JPH08984B2 - 複合皮膜の製造方法 - Google Patents

複合皮膜の製造方法

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JPH08984B2
JPH08984B2 JP3039170A JP3917091A JPH08984B2 JP H08984 B2 JPH08984 B2 JP H08984B2 JP 3039170 A JP3039170 A JP 3039170A JP 3917091 A JP3917091 A JP 3917091A JP H08984 B2 JPH08984 B2 JP H08984B2
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polymer
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征司郎 伊藤
隆 大中
慎一 石田
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株式会社日本アルミ
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Ti陽極酸化皮膜の表
面に金属酸化物からなる薄膜を形成する複合皮膜の製造
方法に関するものであり、金属酸化物薄膜を形成するこ
とによりTi陽極酸化皮膜の耐汚染性を向上させたもの
である。
【0002】
【従来技術及びその問題点】Ti陽極酸化皮膜は、Ti
をリン酸、硫酸等の電解浴中で陽極酸化処理して得るこ
とができ、厚さがnmオーダーの干渉皮膜とμmオーダ
ーの厚膜とに分類される。なお上記厚膜は電解電圧を火
花発生電圧以上とした場合に得られる。また電解浴中に
金属塩を加えると、その金属固有の色調を持ったTi陽
極酸化皮膜が得られる。
【0003】ところで上記干渉皮膜は、極めて薄いため
脆く、また指触跡や汚れが付着し易く即ち耐汚染性が悪
く、美観上問題となり、実際上利用できなかった。そこ
で上記厚膜を得たが、上記厚膜においても、火花発生に
より表面に1μm程度の径の孔が形成されるため、上記
干渉皮膜ほどではないが指触跡や汚れが付着し易かっ
た。そこで上記厚膜表面に塗装を試みたが、塗膜の密着
性が悪かったり上記厚膜の色調が変化したりするという
問題があった。
【0004】
【発明の目的】そこでTi陽極酸化皮膜表面を金属酸化
物の薄膜で密着性良く覆って保護することを考えた。即
ち本発明は、Ti陽極酸化皮膜の表面に金属酸化物から
なる薄膜を形成する複合皮膜の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0005】
【目的を達成するための手段】本発明の複合皮膜の製造
方法は、Ti陽極酸化皮膜の表面に金属酸化物からなる
薄膜を形成する複合皮膜の製造方法であって、上記金属
酸化物に対応する金属の金属アルコキシドの重合体の溶
液中にTi陽極酸化皮膜を浸して一方の電極とし、上記
溶液中に浸した他方の電極との間に電流を流し電気泳動
によってTi陽極酸化皮膜表面に上記金属アルコキシド
の重合体を付着させ、その付着物を、風乾することによ
り更に加水分解と重合を進行させた後、焼成することを
特徴とするものである。
【0006】ここで用いるTi陽極酸化皮膜は、通常の
陽極酸化法において形成される。即ち、例えば硫酸、リ
ン酸、又はこれらの混酸の電解浴中にて、火花放電電圧
(約100V)以下で電解すると電圧に応じた干渉色皮
膜が得られ、火花放電電圧以上で電解すると灰色のTi
陽極酸化皮膜が得られる。また(a) 硫酸、リン酸、硝
酸、塩酸、ホウ酸又はこれらの混酸等の無機酸、(b) こ
れらの無機酸に過酸化水素水添加したもの、(c) スルホ
サリチル酸、ナフタレンジスルホン酸、クレゾールスル
ホン酸等のスルホン酸類またはこれらの混酸等の有機酸
に過酸化水素水を添加したもの、(d) 上記無機酸と、上
記スルホン酸類又はシュウ酸、酒石酸、酢酸等のカルボ
ン酸類等との混酸、(e) Na、K、Ca、Li、Mgの
水和物、水溶性の炭酸塩、水酸化アンモニウム等のアル
カリ水溶液、等にNi、Co、Fe、Cr、Al、Zn
等の金属塩を添加した電解浴中にて、150V以上の電
圧で陽極酸化処理すると、上記金属の酸化物又は水酸化
物特有の色を有するTi陽極酸化皮膜が得られる。
【0007】金属アルコキシドとしては、例えばSi
(OC254、Zr(OC494等が用いられる。金
属アルコキシドの重合体の溶液は、金属アルコキシドを
水を含んだアルコール及び適量の酸の混合溶液中に溶解
させて調整する。
【0008】電気泳動は、例えば図1に示すような装置
で行なう。図において、10は電源、11は一方の電極
(Ti陽極酸化皮膜)、12は他方の電極(例えば炭素
棒)、13は金属アルコキシドの重合体の溶液、14は
容器である。
【0009】風乾即ち空気中に晒す時間は、付着した金
属アルコキシドの重合体の加水分解と重合が更に進行し
て略完了するまでとする。
【0010】焼成は通常の方法により行なう。
【0011】
【作用】上記の陽極酸化処理により得られるTi陽極酸
化皮膜は、模式断面図である図2に示すような多孔質の
ものである。図において、11はTi陽極酸化皮膜、2
は1μm程度の径の孔、4はTiである母材である。な
お図3はTi陽極酸化皮膜11表面を示すSEM写真で
ある。
【0012】金属アルコキシドを水を含んだアルコール
及び適量の酸の混合溶液中に溶解させると、金属アルコ
キシドは部分的に加水分解された状態で重合し、溶液中
には金属アルコキシドの重合体が生成する。この金属ア
ルコキシドの重合体は、数分子の金属アルコキシドの金
属同士が酸素を介して結合し、金属には未だアルコキシ
ル基が結合してなるものである。
【0013】図1において、両電極11、12間に電源
10から電流を流すと、金属アルコキシドの重合体はT
i陽極酸化皮膜11の方へ移動して、陽極酸化皮膜11
表面に付着する。
【0014】その付着物を風乾すると、金属アルコキシ
ドの重合体は、空気中の水分により更に加水分解が進行
すると同時に重合が進行し、またアルコールが蒸発す
る。
【0015】焼成すると、重合体は金属酸化物となる。
これにより図4に示すように、Ti陽極酸化皮膜11表
面には金属酸化物の薄膜21が形成され、即ちTi陽極
酸化皮膜11と金属酸化物薄膜21との複合皮膜が得ら
れる。薄膜21は、例えば金属アルコキシドとしてSi
(OC254を用いた場合にはSiO2からなり、Zr
(OC494を用いた場合にはZrO2からなってい
る。なお図5は上記複合皮膜表面を示すSEM写真であ
る。図3と比べると、表面の粒状物質がなくなり、平滑
となっている。これはTi陽極酸化皮膜11表面に金属
酸化物薄膜21が形成されていることを示している。
【0016】このようにTi陽極酸化皮膜11表面は金
属酸化物薄膜21により保護されることとなるため、T
i陽極酸化皮膜11の耐汚染性は向上する。
【0017】しかも金属アルコキシドの重合体は電気泳
動して移動するため、多孔質である陽極酸化皮膜11の
表面に万遍なく行き渡り、表面には均一な厚さの薄膜2
1が形成される。従って陽極酸化皮膜11表面はどの部
分においても均等に耐汚染性が向上することとなる。
【0018】更に電気泳動させる電圧を変えることによ
って任意の膜厚の薄膜21が形成される。従って十分な
厚さの薄膜21を形成でき、陽極酸化皮膜11の耐汚染
性を確実に向上できる。
【0019】また金属アルコキシドの重合体は電気泳動
して付着するので、溶液13の状態は、粘度がある程度
高い状態に限定されることはなく、極めて低い粘度でよ
く、溶液の状態でよい。なお完全に加水分解して生成さ
れた金属酸化物の微粒子のゾルであってはならない。従
って薄膜21の形成され得る溶液13の状態の範囲は広
く、時間的に安定した中で薄膜21が形成される。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明の複合皮膜の製造方
法によれば、Ti陽極酸化皮膜11表面を金属酸化物薄
膜21により密着性良く覆って、複合皮膜を形成するこ
とができる。そして、得られた複合皮膜によれば、Ti
陽極酸化皮膜11表面が金属酸化物薄膜21により密着
性良く覆われているので、Ti陽極酸化皮膜11の耐汚
染性を向上させることができる。しかも薄膜21はガラ
ス状であるため、透明な塗膜のように屈折率は大きくは
なく、Ti陽極酸化皮膜11の色調を変化させることは
ない。
【0021】
【実施例】(実施例1)純チタン(Ti)板を、0.3
mol/lリン酸、0.4mol/l硫酸、0.3mo
l/l過酸化水素の混合浴に浸し、2A/dm2で22
0Vまで昇圧し、その電圧で5分間陽極酸化して、厚さ
が約4μmの灰色のTi陽極酸化皮膜を得た。一方、S
i(OC254138ml、エタノール238ml、
水118mlを混合したものに、触媒として硫酸0.6
mlを加え、pH2に調整した後、20℃で一定に保
ち、これを電解浴とした。この電解浴において、上記T
i陽極酸化皮膜を浸して陽極とし、陰極に炭素棒を用い
て、直流定電圧電解法による電解処理を行なった。この
ときの電解条件は、昇圧速度10V/secで50Vに
到達後、20〜40分間通電することとした。電解処理
後、Ti陽極酸化皮膜を取出し、エタノールに浸漬し、
次いで水洗し、そして十分に室温で乾燥させた後、電気
炉によって約6時間かけて500℃まで昇温させ、50
0℃に達してから6時間かけて焼成を行なった。この結
果、Ti陽極酸化皮膜表面に10〜50nmの均一な厚
みを有する透明なSiO2膜が形成された。即ちTi陽
極酸化皮膜とSiO2膜との複合皮膜が得られた。この
複合皮膜表面の接触角を測定したところ、電解処理を行
なう前に比して低くなっており、ぬれ性が良くなってい
た。即ちTi陽極酸化皮膜の耐汚染性は向上していた。
また色調も灰色のままで全く変化していなかった。
【0022】(実施例2)実施例1と同様にして、Ti
陽極酸化皮膜を得た。一方、Zr(OC49420m
l、ブタノール185mlを混合したものに、触媒とし
て塩酸3.0mlを加え、十分に攪拌し、20℃で一定
に保ち、これを電解浴とした。この電解浴において、上
記Ti陽極酸化皮膜を浸して陽極とし、陰極にTi板を
用いて、直流定電圧電解法による電解処理を行なった。
このときの電解条件は、50〜200Vで、所定の電圧
に到達後、3分間通電することとした。電解処理後、T
i陽極酸化皮膜を取出し、ブタノールに浸漬し、次いで
水洗し、そして十分に室温で乾燥させた後、電気炉によ
って約6時間かけて500℃まで昇温させ、500℃に
達してから6時間かけて焼成を行なった。この結果、T
i陽極酸化皮膜表面に10〜50nmの均一な厚みを有
するZrO2膜が形成された。即ちTi陽極酸化皮膜と
ZrO2膜との複合皮膜が得られた。この複合皮膜表面
の接触角を測定したところ、電解処理を行なう前に比し
て低くなっており、ぬれ性が良くなっていた。即ちTi
陽極酸化皮膜の耐汚染性は向上していた。また色調も灰
色のままで全く変化していなかった。
【0023】(実施例3)純チタン板を、0.1mol
/lリン酸水溶液中で、50Vで陽極酸化処理して、青
色の干渉膜であるTi陽極酸化皮膜を得た。そしてこの
Ti陽極酸化皮膜表面に、実施例1と同様に処理してS
iO2膜を形成した。この例においても、Ti陽極酸化
皮膜の耐汚染性は向上し、また色調も青色のままで全く
変化しなかった。
【0024】(実施例4)10g/l過酸化水素水、3
5g/lリン酸、25g/l硫酸の混合溶液からなる電
解浴に、50g/l硫酸クロム・カリウム・12水和物
を添加し、純チタン板を浸して、200Vで20分間陽
極酸化処理し、厚さが4.7μmのモスグリーンの色調
を有するTi陽極酸化皮膜を得た。そしてこのTi陽極
酸化皮膜表面に、実施例2と同様に処理してZrO2
を形成した。この例においても、Ti陽極酸化皮膜の耐
汚染性は向上し、また色調もモスグリーンのままで全く
変化しなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法において用いる電解処理装置の
構成を示す概略図である。
【図2】 Ti陽極酸化皮膜を示す模式断面図である。
【図3】 結晶の構造を示す図面に代わる写真であり、
具体的にはTi陽極酸化皮膜の表面を斜視にて示してい
る。
【図4】 本発明の方法により得られた複合皮膜を示す
模式断面図である。
【図5】 結晶の構造を示す図面に代わる写真であり、
具体的には本発明の方法により得られた複合皮膜の表面
を斜視にて示している。
【符号の説明】
11 一方の電極(Ti陽極酸化皮膜) 21 金属酸化物薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−49109(JP,A) 特開 平1−165797(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ti陽極酸化皮膜の表面に金属酸化物か
    らなる薄膜を形成する複合皮膜の製造方法であって、 上記金属酸化物に対応する金属の金属アルコキシドの重
    合体の溶液中にTi陽極酸化皮膜を浸して一方の電極と
    し、上記溶液中に浸した他方の電極との間に電流を流し
    電気泳動によってTi陽極酸化皮膜表面に上記金属アル
    コキシドの重合体を付着させ、その付着物を、風乾する
    ことにより更に加水分解と重合を進行させた後、焼成す
    ることを特徴とする複合皮膜の製造方法。
JP3039170A 1991-02-08 1991-02-08 複合皮膜の製造方法 Expired - Lifetime JPH08984B2 (ja)

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WO2021111780A1 (ja) * 2019-12-02 2021-06-10 日本軽金属株式会社 光学部材及びその製造方法

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