JPH0899224A - パイプ内面の電解磁気研磨方法 - Google Patents
パイプ内面の電解磁気研磨方法Info
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- JPH0899224A JPH0899224A JP26445594A JP26445594A JPH0899224A JP H0899224 A JPH0899224 A JP H0899224A JP 26445594 A JP26445594 A JP 26445594A JP 26445594 A JP26445594 A JP 26445594A JP H0899224 A JPH0899224 A JP H0899224A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pipe
- polishing
- ferromagnetic body
- inside surface
- ferromagnetic material
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- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
- Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 長尺パイプであっても、高い平滑度の内面に
研磨仕上げする。 【構成】 弾性及び浸透性を有する研磨不織布2,バ
フ,スポンジ等の絶縁物を付着させた強磁性体2をパイ
プ1の内部に挿入し、パイプ1の外側に配置した磁石8
による磁力で強磁性体3を介して絶縁物をパイプ内面に
押し付ける。パイプ1の内部に電解液6を供給し、強磁
性体3を陰極,パイプ1を陽極として強磁性体3とパイ
プ1との間に電流を供給し、パイプ内面を電解研磨する
と同時に、パイプと強磁性体とを相対移動させる。電解
液6には、研磨砥粒を混入させてもよい。 【効果】 強磁性体は、磁力によってパイプ内面に押し
付けられ、半径方向や軸方向に沿って移動できる。その
ため、強磁性体3を支持する部材が不要になり、長尺パ
イプの内面研磨も容易になる。
研磨仕上げする。 【構成】 弾性及び浸透性を有する研磨不織布2,バ
フ,スポンジ等の絶縁物を付着させた強磁性体2をパイ
プ1の内部に挿入し、パイプ1の外側に配置した磁石8
による磁力で強磁性体3を介して絶縁物をパイプ内面に
押し付ける。パイプ1の内部に電解液6を供給し、強磁
性体3を陰極,パイプ1を陽極として強磁性体3とパイ
プ1との間に電流を供給し、パイプ内面を電解研磨する
と同時に、パイプと強磁性体とを相対移動させる。電解
液6には、研磨砥粒を混入させてもよい。 【効果】 強磁性体は、磁力によってパイプ内面に押し
付けられ、半径方向や軸方向に沿って移動できる。その
ため、強磁性体3を支持する部材が不要になり、長尺パ
イプの内面研磨も容易になる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁場を利用して機械研
磨及び化学研磨を組み合わせることにより、パイプ内面
を極めて高い平滑度に仕上げる研磨方法に関する。
磨及び化学研磨を組み合わせることにより、パイプ内面
を極めて高い平滑度に仕上げる研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】食品,薬品,精密化学品の製造装置等に
使用されるパイプは、雑菌,不純物,通過する物質等が
付着しないように、また雑菌や異物を容易に洗浄除去す
るため、鏡面に近い状態まで内面を研磨仕上げすること
が要求される。この種のパイプとしては、ステンレス鋼
製のサニタリーパイプが一般に使用されている。サニタ
リーパイプの内面は、もっとも良好な表面状態のもので
表面粗さがRmax 0.4μm以下になっている。パイプ
内面に対する仕上げ研磨には、従来からバフ研磨,電解
研磨等が採用されている。
使用されるパイプは、雑菌,不純物,通過する物質等が
付着しないように、また雑菌や異物を容易に洗浄除去す
るため、鏡面に近い状態まで内面を研磨仕上げすること
が要求される。この種のパイプとしては、ステンレス鋼
製のサニタリーパイプが一般に使用されている。サニタ
リーパイプの内面は、もっとも良好な表面状態のもので
表面粗さがRmax 0.4μm以下になっている。パイプ
内面に対する仕上げ研磨には、従来からバフ研磨,電解
研磨等が採用されている。
【0003】バフ研磨では、研磨砥粒を表面に付着させ
たバフや研磨砥粒とバフを一緒にパイプ内に挿入し、棒
状又はロープ状等の移動機器によりパイプ内面を研磨し
ながら通過させている。しかし、被研磨材であるパイプ
の全長に渡ってバフを移動させることが必要であるた
め、装置自体が大きくなる。特にサニタリーパイプのよ
うに全長が4m以上にもなる長尺パイプにあっては、バ
フの移動が困難となり、研磨に長時間を要する。また、
パイプの内側にバフを通過させる形式であることから、
パイプ内面に凹凸がある場合、パイプ内面にバフを一定
圧力で押し付けることができず、全長に渡ってパイプ内
面を均一な表面状態に仕上げることが困難になる。
たバフや研磨砥粒とバフを一緒にパイプ内に挿入し、棒
状又はロープ状等の移動機器によりパイプ内面を研磨し
ながら通過させている。しかし、被研磨材であるパイプ
の全長に渡ってバフを移動させることが必要であるた
め、装置自体が大きくなる。特にサニタリーパイプのよ
うに全長が4m以上にもなる長尺パイプにあっては、バ
フの移動が困難となり、研磨に長時間を要する。また、
パイプの内側にバフを通過させる形式であることから、
パイプ内面に凹凸がある場合、パイプ内面にバフを一定
圧力で押し付けることができず、全長に渡ってパイプ内
面を均一な表面状態に仕上げることが困難になる。
【0004】電解研磨では、内面がバフ研磨仕上げした
表面に相当するステンレス鋼パイプを電解液中に浸漬
し、パイプ全長に渡る陰極をパイプ内部に挿入・固定
し、パイプを陽極として電解することによってパイプ内
面を研磨する。この場合にも、パイプの全長に渡って陰
極を挿入・固定する必要があるため、バフ研磨と同様な
問題が生じる。また、バフ研磨仕上げしたパイプを対象
とすることから、全体の工数が増加する。更に、バフ研
磨と同様に、パイプ内面に凹凸がある場合、凸部分が優
先的に除去されるため、パイプ内面を均一な表面状態に
仕上げることが困難である。このようにバフ研磨や電解
研磨は、工数及び作業時間の増加や研磨設備の大型化が
避けられない。そこで、これらの欠点を解消する方法と
して、機械研磨及び電解研磨を組み合わせた電解複合研
磨法が採用されるようになってきている。
表面に相当するステンレス鋼パイプを電解液中に浸漬
し、パイプ全長に渡る陰極をパイプ内部に挿入・固定
し、パイプを陽極として電解することによってパイプ内
面を研磨する。この場合にも、パイプの全長に渡って陰
極を挿入・固定する必要があるため、バフ研磨と同様な
問題が生じる。また、バフ研磨仕上げしたパイプを対象
とすることから、全体の工数が増加する。更に、バフ研
磨と同様に、パイプ内面に凹凸がある場合、凸部分が優
先的に除去されるため、パイプ内面を均一な表面状態に
仕上げることが困難である。このようにバフ研磨や電解
研磨は、工数及び作業時間の増加や研磨設備の大型化が
避けられない。そこで、これらの欠点を解消する方法と
して、機械研磨及び電解研磨を組み合わせた電解複合研
磨法が採用されるようになってきている。
【0005】たとえば、特開平3−149132号公報
では、ナイロン不織布,ウレタン等を巻き付けた棒状の
電極工具を使用した電解複合研磨方法が紹介されてい
る。この方法では、電極工具を陰極としてパイプ内に圧
入し、電解液中で電極工具とパイプとの間に電流を供給
して電解すると同時に、電極工具に回転,往復運動を与
えパイプ内面を研磨している。また、特開平2−279
215号公報では、電解液が送られる内部流路を備えた
棒状の研磨工具を使用する方法が紹介されている。この
方法では、パイプ内に挿入した研磨工具内に電解液を流
し、円筒状バフ部分から電解液をパイプ内面に向けて流
出させる。この状態で研磨工具を陰極,パイプを陽極と
して両極に電流を供給して電解すると同時に、パイプを
回転させながら研磨工具を軸方向に移動させパイプ内面
を研磨する。
では、ナイロン不織布,ウレタン等を巻き付けた棒状の
電極工具を使用した電解複合研磨方法が紹介されてい
る。この方法では、電極工具を陰極としてパイプ内に圧
入し、電解液中で電極工具とパイプとの間に電流を供給
して電解すると同時に、電極工具に回転,往復運動を与
えパイプ内面を研磨している。また、特開平2−279
215号公報では、電解液が送られる内部流路を備えた
棒状の研磨工具を使用する方法が紹介されている。この
方法では、パイプ内に挿入した研磨工具内に電解液を流
し、円筒状バフ部分から電解液をパイプ内面に向けて流
出させる。この状態で研磨工具を陰極,パイプを陽極と
して両極に電流を供給して電解すると同時に、パイプを
回転させながら研磨工具を軸方向に移動させパイプ内面
を研磨する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電解複合研磨で
は、パイプ内に挿入する電極又は研磨工具の一端を保持
している。そのため、全長が4m以上にもなる長尺のパ
イプでは、パイプの長さ以上の電極又は研磨工具が必要
とされ、装置自体が大型化する欠点がある。しかも、片
持ち状態の電極又は研磨工具をパイプ内面に対して正確
な位置に確保するために、設備構成も複雑化する。パイ
プと電極又は研磨工具との間には、相対的な移動が生じ
る。この状態で両者を正確な位置関係に確保することは
困難になる。ナイロン不織布,ウレタン等の研磨工具を
パイプ内に圧入するだけで研磨するとき、パイプ内面に
対する押圧力が研磨工具の摩耗や変形によって変動し、
パイプ全長にわたって一定した研磨圧力が得られ難い。
その結果、パイプ内面を均一な研磨面状態に調整するこ
とが困難になる。本発明は、このような問題を解消すべ
く案出されたものであり、パイプ外側に配置した磁石の
磁力でパイプ内の研磨電極を保持することにより、設備
の大型化を招くことなくパイプ内面に対する研磨電極の
位置関係を高精度に維持し、高い内面平滑度でパイプ内
面を研磨仕上げすることを目的とする。
は、パイプ内に挿入する電極又は研磨工具の一端を保持
している。そのため、全長が4m以上にもなる長尺のパ
イプでは、パイプの長さ以上の電極又は研磨工具が必要
とされ、装置自体が大型化する欠点がある。しかも、片
持ち状態の電極又は研磨工具をパイプ内面に対して正確
な位置に確保するために、設備構成も複雑化する。パイ
プと電極又は研磨工具との間には、相対的な移動が生じ
る。この状態で両者を正確な位置関係に確保することは
困難になる。ナイロン不織布,ウレタン等の研磨工具を
パイプ内に圧入するだけで研磨するとき、パイプ内面に
対する押圧力が研磨工具の摩耗や変形によって変動し、
パイプ全長にわたって一定した研磨圧力が得られ難い。
その結果、パイプ内面を均一な研磨面状態に調整するこ
とが困難になる。本発明は、このような問題を解消すべ
く案出されたものであり、パイプ外側に配置した磁石の
磁力でパイプ内の研磨電極を保持することにより、設備
の大型化を招くことなくパイプ内面に対する研磨電極の
位置関係を高精度に維持し、高い内面平滑度でパイプ内
面を研磨仕上げすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電解磁気研磨方
法は、その目的を達成するため、弾性及び浸透性を有す
る絶縁物を付着させた導電性の強磁性体をパイプの内部
に挿入し、パイプの外側に配置した磁石による磁力で強
磁性体を介して絶縁物をパイプ内面に押し付け、パイプ
の内部に電解液を供給し、強磁性体を陰極,パイプを陽
極として強磁性体とパイプとの間に電流を供給し、パイ
プ内面を電解研磨すると同時に、パイプと強磁性体とを
相対移動させることを特徴とする。弾性及び浸透性をも
つ絶縁物としては、研磨不織布,バフ,スポンジ等が使
用され、接着,固着等の適宜の方法で強磁性体に付着さ
れる。パイプ内に送り込まれる電解液には、研磨砥粒を
懸濁させた電解液を使用することもできる。本発明の対
象となるパイプは、導電性がある非磁性材料であれば材
質に特段の制約が加わるものではなく、オーステナイト
系ステンレス鋼,チタン,チタン合金,アルミニウム,
アルミニウム合金製等のパイプが研磨される。強磁性体
は、強磁性及び導電性を呈する限り、材質に特段の制約
を受けない。具体的には、フェライト系ステンレス鋼,
普通鋼,特殊鋼,ニッケル,コバルト,それらの合金又
は化合物等の各種材料が使用される。
法は、その目的を達成するため、弾性及び浸透性を有す
る絶縁物を付着させた導電性の強磁性体をパイプの内部
に挿入し、パイプの外側に配置した磁石による磁力で強
磁性体を介して絶縁物をパイプ内面に押し付け、パイプ
の内部に電解液を供給し、強磁性体を陰極,パイプを陽
極として強磁性体とパイプとの間に電流を供給し、パイ
プ内面を電解研磨すると同時に、パイプと強磁性体とを
相対移動させることを特徴とする。弾性及び浸透性をも
つ絶縁物としては、研磨不織布,バフ,スポンジ等が使
用され、接着,固着等の適宜の方法で強磁性体に付着さ
れる。パイプ内に送り込まれる電解液には、研磨砥粒を
懸濁させた電解液を使用することもできる。本発明の対
象となるパイプは、導電性がある非磁性材料であれば材
質に特段の制約が加わるものではなく、オーステナイト
系ステンレス鋼,チタン,チタン合金,アルミニウム,
アルミニウム合金製等のパイプが研磨される。強磁性体
は、強磁性及び導電性を呈する限り、材質に特段の制約
を受けない。具体的には、フェライト系ステンレス鋼,
普通鋼,特殊鋼,ニッケル,コバルト,それらの合金又
は化合物等の各種材料が使用される。
【0008】
【作用】本発明に従った研磨では、パイプ(陽極)と強
磁性体(陰極)との間に電流が供給され、電解作用によ
ってパイプ内面が電解研磨される。また、強磁性体を介
してパイプ内面に絶縁物が押し付けられているので、パ
イプの回転や相対移動によって磁気研磨も同時に行われ
る。このとき、絶縁物を押し付ける磁力をパイプ外側に
配置した磁石から得ているため、強磁性体を保持する工
具を必要とせず設備構成が簡略化されると共に、磁場強
度の制御や磁力線分布の変更も容易になる。また、外部
配置の磁石を介して強磁性体を移動できることから、長
尺のパイプであっても容易に内面研磨される。研磨砥粒
を混入した電解液を使用するとき、研磨砥粒も強磁性体
によってパイプ内面に押し付けられる。そのため、研磨
砥粒による研磨も期待できる。
磁性体(陰極)との間に電流が供給され、電解作用によ
ってパイプ内面が電解研磨される。また、強磁性体を介
してパイプ内面に絶縁物が押し付けられているので、パ
イプの回転や相対移動によって磁気研磨も同時に行われ
る。このとき、絶縁物を押し付ける磁力をパイプ外側に
配置した磁石から得ているため、強磁性体を保持する工
具を必要とせず設備構成が簡略化されると共に、磁場強
度の制御や磁力線分布の変更も容易になる。また、外部
配置の磁石を介して強磁性体を移動できることから、長
尺のパイプであっても容易に内面研磨される。研磨砥粒
を混入した電解液を使用するとき、研磨砥粒も強磁性体
によってパイプ内面に押し付けられる。そのため、研磨
砥粒による研磨も期待できる。
【0009】
実施例1:被研磨材として、外径28.58mm,長さ
500mm及び肉厚12mmで、表面粗さRmax 14μ
mの内面をもつステンレス鋼SUS304製TIG溶接
丸パイプの芯引き管を使用した。強磁性体には、高さ1
9mm,幅10mm及び長さ8mmの直方体形状をもつ
フェライト系ステンレス鋼ブロックを使用した。図1に
示すように、パイプ1の内部に研磨不織布2を巻き付け
た強磁性体3を挿入した。ビニール被覆した導線4を強
磁性体3に取り付け、強磁性体3を陰極とした。他方、
パイプ1は、カーボンブラシ5に接触させて陽極とし
た。常温のNaNO3 20%水溶液を電解液6として使
用し、ノズル7からパイプ1の内部に噴射させた。
500mm及び肉厚12mmで、表面粗さRmax 14μ
mの内面をもつステンレス鋼SUS304製TIG溶接
丸パイプの芯引き管を使用した。強磁性体には、高さ1
9mm,幅10mm及び長さ8mmの直方体形状をもつ
フェライト系ステンレス鋼ブロックを使用した。図1に
示すように、パイプ1の内部に研磨不織布2を巻き付け
た強磁性体3を挿入した。ビニール被覆した導線4を強
磁性体3に取り付け、強磁性体3を陰極とした。他方、
パイプ1は、カーボンブラシ5に接触させて陽極とし
た。常温のNaNO3 20%水溶液を電解液6として使
用し、ノズル7からパイプ1の内部に噴射させた。
【0010】パイプ1の外側には、パイプの軸方向に移
動可能な電磁石8を配置した。電磁石8としては、直径
30mmの鉄芯に銅線を12000巻し、先端幅が10
mmの台形状断面及び長さ40mmのものを使用した。
電磁石8を旋盤のテーブル上に置き、テーブル上でパイ
プ1の長手方向に沿って移動させた。パイプ1を旋盤の
チャックに取り付け、パイプ1の内部に研磨不織布2を
巻き付けた強磁性体3を挿入した。電解液6を流量30
0ml/分でパイプ1の内部に送り込んだ。パイプ1の
回転速度を75m/分、電磁石8の移動速度を200m
m/分、電磁石8に供給する電流を3A,パイプ1(陽
極)と強磁性体3(陰極)との間に供給する電流を4A
に設定し、粒度#60,120,320の砥粒を付着さ
せた研磨不織布2を使用し、各1パスづつ、合計3パス
の研磨を施した。研磨後、パイプ内面を観察すると、表
面粗さがRmax 0.4μmの極めて平滑な表面になって
いた。また、粗さ分布も変動幅が小さく、パイプ内面に
渡って均一に研磨されていた。
動可能な電磁石8を配置した。電磁石8としては、直径
30mmの鉄芯に銅線を12000巻し、先端幅が10
mmの台形状断面及び長さ40mmのものを使用した。
電磁石8を旋盤のテーブル上に置き、テーブル上でパイ
プ1の長手方向に沿って移動させた。パイプ1を旋盤の
チャックに取り付け、パイプ1の内部に研磨不織布2を
巻き付けた強磁性体3を挿入した。電解液6を流量30
0ml/分でパイプ1の内部に送り込んだ。パイプ1の
回転速度を75m/分、電磁石8の移動速度を200m
m/分、電磁石8に供給する電流を3A,パイプ1(陽
極)と強磁性体3(陰極)との間に供給する電流を4A
に設定し、粒度#60,120,320の砥粒を付着さ
せた研磨不織布2を使用し、各1パスづつ、合計3パス
の研磨を施した。研磨後、パイプ内面を観察すると、表
面粗さがRmax 0.4μmの極めて平滑な表面になって
いた。また、粗さ分布も変動幅が小さく、パイプ内面に
渡って均一に研磨されていた。
【0011】比較例1:図2に示すように、表面をビニ
ル樹脂で絶縁した直径6mm及び長さ300mmのステ
ンレス鋼SUS304製支持棒9の先端に、直径32m
m及び厚み20mmの研磨不織布2で覆った直径22m
m及び厚み5mmの銅製陰極10を取り付けた。ホルダ
11で固定したパイプ1を電解液6に浸漬させ、パイプ
1に陰極10を圧入した。陰極10の回転速度を64m
/分,陰極10の移動速度を100mm/分,陰極10
とパイプ1(陽極)との間に供給する電流を4Aに設定
し、粒度#60,120,320の砥粒を付着させた研
磨不織布を使用して、各1パスづつ、合計3パスの研磨
を施した。研磨されたパイプ内面は、表面粗さがRmax
9μmであった。研磨後のパイプ内面がこのように低い
平滑度を示すことは、研磨不織布2をパイプ1に圧入す
るだけの比較例1では、圧入された研磨不織布2がパイ
プ1の内径に合わせて変形するため、十分な研磨圧力が
得られていないことを示す。
ル樹脂で絶縁した直径6mm及び長さ300mmのステ
ンレス鋼SUS304製支持棒9の先端に、直径32m
m及び厚み20mmの研磨不織布2で覆った直径22m
m及び厚み5mmの銅製陰極10を取り付けた。ホルダ
11で固定したパイプ1を電解液6に浸漬させ、パイプ
1に陰極10を圧入した。陰極10の回転速度を64m
/分,陰極10の移動速度を100mm/分,陰極10
とパイプ1(陽極)との間に供給する電流を4Aに設定
し、粒度#60,120,320の砥粒を付着させた研
磨不織布を使用して、各1パスづつ、合計3パスの研磨
を施した。研磨されたパイプ内面は、表面粗さがRmax
9μmであった。研磨後のパイプ内面がこのように低い
平滑度を示すことは、研磨不織布2をパイプ1に圧入す
るだけの比較例1では、圧入された研磨不織布2がパイ
プ1の内径に合わせて変形するため、十分な研磨圧力が
得られていないことを示す。
【0012】実施例2:実施例1で研磨されたパイプ1
内に、図3に示すようにバフ12を巻き付けた強磁性体
3を挿入した。粒度#3000のホワイトアランダム3
0g/lを研磨砥粒13として分散させた電解液6をパ
イプ1の内部に送り込み、1パスの研磨を施した。な
お、その他の研磨条件は、実施例1と同様にした。研磨
されたパイプ1は、表面粗さがRmax 0.2μmの極め
て平滑度の高い内面を持っていた。すなわち、実施例1
でRmax 0.4μmに研磨されたパイプ内面が、研磨砥
粒13を併用することにより、更にRmax 0.2μmま
で平滑化された。
内に、図3に示すようにバフ12を巻き付けた強磁性体
3を挿入した。粒度#3000のホワイトアランダム3
0g/lを研磨砥粒13として分散させた電解液6をパ
イプ1の内部に送り込み、1パスの研磨を施した。な
お、その他の研磨条件は、実施例1と同様にした。研磨
されたパイプ1は、表面粗さがRmax 0.2μmの極め
て平滑度の高い内面を持っていた。すなわち、実施例1
でRmax 0.4μmに研磨されたパイプ内面が、研磨砥
粒13を併用することにより、更にRmax 0.2μmま
で平滑化された。
【0013】比較例2:直径22mm及び厚さ5mmの
銅製陰極10を、全体として直径32mm及び厚み20
mmにバフ12で覆った。実施例1で研磨した表面粗さ
Rmax 0.4μmのパイプを、図2と同様にホルダー1
1で固定し、粒度#3000のホワイトアランダム30
g/lを研磨砥粒13として分散させた電解液6を使用
する外は実施例1と同じ条件下で研磨した。研磨された
パイプ1の内面は、表面粗さがRmax 0.4μmとなっ
ており、研磨前とほとんど変わらない値であった。この
ことから、バフ12をパイプ1に圧入しただけでは、研
磨砥粒13をパイプ内面に押し付ける力が小さく、実効
的な研磨作用が発現されなかったものと推察される。
銅製陰極10を、全体として直径32mm及び厚み20
mmにバフ12で覆った。実施例1で研磨した表面粗さ
Rmax 0.4μmのパイプを、図2と同様にホルダー1
1で固定し、粒度#3000のホワイトアランダム30
g/lを研磨砥粒13として分散させた電解液6を使用
する外は実施例1と同じ条件下で研磨した。研磨された
パイプ1の内面は、表面粗さがRmax 0.4μmとなっ
ており、研磨前とほとんど変わらない値であった。この
ことから、バフ12をパイプ1に圧入しただけでは、研
磨砥粒13をパイプ内面に押し付ける力が小さく、実効
的な研磨作用が発現されなかったものと推察される。
【0014】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、被研磨材であるパイプの外側に磁石を配置し、研磨
不織布,バフ,スポンジ等を巻き付けた強磁性体をパイ
プ内面に押し付けている。この状態でパイプと磁石とを
相対移動させ、或いはパイプを相対的に回転させること
により、磁気研磨と電解研磨とを同時に行っている。そ
のため、電極として働く強磁性体自体を保持する工具が
必要とされず、長尺パイプに対しても容易に適用でき、
設備の小型化が図られる。また、パイプ外側の磁場強度
を変化させることにより、強磁性体をパイプ内面に押し
付ける研磨圧力が調整され、効率的にパイプ内面を均一
で且つ高い平滑度に研磨仕上げすることができる。
は、被研磨材であるパイプの外側に磁石を配置し、研磨
不織布,バフ,スポンジ等を巻き付けた強磁性体をパイ
プ内面に押し付けている。この状態でパイプと磁石とを
相対移動させ、或いはパイプを相対的に回転させること
により、磁気研磨と電解研磨とを同時に行っている。そ
のため、電極として働く強磁性体自体を保持する工具が
必要とされず、長尺パイプに対しても容易に適用でき、
設備の小型化が図られる。また、パイプ外側の磁場強度
を変化させることにより、強磁性体をパイプ内面に押し
付ける研磨圧力が調整され、効率的にパイプ内面を均一
で且つ高い平滑度に研磨仕上げすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例1における研磨状態をパイプ軸
方向(a)及び半径方向(b)からみた断面図
方向(a)及び半径方向(b)からみた断面図
【図2】 比較例1で使用した研磨工具(a)及び研磨
状態(b)
状態(b)
【図3】 本発明実施例2における研磨状態をパイプ軸
方向(a)及び半径方向(b)からみた断面図
方向(a)及び半径方向(b)からみた断面図
1:パイプ 2:研磨不織布 3:強磁性体
4:導線 5:カーボンブラシ 6:電解液
7:ノズル 8:電磁石 9:支持棒 10:銅
製の陰極 11:ホルダ 12:バフ 13:研
磨砥粒
4:導線 5:カーボンブラシ 6:電解液
7:ノズル 8:電磁石 9:支持棒 10:銅
製の陰極 11:ホルダ 12:バフ 13:研
磨砥粒
フロントページの続き (72)発明者 中本 一成 兵庫県尼崎市鶴町1番地 日新製鋼株式会 社加工技術研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 弾性及び浸透性を有する絶縁物を付着さ
せた導電性の強磁性体をパイプの内部に挿入し、パイプ
の外側に配置した磁石による磁力で強磁性体を介して絶
縁物をパイプ内面に押し付け、パイプの内部に電解液を
供給し、強磁性体を陰極,パイプを陽極として強磁性体
とパイプとの間に電流を供給し、パイプ内面を電解研磨
すると同時に、パイプと強磁性体とを相対移動させるパ
イプ内面の電解磁気研磨方法。 - 【請求項2】 研磨砥粒を混入した電解液をパイプの内
部に供給する請求項1記載の電解磁気研磨方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26445594A JPH0899224A (ja) | 1994-10-04 | 1994-10-04 | パイプ内面の電解磁気研磨方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26445594A JPH0899224A (ja) | 1994-10-04 | 1994-10-04 | パイプ内面の電解磁気研磨方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0899224A true JPH0899224A (ja) | 1996-04-16 |
Family
ID=17403449
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26445594A Withdrawn JPH0899224A (ja) | 1994-10-04 | 1994-10-04 | パイプ内面の電解磁気研磨方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0899224A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007098490A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-19 | Utsunomiya Univ | 電気・磁気複合加工方法並びにこれに用いられる装置及び工具 |
KR101519390B1 (ko) * | 2012-06-11 | 2015-05-21 | 주식회사 아스플로 | 연마장치 및 이를 이용한 관 내부의 화학기계적 연마 방법 |
CN104726928A (zh) * | 2015-03-06 | 2015-06-24 | 大连理工大学 | 一种细长管道内表面的电化学抛光装置 |
CN112123031A (zh) * | 2020-10-20 | 2020-12-25 | 辽宁科技大学 | 一种电磁铁复合电解用于非导磁金属管内壁的抛光装置及工艺 |
KR20220022253A (ko) * | 2020-08-18 | 2022-02-25 | 조선대학교산학협력단 | 전해 복합 가공 및 연마 시스템 |
KR20220022254A (ko) * | 2020-08-18 | 2022-02-25 | 조선대학교산학협력단 | 전해 복합 가공 및 연마용 공구 장치 |
-
1994
- 1994-10-04 JP JP26445594A patent/JPH0899224A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN112123031A (zh) * | 2020-10-20 | 2020-12-25 | 辽宁科技大学 | 一种电磁铁复合电解用于非导磁金属管内壁的抛光装置及工艺 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020115 |