JPH09107939A - 冷凍食品の製造方法 - Google Patents

冷凍食品の製造方法

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JPH09107939A
JPH09107939A JP7293328A JP29332895A JPH09107939A JP H09107939 A JPH09107939 A JP H09107939A JP 7293328 A JP7293328 A JP 7293328A JP 29332895 A JP29332895 A JP 29332895A JP H09107939 A JPH09107939 A JP H09107939A
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JP
Japan
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cellulose
microbial cellulose
microbial
frozen
food
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JP7293328A
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English (en)
Inventor
Yuki Maruyama
ユキ 丸山
Hiroshi Furukawa
宏 古川
Masahiro Fukaya
正裕 深谷
Yoshinori Tsukamoto
義則 塚本
Kichiya Kawamura
吉也 川村
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Nakano Vinegar Co Ltd
Original Assignee
Nakano Vinegar Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歩留りの向上や焼き縮み防止の効果を有し、
かつ旨み成分を保持して食感の優れた冷凍食品の製造方
法を提供すること。 【解決手段】 アセトバクター属に属する微生物の産生
する微生物セルロースまたは該微生物セルロースに高分
子物質を混合して得られる複合化物を含有させることを
特徴とする冷凍食品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷凍食品の製造方法
に関し、詳しくは微生物の産生する微生物セルロースま
たは該微生物セルロースに高分子物質を混合して得られ
る複合化物を含有させることを特徴とする冷凍食品の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、多数の加工食品、特に冷凍食品が
開発され、現在の食生活には欠かせないものとなってい
る。しかし、冷凍食品においては、冷凍,解凍過程で澱
粉や蛋白質の変性に起因する食品の品質劣化が生じるこ
とが問題となっている。そのため、冷凍食品用の改良剤
の開発が望まれている。従来、食品用の改良剤として種
々の形状の大豆蛋白が広く使用されているが、これらは
保水性や結着性に優れているので、ソフト感の付与や成
型性の改善に利用されている。しかし、これらを冷凍食
品に使用する場合、使用目的などに応じて粉状あるいは
粒状のものを選択する必要がある上に、該改良剤を添加
して調製した食品を冷凍処理したり、加熱調理した場合
に、硬くなって食感が低下したり、粉っぽい舌触りや大
豆特有の青臭みを与える等の問題点があった。
【0003】一方、近年セルロース性の食品用改良剤が
開発されている。例えば、植物由来のセルロースの機械
的離解物や水溶性ポリマーと酸分解して得られた微結晶
セルロースあるいはセルロースと澱粉と水溶性高分子を
混合し、繊維状に成型した多孔質のものが挙げられる。
これらは歩留り向上や焼き縮み防止を目的として用いら
れているが、十分な効果を奏するためには、数%におよ
ぶ多量の添加が必要である。そのため、食感が繊維独特
のざらついたものとなったり、紙のような食感が感じら
れるようになる。一方、機械的な処理を施して粒子径を
小さくした微粒化セルロースが開発され、このものは舌
のざらつき感は改良されたが、本来の効果は不十分であ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑み、冷凍食品の製造において食感に悪影響を与えず
に、優れた歩留り向上や焼き縮み防止効果を有するもの
を含有させることを特徴とする冷凍食品の製造方法に関
する。本発明によれば、解凍時や調理時に食品中の旨み
成分の流出を防ぐことにより、食品の品質を高めた冷凍
食品が得られる。
【0005】本発明者らは、植物セルロースを食品用改
良剤として用いたとき、歩留り向上や焼き縮み防止効果
を有するのは、植物セルロースの繊維状構造に食品の旨
み成分や水分が保持されることによる効果であり、繊維
状構造のネットワーク化が高いほど効果も高いと推定さ
れる。既に、植物セルロースの懸濁液を高圧でオリフィ
スを通過させて、繊維を微細化する技術が開発され、微
細繊維状セルロースとして実用化されており、ネットワ
ーク(網目)構造が改善されることが見出されている。
一方、微生物由来のセルロースは植物由来のセルロース
よりもフィブリルが細かく、緻密なネットワーク構造を
とることが知られている。従って、微生物セルロースは
ネットワーク構造の内部に多量の食品成分を保持するこ
とができ、本発明者らは冷凍食品の解凍時や調理時に生
じる食品成分の漏出を防ぐことができる可能性があるこ
とに着目した。
【0006】従来、微生物セルロースを冷凍食品の製造
に利用した例は、本発明者らによる冷凍ハンバーグの製
造のみである(特開平3−157402号公報)。この
例では、微生物の静置培養により得た微生物セルロース
とキサンタンガムの混合液を凍結乾燥して調製した複合
化物が使用されており、冷凍ハンバーグ解凍時のドリッ
プ防止に有効であることが明らかにされている。また、
特開昭62−294047号公報には、静置培養後に機
械的(物理的)に離解した微生物セルロースが、豆腐な
どの保型性やかまぼこなどの歯切れやコシを改善できる
ことが記載されているが、冷凍食品への応用例はなく、
また歩留り向上効果については全く知られていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の微
生物セルロースのネットワーク構造の潜在的有用性に鑑
み、冷凍食品に微生物セルロースを利用する方法につい
て鋭意検討した。その結果、微生物セルロースを生産す
るための微生物の培養方法やその後の処理方法を適宜工
夫すれば、高い歩留り向上や焼き縮み防止効果を示すこ
と、さらに微生物セルロースのネットワーク構造が食品
成分の保持だけでなく、食品の固形分のつなぎとしても
機能し、冷凍食品の解凍時の型崩れを防止することも見
出した。具体的には、通気攪拌培養で製造した微生物セ
ルロースは静置培養で製造した微生物セルロースよりも
効果が高いこと、さらに該微生物セルロースを特定の水
溶性高分子と複合化することにより、歩留り向上効果が
一層向上すること、また該複合化物を温風乾燥して粉末
化した乾燥物が良好な効果を示すこと、複合化物は特に
挽肉を原料とする冷凍食品の改質に顕著に効果的である
こと等を見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち本発明は、アセトバクター属に属
する微生物の産生する微生物セルロースまたは該微生物
セルロースに高分子物質を混合して得られる複合化物を
含有させることを特徴とする冷凍食品の製造方法に関す
るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いる微生物セルロース
は、アセトバクター属に属する微生物の産生するもので
あればよく、既知の方法、例えば特開平3−15740
2号公報,特開平5−308986号公報に記載されて
いる方法に従って該微生物を培養することによって製造
することができる。以下に各条件について説明する。ア
セトバクター属に属する微生物としては、微生物セルロ
ースを産生し得るものであればよく、例えばアセトバク
ター・パスツリアヌス ATCC10245株,アセト
バクター・エスピー DA(FERM P−1292
4)株,アセトバクター・キシリナム ATCC237
68株,同 ATCC23769株,同ATCC108
21株等を挙げることができる。
【0010】微生物セルロースを産生させる培地として
は、通常の細菌を培養する一般的な培地を用いればよ
く、上記微生物が増殖して目的とする微生物セルロース
を生産することができるものであればよい。例えば、He
strin-Schramm 培地が好適に用いられる。また、培地に
熱失活させたセルラーゼ製剤を添加したり、酢酸等のカ
ルボン酸またはその塩を添加するなどして微生物セルロ
ースの生産性を向上させることも可能である。培養は通
常の条件で行えばよく、pH5〜9,培養温度20〜4
0℃の範囲が適当である。培養方法は、通気攪拌培養,
静置培養,攪拌培養,通気培養のいずれでもよいが、特
に通気攪拌培養が好ましい。通気攪拌培養を行う場合の
条件は、例えば特開平7−39386号公報に記載され
ているように、培養槽に供給する酸素濃度は1〜100
%、好ましくは21〜80%であればよく、培養はフラ
スコでもジャーファーメンターでも可能である。静置培
養で生産される微生物セルロースと通気攪拌培養で生産
される微生物セルロースを比較すると、後者の方が優れ
たネットワーク構造をとっており、より好適である。
【0011】生産された微生物セルロースは、希アルカ
リ溶液に浸漬するなどの通常の方法で除蛋白質処理をし
たのち、水洗や弱酸溶液への浸漬により残存するアルカ
リを除いて精製することができる。
【0012】精製された微生物セルロースは、そのまま
ではゲル状であり、粒子径が不揃いなため、食品に均一
に加えることが困難である。そのため、粒子径を均一化
する処理を施すことが望ましい。均一化処理は、公知の
方法で行えばよく、例えばブレンダーや高圧ホモゲナイ
ザー,ナノマイザーなどを用いた機械的離解処理、鉱酸
で加水分解する方法、あるいはセルラーゼ等の酵素によ
る酵素的分解方法、超音波処理、冷凍粉砕などが有効で
ある。
【0013】微生物セルロースとの複合化に用いる高分
子物質は、微生物セルロースのフィブリルと反応する水
溶性物質であれば特に制限はないが、食品に使用するこ
とから、食品添加物として認められているもの、あるい
は食用に供されている天然物から抽出されたものが望ま
しい。具体的には、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム(CMC−Na),キサンタンガム,アルギン酸,
アルギン酸ナトリウム,カラギーナン,ペクチン,カラ
ヤガム,グアガム,ローカストビーンガムなどを挙げる
ことができ、特にアニオン性のカルボキシメチルセルロ
ースナトリウム(CMC−Na),キサンタンガム,ア
ルギン酸が好適である。これらの高分子物質の1種もし
くは2種以上を用いることができる。
【0014】微生物セルロースと高分子物質を複合化さ
せる方法としては、本発明者の一部が関与している特開
平3−157402号公報に記載の2つの方法がある。
第1の方法は、微生物セルロースを産生させるにあた
り、微生物セルロース産生菌を培養する培地中に高分子
物質を添加して培養を行い、微生物セルロースと高分子
物質とが複合化した微生物セルロース複合化物として得
る方法である。培地に添加する高分子物質は前記した高
分子物質のうち、微生物セルロース産生菌の生育を著し
く妨げないものであれば、種類および添加濃度に特に制
限はないが、通常は添加濃度は0.05〜20%が好適で
ある。また、培養条件や培養方法も特に制限されること
はない。
【0015】第2の方法は、生産された微生物セルロー
スのゲルを高分子物質の溶液に浸漬して高分子物質を微
生物セルロースのゲルに含浸させて行うものである。微
生物セルロースのゲルはそのままか、あるいは上記の均
一化処理を行ったのちに高分子物質の溶液に浸漬する。
浸漬液の微生物セルロース濃度は、乾燥重量換算で0.1
〜1%であり、浸漬液の高分子物質の濃度は微生物セル
ロース濃度の1/10〜1/200が好適である。浸漬
時間は30分以上、好ましくは1夜であり、浸漬終了後
は遠心分離や濾過などの方法で浸漬液を除去することが
望ましい。さらに、水洗などの処理を行って過剰の高分
子物質を除去する方が、微生物セルロースと高分子物質
の比率が一定になり、複合化されないで残存する高分子
物質の影響を抑えることができるため好ましい。なお、
複合化物の生成は、高分子物質に相当する増加重量から
確認した。
【0016】作製された複合化物での微生物セルロース
に対する高分子物質の比率は0.5%以上で効果が認めら
れ、2.5〜10%の範囲が好適である。複合化物を食
品に添加する場合、ゲル状,ペースト状,スラリー状,
乾燥物,粉末状等の種々の形状で使用することができ
る。特に、機械的処理や酵素的処理などにより粒径を均
一化したのち、使用する方が好ましい。なお、粒径の均
一化処理は、複合化する前あるいは複合化した後に行う
ことができる。また、乾燥処理としては、自然乾燥,熱
風乾燥,凍結乾燥,スプレードライなど公知の方法が可
能であり、いずれの方法で乾燥しても、複合化物として
の有効性が失われることはない。
【0017】例えば、熱風乾燥は方法が簡単で1度に多
量のサンプルを処理できるので便利であるが、熱風の温
度は通常60℃以下にして行い、高分子物質へ影響を与
えないようにすることが望ましい。なお、乾燥物は通常
シート状態等の形状で形成されるため、機械的に粉砕
し、微粉体にすることが必要である。このため、複合化
物調製時に用いる微生物セルロースは、物理的離解処理
を行わないものでも使用できる。粉砕の方法としては、
通常の方法、例えばハンマーミル,ボールミル,ジェッ
トミル等が採用されるが、フードカッターによる処理も
可能である。上記の方法で調製した粉砕乾燥物は、単独
で、または調味料など他の食品素材と混合した組成物と
しても使用することができる。
【0018】以上に述べた方法で調製した微生物セルロ
ースまたは高分子物質との複合化物の冷凍食品に対する
使用量は、通常、冷凍食品あたり乾燥重量換算で0.05
〜1%、好ましくは0.1〜0.5%が適当である。微生物
セルロースまたは高分子物質との複合化物の冷凍食品に
対する使用量が0.05%よりも低い場合は、肉汁保持効
果を得るのが困難であり、また1%よりも高い場合は、
ざらつき感が生じたりする他、スラリー状(固形分約1
0%)のものは粘度が高く、分散が困難になる。なお、
使用量については、微生物セルロース単独の場合も、複
合化物の場合も同様に取り扱えば良い。
【0019】対象となる冷凍食品に制限はないが、挽肉
や野菜など凍結融解時にドリップが多く出る材料を使用
している食品が好ましい。具体的には、ハンバーグ,餃
子,春巻き,中華饅頭,焼売などの中華点心,ミートボ
ール,ロールキャベツ,そぼろ,メンチカツなどが挙げ
られる。特に、挽肉加工食品ではつなぎの効果も同時に
発揮されるため、有効性が高い。
【0020】冷凍食品の製造にあたり、原料混合時に微
生物セルロースまたは高分子物質との複合化物を適宜混
入した後、食品を製造し、常法により冷凍する。食品の
冷凍方法や冷凍後の解凍方法は特に制限がなく、食品に
応じて適宜設定すればよい。
【0021】
【実施例】次に、本発明を調製例および実施例により詳
しく説明する。 調製例1 均一化処理物の調製 ヘストリン−シュラム培地(HS培地、D−グルコース
2.0g,バクトペプトン(ディフコ社製)0.5g,酵
母エキス0.5g,クエン酸0.115g,リン酸水素二ナ
トリウム0.27g,蒸留水100ml、pH6.0)2
00mlを500ml容三角フラスコに分注し、加圧殺
菌せずに70℃で5分間の加温だけを行い、そのままア
セトバクター・パストリアヌス ATCC10245株
を植菌し、30℃で7日間静置培養を行った。培養終了
後、培養液表面に生成した微生物セルロースを濾過によ
り取り出し、1%NaOH水溶液に浸漬し、室温で24
時間除蛋白質処理を行い、次いで1%酢酸溶液に浸漬
し、中和処理を行った。その後、十分水洗して、静置培
養による微生物セルロース(水分含有量98%)を調製
した。また、同様の培地67.5mlを300ml容ス
パイラルバッフルフラスコに分注し、培養条件を28
℃,振幅2cm,回転速度180rpmの回転振盪で4
日間行った。培養終了後、培地中に生成した微生物セル
ロースを濾過により取り出し、1%NaOH水溶液中で
110℃,20分間処理して菌体を除去し、その後十分
水洗して、通気攪拌培養による微生物セルロース(水分
含有量98%)を調製した。
【0022】次に、これらの微生物セルロースをブレン
ダー,酸処理,高圧ホモゲナイザーにより均一化処理を
行った。ブレンダー処理は、精製した培養物を乾燥重量
換算で5g/Lの濃度になるように水に懸濁し、ワーリ
ングブレンダー34BL97で目盛り5の条件で5分間
処理した。その後、濾過して水分量を90%に調整して
スラリー状とした(ブレンダー処理物スラリー,水分含
有量90%)。高圧ホモゲナイザー処理は、上記のブレ
ンダー処理物(乾燥重量換算で5g/Lの懸濁液)をマ
ントン・ゴーリン社製高圧ホモゲナイザー(商品名15
MR−8TA)にて500Kg/cm2 の条件で40回
通過させ、同様にスラリー状とした(高圧ホモゲナイザ
ー処理物スラリー,水分含有量90%)。酸処理は、上
記のブレンダー処理物を固形分0.75%に調整し、該調
整物200mlに10Nの塩酸および硫酸溶液を300
ml加えて懸濁液を調製し、121℃,15分間の処理
を行った。その後、遠心分離(6000rpm,15分
間)を行って沈澱を採取し、沈澱を水で十分に水洗して
使用した酸を除去し、同様にスラリー状とした(酸処理
物スラリー,水分含有量90%)。
【0023】調製例2 微生物セルロースと高分子物質の複合化物の調製 カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−N
a,株式会社片山化学製),キサンタンガム(大日本製
薬株式会社製),アルギン酸ナトリウム(紀文フードケ
ミファ製),カラギーナン(三晶株式会社製),ペクチ
ン(ハイメトキシタイプ,三晶株式会社製),カラヤガ
ム(五協産業株式会社製),グアガム(大日本製薬株式
会社製),ローカストビーンガム(五協産業株式会社
製)のそれぞれの0.5%水溶液20mlを調製した。こ
れに、調製例1と同様に調製した微生物セルロースのブ
レンダー処理物(乾燥重量換算で50g/L)を20g
加え、ミキサーにてよく懸濁した後、この懸濁液を4℃
で1夜放置した。このスラリーを水に懸濁し、遠心分離
(6000rpm,15分間)して、微生物セルロース
と複合化していない高分子物質を除去し、複合化物の沈
澱を得た。その後、濾過して水分量を90%に調整した
スラリーを得た(複合化物スラリー,水分含有量90
%)。上記の複合化物の沈澱を、凍結乾燥および熱風乾
燥(60℃の熱風で一晩送風)により乾燥した。乾燥物
は、コーヒー・ミルで5分間粉砕し、粉末化した(複合
化物粉末)。
【0024】実施例1 市販合挽き(牛肉:豚肉=80:20)100gに対し
て、調製例1の通気攪拌培養で得た微生物セルロース
(高圧ホモゲナイザー処理物スラリー)を添加して良く
混合し、ハンバーグ状に成型した。微生物セルロースの
添加量は、乾燥重量換算で0.1,0.2,0.5または0.9
%となるようにそれぞれ添加した。その後、常法により
−20℃で冷凍し、3日保存した後、レンジ(500
W,9分間)で解凍し、オーブンで調理(200℃,1
0分間)した。これらの成型肉の、解凍時と調理後(焼
成直後)の重量測定を行い、重量減少率を算出し、結果
を第1表に示した。なお、重量減少率は以下の式に従
い、1試験区3個の平均から算出した。 ・解凍後重量減少率(%)=(成型時重量−解凍後重量)/成型時重量×100 ・焼成後重量減少率(%)=(成型時重量−焼成後重量)/成型時重量×100
【0025】
【表1】
【0026】表から明らかなように、微生物セルロース
の添加量が多いほど、解凍後と焼成後の重量減少率が低
いことが分かる。しかし、微生物セルローススラリー
(固形分10%)の添加量を増していくと、その粘度が
高くなり、挽き肉への分散作業が困難になる。食感や舌
触りの点から、微生物セルロースの添加量は0.1〜0.5
%が好ましい。
【0027】実施例2 以下の処方にてハンバーグを作製した。市販合挽き(牛
肉:豚肉=80:20)1200g,タマネギ150
g,大豆蛋白(味の素株式会社製,商品名:アジプロン
S1)22.5g,水52.5g,片栗粉22.5g,
トマトピューレ30.0g,食塩9.0g,胡椒3.6
g,にんにく3.6g,ショウガ3.6g,ナツメグ
2.7g,全量1500g。上記の処方に対して、調製
例1の静置培養で得た微生物セルロース(高圧処理物ス
ラリー)または通気攪拌培養で得た微生物セルロース
(高圧処理物スラリー)を乾燥重量換算で0.2%となる
ように添加してハンバーグを作製し、無添加のものと比
較した。ハンバーグは、成型時の重量が1個当り100
gとなるように作製し、常法により−20℃で冷凍し、
3日保存した後、レンジ(500W,9分間)で解凍
し、オーブンで調理(200℃,10分間)した。
【0028】物性評価は、解凍時と調理後(焼成直後)
の重量測定および成型時,解凍時並びに焼成直後に株式
会社 アイテクノ製レオロメーターで測定を行い、重量
減少率と硬さを算出した。重量減少率は実施例1に示し
た式に基づいて算出した。硬さの測定条件は、プランジ
ャー13mmφ,クリアランス4.0mm,運動速度6
cy/minに設定し、ハンバーグ1個につき中央付近
の2ヵ所を測定して1試験区3個、計6ヵ所の硬さの平
均から算出した。また、調理したハンバーグの官能評価
および外観評価(ドリップの有無等)も同時に行った。
以上の結果を第2表に示す。
【0029】
【表2】
【0030】微生物セルロースを加えることにより、水
分や可溶性成分がしっかりと保持されるようになるた
め、解凍や焼成による成分の流出が抑えられ、重量減少
率が低下していた。また、肉眼的にも解凍時のドリップ
の減少や焼成時の焼き縮みの防止効果が認められ効果が
確認された。また、重量減少率が低下しているので、焼
成後でも水分や可溶性成分が保持され、特に通気攪拌培
養による微生物セルロースでは、焼成後の硬さが顕著に
低下しており、官能評価でも無添加のものより柔らかい
という評価であった。しかし、静置培養による微生物セ
ルロースでは、焼成後の硬さは無添加のものと同程度で
あり、官能評価でも無添加のものと変わらないという評
価であった。なお、成型時の硬さは、静置培養および通
気攪拌培養による微生物セルロースともに向上してお
り、微生物セルロースが肉や他の材料のつなぎとして作
用していることも確認された。
【0031】実施例3 調製例1の通気攪拌培養で得た微生物セルロース(高圧
処理物スラリー)を乾燥重量換算で0.2%添加して実施
例1と同様の処方にて、冷凍ハンバーグを作製した。ま
た、微生物セルロースの代わりにパルプセルロースから
製造されたミクロフィブリル化セルロース(ダイセル化
学株式会社製,商品名:セリッシュFD−100F),
多孔性構造をもつ市販セルロース製剤(旭フーズ株式会
社製,商品名:セキセルDP300,セルロース以外に
スターチを50%含む)または粒状大豆蛋白質(昭和産
業株式会社製,商品名:ミーテックスK−51)を同様
にして添加し、冷凍ハンバーグを作製した。なお、添加
量はミクロフィブリル化セルロースが0.2%、多孔性セ
ルロース製剤が1%(セルロース量としては0.3%に相
当する)、粒状大豆蛋白質が1%であった。得られたハ
ンバーグについて、それぞれの物性を比較検討した。結
果を第3表に示す。
【0032】
【表3】
【0033】表から明らかなように、微生物セルロース
を加えた場合は、焼成後の重量減少率が最も低く、従来
の植物セルロース製剤や、保水力が高い粒状大豆蛋白質
よりも焼成時の焼き縮みの防止効果が高かった。また、
微生物セルロースを加えて製造したものは、成型時の硬
さは高いが、焼成後では植物セルロース製剤を加えて製
造したものと違い、対照(無添加)より硬さが低下して
おり、官能評価でも無添加のものより柔らかいという評
価であった。大豆蛋白質を加えて製造したものは焼成後
の硬さは無添加のものより硬くなっており、官能評価で
も好まれなかった。これらの結果から、微生物セルロー
スを加えて製造したハンバーグは、植物セルロース製剤
を加えて製造したものよりも重量減少防止効果(歩留り
向上効果)が高く、大豆蛋白質を加えて製造したものの
ように焼成後の硬化が生じない点でも優れていた。
【0034】実施例4 市販合挽き(牛肉:豚肉=80:20)100gに対し
て、調製例1の通気攪拌培養で得た微生物セルロース
(高圧ホモゲナイザー処理物スラリー)を乾燥重量換算
で0.9gとなるように添加して、よく混合してハンバー
グ状に成型した。一方、微生物セルロースの代わりに、
ミクロフィブリル化セルロース(ダイセル化学株式会社
製,商品名:セリッシュFD−100F),多孔性構造
をもつ市販セルロース製剤(旭フーズ株式会社製,商品
名:セキセルDP300,セルロース以外にスターチを
50%含む)および粉状大豆蛋白質(味の素株式会社
製,商品名:アジプロン)を乾燥重量換算で0.9g添加
して同様にハンバーグ状に成型した。これらの成型肉を
実施例1と同様にして冷凍した後、解凍してオーブンに
て焼成した。得られた製品について、実施例1と同様
に、成型肉の硬さや重量減少率を測定した。得られた結
果を第4表に示した。
【0035】
【表4】
【0036】表から明らかなように、微生物セルロース
を加えた場合に、解凍後および焼成後の重量減少率が非
常に低く、従来の植物セルロース製剤よりも、肉汁保持
効果が際立って高いことがわかる。また、微生物セルロ
ースを加えて製造したものは、成型時の硬さが最も高
く、従来のつなぎとして使用されている粉状大豆蛋白質
よりも成型時の硬さが高く、肉のつなぎとしも優れてい
ることが分かった。しかも、焼成後は、大豆蛋白質を加
えて製造したもののような硬化が生じず、柔らかな食感
を有する点でも優れていた。
【0037】実施例5 市販合挽き(牛肉:豚肉=80:20)100gに対し
て、調製例2で調製した通気攪拌培養で得た微生物セル
ロースと各種高分子物質との複合化物(スラリー)を乾
燥重量換算で0.2gを添加して、よく混合してハンバー
グ状に成型した。これらの成型肉を実施例1と同様にし
て冷凍した後、解凍してオーブンにて焼成し、これら成
型肉の重量減少率を測定し、結果を第5表に示した。な
お、対照として、無添加区および複合化していない微生
物セルロース(高圧ホモゲナイザー処理物スラリー)単
独区についても同様に測定した。
【0038】
【表5】
【0039】表から明らかなように、微生物セルロース
と各種高分子物質(カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム(CMC−Na),キサンタンガム,アルギン酸ナ
トリウム,グアガム,ローカストビーンガム,ペクチ
ン)の複合化物でも、解凍後、焼成後の重量減少率が低
く、特にアニオン性のカルボキシメチルセルロースナト
リウム(CMC−Na)またはキサンタンガムとの複合
化物は、解凍後および焼成後の重量減少率が、微生物セ
ルロース単独のものより低く、肉汁保持効果が高かっ
た。
【0040】実施例6 各種濃度のカルボキシメチルセルロースナトリウム(C
MC−Na)溶液およびアルギン酸ナトリウム溶液を用
いて、調製例2と同様の方法で、複合化物を調製し、微
生物セルロースに対する高分子物質の比率が10%以下
の各種複合化物スラリーを得た。これらの複合化物スラ
リーを用いて、実施例1と同様に実施して焼成後の重量
減少率を測定した。結果を第6表に示した。
【0041】
【表6】
【0042】表から明らかなように、カルボキシメチル
セルロースナトリウム,アルギン酸ナトリウムともに微
生物セルロースに対して0.5%の割合で存在するだけで
重量減少率を低下させる効果が見られた。
【0043】実施例7 調製例2で調製した通気攪拌培養で得た微生物セルロー
スとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの複合化
物スラリーを乾燥重量換算で0.2gを、実施例1の処方
に従って添加して、よく混合してハンバーグ状に成型し
た。これらの成型肉を実施例1と同様にして冷凍した
後、解凍してオーブンにて焼成し、これらの成型肉の重
量減少率と硬さを測定し、結果を第7表に示した。な
お、対照として、無添加区、複合化していない微生物セ
ルロース(高圧ホモゲナイザー処理物スラリー)単独区
およびカルボキシメチルセルロース単独区(複合化物ス
ラリー中のカルボキシメチルセルロースと同量、すなわ
ち0.02g添加)についても同様に測定した。
【0044】
【表7】
【0045】表から明らかなように、微生物セルロース
とカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−N
a)の複合化物は、微生物セルロース単独区およびカル
ボキシメチルセルロース単独区のいずれよりも重量減少
率が低く、複合化することで微生物セルロースとカルボ
キシメチルセルロースナトリウムの相乗効果が得られる
ことが分かった。
【0046】実施例8 調製例1で調製した通気攪拌培養で得た微生物セルロー
ス(ブレンダー処理物)と、調製例2で調製した通気攪
拌培養で得た微生物セルロース(ブレンダー処理物)と
カルボキシメチルセルロースナトリウムとの複合化物お
よびアルギン酸ナトリウムとの複合化物スラリーを使用
し、いずれも添加量を乾燥重量換算で0.2%とし、実施
例1の処方に従って添加して、よく混合してハンバーグ
状に成型した。これらの成型肉を実施例1と同様にして
冷凍した後、解凍してオーブンにて焼成し、これら成型
肉の重量減少率と硬さを測定した。さらに、焼成後のハ
ンバーグについて、よく訓練されたパネラー(n=9)
に肉汁保持感と歯ごたえ感を評価させた。この官能評価
の場合、5点満点とし無添加区の評点を3点とした。以
上の結果を第8表に示した。
【0047】微生物セルロース(ブレンダー処理物)と
カルボキシメチルセルロースナトリウムとの複合化物お
よびアルギン酸ナトリウムとの複合化物は、いずれも微
生物セルロース単独よりも重量減少率が低く、肉汁保持
感も優れていた。
【0048】
【表8】
【0049】実施例9 調製例2の通気攪拌培養で得た微生物セルロース(ブレ
ンダー処理物スラリー)とカルボキシメチルセルロース
ナトリウムとの複合化物スラリーと、植物セルロース製
剤として市販されているミクロフィブリル化セルロース
(ダイセル化学株式会社製,商品名:セリッシュFD−
100F),多孔性構造を持つ市販セルロース製剤(旭
フーズ株式会社製,商品名:セキセルDP−300,セ
ルロース以外にスターチを50%含む)を用いて実施例
1と同様にして冷凍ハンバーグを作製した後、解凍して
オーブンにて焼成した。なお、使用量は乾燥重量換算で
複合化物およびミクロフィブリル化セルロースは0.2
%、多孔性セルロース製剤は1%とした。次いで、実施
例1と同様に、これらのハンバーグの重量減少率や官能
評価を測定し、結果を第9表に示した。
【0050】
【表9】
【0051】表から明らかなように、微生物セルロース
とカルボキシメチルセルロースナトリウムとの複合化物
スラリーは、植物セルロース製剤加えた場合よりも、解
凍後および焼成後の重量減少率が低く、肉汁保持効果や
歯ごたえが優れていることがわかった。
【0052】実施例10 市販合挽き(牛肉:豚肉=80:20)100gに対し
て、調製例2で調製した通気攪拌培養で得た微生物セル
ロースと各種高分子物質との複合化物(熱風乾燥物)を
乾燥重量換算で0.2gを添加して、よく混合してハンバ
ーグ状に成型した。これらの成型肉を実施例1と同様に
して冷凍した後、解凍してオーブンにて焼成し、これら
の成型肉の重量減少率を測定し、結果を第10表に示し
た。
【0053】
【表10】
【0054】表から明らかなように、微生物セルロース
と各種高分子物質(カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム(CMC−Na),キサンタンガム,アルギン酸ナ
トリウム,カラギーナン,カラヤガムの複合化物でも、
焼成後の重量減少率が低く、焼成後の硬さも改善され
た。これらの複合化物では、粉末の形態で使用しても、
スラリーと同等の効果を発揮することが確認された。し
かし、微生物セルロース単独、グアガム,ローカストビ
ーンガム,ペクチンとの複合化物では、効果は認められ
なかった。
【0055】実施例11 調製例2で調製した通気攪拌培養で得た微生物セルロー
ス(ブレンダー処理物)とカルボキシメチルセルロース
ナトリウムとの複合化物およびアルギン酸ナトリウムと
の複合化物スラリーの熱風乾燥物の粉末または凍結乾燥
物の粉末を使用し、いずれも添加量を乾燥重量換算で0.
2%とし、実施例3の処方に従って添加して、よく混合
してハンバーグ状に成型した。これらの成型肉を実施例
1と同様にして冷凍した後、解凍してオーブンにて焼成
し、これら成型肉の重量減少率と硬さを測定した。得ら
れた結果を第11表に示した。
【0056】
【表11】
【0057】微生物セルロース(ブレンダー処理物)と
カルボキシメチルセルロースナトリウムとの複合化物の
場合は、熱風乾燥物の方が凍結乾燥物よりも重量減少率
が低く、また焼成後の硬さも改善されていた。一方、ア
ルギン酸ナトリウムとの複合化物の場合は、いずれの乾
燥物も無添加区より重量減少率が低く、また焼成後の硬
さも改善されていたが、両者は同等の効果を示した。
【0058】実施例12 調製例2で調製した静置培養で得た微生物セルロースと
カルボキシメチルセルロースナトリウムとの複合化物の
熱風乾燥物と、調製例2で調製した通気攪拌培養で得た
微生物セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリ
ウムとの複合化物の熱風乾燥物を使用し、いずれも添加
量を乾燥重量換算で0.2%とし、実施例1の処方に従っ
て添加して、よく混合してハンバーグを作製した。な
お、乾燥物中のカルボキシメチルセルロースナトリウム
の含有量は10%であった。これらのハンバーグを実施
例1と同様にして冷凍した後、解凍してオーブンにて焼
成し、その重量減少率と硬さを測定し、以上の結果を第
12表に示した。表に示したように、いずれの培養方法
でも効果が認められたが、特に、焼成後のハンバーグで
は通気攪拌培養のものの方が効果が高かった。
【0059】
【表12】
【0060】実施例13 以下の処方にて餃子の餡を作製した。市販豚挽肉175
g,キャベツ100g,にんにく5g,水16.7g,
片栗粉23g,食塩9.0g,砂糖12g,ごま油9
g,胡椒少々,化学調味料少々,醤油少々とし、全量3
50g。上記の処方に対して、調製例2の通気攪拌培養
で得た微生物セルロース(ブレンダー処理物スラリー)
とカルボキシメチルセルロースナトリウムとの複合化物
スラリーを乾燥重量換算で0.2%を添加して同様に餡を
作製した。上記の餡10gを1個分とし、市販の餃子の
皮で包餡して餃子を作製し、−20℃に冷凍した後、試
験の直前に冷凍庫から餃子を取り出し、そのまま蒸し器
で8分間蒸した後、重量測定およびパネラー(n=9)
による官能検査を行い、結果を第13表に示した。な
お、官能検査は無添加のものを予め3点と評価して行っ
た。
【0061】
【表13】
【0062】表から明らかなように、重量減少率では両
者に差が見られなかったが、官能検査では、複合化物を
添加したものの方が肉汁感に優れ、ソフトな食感である
と評価され、官能的に優れていることがわかった。
【0063】実施例14 以下の処方にてミートボールを作製した。市販合挽き肉
300g,みじん切りのネギ25.5g,しょうが4.
5g,卵75g,片栗粉19.5g,酒7.5g,食塩
3g,胡椒少々および水22.8gからなり、全量47
5.5g。これを1個あたり15gのミートボールに作
製した。一方、上記の処方に対して、調製例2の通気攪
拌培養で得た微生物セルロースとカルボキシメチルセル
ロースナトリウムとの複合化物スラリーを乾燥重量換算
で0.2%を添加して同様にミートボールを作製した。上
記のミートボールを、−20℃に冷凍した後、試験の直
前に冷凍庫から取り出し、そのまま160℃に加温され
た油で揚げて調理した後、重量測定およびパネラー(n
=9)による官能検査を行い、結果を第14表に示し
た。なお、官能検査は、5点満点とし無添加のものを予
め3点と評価して行った。
【0064】
【表14】
【0065】表から明らかなように、複合化物を添加し
たものの方が重量減少率が10%以上も低く、歩留り向
上効果が見られた。また、複合化物を添加したものの方
が肉汁感に優れ、ソフトな食感であると評価され、官能
的に優れていることがわかった。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、冷凍食品、特に挽き肉
を原料とする冷凍食品中の水分や成分を調整することが
可能であり、具体的には歩留り向上効果、焼き縮み
防止効果、旨み成分の保持効果、焼成後の食感を柔
らかくする効果、つなぎ効果等の顕著な効果が認めら
れる。また、食品成分の旨みを保持することが可能であ
るので、食品本来の旨みを引き出した上で薄い味付けが
可能となる。さらに、微生物セルロースと高分子物質と
の複合化物を用いると、植物セルロースより数倍から数
十倍の粒子径であるにもかかわらず、舌のざらつき感や
紙感を与えず、焼成後も優れた食感を提供し、従来の植
物セルロースや大豆蛋白を使用した場合よりも一層商品
価値の高い冷凍食品が製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚本 義則 愛知県半田市清城町3−3−23 (72)発明者 川村 吉也 愛知県江南市古知野町古渡132

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセトバクター属に属する微生物の産生
    する微生物セルロースまたは該微生物セルロースに高分
    子物質を混合して得られる複合化物を含有させることを
    特徴とする冷凍食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 微生物セルロースが、微生物を培地中で
    通気攪拌培養して得られるものである請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 微生物セルロースが、微生物を培養して
    得られたものを均一化処理したものである請求項1記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 高分子物質が、アニオン性の高分子物質
    である請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 高分子物質が、カルボキシメチルセルロ
    ースナトリウム,キサンタンガムおよびアルギン酸ナト
    リウムのうちの少なくとも1種の物質である請求項1記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 複合化物中の高分子物質/微生物セルロ
    ースの比率が0.5〜10%である請求項1記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 冷凍食品が挽肉加工品である請求項1記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 挽肉加工品がハンバーグ,ミートボー
    ル,餃子,中華饅頭およびメンチカツのいずれかである
    請求項1記載の方法。
JP7293328A 1995-10-17 1995-10-17 冷凍食品の製造方法 Pending JPH09107939A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011030429A (ja) * 2009-07-29 2011-02-17 Riken Vitamin Co Ltd 惣菜食品用品質改良剤
JP2018035302A (ja) * 2016-09-01 2018-03-08 第一工業製薬株式会社 凍結抑制剤
JP2018166423A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 日清フーズ株式会社 乳化ソース及び容器詰ソース
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WO2019189537A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 日清フーズ株式会社 冷凍ベーカリー食品及びその製造方法
CN112535276A (zh) * 2020-12-11 2021-03-23 钟春燕 生物纤维素微粉在制备鱼糜制品弹性增强剂中的用途

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