JPH09100162A - 高純度黒鉛材の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

高純度黒鉛材の製造方法及びその製造装置

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JPH09100162A
JPH09100162A JP8143644A JP14364496A JPH09100162A JP H09100162 A JPH09100162 A JP H09100162A JP 8143644 A JP8143644 A JP 8143644A JP 14364496 A JP14364496 A JP 14364496A JP H09100162 A JPH09100162 A JP H09100162A
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gas
graphite
purification
graphitization
graphite heater
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JP8143644A
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Inventor
Takeshi Matsumoto
強資 松本
Toru Hoshikawa
亨 星川
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Toyo Tanso Co Ltd
Original Assignee
Toyo Tanso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一つの炉で黒鉛化及び高純度化を少なくとも
一部並行して行うようにすることにより、特に装置を大
型化にすることなく、大容量の黒鉛材料を製造すること
ができる黒鉛化、高純度化方法及びその製造装置を提供
する。 【解決手段】 密閉容器を減圧し、前記密閉容器内に配
設された電気的加熱手段によって断熱材で囲われた黒鉛
ヒータを加熱しつつ、前記黒鉛ヒータに対して出入りす
るように前記ガスを供給するとともに排出し、前記黒鉛
ヒータ内に収納された前記炭素材の黒鉛化と高純度化と
を少なくとも一部並行して行うことを特徴とし、黒鉛ヒ
ータからの熱は断熱材で遮断され、黒鉛ヒータに対して
直接出入りするような直結形態で供給排出されるガスは
黒鉛ヒータから漏れでにくくなり、黒鉛ヒータを入れる
密閉容器を減圧に耐えるようにするために、できるだけ
小さく形成することを可能にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黒鉛化と高純度化
とを少なくとも一部並行して行う高純度化黒鉛材の製造
方法に関し、特に装置を大型化させることなく効率的な
高純度化を可能にするものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素製品の黒鉛化は以下のように
行われていた。即ち、先ず炭素製品を焼成炉内におい
て、800°C乃至1000°Cに加熱し、バインダー
等に含まれる易揮発成分を、分散、蒸散させて焼成する
工程(工程A)、次に焼成体を取り出し、黒鉛化炉、例
えばアチエソン式炉、カストナー式炉又は誘導加熱炉
(例えば特開昭57−166305号公報,16630
6号公報,166307号公報,166308号公報)
にて3000°Cに加熱して黒鉛化する(工程B)、更
にこのようにして得られた黒鉛化材料を、別の反応器中
でハロゲンを含むガス雰囲気中で加熱し、黒鉛材料中の
不純物を蒸気圧の高い物質に変化せしめて母材から揮散
させ、黒鉛材料の高純度化をする工程(工程C)から成
る方法が一般的に行われていた。
【0003】このように従来の黒鉛化、高純度化技術で
は焼成から黒鉛化、更に高純度化の各工程ごとに炉から
炉へと炭素材を移動させなければならず、このために運
搬の手間と材料の破損並びに汚染が伴った。またその都
度、各々の炉について昇、降温しなければならず、熱エ
ネルギー、また装置の稼働率、装置寿命等の点で甚だ不
経済であった。一方、高純度化法では、従来の高純度化
の具体例として例えば特開昭58−84181号公報の
方法がある。この方法では、高純度化を3つの工程に分
け、第1工程で常圧下でHClガスに接触させて不純物
の塩素化を行い、これを減圧下に保ち昇温して炭素母材
深部の金属ハロゲン化物を離脱しやすくし、最後の第3
工程で常圧下でH2 ガスを用い、残る不純物を水素化物
として除くのものである。なお、この例では石英管内に
設置された炭素材を管外部から電熱方式で加熱してい
る。しかしこの純化方法では、温度範囲950〜120
0°Cとされ、このために反応容器には耐用限界120
0°Cまで(これ以上だと軟化する。)の石英管が使用
され、外部から電熱線加熱で加熱されている。即ちこの
方法では、黒鉛化を行うことは全く意図していないもの
であり、高純度化だけを行うものである。しかも加えて
この方法においては、高純度化工程で減圧するのは、金
属ハロゲン化物の脱離工程だけである。
【0004】次に、高純度化用の炉としては、アチエソ
ン式炉、カストナ式炉及び誘導加熱方式があるが、いず
れも常圧下で行うものであり、また前二者は平面的に設
置されるので、大きな敷地面積が必要であり、かつ炉の
表面も大きいので熱効率の点で後者に劣る欠点があっ
た。最近、若干進んだ方法としては、焼成(工程A)は
別の炉で行った後、黒鉛化(工程B)と高純度化(工程
C)とをアチエソン炉に用い常圧で一連として行う方法
が開発された。しかしこの方法では次のような難点があ
った。まず上述したように敷地面積が大きいこと、電力
効率の低い欠点の他、炉の構造上の制約からハロゲンガ
スと炭素材との接触が悪いうえに、常圧下で高純度化を
行う関係から、ハロゲン化された不純物の脱着が悪く、
操作時間が長くかかり、ハロゲンの消費量も多くなる欠
点があった。また、高純度化黒鉛の製造方法の他の例で
は、特開昭35−5737号公報に見られるように、ア
チエソン式炉を用い、常圧下、ハロゲンとしては塩素の
みならずフッ素化炭化水素を用いる例も知られている。
しかし、これら等の従来の高純度化工程では、確かに純
度をある程度上げることの出来るものであるが、近時益
々高い純度の黒鉛材が強く要望される現状においては、
なお不十分となってきている。
【0005】また、真空形式の炉を用いた例としては、
前記特開昭58−84181号公報の他に、抵抗式発熱
体を内装した例がある。しかしこの方法では、構造上か
ら来る若干の加熱ムラがあり、また黒鉛ヒータ(以下、
サセプターという。)内外の雰囲気絶縁性が低く、超高
純度黒鉛材を製造する場合には信頼性は乏しい。時に、
高純度黒鉛材を製造しようとしても、抵抗式電熱線加熱
手段では、黒鉛化反応を進めるに足りる2400°C以
上の高温を達成することができないのである。即ち、こ
の方法では黒鉛化を同時に行うことができないものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、従来の方法で
は達成できなかった、より高純度の黒鉛材料をより経済
的に製造する方法及びその製造装置を開発することにあ
る。即ち、一つの炉で黒鉛化及び高純度化を少なくとも
一部並行して行うようにすることにより、特に装置を大
型化にすることなく、大容量の黒鉛材料を製造すること
ができる。これにより、物品移動の経費,半製炭素材の
破損、装置の冷却・加熱サイクルに伴うエネルギー損失
の低減、装置稼働率の向上、高純度化に伴うハロゲン消
費量の節減、間接的には排気、排出処理費の節減等を計
りながら、品質的には従来の高純度化の方法では成し得
なかった超高純度の黒鉛製品を得ることのできる画期的
な黒鉛化、高純度化方法及びその製造装置を提供するも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明のうち請求項1記載の発明は、炭素材
を、焼成、黒鉛化、及びハロゲン又はその化合物のガス
による高純度化を施して高純度黒鉛材を製造する方法に
おいて、密閉容器を減圧し、前記密閉容器内に配設され
た電気的加熱手段によって断熱材で囲われた黒鉛ヒータ
を加熱しつつ、前記黒鉛ヒータに対して出入りするよう
に前記ガスを供給するとともに排出し、前記黒鉛ヒータ
内に収納された前記炭素材の黒鉛化と高純度化とを少な
くとも一部並行して行うことを特徴とするものである。
黒鉛ヒータからの熱は断熱材で遮断され、黒鉛ヒータに
対して直接出入りするような直結形態で供給排出される
ガスは黒鉛ヒータから漏れでにくくなり、黒鉛ヒータを
入れる密閉容器を減圧に耐えるようにするために、でき
るだけ小さく形成することが可能になる。
【0008】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の高純度化を、前記密閉容器を冷却しながら行うことを
特徴とするものである。冷却すると、密閉容器を構成す
る金属材料の温度が上がって強度が下がるのを防止でき
る。
【0009】請求項3記載の発明は、炭素材を、焼成、
黒鉛化、及びハロゲン又はその化合物のガスによる高純
度化を施して高純度黒鉛材を製造する方法に於いて、密
閉容器を減圧し、前記密閉容器内に配設された電気的加
熱手段によって断熱材で囲われた黒鉛ヒータを加熱しつ
つ、前記黒鉛ヒータに対して直接出入りするような直結
形態で前記ガスを供給するとともに排出し、前記黒鉛ヒ
ータ内に収納された前記炭素材の黒鉛化と高純度化とを
少なくとも一部並行して行い、その後の冷却途中に、前
記減圧より程度が強い強減圧下の冷却工程を部分的に含
ませることを特徴とする高純度黒鉛材を製造することを
特徴とするものである。強減圧にすることによって、黒
鉛材の中のガスが抜き出されるようなる。
【0010】請求項4記載の発明は、炭素材を、焼成、
黒鉛化、及びハロゲン又はその化合物のガスによる高純
度化を施して高純度黒鉛材を製造する装置において、減
圧される密閉容器と、前記密閉容器内に配設された電気
的加熱手段によって加熱され断熱材で囲われた黒鉛ヒー
ターと、前記黒鉛ヒーターに対して直接出入りするよう
な直結形態で前記ガスを供給するとともに排出するガス
供給路及びガス排出路とを備え、前記黒鉛ヒータ内に収
納された前記炭素材の黒鉛化と高純度化とを少なくとも
一部並行して行えるようにしたことを特徴とする装置と
したものである。上記のようにすることにより、黒鉛ヒ
ータからの熱を断熱材が遮断され、黒鉛ヒータに直接出
入りするような直結形態で供給排出されるガスを黒鉛ヒ
ータから漏れでにくくなり、また黒鉛ヒータを入れる密
閉容器を減圧に耐えられるようになる。これにより、装
置自体をできるだけ小さく形成することが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示
例とともに説明する。図1は本発明において使用する真
空式・高周波加熱方式の高純度炭素材の製造装置の側断
面を模式的に示したものである。本発明を構成する第1
の構成要因は、原料炭素材の加熱に、床面積が小さく、
エネルギー効率の高い高周波加熱炉を採用したことであ
る。第2の構成要因として誘導加熱炉の高周波コイル5
と被加熱炭素材4の中間に黒鉛ヒータ即ちサプセプター
6を設けたことである。第3の構成要因として、上記の
要因、即ち高周波コイル5、サセプター6、被加熱炭素
材4を減圧若しくは真空特に10-3〜10-4Torrと
いう高減圧に耐える密閉容器に収納することである。な
お、被加熱炭素材4,高周波コイル5、サセプター6を
真空容器内に収納することは、本発明において次項に記
すガス供給管8、ガス排気管1の設置と共に最も重要な
構成要因であり、これにより被加熱炭素4を効率よく、
黒鉛化及び高純度化を少なくとも一部並行して進めるこ
とが可能になるものである。
【0012】第4の構成要因として、第1図に示される
ように、該真空容器内に、ガス供給管8、ガス排気管1
を黒鉛ヒータ6にガスを直接出入りできるような直結形
態で設けることである。ガス排気管1は容器内部を減圧
又は真空にする際、及び黒鉛化工程、高純度化工程で発
生するガスの排気に必要不可欠である。特に、高純度化
工程において、黒鉛材から蒸散されたハロゲン化物、金
属水素化化合物等を反応系外に引き出す目的にも使用さ
れる。また、これ等ガス供給管8及びガス排気管1を開
閉して、炉内圧をパルス的に変動させて後記するように
高純度化反応時間を短縮、かつ完全に進めることができ
る。ガス供給管8は、高純度化工程において使用される
ハロゲン含有ガス、又は/及びH2 ガスを供給する目的
に使用される。これ等ガスの供給用と排気用の管は、黒
鉛ヒータ6に対してガスが出入りするように真空容器の
適宣の場所に、必要に応じ複数箇所に設けることができ
るが、容器内のガスの流通と炭素材との接触効率を考慮
して、以下又は左右と対称側に設けることが望ましい。
ガスを出入りするようにすることにより、他の部分にお
けるハロゲンガスの望ましくない悪影響を大きく緩和す
ることができる。
【0013】図1には縦型高周波炉を用い、ガス排気管
1及びガス供給管8を各々上,下に設けた例を記した
が、高周波を横型にした場合には、これ等各管を各々
左,右に設けることもできる。第5の構成要因として、
高周波コイルとサセプターの間に断熱材2,3を用いる
ことができる。断熱材としては、セラミックファイバ
ー、カーボンファイバー、カーボンブラック等公知の材
料を使用する。第6の構成要因として、必要により真空
容器の外部に水冷ジャケット9を設けることができる。
高周波コイルには250〜300Hzの高周波電圧が印
加され、真空容器の壁を貫いて内装されたコイルに電力
が供給され、電磁波は断熱材を通過して、サセプターを
加熱する。
【0014】次に、上述の装置を用いた本発明の高純度
黒鉛材の製造方法に記す。本発明の方法は、原則として
次の3つの要因からなっている。即ち、 (イ)黒鉛化を高周波加熱手段で行うこと。 (ロ)高純度化をハロゲン又はその化合物を利用する手
段で行うこと。 (ハ)上記(イ)及び(ロ)の工程を減圧乃至真空下で
少なくとも一部並行して行うこと。 である。そして上記(イ)〜(ハ)の3つの用件を同時
に満足するように、これを行うことである。更に、これ
を換言すれば、本発明の方法及びその装置の最大の特徴
は、減圧乃至真空下で、ハロゲン又はその化合物を利用
する高純度化工程と、高周波加熱による黒鉛化工程とを
同一装置内で少なくとも一部並行して行うことである。
このような手段の併用により、はじめて極めて優れた高
純度黒鉛方向材を製造することができる。この際、たと
え(イ)の黒鉛化工程と(ロ)の高純度化工程と少なく
とも一部並行して行っても、これ等を減圧乃至真空下
(10〜100Torr)で行われないときは、後記実
施例でも示す通り、高純度化の程度は低くなる。また、
上記(ロ)の高純度化を(ハ)の減圧乃至真空で行って
も、黒鉛化を少なくとも一部並行して行わない場合は
(即ち黒鉛化が進行するような3000°C近くの高温
下に行わなければ)、やはり後記実施例で示す通り、高
純度の程度は低い。また、(イ)と(ハ)とを併用して
も、(ロ)の高純度化を行わないと、高純度黒鉛が収得
できないことは無論である。
【0015】以下順を追って本発明を説明する。まず、
ガス供給管8からN2 ガスを送気して、容器内部の空気
をN2 ガスで置換した後、ガス排気管1から減圧、又は
真空に引き雰囲気を非酸化性にする。次に、誘導コイル
5に徐々に電圧を印加してサセプター6を加熱し、その
輻射熱により被加熱炭素材4を800〜1000°Cに
通常1〜10時間、好ましくは3〜5時間保った後(焼
成工程)、徐々に昇温を続け2450〜2500°Cに
調節しながら5〜24時間,好ましくは7〜15時間保
持する(黒鉛化工程)。容器内は加熱を始めた時点から
1〜100Torr,好ましくは5〜50Torr程度
に保たれているので、この段階で僅かに揮散してくる脱
ガスの排出には好都合である。黒鉛化の際、最初からあ
るいは、黒鉛化が若干進んだ段階で、減圧状態のままガ
ス供給管8かハロゲン又はその化合物のガス、例えばジ
クロルジフルオルメタンを(流量は容器内に充填する被
加熱炭素材の量により増減されるが、例えば1〜7lN
TP/kg程度で)3〜8時間程度供給する。
【0016】高純度化に用いるハロゲン又はその化合物
のガスは、炭素材中に含まれる不純物、特に金属不純物
をハロゲン塩として蒸気圧を高め、これの蒸発、揮散に
よって母材である炭素材の純度を高めるために必要であ
るが、このハロゲン又はその化合物(以下、ハロゲンと
いうことがある。)としては従来から使用されてきたも
のがいずれも使用でき、また更には塩素系あるいはフッ
素系ガスを同時に併用してもよい。また同一分子内にフ
ッ素と塩素とを含む化合物、例えばモノクロロトリフル
オルメタン、トリクロロモノフルオルメタン、ジクロル
ジフルオルメタン、トリクロロモノフルオルメタン等を
使用することもできる。また、不純物の種類、例えば硫
黄分等については、H2 ガスを高い精製効果を示すの
で、特に低硫黄グレード品については、ジクロルジフル
オルメタンの供給を停止した後、必要に応じて引き続い
てH2 ガスを供給することもできる(高純度化工程)。
【0017】高純度化操作が完了した時点で、炉内の温
度を更に上げ、3000°Cにて10〜30時間程度保
って工程を完了する。上記方法によって黒鉛化、高純度
化工程を完了した後、反応炉を冷却する工程の途中、約
2000°Cにおいて容器内圧力を10-2Torr乃至
10-4Torrに強減圧したまま冷却することにより、
アウトガスの少ない高純度炭素材を得ることができる。
これは本発明の方法の実施にに関連して、高純度,高品
位の黒鉛材を得るための重要な操作手段である。この操
作は高純度化と黒鉛化反応を行った後の操作として重要
である。通電を停止、容器内にN2 ガスを充填、置換し
乍ら常圧、常温戻す。なお、不純物除去即ち高純度化工
程において、本発明に係る真空式高周波加熱炉は甚だ好
都合である。即ち、被加熱炭素材を真空乃至減圧条件下
でハロゲンと接触させると、その消費量が非常に少量で
すむ利点がまず挙げられる。真空乃至減圧条件下では、
ハロゲンガスが膨張して用いるため利用効率が高く、ま
た炭素材との接触も良いので、本発明者の実施した試験
結果では、通電床式炉の場合(10lNTP/kg)に
比べ本発明方法では(3lNTP/kg)とジクロルジ
フルオルメタン消費量が1/3に調節された例である。
【0018】第2の利点としては、ハロゲン化又は/及
び水素化された炭素材中の不純物が、雰囲気が減圧下で
あり、かつ反応温度が高いために、外部に揮発、離脱し
易くなるため少量のハロゲンの使用にも拘らず速く、よ
り高い純度の黒鉛材が得られることにある。なお、特開
昭58−84181号公報と本発明との差異について重
ねて説明すると、上記公知手段においては、その明細書
からの明らかなように塩素化(HCl使用)は常圧で行
い(第1工程)、このハロゲン化された不純物を真空条
件下にて脱離させ(第2工程)、次にH2 ガスを流通さ
せ他の不純物を除去(第3工程,圧力不明)しており、
塩素化を常圧で行っていること、塩素化工程と塩素化さ
れ不純物離脱工程とを別々に行っていることに特徴があ
り、また高周波加熱手段も採用していない(即ち、黒鉛
化を同時に行っていない)ものである。これに対して本
発明は不純物除去工程をハロゲン、必要に応じてH2
スを流通しながら、ハロゲン化反応とハロゲン化物離脱
反応を、何れも減圧乃至真空条件下において、しかも黒
鉛化反応が進行する極めて高温度で、少なくとも一部並
行して実施している点におおきな差異がある。なお、既
に述べた通り黒鉛化と高純度化とを並行的に進める方法
については上記公知例は全くこれを開示していない。
【0019】本発明により高純度化又はこれと黒鉛化を
実施する際の容器内の圧力は、100Torr乃至1T
orrの範囲内に保つことが望ましい。容器内の圧力
は、ハロゲン化物、塩素化又は/及びフッ素化された不
純物、又は置換時の残存N2 ガス等の種々の化合物の蒸
気圧(分圧)の総和(全圧)として圧力計に示される
が、これが100Torrより高い場合は減圧効果が低
くなる。従って高純度化に要する時間は長くなり、品質
的にも従来の常圧法と変わりなく、また1Torrに達
しない場合ではハロゲン供給絶対量が少なくなり、炭素
材深部の高純度化が不十分になったり、また生成ガスの
排除に多大なポンプ動力を要し、得策ではない。発明者
等は実装置によって種々最適値を求めた結果100〜1
Torr,特に好ましくは50〜5Torrで最も良好
な製品が得られることを確認した。本発明実施の一つの
応用的態様として、高純度操作中、反応容器内の圧力を
パルス的に増減せしめる場合には、炭素材の深層部への
ハロゲンガスの拡散,置換及び深層部からのハロゲン化
生成物の脱離,置換が完全になり、より効果的である。
以上に本発明の特徴とする所を、より明瞭となすための
実験よる実験例を示す。
【0020】
【実施例】
実験例−1 以下に本発明の特徴とする所をより明瞭となすための実
験例を示す。下記試料A〜Gについてその不純物を分析
した。この結果を第1表に示す。 試料A:本発明の方法による製品 試料となる炭素材料は、東洋炭素(株)製「IG−1
1」で、これを図1の誘導加熱装置に使用し、容器内圧
力を5〜50Torrの減圧状態にし、ジクロルジフル
オルメタン3lNTP/kgを流しながら、3000°
Cで黒鉛化しその後引き続いて2450〜2500°C
で10時間加熱を行ったもの。 試料B:試料Fをジクロルジフルオルメタン3lNTP
/kgを流しながら(従来方法)、常圧で高純度化処理
のみ行ったもの。 試料C:試料Fを図1の装置で3000°Cで黒鉛化処
理のみを行った市販品(見掛け密度1.77の等方性黒
鉛材料,高純度化する前のもの)東洋炭素(株)製「I
G−11」。 試料D:試料Fを3000°C,150Torrで黒鉛
化及び高純度化すること以外は、試料Aの製造方法に従
ったもの。 試料E:試料Fを黒鉛化及び高純度化する時に、ハロゲ
ンを含まないガスとして窒素ガスを使用したこと以外は
試料Aの製造方法に従ったもの。 試料G:試料Aを高純度化後更に2000°C誘導加熱
装置内部の圧力を1.0…10-4Torrにまで強減圧
にしたもの。 また、分析方法は発光分光分析法及び原子吸光分析によ
った。数字の単位はppm,(−)は「検出されず」を
現す。
【0021】
【表1】
【0022】実験例−2 上記試料Aと試料Gについて、アウトガスを測定した。
測定方法は、試料Aと試料Gを10×10×1(mm)
の板状にし、四重極質量計で300°Cにおいて放出さ
れる気体の質量スペクトルを測定した。試料Aのアウト
ガス量については図2に、試料Gのアウトガスについて
は図3に示した。
【0023】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明のうち請求
項1記載の発明は、密閉容器内に配設された電気的加熱
手段によって断熱材で囲われた黒鉛ヒータを加熱すると
いう構成によって、密閉容器内に電気的加熱手段と断熱
材と黒鉛ヒータとが効率的に配設され、大量の炭素材を
処理するために大きな黒鉛ヒータを用いても、装置が大
型化を抑えるという効果を奏する。また、密閉容器に伝
わる熱が断熱材で少なくなっており、密閉容器を構成す
る金属材料の選択の幅が広くなり、例えば高強度金属材
料を使用することによって、密閉容器を大型化し、大き
な黒鉛ヒータで大容量の炭素材の黒鉛化と高純度化とが
一度にできるという効果を奏する。さらに、黒鉛ヒータ
に対してガスを出入りするようにしてハロゲン又はその
化合物のガスを供給するとともに排出するという構成に
よって、黒鉛ヒータ内の炭素材に対して前記ガスが直接
接触するため、ガスの消費量を削減できるとともに、短
時間での高純度化ができるという効果を奏する。また、
黒鉛ヒータ更には断熱材を通って密閉容器内に漏れるガ
ス量が少なくなって、密閉容器を構成する高強度金属材
料の腐食損傷を少なくすることができるとういう効果を
奏する。
【0024】請求項2記載の発明は、特に密閉容器を冷
却することで、同じ厚みの高強度金属材料であっても、
より大型化が可能になるという効果を奏する。
【0025】請求項3記載の発明は、請求項1の発明の
効果に加えて、高純度化後の冷却途中に強減圧下の冷却
工程を部分的に含ませるという構成によって、アウトガ
スの量を少なくし、より高純度の黒鉛材を得るこができ
るという効果を奏する。
【0026】請求項4記載の発明は、密閉容器内に電気
的加熱手段を配設し、断熱材で囲われた黒鉛ヒータを加
熱するという構成することで、電気的加熱手段と断熱材
と黒鉛ヒータとを効率的に配設できる。そのために、大
量の炭素材を処理する大きな黒鉛ヒータを用いても、装
置自体の大型化を抑えるという効果を奏する。また、断
熱材の配設によって密閉容器に伝わる熱が少なくなり、
密閉容器を構成する金属材料の選択の幅が広くなる。例
えば高強度金属材料を使用することによって、密閉容器
を大型化し、大きな黒鉛ヒータで大容量の炭素材の黒鉛
化と高純度化を同時に行うことができるという効果を奏
する。さらに、黒鉛ヒータに対してハロゲン又はその化
合物のガスを出入りするような構成にすることによっ
て、黒鉛ヒータ内の炭素材に対して前記ガスが直接接触
するようになる。そのために、ガス消費量の削減と、短
時間での高純度黒鉛材の製造を同時に行うことができる
という効果を奏する。また、黒鉛ヒータ、断熱材を通っ
て密閉容器内に漏れるガス量を少なくでき、密閉容器を
構成する高強度金属材料の腐食損傷を抑制することがで
きるとういう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法に使用する製造装置の一例の断面図で
ある。
【図2】比較例におけるアウトガスを質量スペクトルで
測定した結果を示すグラフ図である。
【図3】発明例におけるアウトガスを質量スペクトルで
測定した結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 ガス排出管 2 断熱材 3 断熱材 4 被加熱炭素材 5 高周波コイル(電気的加熱手段) 6 サセプター(黒鉛ヒータ) 7 受皿 8 ガス供給管 9 ジャケット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素材を、焼成、黒鉛化、及びハロゲン
    又はその化合物のガスによる高純度化を施して高純度黒
    鉛材を製造する方法において、 密閉容器を減圧し、 前記密閉容器内に配設された電気的加熱手段によって断
    熱材で囲われた黒鉛ヒータを加熱しつつ、 前記黒鉛ヒータに対して直接出入りするような直結形態
    で前記ガスを供給するとともに排出し、 前記黒鉛ヒータ内に収納された前記炭素材の黒鉛化と高
    純度化とを少なくとも一部並行して行うことを特徴とす
    る高純度黒鉛材の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高純度化は、前記密閉容
    器を冷却しながら行うことを特徴とする高純度黒鉛材の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 炭素材を、焼成、黒鉛化、及びハロゲン
    又はその化合物のガスによる高純度化を施して高純度黒
    鉛材を製造する方法において、 密閉容器を減圧し、 前記密閉容器内に配設された電気的加熱手段によって断
    熱材で囲われた黒鉛ヒータを加熱しつつ、 前記黒鉛ヒータに対して出入りするように前記ガスを供
    給するとともに排出し、 前記黒鉛ヒータ内に収納された前記炭素材の黒鉛化と高
    純度化とを少なくとも一部並行して行い、 その後の冷却途中に、前記減圧より程度が強い強減圧下
    の冷却工程を部分的に含ませることを特徴とする高純度
    黒鉛材の製造方法。
  4. 【請求項4】 炭素材を、焼成、黒鉛化、及びハロゲン
    又はその化合物のガスによる高純度化を施して高純度黒
    鉛材を製造する装置において、 内部が減圧される密閉容器と、 前記密閉容器内に配設された電気的加熱手段によって加
    熱され、断熱材で囲われた黒鉛ヒータと、 前記黒鉛ヒータに対して直接出入りするような直結形態
    で前記ガスを供給するとともに排出するガス供給路及び
    ガス排出路とを備え、 前記黒鉛ヒータ内に収納された前記炭素材の黒鉛化と高
    純度化とを少なくとも一部並行して行えるようにしたこ
    とを特徴とする高純度黒鉛材の製造装置。
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