015】一方、フェノール製造プラントにおいて
は、クメンを空気酸化後、濃縮されたクメンヒドロペル
オキシドを主成分とする反応混合物6は硫酸7と共に酸
分解反応器R2に送られ、フェノールとアセトンが生成
する。酸分解生成物8は中和槽Nに送られ、アルカリ水
溶液9にて硫酸を中和した後、液々分離器Sで中和塩を
含む水層12が除去される。中和の際には、アルカリ水
溶液9の量が過剰または過少とならないようにすること
が好ましい。
【0016】有機層11はビスフェノールA製造プロセ
スより送られてきた低沸分離塔流出液5と共に粗アセト
ン塔D2に送られ、フェノールよりも低沸点の物質類が
粗雑に分離され、低沸点副生物および水を含む粗アセト
ン13が塔頂より回収される。低沸分離塔流出液5と有
機層11の混合割合は、ビスフェノールAおよびフェノ
ールのそれぞれの製造能力等により異なるが、通常、前
者と後者の重量比率は1:10〜1:100の範囲内に
ある。
【0017】更に、粗アセトン13は製品アセトン塔
(精製アセトンを得る蒸留塔)D3に送られ、アルカリ
水溶液17の存在下で蒸留されて製品アセトン15が得
られる。また、塔底液16は低沸回収系に送られる。粗
アセトン塔底液14は、製品フェノール塔(精製フェノ
ールを得る蒸留塔)D6の塔底液24および塔頂液25
と共に粗フェノール塔(粗フェノールを得る蒸留塔)D
4に送られ、高沸不純物19を除去した後、水抽出塔D
5に送られる。水抽出塔D5では水22を供給しなが
ら、未反応クメンおよびαーメチルスチレン等の不純物
が塔頂液20として除去され、通常は未反応クメンを回
収するために前段の適当な位置にリサイクルされる。ま
た、塔底液21は製品フェノール塔D6に送られ、製品
フェノール23がサイドカットされる。
【0018】また、図2及び図3は未反応アセトン、水
及びフェノールを含む流出液5を図1と異なる箇所に供
給したプロセスフローであるが、クメンヒドロペルオキ
シドの酸分解工程に続くアセトン精製工程或いはフェノ
ール精製工程に供給することに変わりはなく、本発明の
実施態様の具体例を示すものである。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。尚、例中、%は特記のない限り重量%を示
す。また、ビスフェノールA、フェノールおよびアセト
ン等の含有量は高速液体クロマトグラフィーおよびガス
クロマトグラフィーを用いて定量した。
【0020】実施例1 (ビスフェノールAの合成および未反応アセトンの回
収)内径70mm、高さ2000mmのジャケット付き
ステンレス製充填層式反応器にH型のスルホン酸型イオ
ン交換樹脂[三菱化学〓製、商品名ダイヤイオンSK−
104H(ゲル型、架橋度4%)]を2−メルカプトエ
チルアミンにてスルホン酸基の20%を中和させた触媒
5Lを充填した。次に、75℃にて反応器入口よりフェ
ノールを流通させてイオン交換樹脂を脱水した。
【0021】フェノールとアセトンとの混合物(フェノ
ール/アセトン=10モル/1モル)を反応器の触媒層
温度を75℃に保ちながら、液空間速度1hr-1にて流
通させた。反応器より流出する反応混合物を分析したと
ころ、アセトン転化率85%、ビスフェノールA選択率
94%であった。次いで、上記反応混合液を3mmのコイ
ルパックを充填した内径40mmの蒸留塔にて、圧力20
0mmHg、温度145℃で蒸留し、未反応アセトン3
2%、水59%及びフェノール9%からなる回収アセト
ン混合物を得た。
【0022】(アセトンおよびフェノールの精製)上記
操作にて得た回収アセトン混合物1重量部に対しクメン
法フェノール製造プラントの粗アセトン塔供給液40重
量部を混合し、アセトン33%、フェノール41%、水
11%およびその他不純物15%の組成から成る有機層
を得た。次に、3mmのコイルパックを高さ1200mmに
充填した内径40mmの充填塔を用いてアセトンおよびフ
ェノールの蒸留精製を行った。
【0023】上記有機層を常圧、190℃にて蒸留し、
塔頂より粗アセトンを、塔底よりフェノールおよび不純
物から成る混合液を得た。塔頂流出液は10%水酸化ナ
トリウム水溶液を添加しながら650mmHg、90℃にて
蒸留を行い、塔頂より製品アセトン11.5重量部を得
た。塔底液は500mmHgの減圧下、200℃で蒸留し高
沸不純物を除去した後、水抽出蒸留精製を行い、塔底液
を得た。次に、再度、塔底液を450mmHg減圧下、16
5℃で蒸留し、塔頂より製品フェノール14.3重量部
を得た。
【0024】(回収アセトンおよびフェノールの品質確
認)上記操作により得られた製品アセトンの純度を定量
したところ、99.96%、全不純物量0.04%で製
品規格値を満足していた。同様に、製品フェノールの純
度は99.99%、全不純物量0.01%で製品規格値
を満足していた。さらに、このアセトンとフェノールを
原料として用いて、前述の反応条件によりビスフェノー
ルAの合成反応を実施したところ、アセトン転化率85
%、ビスフェノールA選択率94%であった。
【0025】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ビスフェノール
Aの反応混合物より分離された未反応アセトン、水およ
び同伴するフェノールの混合物をクメン法フェノール製
造プロセスにおいて分離回収することができる。フェノ
ール製造プロセス側におけるエネルギー負担は、アセト
ンとフェノールの流量が若干増加する程度の最小限で済
み、ビスフェノールA製造プロセス内に未反応アセトン
の回収及び反応副生水の除去を目的とする蒸留塔などの
専用設備が不要になる。本発明によるとエネルギー消費
量および設備費の双方において、従来より経済的有利に
未反応アセトンを回収することができる。また、フェノ
ール製造プロセスにて分離回収を行なうことにより、反
応副生水と共沸するフェノールを経済的に回収すること
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様を示すフローシートである。
【図2】本発明の別の一態様を示すフローシートであ
る。
【図3】本発明のさらに別の一態様を示すフローシート
である。
【符号の説明】
R1 強酸性イオン交換樹脂塔(反応器) D1 低沸分離塔 R2 酸分解反応器 N 中和槽 S 液々分離器 D2 粗アセトン塔 D3 製品アセトン塔 D4 粗フェノール塔 D5 水抽出塔 D6 製品フェノール塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 45/82 C07C 45/82 49/08 9049−4H 49/08 J // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノールとアセトンとを反応させてビ
    スフェノールAを製造する方法において、ビスフェノー
    ルAを精製する際に分離された未反応アセトン、水およ
    びフェノールを含む流出液を、クメン法フェノール製造
    プロセスのクメンヒドロペルオキシドの酸分解工程に続
    くアセトン精製工程及び/またはフェノール精製工程に
    供給することにより反応副生水の除去及び未反応アセト
    ンの回収をすることを特徴とするビスフェノールAの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 未反応アセトン、水およびフェノールを
    含む流出液を粗アセトン塔の入口に供給する請求項1に
    記載のビスフェノールAの製造方法。
  3. 【請求項3】 未反応アセトン、水およびフェノールを
    含む流出液を製品アセトン塔の入口に供給する請求項1
    に記載のビスフェノールAの製造方法。
  4. 【請求項4】 未反応アセトン、水およびフェノールを
    含む流出液を水抽出塔の塔頂に供給する請求項1に記載
    のビスフェノールAの製造方法。
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