JPH09105058A - 強力に優れたポリエステル系湿式不織布の製造方法 - Google Patents

強力に優れたポリエステル系湿式不織布の製造方法

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JPH09105058A
JPH09105058A JP7258860A JP25886095A JPH09105058A JP H09105058 A JPH09105058 A JP H09105058A JP 7258860 A JP7258860 A JP 7258860A JP 25886095 A JP25886095 A JP 25886095A JP H09105058 A JPH09105058 A JP H09105058A
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JP
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water
fiber
polyester
nonwoven fabric
fibers
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JP7258860A
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Inventor
Yasuo Yamamura
保生 山村
Mikio Tashiro
幹雄 田代
Yasuyuki Yamazaki
康行 山崎
Takeshi Motogami
健 本上
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抄紙時の分散性が優れ、抄紙後、更にウォー
ターニードリング処理工程を通して、極めて均一性に富
み高い強力を有する湿式不織布を提供する。 【解決手段】 単糸繊度が0.01〜5de繊維長が2
〜30mmのポリエステル系短繊維を、水中に均一に分
散させ抄紙機を用い、抄造して得られたウェブを単層以
上積層し、不織布を製造するに際し、該短繊維の湿潤状
態での繊維間摩擦係数を0.35以上とし得られた積層
ウェブをウォーターニードリングで3次元交絡後、乾燥
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿式抄紙工程と高圧柱
状水流処理工程(以下ウォーターニードリング処理工程
と称す)を利用して得られる、破断強力の高い、地合の
均一な不織布、例えば衣料、合成皮革、包装材料、衛生
材料、パップ材基布等に適した湿式不織布の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成繊維の抄紙性を高めるために繊維の
表面を処理する油剤を特定のものにすることは種々提案
されている。例えば特開平3―227493号公報、特
開平4―18191号公報、特開平4―82994号公
報、特開平4―82995号公報等数多く開示されてい
る。これらは特定の分散剤を使用することにより紙料の
分散状態がよくなるため、紙の地合が良く、均一な厚さ
の紙ができ、紙力も増すというものであるが、分散性が
良好でなおかつ、湿潤摩擦を積極的に向上せしめた油剤
を使用し抄紙後のウォーターニードリング処理時の紙力
を向上せしめることに何等の示唆ないし言及はなされて
いない。
【0003】また特公平3―33837号公報には抄紙
工程での繊維の分散性がすぐれており、強力、地合の良
好なポリエステル繊維紙またはポリエステル繊維混抄紙
が得られると共に、繊維の摩擦が高く梱包工程での作業
性が良好な抄紙用ポリエステル繊維が開示されている。
これは梱包作業性を向上させるため乾式時の繊維摩擦係
数を高くすることを狙っており抄紙後更にウォーターニ
ードリング処理工程を通しても極めて高い不織布強力が
得られるものではない。
【0004】上述の如き組成の油剤を使用した場合、抄
紙工程までは分散性が良好であるが、その後のウォータ
ーニードリング処理工程を通した場合に繊維がウォータ
ーニードリングの水圧によって飛散し、地合の均一な不
織布ができず、不織布強力は著しく低いものしか得られ
ないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
従来技術の欠点を解消するためになされたものであり、
その目的は抄紙時の分散性が優れていて、抄紙後更にウ
ォーターニードリング処理工程を通して得られる不織布
は極めて均一性に富み、高い不織布強力が得られる湿式
不織布の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる目的
を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した
のである。
【0007】すなわち、本発明は単糸繊度が0.01〜
5de繊維長が2〜30mmのポリエステル系短繊維
を、水中に均一に分散させ抄紙機を用い抄造して得られ
たウェブを単層以上積層して、不織布を製造するに際
し、該短繊維の湿潤状態での繊維間摩擦係数を0.35
以上とし得られた積層ウェブを支持体上に積載した状態
で、高圧柱状水流を噴射して繊維を3次元的に交絡(ウ
ォーターニードリング)後乾燥することを特徴とする、
強力に優れたポリエステル系湿式不織布の製造方法であ
る。
【0008】本発明のポリエステル系短繊維はポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イ
ソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等からなる
繊維であるが、これらを改質したもの、例えば塩基性染
料可染性ポリエステル、難燃性ポリエステル、制電性ポ
リエステル等が含まれることは言うまでもない。
【0009】又該ポリエステル系短繊維は単糸繊度が
0.01〜5de、繊維長が2〜30mmであることが
必要である。これらの特性を満足しないと、抄紙工程で
の分散性が不良であり、従って得られる不織布は、地合
の均一なものが得られず又不織布強力も低いものしか得
られない。
【0010】本発明では、上記、ポリエステル系短繊維
を、常法に従い、均一に分散させ抄紙機を用い抄造し
て、得られたウェブを単層以上に積層し、次いで該積層
ウェブを支持体上に積載した状態で高圧柱状水流を噴射
して繊維を3次元に交絡する(いわゆるウォーターニー
ドリング)。この際、積層ウェブ内の短繊維がウォータ
ーニードリングの水圧によって飛散するのを防止するた
め、該短繊維の湿潤状態での繊維間摩擦係数を0.35
以上にすることが必要である。本発明の所定の摩擦係数
を有するポリエステル短繊維は下記に詳述する特殊な組
成の処理剤をポリエステル繊維表面に付与することによ
り得られる。
【0011】例えば、テレフタル酸又はそのエステル形
成性誘導体、イソフタル酸又はそのエステル形成性誘導
体及び低級アルキレングリコールからなるポリエステル
に、エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物
0.2〜40モル%(対ジカルボン酸成分)及び平均分
子量500〜12000のポリエチレングリコール20
〜90重量%(対生成ポリマー)を共重合せしめた共重
合ポリエステル(I)をポリエステル繊維の表面に0.
01〜2重量%付着せしめることで達成される。
【0012】この際、上記共重合ポリエステル(I)
と、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体、イソ
フタル酸又はそのエステル形成性誘導体、低級アルキレ
ングリコール、並びにポリアルキレングリコール及び/
又はそのモノエールからなる共重合ポリエステル(II)
とを配合した処理剤をポリエステル繊維の表面に付着さ
せることが更に好ましい。
【0013】上記共重合ポリエステル(I)の酸成分と
して、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とイ
ソフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とのモル比は
95:5〜50:50の範囲内にあることが望ましい。
【0014】この共重合ポリエステルのグリコール成分
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコ
ール等のアルキレングリコールが好適に用いられる。
【0015】また、エステル形成性スルホン酸アルカリ
金属塩化合物としてはスルホテレフタル酸、5―スルホ
イソフタル酸、4―スルホフタル酸、4―スルホナフタ
レン―2,7―ジカルボン酸などのアルカリ金属塩及び
これらのエステル形成性誘導体があげられ、特に5―ス
ルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸のナトリウム塩
及びカルウム塩が好ましく用いられる。これらのエステ
ル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物の添加量は、
全カルボン酸成分に対して0.2〜40モル%であり、
好ましくは5〜20モル%である。0.2モル%未満で
は、生成したポリマーの水に対する溶解性、溶液とした
ときの安定性が著しく低下し湿潤状態での繊維/繊維間
摩擦係数が小さくなり、ウォーターニードリング加工後
の不織布の地合が不均一で且つ破断強力が低下する。ま
た40モル%を越えると溶融粘度が飛躍的に増大するた
め、溶融重合法で所望の高重合度ポリマーを得ることが
困難になる。尚スルホン酸アルカリ金属塩化合物の金属
塩がアルカリ金属以外の場合は生成ポリマーを付与した
繊維の分散性が十分でなく、本発明の目的が達成できな
い。更に、ポリアルキレングリコールとしては、分子量
が500〜12000、好ましくは600〜6000の
ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポ
リプロピレングリコール共重合体、ポリプロピレングリ
コールが好適である。更にポリアルキレングリコールの
モノエーテルを使用してもよく、例えばポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール等のモノメチルエ
ーテル、モノエチルエーテル、モノフェニルエーテル等
が好適であるが、分散性向上効果の点からはポリエチレ
ングリコールのモノエーテル類が特に好適である。添加
量は生成ポリマーに対して20〜90重量%、好ましく
は30〜80重量%である。ポリアルキレングリコール
の分子量が500未満ではブロック性が小さくなるた
め、水中への繊維の分散性が不十分であり、12000
を越えると湿潤状態での繊維/繊維間摩擦係数が小さく
なり、ウォーターニードリング加工後の不織布の地合が
不均一で且つ破断強力が低いポリエステル繊維しか得ら
れない。
【0016】上記共重合ポリエステル(II)の酸成分と
して、前述の共重合ポリエステル(I)の場合と同様、
テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とイソフタ
ル酸又はそのエステル形成性誘導体とのモル比は95:
5〜50:50の範囲内にあることが望ましい。この共
重合ポリエステル(II)のグリコール成分としては、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチ
レングリコール、ペンタメチレングリコール等の低級ア
ルキレングリコールが用いられる。また、ポリアルキレ
ングリコールとしては、通常平均分子量が500〜12
000、好ましくは600〜6000のポリエチレング
リコール、ポリエチレンクリコール・ポリプロピレング
リコール共重合体、ポリプロピレングリコールが好適で
ある。更に必要に応じて反応性を調節する目的で使用す
るポリアルキレングリコールのモノエーテルとしては、
ポリエチレグリコール、ポリプロピレングリコール等の
モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノフェニ
ルエーテル等が好適であるが、繊維の水中分散性向上効
果の点からはポリエチレングリコールのモノエーテル類
が特に好適である。
【0017】更に、テレフタレート単位+イソフタレー
ト単位:ポリアルキレングリコール単位が3:1〜1
0:1(モル比)の範囲内にあることが繊維の水中分散
性向上効果の点から特に好ましい。
【0018】上記共重合ポリエステル(I)と(II)を
配合する場合はウォーターニードリング処理後の不織布
の地合を均一、且つ、破断強力を高くする上で共重合ポ
リエステル(I)の配合割合を20重量%以上とする必
要がある。これらの共重合ポリエステル(I)と(II)
の合成には通常のポリエチレンテレフタレートの合成法
を適用することができ、例えば、所定量のジカルボン酸
ジメチルエステルとグリコールを通常のエステル交換触
媒の存在下で140〜240℃に加熱し、生成するメタ
ノールを留去しながらエステル交換反応を行なわせ、次
いで通常の重合触媒及び亜リン酸エステルやリン酸エス
テルなどの着色防止剤及び所定量のポリアルキレングリ
コール及び/又はエステル形成性スルホン酸アルカリ金
属塩化合物を添加した後、200〜275℃、0.5m
mHg以下の高温真空下でエチレングリコールを留去さ
せ重縮合する方法によって得られる。ポリアルキレング
リコールを添加する前又は同時に少量の酸化防止剤とし
て高沸点を有するヒンダードフェノール類などを添加す
ると後の工程で高温に加熱されても耐熱性が良好なポリ
マーが得られる。
【0019】なお、該共重合ポリエステル(I)と(I
I)の固有粘度(o―クロロフェノール中25℃で測
定)には、特に限定はないが1.0を越えると水への分
散性が悪くなり溶液性がよくないので、1.0位のもの
が好ましい。
【0020】これらの共重合ポリエステル(I)、(I
I)は、容易に水中へ分散させることができるが、得ら
れた水性分散液の安定性をより向上させるためにラウリ
ルホスフェートカリウム塩のようなアニオン系界面活性
剤、脂肪族アルコールのエチレンオキシド付加物のよう
な非イオン系界面活性剤を添加するのが好ましい。ま
た、水と混合しうる比較的低沸点の有機溶剤、例えばメ
タノール、エタノール、プロパノールのようなアルコー
ル類、ジオキサンエチレングリコールエチルエーテルの
ようなエーテル類、酢酸エチルのようなエステル類に共
重合ポリエステル(I)、(II)を溶解し、これを界面
活性剤含有水と混合して、ポリマーを水中に分散させ、
場合によっては、有機溶剤を除去して水性分散液を製造
することもできる。有機溶剤の併用により、界面活性剤
単独の場合より更に少量の界面活性剤で、良好な水性分
散液を得ることができる。
【0021】更に、水中分散状態で、又は繊維表面に付
与されたとき、共重合ポリエステル(I)、(II)が大
きな粒子に凝集して付着斑が生じたり耐久性が低下した
りするのを防止するために、下記のようなアニオン界面
活性剤もしくは非イオン界面活性剤を処理液に対して
0.01〜50g/l添加するのが好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】[ここでR2 :炭素数が3以上、好ましく
は9〜18のアルキル基、R3 :炭素数が6以上、好ま
しくは8〜25のアルキル基、n:4〜20の整数] しかし特に好ましいのは(イ)〜(ロ)で示されるアル
キルアリールポリエーテルの硫酸エステル型アニオン界
面活性剤である。
【0024】同じ目的で、蟻酸、酢酸、蓚酸、スルファ
ミン酸、モノクロル酢酸等の有機酸、塩酸、燐酸等の無
機酸、グリコールジアセテート、ジアセチン、モノクロ
ログリセリン、ジクロログリセリン、ラクトン、サント
ンのような高温で加水分解して酸を生成する潜在性酸や
硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、
塩化ナトリウム、塩化ナトリウム等の水溶性塩類を少量
併用してもよい。
【0025】ポリエステル繊維に、前記共重合ポリエス
テル(I)又は該共重合ポリエステル(I)と前記共重
合ポリエステル(II)の混合物を付着させるには、任意
の方法を採用することができるが、水性分散液として処
理する方法が最も便利である。この処理は抄紙工程以前
のどの工程で行なってもかまわないが、ポリエステル繊
維を延伸した後、水性分散液で処理し、熱処理した後カ
ットする方法が効果的である。
【0026】共重合ポリエステル(I)又は共重合ポリ
エステル(I)と共重合ポリエステル(II)の混合物の
ポリエステル繊維に対する付着量は0.01〜2重量
%、好ましくは0.04〜1.5重量%であることが望
ましい。付着量が0.01重量%より少ないと抄紙時の
分散性向上効果が小さくなる傾向が認められ、2重量%
より多いとポリエステル繊維をビーターへ投入する際の
風綿が多くなり、取扱い上不都合が生じる場合がある。
【0027】尚、付着方法はディップ、スプレー等通常
の方法が採用される。
【0028】本発明において、抄造して得られたウェブ
を所望の用途に応じて単層以上に積層し該積層ウェブを
支持体に積載した状態で高圧柱状水流を噴射して、繊維
を3次元的に交絡する。いわゆるウォーターニードリン
グで交絡を強固にかつ目的に応じ適正に行う条件は以下
の通りである。
【0029】水流を噴射するためのノズルの径は10〜
500μmの範囲が好ましい。ノズルの間隔は10〜1
500μmが好ましい。
【0030】これらのノズルは抄造方向に対し、直交方
向は加工を行うシートの幅をカバーする範囲が必要で、
抄紙方向に対しては、ウェブの種類、坪量、加工速度、
水圧を考慮し、十分な交絡が得られる範囲でノズルヘッ
ドの数を変え、用いることができる。また、交絡回数も
任意に選ぶことができる。
【0031】水圧は10〜250kg/cm2 の範囲で
用いることが好ましい。さらに好ましくは50〜250
kg/cm2 の範囲である。10kg/cm2 未満では
十分な繊維の交絡は得られない。250kg/cm2
り大きいとウェブからの繊維の脱落が著しく、シートの
破損が生じる。ただし、坪量の大小、繊維の剛性の大小
で、交絡する水圧の上限が変化することを付け加え述べ
ておく。
【0032】ウェブの搬送速度は5〜200m/分の範
囲で用いることが可能である。搬送速度が遅いと、ウェ
ブに当たる水流でウェブが破損する可能性があり、ま
た、生産効率上好ましくない。搬送速度が速すぎると、
ウェブに交絡に必要なエネルギーを与えることができな
いため、交絡を強固に行うことができない。
【0033】ノズルを段階的に並べた、水圧を加工初期
から終盤にかけて順次圧力を上げて行くことで、ウェブ
に与えるダメージを少なくし、交絡を適性に行うことが
できる。また、面質が向上する点から好ましい。同様
に、ノズル径またはノズル間隔を、もしくは両方を順次
小さくすることは、交絡を適正に行うことができ、不織
布の面質が向上する点から好ましい。
【0034】また、ノズルのヘッダーを回転運動させる
こと、左右に振動させること、あるいはウェブの支持体
を左右に振動させることで、さらに面質を改良すること
ができる。さらに、交絡後、ノズルとウェブの間に40
〜100メッシュの金網を挿入し、柱状水流を散水化し
ウェブに噴射することでも面質改良を行うことができ
る。
【0035】交絡方法は片面のみ、あるいは両面交絡を
行うことができる。また、交絡を行った後、さらに積層
し、交絡を行うことも可能である。
【0036】このようにして得られ三次元交絡処理を施
されたウェブは、交絡中あるいは交絡後に、余分な水分
を吸引あるいはウェットプレスなどの方法で取り除いた
後、エアードライヤー、エアースルードライヤー、ある
いはサクションドラムドライヤー等を用い、乾燥を行う
ことができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、抄紙工程での繊維の水
中分散性が優れ、ウォーターニードリング処理によって
強力、地合の良好なポリエステル繊維不織布を得ること
ができる。
【0038】また、本発明では抄紙時の水中への分散性
が従来のポリエステル繊維に比べて大幅に向上している
ため、単独での抄紙も可能であり、さらにはより繊維長
の長いものも抄紙が可能である。また、木材パルプ、レ
ーヨン、ビニロン、ナイロン、ポリプロピレン、ガラス
繊維等他の繊維と混合して抄紙してもよい。尚、抄紙時
添加される粘剤はある程度分散性を向上させる能力があ
るが、本発明では分散性が非常に良好であるため、粘剤
の助けは殆んど不必要となり、その結果、粘剤は濾水性
の調節用としてのみ使用することができ、工程管理上か
なり有利になる。
【0039】本発明では特定のポリエステル短繊維を使
用することによって、得られる不織布は従来の不織布に
比べて均一性ばかりか、強度が大なるものとなる。これ
はウォーターニードリング加工時に、本発明で使用する
繊維の特徴の一つである湿潤時の高摩擦性によって、繊
維間の交絡が進み、ニードリング効果が増大すること、
また製品になった段階でも乾燥時の高摩擦性によって繊
維同士のずれに対する抵抗が増大することによるものと
考えられる。
【0040】低摩擦性のポリエステル繊維を使用する
と、ウォーターニードリングの処理によって繊維間が滑
り、水流から単に逃げるだけで、繊維間の絡み合いが生
じにくいと考えられる。
【0041】
【実施例】以下本発明を実施例によって更に詳しくは説
明する。なお、評価結果における分散性、不織布の地合
い、総合評価の欄の符号の意味は次の通りである。
【0042】 ◎:非常に良い、○:良い、△:中間、×:悪い 尚、湿潤時の繊維間摩擦係数は、常法のレーダー法に準
拠し1800rpm時の値である。
【0043】更に短繊維の水分散性を示す尺度として使
用するフラットスクリーン法による繊維残量は以下の方
法によって測定されるものである。
【0044】フラットスクリーン法によるフラットスク
リーンプレート上の繊維残量は、第1図に示すような熊
谷理機工業株式会社製大型フラットスクリーン用いて測
定する。第1図において1は注水口、2はスクリーンボ
ックス、3はスクリーンプレート、4はゴム隔膜、5は
振動槽、6はバルブ精選室、7はせき板、8は採取口、
9は排水口、10は振動子、11はモーター、12、1
3はプーリー、14は駆動ベルト、15は駆動軸、16
は偏心カムである。第2図はスクリーンプレート3の平
面図であり、点線Aで囲まれた有効面積(縦432m
m、横364mm)内に、等間隔に配された1列当りN
/3個のスリット17(幅1mm、長さ0.8mm)の
列を3列配設している。ここでスリット17の総個数N
個は繊維長をFLmmとした場合、N×FL≒2400
を満足し、かつ3で割り切れる数とする。そして、スリ
ット17の巾1mmは、 スリット開孔率=(1×108×N)/(432×36
4)×100% が10%になるように選定される。
【0045】次ぎに測定法について説明すると、繊維サ
ンプル25gを分散し、これをスクリーンプレート3の
上方、約10cmまで水を満たしたスクリーンボックス
2内に投入する。次いで注水口1から20±11/分の
割合で水を供給しながら10分間、ゴム隔膜4を700
r.p.mの振動数で上下に振動させる。ゴム隔膜4を
振動させるには、モーター11を駆動して、プーリー1
2、駆動ベルト14、プーリー13を介し駆動軸15を
回転させ、偏心カム16を作動させることにより振動子
10を上下動させればよい。ゴム隔膜4の振動は振動槽
5を介してスクリーンプレート3に吸引力と圧力を交互
に作用させ、スリット17からの繊維の通過を促進す
る。尚、水位を一定に保つために、せき板7がバルブ精
選室6内に設けられている。次いで、スクリーンボック
ス2内を排水口9から排出させ、スクリーンプレート3
上に残った繊維を集めて遠心脱水した後、105℃で9
0分間乾燥して、その重量を測定し(単位mg)、フラ
ットスクリーンプレート上の繊維残量とする。このフラ
ットスクリーンプレート上の繊維残量はその値が低いほ
ど繊維の水中分散性が良いことを示し、1000mg以
下が好ましい。
【0046】[実施例1]テレフタル酸ジメチル(DM
T)18重量部、イソフタル酸ジメチル(DMI)4.
4重量部、エチレングリコール(EG)17.2重量
部、およびエステル交換反応触媒として酢酸カルシウム
0.0002重量部を攪拌機、精留塔及びメタノール留
出コンデンサーを設けた反応器に仕込み140℃から2
30℃に加熱し、反応の結果生成するメタノールを系外
に留出させながらエステル交換反応せしめた後、正リン
酸0.0001重量部、三酸化アンチモン0.0002
重量部、5―ナトリウムスルホイソフタル酸グリコール
エステル(SI)3.7重量部および平均分子量300
0のポリエチレングリコール(PEG)56.6重量部
を加えて230℃から275℃に徐々に昇温すると共に
常圧から0.5mmHgの高真空に圧力を下げながら重
縮合反応せしめた。全重縮合反応時間100分で反応を
完結し、反応器より取出した後、冷却固化させて、白色
の共重合ポリエステル(I)を得た。
【0047】得られたポリマー9.5部を窒素気流下で
250℃にて溶融せしめ、これを予め用意したPOE
(15)ノニルフェニルエーテルアンモニウムサルフェ
ートの0.5%水溶液90部中に攪拌しつつ投入し、エ
マルジョンを得た。
【0048】一方、固有粘度が0.64のポリエチレン
テレフタレートチップから常法によって単糸デニールが
4デニールの未延伸糸を得た。該未延伸糸を50万デニ
ールの未延伸トウとなし、延伸倍率3.2延伸速度80
m/分で延伸し、このトウを上記の水分散液中で処理
し、120℃で熱処理した後20mmに切断した。得ら
れたポリエステル繊維は単糸デニールが1.5デニール
であり、共重合ポリエステル(I)の付着量は0.3重
量%であった。
【0049】この繊維について、図1に示した熊谷理機
工業株式会社製大型フラットスクリーンを用いて、フラ
ットスクリーン法により、フラットスクリーンプレート
上の繊維残量を測定したところ55mgと極めて少な
く、ポリエステル繊維の水中分散性も良好であった。
尚、この測定で用いたスクリーンプレートは幅1.12
13mm、長さ108mmのスリットを40個×3列に
配設したものであった。
【0050】[実施例2]実施例1において共重合ポリ
エステル(I)の繊維に対する付着量を種々に変更し
て、テストをくり返したところ、表1に示すような結果
が得られた。共重合ポリエステル(I)の付着量が少な
くなると湿潤時の繊維間摩擦係数が増大するがフラット
スクリーンプレート上の繊維残量が多くなり、繊維の水
中分散性が低下する傾向が認められる。
【0051】
【表1】
【0052】[実施例3〜9、比較例1〜6]実施例1
において、表2に示すように組成を種々変更した共重合
ポリエステル(I)を作成し実施例1と同様にしてポリ
エステル繊維に付着せしめてその性能を評価した。結果
を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】以上の結果から、湿潤時の繊維/繊維間摩
擦係数が0.35以上で且つフラットスクリーンプレー
ト上の繊維残量が1000mg以下の分散性のよいポリ
エステル繊維(実施例3〜9)が好ましい。
【0055】[実施例10]エマルジョンを共重合ポリ
エステル(I)と共重合ポリエステル(II)との混合物
を使用する以外は実施例1と同じにして処理剤としての
性能を評価した。結果を表3に示した。
【0056】共重合ポリエステル(I)は実施例1で用
いたものと同じものを使用した。共重合ポリエステル
(II)のエマルジョンは次の通りで作成した。
【0057】テレフタル酸ジメチル(DMT)20重量
部、イソフタル酸ジメチル(DMI)5重量部、エチレ
ングリコール17.2重量部およびエステル交換反応触
媒として酢酸カルシウム0.0002重量部を攪拌機、
精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器
に仕込み140℃から230℃に加熱し、反応の結果生
成するメタノールを系外に留出させながらエステル交換
反応せしめた後、正リン酸0.0001重量部、三酸化
アンチモン0.0002重量部および平均分子量300
0のポリエチレングリコール(PEG)56.6重量部
を加えて230℃から275℃に徐々に昇温すると共
に、常圧から0.5mmHgの真空に圧力を下げながら
重縮合反応せしめた。全縮合反応時間100分で反応を
完結し、反応器より取り出した後、冷却固化させて白色
の共重合ポリエステル(II)を得た。得られたポリマー
9.5重量部を窒素気流下250℃にて溶融せしめ、こ
れを予め用意したPOEノニルフェニルエーテルアンモ
ニウムサルフェートの0.5%水溶液90部中に攪拌し
つつ投入し、エマルジョンを得た。
【0058】
【表3】
【0059】[実施例11〜14、比較例7]湿潤時の
繊維/繊維間摩擦係数が0.35以上で且つフラットス
クリーンプレート上の繊維残量1000mg以下の実施
例3、4、6、8と摩擦係数が0.35未満で且つフラ
ットスクリーンプレート上の繊維残量が1000mgを
越えた比較例6の繊維を通常の方法で抄紙した後、抄紙
をノズル径0.0127cm、水圧60kg/cm2
抄紙とノズルの距離7cmの条件でウォーターニードリ
ングを施して不織布を得た。これらの不織布の目付けは
いずれも概ね80g/m 2 であった。
【0060】これらの不織布を幅5.0cmの短冊状に
カットし、掴み長100mm、速度100mm/分で引
張って強度を測定した。その結果を表4に示す。この結
果からも明らかな様に本発明のポリエステル短繊維から
成る不織布は破断強度が高く、均一性に優れているのに
対して、比較例7では不織布の強度が低く、地合いも不
均一で見劣りがするものであった。
【0061】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】フラットスクリーン法によりフラットスクリー
ンプレート上の繊維残量を測定する装置の縦断面図
【図2】フラットスクリーンプレートの平面図
【符号の説明】
2 スクリーンボックス 3 スクリーンプレート 7 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本上 健 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単糸繊度が0.01〜5de、繊維長が
    2〜30mmのポリエステル系短繊維を、水中に均一に
    分散させ、抄紙機を用い抄造して得られたウェブを単層
    以上積層して、不織布を製造するに際し、該短繊維の湿
    潤状態での繊維間摩擦係数を0.35以上とし、得られ
    た積層ウェブを支持体上に積載した状態で、高圧柱状水
    流を噴射して繊維を3次元的に交絡(ウォーターニード
    リング)後、乾燥することを特徴とする、強力に優れた
    ポリエステル系湿式不織布の製造方法。
JP7258860A 1995-10-05 1995-10-05 強力に優れたポリエステル系湿式不織布の製造方法 Pending JPH09105058A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115467086A (zh) * 2022-09-14 2022-12-13 余姚市龙翔水刺热轧无纺有限公司 一种水刺无纺布的制备方法及其水刺无纺布

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CN115467086A (zh) * 2022-09-14 2022-12-13 余姚市龙翔水刺热轧无纺有限公司 一种水刺无纺布的制备方法及其水刺无纺布

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