JPH09110418A - ゾル溶液及び膜形成方法 - Google Patents

ゾル溶液及び膜形成方法

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JPH09110418A
JPH09110418A JP28632795A JP28632795A JPH09110418A JP H09110418 A JPH09110418 A JP H09110418A JP 28632795 A JP28632795 A JP 28632795A JP 28632795 A JP28632795 A JP 28632795A JP H09110418 A JPH09110418 A JP H09110418A
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film
fine particles
magnesium
organic solvent
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JP28632795A
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Satoshi Mitamura
聡 三田村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 交流型プラズマディスプレイの誘電体保護層
の形成方法に関して、高価な設備を導入することなく、
大面積基板上に成膜することができ、又、その膜は、膜
強度、密着性、透明性、保護作用等の優れた膜特性を有
し、従来の真空系プロセスを用いずにゾル−ゲル法プロ
セスから形成可能なコーティング・ゾル溶液を提供する
こと。 【解決手段】 水酸化マグネシウムの微粒子の凝集物
を、水酸基含有有機化合物を少なくとも1種含む有機溶
媒中に分散させてなることを特徴とするゾル溶液、及び
該ゾル溶液を使用する膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゾル溶液及び膜形
成方法に関し、特に交流型プラズマディスプレイにおけ
る誘電体層の保護層の形成に有用であるゾル溶液及び膜
形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、CRTに代わるフラットパネルデ
ィスプレイの研究開発が活発に行われている。その中
で、放電に伴う発光現象をディスプレイに利用する、い
わゆるプラズマディスプレイは、電極(主としてIT
O)の構造から、放電空間に金属電極が露出している直
流型と、金属電極が誘電体層で覆われている交流型とに
大別され、後者の交流型プラズマディスプレイでは、真
空系を用いた薄膜プロセスとスクリーン印刷法による厚
膜プロセスの両方を用いることにより、一部実用化も始
まっている。
【0003】このプラズマディスプレイを大画面のカラ
ーテレビに用いる場合には、高輝度化を図るうえでメモ
リー機能を有することが必要であり、その点においては
交流型プラズマディスプレイは、誘電体層上の保護層に
蓄積された電荷に起因するメモリー機能を本質的に有す
るため、大型化に対応可能な方式と考えられている。保
護層材料としては、2次電子放出効率が高く、耐スパッ
タ性に優れた酸化マグネシウムが用いられており、現在
ではフルカラーの交流型プラズマディスプレイにおいて
1.5万時間の寿命を達成し、対角21インチのパネル
が市販されるに至っている。
【0004】この保護層の形成方法は、薄膜法としてE
B蒸着法、スパッタ法、CVD法等(特公昭60−42
579号公報、特公昭63−59221号公報)があ
り、厚膜法として、酸化マグネシウム原料である塩基性
炭酸マグネシウムをスプレーコート法により基板上に厚
膜を形成した後、焼成して金属酸化物とする方法(特公
昭57−13983号公報)や、酸化マグネシウム微粉
末を、焼成後に酸化物となる液体バインダーに分散さ
せ、酸化マグネシウム含有膜とする方法(特公平6−2
83020号公報)も考えられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記各方法のうち、E
B蒸着法やスパッタ法、CVD法等の真空プロセスを用
いた方法は、プラズマディスプレイのような大きなパネ
ル基板を真空チャンバー内に収容するのは困難であり、
大画面化を想定した場合、設備費や生産性の点で問題が
あった。
【0006】又、厚膜法は、手軽な方法であることから
鋭意検討がなされてきたが、満足できる性能を達成する
には至っていなかった。その理由としては、市販された
酸化マグネシウム微粒子は凝集性が高く、有機溶媒中へ
の分散が困難であり、均一性の高い保護層が得られない
こと、そのために通常の熱処理プロセスでは、形成され
る酸化マグネシウム膜が、膜強度、密着性、透明性等に
おいて不十分であること、又、膜の焼成時に膜に亀裂が
生じること等である。従って、このような保護層を用い
た場合、本来の誘電体層の保護膜としての機能を十分に
発揮することができない。
【0007】又、ペースト中に分散している酸化マグネ
シウム微粒子自体の粒子径が大きく、ペースト自体の粘
度も大きいため、保護層の薄膜化が困難となり、これに
伴って放電開始電圧や駆動電圧の低電圧化を充分に達成
できないという問題も生じた。本発明は、上記事情に鑑
みてなされたものであって、従来技術が有していた前述
の欠点を解消し、真空系プロセスに見られるような高価
な設備を必要とせずに大面積のパネル上に成膜すること
ができ、又、その膜は膜強度、密着性、透明性、保護作
用等の優れた膜特性を有し、更にその膜を使用した場合
に放電開始電圧や駆動電圧(消費電力)の低下が図られ
る保護層を形成することができるゾル溶液及び膜形成方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、水酸化マグネシ
ウムの微粒子の凝集物を、水酸基含有有機化合物を少な
くとも1種含む有機溶媒中に分散させてなることを特徴
とするゾル溶液、及び該ゾル溶液を使用する膜形成方法
である。
【0009】上記本発明によれば、例えば、交流型プラ
ズマディスプレイにおける保護層を水酸化マグネシウム
微粒子からなる特定のゾル溶液から形成することによっ
て、真空系プロセスに見られるような高価な設備を必要
とせずに大面積のパネル上に成膜することができ、又、
その膜は膜強度、密着性、透明性、保護作用等の優れた
膜特性を有し、更にその膜を使用した場合に放電開始電
圧や駆動電圧(消費電力)の低下が図られる交流型プラ
ズマディスプレイが提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を詳細に説明する。本発明のゾル溶液は、水酸化
マグネシウムの微粒子の凝集物を、水酸基含有有機化合
物を少なくとも1種含む有機溶媒中に分散させたゾル溶
液である。上記水酸化マグネシウム微粒子の凝集物は、
水の存在下において水酸化マグネシウムとなるマグネシ
ウム化合物を、適当な触媒によって水酸化マグネシウム
に加水分解することによって生じ、これを生成媒体から
取り出すことによって得られる。
【0011】水酸化マグネシウム微粒子の凝集物の調製
例の1例を以下に示す。 表1:水酸化マグネシウム微粒子の凝集物の調製例 純水 200重量部 酢酸マグネシウム(四水和物) 21重量部 アンモニア水(28容量%) 6重量部 上記表1に示すような組成物を含む混合溶液を1時間、
常温で撹拌することにより水酸化マグネシウム微粒子が
凝集した沈殿物が生成する。これを適当な方法でその生
成媒体である水から分離して水酸化マグネシウム微粒子
の凝集物が得られる。
【0012】以上の例は1例であり、一般的には、使用
するマグネシウム化合物は、水の存在下に水酸化マグネ
シウムを生じるマグネシウム化合物であればいかなるマ
グネシウム化合物でもよく、又、触媒は、これらのマグ
ネシウム化合物を加水分解を促進するものであればいか
なるものでもよい。触媒については、マグネシウム化合
物がマグネシウム塩である場合、塩基性化合物が用いら
れ、マグネシウム化合物1当量に対して等量以上、好ま
しくは1〜5当量程度使用する。この触媒が上記例のよ
うにアンモニア水の如く水溶液である場合には、アンモ
ニア水溶液中の水分は上記表における水分として使用す
ることができる。
【0013】マグネシウム化合物については、表中の酢
酸マグネシウムの代わりに、例えば、塩化マグネシウ
ム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムに代表される
強酸マグネシウム塩、又は燐酸マグネシウム、燐酸水素
マグネシウム、燐酸二水素マグネシウム、炭酸マグネシ
ウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸水素マグネシウ
ム、ギ酸マグネシウムに代表される弱酸マグネシウム
塩、或いはステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マ
グネシウムに代表されるような脂肪族カルボン酸マグネ
シウム塩を用いてもよい。
【0014】又、上記アンモニア水中のアンモニアは、
水酸化マグネシウムの生成を促進させる触媒としての機
能を担うが、このアンモニアの代わりに、酢酸アンモニ
ウム、アミド硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭
酸水素アンモニウム、硼酸アンモニウム、クエン酸二ア
ンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸水素二アン
モニウム、燐酸三アンモニウム、ギ酸アンモニウム、酒
石酸アンモニウムに代表される各種アンモニウム塩、又
はヒドロキシルアミン、エタノールアミン、メタノール
アミンに代表されるアミン類を用いてもよい。特にアン
モニア水は、ゾル溶液中への不純物の混入が少ないの
で、本発明の目的に特に好ましい。
【0015】前述のようにして生成した水酸化マグネシ
ウム微粒子が凝集した沈殿物を含む混合溶液から、水酸
化マグネシウム微粒子の凝集物を分離する方法は特に限
定されず、例えば、濾過、デカンテーション、遠心分離
等、任意の方法でよい。尚、前記表1において生成した
水酸化マグネシウム微粒子の凝集物の分離には、冷却遠
心分離装置((株)久保田製作所製 モデル7930)
を用いた。
【0016】以上の如くして得られた水酸化マグネシウ
ム微粒子の凝集物は、水酸基含有有機化合物を少なくと
も1種含む有機溶媒中に分散させて本発明のゾル溶液を
得る。水酸化マグネシウム微粒子の凝集物を分散させる
上記有機溶媒の量は任意に設定可能であるが、このパラ
メーター設定値により塗布膜厚が制御されるので注意を
要する。例えば、得られるゾル溶液の塗布適性を考慮し
て、分散媒体である有機溶媒は水酸化マグネシウム微粒
子100重量部当たり500〜1500重量部の割合で
使用することが好ましい。固形分が低過ぎると、緻密で
且つ連続した保護層が形成されにくく、又、固形分比が
高過ぎると、微粒子の凝集沈澱が生じたり、形成される
保護層の均一性が低下する傾向にあるので好ましくな
い。ゾル溶液の1例を下記表2に示す。
【0017】 表2:ゾル溶液の調製例 水酸化マグネシウム微粒子の凝集物 1重量部 エタノール 10重量部 凝集物の分散方法は、単なる撹拌、強制撹拌、ボールミ
ル、サンドミル、超音波分散等の慣用の分散手段でよ
く、これらの分散手段によって容易に均一なゾル溶液が
得られる。尚、表2における組成物の分散は、超音波装
置(日本精機(株)製 MODEL US−300T)
を用いた。
【0018】ゾル溶液の分散媒体としての上記エタノー
ルは、一例であって、少なくとも1個の水酸基を有する
有機化合物、又は、これを少なくとも1種含有する有機
溶媒であればよい。例えば、上記エタノールに代えて、
メタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルア
ルコール、1−ブタノール、2−ブタノールに代表され
る1価のアルコール、又はエチレングリコール、ジエチ
レングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキ
シエタノール、トリエチレングリコールに代表される2
価のアルコール及びその誘導体、或いはグリセリンに代
表されるような3価以上の多価アルコール、フェノー
ル、クレゾール等の芳香族化合物、そして更にこれらの
混合溶媒、或いはこれらの水酸基含有有機溶媒の少なく
とも1種を含む有機溶媒を用いてもよい。
【0019】本発明においては、簡単な分散手段によっ
て前記水酸化マグネシウム微粒子の凝集物が、前述の如
き有機溶媒中に容易に分散する理由としては次の如く考
えられる。即ち、水酸化マグネシウム微粒子の凝集物
を、水酸基含有有機溶媒中に分散させると、水酸基含有
有機溶媒が、その水酸基によって、例えば、水素結合等
の如き状態で個々の水酸化マグネシウム微粒子凝集物
(二次凝集体)に結合、配位或いは吸着し、個々の水酸
化マグネシウムの微粒子は、その微粒子表面に前記の水
酸基含有有機溶媒からなる一種の保護膜が形成された微
粒子となり、この保護膜の存在により、ゾル溶液の分散
媒体である有機溶媒との親和性が向上し、且つ有機溶媒
中における微粒子同士の凝集が抑制され、微粒子が容易
に安定に有機溶媒中に分散するものと考えられる。この
効果だけで考えれば、水酸基を有する有機化合物ならば
全て適用性があるが、ゾル溶液塗布後の乾燥及び焼成工
程において有機溶媒を除去して純粋な酸化マグネシウム
膜を作製するためには、ゾル溶液の有機溶媒としては比
較的低沸点の水酸基含有有機溶媒を用いるのが好まし
い。
【0020】又、前述のゾル溶液の溶媒としては、前述
のアルコール系有機溶媒の代わりに、水の使用、或いは
水酸基を有しない溶媒、例えば、トルエン、ヘキサン等
を使用すると、水酸化マグネシウム微粒子は溶媒中に安
定して分散することが困難となり、凝集沈殿が生じ易く
なるので、ゾル溶液の溶媒としては、前記の如き水酸基
を有する有機溶媒、又はこれを少なくとも1種含有する
有機溶媒の使用が好ましい。
【0021】以上の考察を裏付ける実験結果として、本
発明及び後述の比較例1で使用する各ゾル溶液の特性結
果を表3に示す。 表3:各種ゾル溶液の特性結果 試 料 平均粒度 固形分比 経時安定性 実施例 873nm 0.9重量% 良好 比較例1 測定不可 2.0重量% 不良 比較例1のゾル溶液は、表1の水酸化マグネシウム微粒
子の凝集物を、エタノールの代わりに純水中に分散させ
て調製したゾル溶液である。
【0022】特性評価方法として、ゾル溶液中の微粒子
の平均粒度は、レーザーパーティクルアナライザー(大
塚電子(株)製 PAR−III)を用い、ピンホールφ
0.2の条件で測定評価した。又、固形分比について
は、各ゾル溶液の一定重量をサンプル管に入れ、これを
120℃、3時間で乾燥した後の残物の重量濃度で評価
した。更に、経時安定性については、各ゾル溶液調製
後、1日静置して沈殿物生成が起こるかどうかで評価し
た。
【0023】次に本発明のゾル溶液によって膜を形成す
る方法を、図面に示す交流型プラズマディスプレイの製
造を例として説明する。図1は、本発明を適用した好ま
しい実施形態の面放電方式の交流型プラズマディスプレ
イの概略構造を示す図である 図1において、符号1、2は、それぞれガス放電空間3
を挟んで互いに平行に対向配置された前面基板及び背面
基板である。これらの前面基板1と背面基板2とは所定
厚さのガラスから構成されている。
【0024】背面基板2に対向する前面基板1の面に
は、X電極4a及びY電極4bからなる電極対が形成さ
れている。これら電極対はガラス製の誘電体層5で被覆
されており、更にこの誘電体層5は、前記本発明のゾル
溶液を塗布し、乾燥及び焼成して形成された酸化マグネ
シウム膜からなる保護層6で被覆されている。又、前面
基板1に対向する背面基板2の面には、アドレス電極
7、障壁8及び蛍光体層9が形成されている。更に、必
要に応じて前面基板1上には反射防止層として、例え
ば、二酸化チタン膜(高屈折率層)10、及び二酸化ケ
イ素膜(低屈折率層)11が形成されている。
【0025】図2は、本発明を適用した対向放電方式の
交流型プラズマディスプレイの概略構造を示す図であ
る。図2において、背面基板2に対向する前面基板1の
面には、X電極4aが形成され、該X電極4aはガラス
製の誘電体層5で被覆されており、更にこの誘電体層5
は、後述するゾル溶液から形成された酸化マグネシウム
からなる保護層6で被覆されている。又、前面基板1に
対向する背面基板2の面には、Y電極4b、誘電体層
5、前記と同様にして形成された保護層6、及び障壁8
と蛍光体層9が形成されている。更に、必要に応じて前
面基板1上には反射防止膜層として、例えば、二酸化チ
タン膜(高屈折率層)10、及び二酸化ケイ素膜(低屈
折率層)11が形成されている。
【0026】ゾル溶液の前記誘電体層上への塗布方法
は、任意の方法でよく、例えば、スピンコート法、ディ
ップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、メ
ニスカスコート法、バーコート法、カーテンフローコー
ト法、ビードコート法、流延法等の種々の塗布法を適用
することができる。
【0027】塗布によって形成された湿潤塗膜を乾燥及
び焼成を施すことによって、保護層である透明な酸化マ
グネシウム膜が形成され、該膜は誘電体層5に対して強
い密着性を示す。上記乾燥は湿潤被膜中の有機溶媒成分
が実質的に揮散する温度及び時間で行えばよく、例え
ば、約200〜300℃程度の温度で約1〜3時間程度
行えば十分である。又、焼成は約350〜550℃程度
の温度で約1〜5時間程度行うことが好ましい。焼成条
件が厳しすぎると誘電体層の軟化に起因する該保護層の
剥離又はクラック等の問題があり、一方、焼成が不十分
であると所望の特性を有する保護層が形成されない。
又、乾燥と焼成は連続的に行うことが好ましいが、別途
分けて行ってもよい。尚、後記の実施例においては、乾
燥及び焼成を300℃で1時間、更に400℃で1時間
と連続して行った。
【0028】本発明において、以上の如く形成された酸
化マグネシウム膜からなる保護層の表面の微粒子構造を
示す走査型電子顕微鏡写真(倍率5万倍、使用機器:日
本電子(株)製S−800)を図3に示す。比較とし
て、真空蒸着法により作製した、後述の比較例3の場合
の保護層表面の写真を図4に示す。測定条件は、加速電
圧5kV、試料間距離5mm、ビームモニター絞り2
番、対物可動絞り3番とした。図3によれば、本発明に
おける酸化マグネシウム膜からなる保護層は、その表面
の微粒子が粒状の微粒子形状を有し、平均粒子径30n
mの緻密な連続膜である。微粒子形状がフレーク状で、
平均粒子径200nmの真空蒸着法による酸化マグネシ
ウムの場合(図4参照)と比較して、膜の表面形態は明
らかに異なるものである。
【0029】本発明において交流型プラズマディスプレ
イにおける2次電子放出比を上げる観点からは、保護層
を形成している酸化マグネシウム微粒子の表面積を大き
くすることが必要であり、酸化マグネシウム微粒子の粒
子径は、3〜100nmの範囲、好ましくは5〜30n
mの範囲であることが望ましい。粒子径を100nm以
下にして微粒子間の隙間をなくすことにより表面積を大
きくし、通常の熱処理プロセスでも効率よく酸化マグネ
シウム膜が形成される。形成される酸化マグネシウム膜
の厚さは特に限定されないが、透明性の点から10μm
以下で、特に1μm以下のものが好ましい。
【0030】以上のように本発明のゾル溶液を用いて形
成された交流型プラズマディスプレイにおける保護層
は、その膜厚が1μm以下の薄膜が実現でき、このよう
な膜厚は従来のバインダーを用いたペーストでは実現不
可能なものである。尚、本発明のゾル溶液は、交流型プ
ラズマディスプレイの誘電体層からなる基板上に形成さ
れる保護層として使用される他、その他の基板にも目的
に応じた酸化マグネシウム膜を形成するのに使用するこ
とができる。
【0031】
【実施例】
実施例 図2に示される対向放電交流型プラズマディスプレイを
次のようにして作製した。ガラス製の前面基板1上に真
空蒸着法によりクロム電極として厚さ0.2μmのX電
極4aを形成し、次いで真空蒸着法により厚さ0.8μ
mの誘電体層5を形成し、その誘電体層5上に前記表2
のゾル溶液を使用して酸化マグネシウム膜からなる厚さ
0.2μmの保護層6を形成した。次いでこの保護層6
上にスクリーン印刷で厚さ150μmの障壁8を形成し
た後、蛍光性物質を該障壁8に塗布して厚さ10μmの
蛍光体層9を形成した。
【0032】一方、ガラス製の背面基板2上に真空蒸着
法により形成したクロム電極をパターニングしてY電極
4bを形成した後、同じく真空蒸着法で該Y電極4b上
に誘電体層5を形成した。その後、前記酸化マグネシウ
ム膜の形成方法により、酸化マグネシウム膜からなる厚
さ0.2μmの保護層6を形成した。前記背面基板2上
のクロム電極(Y電極4b)の膜厚は0.2μm、誘電
体層5の膜厚は0.8μmであった。前記各工程で得ら
れた両者の基板を保護層を内側にして貼り合わせ、障壁
8に囲まれた空間部に、He−Xe(1.1%)ペニン
グガスを500Torr封入して、本発明による対向放
電交流型プラズマディスプレイを作製した。
【0033】比較例1 前述の実施例において、ゾル溶液調製の際に水酸化マグ
ネシウム微粒子の凝集物を、エタノールの代わりに純水
中に分散させて調製したゾル溶液を使用した点を除き、
他は実施例と同様にして対向放電交流型プラズマディス
プレイを作製を試みた。
【0034】比較例2 前述の実施例において、酸化マグネシウム膜からなる保
護層6について、酸化マグネシウムのペーストをスクリ
ーン印刷法で塗布した点を除き、他は実施例と同様にし
て対向放電交流型プラズマディスプレイを作製した。使
用した酸化マグネシウムのペーストは、平均一次粒子径
が0.18〜0.25μmの酸化マグネシウム粉末(宇
部興産(株)製 UBE2000A)をSi系バインダー(Si
2 10重量部)中に26重量%の割合で分散させ、粘
度7,000cps/25℃に調製したものを使用し
た。又、印刷条件は、版ギャップ2.3mm、スキージ
押込み量1mm、スクレッパー押込み量1μmとし、ス
クリーン版のメッシュは400、乳剤厚は10μmとし
た。尚、焼成条件は、大気圧下において焼成温度580
℃で1時間とした。
【0035】比較例3 前述の実施例において、酸化マグネシウム膜からなる保
護層6を真空蒸着法により形成した点を除き、他は実施
例と同様にして対向放電交流型プラズマディスプレイを
作製した。真空蒸着機は、電子ビーム蒸着機(日本真空
技術(株)製EX-900-C16)を用いて、基板温度300
℃、成膜速度0.5nm/sの条件で成膜し、膜厚0.
5μmとした。前述のようにして作製した実施例及び比
較例の対向放電交流型プラズマディスプレイ(以下パネ
ルという)について、パネル化する前に、酸化マグネシ
ウムからなる保護層の膜特性を評価した結果を表4に示
す。表中に示された密着性と膜強度は、スクラッチテス
ター及び鉛筆硬度試験法により評価した。又、透明性、
クラック発生の有無については、目視判断に依った。膜
厚は触針型膜厚計((株)テンコール製 αステップ3
00)により評価した。
【0036】表4:各種酸化マグネシウム膜の膜特性
【0037】比較例1では、ゾル溶液の濡れ性が悪く、
塗布速度を変える等の条件変更したが、結局誘電体層5
上に均一に湿潤塗膜を形成することができなかった。従
って、表4に示すような評価結果となった。比較例2に
ついては、膜厚は3μmと他例よりも厚くなり、又、白
色を呈して透明性は悪かった。比較例3については、特
に大きな問題はなかった。次に、保護層を形成できなか
った比較例1を除いた対向放電交流型プラズマディスプ
レイに対して、駆動波形が駆動周波数15kHz、デュ
ーティ比が23%の交流パルスにより、放電開始電圧V
fと最小維持電圧Vsmを測定した。
【0038】又、放電開始電圧に設定した後に60分間
連続点灯させ、その後に最小維持電圧を測定し、初期の
最小維持電圧との比較より電圧の経時変化を調べ、パネ
ルの寿命特性評価を行った。その結果を表5に示す。 表5:各種酸化マグネシウム膜のPDP特性
【0039】表5に示すように、本実施例において作製
したパネルについては、放電開始電圧155V、最小維
持電圧110Vであり、寿命特性は最小維持電圧の変動
もなく問題なかった。比較例において作製したパネルに
ついては、比較例2の場合は、放電開始電圧240V、
最小維持電圧175Vであり、本実施例と比べて高い測
定値となり、高いパネル駆動電圧が必要である結果とな
った。又、この時の寿命特性においては、放電開始電圧
に設定後30分間経過したところで、最小維持電圧の上
昇が確認された。比較例3の場合では、放電開始電圧1
60V、最小維持電圧105Vであり、寿命特性は最小
維持電圧の変動もなく問題なかった。
【0040】本実施例の結果は、他の比較例、とりわけ
従来法として実績のある真空蒸着法による場合の比較例
3と比べてみても、酸化マグネシウム膜の本来の機能を
発現している良好なパネルが得られたことを示してい
る。以上の結果から、本実施例で得られた対向放電交流
型プラズマディスプレイにおける酸化マグネシウム膜か
らなる保護層は、対向放電交流型プラズマディスプレイ
において十分な特性を発揮することがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明のゾル溶液及び膜形成方法を、例
えば、交流型プラズマディスプレイの構成に使用した場
合には、粒子径100nm以下の粒状微粒子から構成さ
れた酸化マグネシウム膜の連続膜を保護層として用いて
いるため、透明性が高く、保護層の膜厚を薄くすること
ができ、又、膜強度が高いので亀裂により誘電体層が露
出する恐れがない。従って、駆動電圧の低下を促進する
ことができることにより、駆動回路の低コスト化が可能
となり、その結果としてプラズマディスプレイ本体のコ
スト低下を達成することができる。又、前記保護層は、
ゾル溶液を塗工方法により塗布して形成することが可能
であるので、薄膜法による成膜法と比較すると大面積に
対し低コストで成膜が可能であるから、例えば、大面積
(例えば、対角40インチ程度)のプラズマディスプレ
イを低コストで製造することができる。
【0042】又、本発明のゾル溶液は、溶媒として少な
くとも1個の水酸基を有する有機化合物、又は該化合物
の少なくとも1種を含む有機溶媒を用いるため、水酸化
マグネシウム微粒子が凝集しにくくなり、長期に渡り安
定して分散したゾル溶液となり、従って該ゾル溶液を用
いて塗布及び焼成することにより作製した酸化マグネシ
ウム膜の構成微粒子は微細化することになり、形成され
る保護層の透明性の向上が可能となる。又、本発明の膜
形成方法によれば、前記ゾル溶液の溶媒として有機溶媒
を用いているため、焼成工程において酸化マグネシウム
膜中に有機物が残渣として残ることがなく、純粋な酸化
マグネシウムからなる保護層の作製が可能となる。
【0043】一般に交流型プラズマディスプレイの保護
層は、例えば、10μm程度と厚いと、交流型プラズマ
ディスプレイの重要な特性の一つであるメモリ機能の発
生源である壁電荷の効果を弱めることになって駆動電圧
を高くする必要が生じ、その結果として、駆動回路に用
いるトランジスタの電圧を高耐圧仕様にしなければなら
ない。従って2μm以下の膜厚で保護層を形成すること
が実用上、最も必要十分な条件とされているが、本発明
のゾル溶液及び膜形成方法によればこの2μm以下の膜
厚の保護層を十分に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゾル溶液を適用した面放電方式の交流
型プラズマディスプレイの概略を示す断面図。
【図2】本発明のゾル溶液を適用した対向放電方式の交
流型プラズマディスプレイの概略を示す断面図。
【図3】実施例の酸化マグネシウム膜からなる保護層の
表面の微粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率5
万倍)。
【図4】比較例3の真空蒸着法による酸化マグネシウム
膜からなる保護層の表面の微粒子構造を示す走査型電子
顕微鏡写真(倍率5万倍)。
【符号の説明】
1 前面基板 2 背面基板 3 ガス放電空間 4a X電極 4b Y電極 5 誘電体層 6 保護層 7 アドレス電極 8 障壁 9 蛍光体層 10 二酸化チタン膜(高屈折率層) 11 二酸化ケイ素膜(低屈折率層)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸化マグネシウムの微粒子の凝集物を、
    水酸基含有有機化合物を少なくとも1種含む有機溶媒中
    に分散させてなることを特徴とするゾル溶液。
  2. 【請求項2】水酸化マグネシウムの微粒子が、マグネシ
    ウム塩をアンモニアを触媒として形成したものである請
    求項1に記載のゾル溶液。
  3. 【請求項3】有機溶媒中における水酸化マグネシウムの
    微粒子の凝集物の分散を、超音波分散法により行った請
    求項1に記載のゾル溶液。
  4. 【請求項4】水酸化マグネシウムの微粒子の凝集物を、
    水酸基含有有機化合物を少なくとも1種含む有機溶媒中
    に分散させてなるゾル溶液を物体面に塗布し、乾燥及び
    焼成することを特徴とする膜形成方法。
  5. 【請求項5】物体が、交流型プラズマディスプレイにお
    ける誘電体層である請求項4に記載の膜形成方法。
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