JPH09104349A - ステアリングホイールとその製造方法 - Google Patents

ステアリングホイールとその製造方法

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JPH09104349A
JPH09104349A JP26575095A JP26575095A JPH09104349A JP H09104349 A JPH09104349 A JP H09104349A JP 26575095 A JP26575095 A JP 26575095A JP 26575095 A JP26575095 A JP 26575095A JP H09104349 A JPH09104349 A JP H09104349A
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JP
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steering wheel
resin
ring
resin material
boss plate
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JP26575095A
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English (en)
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Atsushi Terao
淳 寺尾
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Nihon Plast Co Ltd
Original Assignee
Nihon Plast Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車両の衝突時に運転者が負傷しないよう変形
し、エアバッグ装置を装備する場合には、同装置が理想
的に展開するステアリングホイールを提供する。 【解決手段】本発明のステアリングホイールは、全体が
円環形状をなす断面円形の中空リング(11)と、ボス(3a)
が一体的に形成されたボスプレート(3) と、同ボスプレ
ート(3) と前記中空リング(11)とを連結する複数のスポ
ーク芯金(2) とから構成される金属ハブコア(1) を有し
ている。金属ハブコア(1) の下側半部は樹脂で被覆成形
されている。中空リング(11)はF−F断面及びD−D断
面において三日月状に押し潰され、塑性変形しやすく構
成されている。衝撃を受けた際には、中空リング(11)の
下端は変形し運転者を極端に圧迫することを回避し、中
空リング(11)の上側半部は衝撃を受ける前の状態を維持
し、例えばエアバッグ装置を装備する場合には、同装置
は所定の角度を維持して運転手に向けて支持され、理想
的な展開がなされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両に使用されるステア
リングホイールに関し、特にエアバッグ装置を装着する
に適したステアリングホイールに関する。
【0002】
【従来の技術】車両の追突等の衝撃を受けたとき、運転
者は前のめりになり、或いはステアリングホイールと座
席との間で挟まれて、特に下腹部をステアリングホイー
ルのリング部下端により強く圧迫され、重傷を負いかね
ない。このようなステアリングホイールによる負傷を回
避するために、従来から、例えば特開平3−28446
9号公報に開示されているように、ボスプレートに変形
予定部を形成している。この変形予定部はボスプレート
に形成された貫通孔や凹部からなり、ステアリングホイ
ール自体に衝撃荷重が作用すると、ボスプレートが前記
貫通孔又は凹部の位置において容易に荷重の作用方向に
屈曲し、それによりステアリングホイール全体を運転者
の身体に対して略平行になるよう傾ける特性(セルフア
ライニング)が付与され、ステアリングホイールのリン
グ部下端が運転者の下腹部を圧迫することを防止してい
る。
【0003】一方、近年では運転者の上体、特に頭部を
衝突の衝撃から保護するために、車両にはエアバッグ装
置が装備されている。このエアバッグ装置はステアリン
グホイールのボスプレートに取り付けられ、衝撃を感知
すると運転者に向けてエアバッグが膨張展開して運転者
を保護するものである。その展開は、初期において運転
者の上体に向けて膨張し特に頭部及び胸部を支持して前
のめりを防止し、その後膨張圧を徐々に逃がしながら腹
部を保護することが理想的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ようにボスプレートを変形させてステアリングホイール
全体を下方へ傾け下腹部の圧迫を防止する、従来のステ
アリングホイールにそのままエアバッグ装置を装備する
と、エアバッグの膨張初期段階においてステアリングホ
イールは下方に傾き、衝突の直後にエアバッグの膨張形
態がステアリングホイールの上端を越えて前方に逃げる
ため、運転者の上体、特に頭部をエアバッグで支持する
ことが困難となる。更に、エアバッグの展開後期におい
ても、エアバッグの膨張する方向をステアリングホイー
ルのリング部により適切に保持することができないた
め、図13に示すように理想的なエアバッグの展開形状
が確保できず、十分に運転者の保護を達成できない虞れ
がある。
【0005】そこで本発明の課題は、車両が衝撃を受け
た際に、ステアリングホイールのリング部が運転者の下
腹部を圧迫することがなく、更にエアバッグ装置をその
展開初期においては運転者の頭部及び胸部を確実に支持
すると共に、展開後期においても運転者に向けて適切な
方向で膨張するように取り付けることのできるステアリ
ングホイールとその効率的な製造方法とを開発すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明は、円環状をなすリング部と、ステアリング
シャフトの取付部であるボスをもつボスプレートと、同
ボスプレートと前記リング部とを連結する複数のスポー
ク芯金とを有する金属ハブコアを備えてなるステアリン
グホイールであって、前記リング部は前記ボスプレート
を介した下側半分の所望の部位が他の部位よりも塑性変
形しやすく構成されてなることを特徴とするステアリン
グホイールを主要な構成としている。
【0007】かかる構成を備えた本発明のステアリング
ホイールは、円環状をなすリング部と、ステアリングシ
ャフトの取付部であるボスをもつボスプレートと、同ボ
スプレートと前記リング部とを連結する複数のスポーク
芯金とを有する金属ハブコアを備えてなるステアリング
ホイールの製造方法であって、前記金属ハブコアの所定
の部位に第1樹脂材料を一体に被覆成形することと、前
記リング部の前記ボスプレートを介した下側半分の所望
の部位を他のリング部より変形しやすく塑性変形させる
ことと、第1樹脂材料により部分的に被覆成形された前
記金属ハブコアのほぼ全面を第2樹脂材料により被覆成
形することとを含んでなることを特徴とする製造方法に
より効率的に製造される。
【0008】そして、前記製造方法として好適な実施の
態様によれば、前記金属ハブコアを第1成形金型の所定
部位に嵌挿配置すること、前記成形金型内に第1樹脂材
料を注入して所定の樹脂圧を保持しながら、前記金属ハ
ブコアの所要周面に前記第1樹脂材料を一体に被覆成形
すること、及び前記樹脂圧を利用して、前記リング部の
前記ボスプレートを介した下側半分の所望の部位におい
て上側半分のリング部より塑性変形のしやすいような断
面に変形させる。
【0009】その具体例の概要は、前記第1成形金型は
リング部の下側半分と複数のスポーク芯金とをボスプレ
ートに連通させると共に、その一部のスポーク芯金の連
通路に一部樹脂流路が狭められた絞り部が形成してあ
る。また、前記一部のスポーク芯金と他のスポーク芯金
との間を、その中心付近で連結する樹脂流路を形成し、
ボスプレートの周辺から溶融樹脂が注入されたとき、前
記リング部に作用する樹脂圧の分布を局部的に変動させ
ている。
【0010】従って、注入された溶融樹脂は先ずボスプ
レートの全面を被覆し、その後ボスプレートと連通する
樹脂流路を通って一部のスポーク芯金部分に至り、同ス
ポーク芯金を被覆する。この一部のスポーク芯金が第1
樹脂材料により被覆されるときに、同スポーク芯金の被
覆部には絞り部が形成されており、そこでは樹脂の流量
が制限され、その絞り部の下流側流路における樹脂圧を
低減させる。一方、絞り部を持たない他のスポーク芯金
からリング部に通じる樹脂流路には、連結するバイパス
樹脂流路を介して樹脂が注入されるため、そのときの樹
脂圧がそのまま作用する。
【0011】このようにリング部に至る樹脂圧を変化さ
せることで、樹脂圧の低い部分においてはリング部を変
形させることなく第1樹脂材料がその周囲を被覆する
が、樹脂圧の高い部分においてはその樹脂圧によりリン
グ部を押し潰すように塑性変形させて被覆する。この押
し潰された箇所は外力により容易に変形する。
【0012】また他の好適な実施の態様によれば、前記
金属ハブコアの前記ボスプレートを介した下側半分の所
望の部位を機械的加工によりその上側半分よりも塑性変
形のしやすいような断面に予め変形させておくこと、同
金属ハブコアを第1成形金型の所定部位に嵌挿配置する
こと、前記成形金型内に第1樹脂材料を注入して、前記
金属ハブコアの所要周面に前記第1樹脂材料を一体に被
覆成形することを含んでいる。
【0013】こうして第1樹脂材料により部分的に被覆
成形された金属ハブコアはステアリングホイール成形金
型に装着されて発泡樹脂材料からなる第2樹脂材料によ
りほぼ全面を被覆され、ステアリングホイールを完成さ
せる。このステアリングホイールはリング部の下半分に
おいて中空部分が押し潰された位置で変形し易く、車両
が衝撃を受けると、同位置においてリング部を容易に変
形させ、ステアリングホイールのリング部が運転者の下
腹部を圧迫することを防止する。
【0014】このステアリングホイールにエアバッグ装
置を装備し、エアバッグが膨張するときは、ステアリン
グホイールに衝撃が与えられると、リング部を下半分の
所定の箇所で変形させてボスプレート自体は何ら変形せ
ず、ステアリングホイールの下側半部が屈曲して傾くだ
けであるため、エアバッグ装置はその展開初期において
は運転者の頭部及び胸部を確実に支持し、展開後期にお
いても運転者に向けて適切な方向で理想的に膨張する。
【0015】また、前述の例では金属ハブコアの所定部
に第1樹脂材料を被覆成形すると同時にリング部の所定
部位を塑性変形させて外力に対して変形し易く加工でき
るため、部品点数や工程の増加がなく、製品重量も増加
することなくコストアップが防止できる。もちろん、前
述のように被覆成形の前工程にて予めリング部の一部を
プレス等によって塑性変形させておく場合もある。この
場合には、第1成形金型に上述のような絞り部を形成す
る必要はない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、好適な実施例を示した図面を参照し、詳細に説明す
る。
【0017】図1は本発明のステアリングホイールの中
間部材である第1樹脂材料を所定部位に被覆成形した金
属ハブコアを示している。金属ハブコア1は全体が円環
形状をなす断面が円形の中空リング11と、同中空リン
グ11の中心部に配されたボスプレート3と、中空リン
グ11とボスプレート3とを連結する複数のスポーク芯
金2とから構成されている。ボスプレート3は中空リン
グ11の中心部に配置され、その4隅部において中空リ
ング11の下半部と、左右対称の上下スポーク芯金2
1,22を介して連結されている。
【0018】中空リング11は鋼材のシーム管であり、
外径は15ミリ、板厚は1.2ミリである。中空リング
11の下側半部は内側半周面が第1樹脂材料により被覆
された半周被覆部11aを構成しており、その複数箇所
において局部的に全周を同一樹脂材料により被覆した全
周被覆部11bが形成されている。本実施例によれば、
第1樹脂材料としてガラス繊維を40重量%混入した繊
維強化ポリプロピレンが使用されている。もちろん、こ
の第1樹脂材料としては前述の材料に限定されず、例え
ばガラス繊維入りポリエステル等も使用できる。
【0019】ボスプレート3は板厚が数ミリのプレス鋼
材からなる板体からなり、その中心部に鍛造などで形成
した鋼鉄製のボス3aが一体に取り付けられている。ボ
スプレート3はボス3aを除く略全面が前述の第1樹脂
材料により被覆されており、その樹脂被覆部3bの上端
には成形の際に形成されるゲート切断端31が残存して
いる。
【0020】上下スポーク芯金21,22は中実の鋼鉄
棒材で、外径は8〜10数ミリであり、各端部はボスプ
レート3及び中空リング11に熔接により一体に接合さ
れている。上スポーク芯金21は全体に第1樹脂材料で
被覆された被覆部21aを有し、中空リング11との接
合部の付近には、図2に示すように、上スポーク芯金2
1の一部を第1樹脂材料により全周を被覆していない非
被覆部23が形成されている。一方、下スポーク芯金2
2は中空リング11の上記半周被覆部11aに連続する
同じく第1樹脂材料により全面を被覆された被覆部22
aを有している。
【0021】これら上スポーク芯金21と下スポーク芯
金22のそれぞれ略中心部はバイパス連結部24により
連結されている。この連結部24は第1樹脂材料からな
り、また、上下スポーク芯金21,22はエアバッグ装
置の一部をなす図示せぬベースプレートの取付部である
取付フランジ25を有している。上スポーク芯金21及
び下スポーク芯金22の第1樹脂材料による被覆部21
a及び22aの成形時において、前記連結部24は上ス
ポーク芯金21から下スポーク芯金22への第1樹脂材
料の樹脂流路を構成する。
【0022】図3〜図7は、本発明のステアリングホイ
ールのリング部における各部位での断面図である。図3
及び図6に示すように、図1のB−B断面及びE−E断
面、即ち中空リング11とスポーク芯金2とが熔接によ
り接合されている箇所においては、中空リング11はそ
の断面が略真円であり、スポーク芯金2の全体及び中空
リング11の半周が第1樹脂により均一な厚みで被覆さ
れている。
【0023】図4に示すように、上スポーク芯金21に
近接する図1のC−C断面においては、中空リング11
は樹脂圧により内側が外側に向けて押し潰され半円状に
変形しているが、断面の外周形状は上述のB−B断面及
びE−E断面と同一であり、押し潰された部分には樹脂
が肉厚で存在している。
【0024】更に図5に示すように、下スポーク芯金2
2に近接する図1のD−D断面においては、中空リング
11は内側が更に押し潰されて三日月状に変形し、押し
潰された部分には樹脂が充填され、より肉厚に被覆され
ている。
【0025】また図7に示すように、中空リング11の
下端にあたる図1のF−F断面においても、中空リング
11は押し潰されて三日月状に変形し、押し潰された部
分には樹脂が充填され、更に同部においては中空リング
11はその全周が第1樹脂により被覆されている。即
ち、内側がより肉厚に、外側は肉薄に樹脂が被覆してい
る。
【0026】次に、上記金属ハブコア1に第1樹脂を被
覆する成形方法について説明する。先ず、上述の金属ハ
ブコア1を第1成形金型10の所定部位に装着配置す
る。この第1成形金型10に金属ハブコア1を装着した
状態を図8に示す。第1成形金型10は、上スポーク芯
金21のキャビティ210がボスプレート3のキャビテ
ィ30に連通されており、その上スポーク芯金キャビテ
ィ210には一部樹脂流路が狭められた絞り部230が
形成されている。一方、下スポーク芯金キャビティ22
0は、ボスプレートキャビティ30と連通しておらず、
前記上スポーク芯金キャビティ210と下スポーク芯金
キャビティ220との間を、その中心付近においてバイ
パス樹脂流路キャビティ240により連結している。下
スポーク芯金キャビティ220への樹脂の供給はこのバ
イパス樹脂流路キャビテ240を介して上スポーク芯金
キャビティ210からなされる。上スポーク芯金キャビ
ティ210及び下スポーク芯金キャビティ220はいず
れもリングキャビティ110に連通している。
【0027】この第1成形金型10にボスプレートの上
端に形成されたゲート310を介して溶融状態にある第
1樹脂材料が注入される。注入された溶融樹脂は先ずボ
スプレートキャビティ30に充填され、ボスプレート3
の全面を被覆し、その後ボスプレートキャビティ30と
連通する上スポーク芯金キャビティ210に至り、上ス
ポーク芯金21を被覆する。この上スポーク芯金21が
第1樹脂材料により被覆されるときに、その絞り部23
0で樹脂の流量が制限され、同絞り部230の下流側流
路における樹脂圧を減少する。そのため金型全体に対す
る保持圧が同一であっても、絞り部230を通り抜けて
中空リングキャビティ110に達する樹脂圧は低くな
り、それと同時に剪断抵抗による発熱を生じ樹脂の温度
が上昇し、粘度が低下するため、樹脂は中空リングキャ
ビティ110を円滑に流動して、中空リング11を変形
させることなくその半周面を被覆する。
【0028】一方、上スポーク芯金キャビティ210は
その中央において下スポーク芯金キャビティ220とバ
イパス樹脂流路キャビティ240を介して連結されてい
るため、第1樹脂材料はこのバイパス樹脂流路キャビテ
ィ240のを通って下スポーク芯金キャビティ220に
所定の樹脂圧を保持した状態で流れ、中空リングキャビ
ティ110に至る。 中空リングキャビティ110に
は、上スポーク芯金キャビティ210及び下スポーク芯
金キャビティ220から樹脂が流入されるが、上述のよ
うに、絞り部の有無により、それぞれから供給される樹
脂圧が異なるため、中空リングキャビティ内の樹脂圧の
分布が局部的に変動し、その樹脂圧により中空リング1
1のボスプレート3を介した下側半部の所望の部位にお
いて上側半部の中空リング11より塑性変形しやすいよ
うな断面に変形させる。
【0029】上スポーク芯金21と下スポーク芯金22
との間の中空リングキャビティ110に作用する樹脂圧
について見ると、上スポーク芯金キャビティ210には
絞り部230が形成されているため、図1のB−B断面
の上スポーク芯金キャビティ210側の中空リング11
の箇所には大きな樹指圧が作用しない。これに対し、下
スポーク芯金キャビティ220には絞り部が形成されて
おらず、溶融樹脂は十分な断面積を有する通路を通るた
め、下スポーク芯金キャビティ220側の中空リング1
1の箇所の樹脂圧は、前述の樹指圧より大きくなり、図
1のC−C断面及びD−D断面における箇所により強く
作用する。すなわち、上スポーク芯金キャビティ210
から中空リングキャビティ110に到達した樹脂は、絞
り部230によって流路面積が減少されて圧力が伝播し
にくくなり、他の箇所よりも急速に樹脂の流動性を失う
ために、中空リングキャビティ110に樹脂圧が伝わり
にくくなる。そのため、上スポーク芯金キャビティ21
0から流入して中空リング11に作用する保持圧は、下
スポーク芯金キャビティ210を通って流れ込む樹脂と
上スポーク芯金キャビティ210から流入する樹脂との
合流点に至るまで漸減する。
【0030】また、左右の下スポーク芯金22,22間
に存在する中空リングキャビティ110には樹脂が左右
の下スポーク芯金キャビティ220,220から略同一
の樹脂圧で導入される。そのため、これらの樹脂が導入
される下スポーク芯金22の接合箇所から、樹脂が合流
する左右下スポーク芯金22,22の中間位置、即ち図
1のF−F断面における位置にかけて、その樹脂圧が強
く加わる。
【0031】上述のように樹脂圧の分布を変化させるこ
とで、樹脂圧の低い部分である図1のB−B及びE−E
断面における位置では中空リング11を変形させること
がなく第1樹脂材料が均一にその周囲を被覆するが、樹
脂圧の高い部分である図1のF−F断面及びD−D断面
においてはその樹脂圧により中空リング11を押し潰す
ように塑性変形させる。この押し潰された箇所は外力に
より容易に変形する。又、下スポーク芯金22が接合さ
れている図1のE−E断面における位置では、下スポー
ク芯金22が中空リング11の変形を規制するため、第
1樹脂材料による変形が生じない。
【0032】このように、第1樹脂材料により金属ハブ
コア1を成形被覆する工程において、同時に、中空リン
グ11はボスプレート3を介した下側半部の所望の部位
を他の部位よりも塑性変形し易く加工でき、部品点数や
工程の増加がなく、コストアップが防止できる。
【0033】上述のように第1樹脂材料が所定部位に被
覆成形された金属ハブコア1はステアリングホイール成
形金型に挿着され、更にその全面を第2樹脂材料により
成形被覆され、ステアリングホイール7が完成する。表
皮材を構成する第2樹脂材料はリサイクルの困難な発泡
ポリウレタン等からなるため、その使用量は最小限に止
めることが好ましい。従って、中間部材である金属ハブ
コア1は、特にリング部をなるべく太く、且つ重量はな
るべく小さく形成することが望ましく、そのため本実施
例では上述のように金属ハブコア1の一部周面を硬質の
第1樹脂材料により予め被覆して、リング部の剛性を適
度に維持した状態で太く形成すると共に重量の増加を回
避している。
【0034】本発明のステアリングホイール7にあって
は、中空リング11の一部を図1のD−D及びF−Fの
位置において断面が三日月状になるまで塑性変形させて
いるため、上述のようにステアリングホイール7の下端
部の付近を他の部分より変形し易くしている。そのた
め、このステアリングホイール7にエアバッグ装置を装
着したとき、同ステアリングホイール7に衝撃を受ける
と、図9に示すように、ステアリングホイール7は下端
付近で運転者から離れる方向に屈曲し、衝撃を吸収する
と共にステアリングホイール7の下端による運転者の圧
迫を回避する。また、このときステアリングホイール7
の上部は衝撃を受ける以前の形態を維持し、下方に傾く
ことがないため、エアバッグ装置はステアリングホイー
ル7の略中央部にて運転者に正対している。そのため、
エアバッグ装置はその展開初期においてエアバッグ8が
運転者の頭部及び胸部に向けて理想的な形態で膨張し、
確実にその機能が発揮され、展開後期においてエアバッ
グ8は、図9に示すように屈曲した中空リング11の下
側半部の表面に沿って胸部の下側から腹部にかけて膨張
し、運転者を効果的に保護する。
【0035】図10に、本発明のステアリングホイール
7及び従来のステアリングホイールの荷重−曲げ特性を
示す。図10において曲線Yは本発明のステアリングホ
イール7の荷重−曲げ特性を示し、曲線Zは従来のステ
アリングホイールの荷重−曲げ特性を示す。これらの特
性は、ステアリングホイールの車両が直進中立状態にあ
るときの後端部(図1における下端部)に荷重を加えた
ときの特性曲線を示している。
【0036】図10の上限値M以上、又は下限値N以下
の領域は実験的に求められた運転者に対して保護が十分
になされない範囲を意味する。M以上の場合には、車両
の衝突時などに運転者がステアリングホイールに衝突
し、又はステアリングホイールの下端で圧迫されて負傷
する。一方、N以下の場合には、ステアリングホイール
が極めて小さな荷重によっても変形するので、衝突など
により運転者が前方に投げ出される場合にステアリング
ホイールが運転者を受け止めることができず、フロント
ウィンドシールド等の車室の他の箇所に衝突する。
【0037】従って、運転者の身体を十分に保護するに
は、下限値Nより大きく、上限値Mより小さくなければ
ならないが、エアバッグ装置を装着する場合には、エア
バッグ装置により瞬時に運転者を弾性的にシート側に支
持して前方への飛び出しを回避するため、その曲げ特性
は、上限値Mの側よりも寧ろ下限値Nに近い数値となる
ことが好ましい。
【0038】本発明のステアリングホイール7の荷重−
曲げ特性を示す曲線Yは、上限値Mより小さく下限値N
よりも大きい範囲にあり、更にその曲線Yは、下限値N
の頂点(PN点)に対応する変位点(PY点)付近で
は、荷重の増加に伴っての変位量が漸増から漸減へと緩
やかであり、これは衝撃を受け止める運転者の負傷を最
小限度に抑えることができると共に、ステアリングホイ
ールそのものによる運転者に対する負傷を防止する上で
より好ましい特性を示していることを意味する。
【0039】一方、既述した公報に開示されたような従
来のステアリングホイールの荷重−曲げ特性を示す曲線
Zは、上限値Mより小さく下限値Nよりも大きい範囲に
はあるものの、PN点における変位点(PZ点)の付近
においても、荷重の増加に対する偏位量の割合が小さ
く、荷重−曲げ曲線は増加を続けている。この曲線Zに
あっては、その屈曲点が曲線Mに更に大きく近づいてお
り、このステアリングホイールによる耐荷重性能は極め
て高いことを示し、運転者に対するステアリングホイー
ルによる支持が身体の保護を超えるものとなる。すなわ
ち、ステアリングホイールの屈曲以前に、運転者に対す
る圧迫が大きく作用する。
【0040】なお、本発明のステアリングホイールのリ
ング部は上述の断面が円形の中空リング11に限定する
ものではなく、例えば図11に示すように断面がコ字状
の鋼材を用いて全体を円環状に形成したリング材12を
使用することも可能である。このリング材12はその開
放端縁12aを金型に当接すると共に、リング材12の
壁部12bの内面に金型を当接させず第1樹脂材料を充
填して、その外周面に同樹脂を被覆成形する。このと
き、上述の実施例と同様にリング材12の下側半部の所
定箇所において樹指圧を増加するようにして、樹脂圧の
大きくなる箇所において図11に示すように壁部12b
を内側(矢印G方向)に押し潰し断面がΣ状に塑性変形
させ、衝撃荷重に対する変形のし易い部分を形成する。
【0041】本変形例においては成形の際の樹脂圧を、
金型のキャビティ面と壁部12bとの間に形成される隙
間寸法(離間距離)を選定することにより制御できるた
め、上述の実施例にあるような絞り部230を形成する
必要はなく、所望の部位において前述の隙間寸法の狭い
部分を形成すれば、同時に局部的に変形し易い部分が形
成される。
【0042】更に、図12にリング部の他の変形例を示
す。リング部は断面が四角形の中空リング13であり、
この場合にも上述のようにキャビティ形状を選定するこ
とにより樹脂圧が大きくなる箇所において内側壁部13
aを内側に押し潰して変形させ、衝撃に対する変形し易
い部分を形成する。リング部における断面形状は、この
他にも楕円形等の異形断面の中空リングを採用できる。
【0043】また、上記実施例はハブコア1の成形時
に、熱可塑性樹脂の成形の際の樹脂圧をリング部の所定
の箇所に作用させてリング部に塑性変形し易い部分を形
成しているが、例えばプレス機などにより予めリング部
の所望の部位を屈曲しやすいような断面に変形させてお
くことも可能である。
【0044】
【発明の効果】本発明のステアリングホイールは上述の
ように衝撃を受けた際にステアリングホイールの下端部
を変形させて、ステアリングホイールが運転者の腹部を
極端に圧迫することを回避している。すなわち、衝撃を
受けたとき、ステアリングホイールの上側半部は衝撃を
受ける前の状態が維持され、例えばエアバッグ装置を装
備する場合には、衝撃時にもエアバッグ装置は所定の角
度を維持して運転手に向けて支持されており、そのエア
バッグの展開初期においては運転者の頭部を確実に且つ
安全に支持し、展開後期においては胸部及び腹部を過重
な圧迫をなくして安全に保護できる理想的な展開がなさ
れる。
【0045】またこの発明のステアリングホイールは、
ハブコアを第1樹脂により被覆成形する際に、同時にリ
ング部の一部を屈曲変形しやすいような断面に形成する
ことができ、別部材や別工程を必要とせず、特段のコス
トアップをすることなく上述の効果が得られるものであ
る。勿論、成形に先立ってリング部の下側半部において
一部断面を機械的に予め変形させておくこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステアリングホイールの中間部材であ
る第1樹脂材料を所定部位に被覆成形した金属ハブコア
を示す上面図である。
【図2】図1のステアリングホイールにおける中空リン
グと上スポーク芯金との接合部を拡大して示す斜視図で
ある。
【図3】図1におけるB−B断面図である。
【図4】図1におけるC−C断面図である。
【図5】図1におけるD−D断面図である。
【図6】図1におけるE−E断面図である。
【図7】図1におけるF−F断面図である。
【図8】本発明のステアリングホイールの第1成形金型
に金属ハブコアを装着した状態の上面図である。
【図9】エアバッグ装置を装備した本発明のステアリン
グホイールのエアバッグ装置が作動した状態を示す説明
図である。
【図10】本発明のステアリングホイール及び従来のス
テアリングホイールの0度曲げ特性を示すグラフであ
る。
【図11】本発明のステアリングホイールにおけるリン
グ部の変形例を示す断面図である。
【図12】本発明のステアリングホイールにおけるリン
グ部の他の変形例を示す断面図である。
【図13】エアバッグ装置を装備した従来のステアリン
グホイールのエアバッグ装置が作動した状態を示す説明
図である。
【符号の説明】
1 ハブコア 11 中空リング 11a 半周被覆部 11b 全周被覆部 12 リング材 12a 両端部 12b 壁部 13 中空リング 13a 内側壁部 2 スポーク芯金 21 上スポーク芯金 21a 被覆部 22 下スポーク芯金 22a 被覆部 23 非被覆部 24 バイパス連結部 25 エアバッグ取付フランジ 3 ボスプレート 3a ボス 3b 樹脂被覆部 31 ゲート切断端 7 ステアリングホイール 8 エアバッグ装置 10 第1成形金型 30 ボスプレートキャビティ 110 中空リングキャビティ 210 上スポーク芯金キャビティ 220 下スポーク芯金キャビティ 230 絞り部 240 バイパス樹脂流路キャビティ 310 ゲート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円環状をなすリング部と、ステアリング
    シャフトの取付部であるボスをもつボスプレートと、同
    ボスプレートと前記リング部とを連結する複数のスポー
    ク芯金とを有する金属ハブコアを備えてなるステアリン
    グホイールであって、前記リング部は前記ボスプレート
    を介した下側半分の所望の部位が他の部位よりも塑性変
    形しやすく構成されてなることを特徴とするステアリン
    グホイール。
  2. 【請求項2】 円環状をなすリング部と、ステアリング
    シャフトの取付部であるボスをもつボスプレートと、同
    ボスプレートと前記リング部とを連結する複数のスポー
    ク芯金とを有する金属ハブコアを備えてなるステアリン
    グホイールの製造方法であって、 前記金属ハブコアの所定の部位に第1樹脂材料を一体に
    被覆成形することと、前記リング部の前記ボスプレート
    を介した下側半分の所望の部位を他のリング部より変形
    しやすく塑性変形させることと、第1樹脂材料により部
    分的に被覆成形された前記金属ハブコアのほぼ全面を第
    2樹脂材料により被覆成形することとを含んでなること
    を特徴とするステアリングホイールの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記金属ハブコアを第1成形金型の所定
    部位に装着配置すること、前記成形金型内に第1樹脂材
    料を注入して所定の樹脂圧を保持しながら、前記金属ハ
    ブコアの所要周面に前記第1樹脂材料を一体に被覆成形
    すること、及び前記樹脂圧を利用して、前記リング部の
    前記ボスプレートを介した下側半分の所望の部位におい
    て上側半分のリング部より塑性変形のしやすいような断
    面に変形させることを含む請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属ハブコアの前記ボスプレートを
    介した下側半分の所望の部位をその上側半分よりも塑性
    変形のしやすいような断面に予め変形させておくこと、
    同金属ハブコアを第1成形金型の所定部位に装着配置す
    ること、前記成形金型内に第1樹脂材料を注入して、前
    記金属ハブコアの所要周面に前記第1樹脂材料を一体に
    被覆成形することを含む請求項2記載の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000118418A (ja) * 1998-10-12 2000-04-25 Mazda Motor Corp 自動車のステアリング支持構造
KR101014118B1 (ko) * 2004-11-17 2011-02-14 현대자동차주식회사 충격흡수를 위한 스티어링 휠 구조
JP2018099977A (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 日本プラスト株式会社 ハンドルの芯金

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