JPH09100200A - 単結晶エピタキシャル膜、単結晶品および第二高調波発生素子 - Google Patents

単結晶エピタキシャル膜、単結晶品および第二高調波発生素子

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JPH09100200A
JPH09100200A JP25751295A JP25751295A JPH09100200A JP H09100200 A JPH09100200 A JP H09100200A JP 25751295 A JP25751295 A JP 25751295A JP 25751295 A JP25751295 A JP 25751295A JP H09100200 A JPH09100200 A JP H09100200A
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single crystal
lithium niobate
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epitaxial film
temperature
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JP25751295A
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English (en)
Inventor
Tsuguo Fukuda
承生 福田
Tetsuo Yanai
哲夫 谷内
Tatsuo Kawaguchi
竜生 川口
Minoru Imaeda
美能留 今枝
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた電気光学特性、非線型光学特性および結
晶性を有し、量産に適しており、大出力の青色光の発光
が可能な第二高調波発生素子を提供する。 【解決手段】第二高調波発生素子1、7は、ニオブ酸リ
チウムからなる単結晶エピタキシャル膜2、8を備えて
おり、波長800〜1000nmの基本波長に対して位
相整合する。単結晶エピタキシャル膜2、8を構成する
ニオブ酸リチウム中には、マグネシウムが0.5mol
%以上、20mol%以下ドープされており、ニオブ酸
リチウムにおけるLi2 Oの割合が48.7mol%以
上、50.5mol%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、青色光源デバイス等に
好適に使用できる第二高調波発生素子、およびこれに適
した単結晶エピタキシャル膜および単結晶品に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】第二高調波として青色光を発生させる材
料として、現在のところ、ニオブ酸カリウム(KN)単
結晶、ニオブ酸カリウムリチウム(KLN)単結晶が知
られている。一方、ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )
単結晶は、優れた電気光学特性、非線型光学特性を有し
ているために、光導波路用基板等のオプトエレクトロニ
クス材料として広く用いられている。
【0003】光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶
は、現在、引き上げ法(CZ法)によって育成されてお
り、その組成は、Li/Nb=48.6/51.4 の調和溶融組
成(一致溶融組成またはコングルエント組成)である。
引き上げ法では、調和溶融組成以外のニオブ酸リチウム
単結晶を作製することは困難であり、現に光学用途に耐
え得るような優れた結晶性の基板は作製されていない。
しかし、このニオブ酸リチウム単結晶の位相整合波長は
約1080nmであり、波長約540nmの緑色光を発
生させる。このように、現在のニオブ酸リチウム単結晶
は、青色光を直接に発生させることはできない。
【0004】このため、青色光源となる第二高調波発生
素子を得るために、ニオブ酸リチウム単結晶からなる基
板に、周期的ドメイン反転構造の光導波路を形成し、こ
の光導波路に赤外波長の半導体レーザー光を導入する構
造が提案されている(米国特許番号4,740,265
号、特開平5−289131号公報、特開平5−173
213号公報)。
【0005】「IEEE Journal of Quantum Electro
nics, 」Vol. 26, No.1,1990年の第135〜138
頁の記載によれば、前記した調和溶融組成のニオブ酸リ
チウムからなるバルク単結晶を、VTE法(Vapor Tran
sport Equilibration technique )によって改質し、そ
のLiの割合を増加させて、この単結晶を使用して、室
温で波長976nmで位相整合させている。
【0006】また、上述した「IEEE Journal of Q
uantum Electronics, 」Vol. 26, No.1,1990年の第
135〜138頁においては、引き上げ法によって作製
された調和溶融組成のニオブ酸リチウム単結晶に対し
て、マグネシウムをドープすることによって、単結晶の
位相整合波長が短波長側にシフトすることが、計算によ
って予測されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したニオ
ブ酸リチウム単結晶のいずれも、第二高調波として青色
光を直接に発生させうるものではない。また、周期的ド
メイン反転構造を使用した素子は、基本波と第二高調波
との各位相を疑似的に揃える、疑似位相整合と呼ばれる
原理によるものであり、ニオブ酸リチウム単結晶自体の
位相整合波長を制御するものではない。この疑似位相整
合技術では、高精度にドメインを制御する必要がある
が、高精度のドメイン制御は困難であり、また、この位
相整合のための許容温度範囲が±0.5℃であって、極
めて狭い。更に、3mWの光エネルギーから、光導波路
の光損傷が認められている。これらの理由から、量産可
能な実用的デバイスとしては問題があることが指摘され
ている。
【0008】また、前記した「IEEE Journal of Q
uantum Electronics, 」に記載の技術は、引き上げ法に
よって作製した調和溶融組成のニオブ酸リチウム単結晶
を、VTE法によって改質した例に過ぎない。このVT
E法には一般的に多大な時間、エネルギーおよび労力が
必要であって、量産に適していない。また、位相整合波
長を正確に制御することも困難である。また、調和溶融
組成のニオブ酸リチウム単結晶に対して、マグネシウム
をドープする場合の計算値によると、マグネシウムのド
ープによる位相整合波長の短波長側へのシフト値は小さ
く、この計算によっては青色光の発生までは不可能なも
のと予測されている。
【0009】本発明の課題は、優れた電気光学特性、非
線型光学特性および結晶性を有し、量産に適しており、
大出力での青色光の発光が可能な第二高調波発生素子を
提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ニオブ酸リチ
ウムからなる単結晶エピタキシャル膜であって、ニオブ
酸リチウム中にマグネシウムが0.5mol%以上、2
0mol%以下ドープされており、ニオブ酸リチウムに
おけるLi2 Oの割合が48.7mol%以上、50.
5mol%以下であることを特徴とする、単結晶エピタ
キシャル膜に係るものである。
【0011】また、本発明は、上記の単結晶エピタキシ
ャル膜と、ニオブ酸リチウム単結晶からなる基板とを備
えており、前記基板上に前記単結晶エピタキシャル膜が
形成されていることを特徴とする、単結晶品に係るもの
である。
【0012】また、本発明は、ニオブ酸リチウムからな
る単結晶エピタキシャル膜を備えており、波長800〜
1000nmの基本波長に対して位相整合することを特
徴とする、第二高調波発生素子に係るものである。
【0013】本発明者は、後述するような液相エピタキ
シャル法によって、ニオブ酸リチウム単結晶膜を形成す
る研究を進めていたが、この過程で、溶融液の温度を精
密に制御することによって、ニオブ酸リチウム単結晶エ
ピタキシャル膜の組成、即ち単結晶中のリチウムの割合
を、48.6mol%〜52mol%程度の範囲内で正
確に制御できることを見いだした。これによって、調和
溶融組成以外のリチウム過剰組成のニオブ酸リチウム単
結晶エピタキシャル膜を、その組成を正確に制御しなが
ら製造することが、初めて可能になった。
【0014】そして、この発見に基づいて更に研究を進
め、このリチウム過剰組成のニオブ酸リチウム単結晶エ
ピタキシャル膜中に、マグネシウムを添加し、得られた
膜の位相整合波長を測定することを試みた。この結果、
特に上記した範囲内において、得られた単結晶エピタキ
シャル膜の位相整合波長が、予想を越える著しい低下を
示すことを見いだし、本発明に到達した。
【0015】この位相整合波長の低下は、上記した「I
EEE Journal of Quantum Electronics, 」の記載か
ら見ても、予測を越えた大幅なものであった。この理由
は明確ではない。しかし、前記した文献の計算は、引き
上げ法によって育成された調和溶融組成の単結晶に対し
てマグネシウムをドープしたものである。これに対し
て、本発明の対象が、単結晶膜のリチウムの組成を制御
し、同時にマグネシウムをドープし、かつこれがエピタ
キシャル膜であることの相乗効果によるものと考えられ
る。
【0016】このような光導波路構造の第二高調波発生
素子は、位相整合のための許容温度範囲が広く、実用的
なデバイスとしては十分に大きな値を有している。ま
た、20mW以下の範囲内では、光損傷は認められなか
った。
【0017】本発明によって得られた第二高調波発生素
子は、室温での90度位相整合状態で、400nmの領
域の光まで発生させることが可能である。従って、こう
した短波長の光を利用することで、光ディスクピックア
ップ、光ディスクメモリー用、医学用、光化学用、各種
光計測用等の幅広い応用が可能である。
【0018】本発明において、好ましくは、単結晶エピ
タキシャル膜を液相エピタキシャル成長法によって形成
するが、これによって特に高品質のエピタキシャル膜が
得られるため、光導波路中に高密度のエネルギーが集中
しても光損傷が発生しない。しかし、スパッタリング法
や拡散プロセスによって形成されるエピタキシャル膜も
考えられる。
【0019】マグネシウムのドープ量を0.5mol%
以上とすることによって、位相整合波長が著しく短波長
側へと移動する。この観点からは、マグネシウムのドー
プ量を3mol%以上とすることが、より一層好まし
い。また、マグネシウムのドープ量を20mol%以下
とすることによって、作製される膜の表面状態の劣化を
防止することができる。結晶性の良いエピタキシャル膜
を形成するという観点から、マグネシウムのドープ量を
15mol%以下とすることが、より一層好ましい。更
に、ニオブ酸リチウム単結晶膜の膜厚は、1〜100μ
mとすることが好ましい。
【0020】リチウムの割合を48.7mol%以上と
することによって、前記した位相整合波長の低下の効果
が顕著になった。この観点からは、リチウムの割合を4
9mol%以上とすることが特に好ましい。また、リチ
ウムの割合を50.5mol%以下とすることによっ
て、ニオブ酸リチウム単結晶の格子定数の、調和溶融組
成のニオブ酸リチウム単結晶からなる基板の格子定数に
対する偏差を小さくし、即ち格子不整合を小さくし、格
子不整合による単結晶エピタキシャル膜の結晶性の低下
を防止することができる。これによって、特に大出力の
青色光を発生させることが可能になった。この観点から
は、リチウムの割合を50.3mol%以下とすること
が一層好ましい。
【0021】第二高調波発生素子の位相整合波長を80
0nm以上とすることによって、発生する第二高調波の
ニオブ酸リチウム中への吸収が生じない。また、この位
相整合波長は、1000nm以下とする必要がある。こ
れは、第二高調波の波長が500nm以下であることに
対応する。これよりも位相整合波長が長くなると、光ピ
ックアップ、光記録等の用途においては、情報の密度が
小さくなるので、実用的ではないからである。
【0022】
【発明の実施形態】以下、図面を参照しつつ、更に詳細
に本発明の実施例を説明する。図1(a)は、単結晶品
1の一例を示す斜視図を示し、図1(b)は他の例に係
る単結晶品7の斜視図を示す。図1(c)は、本実施形
態に係る第二高調波発生素子11を示す模式図である。
【0023】単結晶基板6の形状は、図1(a)、
(b)の例では長方形であるが、この寸法、形状には特
に制限はない。単結晶基板6は、好ましくはニオブ酸リ
チウム単結晶からなるが、タンタル酸リチウム単結晶、
またはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体単
結晶からなっていてもよい。図1(a)においては、こ
の単結晶基板6の表面6aに、単結晶エピタキシャル膜
2が形成されている。このエピタキシャル膜2中には、
複数列のストライプ状のリッジ型光導波路3が形成され
ており、かつ、光導波路3の両側に、細長い直線状の溝
4がそれぞれ形成されている。このリッジ状の光導波路
は、フォトリソグラフィー技術によって形成することが
できる。また、図1(b)の単結晶品7においては、単
結晶基板6の表面6aに、単結晶エピタキシャル膜8が
形成されている。
【0024】これらの各単結晶品1、7を使用すること
によって、図1(c)に模式的に示すようにして、第二
高調波発生素子11を製造することができる。レーザー
光源9、光学系10および単結晶品1(7)を整列させ
る。レーザー光源9から、赤外光を矢印Aのように光学
系10に射出させ、光学系からのレーザー光を、単結晶
品1(7)のエピタキシャル膜2(8)の一方の端面か
ら入射させ、エピタキシャル膜の他方の端面から、第二
高調波を矢印Bのように射出させることができる。
【0025】次いで、本発明の単結晶エピタキシャル膜
を製造するための好適な方法について説明する。従来の
液相エピタキシャル法においては、飽和温度と成膜温度
とを、精密に制御することが困難であり、成膜温度は9
00〜950°C近辺で実施されることが多かった。ま
た、エピタキシャル膜の組成については、従来技術の項
目で述べたように、ほぼ化学量論組成のものが形成され
ると考えられてきた。
【0026】本発明者は、こうした研究上の難点を解決
するため、まず、液相エピタキシャル法のプロセスを再
検討した。従来は、まず1000〜1300°Cの十分
な高温で溶質と溶融媒体とを十分に溶融させ、次いでこ
の仕込み組成に対応する飽和温度よりも低温にすること
で、過冷却状態を作りだしていた。即ち、十分な高温の
液相から過冷却状態を作りだす必要があるという常識で
あった。本発明者は、この点に着目し、従来とは本質的
に異なる方法に想到した。図2は、この液相エピタキシ
ャル法における溶融体の温度スケジュールを模式的に示
すグラフである。
【0027】まず、溶質と溶融媒体とを、ルツボ内に仕
込んで混合する。この溶融体の飽和温度T0 は、溶融体
における溶質の濃度に対応して、一定値に定まる。この
飽和温度は、いわゆる液相線から算出することができ
る。次に、この溶融体の温度を、飽和温度T0 よりも高
い温度T1 で保持し、溶質と溶融媒体とを均一に溶融さ
せる。図2において、「A」が、この溶融状態に対応す
る。この段階では、溶融体のすべてが液相となってい
る。
【0028】次いで、溶融体の温度を、飽和温度T0
りも低い固相析出温度T 2 まで冷却する。この状態で
は、溶融体は、最初は過冷却状態となるが、この温度で
十分に長い時間保持すると、溶融体から固相が析出して
くる。図2において、「B」が、この固相析出のための
保持状態に対応する。この時には、溶融体が液相と固相
とに分離する。この固相は、主としてルツボの内側壁面
に沿って析出する。次いで、溶融体の温度を下げて液相
を過冷却状態にする。図2において、「C」が、この過
冷却状態に相当する。過冷却状態の液相に対して、基板
を降下させ、接触させ、単結晶膜をエピタキシャル成長
させる。
【0029】このように、本方法においては、固相と液
相が安定的に共存している状態Bを出発点とし、即ち、
温度T2 を出発点とし、この状態から温度T3 にまで温
度を下げることによって、液相を過冷却状態としてい
る。このように、固相と液相とが共存している状態で
は、系全体の飽和温度を越えない限り、液相における溶
質の濃度は、保持温度T2 における飽和濃度に保たれ
る。例えば、溶融体における溶質の濃度が低下したとき
には、保持温度T2 において、固相の量がその分減少
し、溶質の濃度が増加したときには、固相の量がその分
増加する。従って、液相の温度と濃度とは、常に一定に
保持される。そして、成膜温度T3 も、むろん一定値に
設定するので、T2 とT3 との差(過冷却度)も一定に
保持され、過冷却状態が完全に制御される。
【0030】この結果、実際の成膜工程において、基板
への膜形成を繰り返したために、溶融体の組成が変化し
ていった場合においても、過冷却状態がほぼ完全に一定
状態に保持される。従って、結晶性の良い単結晶膜を、
再現性良く成膜することができる。
【0031】そして、この方法によれば、飽和温度及び
成膜温度を精密に制御することが可能になる。しかも、
本方法においては、基板が溶融体に接触する前に、あら
かじめ溶融体中に固相が共存している。この状態では、
もともと固相と液相の界面では、微視的に見れば溶融と
析出とが起こっている。従って、あらたに基板を溶融体
に接触させても、スムーズに膜成長が開始され、結晶性
に優れた単結晶膜が作製できる。
【0032】本発明者は、この方法を採用して、成膜温
度を精密に制御し、各成膜温度に対応して、ニオブ酸リ
チウム単結晶膜の組成がどのように変化するかを、測定
した。
【0033】LiNbO3 ─LiVO3 擬二元系におい
て、溶融体の仕込み組成を、40mol%LiNbO3
─60mol%LiVO3 とし、図2の温度スケジュー
ルに従って、液相エピタキシャル法を実施した。各溶融
体を、十分に高い温度T1 (1000°C〜1300°
C)で3時間以上攪拌し、十分均一な液相の状態とし
た。
【0034】その後、溶融体を保持温度T2 まで冷却し
た後、12時間以上保持し、過飽和分のニオブ酸リチウ
ムが核発生して固相が析出するまで待った。その後、溶
融体の温度を、T2 から過冷却度5°Cだけ低い成膜温
度まで冷却し、ただちにニオブ酸リチウム単結晶基板を
溶融体に接触させ、成膜を行った。この単結晶膜の組成
を、次の方法によって測定した。この結果を、図3及び
表1に示す。作成した膜の組成は、示差熱分析法によっ
てキューリー点温度を測定する方法を用いて行った。
【0035】
【表1】
【0036】この結果からわかるように、従来の常識と
は異なり、成膜温度を種々変更すると、ニオブ酸リチウ
ム単結晶膜の組成を、位相整合波長とリチウム含有割合
約52mol%との間で、変更し、制御できる。
【0037】フラックスは、V2 5 、B2 3 ,Mo
3 およびWO3 からなる群より選ばれた一種以上のフ
ラックスとすることが好ましい。また、溶融体の仕込み
組成は、溶質10mol%─フラックス90mol%〜
溶質60mol%─フラックス40mol%とすること
が好ましい。
【0038】溶質の割合が10mol%よりも小さい場
合には、溶質─溶融媒体の擬二元系の相図において、液
相線の傾きが急になりすぎ、膜成長による溶融体の濃度
変化が大きくなり、成膜条件を安定して保つのが困難に
なる.溶質の割合が60mol%よりも大きい場合に
は、飽和温度が高くなるため、成膜温度が高くなりすぎ
て結晶性の良い単結晶膜を作製するのが困難になる.
【0039】
【実施例】以下、更に具体的な実験結果について説明す
る。 (実施例1)図2に示す温度スケジュールに従って、前
記した液相エピタキシャル法によって、MgOがドープ
されたニオブ酸リチウム単結晶膜を、光学グレードのニ
オブ酸リチウム単結晶基板のZ面上に形成した。ここで
使用した光学グレードのニオブ酸リチウム単結晶基板の
X線ロッキングカーブの半値幅は、いずれも6.8〜
6.9〔arc sec 〕であった。この半値幅の測定は、二
結晶法により、(0012)面の反射を用いて行った。入
射X線としてはCuKα1を使用し、モノクロメータと
しては、GaAs単結晶の(422)面を用いた。
【0040】主としてLi2 O、Nb2 5 、V2 5
およびMgOからなる溶融体を使用した。溶融板の仕込
み組成が、モル比率で、LiNbO3 :LiVO 3 =2
0:80となるように、Li2 O、Nb2 5 およびV
2 5 を秤量した。これに対して、所定量のMgOを添
加した。前記した溶融温度T1 は1200℃とし、固相
析出温度T2 は850°とし、成膜温度T3 は845°
とした。これによって、Li2 Oのmol比率が50.
3mol%であり、MgOのドープ量が6mol%の単
結晶エピタキシャル膜を形成した。
【0041】この膜のX線ロッキングカーブの半値幅
は、5.7〔arc sec 〕であった。また、この膜の25
℃における位相整合波長を、下記のようにして測定し
た。即ち、前記の膜の端面に、光パラメトリック発振器
を直接結合し、作製した膜の断面に垂直な方向に向かっ
て、基本波をTEモードで入射させた。入射する基本波
の波長を変化させながら、出射する第二高調波の出力を
測定した。この結果、位相整合波長は約830nmであ
り、入射光の出力100mWに対して、波長415n
m、出力20mWの青色レーザー光が発生した。この
際、光損傷等の特性の劣化は認められなかった。
【0042】(実施例2)実施例1と同様にして、エピ
タキシャル膜を作製し、その第二高調波発生素子として
の特性を試験した。ただし、実施例1において、溶融温
度T1 は1200℃とし、固相析出温度T2 は895°
とし、成膜温度T3 は890°とした。これによって、
Li2 Oのmol比率が50.0mol%であり、Mg
Oのドープ量が5mol%の単結晶エピタキシャル膜を
形成した。
【0043】この膜のX線ロッキングカーブの半値幅
は、5.6〔arc sec 〕であった。また、この膜の25
℃における位相整合波長は、約860nmであり、入射
光の出力100mWに対して、波長430nm、出力2
0mWの青色レーザー光が発生した。この際、光損傷等
の特性の劣化は認められなかった。
【0044】(比較例1)通常の引き上げ法(CZ法)
によって、Li2 Oのmol比率が調和溶融組成であ
り、MgOのドープ量が5mol%であるニオブ酸リチ
ウム単結晶を作製した。
【0045】この結晶のX線ロッキングカーブの半値幅
は、18〔arc sec 〕であった。また、この結晶の25
℃における位相整合波長は、約1030nmであった。
【0046】(比較例2)実施例1と同様にして、エピ
タキシャル膜を作製し、その第二高調波発生素子として
の特性を試験した。ただし、実施例1において、溶融温
度T1 は1200℃とし、固相析出温度T2 は895°
とし、成膜温度T3 は890℃とした。これによって、
Li2 Oのmol比率が50.0mol%であり、Mg
Oがドープされていない単結晶エピタキシャル膜を形成
した。
【0047】この膜のX線ロッキングカーブの半値幅
は、5.7〔arc sec 〕であった。また、この膜の25
℃における位相整合波長は、約1015nmであった。
【0048】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、優れた電気光学特性、非線型光学特性および結晶性
を有し、量産に適しており、青色光を大出力で発光させ
ることが可能な、第二高調波発生素子を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、単結晶品1の一例を示す斜視図であ
り、(b)は、他の例に係る単結晶品7を示す斜視図で
あり、(c)は、本実施形態に係る第二高調波発生素子
11を示す模式図である。
【図2】溶融体の温度スケジュールの一例を示す図であ
る。
【図3】成膜温度と組成との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1、7 単結晶品 2 単結晶エピタキシャル膜
3 リッジ型光導波路 4 細長い直線状の溝 6
単結晶基板 7 レーザー光源 8 単結晶エピ
タキシャル膜 10 光学系 11 第二高調波発
生素子 A 赤外光 B 第二高調波

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニオブ酸リチウムからなる単結晶エピタキ
    シャル膜であって、ニオブ酸リチウム中にマグネシウム
    が0.5mol%以上、20mol%以下ドープされて
    おり、ニオブ酸リチウムにおけるLi2 Oの割合が4
    8.7mol%以上、50.5mol%以下であること
    を特徴とする、単結晶エピタキシャル膜。
  2. 【請求項2】請求項1記載の単結晶エピタキシャル膜
    と、ニオブ酸リチウム単結晶、タンタル酸リチウム単結
    晶およびニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体
    単結晶からなる群より選ばれた単結晶からなる基板とを
    備えており、前記基板上に前記単結晶エピタキシャル膜
    が形成されていることを特徴とする、単結晶品。
  3. 【請求項3】ニオブ酸リチウムからなる単結晶エピタキ
    シャル膜を備えており、波長800〜1000nmの基
    本波長に対して位相整合することを特徴とする、第二高
    調波発生素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006284962A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 光学素子
US8372383B2 (en) 1999-10-28 2013-02-12 Medidermis Ltd Agent for inducing hair growth containing extracts of saw palmetto and swertia

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