JPH09100286A - トランスシクロヘキサン化合物の製造方法 - Google Patents

トランスシクロヘキサン化合物の製造方法

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JPH09100286A
JPH09100286A JP7278314A JP27831495A JPH09100286A JP H09100286 A JPH09100286 A JP H09100286A JP 7278314 A JP7278314 A JP 7278314A JP 27831495 A JP27831495 A JP 27831495A JP H09100286 A JPH09100286 A JP H09100286A
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JP
Japan
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trans
group
compound
cyclohexane
cyclohexylene
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Application number
JP7278314A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Ogiwara
勤 荻原
Koji Hasegawa
幸士 長谷川
Takaaki Shimizu
孝明 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 反応工程の途中での副生するシス中間体をト
ランス中間体に効率的に変換し、目的のトランス構造を
持つ液晶化合物を経済的に製造する。 【解決手段】 一般式(1) 具体的には、例えば4−(トランス−4−(4−n−ペ
ンチル−4−シラシクロヘキシル)シクロヘキシル)−
1−クロロベンゼンで表されるシクロヘキサン化合物
を、ハロゲン化アルキル化合物及びルイス酸の存在下で
トランス異性体へ変換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シクロヘキサン骨
格を有する液晶性化合物を製造する際に使用される重要
な中間体の立体異性体を効率的に製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は液晶物質が持つ光学異方
性及び誘電異方性を利用したものであり、その表示様式
によってTN型(ねじれネマチック型)、STN型(超
ねじれネマチック型)、SBE型(超複屈折型)、DS
型(動的動乱型)、ゲスト・ホスト型、DAP型(整列
相の変形型)及びOMI型(光学的にモード干渉型)な
ど各種の方式がある。最も一般的なディスプレイデバイ
スはシャットーヘルフリッヒ効果に基づき、ねじれネマ
チック構造を有するものである。
【0003】これらの液晶表示に用いられる液晶物質に
要求される性質は、その表示方式によって若干異なる
が、液晶温度範囲が広いこと、水分、空気、光、熱、電
界等に対して安定であること等は、いずれの表示方式に
おいても共通して要求される。さらに、液晶材料は、低
粘度であり、かつセル中において短いアドレス時間、低
いしきい値電圧及び高いコントラストを与えることが望
まれる。
【0004】現在、単一の化合物でこれらの要求をすべ
て満たす物質はなく、実際には数種〜10数種の液晶化
合物・潜在液晶化合物を混合して得られる液晶性混合物
が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、液晶ディスプレ
イの用途が拡大し、市場が大きくなるにつれて、液晶デ
ィスプレイの低価格化が進んでくるようになった。その
ため液晶関連材料に対するコストダウンの要求が厳しい
ものになってきている。
【0006】通常、液晶材料として使用されるいくつか
の液晶性化合物のうち、必須成分としてシクロヘキサン
骨格を有する化合物を挙げることができる。これらの化
合物は、10〜20数段階の反応工程を経て製造されて
いる。このとき、反応工程の途中で得られるシクロヘキ
サン部分構造を持つ中間体には、立体構造の異なるシス
体とトランス体が存在する。このうち、シス体は液晶性
を有していないため不要である。即ち、実用的な物性を
持っている立体構造は、トランス中間体から誘導される
トランス構造を持つ化合物のみである。しかしながら、
液晶性化合物の製造工程の途中においては、トランス構
造をもつ化合物に変換可能なトランス中間体ばかりでな
く、不要なシス中間体の副生が不可避である。そのた
め、シス中間体の副生量が全製造工程の収率に与える影
響は非常に大きく、シス体の副生が多くなると製造コス
トを上昇させる原因となる。
【0007】そこで、本発明は反応工程の途中での副生
が不可避であり、利用価値もないシス中間体を実用上必
要なトランス中間体に効率的に変換し、目的のトランス
構造を持つ液晶化合物を経済的に製造する方法を提供す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本願の請求項1記載
の発明は、一般式(1)
【化7】 (ここでAは
【化8】 を表し、m及びnは0又は1、Rは炭素数1〜10の直
鎖状アルキル基、炭素数1〜10のモノ又はジフルオロ
アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖状アルキル基、炭素
数2〜7のアルコキシアルキル基又は炭素数2〜8のア
ルケニル基を表す。
【化9】 及び
【化10】 は、1又は4位のケイ素がH、F、Cl、CH3、フェ
ニル基、トリル基又はアルコキシ基の置換基を持つトラ
ンス−1−シラ−1,4−シクロへキシレン、トランス
−4−シラ−1,4−シクロヘキシレン基、モノ又はジ
フルオロ−1,4−フェニレン基又はトランス−1,4
−シクロヘキシレン基を表す。B1及びB2は各々独立に
単結合又は−CH2CH2−を表し、Xはハロゲン原子、
1及びL2は各々独立にH又はFを表す。)で表される
シクロヘキサン化合物を、ハロゲン化アルキル化合物及
びルイス酸の存在下でトランス異性体へ変換するトラン
ス−シクロヘキサン化合物の製造方法である。
【0009】また本願の請求項2記載の発明は、ルイス
酸として、塩化アルミニウムを用いることを特徴とする
請求項1記載の製造方法である。
【0010】また本願の請求項3記載の発明は、一般式
(1)のシクロヘキサン化合物が、下記一般式(2)
【化11】 (ここで、R、L1、L2及びXは請求項1における定義
と同じであり、Yは水素原子、メチル基、アルコキシ
基、フェニル基又はトリル基を表す。)で表される化合
物であることを特徴とする請求項1記載の製造方法であ
る。
【0011】また本願の請求項4記載の発明は、一般式
(1)のシクロヘキサン化合物が、下記一般式(3)
【化12】 (ここで、R、L1、L2及びXは請求項1における定義
と同じである。)で表される化合物であることを特徴と
する請求項1記載の製造方法である。
【0012】次に本発明を更に詳細に説明する。
【0013】従来知られている液晶材料の構成成分とし
て使用されている液晶性化合物中には、必須成分として
シクロヘキサン骨格を有する化合物が含有されている。
例えば、
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】 などの骨格を持つ化合物が知られている(B1は請求項
1における定義と同じである。)。
【0014】本発明では、このような骨格を有する化合
物のうち、特にシクロヘキシルハロベンゼン部分骨格を
有する化合物のシス体をトランス体に変換する方法を提
供する。本発明で製造されるシクロヘキシルハロベンゼ
ン化合物は、液晶性化合物を製造する際の中間体として
非常に重要な化合物である。例えば、ハロゲン原子をア
ルキル基、フルオロアルキル基又はフルオロアルケニル
基などの液晶性化合物の極性基に変換可能であるし、遷
移金属触媒の存在下、有機金属試薬とカップリングによ
り別の液晶性化合物を合成することが可能である。従っ
て、トランス−シクロヘキシルハロベンゼン化合物を本
発明の方法に沿って製造できれば、液晶性化合物のコス
トダウンが可能となる。
【0015】まず、ハロゲン化フェニルシクロヘキン化
合物の製造方法について説明する。次の反応式に示すよ
うに、シクロヘキサノン化合物とシリル保護されたベン
ゼン化合物、ハロフェニル化合物又はベンゼン化合物の
反応によりアルコール化合物を得ることができる。
【化21】 (X’は水素、ハロゲン原子又はトリメチルシリル基を
表す。MはMgP、ZnP、TiP3-n(OR’)n(P
はハロゲン、nは0、1、2又は3、R’は炭素数1〜
4のアルキル基を表す。)又はLiを表す。)
【0016】このとき使用される保護基としては、トリ
メチルシリル基などが好ましい。また、有機金属試薬と
してGrignard試薬、有機亜鉛試薬、有機リチウ
ム試薬、有機チタニウム試薬等が挙げられ、いずれの場
合も反応は高い収率で進行する。
【0017】次に、得られたアルコール化合物を加水素
分解(Hydrogenolysis)するか、あるい
は、酸触媒によって脱水反応を行って生じた二重結合を
水素添加した後、シクロヘキサン化合物を得ることがで
きる。
【化22】
【0018】このときの加水素分解や水素添加に用いら
れる触媒として、パラジウム、白金、ロジウム、ニッケ
ル、ルテニウムなどの金属類が挙げられる。特に、パラ
ジウム−炭素、パラジウム−硫酸バリウム、パラジウム
−ケイソウ土、酸化白金、白金−炭素、ロジウム−炭
素、ラネーニッケル、酸化パラジウム、ニッケル−ケイ
ソウ土等を使用するとよい結果を与える。この場合0〜
150℃、好ましくは20〜100℃で、大気圧〜20
kg/cm2のもと行うとよい。脱水反応に用いる酸と
しては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類やその塩類、p
−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフ
フルオロ酢酸等の有機酸類を挙げることができる。生じ
る水をすみやかに除去するために、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クメン、ヘキサン、イソオクタン等の炭
化水素類を溶媒として用いて、その共沸により反応の進
行を加速することも有用である。
【0019】この水素添加反応や加水素分解反応で、立
体選択的にトランス体を得る方法は一般的には知られて
おらず、トランス体の選択率は60〜70%程度であ
り、現在の技術ではシス体の副生は不可避である。その
ため、シス体が副生する分だけ収率が低下し、不経済で
ある。
【0020】続いて、X’が水素又はトリメチルシリル
基の場合は、ハロゲンと反応して、ハロフェニルシクロ
ヘキサン化合物を得ることが出来る。
【化23】 (X’はH又はトリメチルシリル基、Xはハロゲンを表
す。)
【0021】Xとして、特にヨウ素、臭素、塩素、一塩
化ヨウ素を好ましく例示できる。反応速度を高めるため
に、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、四塩化チタン、三フ
ッ化ホウ素等のルイス酸類の添加や光の照射を行っても
よい。
【0022】このようにして得られるハロフェニルシク
ロヘキサン化合物は、シス体とトランス体の立体混合物
である。これまでは、この時点で再結晶などの方法を用
いて実用上必要なトランス体のみを分離精製して液晶組
成物の原料としたり、次工程の原料としており、このと
き残りのシス体は廃棄していた。そのため、この工程で
の収率が目的物の収率に与える影響は大きく、コストア
ップになる原因となっていた。
【0023】従来、このようなシス体をトランス体に変
換する方法は、特開平7−41435でヘテロポリ酸に
よる方法が報告されている。この方法によると、反応温
度が130〜150℃、反応時間も1〜20時間と非常
に効率の悪い方法である。
【0024】そこで、本発明者は鋭意研究の結果、ルイ
ス酸触媒をハロゲン化アルキルの存在下、シス−ハロフ
ェニルシクロヘキサン化合物の立体異性体を処理する
と、トランス−ハロフェニルシクロヘキサン化合物に変
換できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【化24】
【0025】このとき使用するルイス酸としてハロゲン
化金属が好ましい。具体的には、塩化アルミニウム、三
フッ化ホウ素、塩化第二鉄が好ましい。特に、塩化アル
ミニウムが好ましい。ハロゲン化アルキルとして、塩化
メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロ
エタン、t−ブチルクロリドなどが好ましい。反応溶媒
として、前述のハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの炭化水素類、ニトロベンゼン、二
硫化炭素が好ましい。反応温度は、使用されるルイス酸
の種類により異なるが、0〜100℃好ましくは10〜
30℃で反応できる。使用されるルイス酸の量は、シス
−シクロヘキシルフェノール化合物に対して、0.01
〜2当量の間が好ましい。特に、0.1〜1.5当量が
好ましい。使用されるハロゲン化アルキルの量は、ルイ
ス酸に対して、0.1当量以上が好ましい。特に、塩化
メチレンやクロロホルムなどは溶媒として使用すること
もできる。反応は、原料、ルイス酸、ハロゲン化アルキ
ル及び溶媒を加え、所定の温度で撹拌すると、通常0.
5〜5時間の間で終了する。このように本発明の方法に
よれば、シス体を効率的にトランス体へ変換可能であ
り、非常に経済的である。
【0026】この様にして得られたトランス−ハロフェ
ニルシクロヘキサンは、そのまま液晶性を示す化合物の
場合もあるし、次の反応式で示してあるように、有機金
属試薬とカップリング反応することにより炭素−炭素結
合を形成し、別の液晶性化合物を合成できる。
【化25】 (M”はMgP、ZnP(Pはハロゲンを表す。)を表
し、L3及びL4はH又はFを表し、ZはCN、F、C
l、CF3、CClF2、CHClF、OCF3、OCC
lF2、OCHF2、OCHClF、(O)mCY1=CX
12(mは0又は1、Y1及びX1はH、F又はCl、X
2はF又はClを表す。)、(CH2r(CF2s
3(r及びsは0、1又は2、r+sは2、3又は4、
3はH、F又はClを表す。)、R又はOR基を表
す。(・)は水素原子がアキシャル側にあるという意味
を表す。)
【0027】このときの反応条件として、溶媒は、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶
媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶
媒、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホラスト
リアミドなどの非プロトン性極性溶媒を単独又は混合し
て用いることができる。触媒として、遷移金属触媒の存
在下で行うことができる。遷移金属触媒としては、パラ
ジウム化合物やニッケル化合物が好ましい。特に好まし
いものとして、パラジウム化合物では、例えば、テトラ
キス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジ
[1,2−(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウ
ム(0)などの0価のパラジウム化合物あるいは酢酸パ
ラジウム、塩化パラジウム、[1,1−ビス(ジフェニ
ルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリ
ドなどの2価のパラジウム化合物やこれらの配位子から
なる錯体化合物又はこれらの2価のパラジウム化合物と
還元剤の組み合わせなどを用いることができる。ニッケ
ル触媒として、例えば、1,2−ビス(ジフェニルホス
フィノ)エタンニッケル(II)クロリド、1,3−ビ
ス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケル(II)
クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル
(II)クロリド、ニッケルアセチルアセトナート等の
2価のニッケル化合物やテトラキス(トリフェニルホス
フィン)ニッケル(0)等の0価のニッケル化合物を挙
げることができる。反応温度としては、室温から反応溶
媒の還流温度が好ましい。
【0028】また、
【化26】 及び
【化27】 が、1又は4位のケイ素がフェニル基又はトリル基を持
つトランス−1−シラ−1,4−シクロヘキシレン、ト
ランス−4−シラ−1,4−シクロヘキシレン基である
フェニルシラシクロヘキサン化合物である場合、フェニ
ルシラシクロヘキサン化合物からハロデシリレーション
反応により、ハロシラシクロヘキサン化合物を得る反応
条件とシス−シクロヘキシルハロベンゼン化合物をトラ
ンス体へ異性化する反応条件は、かなり似ている。その
ため、フェニルシラシクロヘキサン化合物を異性化する
と、ハロシラシクロヘキサン化合物が結果として得られ
る場合もある。一方、反応条件によっては、異性化だけ
が起こる場合がある。このとき、以下の方法でフェニル
シラシクロヘキサン化合物からハロシラシクロヘキサン
化合物を得ることが出来る。
【化28】 (Qは当該化合物において、シラシクロヘキサン骨格以
外を示すものとする。EXは求電子試薬、Xはハロゲン
原子を表す。)
【0029】求電子試薬としてハロゲン、ハロゲン化水
素、ハロゲン化金属、スルホン酸誘導体、酸ハロゲン化
物、ハロゲン化アルキル等をあげることができる。特
に、ヨウ素、臭素、塩素、一塩化ヨウ素、塩化水素、臭
化水素、ヨウ化水素、塩化水銀(II)、クロロスルホ
ン酸トリメチルシリル、塩化アセチル、臭化アセチル、
塩化ベンゾイル、塩化t−ブチル等を好ましく例示でき
る。この場合、0〜80℃で行われることが好ましく、
更には10〜40℃で行われるとよい。
【0030】反応速度を高めるために、塩化アルミニウ
ム、塩化亜鉛、四塩化チタン、三フッ化ホウ素等のルイ
ス酸類を添加したり、光の照射を行ってもよい。反応溶
媒として、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタ
ン、トリクロロエタン、t−ブチルクロリドなどのハロ
ゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなど
の炭化水素類、ニトロベンゼン、トルエン、キシレンな
どの炭化水素類、ニトロベンゼン、二硫化炭素が好まし
い。
【0031】続いて、得られたハロシラシクロヘキサン
化合物を還元剤で還元して、目的の液晶性化合物に変換
できる。
【化29】
【0032】このとき用いられる試薬として、水素化ナ
トリウム、水素化カルシウム、トリアルキルシラン類、
ボラン類、ジアルキルアルミニウム等の金属水素化物、
水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウ
ム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、水
素化ホウ素トリブチルアンモニウムなどの錯水素化化合
物(Complex hydride)やこれらの置換
型ヒドリド化合物、すなわち、リチウムトリアルコキシ
アルミニウムヒドリド、ナトリウムジ(メトキシエトキ
シ)アルミニウムヒドリド、リチウムトリエチルボロヒ
ドリド、ナトリウムシアノボロヒドリド等を挙げること
ができる。使用される溶媒としては、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエー
テル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソオクタン
などの炭化水素系溶媒が使用される。反応温度は、0℃
から溶媒の還流温度までが好ましい。得られた液晶性化
合物は、カラムクロマトグラフィーや再結晶などの公知
の方法により精製され使用される。以上のように、ハロ
フェニルシクロヘキサン化合物は液晶性化合物を製造す
る上で非常に重要な化合物であり、本発明によりこの物
質の収率が向上し、コストダウンが可能になった。
【0033】
【実施例】以下に具体的な実施例を挙げ、本発明を更に
具体的に説明する。
【0034】[実施例1] (1)4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)クロロ
ベンゼンの製造 p−ブロモクロロベンゼン195gをマグネシウム27
gおよびテトラヒドロフラン(以下「THF」と略
す。)700mlの混合物中に滴下し、3時間還流して
グリニヤール試薬を得た。これに4−n−ペンチルシク
ロヘキサノン170gのTHF100mlを50℃で加
えた。2時間還流後、反応混合物を室温に冷却し、塩化
アンモニウム水溶液にあけ、ベンゼンで抽出した。この
ベンゼン溶液にp−トルエンスルホン酸1gを加え、還
流しながら、発生してくる水を分離除去した。水が留出
しなくなったところで、室温に冷却した。反応混合物を
炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、続いてブラインで
洗浄、乾燥、濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラ
フィーで精製して、4−(4−n−ペンチルシクロヘキ
セニル)クロロベンゼンを得た。これを酢酸エチル10
00mlに溶かし、パラジウム−炭素2gを触媒とし
て、0.5MPaで水素添加した。理論量の水素が消費
された後、触媒をろ別し、ろ液を濃縮して4−(4−n
−ペンチルシクロヘキシル)クロロベンゼン254gを
得た。ガスクロマトグラフィーでシス体とトランス体の
比率を調べたところ40:60であった。
【0035】(2)4−(トランス−4−n−ペンチル
シクロヘキシル)クロロベンゼンの製造 (1)で得た4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)
クロロベンゼンのシス:トランス比が40:60の混合
物100g及び塩化アルミニウム1gを塩化メチレン5
00mlに入れ、20℃で1時間撹拌した。続いて、反
応混合物を、ブラインで洗浄、乾燥、濃縮した。残さを
カラムクロマトグラフィーで精製した。シス体とトラン
ス体の比率は2:98であった。本発明の方法により、
トランス体の収率が38%向上した。
【0036】[比較例1]実施例1の(2)において、
塩化メチレンの代わりにニトロベンゼンに代えた他は、
同様の手順で反応を実施したところ、シス体のトランス
異性化が起こらず、シス体とトランス体の比率は40:
60のままであった。
【0037】[実施例2] (1)4−(4−(4−n−ペンチル−4−シラシクロ
ヘキシル)シクロヘキシル)−1−クロロベンゼンの製
造 p−ブロモクロロベンゼン195gをマグネシウム27
gおよびTHF700mlの混合物中に滴下し、3時間
還流してグリニヤール試薬を得た。これに4−(4−n
−ペンチル−4−フェニル−4−シラシクロヘキシル)
シクロヘキサノン375gのTHF200mlを50℃
で加えた。2時間還流後、反応混合物を室温に冷却し、
塩化アンモニウム水溶液にあけ、ベンゼンで抽出した。
このベンゼン溶液にp−トルエンスルホン酸1gを加
え、還流しながら、発生してくる水を分離除去した。水
が留出しなくなったところで、室温に冷却した。反応混
合物を、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、続いてブ
ラインで洗浄、乾燥、濃縮した。残さをシリカゲルクロ
マトグラフィーで精製して、4−(4−(4−n−ペン
チル−4−フェニル−4−シラシクロヘキシル)シクロ
ヘキセニル)−1−クロロベンゼンを得た。これをエタ
ノール1000mlに溶かし、ラネーニッケル50gを
触媒として、0.9MPaで水素添加した。理論量の水
素が消費された後、触媒をろ別し、ろ液を濃縮して4−
(4−(4−n−ペンチル−4−フェニル−4−シラシ
クロヘキシル)シクロヘキシル)−1−クロロベンゼン
425gを得た。シス体とトランス体の比率は40:6
0であった。次にこの混合物100g、塩化アルミニウ
ム35gの塩化メチレン800mlに塩化アセチル22
gを加え、20℃で30分間撹拌した。このとき、ガス
クロマトグラフィーでシス体とトランス体の比率を調べ
た。原料のフェニルシラシクロヘキサン化合物は、ハロ
デシリレーション反応が起ってハロシラシクロヘキサン
化合物に変換されてはいたが、シス体とトランス体の比
率は3:97であった。この反応混合物に、イソプロピ
ルアルコールを60ml加えた後、20%塩酸中に反応
混合物をあけ、有機層をブラインで洗浄、乾燥、濃縮し
た。残さを水素化リチウムアルミニウム20gのTHF
1000ml溶液に滴下し、3時間還流させた。ガスク
ロマトグラフィーで原料の消失を確認した後、反応混合
物を20%塩酸中にあけ、酢酸エチル500mlで抽出
した。有機層をブラインで洗浄後、乾燥、濃縮した。残
さをカラムクロマトグラフィーで精製して、4−(トラ
ンス−4−(4−n−ペンチル−4−シラシクロヘキシ
ル)シクロヘキシル)−1−クロロベンゼン98gを得
た。シス体とトランス体の比率はガスクロマトグラフィ
ーで調べたところ、3:97であった。本発明の方法に
より、トランス体の収率が37%向上した。得られた化
合物を再結晶で精製したところ、TCN=42℃、TNI
135℃を示す非常に有用な液晶化合物であることが判
明した。 IR(KBr disc) νmax:2920,28
52,2100,1493,1093,987,820
cm-1
【0038】[利用例1] 4−(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)−
1−クロロベンゼンから4−(トランス−4−n−ペン
チルシクロヘキシル)−3’,4’,5’−トリフルオ
ロビフェニルの製造 3,4,5−トリフルオロ−1−ブロモベンゼン22g
をマグネシウム3gおよびジエチルエーテル100ml
の混合物中に滴下し、3時間還流してグリニヤール試薬
を得た。これを実施例1で得られた4−(トランス−4
−n−ペンチルシクロヘキシル)−1−クロロベンゼン
25g及び1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタ
ンニッケル(II)クロリド0.5gのジエチルエーテ
ル500ml溶液に30℃で加えた。2時間還流後、反
応混合物を室温に冷却し、塩化アンモニウム水溶液にあ
け、トルエンで抽出し、ブラインで洗浄、乾燥、濃縮し
た。残さをカラムクロマトグラフィーで精製して、4−
(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)−
3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル30gを得
た。
【0039】[利用例2] 4−(4−4−n−ペンチル−4−シラシクロヘキシ
ル)シクロヘキシル)−3’,4’,5’−トリフルオ
ロビフェニル製造 3,4,5−トリフルオロ−1−ブロモベンゼン22g
をマグネシウム3gおよびジエチルエーテル100ml
の混合物中に滴下し、3時間還流してグリニヤール試薬
を得た。これを実施例2で得られた4−(4−(4−n
−ペンチル−4−シラシクロヘキシル)シクロヘキシ
ル)−1−クロロベンゼン36g及び1,2−ビス(ジ
フェニルホスフィノ)エタンニッケル(II)クロリド
0.5gのジエチルエーテル500ml溶液に30℃で
加えた。2時間還流後、反応混合物を室温に冷却し、塩
化アンモニウム水溶液にあけ、トルエンで抽出し、ブラ
インで洗浄、乾燥、濃縮した。残さをカラムクロマトグ
ラフィーで精製して、4−(4−(4−n−ペンチル−
4−シラシクロヘキシル)シクロヘキシル)−3’,
4’,5’−トリフルオロビフェニル30gを得た。 液晶温度範囲:TCN=70℃、TNI=200℃ IR(KBr disc) νmax:2920,28
48,2108,1614,1541,1510,14
46,1255,1047,822m-1
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、反応工程
の途中での副生が不可避であり且つ利用価値もないシス
中間体を実用上必要なトランス中間体に効率的に変換
し、目的のトランス構造を持つ液晶化合物を経済的に製
造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 孝明 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (ここでAは 【化2】 を表し、m及びnは0又は1、Rは炭素数1〜10の直
    鎖状アルキル基、炭素数1〜10のモノ又はジフルオロ
    アルキル基、炭素数3〜8の分枝鎖状アルキル基、炭素
    数2〜7のアルコキシアルキル基又は炭素数2〜8のア
    ルケニル基を表す。 【化3】 及び 【化4】 は、1又は4位のケイ素がH、F、Cl、CH3、フェ
    ニル基、トリル基又はアルコキシ基の置換基を持つトラ
    ンス−1−シラ−1,4−シクロへキシレン、トランス
    −4−シラ−1,4−シクロヘキシレン基、モノ又はジ
    フルオロ−1,4−フェニレン基又はトランス−1,4
    −シクロヘキシレン基を表す。B1及びB2は各々独立に
    単結合又は−CH2CH2−を表し、Xはハロゲン原子、
    1及びL2は各々独立にH又はFを表す。)で表される
    シクロヘキサン化合物を、ハロゲン化アルキル化合物及
    びルイス酸の存在下でトランス異性体へ変換するトラン
    ス−シクロヘキサン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 ルイス酸として、塩化アルミニウムを用
    いることを特徴とする請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1)のシクロヘキサン化合物
    が、下記一般式(2) 【化5】 (ここで、R、L1、L2及びXは請求項1における定義
    と同じであり、Yは水素原子、メチル基、アルコキシ
    基、フェニル基又はトリル基を表す。)で表される化合
    物であることを特徴とする請求項1の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(1)のシクロヘキサン化合物
    が、下記一般式(3) 【化6】 (ここで、R、L1、L2及びXは請求項1における定義
    と同じである。)で表される化合物であることを特徴と
    する請求項1の製造方法。
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