JPH09106930A

JPH09106930A - 電解コンデンサ用電解液

Info

Publication number: JPH09106930A
Application number: JP28803795A
Authority: JP
Inventors: Toshiyuki Takano; 利幸高野
Original assignee: Hitachi AIC Inc
Current assignee: Lincstech Circuit Co Ltd
Priority date: 1995-10-09
Filing date: 1995-10-09
Publication date: 1997-04-22

Abstract

(57)【要約】【目的】電解液の比抵抗を低下するとともに火花発生
電圧を高くし、電解コンデンサの容量特性やtanδ特
性、漏れ電流特性、寿命向上する。【構成】多価アルコール類を主溶媒とする電解コンデ
ンサ用電解液において、アビエチン酸、ネオアビエチン
酸、レボピマール酸、パルストリン酸又はこれらの塩の
うち１種類以上を溶解することを特徴とする電解コンデ
ンサ用電解液。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサ用電解液
に関する。

【０００２】

【従来の技術】アルミ電解コンデンサ等の電解コンデン
サは、通常、コンデンサ素子に電解液を含浸している。
この電解液としては、中高圧用として例えば、エチレン
グリコール等の多価アルコール類を主体とした溶媒に、
ホウ酸やホウ酸アンモニウムを溶解した組成のものを用
いている。

【０００３】また、特に、電解コンデンサのインピーダ
ンスを低下したり、高温度下における寿命を改善するた
めに、アゼラインサやセバシン酸、１，６−デカンジカ
ルボン酸等の脂肪族二塩基酸を溶解した組成の電解液も
用いられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ホウ酸を主電
解質として溶解した電解液は、比抵抗が高い欠点があ
る。そのため、電解コンデンサのtanδ が高くなる。ま
た、エチレングリコール等とホウ酸との間でエステル化
反応が起り多量の水が生成する。そのため、高温度下に
おいて電解コンデンサを使用した場合、生成した水が電
極表面の酸化皮膜を劣化させ、そのため電解コンデンサ
の漏れ電流が増大する。そしてこの漏れ電流の増大によ
ってガスが多量に発生し、防爆弁が作動し易くなる。

【０００５】また、脂肪族二塩基酸を主電解質とする電
解液は、高温で使用した場合、脂肪族二塩基酸が電極箔
の表面に吸着し、そこに錯体を形成する。このため、電
解コンデンサを高温下で使用した場合に、静電容量の減
少やtanδ の上昇を大きくする欠点がある。

【０００６】本発明の目的は、以上の欠点を改良し、比
抵抗が低く、火花発生電圧が高く、電解コンデンサの容
量特性や tanδ特性、漏れ電流特性を改善でき、寿命を
向上できる電解コンデンサ用電解液を提供するものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、多価アルコール類を主溶媒とする電解
コンデンサ用電解液において、アビエチン酸、ネオアビ
エチン酸、レボピマール酸、パルストリン酸又はこれら
の塩のうち１種類以上を溶解することを特徴とする電解
コンデンサ用電解液を提供するものである。

【０００８】多価アルコールには、エチレングリコール
やジエチレングリコール、プロピレングリコール、１，
４−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセ
リン等を用いる。

【０００９】また、アビエチン酸やその異性体であるネ
オアビエチン酸、レボピマール酸、パルストリン酸のカ
ルボン酸の溶解量は１〜３０wt％が好ましい。すなわ
ち、これらのカルボン酸の溶解量が１wt％より少ない
と、比抵抗を下げる効果が小さくなり、また電解コンデ
ンサの特性を向上する効果も小さい。そして溶解量が３
０wt％より多くなると、溶媒である多価アルコール類へ
のカルボン酸の溶解度が飽和状態に近づき、そのため電
解コンデンサの低温特性が劣化し易くなる。

【００１０】

【作用】アビエチン酸やネオアビエチン酸、レボピマー
ル酸、パルストリン酸は特異な構造を有していて適度な
酸強度を示すため、電解液の比抵抗が低下し、火花発生
電圧が高くなる。また、これらのカルボン酸は、立体的
な構造を有しているため、電極箔と錯体を形成し難く、
脂肪族二塩基酸より電解コンデンサの容量減少を抑制で
きる。さらに、これらのカルボン酸は、立体障害のた
め、多価アルコール類とエステル化反応を生じ難く、電
解液中の水分が増加するのを抑制できる。そのため、高
温状態においても電解コンデンサが劣化するのを抑制で
きる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
多価アルコール類にはエチレングリコール及び１，４−
ブタンジオールを用い、溶媒とする。そして、アビエチ
ン酸やネオアビエチン酸、レボピマール酸、パルストリ
ン酸、アビエチン酸アンモニウムを溶質として用いる。
また、他に添加剤として、ホウ酸アンモニウムやマンニ
ット、ソルビットを２〜３wt％程度溶解する。

【００１２】次に、表１及び表２に示す組成の実施例及
び従来の電解液につき、温度３０℃のときの比抵抗、温
度８５℃のときの火花発生電圧を測定した。

【００１３】

【表１】

【００１４】

【表２】

【００１５】これらの表１及び表２から明らかな通り、
実施例１〜実施例１０によれば、比抵抗５１０〜５８０
Ω・cm、火花発生電圧が４８０〜４９０Ｖとなる。ま
た、従来例１〜従来例４は、比抵抗６３０〜１，３００
Ω・cm、火花発生電圧が４２０〜４５０Ｖとなる。従っ
て、実施例１〜実施例１０の方が従来例１〜従来例４に
比較して、比抵抗が約９２．１％以下に低下し、火花発
生電圧が約１．０７倍以上に向上する。

【００１６】また、表１及び表２に示す電解液を含浸し
た定格４００Ｖ、３３０μＦのアルミ電解コンデンサに
ついて、初期特性並びに高温負荷試験後の特性及び外観
状況を測定した。高温負荷試験は、雰囲気中の温度を１
０５℃、印加電圧を定格電圧、放置時間を５，０００ｈ
として行う。試料数は各々２０個とする。測定値は、平
均値とし、表３に示した。

【００１７】

【表３】

【００１８】この表３から明らかな通り、５，０００ｈ
後において、実施例１〜実施例１０の電解液を含浸した
アルミ電解コンデンサは、容量変化率が−０．３〜−
１．２％、tanδが０．０８０〜０．０９２、漏れ電流
が１３〜１６μＡ、となり、防爆弁が作動したり、膨ら
んだりする等の外観の異常は認められなかった。

【００１９】これに対して、従来例１の電解液を含浸し
たものは、放置後、１００〜２００ｈで全部の試料の防
爆弁が作動した。また、従来例２〜従来例４の電解液を
含浸したものは、容量変化率が−８．７〜−１３．２
％、tanδ が０．２１３〜０．３５８、漏れ電流が２１
〜２２μＡとなった。そして、特に、従来例２及び従来
例３の場合には、全試料の防爆弁が大きく膨らんだ。

【００２０】すなわち、実施例１〜実施例１０を含浸し
た場合には、従来例１〜従来例４を含浸した場合に比較
して、容量変化率が約１３．８％以下に、tanδ が約４
３．２％以下に、漏れ電流が約７６．２％以下に各々低
下している。また、実施例１〜実施例１０を含浸した場
合は、従来例１〜従来例３を含浸した場合に比較して、
ガス発生が減少していることが明らかである。

【００２１】

【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、多価アル
コール類を主成分とする溶媒に、アビエチン酸やネオア
ビエチン酸、レボピマール酸、パルストリン酸又はこれ
らの塩のうち１種類以上を溶解しているため、比抵抗を
低く、火花発生電圧を高くでき、電解コンデンサの容量
特性や tanδ特性、漏れ電流特性を改善でき、内圧の上
昇を抑制して寿命を改善できる電解コンデンサ用電解液
が得られる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】多価アルコール類を主溶媒とする電解コ
ンデンサ用電解液において、アビエチン酸、ネオアビエ
チン酸、レボピマール酸、パルストリン酸又はこれらの
塩のうち１種類以上を溶解することを特徴とする電解コ
ンデンサ用電解液。