JP3410380B2 - 単結晶引上装置及び高純度黒鉛材料 - Google Patents
単結晶引上装置及び高純度黒鉛材料Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体用単結晶引上
装置等の単結晶引上装置、及びそれに用いられる高純度
黒鉛材料に関する。 【0002】 【従来の技術】単結晶引上装置就中半導体用単結晶引上
装置としてその代表的なものにシリコン単結晶引上装置
があり、その他ガリウム系例えばGa−As系Ga−P
系の単結晶引上装置がある。いまこれ等を代表してシリ
コン単結晶引上装置について説明する。 【0003】即ち石英ガラス(Ga−As系単結晶の場
合には通常窒化ホウ素)製ルツボにシリコン多結晶を充
填する。この際使用される石英ルツボは通常肉薄のもの
が使用されるためその強度では石英が軟化したり、時に
割れることもあるため、これの補強のために黒鉛ルツボ
に内挿する。そしてこのシリコンを充填したルツボを回
転させまたはそのままで高周波誘導加熱または抵抗式発
熱体(ヒーター)により加熱し約1500°C前後に加
熱してシリコンを溶融する。ルツボ上部の引上機に支承
されたシリコン単結晶の種をシリコン溶融体中に浸漬
し、これを引上げつつ徐冷して他結晶体を単結晶体とす
るものである。 【0004】この単結晶は主に半導体に使用されるため
に極めて高純度であることが要求され、溶融体が直接接
触する石英ガラスは、その純度が非常に高いものが要求
されるが、これと共に用いられる装置内部の各部材につ
いても高純度のものが要求される。そしてこの引上装置
に於いては、上記した通り極めて高温であって耐熱性、
低蒸気圧性が要求され、現在そのほとんどは炭素材通常
は黒鉛が使用されている。 【0005】しかし乍ら非常に高温のため炭素材中の不
純物が滲出、蒸散して、石英ルツボ内のシリコン溶融液
を汚染し惹いては引上げ単結晶の品位を低下せしめ、結
果として歩留りを大きく低下せしめる。しかも最近の技
術の進歩により、高集積回路用基板として益々超高純度
の単結晶が要求されるようになり、これに伴い引上装置
に使用する各黒鉛部材の高純度化が益々要求されるよう
になって来た。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する問題点は、従来の単結晶引上装置に要求される上記
要望に応える装置を開発することであり、更に詳しくは
極めて高純度であって、しかも単結晶引上装置用部材と
して要求される各種特性、例えば耐熱性、耐熱衝撃性、
機械的特性、低蒸気圧性、化学的安定性、低アウトガス
性等を満足する黒鉛材料を開発し、これを単結晶引上装
置の部材として使用することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】この問題点は、全部にお
いて全灰分が5ppm以下あるとともに、深層部の全灰
分が1ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料を用
いることにによって解決される。 【0008】本発明者は従来から黒鉛材料就中高純度黒
鉛材料について研究を続けて来たが、この研究に於い
て、従来の黒鉛材料に比しその純度が極めて高く、しか
も従来法の操作上のトラブルを解決した黒鉛材料並びに
その製法を開発しすでに出願した(特願昭61−224
131号)。更に引き続く研究に於いて上記出願に係る
新しい高純度黒鉛材料が、単結晶引上装置の部材として
極めて好適であって、この装置用部材として要求される
諸特性を満足しうるものであることを見出し、茲に本発
明を完成するに至ったものである。 【0009】この高純度黒鉛材料は次の様にして製造す
ることは出来る。即ち基本的には上記特願昭61−22
4231号の方法によって製造される。更に詳しく説明
する以下の通りである。 【0010】炭素材を順次、焼成し、黒鉛化し、且つ高
純度化する高純度黒鉛材料の製造方法に於いて、高純度
化を真空乃至減圧下で高周波加熱手段により行う方法で
あり、更に好ましい態様をあげれば以下の通りである。
即ち(イ)炭素材を順次、焼成し、黒鉛化し次いで高純
度化する高純度黒鉛材の製造法に於いて、黒鉛化と高純
度とを同一装置で真空乃至減圧下に高周波加熱手段によ
り行うことを特徴とする製造方法、(ロ)黒鉛化と高純
度化とを一部重複して並行的に行う製造方法、(ハ)上
記高純度黒鉛材の製造方法に於いて、黒鉛化及び高純度
化の少なくとも1つを100Torr乃至1Torrの圧力下で
高純度黒鉛材の製造方法、(ニ)真空乃至減圧条件下に
於ける高純度化工程に於いて、ハロゲン化反応及びハロ
ゲン化生成物の離脱反応を同時に行わしめる製造方法、
等である。 【0011】これ等方法について更に詳しく説明すると
以下の通りである。尚、説明の便宜上本製法の装置を示
す図面を用いて本製法を説明することとする。尚、図1
は本製法にかゝる真空式・高周波加熱方式の高純度炭素
材の製造装置の側断面図を模式的に示したものである。 【0012】本製法を構成する第一の要因は、原料素材
の加熱に、床面積が小さく、エネルギー効率の高い高周
波加熱炉を採用したことである。第二の構成要因として
誘導加熱炉の高周波コイル(105) と被加熱炭素材(104)
の中間に黒鉛ヒーター即ちサセプター(106) を設けたこ
とである。第三の構成要因として、上記の要因、即ち高
周波コイル(105) 、サセプター(106) 、被加熱炭素材(1
04) を減圧若しくは真空に耐える密閉容器に収納するこ
とである。尚、被加熱炭素材(104) 、高周波コイル(10
5) 、サセプター(106) を真空容器内に収納すること
は、本製法に於いて下記に示すガス供給管(108) 、ガス
排出管(101) の設置と共に最も重要な構成要因であり、
これにより被加熱炭素材(104)を効率よく、一貫して黒
鉛化、高純度化を進めることは可能になる。第四の構成
要因として該真空容器内に、ガス供給管(108) 、ガス排
出管(101)を設けることである。ガス排出管(101) は容
器内部を減圧又は真空にする際、及び黒鉛化工程、高純
度化工程に際し発生するガスの排気に必要不可欠であ
る。特に、高純度工程に於いて黒鉛材から蒸散された金
属ハロゲン化物、金属水素化化合物等を反応系外に引き
出す目的にも使用される。ガス供給管(108) は、高純度
化工程に於いて使用されるハロゲン含有ガス、又は/及
びH2 ガスを供給する目的に使用される。これ等ガスの
供給用と排出用の管は、真空容器の適宜の場所に、必要
に応じ複数個所に設けることが出来るが、容器内のガス
の流通と炭素材との接触効率を考えて、上下、又は左右
と対称側に設けることが望ましい。図1には縦型高周波
炉を用い、ガス排出管(101) 及び供給管(108) を夫々
上、下に設けた例を記したが、高周波炉を横型にした場
合には、これ等各管を夫々左、右に設けることも出来
る。 【0013】以上の主要構成要因の他に必要に応じて次
に要因を付加することが出来る。即ち第五の要因として
高周波コイルとサセプターの間に断熱材(102) 、(103)
を用いることが出来る。断熱材としては、セラミックフ
ァイバー、カーボンファイバー、カーボンブラック等公
知の材料を使用する。第六の要因として、必要により真
空容器の外部に水冷ジャケット(109) を設けることが出
来る。高周波コイルには250〜3000Hzの高周波電
圧が印加され、真空容器の壁を貫いて内装されたコイル
に電力が供給される。 【0014】次に上述の装置を用いた本製法の高純度黒
鉛の製造方法について記す。本製法は基本的には高純度
化工程を真空乃至減圧下に高周波加熱手段を用いて行う
用法であり、その望ましい一態様は上記図1に示す本装
置を用いて上記方法を行うものである。また本法に於い
ては、更に黒鉛化と高純度化工程とを一つの炉で、これ
等工程を順次、又は少なくとも一部並行して行う方法も
包含される。更に詳しく説明すると以下の通りである。 【0015】まずガス供給管(108) からN2 ガスを送気
して、容器内部の空気をN2 ガスで置換したのち、ガス
排出管(101) から減圧、又は真空に引き、雰囲気を非酸
化性とする。 【0016】次に誘導コイル(105) に徐々に電圧を印加
してサセプター(106) を加熱し、その輻射熱により被加
熱炭素材(104) を800〜1000°Cに通常1〜10
時間好ましくは3〜5時間保ったのち、徐々に昇温を続
け、2450〜2500℃に調節しながら5〜24時間
好ましくは7〜15時間保持する。 【0017】容器内は加熱を始めた時点から1〜100
Torr好ましくは10〜40Torr程度に保たれているの
で、この段階で僅かに揮散してくる脱ガスの排出には好
都合である。 【0018】黒鉛化がある程度進んだ段階で、減圧状態
のままガス供給管(108) からハロゲンガス例えばジクロ
ルジフルオルメタンを(流量は容器内に充填する被加熱
炭素材の量により増減されるが、例えば1〜7lNTP/ kg
程度で3〜8時間程度供給する。 【0019】高純度化に用いるハロゲンガスは、炭素材
中に含まれる不純物、特に金属不純物をハロゲン塩とし
て蒸気圧を高め、これの蒸発、揮散によって母材である
炭素材の純度を高めるために必要であるが、このハロゲ
ンとしては従来から使用されて来たものがいずれも使用
出来、例えば塩素や塩素化合物ばかりでなく弗素や弗素
化合物にも使用出来、また更には塩素系或いは弗素系ガ
スを同時に併用してもよい。また同一分子内に弗素と塩
素とを含む化合物、例えばモノクロロトリフルオルメタ
ン、トリクロロモノフルオルメタン、ジクロルジフルオ
ルエタン、トリクロロモノフルオルエタン等を使用する
ことも出来る。 【0020】また不純物の種類、例えば硫黄分等につい
ては、H2 が高い精製効果を示すので、特に低硫黄グレ
ード品については、ジクロルジフルオルメタンの供給を
停止したのち、引き続いてH2 ガスを供給することも出
来る。 【0021】高純度化操作が完了した時点で、炉内の温
度を更に上げ、3000°Cにて10〜30時間程度保
って工程を完了する。 【0022】特に注目すべき工程として、炉を冷却する
工程の途中、約2000°Cに於いて容器内圧力を10
-2乃至10-4Torrに強減圧し、冷却することにより、ア
ウトガスの少ない高純度炭素材を得ることが出来る。通
電を停止、容器内にN2 ガスを充填、置換し乍ら常圧、
常温に戻す。これにより、前記高純度化の処理時に内部
に残存するハロゲンガス等の処理ガスがN2 ガス等の不
活性ガスと置換され、アウトガス性が改善される。 【0023】上記方法は黒鉛化と高純度を一つの炉で行
う方法を示しているが、本法に於いては高純度化だけを
上記の方法で行ってもよいことは勿論である。本法によ
り高純度化又はこれと黒鉛化を実施する際の容器内の圧
力は、100Torr乃至1Torrの範囲内に保つことが望ま
しい。容器内の圧力は、ハロゲン化物、塩素化又は/及
び弗素化された不純物、又は置換時の残存N2 ガス等の
種々の化合物の蒸気圧(分圧)の総和(全圧)として圧
力計に示されるが、これが100Torrより高い場合は減
圧効果が低くなり、従って高純度化に要する時間は長く
なり、品質的にも従来の常圧法と変りなく、また1Torr
に達しない場合ではハロゲン供給絶対量が少なくなり、
炭素材深部の高純度化が不充分になったり、また生成ガ
スの排除に多大のポンプ動力を要し、得策ではない。
尚、100〜1Torr、特に好ましくは50〜5Torrが最
も良好な製品が得られる。 【0024】本発明実施の一つの応用的態様として、高
純度操作中、反応容器内の圧力をパルス的に増減せしめ
る場合には、炭素材の深層部へのハロゲンガスの拡散、
置換及び深層部からのハロゲン化生成物の離脱、置換が
完全になり、より効果的である。 【0025】本発明の黒鉛材料としては、上記高純度の
他に、更に等方性であることが好ましい。この際の等方
性とは、すべての物的に於いて、各方向に於いてほぼ等
しい性質を示すことをいい、例えば電気的にも、熱体に
もほぼ等しい挙動を示すことを意味する。この等方性は
本発明黒鉛材を引上装置に使用する場合、その部材の種
類、部位に応じて電気抵抗、熱膨張率、機械的強度等要
求される項目に差異があるが、等方性炭素材は何れもこ
れ等を充足し、特に本発明にかかる装置の構成材料とし
ては異方比が1.10以下特に1.03〜1.07以下
の高度に等方化された材料が好ましい。この際の異方比
とは、各材料の物理的、機械的、電気的、化学的等の諸
性質がx、y、z各軸、各方向に対して最大値を最小値
との比率が1.10以下、好ましくは1.07〜1.0
3以下にあることを言う。 【0026】 【発明の実施の形態】以下に本発明の引上装置について
図2乃至図5を用いて説明する。ただし図2乃至図5は
本発明装置の一部を示す図面であり、説明の便宜上これ
を模擬的に4図に別けて表したものである。図2は主に
ルツボを中心とした部分を示し、図3は主に側部を中心
とした部分を示し、図4はルツボの下部を中心とした部
分を示し、また図5は上部並びに下部を中心とした部分
を示す模擬的な断面説明図を示す。 【0027】同図中(1)は黒鉛ルツボ、(2)は黒鉛
ヒーター、(3)は保温筒、(4)は断熱材、(5)は
緩衝材、(6)はスペーサー、(7)はルツボ受皿、
(8)はルツボ受皿の支持体、(9)はルツボ受皿の維
持体カバー、(10)は電極(ヒーター)とクランプとを
固定するための固締具、(11)は蒸気洩れ防止リング、
(12)は電極(ヒーター)、(13)は電極用クランプ、
(14)は液漏れ用受皿、(15)は上部蓋を示す。また
(20)は石英または窒化ホウ素製ルツボ、(30)はシリ
コンを示す。 【0028】本発明の装置は上記(1)〜(15)の各部
材の少なくとも1種が上記高純度黒鉛材料から成るもの
であり、好ましくは(1)〜(3)の各部材が共に上記
高純度黒鉛材料から成るものである。 【0029】黒鉛ルツボ(1)はその内部の石英または
窒化ホウ素製ルツボを保護補強するために使用されるも
のであり、その形状、大きさ等は従来のものと特に変わ
らない。ヒーター(2)はこの図2では抵抗式の場合を
示している。また保温筒(3)はヒーター(2)からの
輻射熱を反射するためと、断熱材(4)の保護のために
使用されるもので、厚みは通常3〜12好ましくは5〜
8mm程度である。通常この保温筒(3)は黒鉛ヒータ
(2)との間に若干空間を設け、また断熱材(4)とは
空間を設けまたは設けずに設置される。これ等(1)〜
(3)の部材は高純度であると共に等方性であることが
特に好ましい。等方性であることにより、耐破損性が向
上し、加工が用意となり、熱膨張が等方的となり、特に
ヒーター(2)では電気特性が均一となる。 【0030】断熱材(4)は断熱のために使用され、ヒ
ーター(2)との外壁との間に設けられ断熱、保温効果
を発揮する。断熱材(4)は断熱のために使用され、ヒ
ーター(2)と外壁との間に設けられ、断熱、保温効果
を発揮する。 【0031】本発明装置に於いて緩衝材(5)は石英ル
ツボ(20)と黒鉛ルツボ(1)との間にあって、これ等
の間で緩衝作用を発揮し、両ルツボの保護のために使用
される。またルツボの位置(高さ)を調整する作用をも
有する。この緩衝材(5)としては波形シートや平面シ
ートが使用される。これ等断熱材並びに緩衝材は必ずし
も等方性でなくても良く、黒鉛フェルト、発泡黒鉛圧密
体、中空バルーン黒鉛球、またはその圧密体、及び黒鉛
材を黒鉛質外被材で被覆したものでも良い。スペーサー
(6)は黒鉛ルツボ(1)とルツボ受皿(7)との間に
あってこれ等の断熱作用、位置調節及び緩衝材として使
用される。使用される材料としては黒鉛黒鉛圧密体、中
空黒鉛球を樹脂またはピッチで固めて炭化したもの等、
及びそれ等と平板状等方性炭素材との積層構造体が用い
られるが、何れの材料も全灰分が5ppm以下であるこ
とが必要である。ルツボ受皿はルツボを所定の位置にセ
ットするために使用され、等方性黒鉛材を使用すること
が好ましい。またこの際炭素繊維で補強した黒鉛材(以
下複合材という)を使用しても良い。 【0032】ルツボ受皿の支持体(8)は、ルツボ受皿
(7)の支持のために使用され、ルツボ受皿と別々に、
またはこれと一体的になしても良い。この支持体(8)
とても黒鉛材料として複合材を使用しても良く、また、
等方性のものを使用するのが好ましい。カバー(9)は
支持体(8)をシリコン蒸気から保護する目的で使用さ
れ、やはり等方性であることが好ましく、また複合材を
用いても良い。また固締具(10)としては、電極(ヒー
ター)とクランプ(13)とを固締するために使用される
ため複合材を使用することが好ましい。蒸気洩れ防止リ
ング(11)は必ずしも必要ではないが、ルツボ内の蒸気
が上部に移動するのを防ぐ作用を有し、黒鉛材としては
等方性であることは好ましい。 【0033】本発明装置は、上記各部材の少なくとも1
種が高純度黒鉛材からなっており、また好ましくは等方
性のものまたは複合材から成っているために、結果とし
て高純度の単結晶が収得出来るものである。 【0034】 【実施例】いま、本発明の黒鉛材が超高純度であること
を示すために、表1に本発明にかゝる装置及び方法によ
り製造せられたる高純度黒鉛材中の不純物量と、従来法
により得られたる市販高純度品中の不純物量、並びに高
純度処理を全く行わない通常の黒鉛材の不純物量を対比
して示した。 【0035】 【表1】【0036】但し上記A、B及びCの各試料は夫々次の
ものである。 試料A:本発明法による製品。原料黒鉛材は試料Cを高
純度化容器を用いて内圧20〜25Torr、900°Cで
4HR、2450〜2500°Cで10HR、途中ゾクロル
ジフルオルメタン3lNTP/ kgで高純度化、更に3000
°Cにて20HRの条件で製造し、強減圧下での冷却とN
2 ガス置換とを行ったもの。 試料B:試料Cを公知方法による常圧高純度化処理を行
ったもの。 試料C:市販品(見掛け密度1.80の等方性黒鉛材、
高純度化する前のもの)、東洋炭素(株)製。 また分析方法は発光分光分析法及び原子吸光分析法によ
った。数字の単位はppm、(−)印は「検出されず」
を表す。尚、本発明の何れの材料に於いても、全灰分が
5ppm以下であることが必要である。 【0037】因に、前記試料A、B及びCの全灰分量
は、日本工業規格(JIS)R7223−1979に準
拠して測定して、夫々1ppm、10ppm、410p
pmであり、従って試料Aは本発明範囲内、試料B及び
Cは本発明範囲外である。 【0038】前記表1に於ける分析値に示す如く、本発
明装置に適用される黒鉛材としては、高純度化反応装置
から取り出された状態での全灰分量としては1ppm以
下、実質的に0ppm(検出されない程度)に近いもの
であるが、取り出されたあと、包装、運送、引上げ装置
内に装着する作業工程等において、取扱い中、若干の汚
染は避けられず、このため少なくとも5ppmの高純度
化炭素材を使用するものである。すなわち、本発明の高
純度黒鉛材料では、その全部において全灰分が5ppm
以下あるとともに、深層部の全灰分が1ppm以下に高
純度化されたものになっている。また、全灰分5ppm
以下に高純度化され、前記高純度化の処理時に内部に残
存する処理ガスが不活性ガスと置換されている。 【0039】 【発明の効果】本発明においては、その全部において全
灰分が5ppm以下あるとともに、深層部の全灰分が1
ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料を用いるこ
とにより、前述した様に、引上単結晶の品質に影響を与
える黒鉛部材のアウトガス性等の性質が改良されるとい
う効果がある。 【0040】実際に、その全部において全灰分が5pp
m以下あるとともに、深層部の全灰分が1ppm以下に
高純度化された高純度黒鉛材料と、従来のように全灰分
が5ppm前後の黒鉛材と比較すると、シリコン単結晶
引上において、単結晶の品位確保や結晶欠陥発生防にお
いてその結果に顕著な差があることがわかった。
装置等の単結晶引上装置、及びそれに用いられる高純度
黒鉛材料に関する。 【0002】 【従来の技術】単結晶引上装置就中半導体用単結晶引上
装置としてその代表的なものにシリコン単結晶引上装置
があり、その他ガリウム系例えばGa−As系Ga−P
系の単結晶引上装置がある。いまこれ等を代表してシリ
コン単結晶引上装置について説明する。 【0003】即ち石英ガラス(Ga−As系単結晶の場
合には通常窒化ホウ素)製ルツボにシリコン多結晶を充
填する。この際使用される石英ルツボは通常肉薄のもの
が使用されるためその強度では石英が軟化したり、時に
割れることもあるため、これの補強のために黒鉛ルツボ
に内挿する。そしてこのシリコンを充填したルツボを回
転させまたはそのままで高周波誘導加熱または抵抗式発
熱体(ヒーター)により加熱し約1500°C前後に加
熱してシリコンを溶融する。ルツボ上部の引上機に支承
されたシリコン単結晶の種をシリコン溶融体中に浸漬
し、これを引上げつつ徐冷して他結晶体を単結晶体とす
るものである。 【0004】この単結晶は主に半導体に使用されるため
に極めて高純度であることが要求され、溶融体が直接接
触する石英ガラスは、その純度が非常に高いものが要求
されるが、これと共に用いられる装置内部の各部材につ
いても高純度のものが要求される。そしてこの引上装置
に於いては、上記した通り極めて高温であって耐熱性、
低蒸気圧性が要求され、現在そのほとんどは炭素材通常
は黒鉛が使用されている。 【0005】しかし乍ら非常に高温のため炭素材中の不
純物が滲出、蒸散して、石英ルツボ内のシリコン溶融液
を汚染し惹いては引上げ単結晶の品位を低下せしめ、結
果として歩留りを大きく低下せしめる。しかも最近の技
術の進歩により、高集積回路用基板として益々超高純度
の単結晶が要求されるようになり、これに伴い引上装置
に使用する各黒鉛部材の高純度化が益々要求されるよう
になって来た。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する問題点は、従来の単結晶引上装置に要求される上記
要望に応える装置を開発することであり、更に詳しくは
極めて高純度であって、しかも単結晶引上装置用部材と
して要求される各種特性、例えば耐熱性、耐熱衝撃性、
機械的特性、低蒸気圧性、化学的安定性、低アウトガス
性等を満足する黒鉛材料を開発し、これを単結晶引上装
置の部材として使用することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】この問題点は、全部にお
いて全灰分が5ppm以下あるとともに、深層部の全灰
分が1ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料を用
いることにによって解決される。 【0008】本発明者は従来から黒鉛材料就中高純度黒
鉛材料について研究を続けて来たが、この研究に於い
て、従来の黒鉛材料に比しその純度が極めて高く、しか
も従来法の操作上のトラブルを解決した黒鉛材料並びに
その製法を開発しすでに出願した(特願昭61−224
131号)。更に引き続く研究に於いて上記出願に係る
新しい高純度黒鉛材料が、単結晶引上装置の部材として
極めて好適であって、この装置用部材として要求される
諸特性を満足しうるものであることを見出し、茲に本発
明を完成するに至ったものである。 【0009】この高純度黒鉛材料は次の様にして製造す
ることは出来る。即ち基本的には上記特願昭61−22
4231号の方法によって製造される。更に詳しく説明
する以下の通りである。 【0010】炭素材を順次、焼成し、黒鉛化し、且つ高
純度化する高純度黒鉛材料の製造方法に於いて、高純度
化を真空乃至減圧下で高周波加熱手段により行う方法で
あり、更に好ましい態様をあげれば以下の通りである。
即ち(イ)炭素材を順次、焼成し、黒鉛化し次いで高純
度化する高純度黒鉛材の製造法に於いて、黒鉛化と高純
度とを同一装置で真空乃至減圧下に高周波加熱手段によ
り行うことを特徴とする製造方法、(ロ)黒鉛化と高純
度化とを一部重複して並行的に行う製造方法、(ハ)上
記高純度黒鉛材の製造方法に於いて、黒鉛化及び高純度
化の少なくとも1つを100Torr乃至1Torrの圧力下で
高純度黒鉛材の製造方法、(ニ)真空乃至減圧条件下に
於ける高純度化工程に於いて、ハロゲン化反応及びハロ
ゲン化生成物の離脱反応を同時に行わしめる製造方法、
等である。 【0011】これ等方法について更に詳しく説明すると
以下の通りである。尚、説明の便宜上本製法の装置を示
す図面を用いて本製法を説明することとする。尚、図1
は本製法にかゝる真空式・高周波加熱方式の高純度炭素
材の製造装置の側断面図を模式的に示したものである。 【0012】本製法を構成する第一の要因は、原料素材
の加熱に、床面積が小さく、エネルギー効率の高い高周
波加熱炉を採用したことである。第二の構成要因として
誘導加熱炉の高周波コイル(105) と被加熱炭素材(104)
の中間に黒鉛ヒーター即ちサセプター(106) を設けたこ
とである。第三の構成要因として、上記の要因、即ち高
周波コイル(105) 、サセプター(106) 、被加熱炭素材(1
04) を減圧若しくは真空に耐える密閉容器に収納するこ
とである。尚、被加熱炭素材(104) 、高周波コイル(10
5) 、サセプター(106) を真空容器内に収納すること
は、本製法に於いて下記に示すガス供給管(108) 、ガス
排出管(101) の設置と共に最も重要な構成要因であり、
これにより被加熱炭素材(104)を効率よく、一貫して黒
鉛化、高純度化を進めることは可能になる。第四の構成
要因として該真空容器内に、ガス供給管(108) 、ガス排
出管(101)を設けることである。ガス排出管(101) は容
器内部を減圧又は真空にする際、及び黒鉛化工程、高純
度化工程に際し発生するガスの排気に必要不可欠であ
る。特に、高純度工程に於いて黒鉛材から蒸散された金
属ハロゲン化物、金属水素化化合物等を反応系外に引き
出す目的にも使用される。ガス供給管(108) は、高純度
化工程に於いて使用されるハロゲン含有ガス、又は/及
びH2 ガスを供給する目的に使用される。これ等ガスの
供給用と排出用の管は、真空容器の適宜の場所に、必要
に応じ複数個所に設けることが出来るが、容器内のガス
の流通と炭素材との接触効率を考えて、上下、又は左右
と対称側に設けることが望ましい。図1には縦型高周波
炉を用い、ガス排出管(101) 及び供給管(108) を夫々
上、下に設けた例を記したが、高周波炉を横型にした場
合には、これ等各管を夫々左、右に設けることも出来
る。 【0013】以上の主要構成要因の他に必要に応じて次
に要因を付加することが出来る。即ち第五の要因として
高周波コイルとサセプターの間に断熱材(102) 、(103)
を用いることが出来る。断熱材としては、セラミックフ
ァイバー、カーボンファイバー、カーボンブラック等公
知の材料を使用する。第六の要因として、必要により真
空容器の外部に水冷ジャケット(109) を設けることが出
来る。高周波コイルには250〜3000Hzの高周波電
圧が印加され、真空容器の壁を貫いて内装されたコイル
に電力が供給される。 【0014】次に上述の装置を用いた本製法の高純度黒
鉛の製造方法について記す。本製法は基本的には高純度
化工程を真空乃至減圧下に高周波加熱手段を用いて行う
用法であり、その望ましい一態様は上記図1に示す本装
置を用いて上記方法を行うものである。また本法に於い
ては、更に黒鉛化と高純度化工程とを一つの炉で、これ
等工程を順次、又は少なくとも一部並行して行う方法も
包含される。更に詳しく説明すると以下の通りである。 【0015】まずガス供給管(108) からN2 ガスを送気
して、容器内部の空気をN2 ガスで置換したのち、ガス
排出管(101) から減圧、又は真空に引き、雰囲気を非酸
化性とする。 【0016】次に誘導コイル(105) に徐々に電圧を印加
してサセプター(106) を加熱し、その輻射熱により被加
熱炭素材(104) を800〜1000°Cに通常1〜10
時間好ましくは3〜5時間保ったのち、徐々に昇温を続
け、2450〜2500℃に調節しながら5〜24時間
好ましくは7〜15時間保持する。 【0017】容器内は加熱を始めた時点から1〜100
Torr好ましくは10〜40Torr程度に保たれているの
で、この段階で僅かに揮散してくる脱ガスの排出には好
都合である。 【0018】黒鉛化がある程度進んだ段階で、減圧状態
のままガス供給管(108) からハロゲンガス例えばジクロ
ルジフルオルメタンを(流量は容器内に充填する被加熱
炭素材の量により増減されるが、例えば1〜7lNTP/ kg
程度で3〜8時間程度供給する。 【0019】高純度化に用いるハロゲンガスは、炭素材
中に含まれる不純物、特に金属不純物をハロゲン塩とし
て蒸気圧を高め、これの蒸発、揮散によって母材である
炭素材の純度を高めるために必要であるが、このハロゲ
ンとしては従来から使用されて来たものがいずれも使用
出来、例えば塩素や塩素化合物ばかりでなく弗素や弗素
化合物にも使用出来、また更には塩素系或いは弗素系ガ
スを同時に併用してもよい。また同一分子内に弗素と塩
素とを含む化合物、例えばモノクロロトリフルオルメタ
ン、トリクロロモノフルオルメタン、ジクロルジフルオ
ルエタン、トリクロロモノフルオルエタン等を使用する
ことも出来る。 【0020】また不純物の種類、例えば硫黄分等につい
ては、H2 が高い精製効果を示すので、特に低硫黄グレ
ード品については、ジクロルジフルオルメタンの供給を
停止したのち、引き続いてH2 ガスを供給することも出
来る。 【0021】高純度化操作が完了した時点で、炉内の温
度を更に上げ、3000°Cにて10〜30時間程度保
って工程を完了する。 【0022】特に注目すべき工程として、炉を冷却する
工程の途中、約2000°Cに於いて容器内圧力を10
-2乃至10-4Torrに強減圧し、冷却することにより、ア
ウトガスの少ない高純度炭素材を得ることが出来る。通
電を停止、容器内にN2 ガスを充填、置換し乍ら常圧、
常温に戻す。これにより、前記高純度化の処理時に内部
に残存するハロゲンガス等の処理ガスがN2 ガス等の不
活性ガスと置換され、アウトガス性が改善される。 【0023】上記方法は黒鉛化と高純度を一つの炉で行
う方法を示しているが、本法に於いては高純度化だけを
上記の方法で行ってもよいことは勿論である。本法によ
り高純度化又はこれと黒鉛化を実施する際の容器内の圧
力は、100Torr乃至1Torrの範囲内に保つことが望ま
しい。容器内の圧力は、ハロゲン化物、塩素化又は/及
び弗素化された不純物、又は置換時の残存N2 ガス等の
種々の化合物の蒸気圧(分圧)の総和(全圧)として圧
力計に示されるが、これが100Torrより高い場合は減
圧効果が低くなり、従って高純度化に要する時間は長く
なり、品質的にも従来の常圧法と変りなく、また1Torr
に達しない場合ではハロゲン供給絶対量が少なくなり、
炭素材深部の高純度化が不充分になったり、また生成ガ
スの排除に多大のポンプ動力を要し、得策ではない。
尚、100〜1Torr、特に好ましくは50〜5Torrが最
も良好な製品が得られる。 【0024】本発明実施の一つの応用的態様として、高
純度操作中、反応容器内の圧力をパルス的に増減せしめ
る場合には、炭素材の深層部へのハロゲンガスの拡散、
置換及び深層部からのハロゲン化生成物の離脱、置換が
完全になり、より効果的である。 【0025】本発明の黒鉛材料としては、上記高純度の
他に、更に等方性であることが好ましい。この際の等方
性とは、すべての物的に於いて、各方向に於いてほぼ等
しい性質を示すことをいい、例えば電気的にも、熱体に
もほぼ等しい挙動を示すことを意味する。この等方性は
本発明黒鉛材を引上装置に使用する場合、その部材の種
類、部位に応じて電気抵抗、熱膨張率、機械的強度等要
求される項目に差異があるが、等方性炭素材は何れもこ
れ等を充足し、特に本発明にかかる装置の構成材料とし
ては異方比が1.10以下特に1.03〜1.07以下
の高度に等方化された材料が好ましい。この際の異方比
とは、各材料の物理的、機械的、電気的、化学的等の諸
性質がx、y、z各軸、各方向に対して最大値を最小値
との比率が1.10以下、好ましくは1.07〜1.0
3以下にあることを言う。 【0026】 【発明の実施の形態】以下に本発明の引上装置について
図2乃至図5を用いて説明する。ただし図2乃至図5は
本発明装置の一部を示す図面であり、説明の便宜上これ
を模擬的に4図に別けて表したものである。図2は主に
ルツボを中心とした部分を示し、図3は主に側部を中心
とした部分を示し、図4はルツボの下部を中心とした部
分を示し、また図5は上部並びに下部を中心とした部分
を示す模擬的な断面説明図を示す。 【0027】同図中(1)は黒鉛ルツボ、(2)は黒鉛
ヒーター、(3)は保温筒、(4)は断熱材、(5)は
緩衝材、(6)はスペーサー、(7)はルツボ受皿、
(8)はルツボ受皿の支持体、(9)はルツボ受皿の維
持体カバー、(10)は電極(ヒーター)とクランプとを
固定するための固締具、(11)は蒸気洩れ防止リング、
(12)は電極(ヒーター)、(13)は電極用クランプ、
(14)は液漏れ用受皿、(15)は上部蓋を示す。また
(20)は石英または窒化ホウ素製ルツボ、(30)はシリ
コンを示す。 【0028】本発明の装置は上記(1)〜(15)の各部
材の少なくとも1種が上記高純度黒鉛材料から成るもの
であり、好ましくは(1)〜(3)の各部材が共に上記
高純度黒鉛材料から成るものである。 【0029】黒鉛ルツボ(1)はその内部の石英または
窒化ホウ素製ルツボを保護補強するために使用されるも
のであり、その形状、大きさ等は従来のものと特に変わ
らない。ヒーター(2)はこの図2では抵抗式の場合を
示している。また保温筒(3)はヒーター(2)からの
輻射熱を反射するためと、断熱材(4)の保護のために
使用されるもので、厚みは通常3〜12好ましくは5〜
8mm程度である。通常この保温筒(3)は黒鉛ヒータ
(2)との間に若干空間を設け、また断熱材(4)とは
空間を設けまたは設けずに設置される。これ等(1)〜
(3)の部材は高純度であると共に等方性であることが
特に好ましい。等方性であることにより、耐破損性が向
上し、加工が用意となり、熱膨張が等方的となり、特に
ヒーター(2)では電気特性が均一となる。 【0030】断熱材(4)は断熱のために使用され、ヒ
ーター(2)との外壁との間に設けられ断熱、保温効果
を発揮する。断熱材(4)は断熱のために使用され、ヒ
ーター(2)と外壁との間に設けられ、断熱、保温効果
を発揮する。 【0031】本発明装置に於いて緩衝材(5)は石英ル
ツボ(20)と黒鉛ルツボ(1)との間にあって、これ等
の間で緩衝作用を発揮し、両ルツボの保護のために使用
される。またルツボの位置(高さ)を調整する作用をも
有する。この緩衝材(5)としては波形シートや平面シ
ートが使用される。これ等断熱材並びに緩衝材は必ずし
も等方性でなくても良く、黒鉛フェルト、発泡黒鉛圧密
体、中空バルーン黒鉛球、またはその圧密体、及び黒鉛
材を黒鉛質外被材で被覆したものでも良い。スペーサー
(6)は黒鉛ルツボ(1)とルツボ受皿(7)との間に
あってこれ等の断熱作用、位置調節及び緩衝材として使
用される。使用される材料としては黒鉛黒鉛圧密体、中
空黒鉛球を樹脂またはピッチで固めて炭化したもの等、
及びそれ等と平板状等方性炭素材との積層構造体が用い
られるが、何れの材料も全灰分が5ppm以下であるこ
とが必要である。ルツボ受皿はルツボを所定の位置にセ
ットするために使用され、等方性黒鉛材を使用すること
が好ましい。またこの際炭素繊維で補強した黒鉛材(以
下複合材という)を使用しても良い。 【0032】ルツボ受皿の支持体(8)は、ルツボ受皿
(7)の支持のために使用され、ルツボ受皿と別々に、
またはこれと一体的になしても良い。この支持体(8)
とても黒鉛材料として複合材を使用しても良く、また、
等方性のものを使用するのが好ましい。カバー(9)は
支持体(8)をシリコン蒸気から保護する目的で使用さ
れ、やはり等方性であることが好ましく、また複合材を
用いても良い。また固締具(10)としては、電極(ヒー
ター)とクランプ(13)とを固締するために使用される
ため複合材を使用することが好ましい。蒸気洩れ防止リ
ング(11)は必ずしも必要ではないが、ルツボ内の蒸気
が上部に移動するのを防ぐ作用を有し、黒鉛材としては
等方性であることは好ましい。 【0033】本発明装置は、上記各部材の少なくとも1
種が高純度黒鉛材からなっており、また好ましくは等方
性のものまたは複合材から成っているために、結果とし
て高純度の単結晶が収得出来るものである。 【0034】 【実施例】いま、本発明の黒鉛材が超高純度であること
を示すために、表1に本発明にかゝる装置及び方法によ
り製造せられたる高純度黒鉛材中の不純物量と、従来法
により得られたる市販高純度品中の不純物量、並びに高
純度処理を全く行わない通常の黒鉛材の不純物量を対比
して示した。 【0035】 【表1】【0036】但し上記A、B及びCの各試料は夫々次の
ものである。 試料A:本発明法による製品。原料黒鉛材は試料Cを高
純度化容器を用いて内圧20〜25Torr、900°Cで
4HR、2450〜2500°Cで10HR、途中ゾクロル
ジフルオルメタン3lNTP/ kgで高純度化、更に3000
°Cにて20HRの条件で製造し、強減圧下での冷却とN
2 ガス置換とを行ったもの。 試料B:試料Cを公知方法による常圧高純度化処理を行
ったもの。 試料C:市販品(見掛け密度1.80の等方性黒鉛材、
高純度化する前のもの)、東洋炭素(株)製。 また分析方法は発光分光分析法及び原子吸光分析法によ
った。数字の単位はppm、(−)印は「検出されず」
を表す。尚、本発明の何れの材料に於いても、全灰分が
5ppm以下であることが必要である。 【0037】因に、前記試料A、B及びCの全灰分量
は、日本工業規格(JIS)R7223−1979に準
拠して測定して、夫々1ppm、10ppm、410p
pmであり、従って試料Aは本発明範囲内、試料B及び
Cは本発明範囲外である。 【0038】前記表1に於ける分析値に示す如く、本発
明装置に適用される黒鉛材としては、高純度化反応装置
から取り出された状態での全灰分量としては1ppm以
下、実質的に0ppm(検出されない程度)に近いもの
であるが、取り出されたあと、包装、運送、引上げ装置
内に装着する作業工程等において、取扱い中、若干の汚
染は避けられず、このため少なくとも5ppmの高純度
化炭素材を使用するものである。すなわち、本発明の高
純度黒鉛材料では、その全部において全灰分が5ppm
以下あるとともに、深層部の全灰分が1ppm以下に高
純度化されたものになっている。また、全灰分5ppm
以下に高純度化され、前記高純度化の処理時に内部に残
存する処理ガスが不活性ガスと置換されている。 【0039】 【発明の効果】本発明においては、その全部において全
灰分が5ppm以下あるとともに、深層部の全灰分が1
ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料を用いるこ
とにより、前述した様に、引上単結晶の品質に影響を与
える黒鉛部材のアウトガス性等の性質が改良されるとい
う効果がある。 【0040】実際に、その全部において全灰分が5pp
m以下あるとともに、深層部の全灰分が1ppm以下に
高純度化された高純度黒鉛材料と、従来のように全灰分
が5ppm前後の黒鉛材と比較すると、シリコン単結晶
引上において、単結晶の品位確保や結晶欠陥発生防にお
いてその結果に顕著な差があることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に於いて使用する高純度黒鉛材の製造装
置の一例の断面図を模擬的に示したものである。 【図2】本発明装置の一例を模擬的に表したものであ
り、主にルツボを中心とした部分を示す。 【図3】本発明装置の一例を模擬的に表したものであ
り、主に側部を中心とした部分を示す。 【図4】本発明装置の一例を模擬的に表したものであ
り、ルツボの下部を中心とした部分を示す。 【図5】本発明装置の一例を模擬的に表したものであ
り、上部並びに下部を中心とした部分を示す。 【符号の説明】 (1) 黒鉛ルツボ (2) 黒鉛ヒーター (3) 保温筒 (4) 断熱材 (5) 緩衝材 (6) スペーサー (7) ルツボ受皿 (8) ルツボ受皿の支持体 (9) ルツボ受皿の支持体カバー (10) 電極(ヒーター)とクランプを固定するための
固締具 (11) 蒸気洩れ防止リング (12) 電極ヒーター (13) 電極ヒーター用クランプ (14) 液漏れ用受皿 (15) 上部蓋 (20) 石英または窒化ホウ素製ルツボ (30) シリコン (101) ガス排出管 (102) 保温材 (103) 保温材 (104) 被加熱炭素材 (105) 高周波コイル (106) サセプター (107) 受皿 (108) ガス供給管 (109) ジャケット
置の一例の断面図を模擬的に示したものである。 【図2】本発明装置の一例を模擬的に表したものであ
り、主にルツボを中心とした部分を示す。 【図3】本発明装置の一例を模擬的に表したものであ
り、主に側部を中心とした部分を示す。 【図4】本発明装置の一例を模擬的に表したものであ
り、ルツボの下部を中心とした部分を示す。 【図5】本発明装置の一例を模擬的に表したものであ
り、上部並びに下部を中心とした部分を示す。 【符号の説明】 (1) 黒鉛ルツボ (2) 黒鉛ヒーター (3) 保温筒 (4) 断熱材 (5) 緩衝材 (6) スペーサー (7) ルツボ受皿 (8) ルツボ受皿の支持体 (9) ルツボ受皿の支持体カバー (10) 電極(ヒーター)とクランプを固定するための
固締具 (11) 蒸気洩れ防止リング (12) 電極ヒーター (13) 電極ヒーター用クランプ (14) 液漏れ用受皿 (15) 上部蓋 (20) 石英または窒化ホウ素製ルツボ (30) シリコン (101) ガス排出管 (102) 保温材 (103) 保温材 (104) 被加熱炭素材 (105) 高周波コイル (106) サセプター (107) 受皿 (108) ガス供給管 (109) ジャケット
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭61−97117(JP,A)
特開 昭61−101408(JP,A)
特開 昭54−157781(JP,A)
特開 昭58−84181(JP,A)
特開 昭63−79759(JP,A)
特開 昭64−18986(JP,A)
特公 平6−2637(JP,B2)
特公 平6−35325(JP,B2)
「新・炭素工業」第1版 p.222,
243(石川敏功、長沖 通 著、昭和55
年10月20日、近代編集社発行)
昭和61年8月8日付け「化学工業日
報」中の「超高純度黒鉛を生産 シック
ス9以上 半導体向けなど」の記事、化
学工業日報社発行
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.単結晶引上装置に於いて、黒鉛ルツボ、黒鉛ヒータ
ー及び黒鉛保温筒の少なくとも1種が、その全部におい
て全灰分が5ppm以下あるとともに、高純度化処理後
の作業工程により汚染される部分を除く深層部の全灰分
が1ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料から成
ることを特徴とする単結晶引上装置。 2.前記深層部が、減圧下で不活性ガスにより置換さ
れ、常圧に戻されている請求項1記載の単結晶引上装
置。 3.材料の全部において全灰分が5ppm以下あるとと
もに、前記材料の高純度化処理後の作業工程により汚染
される部分を除く深層部の全灰分が1ppm以下に高純
度化された高純度黒鉛材料。 4.前記深層部が、減圧下で不活性ガスにより置換さ
れ、常圧に戻されている請求項3記載の高純度黒鉛材
料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05826799A JP3410380B2 (ja) | 1999-03-05 | 1999-03-05 | 単結晶引上装置及び高純度黒鉛材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05826799A JP3410380B2 (ja) | 1999-03-05 | 1999-03-05 | 単結晶引上装置及び高純度黒鉛材料 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP9066023A Division JP2923260B2 (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 単結晶引上装置、高純度黒鉛材料及びその製造方法 |
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JPH11310492A JPH11310492A (ja) | 1999-11-09 |
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Family
ID=13079407
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP05826799A Expired - Lifetime JP3410380B2 (ja) | 1999-03-05 | 1999-03-05 | 単結晶引上装置及び高純度黒鉛材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3410380B2 (ja) |
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US8097331B2 (en) | 2006-07-31 | 2012-01-17 | Toyo Tanso Co., Ltd. | Mold release sheet |
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US20020144642A1 (en) * | 2000-12-26 | 2002-10-10 | Hariprasad Sreedharamurthy | Apparatus and process for the preparation of low-iron single crystal silicon substantially free of agglomerated intrinsic point defects |
CN114014314B (zh) * | 2022-01-07 | 2022-04-01 | 北京绿清科技有限公司 | 石墨粉多级分控深度提纯方法 |
-
1999
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Title |
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「新・炭素工業」第1版 p.222,243(石川敏功、長沖 通 著、昭和55年10月20日、近代編集社発行) |
昭和61年8月8日付け「化学工業日報」中の「超高純度黒鉛を生産 シックス9以上 半導体向けなど」の記事、化学工業日報社発行 |
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WO2008007637A1 (en) | 2006-07-14 | 2008-01-17 | Toyo Tanso Co., Ltd. | Protective sheet for crucible and crucible device using the same |
US8864908B2 (en) | 2006-07-14 | 2014-10-21 | Toyo Tanso Co., Ltd. | Crucible protection sheet and crucible apparatus using the crucible protection sheet |
US8097331B2 (en) | 2006-07-31 | 2012-01-17 | Toyo Tanso Co., Ltd. | Mold release sheet |
Also Published As
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JPH11310492A (ja) | 1999-11-09 |
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